(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080888
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20230602BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20230602BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20230602BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230602BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/225 700
G03B30/00
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194439
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
【テーマコード(参考)】
2H100
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H100AA31
2H100BB06
2H100EE02
2K005AA20
2K005BA52
2K005CA04
2K005CA22
2K005CA53
5C122EA05
5C122EA54
5C122FB03
5C122GE05
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】光学モジュールを有する可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットにおいて、揺動範囲を狭くすることなく光軸方向の厚みを薄くする。
【解決手段】光学モジュール22を有する可動体20と、側壁10b、10c、10e及び10fと底壁10Bとを有する固定体10と、可動体20を固定体10に対して揺動可能に支持する揺動支持機構30と、側壁10b、10c、10e及び10fに配置されるコイル11と、可動体20におけるコイル11と対向する位置に配置される磁石21と、を有する駆動機構41と、を備え、底壁10Bにおける磁石21と対向する側の一部には、底壁10Bの耐衝撃性を向上させる補強部51が設けられ、可動体20を固定体10に対して最大限揺動させた際に、磁石21と補強部51とが、直接、衝突する構成となっていることを特徴とする光学ユニット1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを有する可動体と、
前記光学モジュールの光軸方向と交差する周囲方向において前記光学モジュールに対向する側壁と、前記光軸方向における被写体側とは反対側において前記光学モジュールに対向する底壁と、を有する固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して前記光軸方向と交差する方向を揺動軸として揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記側壁に配置されるコイルと、前記可動体における前記コイルと対向する位置に配置される磁石と、を有する駆動機構と、
を備え、
前記底壁における前記磁石と対向する側の一部には、前記底壁の耐衝撃性を向上させる補強部が設けられ、
前記可動体を前記固定体に対して最大限揺動させた際に、前記磁石と前記補強部とが、直接、衝突する構成となっていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記補強部は、樹脂製であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記補強部は、前記底壁と一体的に構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記補強部は、前記底壁と別部材で構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動体は、前記光軸方向から見て矩形であり、
前記磁石は、前記光軸方向から見て前記可動体の対角線とオーバーラップする位置とは異なる位置に設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な光学ユニットが使用されている。このうち、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、光学モジュールを備える可動体を固定体である下ケースに対して揺動可能に支持する光学ユニットであって、下ケースに対する可動体の衝突に備えて、可動体に補強板を有する光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光学ユニットのように可動体に補強部を備えることで、可動体と固定体とが衝突した際に可動体及び固定体が損傷することを抑制できる。しかしながら、このような構成とすると、底壁である下ケースも厚く頑丈にする必要があるため、光学ユニットの光軸方向における厚みが厚くなる傾向があった。一方、光学ユニットの光軸方向における厚みを薄くするために光軸方向における可動体と固定体との間隔を狭くすると、可動体の固定体に対する可動範囲(揺動範囲)が狭くなる。そこで、本発明は、光学モジュールを有する可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットにおいて、揺動範囲を狭くすることなく光軸方向の厚みを薄くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを有する可動体と、前記光学モジュールの光軸方向と交差する周囲方向において前記光学モジュールに対向する側壁と、前記光軸方向における被写体側とは反対側において前記光学モジュールに対向する底壁と、を有する固定体と、前記可動体を前記固定体に対して前記光軸方向と交差する方向を揺動軸として揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記側壁に配置されるコイルと、前記可動体における前記コイルと対向する位置に配置される磁石と、を有する駆動機構と、を備え、前記底壁における前記磁石と対向する側の一部には、前記底壁の耐衝撃性を向上させる補強部が設けられ、前記可動体を前記固定体に対して最大限揺動させた際に、前記磁石と前記補強部とが、直接、衝突する構成となっていることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、底壁における磁石と対向する側の一部には、底壁の耐衝撃性を向上させる補強部が設けられる。このため、補強部により、可動体と固定体とが衝突した際に可動体及び固定体が損傷することを抑制できる。また、補強部が底壁における磁石と対向する側の一部に設けられることで、底壁全体を厚く構成する必要性をなくし、底壁を薄く構成できるので、光学ユニット全体の光軸方向における厚みを薄くすることができる。また、本態様によれば、可動体を固定体に対して最大限揺動させた際に、磁石と補強部とが、直接、衝突する構成となっている。このように、可動体に補強部が形成されていないことで、光軸方向における磁石と補強部との間隔、すなわち、光軸方向における可動体と固定体との間隔が狭くなりすぎないようにすることができ、揺動範囲が狭くなることを抑制することができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記補強部を樹脂製とすることができる。このような構成とすることで、補強部が固すぎて磁石と補強部とが衝突した際に磁石が破損したり磁石が可動体から外れたりすることを抑制することができる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記補強部は、前記底壁と一体的に構成されていてもよい。このような構成とすることで、補強部を底壁とともに同時に形成することができ、補強部を簡単に底壁に形成することができる。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記補強部は、前記底壁と別部材で構成されていてもよい。このような構成とすることで、補強部と底壁との各々を、各々に求められる特性に応じて、最適な材料で形成することができる。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記可動体は、前記光軸方向から見て矩形であり、前記磁石は、前記光軸方向から見て前記可動体の対角線とオーバーラップする位置とは異なる位置に設けられている構成とすることができる。光軸方向から見た場合における可動体の角部は中心からの距離が遠くなる。このため、可動体の角部と底壁との間隔と、可動体の辺に対応する部分と底壁との間隔と、が同じ場合、可動体の回動可能範囲は、可動体の角部と底壁とが接触する方向を揺動軸とする場合、すなわち、可動体の対角線とオーバーラップする位置に磁石が設けられる場合が一番狭くなる。したがって、可動体の角部と底壁との間隔を、可動体の辺に対応する部分と底壁との間隔よりも広くすることで、可動体の回動可能範囲を効果的に広くすることができる。別の表現をすると、可動体の対角線とオーバーラップする位置とは異なる位置に補強部を配置することで、磁石と補強部とが接触するまでの可動体の固定体に対する可動範囲を広くすることができる。したがって、特に効果的に、可動体の固定体に対する揺動範囲を狭くすることなく光学ユニットの光軸方向の厚みを薄くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
光学モジュールを有する可動体を固定体に対して揺動可能に支持する本発明の光学ユニットは、揺動範囲を狭くすることなく光軸方向の厚みを薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1に係る光学ユニットの分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る光学ユニットの平面透視図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る光学ユニットの正面断面図である。
【
図4】本発明の実施例2に係る光学ユニットの正面断面図である。
【
図5】参考例に係る光学ユニットの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。なお、各図において、X軸、Y軸及びZ軸は各々直行する方向であり、+X方向及び-X方向に見た図を側面図、-Y方向に見た図を正面図、+Y方向に見た図を背面図、-Z方向に見た図を平面図、+Z方向に見た図を底面図とする。また、X軸方向はヨーイング軸方向に対応し、Y軸方向はピッチング軸方向に対応し、Z軸方向は光軸方向に対応するとともにローリング軸方向に対応する。
【0014】
[実施例1]
最初に、本発明の光学ユニット1として、実施例1に係る光学ユニット1Aについて
図1から
図3用いて説明する。詳細は下記で説明するように、本実施例の光学ユニット1Aは、光学モジュール22を備える可動体20と、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する周囲方向において可動体20を囲む固定体10と、を備えている。また、本実施例の光学ユニット1Aは、可動体20を固定体10に対して光軸方向と交差する方向(X軸方向及びY軸方向)を揺動軸として揺動可能に支持する揺動支持機構としてのジンバル機構30を備えている。さらに、本実施例の光学ユニット1Aは、固定体10に配置されるコイル11(コイル11A及び11B)と可動体20におけるコイル11と対向する位置に配置される磁石21(磁石21A及び21B)とを有する駆動機構41を備えている。
【0015】
<光学ユニットの全体構成>
最初に、本実施例の光学ユニット1Aの全体構成について
図1及び
図2を用いて説明する。本実施例の光学ユニット1Aは、カメラやスマートフォンなどにおいて好ましく使用可能である。本実施例の光学ユニット1Aは、コンパクトに構成でき、カメラやスマートフォンをコンパクト構成できるためである。ただし、本実施例の光学ユニット1Aは、カメラやスマートフォンに限定されず、特に用途を限定することなく様々な装置に使用可能である。
【0016】
図1で表されるように、本実施例の光学ユニット1Aは、レンズ等が設けられる光学モジュール22を備える可動体20を備えている。また、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する周囲方向において可動体20を囲むケース部10Aと、可動体20がケース部10Aに収容された状態で-Z方向からケース部10Aを覆うことが可能な底壁10Bと、を備える固定体10を備えている。また、可動体20と固定体10との間において、バネ性を有するジンバルフレーム部31を有し、可動体20を固定体10に対してX軸方向及びY軸方向を揺動軸として揺動可能に支持する、ジンバル機構30を備えている。さらに、固定体10に対して可動体20を揺動させる駆動機構41を備えている。
【0017】
<可動体>
図1及び
図2で表されるように、可動体20は、略直方体をしている。光学モジュール22は、上面部20a、下面部20d、X軸方向における両側の側面部20b及び20e、並びに、Y軸方向における両側の側面部20c及び20f、により可動体20の内部に保持されており、可動体20の+Z方向の面である上面部20aからレンズが突出した状態となるように配置されている。また、X軸方向における可動体20の両側の側面部20b及び20eには、駆動機構41を構成する磁石21Aが設けられている。また、Y軸方向における可動体20の両側の側面部20c及び20fには、駆動機構41を構成する磁石21Bが設けられている。ここで、磁石21A及び磁石21Bは、いずれも、同様の構成である。
【0018】
<固定体>
図1及び
図2で表されるように、固定体10は、略直方体をしており、ケース部10Aが上面部10a、X軸方向における両側の側面部10b及び10e、並びに、Y軸方向における両側の側面部10c及び10fを構成し、底壁10Bが下面部10dを構成している。固定体10は、可動体20をZ軸方向から上面部10aと下面部10dとで囲み、可動体20をX軸方向から側面部10b及び10eで囲むとともに可動体20をY軸方向から側面部10c及び10fで囲む。ここで、固定体10の+Z方向の面である上面部10aには、光学モジュール22のレンズを通す孔部12が設けられている。
【0019】
また、固定体10のX軸方向における両側の側面部10b及び10eにおける内側の面には、駆動機構41を構成するコイル11Aが設けられている。また、固定体10のY軸方向における両側の側面部10c及び10fにおける内側の面には、駆動機構41を構成するコイル11Bが設けられている。コイル11Aは磁石21Aと対向する位置に配置され、コイル11Bは磁石21Bと対向する位置に配置されている。ここで、コイル11A及びコイル11Bは、いずれも、同様の構成である。
【0020】
<ジンバル機構>
図1で表されるように、ジンバル機構30は、光学モジュール22を通す円形の孔部33を有し外形が矩形のジンバルフレーム部31と、可動体20及び固定体10との接続部32と、を有している。接続部32は矩形のジンバルフレーム部31の4角に形成されており、このうち対角線上の2つの接続部32は可動体20に対して揺動可能に接続されており、別の対角線上の2つの接続部32は固定体10に対して揺動可能に接続されている。なお、ジンバル機構30としては、従来から光学ユニットに使用される一般的なジンバル機構を特に限定なく使用することができる。なお、本実施例の光学ユニット1Aは、ジンバル機構30により、固定体10に対して可動体20をヨーイング軸方向及びピッチング軸方向に揺動可能な構成であるが、さらに、固定体10に対して可動体20をローリング方向に揺動可能な固定体10に対する可動体20の支持部を設けていてもよい。なお、
図2では、ジンバル機構30は省略されている。
【0021】
<駆動機構>
次に、駆動機構41について説明するが、上記のようにコイル11Aとコイル11Bとは同様の構成であるとともに磁石21Aと磁石21Bとは同様の構成である。このため、下記の説明は、X軸方向とY軸方向とを読み替えて、コイル11Bと磁石21Bとで構成される駆動機構41(ヨーイング軸揺動機構)の説明とみなすことができる。
【0022】
図1及び
図2で表されるように、駆動機構41は、コイル11Aと磁石21Aとからなるピッチング軸揺動機構と、コイル11Bと磁石21Bとからなるヨーイング軸揺動機構と、を有している。ただし、このような構成に限定されず、ピッチング軸揺動機構とヨーイング軸揺動機構とのうちのいずれか1方のみを備える構成としてもよい。また、本実施例の駆動機構41はピッチング軸揺動機構(コイル11Aと磁石21Aとの対)とヨーイング軸揺動機構(コイル11Bと磁石21Bとの対)とを2つずつ有する構成であるが、ピッチング軸揺動機構とヨーイング軸揺動機構とを1つずつ或いは3つずつ以上有する構成としてもよい。さらに、固定体10に対して可動体20をローリング方向に揺動可能な固定体10に対する可動体20の支持部を設け、コイル11と磁石21との対で構成されるローリング軸揺動機構を設けていてもよい。
【0023】
<補強部>
図1及び
図2で表されるように、底壁10Bの+Z方向側には4つの補強部51(補強部51A)が設けられている。補強部51は、固定体10に対して可動体20がヨーイング軸方向及びピッチング軸方向に最大限揺動した際に、可動体20が底壁10Bに衝突することにより底壁10Bが変形するなど損傷することを抑制するための構成部材である。
【0024】
そこで、以下に、本実施例の光学ユニット1Aの要部である補強部51について、
図1及び
図2に加え、
図3を参照して説明する。なお、下記の
図3を参照しての本実施例の補強部51Aの説明においては、本実施例の光学ユニット1Aの図である
図3に対応する参考例の光学ユニット100の図である
図5も参照して説明する。
【0025】
各々の補強部51Aは、
図3で表されるようにZ軸方向において磁石21と略対向する位置に配置され、固定体10に対して可動体20がヨーイング軸方向及びピッチング軸方向に最大限揺動した際に、磁石21と接触する位置に設けられている。別の表現をすると、固定体10に対して可動体20がヨーイング軸方向及びピッチング軸方向に最大限揺動した際に、可動体20の磁石21以外の部分は、各々の補強部51Aを含め底壁10Bには衝突しないように構成されている。
【0026】
図3で表されるように、本実施例の光学ユニット1Aにおいては、補強部51Aと磁石21との間には他の構成部材が設けられていない。補強部51Aと磁石21との隙間Gは、固定体10に対する可動体20の好ましい揺動範囲に合わせて設定することができる。固定体10に対して可動体20が最大限揺動した場合、底壁10B(補強部51A)と磁石21とは衝突する。しかしながら、底壁10Bと磁石21とが衝突しても、磁石21の衝突先は補強部51Aなので、
図3で表される厚みT1のように底壁10Bを薄くしても底壁10Bが変形するなど損傷することはない。
【0027】
これに対し、
図5で表されるように、参考例の光学ユニット100においては、本実施例の光学ユニット1Aと同様、補強部51Cと磁石21との間には他の構成部材が設けられていないものの、補強部51Cが可動体20側(磁石21の下部)に設けられている。このような構成である場合、固定体10に対して可動体20が最大限揺動して底壁10Bと可動体20(補強部51C)とが衝突すると、底壁10Bを薄く構成すると底壁10Bが変形して損傷する虞がある。そこで、
図5で表される厚みT2のように、底壁10Bを厚く構成する必要がある。底壁10Bを厚く構成すると、光学ユニット全体のZ軸方向の厚みが大きくなってしまう。
【0028】
なお、当然のことながら、可動体20の磁石21の下部(-Z方向側の位置)以外の部分に補強部51を設ける構成など、磁石21以外の部分が底壁10Bに衝突する構成としても底壁10Bを厚く構成する必要がある。また、例えば、底壁10B及び可動体20の両方に補強部51が形成される構成とするなど、可動体20に補強部51が形成される構成とすることで、光軸方向における磁石21と補強部51との間隔G、すなわち、光軸方向における可動体20と固定体10との間隔が狭くなりすぎる場合がある。光軸方向における可動体20と固定体10との間隔が狭くなりすぎると、可動体20の固定体10に対する揺動可能範囲が狭くなる。
【0029】
ここで一旦まとめると、本実施例の光学ユニット1Aは、光学モジュール22を有する可動体20を備えている。また、本実施例の光学ユニット1Aは、光学モジュール22の光軸方向と交差する周囲方向において光学モジュール22に対向する側壁である側面部10b、10c、10e及び10fを有する10Aケース部と、光軸方向における被写体側とは反対側(-Z方向側)において光学モジュール22に対向する底壁10Bと、を有する固定体10を備えている。また、本実施例の光学ユニット1Aは、可動体20を固定体10に対して光軸方向と交差する方向(ヨーイング軸方向及びピッチング軸方向)を揺動軸として揺動可能に支持する揺動支持機構としてのジンバル機構30を備えている。さらに、本実施例の光学ユニット1Aは、側面部10b、10c、10e及び10fに配置されるコイル11と、可動体20におけるコイル11と対向する位置に配置される磁石21と、を有する駆動機構41を備えている。ここで、上記のように、底壁10Bにおける磁石21と対向する側の一部には、底壁10Bの耐衝撃性を向上させる補強部51が設けられ、可動体20を固定体10に対して最大限揺動させた際に、磁石21と補強部51とが、直接、衝突する構成となっている。
【0030】
このように、本実施例の光学ユニット1Aには、底壁10Bにおける磁石21と対向する側の一部に、底壁10Bの耐衝撃性を向上させる補強部51が設けられるので、該補強部51により、可動体20と固定体10とが衝突した際に可動体20及び固定体10が損傷することを抑制することができる。また、本実施例の光学ユニット1Aは、補強部51が底壁10Bにおける磁石21と対向する側の一部に設けられることで、底壁10B全体を厚く構成する必要性をなくしている。このため、底壁10Bを薄く構成でき、光学ユニット1A全体の光軸方向における厚みを薄くすることができている。また、本実施例の光学ユニット1Aは、可動体20を固定体10に対して最大限揺動させた際に、磁石21と補強部51とが、直接、衝突する構成となっている。このように、可動体20に補強部51が形成されていないことで、光軸方向における磁石と補強部との間隔G、すなわち、光軸方向における可動体20と固定体10との間隔が狭くなりすぎないようにすることができ、揺動範囲が狭くなることを抑制することができる。
【0031】
ここで、本実施例の光学ユニット1Aにおいては、各々の補強部51Aを樹脂製としている。このように、補強部51を樹脂で構成することで、補強部51が固すぎて磁石21と補強部51とが衝突した際に磁石21が破損したり磁石21が可動体20から外れたりすることを抑制することができる。ただし、このような構成に限定されず、補強部51を樹脂以外の材料を用いて構成してもよい。
【0032】
また、
図2で表されるように、本実施例の光学ユニット1Aにおいては、可動体20は光軸方向から見て矩形であり、磁石21は光軸方向から見て可動体20の対角線L1とオーバーラップしない位置に設けられている。光軸方向から見た場合における可動体20の角部20hは中心20iからの距離が遠くなる。このため、可動体20の角部20hと底壁10Bとの間隔Gと、可動体20の辺に対応する部分(側面部10b、10c、10e及び10f)と底壁10Bとの間隔Gと、が同じ場合、可動体20の回動可能範囲は、可動体20の角部20hと底壁10Bとが接触する方向を揺動軸とする場合、すなわち、可動体20の対角線とオーバーラップする位置に磁石21が設けられる場合が一番狭くなる。したがって、可動体20の角部20hと底壁10Bとの間隔Gを、可動体20の辺に対応する部分と底壁10Bとの間隔Gよりも広くすることで、可動体20の回動可能範囲を効果的に広くすることができる。別の表現をすると、可動体20の対角線L1とオーバーラップする位置とは異なる位置に補強部51を配置することで、磁石21と補強部51とが接触するまでの可動体20の固定体10に対する可動範囲を広くすることができる。したがって、本実施例の光学ユニット1Aにおいては、特に効果的に、可動体20の固定体10に対する揺動範囲を狭くすることなく光学ユニット1Aの光軸方向の厚みを薄くすることができている。
【0033】
また、本実施例の光学ユニット1Aにおいては、各々の補強部51Aは樹脂で構成され、底壁10Bは補強部51Aを構成する樹脂とは別の種類の樹脂で構成されている。すなわち、本実施例の光学ユニット1Aにおいては、
図3で表されるように、各々の補強部51Aは、底壁10Bと別部材で構成されている。このように、補強部51と底壁10Bとを別部材で構成することで、補強部51と底壁10Bとの各々を、各々に求められる特性に応じて、最適な材料で形成することができる。ただし、このような構成に限定されない。例えば、補強部51を金属など樹脂以外で構成してもよいし、底壁10Bを金属や補強部51と同じ樹脂で構成してもよい。
【0034】
[実施例2]
次に、本発明の光学ユニット1としての実施例2の光学ユニット1Bについて
図4を用いて説明する。ここで、
図4は本実施例の光学ユニット1Bの正面断面図であり、実施例1の光学ユニット1Aにおける
図3に対応する図である。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1Bは、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の光学ユニット1Aと同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の光学ユニット1Aと同様の技術的特徴を有する。
【0035】
図3で表されるように、実施例1の光学ユニット1Aにおいては、補強部51Aが底壁10Bと別部材で構成されていた。一方、
図4で表されるように、本実施例の光学ユニット1Bにおいては、補強部51Bは、底壁10Bと一体的に構成されている。このような構成とすることで、補強部51を底壁10Bとともに同時に形成することができ、補強部51を簡単に底壁10Bに形成することができる。
【0036】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…光学ユニット、1A…光学ユニット、1B…光学ユニット、10…固定体、10a…上面部、10b…側面部(側壁)、10c…側面部(側壁)、10d…下面部、10e…側面部(側壁)、10f…側面部(側壁)、10A…ケース部、10B…底壁、11A…コイル、11B…コイル、12…孔部、20…可動体、20a…上面部、20b…側面部、20c…側面部、20d…下面部、20e…側面部、20f…側面部、20h…角部、20i…中心、21A…磁石、21B…磁石、22…光学モジュール、30…ジンバル機構(揺動支持機構)、31…ジンバルフレーム部、32…接続部、33…孔部、41…駆動機構、51…補強部、51A…補強部、51B…補強部、51C…補強部、100…光学ユニット、G…隙間