(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008075
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】指紋認証装置、指紋認証方法、及び生体情報収集システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1172 20160101AFI20230112BHJP
【FI】
A61B5/1172
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111335
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200218
【弁理士】
【氏名又は名称】沼尾 吉照
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 大成
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038FF01
4C038FF05
(57)【要約】
【課題】容易に生体情報の取得が可能な指紋認証装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の指紋認証装置は、通信インターフェースと、指紋センサと、生体センサと、記憶部と、プロセッサと、を備える。通信インターフェースは、機器と通信する。指紋センサは、指紋を読み取る。生体センサは、生体情報を取得する。記憶部は、指紋認証に用いる指紋の特徴点情報を記憶する。プロセッサは、指紋センサから取得したユーザの指紋と記憶部が記憶する特徴点情報とを照合し、照合の結果を通信インターフェースにより機器に送信し、照合の結果が真である場合、生体センサから取得したユーザの生体情報を通信インターフェースにより機器へ送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器と通信する通信インターフェースと、
指紋を読み取る指紋センサと、
生体情報を取得する生体センサと、
指紋認証に用いる指紋の特徴点情報を記憶する記憶部と、
前記指紋センサから取得したユーザの指紋と前記記憶部が記憶する特徴点情報とを照合し、前記照合の結果を前記通信インターフェースにより前記機器に送信し、前記照合の結果が真である場合、前記生体センサから取得した前記ユーザの生体情報を前記通信インターフェースにより前記機器へ送信するプロセッサと、
を備える指紋認証装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記生体情報に関する基準値を記憶し、
前記プロセッサは、前記生体センサから取得した前記生体情報が前記記憶部に記憶される前記基準値の範囲外の場合、前記機器に警告を通知する、請求項1に記載の指紋認証装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記ユーザが前記機器にログインするための管理情報を記憶し、
前記プロセッサは、前記照合の結果として前記管理情報を前記通信インターフェースにより前記機器へ送信する、請求項1又は請求項2に記載の指紋認証装置。
【請求項4】
前記生体情報は、前記ユーザの心拍数である、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の指紋認証装置。
【請求項5】
前記生体情報は、前記ユーザの体温である、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の指紋認証装置。
【請求項6】
前記生体情報は、前記ユーザの動脈血の酸素飽和度である、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の指紋認証装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記ユーザから前記指紋を取得した取得時刻が、所定の時間帯に含まれる場合、前記生体情報を前記機器へ送信し、前記取得時刻が前記所定の時間帯に含まれない場合、前記生体情報を前記機器へ送信しない、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の指紋認証装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記取得時刻が前記所定の時間帯に含まれない場合、前記機器からの要求に基づいて、前記生体センサから前記ユーザの前記生体情報を取得し、前記通信インターフェースにより前記機器へ送信する、請求項7に記載の指紋認証装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記照合の結果を前記機器に送信した際に、現在時刻を前記機器から取得する、請求項7又は請求項8に記載の指紋認証装置。
【請求項10】
指紋を読み取る指紋センサから取得したユーザの指紋と予め記憶されている特徴点情報とを照合し、前記照合の結果及び生体センサから取得した前記ユーザの生体情報を通信インターフェースにより機器へ送信する指紋認証方法。
【請求項11】
指紋を読み取る指紋センサから取得したユーザの指紋と予め記憶されている特徴点情報とを照合し、前記照合の結果及び生体センサから取得した前記ユーザの生体情報を通信インターフェースにより機器へ送信し、前記生体センサから取得した生体情報が予め記憶されている前記生体情報に関する基準値の範囲外の場合、前記機器に警告を通知する、指紋認証方法。
【請求項12】
指紋認証装置と、機器と、サーバと、を備える生体情報収集システムであって、
前記指紋認証装置は、
機器と通信する通信インターフェースと、
指紋を読み取る指紋センサと、
生体情報を取得する生体センサと、
指紋認証に用いる指紋の特徴点情報及びユーザが前記機器にログインするための管理情報を記憶する記憶部と、
前記指紋センサから取得したユーザの指紋と前記記憶部が記憶する特徴点情報とを照合し、前記照合の結果、前記管理情報及び前記生体センサから取得した前記ユーザの生体情報を前記通信インターフェースにより前記機器へ送信するプロセッサと、
を備え、
前記機器は、
前記照合の結果及び前記指紋認証装置から送信された前記管理情報に基づいて、前記ユーザによる前記機器の操作を許可するとともに、前記指紋認証装置から送信された生体情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記機器から送信された前記生体情報を蓄積する、
生体情報収集システム。
【請求項13】
指紋認証装置と、機器と、サーバと、を備える生体情報収集システムであって、
前記指紋認証装置は、
機器と通信する通信インターフェースと、
指紋を読み取る指紋センサと、
生体情報を取得する生体センサと、
指紋認証に用いる指紋の特徴点情報及びユーザが前記機器にログインするための管理情報を記憶する記憶部と、
前記指紋センサから取得したユーザの指紋と前記記憶部が記憶する特徴点情報とを照合し、前記照合の結果が真である場合、前記管理情報及び前記生体センサから取得した前記ユーザの前記生体情報を前記通信インターフェースにより前記機器へ送信し、前記生体センサから取得した前記生体情報が予め記憶されている前記生体情報に関する基準値の範囲外の場合、前記機器に警告を通知する、プロセッサと、
を備え、
前記機器は、
前記照合の結果及び前記指紋認証装置から送信された前記管理情報に基づいて、前記ユーザによる前記機器の操作を許可するとともに、前記指紋認証装置から送信された前記生体情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記機器から送信された前記生体情報を蓄積する、
生体情報収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、指紋認証装置、指紋認証方法、及び生体情報収集システムに係る。
【背景技術】
【0002】
生体認証を行うための情報としての指紋や静脈の形状を読み取り、PC等による認証を行う生体認証装置が知られている。生体認証装置は、指の腹が検出面に当てられて指紋を読み取ったり、指先に近赤外光を照射し、透過光から静脈の形状を読み取ったりすることで、認証を行うようになっている。また、ユーザの健康状態を管理するために、指から脈波等の生体情報を計測する装置がある。しかしながら、指から生体情報を取得する装置は、ユーザが任意の時間に能動的に計測動作を行う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態が解決しようとする課題は、容易に生体情報の取得が可能な指紋認証装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の指紋認証装置は、通信インターフェースと、指紋センサと、生体センサと、記憶部と、プロセッサと、を備える。通信インターフェースは、機器と通信する。指紋センサは、指紋を読み取る。生体センサは、生体情報を取得する。記憶部は、指紋認証に用いる指紋の特徴点情報を記憶する。プロセッサは、指紋センサから取得したユーザの指紋と記憶部が記憶する特徴点情報とを照合し、照合の結果を通信インターフェースにより機器に送信し、照合の結果が真である場合、生体センサから取得したユーザの生体情報を通信インターフェースにより機器へ送信する。
【0006】
また、実施形態の指紋認証方法は、指紋を読み取る指紋センサから取得したユーザの指紋と予め記憶されている特徴点情報とを照合し、照合の結果及び生体センサから取得したユーザの生体情報を通信インターフェースにより機器へ送信する。
【0007】
また、実施形態の生体情報収集システムは、指紋認証装置と、機器と、サーバと、を備える。指紋認証装置は、機器と通信する通信インターフェースと、指紋を読み取る指紋センサと、生体情報を取得する生体センサと、指紋認証に用いる指紋の特徴点情報及びユーザが機器にログインするための管理情報を記憶する記憶部と、指紋センサから取得したユーザの指紋と記憶部が記憶する特徴点情報とを照合し、照合の結果、管理情報及び生体センサから取得したユーザの生体情報を通信インターフェースにより機器へ送信するプロセッサと、を備える。機器は、照合の結果及び指紋認証装置から送信された管理情報に基づいて、ユーザによる機器の操作を許可するとともに、指紋認証装置から送信された生体情報をサーバに送信する。サーバは、機器から送信された生体情報を蓄積する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る生体情報収集システムの構成の一例を示す全体図。
【
図2】実施形態に係る指紋認証装置の制御部の構成の一例を示すブロック図。
【
図3】実施形態に係る指紋認証装置の生体情報の基準値を示すデータテーブル。
【
図4】実施形態に係る指紋認証装置のプロセッサが制御する動作フローの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための実施形態について説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る生体情報収集システムAを示す全体図である。指紋認証装置100は、生体情報収集システムAを構成する指紋認証装置の概観の一例を示す。指紋認証装置100は、外部装置と接続するための接続用電気端子101と、指紋センサ102と、生体センサ103と、筐体104と、基板105と、制御部106と、を備える。なお、ここでは指紋認証装置100の接続用電気端子101としてUSB(Universal Serial Bus)端子について説明するが、本実施形態に係る発明は、USB端子に限って適用できるものではなく、当該装置を電気的に接続する端子であれば、様々な端子に適用可能である。
【0011】
また、指紋認証装置100において筐体104の表面に露出する指紋センサ102の指を押し当てる面に垂直な方向をZ軸とし、Z軸に垂直で接続用電気端子101を外部装置に挿入する前後方向を向く水平軸をX軸、Z軸に垂直で接続用電気端子101を外部装置に挿入する前後方向に垂直な横方向を向く水平軸をY軸とする。
【0012】
接続用電気端子101は、外部装置に接続するための端子である。例えば、接続用電気端子101は、外部装置であるPC機器107に備えられるUSBの受け口に挿入されることによって指紋認証装置100をPC機器107に接続する。指紋認証装置100は、指紋センサ102が読み取った指紋情報と、内部で予め記憶してある指紋の特徴点情報とを照合(認証)した結果を、電気的なレスポンスとして、接続用電気端子101を介してPC機器107に送信する。上記指紋情報の読み取りや、照合は、セキュアに指紋情報を扱える制御部106で行われる。
【0013】
指紋センサ102は、指紋を読み取るためのセンサである。例えば、指紋センサ102は、ユーザが筐体104から一部露出した検出面に指を押し当てることで、押し当てられた指から指紋を読み取る。指紋センサ102は、押し当てられた指の指紋の凹凸を検出して電気信号に変換し、指紋情報を読み取る。指紋センサ102の方式としては、静電容量型が一般的だが、これに限らず電界式、感圧式、周波数解析方式、光学式、感熱式、または超音波式などでもよい。
【0014】
生体センサ103は、生体情報を取得するためのセンサである。例えば、生体センサ103は、ユーザの指先などに近赤外光を照射する発光部及び生体内を透過した光の強度を検出する受光部を用いて脈波の測定を行う脈波センサと、温度の変化によって電気抵抗が変化するサーミスタセンサ(温度センサ)と、によって構成される。生体センサ103は、検出面に押し当てられた生体の一部に向けて発光部(LED(Light Emitting Diode)など)から光が照射され、体内を透過して体外に出てくる光の強度を受光部(フォトダイオードやフォトトランジスタなど)で検出する。生体センサ103は、受光部から検出した末梢動脈の吸光度変化を測定することにより、容積脈波を測定することができる。また、生体センサ103は、押し当てられたユーザの指からの温度を電気抵抗値に変換することにより、体温を測定することができる。なお、生体センサ103は、その他のセンサを用いて生体情報を取得してもよい。また、生体センサ103は脈波センサやサーミスタセンサ等を組み合わせることで、複数の生体情報を取得してもよい。
【0015】
筐体104は、接続用電気端子101と、指紋センサ102と、生体センサ103と、基板105と、制御部106と、を収容する。例えば、筐体104は、略直方体となる箱状の形体であり、ABS樹脂を成型したプラスチックである。また、筐体104は、指紋センサ102及び生体センサ103の検出面を一部露出して収容する。また、筐体104は、接続用電気端子101を一部突出させて収容する。なお、筐体104は、平常時はカバー等によって指紋センサ102及び生体センサ103を保護し、カバー等を必要に応じて開けることで指紋センサ102及び生体センサ103が露出するように備えられていてもよい。また、筐体104は、平常時は接続用電気端子101を筐体104内部へ収容し、ノックやスライドなどの操作によって必要に応じて接続用電気端子101が突出するように備えられていてもよい。また、筐体104の材料として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーネード(PC)、ポリマーアロイ(PCとABSとの合成樹脂)など、本願出願時に一般的に用いられるプラスチックも用いることができる。
【0016】
基板105は、接続用電気端子101と、指紋センサ102と、生体センサ103と、制御部106と、を電気的に接続する。例えば、基板105は、銅張積層板を用いた硬質な基板であり、筐体104に収容される。
【0017】
制御部106は、指紋認証装置100全体を統合的に制御する。例えば、制御部106は、外部からの解析攻撃に耐え得るCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Randam Access Memory)、およびI/O素子などで構成される。制御部106は、指紋センサ102における指紋情報取得や、取得した指紋情報と予め記憶してある指紋の特徴点情報との照合を行うことにより、指紋を取得したユーザが指紋認証装置100の所持者であるか否かの認証を行う。そして、制御部106は照合した結果として、後述するようにPC機器107にログインするための管理情報を接続用電気端子101への出力、またはコマンドの入力を制御する。制御部106の詳細は、
図2を用いて後述する。
【0018】
PC機器107は、照合の結果に基づいて、ユーザにPC機器107の操作を許可するとともに、指紋認証装置100から送信された生体情報を上位サーバ108に送信する。例えば、PC機器107は、指紋認証装置100が備える接続用電気端子101を介して指紋認証装置100が接続可能な装置である。PC機器107は、指紋認証装置100から接続用電気端子101を介してユーザの指紋を照合した結果として、管理情報を受信し、受信した管理情報によって操作が可能となる外部機器である。PC機器107は、指紋認証装置100からユーザの指紋を照合した結果としてPC機器107にログインするためのID及びパスワードを受信することで、PC機器107にログインして操作が可能となる。これにより、ユーザは、ID及びパスワードを記憶する必要がなく、ユーザが持つ生体情報を用いてPC機器107にログインすることが出来る。また、PC機器107は、接続用電気端子101を介して指紋認証装置100から受信した生体情報を、ユーザのID情報とともにネットワークを介して上位サーバ108に送信する。
【0019】
上位サーバ108は、PC機器107から送信されたユーザのID情報に対応付けて生体情報を蓄積する。例えば、上位サーバ108は、PC機器107と無線ネットワークで接続されたクラウドサーバである。上位サーバ108は、PC機器107が指紋認証装置100から受信した生体情報を、ネットワークを介して受信する。上位サーバ108は、受信した生体情報と、指紋が認証されたユーザのID情報と、生体情報を取得した時間とを対応付けて記憶することで、ユーザの生体情報を蓄積する。これにより、上位サーバ108は、複数のPC機器107から取得した複数のユーザの生体情報を統括的に管理することができる。なお、生体情報は、PC機器107が情報を蓄積してもよい。また、上位サーバ108は、有線ネットワークで接続されていてもよいし、オンプレミスサーバであってもよい。
【0020】
図2を用いて指紋認証装置100の制御部106の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る指紋認証装置100の制御部106の構成の一例を示すブロック図である。制御部106は、プロセッサ201と、ROM202と、RAM203と、補助記憶デバイス204(記憶部)と、通信インターフェース205(通信部)と、センサインターフェース206と、を備える。
【0021】
プロセッサ201は、指紋認証装置100の処理に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当し、指紋認証装置100全体を統合的に制御する。プロセッサ201は、ROM202又は補助記憶デバイス204などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、指紋認証装置100の各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサ201は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、又はDSP(digital signal processor)である。あるいは、プロセッサ201は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0022】
ROM202は、プロセッサ201を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM202は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM202は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM202は、プロセッサ201が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0023】
RAM203は、プロセッサ201を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM203は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM203は、プロセッサ201が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0024】
補助記憶デバイス204は、プロセッサ201を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス204は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)(登録商標)、HDD(hard disk drive)又はSSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス204は、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス204は、プロセッサ201が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ201での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。補助記憶デバイス204は、ユーザの指紋の特徴点情報と、生体情報に関する基準値と、生体情報取得時間帯と、IDやパスワード等の管理情報と、を記憶する。
【0025】
特徴点情報は、指紋認証に用いる指紋に関する情報である。例えば、特徴点情報は、特定のユーザの指紋の模様の特徴を示す情報である。特徴点情報を構成する特徴点は、指紋の模様の中心を示す中心情報と、指紋の凸部模様の分岐点を示す分岐情報と、指紋の凸部模様の端を示す端情報と、指紋の模様の三方向からの集まりを示す三角州情報と、からなる。特徴点情報は、上記した特徴点の種類と向きを20個から40個の組み合わせによって構成される。
【0026】
基準値は、生体情報に関する情報である。例えば、基準値は、
図3に示すデータテーブルTA1のように補助記憶デバイス204に生体情報の種類ごとに上限値と下限値を記憶する。本実施形態では、生体情報に含まれる心拍数の上限値を毎分90回とし、下限値を毎分50回とする。また、生体情報に含まれる体温の上限値を37.5度とし、下限値を36.0度とする。さらに、生体情報に含まれる酸素飽和度の上限値を99.0%とし、下限値を96.0%とする。
【0027】
生体情報取得時間帯は、指紋認証装置100でユーザの生体情報を取得する時間帯を示す情報である。これは、企業の従業員全員の生体情報を取得し、企業の従業員の健康状態を把握するためである。このため、全従業員が、極力同一時刻の生体情報を取得したいが、従業員によって出社する時刻が異なっているため、生体情報を取得する時間帯を定め、この時間帯に出社した従業員についてはこの時間帯にPC機器107にログインするときの生体情報を取得する。
【0028】
一方、この生体情報取得時間帯よりも早く出社した従業員については、PC機器107へのログイン時には生体情報を取得せず、生体情報取得時間帯になったときに、指紋認証装置100の生体センサ103にユーザの指を押し付けるように指示を出し、この時点での生体情報を取得して、PC機器107を経由した上位サーバ108に生体情報を送信するようにしている。
【0029】
このようなことから、生体情報取得時間帯は、開始時刻と終了時刻で構成される。本実施形態では、例えば、開始時刻を午前八時三十分とし、終了時刻を午前十一時とする。
【0030】
管理情報は、ユーザがPC機器107にログインするための情報である。例えば、管理情報は、特徴点情報に登録された指紋の登録者に対応付けられたID及びパスワードである。ID及びパスワードは、複数の英数字又は記号によって構成され、通信インターフェース205に送信して、PC機器107にログインするために用いられる。
【0031】
ROM202又は補助記憶デバイス204に記憶されるプログラムは、指紋認証装置100を制御するためのプログラムを含む。一例として、指紋認証装置100は、当該プログラムがROM202又は補助記憶デバイス204に記憶された状態で指紋認証装置100の管理者などへと譲渡される。しかしながら、指紋認証装置100は、当該プログラムがROM202又は補助記憶デバイス204に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、当該プログラムが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下に補助記憶デバイス204へ書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0032】
通信インターフェース205は、ネットワークなどを介して他の装置と有線又は無線で通信し、他の装置から送信される各種情報を受信し、また、他の装置に各種情報を送信するためのインターフェースである。例えば、プロセッサ201は、通信インターフェース205及び接続用電気端子101を介してPC機器107と通信する。また、プロセッサ201は、通信インターフェース205を介してPC機器107から現在時刻を受信する。また、プロセッサ201は、通信インターフェース205を介してPC機器107に生体情報を送信する。また、プロセッサ201は、通信インターフェース205を介してPC機器107に警告を示す信号を送信する。また、プロセッサ201は、通信インターフェース205を介してPC機器107に現在時刻が生体情報取得時間帯内になったら生体情報を指紋認証装置100に要求するよう命令を送信する。さらに、プロセッサ201は、通信インターフェース205を介してPC機器107からの生体情報の要求を受信する。
【0033】
センサインターフェース206は、種々のセンサと有線又は無線で通信し、種々のセンサが取得した情報を受信し、種々のセンサに各種情報を送信するためのインターフェースである。例えば、プロセッサ201は、センサインターフェース206を介して指紋センサ102が検出した指紋情報を取得する。また、プロセッサ201は、センサインターフェース206を介して、生体センサ103から生体情報を取得する。
【0034】
プロセッサ201は、指紋センサ102から取得したユーザの指紋と補助記憶デバイス204が記憶する指紋の特徴点情報とを照合する。例えば、プロセッサ201は、指紋センサ102から取得した指紋情報に含まれる特徴点と、補助記憶デバイス204に記憶される特徴点情報に含まれる特徴点とを比較する。プロセッサ201は、比較した結果が所定の一致率(例えば99%)を超えた場合、照合の結果を真とする。
【0035】
プロセッサ201は、照合の結果を通信インターフェース205を介してPC機器107に送信する。プロセッサ201は、照合の結果として管理情報を通信インターフェース205を介してPC機器107へ送信する。例えば、プロセッサ201は、指紋センサ102から取得したユーザの指紋と補助記憶デバイス204が記憶する特徴点情報とを照合した結果が真であった場合、補助記憶デバイス204に記憶された管理情報に含まれる登録者のIDとパスワードとを通信インターフェース205を介してPC機器107へ送信する。プロセッサ201は、認証した結果が偽であった場合、認証失敗を示す信号を送信する。なお、認証した結果が真であった場合に送信する情報は、認証に成功したことを示す信号や、電子証明書などであってもよい。
【0036】
プロセッサ201は、生体センサ103から生体情報を取得する。例えば、プロセッサ201は、生体センサ103が測定した吸光度変化、体温及び容積脈波を取得する。プロセッサ201は、取得した容積脈波を時間軸で平均することで心拍数を取得する。また、プロセッサ201は、指から体温を取得する。また、プロセッサ201は、取得した吸光度変化に基づいて動脈血の酸素飽和度を取得する。
【0037】
心臓及び自立神経の支配を受けている脈波は、常に一定の挙動を示すものではなく、ユーザの状態によって様々な変化(揺らぎ)を生じるものである。従って、脈波の変化(揺らぎ)を解析することにより、ユーザの様々な身体情報を得ることができる。例えば、心拍数からは、ユーザの運動能力や緊張度などを知ることができ、心拍変動からは、ユーザの疲労度、快眠度、及び、ストレスの大きさなどを知ることができる。また、脈波を時間軸で2回微分することにより得られる加速度脈波からは、ユーザの血管年齢や動脈硬化度などを知ることができる。また、酸素飽和度からは、肺等の呼吸機能能力を知ることができる。また、体温からは、感染症や身体内の出血の疑い、栄養低下などを知ることができる。
【0038】
プロセッサ201は、照合の結果が真である場合、生体センサ103から取得したユーザの生体情報を通信インターフェース205を介してPC機器107へ送信する。例えば、プロセッサ201は、生体センサ103から取得したユーザの心拍数、体温及び酸素飽和度をPC機器107に送信する。送信されたユーザの生体情報は、PC機器107を介して上位サーバ108に送信される。
【0039】
プロセッサ201は、生体センサ103から取得した生体情報が補助記憶デバイス204に記憶される基準値の範囲外の場合、PC機器107に警告を通知する。例えば、プロセッサ201は、取得した心拍数、体温及び酸素飽和度が、補助記憶デバイス204に記憶される生体情報に対応する上限値と下限値の間の範囲外か否かを判定する。プロセッサ201は、取得した心拍数、体温及び酸素飽和度のいずれか1つでもそれぞれに対応する上限値と下限値の間の範囲外である場合、通信インターフェース205を介してPC機器107に警告を示す信号を送信する。PC機器107は、指紋認証装置100から警告を示す信号を受信した際、PC機器107が備える表示部に警告文を表示してユーザに生体情報の値が異常であることを報知する。これにより、ユーザは、生体情報に基づく自身の健康状態の異常を知ることができる。なお、PC機器107が警告を示す信号を受信した際の動作は、どのような動作であってもよい。
【0040】
プロセッサ201は、照合の結果をPC機器107に送信した際に、現在時刻をPC機器107から取得する。例えば、プロセッサ201は、補助記憶デバイス204に記憶されるID及びパスワードをPC機器107に送信した際に、PC機器107から通信インターフェース205を介して現在時刻を取得する。
【0041】
プロセッサ201は、ユーザから指紋を取得した取得時刻が、所定の時間帯に含まれるか否かを判定する。プロセッサ201は、PC機器107から取得した現在時刻が、補助記憶デバイス204に記憶された指紋情報取得時間帯に含まれるか否かを判定する。取得した現在時刻が生体情報取得時間帯に含まれる場合、取得した生体情報をPC機器107に送信する。つまり、プロセッサ201は、ユーザから指紋を取得した取得時刻が、所定の時間帯に含まれる場合、生体情報をPC機器107へ送信し、取得時刻が所定の時間帯に含まれない場合、生体情報をPC機器107に送信しない。これにより、生体情報収集システムAは、所定の時間帯に取得された生体情報を収集することができる。なお、指紋認証装置100は、現在時刻を管理する機能を備え、プロセッサ201は、指紋を取得した取得時間を指紋認証装置100が備える現在時刻を管理する機能から取得してもよい。
【0042】
生体情報を取得する時間帯は、生体情報収集システムAを管理する企業が予め決定し、上位サーバ108からPC機器107を介して指紋認証装置100の補助記憶デバイス204に予め記憶されるようになっている。
【0043】
また、プロセッサ201は、取得時刻が所定の時間帯に含まれない場合、生体情報をPC機器107に送信しない。この場合、PC機器107側で生体情報の取得時間になったら、PC機器107から指紋認証装置100に対して生体情報を取得するように指令を出すようにしてもよい。プロセッサ201は、この指令に基づいて、生体センサ103からユーザの生体情報を取得し、通信インターフェース205を介してPC機器107へ送信する。例えば、プロセッサ201は、PC機器107から取得した現在時刻が、補助記憶デバイス204に記憶された指紋情報取得時間帯に含まれない場合、PC機器107に命令を送信する。プロセッサ201は、現在時刻が指紋情報取得時間帯内になった際に、PC機器107が指紋認証装置100に生体情報を取得するよう要求するよう命令を送信する。プロセッサ201は、PC機器107からの要求を受けた際に、生体センサ103から生体情報を取得する。これにより、生体情報収集システムAは、指紋を取得した時間が所定の時間帯に含まれない場合であっても、生体情報を取得する指令によって所定の時間帯に生体情報を収集することができる。
【0044】
次に、
図4を用いて実施形態に係る指紋認証装置100の制御について説明する。
図4は、実施形態に係る指紋認証装置100のプロセッサ201が制御する動作フローの一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、プロセッサ201は、指紋センサ102からユーザの指紋を取得する(ST1)。プロセッサ201は、取得した指紋を、補助記憶デバイス204に記憶された指紋の特徴点情報と照合し、ユーザが登録者であるか否かを認証する(ST2)。プロセッサ201は、照合した結果が真か否かを判定する(ST3)。プロセッサ201は、照合した結果が偽である(真でない)場合(ST3、No)、制御を終了する。プロセッサ201は、照合した結果が真である場合(ST3、Yes)、照合した結果として補助記憶デバイス204に記憶されている登録者の管理情報であるIDとパスワードとをPC機器107に送信する(ST4)。
【0046】
次に、プロセッサ201は、生体センサ103からユーザの生体情報を取得する(ST5)。プロセッサ201は、取得した生体情報が補助記憶デバイス204に記憶される
図3に示す基準値の範囲内か(基準値より大きい又は小さいか)否かを判定する(ST6)。本実施形態では、基準値として上限値及び下限値の範囲を用いるため、プロセッサ201は、取得した生体情報が上限値及び下限値の範囲に含まれるかを判定する。取得した生体情報が上限値及び下限値の範囲外である場合(ST6、Yes)、プロセッサ201は、通信インターフェース205を介してPC機器107に警告を送信する(ST7)。
【0047】
次に、プロセッサ201は、PC機器107から現在時刻を取得する(ST8)。プロセッサ201は、取得した現在時刻は所定の時間帯(生体情報取得時間帯)内か否かを判定する(ST9)。取得した現在時刻が所定の時間帯内である場合(ST9、Yes)、プロセッサ201は、PC機器107に生体情報を送信し(ST13)、制御を終了する。取得した現在時刻が所定の時間帯内でない場合(ST9、No)、プロセッサ201は、現在時刻が所定の時間帯内になった際に再度生体情報を指紋認証装置100に要求するようPC機器107に命令する(ST10)。プロセッサ201は、PC機器107から生体情報の取得の要求が来たか否かを判定する(ST11)。PC機器107から要求が来ない場合(ST11、No)、プロセッサ201は、要求が来るまで処理を待機する。なお、ユーザはこの間、PC機器107を用いて企業の業務を遂行する。PC機器107から生体情報の取得の要求が来た場合(ST11、Yes)、プロセッサ201は、生体センサ103から生体情報を取得する(ST12)。プロセッサ201は、PC機器107に生体情報を送信し(ST13)、制御を終了する。
【0048】
なお、本実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
【0049】
上記したように、実施形態の指紋認証装置100は、指紋を読み取る指紋センサ102から取得したユーザの指紋と補助記憶デバイス204が記憶する特徴点情報とを照合し、照合の結果を通信インターフェース205を介してPC機器107に送信し、生体情報を取得する生体センサ103から取得したユーザの生体情報を通信インターフェース205を介してPC機器107へ送信する指紋認証方法によって指紋認証及び生体情報収集を実施する。
【0050】
また、上記したように、実施形態の指紋認証装置100は、PC機器107と、上位サーバ108と、を備える生体情報収集システムAを構成し、指紋認証装置100は、PC機器107と通信する通信インターフェース205と、指紋を読み取る指紋センサ102と、生体情報を取得する生体センサ103と、指紋認証に用いる指紋の特徴点情報及びユーザがPC機器にログインするための管理情報を記憶する補助記憶デバイス204と、指紋センサ102から取得したユーザの指紋と補助記憶デバイス204が記憶する特徴点情報とを照合し、照合の結果及び管理情報を通信インターフェース205によりPC機器107に送信し、照合の結果が真である場合、生体センサ103から取得したユーザの生体情報を通信インターフェース205を介してPC機器107へ送信するプロセッサ201と、を備え、PC機器107は、照合の結果及び指紋認証装置から送信された管理情報に基づいて、ユーザによるPC機器107の操作を許可するとともに、指紋認証装置100から送信された生体情報を上位サーバ108に送信し、上位サーバ108は、PC機器107から送信された生体情報を蓄積することによって生体情報収集システムAを実現する。
【0051】
実施形態によれば、指紋認証装置は、指紋センサから指紋を読み取り、読み取った指紋を認証し、生体センサから生体情報を取得し、照合の結果と生体情報とを外部機器に送信する。これにより、指紋認証装置は、ユーザが指紋を認証する動作と合わせて生体情報を取得することで、ユーザの能動的な動作を必要とせず受動的な動作で容易に生体情報を取得することができる。また、指紋認証装置がPCログイン等ある程度決まった時間に指紋認証を行う際に生体情報を取得することで、ユーザの任意の時間ではなく、おおよそ揃った時間帯に生体情報を取得することができる。
【0052】
また、指紋認証装置は、生体センサとして脈波センサを用いて生体情報を取得する。これにより、指紋認証装置は、指紋認証の動作に合わせて心拍数及び酸素飽和度を取得することで、ストレスなどの心因的な健康情報の変化を容易に検出することができる。また、指紋認証装置は、生体センサとして温度センサを用いて生体情報を取得する。これにより、指紋認証装置は、指紋認証の動作に合わせて体温を取得することで、発熱などの肉体的な健康状態の変化を容易に検出することができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
100 指紋認証装置
101 接続用電気端子
102 指紋センサ
103 生体センサ
104 筐体
105 基板
106 制御部
107 PC機器
108 上位サーバ
201 プロセッサ
202 ROM
203 RAM
204 補助記憶デバイス
205 通信インターフェース
206 センサインターフェース