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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008097
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】噴霧システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/00 20060101AFI20230112BHJP
   A01G 9/24 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A01K1/00 D
A01G9/24 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111383
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000229128
【氏名又は名称】ベルテクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 修一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 誠
(72)【発明者】
【氏名】下宮 治三
(72)【発明者】
【氏名】松谷 英和
【テーマコード(参考)】
2B029
2B101
【Fターム(参考)】
2B029SA10
2B029SE04
2B101AA02
(57)【要約】
【課題】噴霧ノズルからの液だれを確実に防止する。
【解決手段】圧力タンク3と圧縮空気供給源5と噴霧ノズル6が設けられた噴霧管7を具える。圧力タンク3と圧縮空気供給源5を、第1の電磁弁を有する空気供給管17で連結し、圧力タンク3と噴霧管7を、第2の電磁弁を有する液体供給管12で連結する。噴霧管7の所要部位に、第3の電磁弁を有する排出管15を連結する。第1、第2の電磁弁を開状態とし第3の電磁弁を閉状態として圧縮空気を圧力タンクに供給すると、圧力タンク内の液体を送出して噴霧ノズル6で噴霧できる。第2の電磁弁を閉状態にすると同時に第3の電磁弁を開状態として、第2の電磁弁のオフ信号が出力後の噴霧管内の液体圧力の上昇を、排出管15での液体排出で低減する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容される圧力タンクと、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源と、霧を噴霧する噴霧ノズルが設けられた噴霧管とを具え、
前記圧力タンクと前記圧縮空気供給源とは、第1 の電磁弁が介装された空気供給管で連結されており、前記圧力タンクと前記噴霧管とは、第2の電磁弁が介装された液体供給管で連結されており、前記噴霧管の所要部位に、第3の電磁弁が介装された排出管が連結されており、
前記第1、第2の電磁弁を開状態とし且つ前記第3の電磁弁を閉状態として前記圧縮空気を前記圧力タンク内に供給することにより、該圧縮空気の圧力によって該圧力タンク内の液体を前記噴霧管に送出でき、該送出によって前記噴霧ノズルから霧を噴霧できる一方、前記第2の電磁弁を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁を所要時間開状態とすることによって、該第2の電磁弁のオフ信号が出力された後における前記噴霧管内の液体圧力の上昇を、前記排出管の排出口で所要量の前記液体を排出させることによって低減できるようになされていることを特徴とする噴霧システム。
【請求項2】
液体が収容される圧力タンクと、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源と、霧を噴霧する噴霧ノズルが設けられた噴霧管とを具え、
前記圧力タンクと前記圧縮空気供給源とは、第1 の電磁弁が介装された第1の空気供給管で連結されており、前記圧力タンクと前記噴霧管とは、第2の電磁弁が介装された液体供給管で連結されており、前記噴霧管の所要部位に、第3の電磁弁が介装された排出管が連結されており、前記圧縮空気供給源と前記噴霧管とは、第4の電磁弁が介装された第2の空気供給管で連結されており、
前記第1、第2の電磁弁を開状態とし且つ前記第3の電磁弁を閉状態として前記圧縮空気を該圧力タンク内に供給することにより、該圧縮空気の圧力によって、該圧力タンク内の液体を前記噴霧管に送出でき、該送出によって、前記噴霧ノズルから霧を噴霧でき、
前記第2の電磁弁を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁を所要時間開状態とすることによって、該第2の電磁弁のオフ信号が出力された後における前記噴霧管内の液体圧力の上昇を、前記排出管の排出口で所要量の前記液体を排出させることによって低減できるようになされると共に、
前記第1の電磁弁が閉状態で前記第3、第4の電磁弁を開状態として前記圧縮空気が、前記第2の空気供給管を介して前記噴霧管に送給されることにより、前記噴霧管内の液体を前記排出管の排出口で排出させて該噴霧管内を空になし得るようにしたことを特徴とする噴霧システム。
【請求項3】
前記圧力タンクは第1の圧力タンクと第2の圧力タンクとからなり、
該第1、第2の圧力タンクの夫々と前記圧縮空気供給源とは、第1 の電磁弁が介装された第1の空気供給管で連結されており、又、該第1、第2の圧力タンクの夫々と前記噴霧管とは、第2の電磁弁が介装された液体供給管で連結されており、
前記第1の圧力タンクについての前記第1、第2の電磁弁の開状態と、前記第2の圧力タンクについての前記第1、第2の電磁弁の開状態が、所定時間毎に交互に繰り返されることを特徴とする請求項1又は2記載の噴霧システム。
【請求項4】
液体が収容される第1の圧力タンク及び第2の圧力タンクと、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源と、霧を噴霧する噴霧ノズルが設けられた噴霧管とを具え、
前記第1、第2の圧力タンクの夫々と前記圧縮空気供給源とは、第1 の電磁弁が介装された第1の空気供給管で連結されており、又、該第1、第2の圧力タンクの夫々と前記噴霧管とは、第2の電磁弁が介装された液体供給管で連結されており、前記噴霧管の所要部位に、第3の電磁弁を介して排出管が連結されており、
前記第1の圧力タンクについての前記第1、第2の電磁弁の開状態と、前記第2の圧力タンクについての前記第1、第2の電磁弁の開状態が、所定時間毎に交互に繰り返されるようになされており、
前記第1、第2の電磁弁を開状態とし且つ前記第3の電磁弁を閉状態として前記圧縮空気を前記第1の該圧力タンク内に、又は前記第2の圧力タンク内に供給することにより、該圧縮空気の圧力によって該圧力タンク内の液体を前記噴霧管に送出でき、該送出によって前記噴霧ノズルから霧を噴霧でき、
又、前記第1の電磁弁を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁を所要時間開状態とすることによって、該第2の電磁弁のオフ信号が出力された後における前記噴霧管内の液体圧力の上昇を、前記排出管の排出口で所要量の該液体を排出させることによって低減できるようになされると共に、
前記第1の電磁弁が閉状態で前記第3、第4の電磁弁を開状態として前記圧縮空気が、前記第2の空気供給管を介して前記噴霧管に送給されることにより、前記噴霧管内の液体を前記排出管の排出口で排出させて該噴霧管内を空になし得るようにしたことを特徴とする噴霧システム。
【請求項5】
内部で互いに連通された供給ポートと排出ポートと吸引ポートを有するエジェクタの該供給ポートが第5の電磁弁を介して前記圧縮空気供給源に連設されると共に前記吸引ポートが前記排出管の前記排出口に連設され、前記第3の電磁弁を開状態とすると同時に前記第5の電磁弁を開状態として前記供給ポートから前記排出ポートに向けて圧縮空気を噴出させることにより発生する負圧の作用によって、前記吸引ポートから、前記噴霧管内の圧力上昇をもたらしている所要量の前記液体が吸引され、これが前記排出ポートから排出されることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の噴霧システム。
【請求項6】
前記第3の電磁弁を開状態とするに先立って前記エジェクタが作動するようになされ、該作動によって前記排出管内が真空状態となるように制御されることを特徴とする請求項5記載の噴霧システム。
【請求項7】
液体供給タンクの下部が前記圧力タンクに連設されており、該液体供給タンク内の液体が、前記第1、第2の電磁弁が閉状態において、前記圧力タンクに、重力の作用による自然流下方式で供給されることを特徴とする請求項1又は2記載の噴霧システム。
【請求項8】
液体供給タンクの下部が前記第1、第2の圧力タンクに連設されており、該液体供給タンク内の液体が、前記第1、第2の電磁弁が閉状態において、前記第1 の圧力タンク及び/又は前記第2の圧力タンクに、重力の作用による自然流下方式で供給されることを特徴とする請求項3又は4記載の噴霧システム。
【請求項9】
前記排出管の排出口から排出された液体が前記液体供給タンクに流入することを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の噴霧システム。
【請求項10】
前記液体は、乳酸菌が混入され液体であることを特徴とする請求項1 ~8の何れかに記載の噴霧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧ノズルからの液だれ現象を防止できる噴霧システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体を加圧することで噴霧ノズルから噴霧する噴霧システムにあっては、従来、噴霧終了時における噴霧ノズルからの液だれ現象を如何にして防止するかがシステム稼動上の課題であった。
【0003】
かかる噴霧システムを例えば牛舎や豚舎、鶏舎等の畜舎に設置した場合は、該畜舎の暑熱対策としては効果があったが、前記噴霧ノズルからの液だれによって体に液滴が滴下することは動物にとってストレスとなり、その発育を低下させたり鶏の産卵率を悪くする等の問題があった。更には、畜舎の床が濡れて家畜が滑りやすく怪我をする恐れもあった。又、かかる噴霧システムを野菜栽培用ハウスに設置した場合は、前記液だれによる液滴の滴下によって、例えば葉物野菜の葉を損傷させて商品価値を落としてしまう問題があった他、部分的に必要以上に水遣りされた状態となって植物が腐り易かったり、芽が出にくい等の生育不良を引き起こす問題があった。
【0004】
かかる液だれ現象を発生させる主な原因としては、噴霧終了に際して液体の加圧を停止させるオフ信号が出力されてから該液体の加圧が確実に停止されるまでに一定の時間を要したことが主な原因と考えられる。
【0005】
かかる液だれ現象を防止せんとする噴霧技術として特許文献1記載の噴霧システムが提供されている。特許文献1の段落0014~0036には、該噴霧システムの最良の実施形態について次の記載がある。即ち、該噴霧システムは、噴霧時における液体の加圧をポンプを用いて行う噴霧システムである。該噴霧システムは、液体が該ポンプにより所定圧まで加圧されることで霧が噴霧される構成のものである。そして、噴霧を終了する際に該ポンプの加圧を停止させると、加圧されている液体の圧力が降圧し始めるので、この加圧水の圧力が第1の圧力値まで降圧した時に、残圧排出弁が開弁する。残圧排出弁が開弁することで、残圧を外部に放圧することができる。そして該噴霧システムにおいては、真空ポンプを接続することでより確実に減圧することができる。又該噴霧システムは、前記残圧排出弁の作動時又は作動後に、配管を大気と連通させる開放弁を有しており、更に、圧力が第2の圧力値まで降圧したときに前記噴霧ノズルの液体の供給を停止させるチェックバルブが設けられている。
【0006】
このように特許文献1に係る噴霧システムは、前記噴霧ノズルへの液体の供給を停止させるチェックバルブを必須とし、残圧排出弁を前記開放弁と連携させることを要し、更に、第1の圧力値と第2の圧力値に基づく制御を要するものであり、全体として複雑な制御を要するものとなっていた。
【0007】
このような複雑な制御を要するのは、噴霧時における液体の加圧をポンプを用いて行うからであろうと推測される。即ち、ポンプは、回転運動を伴い或いは往復運動を伴うために、噴霧を終了する際に該ポンプの加圧停止信号を出力してもポンプモータが惰性回転状態となり或いはプランジャー往復運動装置が惰性往復運動状態となって、直ちには液体が遮断されず、3~5秒間の作動タイムラグが生じていた。従って、その間、液体が配管に継続して供給されることとなり、前記配管内の液体圧力が上昇するためであったと考えられる。
【0008】
ところで特許文献2には、2つの圧力タンク内に供給された噴霧用水を、高圧空気供給系から送気される高圧空気により加圧して噴霧用ポンプの吸込み側に押込み、該噴霧用ポンプから噴霧系に高圧で吐出し、霧ノズルから高圧噴霧させる高圧噴霧システムが記載されている。
【0009】
該高圧噴霧システムが、圧力タンクに高圧空気を供給する高圧空気供給系を具備する構成を採用しているのは次の理由からであった。即ち、噴霧用ポンプを具える従来の高圧噴霧システムは、複数台のポンプと該ポンプを駆動する複数台の電動機を必要としたため、装置のイニシャルコスト及びランニングコストが増大すると共に、故障率も高くなることに鑑みてのもので、イニシャルコスト及びランニングコストの低減を図ると共に、故障率を低減するためであった。
【0010】
特許文献2が開示する高圧空気利用の高圧噴霧システムは、かかる問題点を解決するためのシステムであり、噴霧終了時における噴霧ノズルからの液だれ現象を防止するための対策については何ら記載されていない。又、前記高圧空気供給系の前記高圧空気は、専ら、霧ノズルから高圧噴霧させるために、圧力タンク内に供給された噴霧用水を加圧することに利用されており、該高圧空気を高圧噴霧以外の目的でも利用することについては全く記載されておらず、その示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009-148677号
【特許文献2】特開平8-52392号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、供給する圧縮空気供給源からの圧縮空気の圧力を利用することを基本として、液体を加圧することで噴霧ノズルから噴霧する噴霧システムにおける噴霧終了時においての該噴霧ノズルからの液だれ現象を効果的に防止できる噴霧システムの提供を課題とするものである。又、前記圧縮空気の圧力を更に有効利用してシステム全体としての性能向上、システムの構築コストの低減、システムのメンテナンスの容易化を期し得る噴霧システムの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る噴霧システムの第1の態様は、液体が収容される圧力タンクと、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源と、霧を噴霧する噴霧ノズルが設けられた噴霧管とを具える。前記圧力タンクと前記圧縮空気供給源とは、第1 の電磁弁が介装された空気供給管で連結されており、前記圧力タンクと前記噴霧管とは、第2の電磁弁が介装された液体供給管で連結されており、前記噴霧管の所要部位に、第3の電磁弁が介装された排出管が連結されている。前記第1、第2の電磁弁を開状態とし且つ前記第3の電磁弁を閉状態として前記圧縮空気を前記圧力タンク内に供給することにより、該圧縮空気の圧力によって該圧力タンク内の液体を前記噴霧管に送出でき、該送出によって前記噴霧ノズルから霧を噴霧できる。前記第2の電磁弁を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁を所要時間開状態とすることによって、該第2の電磁弁のオフ信号が出力された後における前記噴霧管内の液体圧力の上昇を、前記排出管の排出口で所要量の前記液体を排出させることによって低減できるようになされていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る噴霧システムの第2の態様は、液体が収容される圧力タンクと、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源と、霧を噴霧する噴霧ノズルが設けられた噴霧管とを具える。前記圧力タンクと前記圧縮空気供給源とは、第1 の電磁弁が介装された第1の空気供給管で連結されており、前記圧力タンクと前記噴霧管とは、第2の電磁弁が介装された液体供給管で連結されており、前記噴霧管の所要部位に、第3の電磁弁が介装された排出管が連結されており、前記圧縮空気供給源と前記噴霧管とは、第4の電磁弁が介装された第2の空気供給管で連結されている。前記第1、第2の電磁弁を開状態とし且つ前記第3の電磁弁を閉状態として前記圧縮空気を該圧力タンク内に供給することにより、該圧縮空気の圧力によって、該圧力タンク内の液体を前記噴霧管に送出でき、該送出によって、前記噴霧ノズルから霧を噴霧できる。そして、前記第2の電磁弁を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁を所要時間開状態とすることによって、該第2の電磁弁のオフ信号が出力された後における前記噴霧管内の液体圧力の上昇を、前記排出管の排出口で所要量の前記液体を排出させることによって低減できるようになされると共に、前記第1の電磁弁が閉状態で前記第3、第4の電磁弁を開状態として前記圧縮空気が、前記第2の空気供給管を介して前記噴霧管に送給されることにより、前記噴霧管内の液体を前記排出管の排出口で排出させて該噴霧管内を空になし得るようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る噴霧システムの第3の態様は、前記第1又は第2の態様において、前記圧力タンクは第1の圧力タンクと第2の圧力タンクとからなり、該第1、第2の圧力タンクの夫々と前記圧縮空気供給源とは、第1の電磁弁が介装された第1の空気供給管で連結されており、又、該第1、第2の圧力タンクの夫々と前記噴霧管とは、第2の電磁弁が介装された液体供給管で連結されている。そして、前記第1の圧力タンクについての前記第1、第2の電磁弁の開状態と、前記第2の圧力タンクについての前記第1、第2の電磁弁の開状態が、所定時間毎に交互に繰り返されることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る噴霧システムの第4の態様は、液体が収容される第1の圧力タンク及び第2の圧力タンクと、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源と、霧を噴霧する噴霧ノズルが設けられた噴霧管とを具える。前記第1、第2の圧力タンクの夫々と前記圧縮空気供給源とは、第1 の電磁弁が介装された第1の空気供給管で連結されており、又、該第1、第2の圧力タンクの夫々と前記噴霧管とは、第2の電磁弁が介装された液体供給管で連結されており、前記噴霧管の所要部位に、第3の電磁弁を介して排出管が連結されている。前記第1の圧力タンクについての前記第1、第2の電磁弁の開状態と、前記第2の圧力タンクについての前記第1、第2の電磁弁の開状態が、所定時間毎に交互に繰り返されるようになされている。そして、前記第1、第2の電磁弁を開状態とし且つ前記第3の電磁弁を所要時間閉状態として前記圧縮空気を前記第1の該圧力タンク内に、又は前記第2の圧力タンク内に供給することにより、該圧縮空気の圧力によって該圧力タンク内の液体を前記噴霧管に送出でき、該送出によって前記噴霧ノズルから霧を噴霧できる。又、前記第1の電磁弁を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁を開状態とすることによって、該第2の電磁弁のオフ信号が出力された後における前記噴霧管内の液体圧力の上昇を、前記排出管の排出口で所要量の該液体を排出させることによって低減できるようになされると共に、前記第1の電磁弁が閉状態で前記第3、第4の電磁弁を開状態として前記圧縮空気が、前記第2の空気供給管を介して前記噴霧管に送給されることにより、前記噴霧管内の液体を前記排出管の排出口で排出させて該噴霧管内を空になし得るようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る噴霧システムの第5の態様は、前記第1~第4の何れかの態様において、前記内部で互いに連通された供給ポートと排出ポートと吸引ポートを有するエジェクタの該供給ポートが第5の電磁弁を介して前記圧縮空気供給源に連設されると共に前記吸引ポートが前記排出管の前記排出口に連設され、前記第3の電磁弁を開状態とすると同時に前記第5の電磁弁を開状態として前記供給ポートから前記排出ポートに向けて圧縮空気を噴出させることにより発生する負圧の作用によって、前記吸引ポートから、前記噴霧管内の圧力上昇をもたらしている所要量の前記液体が吸引され、これが前記排出ポートから排出されることを特徴とするものである。
【0018】
本発明に係る噴霧システムの第6の態様は、前記第5の態様において、前記第3の電磁弁を開状態とするに先立って前記エジェクタが作動するようになされ、該作動によって前記排出管内が真空状態となるように制御されることを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係る噴霧システムの第7の態様は、前記第1又は第2の態様において、液体供給タンクの下部が前記圧力タンクに連設されており、該液体供給タンク内の液体が、前記第1、第2の電磁弁が閉状態において、前記圧力タンクに、重力の作用による自然流下方式で供給されることを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係る噴霧システムの第8の態様は、前記第3又は第4の態様において、液体供給タンクの下部が前記第1、第2の圧力タンクに連設されており、該液体供給タンク内の液体が、前記第1、第2の電磁弁が閉状態において、前記第1の圧力タンク及び/又は前記第2の圧力タンクに、重力の作用による自然流下方式で供給されることを特徴とするものである。
【0021】
本発明に係る噴霧システムの第9の態様は、前記第1~第8の何れかの態様において、前記排出管の排出口から排出された液体が前記液体供給タンクに流入することを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係る噴霧システムの第10の態様は、前記第1~第9の何れかの態様において、前記液体は、乳酸菌が混入された液体であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る噴霧システムによるときは、供給する圧縮空気供給源からの圧縮空気の圧力を利用することを基本として、液体を加圧することで噴霧ノズルから噴霧する噴霧システムにおける噴霧終了時においての該噴霧ノズルからの液だれ現象を効果的に防止できる。又、該圧縮空気の圧力を更に有効利用して、システム全体としての性能向上、システムの構築コストの低減、システムのメンテナンスの容易化を達成し得る噴霧システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る噴霧システムを、使用する圧力タンクが1個である場合について説明する説明図である。
図2】その噴霧システムが、噴霧管で噴霧するように運転されている状態を示す説明図である。
図3】その噴霧システムが、噴霧管内を空にするように運転されている状態を示す説明図である。
図4】その噴霧システムが、排出管に付設されたエジェクタの作動によって、噴霧管内が減圧される状態を説明する説明図である。
図5】その噴霧システムが、使用する圧力タンクが2個である場合について説明する説明図である。
図6】その噴霧システムが、一方の圧力タンクを用いて噴霧管で噴霧するように運転されている状態を示す説明図である。
図7】その噴霧システムが、他方の圧力タンクを用いて噴霧管で噴霧するように運転されている状態を示す説明図である。
図8】その噴霧システムが、噴霧管内を空にするように運転されている状態を示す説明図である。
図9】排出管を、噴霧管の先端部位以外の部分に設けた場合の一例を示す説明図である。
図10】乳酸菌混入の液体の作成装置を説明する説明図である。
【実施例0025】
図1~3において本発明に係る噴霧システム1は、畜舎、例えば牛舎に設置されるものであり、液体2が収容される圧力タンク3と、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源5と、霧(本実施例においては細霧であるため、以下細霧ともいう)を噴霧する噴霧ノズル6が設けられた噴霧管7とを具える。該圧力タンク3と前記圧縮空気供給源5とは、第1 の電磁弁9が介装された第1の空気供給管10で連結されており、前記圧力タンク3と前記噴霧管7とは、第2の電磁弁11が介装された液体供給管12で連結されており、前記噴霧管7の所要部位に、第3の電磁弁13が介装された排出管15が連結されており、又、前記圧縮空気供給源5と前記噴霧管7とは、第4の電磁弁16が介装された第2の空気供給管17で連結されている。そして、前記第1、第2の電磁弁9,11を開状態とし且つ前記第3の電磁弁13を閉状態として前記圧縮空気を該圧力タンク3内に供給することにより、該圧縮空気の圧力によって該圧力タンク3内の液体2を前記噴霧管7に送出でき、該送出によって、前記噴霧ノズル6から細霧を噴霧できる。又、前記第2の電磁弁11を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁13を所要時間開状態とすることによって、該第2の電磁弁11のオフ信号が出力された後における前記噴霧管7内の液体圧力の上昇を、前記排出管15の排出口19で所要量の前記液体2を排出させることによって低減できるようになされている。そして、前記第1の電磁弁9が閉状態で前記第3、第4の電磁弁13,16を開状態として前記圧縮空気が、前記第2の空気供給管17を介して前記噴霧管7に送給されることにより、前記噴霧管7内の液体を前記排出管15の排出口19で排出させて該噴霧管7内を空になし得るようになされている。
【0026】
以下、これを具体的に説明する。前記圧力タンク3は密閉状態のタンクであり、噴霧用の前記液体2が収容される。例えば10~20リットルの液体2を収容できる。該液体2は、例えば、乳酸菌が混入された液体である。該液体2は、本実施例においては、液体収容タンク20で作成されて前記圧力タンク3に導入されるものである。そのために、該液体収容タンク20は水道を直結されており(図1の符号14は水道管である)、流入した適宜量の水道水に乳酸菌が混入されて前記液体2が作成される。該液体2は、図1においては、該液体収容タンク20から、重力の作用による自然流下方式で前記圧力タンク3に導入される。そして、前記圧縮空気供給源5からの圧縮空気が該圧力タンク3内に供給されると、該圧力タンク3内に収容されている前記液体2が該圧縮空気の圧力で押されて前記噴霧管7に送出されるようになされている。
【0027】
該噴霧管7を含め、本発明に係る各実施例で用いられている各管は、コスト面や、可撓性を有することによるシステム構築上の取り扱い性の面から樹脂製管が好ましい。該噴霧管7は、本実施例においては、前記牛舎の天井部に蛇行状態に屈曲して配設されるもので、その全長は100~150mと長尺である。その全長は施設の大きさに左右されるものであり、比較的短く、例えば30m~40mに設定されることがある反面、例えば200mに或いはそれ以上に長く設定されることもある。又、該噴霧管7の設置高さは、前記牛舎の場合、通常、床面から2.0~2.5mである。
【0028】
又前記噴霧ノズル6は、前記噴霧管7に例えば3メートル程度の間隔で多数個取り付けられている。該噴霧ノズル6は、逆止弁を有するものであっても逆止弁を有さないものであってもよい。
【0029】
前記圧力タンク3と前記液体収容タンク20とは、第1の逆止弁21が介装された液体導入管22で連結されている。又、前記圧力タンク3と前記圧縮空気供給源5とは前記第1の空気供給管10で連結されており、該第1の空気供給管10には、該圧縮空気供給源5側に前記第1の電磁弁9が介装されると共に該圧力タンク3側に第2の逆止弁23が介装されている。
【0030】
前記圧力タンク3と前記噴霧管7とは液体供給管12で連結されており、該液体供給管12には、前記圧力タンク3側に前記第2の電磁弁11が介装されると共に該噴霧管7側に第3の逆止弁25が介装されている。前記噴霧管7の所要部位、本実施例においては該噴霧管7の先端26に、前記第3の電磁弁13が介装された前記排出管15が連結されており、該排出管15から排出された所要量の前記液体2は前記液体収容タンク20に流入させて再利用する。又、前記圧縮空気供給源5と前記噴霧管7とは前記第2の空気供給管17で連結されており、該第2の空気供給管17には、該圧縮空気供給源5側に前記第4の電磁弁16が介装されると共に、該噴霧管7側に第4の逆止弁29が介装されている。そして、前記の各電磁弁9,11,13,16は制御部30により所要に制御されるようになされている。
【0031】
前記第1~第4の各逆止弁21,23,25、29は、圧力が高い側から圧力が低い側に向かって前記液体や前記空気が流れるのを遮断するものである。前記第1の逆止弁21は、前記圧力タンク3に供給された圧縮空気が前記液体収容タンク20に流入するのを阻止するものであり、又、該圧縮空気によって、前記圧力タンク3内の液体2が前記液体収容タンク20に流入するのを阻止するものである。前記第2の逆止弁23は、前記圧力タンク3内の液体2が前記第1の電磁弁9に流入するのを阻止するものである。前記第3の逆止弁25は、前記噴霧管7内の液体が前記第2の電磁弁11に流入するのを阻止すると共に、前記第4の電磁弁16を開状態としたときに前記圧縮空気が前記第2の電磁弁11に流入するのを阻止するものである。又、前記逆止弁29は、前記圧力タンク3内の液体が前記電磁弁16に流入するのを阻止するものである。
【0032】
然して、前記噴霧ノズル6 から細霧を噴霧させるには、図2 示すように、前記制御部30の制御により、前記第1、第2の電磁弁9,11を開状態とし且つ前記第3の電磁弁13を閉状態として前記圧縮空気を該圧力タンク3内に供給させることによって該圧力タンク3内の液体2を前記噴霧管7に送出でき、該送出によって、前記噴霧ノズル6から細霧を噴霧できる。
【0033】
該噴霧が間欠的に行われる場合(例えば、該噴霧を10秒間継続させて後、3分間停止させる場合)において該噴霧を停止させるためには前記第2の電磁弁11を閉状態とするのであるが、前記第2の電磁弁11のオフ信号が前記制御部30から出力されても該第1の電磁弁11が瞬時に閉じることにはならず、この間の作動タイムラグが生ずる。この作動タイムラグは、特許文献1で使用されているポンプの前記作動タイムラグ(3~5秒)に比べれば極短時間のものではあるが、その間にも、前記液体2が前記噴霧管7内に流入することとなり該噴霧管7内の液体圧力の上昇をもたらす。これを放置した場合は、前記噴霧ノズル6からの噴霧によって該液体圧力は次第に減圧されるが、この減圧は緩やかであるため、前記噴霧管7内の残圧(前記噴霧ノズル6から適正に噴霧させることができない不十分な液体圧力)によって、前記噴霧ノズル6の開口31から液だれが生ずることとなる。
【0034】
そこで本発明は、前記制御部30の制御により、前記第2の電磁弁11を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁13を開状態とする。ここに「閉状態にする」とは、該第2の電磁弁11のオフ信号を出力することを意味し、又「同時」とは、0.1秒までの範囲で、前記第2の電磁弁11のオフ信号の出力の直前と直後を含むものである。
【0035】
このように、前記第2の電磁弁11を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁13を所要時間開状態とすることによって、該第2の電磁弁11のオフ信号が出力された後における前記噴霧管7内の液体圧力の上昇を、前記排出管15の前記排出口19で所要量の前記液体を自然流出で排出させることによって短時間(例えば1秒間)の内に低減できる。前記所要時間とは、該排出口19で該所要量の液体を排出させることができる時間であり、この時間は、前記作動タイムラグの間に前記噴霧管7内に流入した前記液体の量に応じて適宜に設定されるものである。なおこの時間は、実験値により設定する。
【0036】
これによって、前記噴霧管7内の前記残圧によって生ずる前記噴霧ノズル6の開口31からの液だれを効果的に防止できることとなる。前記噴霧ノズル6が逆止弁付きのものであるときは、該液だれをより効果的に防止できる。このようにして前記排出管15の排出口19で排出された前記液体は、前記液体収容タンク20に流入させて再利用する。
【0037】
かかる噴霧システム1について、1日の噴霧作業が終了してその運転を停止させると、前記噴霧管7等に液体2が残留することになるが、寒冷地においては運転停止時間の間に残留液体が凍結して液体の送出が不可能となったり、該噴霧管7が破損する恐れがある。又、該噴霧システム1の稼働が時期的なものである場合は、該噴霧システムの稼働停止が長期間となって、噴霧管7等に残留している液体や乳酸菌が腐敗したり、或いは管や機器の腐食を生じさせて大掛かりなメンテナンスを要することにもなる。
【0038】
そこで本実施例においては、噴霧システム1の1日の噴霧作業が終了した時点で、図3に示すように、前記第1の電磁弁9を閉状態とし且つ前記第4の電磁弁16と前記第3の電磁弁13を開状態として前記圧縮空気供給源5からの圧縮空気を、前記噴霧管7の長さを考慮した所要時間、前記第2の空気供給管17を介して前記噴霧管7に送給する。この際、前記第3の逆止弁25によって該圧縮空気が前記第2 の電磁弁11に流入するのが阻止される。これにより、前記噴霧管7内の液体2を前記排出管15の排出口19で排出させ前記液体収容タンク20内に流入させることができ、前記噴霧管7内を空になし得る。このように前記噴霧管7内を空にすることにより、噴霧システム1の衛生を確保できると共に、機器の腐食防止等によって該噴霧システム1のメンテナンスの手間を削減できメンテナンスの容易化を図り得ることとなる。
【0039】
なお、前記液体供給管12や前記液体導入管22内の液体の排出は、これらが低い位置にあり又その長さも短いために、これらに付設されている開閉弁を手動操作で開弁することによって短時間で行うことができる。これに対して、本実施例に係る牛舎におけるように高所に配設されておりしかも長尺である前記噴霧管7内の液体の排出は、手動操作による開弁で短時間で行うということはできない。そこで本発明においては、前記噴霧システムを、前記噴霧管7内を空にする運転状態となし得る構成を採用しており、該運転状態とすることによって、高所に配置され且つ長尺である前記噴霧管7内の前記液体であっても、これを短時間の内に円滑に排出できることとなる。
【0040】
翌日の噴霧開始の際は、前記と同様、図2に示すように、前記第1、第2の電磁弁9、11を開状態とし且つ前記第3の電磁弁13を閉状態として前記圧縮空気を該圧力タンク3内に供給させることにより該圧力タンク3内の液体を前記噴霧管7に送出でき、該送出によって、前記噴霧ノズル6から細霧を噴霧できる。
【0041】
なお、かかる翌日の噴霧開始に際しては、前記第3の電磁弁13が閉じた状態で、空の状態にある前記噴霧管7に液体2が送出されるため、該噴霧管7内に存在していた空気は該噴霧管7の先端部分に圧縮された状態で存することになる。そのため、その後における最初の噴霧停止時に、前記第2の電磁弁11を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁13を開状態をしたときは、前記排出口19から、圧縮状態の該空気が該噴霧管7内の液体と共に排出されることとなる。
【0042】
前記噴霧の継続によって前記圧力タンク3内の液体2が減少するのであるが、例えば、前記間欠運転時における前記運転停止の時間帯に(この運転停止の時間帯においては、前記第1の電磁弁9は閉状態にある)、前記第2の電磁弁11を閉状態とすることにより、前記液体収容タンク20内の液体2が、前記液体導入管22を介して前記圧力タンク3内に重力の作用による自然流下方式で導入される。
【0043】
なお、前記噴霧が継続している間は、前記圧縮空気が前記圧力タンク3内に供給されているために該圧力タンク3内の圧力が高まっている。従ってこの間は、該圧力タンク3内への前記液体収容タンク20からの液体導入は行われない。
かかる自然流下方式での液体導入の設備は、ポンプを使用せずに液体を導入できるために構造が簡素であり、又電力も消費しないために経済的である。
【0044】
図4は、前記排出管15にエジェクタ33を付設した場合を示している。該エジェクタ33は、内部で互いに連通された供給ポート35と吸引ポート36と排出ポート37を有し、該供給ポート35が第5の電磁弁39を介して前記圧縮空気供給源5に連設されると共に前記吸引ポート36が前記排出管15の前記排出口19に連設されている。該エジェクタ33によるときは、前記第3の電磁弁13を開状態とすると同時に該第5の電磁弁39を開状態として前記供給ポート35から前記排出ポート37に向けて前記圧縮空気供給源5の圧縮空気を噴出させることにより、負圧を発生させることができる。この負圧の作用によって前記吸引ポート36から前記噴霧管7内の前記液体2が吸引され、この吸引された液体が、前記排出ポート37から排出されて前記液体収容タンク20に流入する。
【0045】
このようにして前記排出管15にエジェクタ33を付設する構成を採用する場合は、前記第2の電磁弁11を閉状態とすると同時に、前記第3の電磁弁13 及び前記第5の電磁弁39を開状態とすることによって、前記オフ信号が出力された後における前記噴霧管7内の液体圧力の上昇を、該エジェクタ33による前記液体2の速やかな排出作用によって瞬時に低減できる。これによって、前記噴霧管7内の前記残圧によって生ずる前記噴霧ノズル6の前記開口31からの前記液だれを、前記噴霧ノズル6が逆止弁を有さない場合においても確実に防止できることとなる。
【0046】
ここで、本発明が前記エジェクタ33を具備することとの対比で、特許文献1の段落0031に「本発明では、別途、真空ポンプ等を配管に接続してもよい。真空ポンプを接続することでより確実に減圧することができる」と記載されている技術事項について付言する。特許文献1が採用する真空ポンプは、真空タンクを要して大型のものとなり、且つ、該ポンプの稼働を停止させた状態にして該真空タンク内の貯留水を排出する装置も必要となる等、該真空ポンプ装置が複雑化し、又、装置が高くつくために噴霧システムの製造コストを上昇させる問題があった。これに対して本発明で使用するエジェクタは、小型軽量で構造が簡素でありながら前記噴霧管7内を確実に減圧でき、設備コストの上昇をそれ程招かない利点がある。
【0047】
前記排出管15に前記エジェクタ33を付設する構成を採用する場合において、前記第3の電磁弁13を開状態とするに先立って(例えば、該開状態とする5秒前から)、前記エジェクタ33を作動させる場合は、該作動によって前記排出管15内を真空状態となし得る。このように構成する場合は、前記第3の電磁弁13を開状態とする前から前記排出管15内に既に真空状態が形成されているため、該第3の電磁弁13を開状態とすると同時に、前記噴霧管7内の圧力上昇をもたらしている前記液体の所要量の排出を一層速やかに行うことができ、該噴霧管7内を一層確実に減圧できる。これによって、前記液だれをより一層確実に防止できることとなる。
【0048】
以上説明したとおり本発明に係る噴霧システム1は、特許文献1におけるような、噴霧のために行う液体の加圧を、ポンプを用いて行うのではなく圧縮空気供給源5からの圧縮空気の空気圧を利用して行う構成を採用している。従って、前記の各種電磁弁の開閉動作との協働によって前記噴霧ノズル6からの液だれ現象を効果的に防止できる。加えて、該噴霧システム1は、前記圧縮空気供給源5からの圧縮空気を、前記液体2の送出に利用するだけでなく前記噴霧管7内を空にするためにも利用し、更に、前記エジェクタ33を作動させるためにも利用しているのであり、圧縮空気供給源5の圧縮空気を多面的に利用している。これによって生ずるシステムの簡素化及びそれに伴う経済性も、本発明に係る噴霧システムの特徴の一つとなっている。
【実施例0049】
図5は、本発明に係る噴霧システム1の他の実施例を示すものであり、実施例1におけると同様に、畜舎、例えば牛舎に設置されるものである。該噴霧システム1は、液体2が収容される第1の圧力タンク3(3a)及び第2の圧力タンク3(3b)と、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源5と、霧を噴霧する噴霧ノズル6が設けられた噴霧管7とを具える。該第1、第2の圧力タンク3a,3bの夫々と前記圧縮空気供給源5とは、第1の電磁弁9が介装された第1の空気供給管10で連結されており、又、該第1、第2の圧力タンク3a,3bの夫々と前記噴霧管7とは、第2の電磁弁11が介装された液体供給管12で連結されており、前記噴霧管7の所要部位に、第3の電磁弁13を介して排出管15が連結されている。そして、前記第1の圧力タンク3aについての前記第1、第2の電磁弁9,11の開状態と、前記第2の圧力タンク3bについての前記第1、第2の電磁弁9,11の開状態が、所定時間毎に交互に繰り返されるようになされている。そして、前記第1、第2の圧力タンク3a,3bの夫々と前記圧縮空気供給源5とは、第1の電磁弁9が介装された第1の空気供給管10で連結されており、又、該第1、第2の圧力タンク3a,3bの夫々と前記噴霧管7とは、第2の電磁弁11が介装された液体供給管12で連結されている。
【0050】
前記第1、第2の電磁弁9,11を開状態とし且つ該第3の電磁弁13を閉状態として前記圧縮空気を前記第1の圧力タンク3a内に、又は前記第2の圧力タンク3b内に供給することにより、該圧縮空気の圧力によって該圧力タンク3a又は該圧力タンク3b内の液体を前記噴霧管7に送出でき、該送出によって前記噴霧ノズル6から細霧を噴霧できる。又、前記第2の電磁弁11を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁13を開状態とすることによって、前記第2の電磁弁11のオフ信号が出力された後における前記噴霧管7内の液体圧力の上昇を、前記排出管15の排出口19で所要量の該液体2を排出させることによって低減するようになされている。そして、前記第1の電磁弁9が閉状態で前記第3、第4の電磁弁13,16を開状態として前記圧縮空気を前記第2の空気供給管17を介して前記噴霧管7に送給する。この際、前記第3の逆止弁25によって該圧縮空気が前記第2の電磁弁11に流入するのが阻止される。これにより、前記噴霧管7内の液体2を前記排出管15の排出口19で排出させ、前記液体収容タンク20内に流入させることができ、該噴霧管7内を空になし得る。
【0051】
以下、これを具体的に説明する。本実施例に係る噴霧システム1は、実施例1におけるように1個の圧力タンク3を用いて構成されているのではなく、第1の圧力タンク3aと第2の圧力タンク3bの2個の圧力タンクを用いて構成されている点に特徴があり、前記第1の圧力タンク3aについての前記第1、第2の電磁弁9,11の開状態と、前記第2の圧力タンク3bについての前記第1、第2の電磁弁9,11の開状態が、所定時間毎に交互に繰り返されるようになされている。
【0052】
前記第1、第2の圧力タンク3a,3bは、共に同様の構成を有する密閉状態のタンクであって、噴霧用の液体2が収容される。第1、第2の圧力タンク3a,3bには、例えば、10~20リットルの液体を収容できる。
【0053】
該液体2は、例えば、乳酸菌が混入された液体である。該液体2は、本実施例においては、液体収容タンク20で作成されて前記圧力タンク3a,3bに導入されるものである。そのために、該液体収容タンク20は水道を直結されており(図5の符号14は水道管である)、流入した適宜量の水道水に乳酸菌が混入されて前記液体2が作成される。
【0054】
該液体2は、該液体収容タンク20から、重力の作用による自然流下方式で前記第1、第2の圧力タンク3a,3bに導入される。そして、前記圧縮空気供給源5からの圧縮空気が所要の前記圧力タンク(前記第1の圧力タンク3a又は前記第2の圧力タンク3b)内に供給されると、該圧力タンク内に収容されている前記液体2が該圧縮空気の圧力で押されて前記噴霧管7に送出されるようになされている。該噴霧管7を含め、本発明に係る各実施例で用いる管は、実施例1におけると同様、コスト面や、可撓性を有することによるシステム構築上の取り扱い性の面から樹脂製管が好ましい。又前記噴霧ノズル6は、前記噴霧管7に例えば3メートル程度の間隔で多数取り付けられている。該噴霧ノズル6は、逆止弁を有するものであっても逆止弁を有さないものであってもよい。
【0055】
前記第1、第2の圧力タンク3a,3bの夫々と前記液体収容タンク20とは、前記と同様、第1の逆止弁21が介装された液体導入管22で連結されている。又、該第1、第2の圧力タンク3a,3bの夫々と前記圧縮空気供給源5とは前記第1の空気供給管10で連結されており、該第1の空気供給管10には、該圧縮空気供給源5側に第1の電磁弁9が介装されると共に該第1、第2の圧力タンク3a,3b側に第2の逆止弁23が介装されている。
【0056】
前記第1,第2の圧力タンク3a,3bの夫々と前記噴霧管7とは液体供給管12で連結されており、該液体供給管12には、該第1、第2の圧力タンク3a,3b側に第2の電磁弁11が介装されると共に該噴霧管7側に第3の逆止弁25が介装されている。前記噴霧管7の所要部位、本実施例においては該噴霧管7の先端部位26には、第3の電磁弁13が介装された前記排出管15が連結されており、該排出管15から排出された所要量の前記液体2は前記液体収容タンク20に流入させて再利用する。又、前記圧縮空気供給源5と前記噴霧管7とは第2の空気供給管17で連結されている。そして該第2の空気供給管17には、該圧縮空気供給源5側に前記第4の電磁弁16が介装されると共に該噴霧管7側に第4の逆止弁29が介装されている。そして、前記の各電磁弁9,11,13,16は前記制御部30により所要に制御されるようになされている。前記第1~第4の各電磁弁9,11,13,16の作用は前記と同様である。
【0057】
次に本実施例に係る噴霧システム1の噴霧制御について説明する。本実施例に係る該噴霧システム1は、前記のように、前記第1の圧力タンク3aについての前記第1、第2の電磁弁9,11の開状態と、前記第2の圧力タンク3bについての前記第1、第2の電磁弁9,11の開状態が、所定時間毎に交互に繰り返されるようになされている。即ち、前記第1、第2の圧力タンク3a,3bの何れか一方に関しての前記第1、第2の電磁弁9,11が開状態にあるときは、その他方に関しての前記第1、第2の電磁弁9,11は閉状態にある。
【0058】
今、前記第1の圧力タンク3a内の液体2を前記噴霧管7に送出するときは、該第1の圧力タンク3aに関しての第1、第2の電磁弁9,11を開状態とし且つ該第3の電磁弁25を閉状態として前記圧縮空気を該第1の圧力タンク3a内に供給すると、該第1の圧力タンク3a内の液体2を前記噴霧管7に送出でき、該送出によって、前記噴霧ノズル7から細霧を噴霧させることができる。この制御は、例えば、該噴霧を10秒間継続させて後3分間停止させるサイクルを繰り返すものであり、該第1の圧力タンク3a内の液位が設定値に下がるまで繰り返される。その後、第1の圧力タンク3aから第2の圧力タンク3bに切り換わって、図7に示すように、該第2の圧力タンク3b内の液体2が前記噴霧管7に送出され、該サイクルが繰り返される。かかる噴霧によって前記第1、第2の圧力タンク3a,3b内の液体2が減少するが、停止状態にある圧力タンクに、前記液体導入管22を介して、前記液体収容タンク20内の液体2が、重力の作用による自然流下方式で導入される。
【0059】
なお、稼働状態にある圧力タンクには圧縮空気が供給されてタンク内の圧力が高まっているため、前記液体収容タンク20内の液体2が該圧力タンク内に流入することはない。
【0060】
本実施例に係る噴霧システム1にあっては、前記のように、停止状態の圧力タンク内に液体が導入されることから、前記第1、第2の圧力タンク3a,3bについての前記第1、第2の電磁弁9,11の開状態を前記のように交互に繰り返すことにより、前記噴霧管7における噴霧を連続的に行うことができる。
【0061】
このように本発明に係る噴霧システム1は、前記1, 第2の圧力タンク3a,3bの交互使用によって連続運転が可能となる点に特徴がある。そして、停止状態にある圧力タンクに液体が補給される構成のものであるため、前記第1、第2の圧力タンク3a,3bの容積は小さくて済み、噴霧システムのコンパクト化を図ることができると共に、設備コストを低減できる経済性がある。
【0062】
前記噴霧が前記のように間欠的に行われる場合において噴霧を停止させるには、前記第1の圧力タンク3aに係る前記第2の電磁弁11又は、前記第2の圧力タンク3bに係る前記第2の電磁弁11を閉じるのであるが、該第2の電磁弁11のオフ信号が前記制御部30から出力されても該第2の電磁弁11が瞬時に閉じることにはならず、この間の作動タイムラグが生ずる。実施例1で説明したように、この作動タイムラグが前記噴霧ノズル6の開口31からの液だれを生じさせる原因となる。
【0063】
そこで本実施例に係る発明においては、実施例1におけると同様に、該第1、第2の圧力タンク3a,3bに係る前記第2の電磁弁11を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁13を所要時間開状態とする。実施例1 におけると同様、「閉状態にする」とは、該第2の電磁弁11のオフ信号を出力することを意味し、又「同時」とは、0.1秒までの範囲で、前記第2の電磁弁11のオフ信号の出力の直前と直後を含むものである。
【0064】
これによって、前記第2の電磁弁11のオフ信号が出力された後における前記噴霧管7内の液体圧力の上昇を、前記排出管15の前記排出口19で所要量の前記液体を自然流出で排出させることによって短時間(例えば1秒間)の内に低減できる。
【0065】
前記所要時間とは、該排出口19で該所要量の液体を排出させることができる時間であり、この時間は、前記作動タイムラグの間に前記噴霧管17内に流入した前記液体の量に応じて適宜に設定されるものである。なおこの時間は、実験値により設定する。
【0066】
これによって、前記噴霧管7内の残圧によって生ずる前記噴霧ノズル6の開口31から液だれを効果的に防止できることとなる。前記噴霧ノズル6が逆止弁付きのものであるときは、該液だれをより効果的に防止できることとなる。このように前記排出管15の排出口19で排出された前記液体は前記液体収容タンク20に流入されて再利用される。
【0067】
かかる噴霧システム1について、1日の噴霧作業が終了してその運転を停止させると、前記噴霧管7等に液体2が残留することになるが、実施例1で説明したように、寒冷地においては運転停止時間の間に残留液体が凍結して液体の送出が不可能となったり、該噴霧管7が破損する恐れがある。又、該噴霧システム1の稼働が時期的なものである場合は、該噴霧システム1の稼働停止が長期間となって、噴霧管等に残留している液体や乳酸菌が腐敗したり、或いは管や機器の腐食を生じさせて噴霧システムの寿命を低下させることにもなる。
【0068】
そこで本実施例においては、噴霧システムの1日の噴霧作業が終了した時点で、図8に示すように、前記第1、第2の圧力タンク3a,3bに係る第1の電磁弁9を閉状態とし且つ該第4の電磁弁16と前記第3の電磁弁13を開状態として前記圧縮空気供給源5からの圧縮空気を、前記噴霧管7の長さを考慮した所要時間、前記第2の空気供給管17を介して前記噴霧管7に送給する。この際、前記第3の逆止弁25によって該圧縮空気が前記第2の電磁弁11に流入するのが阻止される。
【0069】
これにより、前記噴霧管7内の液体2を前記排出管15の排出口19で排出させ前記液体収容タンク20内に流入させることができ、前記噴霧管7内を空になし得る。実施例1におけると同様、前記運転状態とすることによって、高所に配置され且つ長尺である前記噴霧管7内にある前記液体を短時間の内に円滑に排出できる。このようにして前記噴霧管内を空にすることにより、噴霧システムの衛生を確保できると共に、機器の腐食防止等によって噴霧システムのメンテナンスの手間を削減できメンテナンスの容易化を図り得ることとなる。
【0070】
翌日の噴霧開始の際は、前記と同様、図6図7に示すように、前記第1、第2の電磁弁9,11 を開状態とし且つ前記第3の電磁弁13を閉状態として前記圧縮空気を該圧力タンク内に供給させることにより該圧力タンク内の液体を前記噴霧管7に送出でき、該送出によって、前記噴霧ノズル6から細霧を噴霧できる。
【0071】
なお、かかる翌日の噴霧開始に際しては、前記第3の電磁弁13が閉じた状態で、空の状態にある前記噴霧管7に液体2が送出されるため、該噴霧管7内に存在していた空気は該噴霧管7の先端部分に圧縮された状態で存することになる。そのため、その後における最初の噴霧停止時に、前記第2の電磁弁11を閉状態にすると同時に前記第3の電磁弁13を開状態をしたときは、前記排出口19から、圧縮状態の該空気が該噴霧管7内の液体と共に排出されることとなる。
【0072】
前記噴霧の継続によって前記圧力タンク3内の液体2が減少するのであるが、例えば、前記間欠運転時における前記運転停止の時間帯に(この運転停止の時間帯においては、前記第1の電磁弁9は閉状態にある)、前記第2の電磁弁11を閉状態とすることにより、前記液体収容タンク20内の液体2が、前記液体導入管22を介して前記圧力タンク3内に重力の作用による自然流下方式で導入される。
【0073】
図4は実施例1におけると同様に、前記排出管15にエジェクタ33を付設した場合を示している。該エジェクタ33は、内部で互いに連通された供給ポート35と吸引ポート36と排出ポート37を有し、該供給ポート35が第5の電磁弁39を介して前記圧縮空気供給源5に連設されると共に前記吸引ポート36が前記排出管15の前記排出口19に連設されている。該エジェクタ33によるときは、前記第3の電磁弁13を開状態とすると同時に該第5の電磁弁39を開状態として前記供給ポート35から前記排出ポート37に向けて前記圧縮空気供給源5の圧縮空気を噴出させることにより、負圧を発生させることができる。この負圧の作用によって前記吸引ポート36から前記噴霧管7内の前記液体2が吸引され、この吸引された液体が、前記排出ポート37から排出されて前記液体収容タンク20に流入する。
【0074】
このようにして前記排出管15にエジェクタ33を付設する構成を採用する場合は、前記第2の電磁弁11のオフ信号が出力された後における前記噴霧管内の液体圧力の上昇を、該エジェクタ33による前記液体2の速やかな排出作用によって瞬時に低減できる。これによって、前記噴霧管7内の前記残圧によって生ずる前記ノズル6の前記開口31からの前記液だれを、前記噴霧ノズル6が逆止弁を有さない場合においても確実に防止できることとなる。
【0075】
前記排出管15に前記エジェクタ33を付設する構成を採用する場合において、実施例1におけると同様に、前記第3の電磁弁13を開状態とするに先立って(例えば、該開状態とする5秒まえから)、前記エジェクタ33を作動させる場合は、該作動によって前記排出管15内を真空状態となし得る。このように構成する場合は、前記第3の電磁弁13を開状態とする前から前記排出管15内に既に真空状態が形成されているため、該第3の電磁弁13を開状態とすると同時に、前記噴霧管7内の圧力上昇をもたらしている前記液体の所要量の排出を一層速やかに行うことができ、該噴霧管7内を一層効果的に減圧できる。これによって、前記液だれを一層確実に防止できることとなる。
【0076】
以上説明したとおり本発明に係る噴霧システム1は、特許文献1におけるような、噴霧のために行う液体の加圧をポンプを用いて行うのではなく圧縮空気供給源5からの圧縮空気の空気圧を利用して行う構成を採用している。従って、前記の各種電磁弁の開閉動作との協働によって前記噴霧ノズル6からの液だれ現象を効果的に防止できる。加えて、該噴霧システム1は、前記圧縮空気供給源5からの圧縮空気を、前記液体2の送出に利用するだけでなく前記噴霧管7内を空にするために利用し、加えて前記エジェクタ33を作動させるためにも利用しているのであり、圧縮空気供給源5の圧縮空気を多面的に利用している。これによって生ずるシステムの簡素化及びそれに伴う経済性も、本発明に係る噴霧システムの特徴の一つとなっている。
【0077】
併せて、本実施例に係る噴霧システム1は、前記1, 第2の圧異例力タンク3a,3bの交互使用によって連続運転が可能となる点に特徴がある。そして、停止状態にある圧力タンクに液体が補給される構成のものであるため、前記第1、第2の圧力タンク3a,3bの容積は小さくて済み、噴霧システムのコンパクト化を図ることができると共に、設備コストを低減できる経済性がある。
【実施例0078】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0079】
(1)前記液体2は、本発明に係る噴霧システム1の利用分野に応じて適宜のものを選択できる。例えば暑熱対策のためには水だけからなることもあるが、牛舎や豚舎、鶏舎等の畜舎で飼育されている動物の免疫力を向上させるためや該牛舎等の畜舎の悪臭を軽減する等の為に、或いは葉面散布による植物の生育向上等の目的で本発明に係る噴霧システムを用いる場合は、前記したように乳酸菌が混入されたものを用いるのがよい。この乳酸菌としては、本発明に係る噴霧システム1の用途に応じた適切な菌種のものを使用する。又、害虫防除のためにミント等の漢方系生薬が混入された液体を用いることもあり、細菌の繁殖を抑制するために次亜塩素酸ナトリウムのような殺菌性の薬剤が添加された液体を用いることもある。
【0080】
(2)前記排出管の排出口で排出された液体は、前記実施例においては液体収容タンク20に流入させているが、排水溝に流すこともある。
【0081】
(3)前記噴霧ノズル6は、本発明に係る噴霧システム1の設置場所に応じて適宜の開口サイズのものを使用する。該噴霧システム1 が、例えば畜舎に設置される場合は、細霧を発生させ得るように開口サイズが小さい噴霧ノズルを使用する。一方、該噴霧システムが、例えば植物栽培用ハウスに設置される場合は、開口サイズが比較的大きい噴霧ノズルを使用する。
【0082】
(4)前記液体2を排出させる前記排出管15は、前記実施例においては前記噴霧管7の先端部位に設けているが、前記噴霧を阻害しない部位であれば前記噴霧管7のどの部位に設けてもよい。図9はその一例を示すものであり、前記噴霧管が環状を呈しており、その環状部40に対する液体の送出部分41に前記排出管15を設けている。
【0083】
(5)図10は、乳酸菌が混入された前記液体を作成するための他の液体作成装置を示すものである。同図において該液体作成装置は、乳酸菌溶液を収容したカートリッジ41の供給口を水道管に接続してなるもので、水道水の流速により発生させた負圧を利用して、該カートリッジ内の乳酸菌溶液を所要量ずつ該水道水に混入させ、これによって、所要濃度の乳酸菌混入液体を作成するように構成されている。このように構成する場合は、使用済みとなった前記カートリッジを交換すれば、装置をそのまま継続して作動させることができるため、例えば前記液体収容タンク20を用いる場合のようなタンク等の清掃作業が不要となる利点がある。
【0084】
(6)前記圧力タンク3は、実施例1におけるように1個とされ、又実施例2におけるように2個とされることの他、前記噴霧管の長さに応じて3個以上に設定されることもある。この場合は、実施例2で説明したところに準じて、噴霧のために使用する圧力タンク2を順次変えていく。
【0085】
(7)本発明に係る噴霧システム1は、前記した畜産や農業の分野の他、病院や介護施設等、細霧等の霧発生が要求される場所に広く設置でき、乳酸菌等が混入された液体の噴霧によるウィルス対策や抗菌対策を図るために、更には、空気冷却やリラクゼーション、アロマテラピー等の分野にも応用できる。かかることから本発明に係る噴霧システム1は、使用する前記液体2の選択によって年間を通して使用できる。
【0086】
これらの設置分野で、前記噴霧管7の設置高さは、設置目的に合わせて所要に設定される。牛舎に関しては前記実施例で説明したところであるが、その他、例えば前記の野菜栽培ハウスでは、通常1.8m程度であり、ハウスの横から噴霧するケースでは1.0m程度のこともある。
【符号の説明】
【0087】
1 噴霧システム
2 液体
3 圧力タンク
3a 第1の圧力タンク
3b 第2の圧力タンク
5 圧縮空気供給源
6 噴霧ノズル
7 噴霧管
9 第1の電磁弁
10 第1の空気供給管
11 第2の電磁弁
12 液体供給管
13 第3の電磁弁
15 排出管
16 第4の電磁弁
17 第2の空気供給管
19 排出口
20 液体収容タンク
21 第1の逆止弁
22 液体導入管
23 第2の逆止弁
25 第3の逆止弁
26 先端部位
29 第4の逆止弁
30 制御部
31 開口
33 エジェクタ
35 供給ポート
36 吸引ポート
37 排出ポート
39 第5の電磁弁


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10