(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080951
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】携帯端末収納具
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20230602BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20230602BHJP
B62B 5/00 20060101ALN20230602BHJP
【FI】
G06F1/16 313B
G07G1/00 301Z
B62B5/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194542
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】392025238
【氏名又は名称】株式会社サンエイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中筋 保
【テーマコード(参考)】
3D050
3E142
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3E142CA17
3E142GA17
3E142GA22
(57)【要約】
【課題】手帳型の端末ケースに収納された携帯端末を、端末ケースから取り外すことなく収納可能でありかつ利便性の高い携帯端末収納具を提供する。
【解決手段】携帯端末Tの背面側に位置する背壁部11と、左右方向に互いに対向して配置された左側壁部23及び右側壁部12,22と、左側壁部23と右側壁部12,22との間に設けられた底壁部13,24と、背壁部11と対向するように設けられかつ携帯端末Tの画面が露出するように一部が開放された前壁部21と、前壁部21側から見たときに、背壁部11から左右方向の一方側に延びる延出部62と、を備え、左側壁部23及び右側壁部12,22の少なくとも一方側の壁部は、背壁部11との間に隙間Sが形成されるように、背壁部11に対して離間している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を収納する収納部を有する携帯端末収納具であって、
前記携帯端末の背面側に位置する背壁部と、
左右方向に互いに対向して配置された左側壁部及び右側壁部と、
前記左側壁部と前記右側壁部との間に設けられた底壁部と、
前記背壁部と対向するように設けられかつ前記携帯端末の画面が露出するように一部が開放された前壁部と、
前記前壁部側から見たときに、前記背壁部から左右方向の一方側に延びる延出部と、を備え、
前記背壁部、前記左側壁部、前記右側壁部、前記底壁部、及び前記前壁部により、前記収納部が形成され、
前記左側壁部及び前記右側壁部の少なくとも前記一方側の壁部は、前記背壁部との間に隙間が形成されるように、該背壁部に対して離間していることを特徴とする携帯端末収納具。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末収納具において、
前記延出部に設けられ、前記左側壁部及び前記右側壁部の前記一方側の壁部と離間した状態で、前記前壁部側に突出する突出部を更に備えることを特徴とする携帯端末収納具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯端末収納具において、
前記延出部は、前記背壁部に対する延出量を調整可能に構成されていることを特徴とする携帯端末収納具。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯端末収納具において、
前記延出部は、前記背壁部とは別部材で構成されているとともに、該別部材に設けられた取付部を介して前記背壁部に対して着脱可能であり、
前記背壁部における前記前壁部とは反対側の面には、該反対側に突出するガイドピンが設けられており、
前記取付部には、前記ガイドピンと係合する複数のガイド孔が左右方向に並んで形成されていることを特徴とする携帯端末収納具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、携帯端末収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯端末を収納する携帯端末収納具が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、携帯端末の第1面が当接可能な左側面当接部と、左側面当接部と対向し、左側面当接部が有する携帯端末との当接面に対して進退可能であって、左側面当接部との間で携帯端末を挟持する、可動保持部と、を備える、携帯端末保持具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、顧客が所有する携帯端末は、手帳型の端末ケースに収納されていることが多くある。特許文献1に記載の携帯端末保持具は、携帯端末が手帳型の端末ケースに収納されていない状態で携帯端末を保持することを想定しているため、携帯端末を一度端末ケースから外して、保持させる必要があり面倒である。
【0006】
また、手帳型の端末ケースには、カードホルダが設けられていることがほとんどであり、ショッピングでは、カードホルダに収納したポイントカードやプリペイドカードを取り出しやすくしたいという要求がある。
【0007】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、手帳型の端末ケースに収納された携帯端末を、端末ケースから取り外すことなく収納可能でありかつ利便性の高い携帯端末収納具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、携帯端末を収納する収納部を有する携帯端末収納具を対象として前記携帯端末の背面側に位置する背壁部と、左右方向に互いに対向して配置された左側壁部及び右側壁部と、前記左側壁部と前記右側壁部との間に設けられた底壁部と、前記背壁部と対向するように設けられかつ前記携帯端末の画面が露出するように一部が開放された前壁部と、前記前壁部側から見たときに、前記背壁部から左右方向の一方側に延びる延出部と、を備え、前記背壁部、前記左側壁部、前記右側壁部、前記底壁部、及び前記前壁部により、前記収納部が形成され、前記左側壁部及び前記右側壁部の少なくとも前記一方側の壁部は、前記背壁部との間に隙間が形成されるように、該背壁部に対して離間している。
【0009】
この構成によると、手帳型の端末ケースに携帯端末を収納した状態で、端末ケースにおける携帯端末が収納される端末部を収納部に収納し、端末ケースにおける携帯端末を覆う端末カバー部を、隙間を介して収納部の外に出すことができる。よって、手帳型の端末ケースに収納された携帯端末を、端末ケースから取り外すことなく収納することができる。
【0010】
また、延出部で端末カバー部を支持することで、端末カバー部が下に垂れるのを抑制することができ、ショッピングカートのかご等に物品を入れる際にカバー部が邪魔になるのを抑制することができる。これにより、利便性の高い携帯端末収納具とすることができる。
【0011】
前記携帯端末収納具において、前記延出部に設けられ、前記左側壁部及び前記右側壁部の前記一方側の壁部と離間した状態で、前記前壁部側に突出する突出部を更に備える、という構成でもよい。
【0012】
この構成によると、端末ケースの端末カバー部を突出部に立てかけることができる。これにより、端末ケースの左右の広がりを小さくすることができ、収納状態をコンパクトにすることができる。これにより、物品の出し入れが容易になり、利便性がより向上される。
【0013】
前記携帯端末収納具の一実施形態では、前記延出部は、前記背壁部に対する延出量を調整可能に構成されている。
【0014】
すなわち、携帯端末には種々の大きさのものがあり、端末ケースもそれに応じて種々の大きさのものがある。このため、延出部の背壁部に対する延出量を調整することができれば、種々の大きさの端末ケースに対応可能である。
【0015】
前記一実施形態において、前記延出部は、前記背壁部とは別部材で構成されているとともに、該別部材に設けられた取付部を介して前記背壁部に対して着脱可能であり、前記背壁部における前記前壁部とは反対側の面には、該反対側に突出するガイドピンが設けられており、前記取付部には、前記ガイドピンと係合する複数のガイド孔が左右方向に並んで形成されている、という構成でもよい。
【0016】
この構成により、延出部と背壁部とが別体になっていたとしても、延出部の背壁部に対する位置決めを容易にすることができる。また、ガイド孔が左右に並んで形成されていることで、ガイドピンと係合させるガイド孔を選択することで、延出部の背壁部に対する延出量を調整することができる。これにより、利便性がより向上される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、手帳型の端末ケースに収納された携帯端末を、端末ケースから取り外すことなく収納可能でありかつ利便性の高い携帯端末収納具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態に係る携帯端末収納具を有するスタンドを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、携帯端末収納具の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、携帯端末収納具の左側側面図である。
【
図6】
図6は、携帯端末収納具の右側側面図である。
【
図11】
図11は、携帯端末収納具を背面側から見た斜視図であり、支持部材を取り外した状態を示す。
【
図12】
図12は、手帳型ケースに収納された状態の携帯端末を収納した状態を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、手帳型ケースに収納された状態の携帯端末を収納した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る携帯端末収納具1(以下、端末収納具1という)を備えたスタンド装置100を示す。スタンド装置100は、端末収納具1にスマートフォンなどのタブレット型の携帯端末Tを収納した状態で、ショッピングカートの持ち手や、キャリーの持ち手等の軸状部材Pに取り付けられる。
【0021】
スタンド装置100は、一端部に端末収納具1が取り付けられる支柱101と、支柱101における他端部に設けられ、ショッピングカート等の持ち手等の軸状部材Pを挟持するクランパ102とを有する。
【0022】
支柱101は、軸状部材Pと直交する方向に延びるように設けられる。支柱101は、断面U字状に折り曲げられた2つの鋼板を、U字開口が向き合った状態で溶接して構成されている。詳細な図示は省略するが、支柱101の上側端部は、左右方向に広がるとともに、上側に向かって斜めに傾斜した面状部分となっている。端末収納具1は、該面状部分にネジによって締結される。
【0023】
クランパ102は、複数のネジで結合される一対の挟持部材102aで構成されている。一対の挟持部材102aは、上下方向に対向するように配置され、軸状部材Pを上下方向に挟持する。各挟持部材102aの下面部には、左右方向に延びる嵌合溝が形成されている。該嵌合溝は、前記持ち手の一部が嵌合する溝であって、断面円弧状に形成されている。嵌合溝の曲率は、スタンド装置100が前記持ち手に取り付けられていない状態では、軸状部材Pの外周の曲率よりも小さい。嵌合溝の曲率は、スタンド装置100が軸状部材Pに取り付けられた状態では、挟持部材102aが前記ネジの締結方向にしなることで、軸状部材Pの外周の曲率と略同じになる。
【0024】
図2~
図9は、それぞれ端末収納具1の構造を示す図である。端末収納具1は、樹脂で形成されている。以下の説明では、端末収納具1に携帯端末Tを収納した状態で、携帯端末Tの厚み方向に相当する方向を面方向といい、面方向における携帯端末Tの画面が位置する側を前面側といい、面方向における前面側と対向する側を背面側という。左右方向については、前面側から後面側を見たときの左側を左側といい、右側を右側という。また、面方向と左右方向とに直交する方向を所定方向といい、携帯端末Tを収納した状態で、所定方向における携帯端末Tの底面が位置する側を底面側といい、所定方向における底面側と対向する側を上面側という。
【0025】
図2及び
図3に示すように、端末収納具1の収納部3は、背面側に位置するベース部10と、ベース部10を前面側から覆うように該ベース部10に組み付けられるカバー部20と、を組み合わせて形成される。カバー部20は、ベース部10に対して着脱可能に取り付けられる。
【0026】
ベース部10は、背面側に位置しかつ平板状をなす背壁部11と、背壁部11の右側端部と平行に延びかつ所定方向に広がるベース側右側壁部12と、背壁部11における底面側の端部付近に形成されたベース側底壁部13と、を有する。
【0027】
背壁部11の上面側の端部は、左右方向に真っ直ぐに延びている。
図5に示すように、背壁部11の上面側の端部は、背面側の部分については所定方向に真っ直ぐに延びている一方で、前面側の部分については、上面側に向かって背面側に傾斜して延びる上側傾斜面11aとなっている。背壁部11の所定方向の長さは、収納部3にカメラ付き携帯端末が収納されたときに、カメラのレンズを背壁部11で覆うことがない程度の長さに設定されている。
【0028】
背壁部11の左側端部は、所定方向に真っ直ぐに延びている。
図4及び
図7示すように、背壁部11の左側端部には、左側に向かって背面側に傾斜した左側傾斜面11bが設けられている。
【0029】
図3に示すように、背壁部11の前面側の部分には、後述するバネ部材30を配置するための凹部16が設けられている。凹部16には、ネジを挿通させるための複数の(ここでは4つの)ネジ挿通孔17が形成されている。また、凹部16には、バネ部材30の一部と係合するバネ用係合孔18が設けられている。
【0030】
詳しくは後述するが、背壁部11の背面側の部分には支持部材60を取り付ける際のガイドになるガイドピン19(
図11参照)が、所定方向に離間して一対設けられている。
【0031】
ベース側右側壁部12は、右側面に、右側に向かって突出する2つの右側係合爪14が設けられている。右側係合爪14は、カバー部20の後述する右側係合孔25とそれぞれ係合する。ベース側右側壁部12は、上面側の部分に、ベース部10にカバー部20を取り付ける際のガイドとなるガイド部15が設けられている。
【0032】
ベース側右側壁部12と背壁部11との間には、所定方向における右側係合爪14と対応する位置に、ベース部10にカバー部20を取り付ける際のガイドとなるガイド溝12aがそれぞれ設けられている。ガイド溝12aは、カバー部20の後述する突起26がそれぞれ挿入される溝である。
【0033】
ベース側底壁部13は、ベース側右側壁部12の底面側の端部から背壁部11の底面側の端部に沿って延びている。ベース側底壁部13には、複数の第1貫通孔13aが形成されている。第1貫通孔13aは、ベース側底壁部13の右側端部及び左右方向の中央付近にそれぞれ形成されている。これらの第1貫通孔13aは、収納部3内にほこりが溜まることを抑制するためのほこり取り用の孔部である。
【0034】
ベース側底壁部13には、複数(ここでは2つ)の底面側係合部13bが設けられている。底面側係合部13bは、カバー部20の後述する突起27と係合する。
【0035】
カバー部20は、背壁部11と面方向に対向して広がる前壁部21と、ベース側右側壁部12を右側から覆うように形成されたカバー側右側壁部22と、背壁部11の左側端部と平行に所定方向に延びる左側壁部23と、ベース側底壁部13を底面側から覆うように形成されたカバー側底壁部24と、を有する。
【0036】
図4に示すように、前壁部21は、左右方向の中央が面方向に開放されている。前壁部21は、左右に分離された左側前壁部21a及び右側前壁部21b、並びに、左側前壁部21aと右側前壁部21bとを連結する連結部21cを有する。左側前壁部21aは、前面側から見て、底面側に向かって段階的に右側に突出する階段状をなしている。右側前壁部21bは、前面側から見て、底面側に向かって段階的に左側に突出する階段状をなしている。これにより、左側及び右側前壁部21a,21bは、上面側の部分よりも底部側の部分の方が左右方向の幅が大きくなっている。連結部21cは、左側前壁部21aの右側かつ底面側の端部と右側前壁部21bの左側かつ底面側の端部とを連結する。これにより、左側前壁部21aと右側前壁部21bとの間の位置は出来る限り所定方向に開放された状態となる。このため、ホームボタンが設けられておらず、画面の略全体が操作部となっている携帯端末Tであっても、収納部3に携帯端末Tを収納した状態で操作が可能になる。
【0037】
図3及び
図6に示すように、カバー側右側壁部22は、右側係合爪14に対応する位置に右側係合孔25がそれぞれ設けられている。また、カバー側右側壁部22は、所定方向における右側係合孔25位置に、背面側に向かって突出する2つの突起26をそれぞれ有する。各突起26は、カバー部20をベース部10に取り付ける際に、ベース部10のガイド溝12aに挿入される。
【0038】
左側壁部23は、
図7に示すように、左側前壁部21aと直交するように面方向及び所定方向に広がっている。左側壁部23の背面側の端部は、背壁部11とは離間している。つまり、左側壁部23と背壁部11との間には、所定方向の全体にわたって、隙間Sが形成されている。
【0039】
図示は省略するが、左側壁部23の内部には空洞が形成されており、該空洞には鉄板等の金属板で構成された補強部材が挿入される。
【0040】
カバー側底壁部24は、
図8に示すように、背面側に向かって突出する2つの突起27を有する。これらの突起27は、カバー部20をベース部10に取り付ける際に、ベース側底壁部13に設けられた底面側係合部13bにそれぞれ挿入される。カバー側底壁部24は、第1貫通孔13aに対応する位置に、第2貫通孔24aを有する。これにより、収納部3は、第1貫通孔13a及び第2貫通孔24aを介して外部と連通した状態となる。これらの第2貫通孔24aは、収納部3内にほこりが溜まることを抑制するためのほこり取り用の孔部である。
【0041】
収納部3は、前述した、背壁部11、ベース側右側壁部12、カバー側右側壁部22、左側壁部23、ベース側底壁部13、カバー側底壁部24、及び前壁部21により形成されている。
【0042】
収納部3内には、収納部3に携帯端末Tが収納された状態で、該携帯端末Tを前壁部21に向かって付勢するバネ部材30が設けられている。バネ部材30は板バネで構成されている。バネ部材30は、携帯端末Tの外装よりも剛性の低い素材で構成されており、例えば、樹脂材で構成されている。
【0043】
バネ部材30は、背壁部11に固定される固定部31と、携帯端末Tに付勢力を付与する付勢部32と、を有する。
【0044】
固定部31は、
図2に示すように、背壁部11の凹部16に収容される。固定部31が凹部16に収容された状態で、固定部31の前面側の面と背壁部11の前面側の面とは面一になっている。
図4に示すように、固定部31は、背壁部11における上面側の2つのネジ挿通孔17に対応する部分にネジ挿通孔31aをそれぞれ有する。各ネジ挿通孔31aも、ネジ挿通孔17と同様にネジが挿通する孔である。つまり、固定部31は背壁部11と共締めされるようになっている。
【0045】
固定部31は、
図3及び
図9に示すように、背面側に向かって折り曲げられかつ背壁部11のバネ用係合孔18に挿通する折曲部31bを有する。折曲部31bがバネ用係合孔18に係合することで、折曲部31bがバネ用係合孔18に引っ掛かるようになり、固定部31の位置が定まるようになる。つまり、折曲部31bとバネ用係合孔18とは、固定部31の位置決めを容易にしている。
【0046】
付勢部32は、
図2に示すように、固定部31が背壁部11に固定された状態で、固定部31の底面側の端部から前面側に向かって傾斜して延びている。
図4及び
図7に示すように、付勢部32の底面側の端部(以下、底側端部という)は、その左側端部から右側端部に向かって、前面側かつ底面側に斜めに傾斜して延びている。付勢部32と前壁部21との隙間の最小値、すなわち、前記底側端部の右側端部と前壁部21との隙間の大きさは、一般的な携帯端末Tの厚みよりも小さくなるように設計されている。前記底側端部の左側端部及び右側端部は、アール状に加工されている。
【0047】
付勢部32には、前面側から見て、背壁部11のネジ挿通孔17と重複する位置に工具挿入孔32aが設けられている。この工具挿入孔32aは、固定部31に設けられたネジ挿通孔31aよりも僅かに大きい。工具挿入孔32aは、端末収納具1を支柱101に取り付ける際に工具を通りやすくするための孔である。また、この工具挿入孔32aが設けられていることにより、付勢部32が撓みやすくなる。
【0048】
ここで、携帯端末Tのユーザーの中には、携帯端末Tを手帳型端末ケース200(以下、単に端末ケース200という)に収納しているユーザーが存在する。そこで、本実施形態に係る端末収納具1は、携帯端末Tを端末ケース200に収納したまま端末収納具1に収納できるように、左側壁部23と背壁部11との間に隙間を設けるとともに、端末ケース200におけるカバー部分(以下、端末カバー部202という)を支持する支持部材60を有する。
【0049】
支持部材60は、
図3及び
図10に示すように、L字状の板部材で構成されている。支持部材60は、背壁部11とは別体である。支持部材60は樹脂製である。
【0050】
支持部材60は、左右方向に真っ直ぐに広がり背壁部11に取り付けられる取付部61と、取付部61と連続しかつ背壁部11から左側に延出される延出部62、延出部62から前面側に向かって突出する突出部63とを有する。
【0051】
図9及び
図10に示すように、取付部61は、複数の孔を有する。複数の孔には、3つの孔が左右方向に並んで形成された孔群が複数(ここでは6つ)含まれている。具体的には、取付部61の左右方向の中央付近において、上面側には、左側から順に、第1孔群61a、第2孔群61b、及び第3孔群61cの3つの孔群が形成され、底面側には、左側から順に、第4孔群61d、第5孔群61e、及び第6孔群61fが形成されている。第2孔群61bは、第1孔群61a及び第3孔群61cよりも底面側に位置する。第4孔群61d、第5孔群61e、及び第6孔群61fは、所定方向の位置が同じである。また、第2孔群61bと第5孔群61eとは、左右方向の位置が同じである。
【0052】
図9に示すように、6つの孔群61a~61fのうち第1孔群61a及び第3孔群61cを構成する複数の孔は、それぞれ、背壁部11における上面側の2つのネジ挿通孔17に対応するネジ挿通孔である。第4孔群61d及び第6孔群61fは、背壁部11における底面側の2つのネジ挿通孔17に対応するネジ挿通孔である。各ネジ挿通孔には、ネジ挿通孔17と同様にネジが挿通する。つまり、取付部61は背壁部11と共締めされるようになっている。
【0053】
第2孔群61b及び第5孔群61eは、支持部材60の背壁部11に対する位置決めをするためのものである。すなわち、
図11に示すように、背壁部11の背面側の面には、背面側にそれぞれ突出する一対のガイドピン19が上下に離間して設けられている。一対のガイドピンの左右方向の位置は同じである。
図9に示すように、第2孔群61b及び第5孔群61eが一対のガイドピン19と係合したときには、支持部材60が、背壁部11に対して位置決めされる。また、第2孔群61b及び第5孔群61eが一対のガイドピン19と係合したときには、背壁部11の4つのネジ挿通孔17と、第1孔群61a、第3孔群61c、第4孔群61d、及び第6孔群61fを構成する孔とが、それぞれ対応するようになる。例えば、
図9のように、第2孔群61b及び第5孔群61eのうち中央の孔とガイドピン19とがそれぞれ係合するときには、第1孔群61a、第3孔群61c、第4孔群61d、及び第6孔群61fのうち中央の各孔とネジ挿通孔17とがそれぞれ連通するようになる。一方で、第2孔群61b及び第5孔群61eのうち右側の各孔とガイドピン19とがそれぞれ係合したときには、第1孔群61a、第3孔群61c、第4孔群61d、及び第6孔群61fのうち右側の各孔とネジ挿通孔17とがそれぞれ連通するようになる。第1~第6孔群61a~61fの各左側の孔についても同様である。
【0054】
延出部62は、
図4に示すように、前面側から見て、背壁部11の左側端部から左側に向かって真っ直ぐに延出される。延出部62は、左側壁部23よりも左側まで延出される。延出部62は、背壁部11に対する延出量を調整可能に構成されている。延出部62の背壁部11に対する延出量は、第2孔群61b及び第5孔群61eとガイドピン19とにより調整される。言い換えると、第2孔群61b及び第5孔群61eを構成する各孔のうちいずれの孔をガイドピン19と係合させるかによって、延出部62の背壁部11に対する延出量が変更される。具体的には、第2孔群61b及び第5孔群61eのうち最も左側の孔と各ガイドピン19とが係合したときには、延出部62の延出量が最も小さくなり、第2孔群61b及び第5孔群61eのうち最も右側の孔と各ガイドピン19とが係合したときには、延出部62の延出量が最も大きくなる。
【0055】
突出部63は、延出部62の左側端部に形成されている。突出部63は、延出部62と一体である。突出部63は、左側壁部23と離間した状態で、前面側に突出している。突出部63は、左側壁部23と平行に広がっている。
図5に示すように、突出部63は、左右方向から見て、前面側の端縁が丸みのある曲線状になっている。突出部63は、前面側の端縁にエッジが無いように、前面側の端縁が曲面状に加工されている。
【0056】
図12及び
図13は、端末収納具1の使用例を示す。携帯端末Tは、手帳型端末ケース200に収納された状態である。本実施形態の端末収納具1では、
図12及び
図13に示すように、端末ケース200を開いたまま端末収納具1に収納することができる。手帳型端末ケース200における携帯端末Tが収納された部分(以下、端末部201という)は、収納部3に収納され、端末ケース200の端末カバー部202は、隙間Sを介して収納部3の外側に位置される。そして、端末カバー部202は、突出部63に立てかけられて、支持部材60により支持される。これにより、端末カバー部202が端末収納具1から垂れ下がるのを抑制することができる。また、端末カバー部202の内側を視認しやすくなるため、端末カバー部202にカードホルダが設けられているときには、該カードホルダからカード類(ポイントカード、プリペイドカードなど)を取り出しやすい。
【0057】
したがって、本実施形態に係る端末収納具1は、携帯端末Tの背面側に位置する背壁部11と、左右方向に互いに対向して配置された左側壁部23及び右側壁部12,22と、左側壁部23と右側壁部12,22との間に設けられた底壁部13,24と、背壁部11と対向するように設けられかつ携帯端末Tの画面が露出するように一部が開放された前壁部21と、前壁部21側から見たときに、背壁部11から左右方向の一方側に延びる延出部62と、を備え、背壁部11、左側壁部23、右側壁部12,22、底壁部13,24、及び前壁部21により、収納部3が形成され、左側壁部23は、背壁部11との間に隙間Sが形成されるように、背壁部11に対して離間している。これにより、手帳型端末ケース200に携帯端末Tを収納した状態で、端末ケース200における端末部201を収納部3に収納し、端末ケース200における端末カバー部202を、隙間Sを介して収納部3の外に出すことができる。よって、端末ケース200に収納された携帯端末Tを、端末ケース200から取り外すことなく収納することができる。
【0058】
また、延出部62に端末カバー部202を支持することで、端末カバー部202が下に垂れるのを抑制することができ、ショッピングカートのかご等に物品を入れる際に端末カバー部202が邪魔になるのを抑制することができる。また、端末カバー部202の内側の視認性が向上するため、端末カバー部202にカートホルダが設けられているときには、該カードホルダからカードを取り出しやすくなる。したがって、利便性を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、携帯端末収納具1は、延出部62に設けられ、左側壁部23と離間した状態で、前面側に突出する突出部63を備える。端末ケース200の端末カバー部202を突出部63に立てかけることができる。これにより、端末ケース200の左右の広がりを小さくすることができ、収納状態をコンパクトにすることができる。これにより、物品の出し入れが容易になり、利便性がより向上される。
【0060】
また、本実施形態では、延出部62は、背壁部11に対する延出量を調整可能に構成されている。これにより、種々の大きさの端末ケースに対応可能になり、利便性が更に向上される。
【0061】
特に、本実施形態では、延出部62は、背壁部11とは別の支持部材60で構成されているとともに、支持部材60に設けられた取付部61を介して背壁部11に対して着脱可能であり、背壁部11における背面側には、背面側に突出するガイドピン19が設けられており、取付部61には、ガイドピン19と係合しかつ左右方向に並ぶ複数の孔からなる第2孔群61b及び第5孔群61eが設けられている。これにより、延出部62と背壁部11とが別体になっていたとしても、延出部62の背壁部11に対する位置決めを容易にすることができる。また、ガイドピン19と係合する孔が左右に並んで形成されていることで、ガイドピン19と係合させる孔を選択することで、延出部62の背壁部11に対する延出量を調整することができる。これにより、利便性がより向上される。
【0062】
また、本実施形態では、背壁部11に、収納部3に携帯端末Tが収納された状態で、該携帯端末Tを前壁部21に向かって付勢するバネ部材30が設けられている。これにより、端末ケース200ごと携帯端末Tが収納されたときには、端末ケース200の端末部201はバネ部材30の付勢力により前壁部21に押し付けられる。これにより、バネ部材30と前壁部21とにより、携帯端末Tごと端末部201を挟持して、携帯端末Tを保持することができる。
【0063】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0064】
例えば、前述の実施形態では、支持部材60には突出部63が設けられていた。これに限らず、突出部63は省略してもよい。
【0065】
また、前述の実施形態では、延出部62が背壁部11とは別部材の支持部材60で構成されていた。これに限らず、延出部62と背壁部11とを単一部材で構成してもよい。
【0066】
また、前述の実施形態では、左側壁部23と背壁部11との間に隙間Sが形成されていた。これに限らず、左側には隙間Sが形成されず、右側壁部12,22と背壁部11との間に隙間Sが形成されていてもよいし、左右両方に隙間Sが形成されていてもよい。このときには、右側壁部をベース部10とカバー部20とに分けずに、カバー部20のみに形成することが好ましい。また、右側に隙間Sを設ける場合には、背壁部11の右側に延出部62と突出部63とが位置するようにしてもよい。
【0067】
また、前述の実施形態では、横方向に延びる軸状部材Pにスタンド装置100を取り付ける場合について説明した。これに限らず、スタンド装置100を上下方向に延びる軸状部材に取り付けるように構成してもよい。この場合、支柱101とクランパ102との配置を変更する。
【0068】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
ここに開示された技術は、携帯端末を収納する収納部を有する携帯端末収納具として有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 携帯端末収納具
3 収納部
11 背壁部
12 ベース側右側壁部
13 ベース側底壁部
19 ガイドピン
21 前壁部
22 カバー側右側壁部
23 左側壁部
24 カバー側底壁部
51b 第2孔群(ガイド孔)
51e 第5孔群(ガイド孔)
52 延出部
53 突出部
S 隙間
T 携帯端末