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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081012
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】不陸調整構造
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/14 20060101AFI20230602BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A47B96/14 B
A47B55/00
A47B96/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194646
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 敦
(72)【発明者】
【氏名】須賀 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 章博
【テーマコード(参考)】
3B067
【Fターム(参考)】
3B067BA01
3B067DA00
3B067DA03
(57)【要約】
【課題】簡易に被固定面と取付部材との不陸を調整して固定可能な不陸調整構造を提供すること。
【解決手段】被固定面200に取り付け固定される取付部材3の被固定面200に対する不陸を調整する不陸調整構造300は、外周面に雄ねじ溝331aが形成されるとともに軸方向に貫通する貫通孔333が内部に形成された筒状の軸部331を有し、貫通孔333に挿通された固定具35により被固定面200に固定可能な雄ねじ体33と、取付部材3の内部に配置され、雄ねじ溝331aと螺合する雌ねじ溝34dが内周面に形成された筒状の雌ねじ体34と、を有し、雄ねじ溝331aと雌ねじ溝34dの螺合位置を調整して雄ねじ体33と雌ねじ体34の軸方向の相対位置を変化させることにより、被固定面200に対する取付部材3の不陸を調整する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被固定面に取り付け固定される取付部材の前記被固定面に対する不陸を調整する不陸調整構造であって、
外周面に雄ねじ溝が形成されるとともに軸方向に貫通する貫通孔が内部に形成された筒状の軸部を有し、前記貫通孔に挿通された固定具により前記被固定面に固定可能な雄ねじ体と、
前記取付部材の内部に配置され、前記雄ねじ溝と螺合する雌ねじ溝が内周面に形成された筒状の雌ねじ体と、を有し、
前記雄ねじ溝と前記雌ねじ溝の螺合位置を調整して前記雄ねじ体と前記雌ねじ体の前記軸方向の相対位置を変化させることにより、前記被固定面に対する前記取付部材の前記不陸を調整する、不陸調整構造。
【請求項2】
前記雄ねじ体は、前記軸部よりも外径が大きく前記軸部の端部に配置されて前記被固定面に当接可能なフランジ部を有する、請求項1に記載の不陸調整構造。
【請求項3】
前記軸部の内部には、前記貫通孔と連通し、内周面が平面視略六角形状に形成される六角内周部が形成され、
前記雄ねじ体は、前記六角内周部に六角レンチを挿入して操作することで、前記取付部材と前記被固定面との前記不陸が調整される、請求項1又は2に記載の不陸調整構造。
【請求項4】
前記取付部材は、前記雄ねじ体が挿通可能な取付部材貫通孔を有し、
前記雌ねじ体は、前記取付部材貫通孔の内周側に係合する小径部と、前記小径部から拡径して前記取付部材の内部に配置される大径部と、を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の不陸調整構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不陸調整構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば壁面のような被固定面に対して各種の取付部材を固定する場合に、取付部材側の寸法誤差や被固定面側の施工誤差等により、取付部材と被固定面との間に不陸が生じる場合がある。この不陸の調整のため、取付部材と被固定面との間にスペーサーとなる部材を配置させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、予め被固定面に固定されたスペーサーに対して、取付部材の被固定面に対する距離が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-108819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スペーサーの厚みによって不陸を調節する場合、調節可能な範囲がスペーサーの厚みや素材によって限定されやすく、微調整がしづらかった。さらにスペーサーの固定と取付部材の固定が別工程であるため、施工手順が複雑になっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、被固定面に取り付け固定される取付部材の前記被固定面に対する不陸を調整する不陸調整構造であって、外周面に雄ねじ溝が形成されるとともに軸方向に貫通する貫通孔が内部に形成された筒状の軸部を有し、前記貫通孔に挿通された固定具により前記被固定面に固定可能な雄ねじ体と、前記取付部材の内部に配置され、前記雄ねじ溝と螺合する雌ねじ溝が内周面に形成された筒状の雌ねじ体と、を有し、前記雄ねじ溝と前記雌ねじ溝の螺合位置を調整して前記雄ねじ体と前記雌ねじ体の前記軸方向の相対位置を変化させることにより、前記被固定面に対する前記取付部材の不陸を調整する、不陸調整構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態のフレーム収納体を示す図である。
図2】本実施形態のベースユニット及び連結ユニットを背面側から視た図である。
図3】本実施形態の縦桟を連結した位置での平面図である。
図4】本実施形態のフレーム収納体の側面図である。
図5A】本実施形態の不陸調整構造の側断面図である。
図5B】本実施形態の不陸調整構造を有する横桟の斜視図である。
図6】本実施形態の連結金具を背面側から見た斜視図である。
図7】本実施形態の棚板の固定構造の斜視図である。
図8A】本実施形態の棚板の底面図である。
図8B図8AのA-A断面図である。
図9】本実施形態の延出部を有する棚板受け部材の斜視図である。
図10A】本実施形態の補強材を有する棚板の底面図である。
図10B図10AのB-B断面図である。
図11】他の実施形態に係る連結金具の斜視図である。
図12】他の実施形態に係るフレーム収納体を下から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、フレーム収納体1は、後述する縦桟2、横桟3を組んで形成される平面視略コの字型のフレームユニット10に、棚板5や引出81や収納棚82等、任意の機能を有する収納部を配置して構成される。フレーム収納体1は、例えばキッチンや書斎等の設置される場所に応じて複数の枠状のユニットを連結し、寸法や形状を変更可能である。フレーム収納体1は、複数の縦桟2と、複数の横桟3と、連結金具4と、を有する。
【0008】
本明細書において、フレームユニット10を正面側から見た場合の左右を左右方向と言い、正面側から左右方向及び上下方向に直交する方向を奥行方向と言う。奥行方向において、正面側と手前側、奥側を背面側と言う。
【0009】
フレームユニット10は、フレーム収納体1に用いられ、棚板5や引出81等を取り付ける前の枠状の骨組みである。フレームユニット10は、ベースユニット110と、連結ユニット120と、を有する。
【0010】
図2は、本実施形態の基本的な構成を説明するため、図1のフレームユニット10から、ベースユニット110と、第2フレームとして連結ユニット120とを抜き出して並べ、背面側から視た図である。ベースユニット110及び連結ユニット120は、それぞれが上下方向に延びる縦桟2と、上下方向に直交する方向に延びる横桟3と、奥行方向に延びる側面側補強桟37と、を有する。ベースユニット110は、四本の縦桟2を支柱となるように配置し、縦桟2の間を横桟3で接続して、起立可能に構成されている。
【0011】
ベースユニット110の縦桟2は、背面側縦桟211と手前側縦桟212と、を有する。背面側縦桟211は、フレーム収納体1の背面側に配置される。背面側縦桟211は、ベースユニット110の背面側で、左右方向に互いに間隔を空けて略平行に配置され、一対設けられる。手前側縦桟212は、ベースユニット110の手前側に、左右方向に互いに間隔を空けて略平行に配置され、一対設けられる。
【0012】
ベースユニット110の横桟3は、第1横桟31である。第1横桟31は、フレーム収納体1の背面側に配置される。第1横桟31は、背面側縦桟211の背面に固定されて、ベースユニット110の一対の背面側縦桟211の間を接続する。第1横桟31は、上下方向に間を開けて三本配置されている。
【0013】
側面側補強桟37は、背面側縦桟211と手前側縦桟212との間を奥行方向に接続する。側面側補強桟37は、方形筒状の型材の端部を背面側縦桟211及び手前側縦桟212に固定して構成される。
【0014】
連結ユニット120は、ベースユニット110に連結可能なユニットである。連結ユニット120は、図2に示すように、左右方向一方の縦桟2を欠いており、ベースユニット110に連結することでベースユニット110の縦桟2を支柱として起立するように構成される。連結ユニット120は、図1及び図3に示すように、隣接するベースユニット110だけでなく、他の連結ユニット120の縦桟2を支柱として複数連結することが可能である。図2及び図3に示すように、連結ユニット120がベースユニット110又は隣接する連結ユニット120に連結されると、互いに隣接するベースユニット110又は連結ユニット120の間に縦桟2が一本配置される。
【0015】
連結ユニット120の縦桟2は、背面側縦桟221と、手前側縦桟222と、をそれぞれ一本ずつ有する。連結ユニット120の背面側縦桟221は、フレーム収納体1の背面側に配置され、ベースユニット110の背面側縦桟211から左右方向に間を開けた位置に一本配置される。連結ユニットの手前側縦桟222は、背面側縦桟221の手前側に配置される。
【0016】
連結ユニット120の横桟3は、第2横桟32である。図3に示すように、第2横桟32は、一端のみが背面側縦桟221の背面側に固定される。第2横桟32の他端は、ベースユニット110の背面側縦桟211の背面側で、ベースユニット110の背面側縦桟211に連結される。第2横桟32は、上下方向に間を開けて三本配置されている。
【0017】
側面側補強桟37は、ベースユニット110の構成と同様であり、背面側縦桟221と手前側縦桟222との間を奥行方向に接続する。
【0018】
図3に示すように、一対の横桟3が、縦桟2の背面側で互いに連結される。図3は、ベースユニット110に連結ユニット120を連結した位置から少し上で切断して見た縦桟2及び横桟3の平面図である。連結ユニット120の第2横桟32が、ベースユニット110の背面側縦桟211の背面側で背面側縦桟211に連結されることで、連結ユニット120がベースユニット110に連結される。ベースユニット110及び連結ユニット120を連結する連結金具4については、後に詳述する。
【0019】
縦桟2は、ベースユニット110及び連結ユニット120のいずれにおいても、内部が中空の方形筒状の形状を有する。縦桟2のうち、手前側縦桟212、222は、受け部材当接面23と、係止面24と、係止溝25と、を有する。手前側縦桟212、222は、後述する棚板受け部材6を係止可能に形成されている。
【0020】
受け部材当接面23は、図1図6及び図7に示すように、後述する棚板5が取り付けられる側の面であり、左右方向に間隔を空けて一対配置される縦桟2の互いに向き合う内側の面である。受け部材当接面23には、後述する棚板受け部材6の側面部61が当接する。
【0021】
係止面24は、図2図6及び図7に示すように、受け部材当接面23に直交する面である。係止面24は、手前側縦桟212、222において向かい合う背面側縦桟211、221側の面に形成され、後述する棚板受け部材6が係止される。係止面24は、縦桟2の正面から視認されない背面側に位置する。
【0022】
係止溝25は、係止面24に形成される方形の貫通溝である。係止溝25は、係止面24の長手方向の直交する幅方向に二つ並んで平行に形成されている。係止溝25は、図2に示すように、縦桟2の上下方向に、後述する棚板5を配置するための所定間隔を予め空けて配置され、棚板受け部材6が係止される溝である。
【0023】
縦桟2のうち、背面側縦桟211、221及び手前側縦桟212、222の両方は、受け部材当接面23を有する。背面側縦桟211、221の受け部材当接面23には、後述するビス64aを挿入するためのビス孔26が形成される。ビス孔26は係止溝25に対応して上下方向に間隔を空けて配置されている。背面側縦桟211、221においては、受け部材当接面23に直交する面には、係止溝25が形成されていない。
【0024】
横桟3の第1横桟31及び第2横桟32は、フレーム収納体1の背面側に配置されて、左右方向に互いに隣接する。図4に示すように、横桟3は、フレームユニット10を設置する場所の被固定面としての壁面200に対してねじで固定される。横桟3は、例えば、フレーム収納体1に用いられる取付部材であり、図5Bに示すように、本体部30と、取付部材貫通孔としての本体部貫通孔30aと、を有する。
【0025】
横桟3は、壁面200との間に隙間が空いている場合に、不陸調整構造300により壁面200に対する不陸を調整される。不陸調整構造300は、雄ねじ体33と、雌ねじ体34と、固定具35と、を有する。
【0026】
本体部30は、第1横桟31及び第2横桟32の方形筒状の外形部分であり、内部に雌ねじ体34を有するケーシングである。
【0027】
本体部貫通孔30aは、本体部30の厚さ方向に貫通しており、本体部30の内部が中空であることから、本体部30の背面側と、手前側の両面に円形の孔が形成されることで構成されている。本体部貫通孔30aは、後述する雄ねじ体33及び固定具35の両方が挿通可能である。
【0028】
雌ねじ体34は、具体的には内周面に雌ねじ溝34dを形成した筒状のナットである。雌ねじ体34は、取付部材である横桟3の本体部30の内部に配置されている。雌ねじ体34は、後述する雄ねじ体33の表面に係合し、雄ねじ体33の雄ねじ溝と螺合して進退可能に配置されている。雌ねじ体34は、小径部34aと、大径部34bと、を有する。図5Aに示すように、小径部34aは、本体部30における背面側(壁面200側)に配置される本体部貫通孔30aの内周に係合する。大径部34bは、小径部34aから拡径し、本体部30の内部に配置される。小径部34aと、大径部34bとの接合部には段差34cが形成され、大径部34bの背面側の面は、本体部30の背面側における本体部貫通孔30aの内側の面に係合している。大径部34bにより、雌ねじ体34が本体部30から抜け落ちないようになっている。
【0029】
雄ねじ体33は、本体部30と離れた別体の部材である。図5Aに示すように、雄ねじ体33は、軸部331と、フランジ部332と、貫通孔333と、六角内周部334と、を有する。
【0030】
軸部331は、本体部30の本体部貫通孔30aに挿通可能な略筒状の部分である。軸部331の内部には、軸方向に貫通する貫通孔333が形成されている。軸部331は、一方の端部が壁面200に当接可能に配置され、他方の端部が壁面200から遠ざかる方向に延びる。軸部331の外周面に、雄ねじ溝331aが形成されている。
【0031】
フランジ部332は、軸部331の端部に配置され、軸部331よりも外径が大きい円盤状の部分である。フランジ部332は、壁面200に当接可能な平坦な面を有する。フランジ部332の外径は、本体部30の背面側に形成された本体部貫通孔30aの直径よりも大きい。雄ねじ体33が雌ねじ体34に螺合しているので、フランジ部332によって雌ねじ体が本体部貫通孔30aの手前側から抜け落ちないようになっている。
【0032】
六角内周部334は、軸部331の内部で、軸部331の内周面の一部に形成される。六角内周部334は、軸部331の内周面が平面視で略六角形状に形成された周面と、周面の内側で貫通孔333と連通する中空部とを有し、六角レンチ(不図示)を挿入可能に構成されている。
【0033】
固定具35は、貫通孔333に挿入されるビスである。固定具35は、貫通孔333に挿通可能な軸部351と、本体部貫通孔30aの外径よりも大きな外径の頭部352を有する。
【0034】
不陸調整構造300において本体部30の不陸を調整して固定する方法について説明する。雄ねじ体33のフランジ部332を、本体部貫通孔30aに対向する位置で、壁面200に当接させる。雄ねじ体33の軸部331を、本体部貫通孔30aに挿入する。雄ねじ体33が本体部貫通孔30aに挿入されると、本体部貫通孔30aの内側に配置されている雌ねじ体34に軽く係合する。そこで、六角レンチを本体部貫通孔30aの手前側から軸部331の六角内周部334に挿入して操作することで、雄ねじ体33が回転する。雄ねじ体33が回転することで雌ねじ体34が雄ねじ体33の表面に形成された雄ねじ溝331aに係合して前後に進退する。六角レンチを回転させ、雌ねじ体34をフランジ部332側へ引き寄せるように移動させることで、雌ねじ体34が配置されている本体部30は壁面200へ近づく。雄ねじ体33のフランジ部332を壁面200に当接させた状態で、六角レンチを操作することで雌ねじ体34の位置が調整され、その結果、本体部30と壁面200との不陸が調整される。すなわち、雄ねじ溝331aと雌ねじ溝34dの螺合位置を調整して雄ねじ体33と雌ねじ体34の軸方向の相対位置を変化させることにより、壁面200に対する本体部30の不陸が調整される。不陸が調整された後、固定具35を本体部貫通孔30aから貫通孔333に挿通させ、壁面200を穿って本体部30を壁面200に固定する。
【0035】
連結金具4は、図6に示すように、ベースユニット110の第1横桟31と、連結ユニット120の第2横桟32とを連結する金具である。図6は、ベースユニット110及び連結ユニット120を連結した部分を、背面側から示している。連結金具4は、対となる第1横桟31及び第2横桟32のそれぞれの上面に固定されることで、一対の第1横桟31及び第2横桟32を連結する。連結金具4は、横桟3の上面の幅よりも狭い幅と、横桟3よりも短い長さの平坦な板であり、ベースユニット110の第1横桟31及び連結ユニット120の第2横桟32の上面に固定される。連結金具4は、第1固定部41と、第2固定部42と、第3固定部43と、を有する。第1固定部41は、第1横桟31の上面にねじで固定される。第2固定部42は、第2横桟32の上面にねじで固定される。第3固定部43は、第1固定部41と第2固定部42との間に配置され、背面側縦桟211の背面に固定される。第3固定部43は、縦桟2と横桟3を連結する補強金具44を乗り越えて配置されるため、連結金具4の長手方向の略中央部に、上方に凸となるように屈曲している。
【0036】
連結金具4は、図7に示すように、フレームユニット10の上端に天板59を配置する場合には、横桟3の上面ではなく、横桟3の下面に固定してもよい。
【0037】
ベースユニット110と連結ユニット120の固定方法について説明する。まず、ベースユニット110の第1横桟31を、設置位置の壁面200に固定する。次に連結ユニット120をベースユニット110の隣に移動させ、連結ユニット120の背面側縦桟221及び第2横桟32の位置をベースユニット110の背面側縦桟211及び第1横桟31に合わせる。そして、連結金具4の第1固定部41をベースユニット110の第1横桟31の上面に固定し、第2固定部42を連結ユニット120の第2横桟32の上面に固定する。最後に、不陸調整構造300にて横桟3の不陸を調整しながら、連結ユニット120を壁面200に固定する。図4に示すように、縦桟2の背面側で横桟3を連結するので、例えば壁面200に巾木201が配置されていた場合でも、巾木201を避けてフレームユニット10が壁面200に固定される。
【0038】
次に、フレームユニット10に取り付けられる棚板5の固定構造400について説明する。棚板5の固定構造400は、縦桟2と、棚板5と、棚板受け部材6と、位置決め部材55と、を有する。
【0039】
棚板5は、フレームユニット10に略水平方向に配置され、任意の物品を載置可能な板材である。使用者は、複数の棚板5を所望の位置に所望の数配置することが可能である。棚板5は、例えば中密度繊維版等で構成されてよいが、材質は限定されない。図1に示すように、棚板5は、奥行方向の寸法については、フレームユニット10の奥行方向の寸法と略同じ板材であってもよく、奥行方向の寸法がフレームユニット10よりも短く形成された板材であってもよい。棚板5の左右方向の寸法は、フレームユニット10に取り付ける観点から、ベースユニット110又は連結ユニット120の左右方向と同じであることが好ましいが限定されない。
【0040】
棚板受け部材6は、棚板5の左右方向の両端に取り付けられ、棚板5を支持する。棚板受け部材6は、縦桟2(背面側縦桟211、221及び手前側縦桟212、222)の間を接続し、縦桟2に係止及び固定される金具である。棚板受け部材6は、長細い部材であり、長手方向がフレームユニット10の奥行方向に沿って配置される。棚板受け部材6は、側面部61と、支持面部62と、係止片63と、延出部66と、位置決め係合孔65と、を有する。
【0041】
側面部61は、一対の縦桟2の受け部材当接面23に当接可能な面である。側面部61は縦長の形状を有し、幅方向が縦桟2の上下方向に沿い、長手方向が棚板5の奥行方向に沿って、一対の縦桟2(背面側縦桟211、221及び手前側縦桟212、222)の間に延びる。側面部61は、背面側縦桟211、221側の端部から連続して上方に延出する固定片64を有する。固定片64の上方への延出長さは限定されないが、例えば、後述する延出部66の上下方向の寸法と同程度であってもよい。固定片64は、背面側縦桟211、221の受け部材当接面23に当接し、ビス64aにより固定される。
【0042】
支持面部62は、側面部61の下端から直交し、棚板5を下方から支持する面である。支持面部62と、側面部61とは、断面視略L字型に配置されている。図8Aに示すように、支持面部62は、略長方形の形状を有し、短手方向がフレームユニット10の左右方向に、長手方向が棚板5の奥行方向に沿うように配置される。支持面部62の幅寸法は、側面部61の幅寸法よりも大きい。支持面部62は、後述する位置決め係合孔65を有する。
【0043】
係止片63は、側面部61における一方側、すなわち手前側縦桟212、222側の端部の上部に設けられる。係止片63は、背面側縦桟211、221側から手前側縦桟212、222側に折り返すように屈曲する。係止片63は、後述する延出部66の上端と連続して平面視略U字状を形成している。図7に示すように、係止片63は、背面側から手前側縦桟212、222の係止面24に向かって延び、係止溝25に挿入されて係止される。
【0044】
延出部66は、図8Bに示すように、側面部61の一端側の上端から上方に延出する部分である。延出部66は、側面部61の手前側縦桟212、222側の端部と係止片63との間に受けられて上下方向に延びる。延出部66は、側面部61から連続する金属の板面が上方の係止片63に向かって延びる短い部分である。
【0045】
位置決め係合孔65は、支持面部62の棚板受け部材6の奥側の端部から手前側に離れた位置に好ましく形成される。図8Aに示すように、位置決め係合孔65は、瓢箪の形状をした貫通孔であり、幅大部651と、幅狭部652とを有する。幅大部651は、後述する位置決め部材55の最大外径よりも大きな径を有する円形に近い孔である。幅狭部652は、幅大部651よりも小さく、後述する位置決め部材55の最大外径よりも小さな径を有する略U字状の外縁を有する孔である。幅大部651及び幅狭部652は、隣接する周縁で連続している。
【0046】
位置決め部材55は、棚板5の底面から下方に突出するように設けられる。位置決め部材55は、具体的には段付きねじである。図7及び図8Bに示すように、位置決め部材55は、ねじ軸部551と、ねじ頭部552と、を有する。ねじ軸部551は、表面にねじ溝の形成された略円柱体であり、棚板5の底面に締結して固定される。ねじ頭部552は、頭部大径部552aと、頭部小径部552bと、を有する。頭部小径部552bは、ねじ軸部551の端部から拡径した円周状の部分である。頭部小径部552bは、位置決め部材55のねじ軸部551側に配置され、ねじ軸部551と頭部大径部552aの間に位置して、頭部大径部552aよりも小さく、位置決め係合孔65の幅狭部652よりも大きい。頭部大径部552aは、位置決め部材55の先端側に配置され、頭部小径部552bよりも外径が大きい略円盤状のねじの上面である。頭部大径部552aの最大径は、位置決め係合孔65の幅大部651よりも小さく、幅狭部652よりも大きい。
【0047】
位置決め部材55は、棚板5の底面に固定された状態で、位置決め係合孔65の幅大部651を挿通し、頭部小径部552bを位置決め係合孔65の幅狭部652の方へ移動される。頭部小径部552bは、棚板5の底面と、棚板受け部材6の支持面部62の下面との間に位置し、位置決め係合孔65に係合する。頭部大径部552aが位置決め係合孔65の幅狭部652よりも径が大きく、抜けないために、棚板受け部材6と棚板5の位置が決まる。棚板受け部材6は、フレームユニット10の奥行方向に沿って配置されるが、奥側又は手前側で縦桟2に接続しても、左右方向に位置が振れることがある。棚板受け部材6が左右に動くと、棚板受け部材6の上の適切な位置に棚板5を固定する位置がわかりづらくなる。そこで、棚板5から位置決め部材55と下方に突出され、位置決め部材55を位置決め係合孔65に挿通させることで、容易に棚板5と棚板受け部材6との位置が決まる。加えて、位置決め係合孔65が幅大部651と幅狭部652を有する略瓢箪形状を有していることで、施工や組み立ての際に生じる寸法の誤差を、位置決め係合孔65が吸収する。
【0048】
図9は、延出部66Aの延出長さを、図7、及び図8A図8Bに示す棚板受け部材6における延出部66の延出長さよりも長く構成した棚板受け部材6Aを示す。図1に示すように、棚板5の位置は、係止溝25に係止片63を挿入させることで決まる。しかし、係止溝25が形成されているピッチよりも狭いピッチで棚板5を配置したい場合がある。棚板受け部材6として、係止片63の延出部66と固定片64が上方に延出する延出長さを異なるものを使用することで、係止溝25の上下方向のピッチにかかわらず、棚板5の上下方向の位置を変更することができる。
【0049】
図9に示す棚板受け部材6Aでは、係止片63の延出部66A及び固定片64の上方に延出する延出長さが長いために、係止溝25から下方に下がった位置が棚板5の位置となる。これによれば、図1に示すように、上下方向に隣接する棚板5同士のピッチを狭くすることが実現される。このように、フレーム収納体1に、延出部66、66Aの上下方向の寸法が異なる複数の棚板受け部材6、6Aを備える棚板の固定構造400を用いることで、棚板5同士の上下方向の間隔を変更することができる。
【0050】
図10A及び図10Bは、補強材7が設けられた補強棚板5Bを示す。補強棚板5Bは、例えば電子レンジ等の重量の大きな物品を載置する場合等、棚板5が撓むことを防止したい場合に用いられる。補強棚板5Bは、棚板本体50と、補強材7と、を有する。
【0051】
棚板本体50は、棚板5と同様の薄い略直方体の板状の形状であり、棚板本体50の一方側の面である裏面に長手方向に延びて形成される溝部51を有する。溝部51は、図10Bに示すように、棚板本体50の他方側の面である表面に達しない深さを有する。溝部51は、棚板本体50の長手方向における両端部から、棚板受け部材6の支持面部62の幅の分内側の位置で長手方向に延びる。溝部51は、棚板本体50における短手方向の例えば1/4程度手前側に形成される。溝部51の位置が、短手方向の中央部を避けることで、応力の集中を避け、棚板本体50の破損等を防止することができる。
【0052】
補強材7は、溝部51に差し込まれる金属の板材であり、一枚の金属の板材を折り曲げ成形することにより構成される。補強材7は、挿入部73と、一対の当接面部70と、を有する。挿入部73は、図10Bに示すように、板材を山折りに折り曲げて二重に重ねられて形成されている。挿入部73は、補強棚板5Bの長手方向に延びて設けられ、溝部51内に挿入される。挿入部73は、棚板本体50の裏面からの高さが、溝部51の内側に嵌まるように構成される。
【0053】
一対の当接面部70は、それぞれが細長い略長方形で平面状の第1当接部71及び第2当接部72を有する。第1当接部71及び第2当接部72は、挿入部73を挟んだ両側に、挿入部73に沿って設けられる。一対の当接面部70は、棚板本体の一方の面である裏面に当接する。
【0054】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。不陸調整構造300を、壁面200に取り付け固定される横桟3の壁面200に対する不陸を調整するように構成した。不陸調整構造300を、外周面に雄ねじ溝331aが形成されるとともに軸方向に貫通する貫通孔333が内部に形成された筒状の軸部331を有し、貫通孔333に挿通された固定具35により壁面200に固定可能な雄ねじ体33と、横桟3の内部に配置され、雄ねじ溝331aと螺合する雌ねじ溝34dが内周面に形成された筒状の雌ねじ体34と、を含んで構成した。雄ねじ溝331aと雌ねじ溝34dの螺合位置を調整して雄ねじ体33と雌ねじ体34の軸方向の相対位置を変化させることにより、壁面200に対する横桟3の不陸を調整させた。横桟3における本体部30の内部に配置された雌ねじ体34が雄ねじ体33の表面を進退し、雄ねじ体33と雌ねじ体34の相対位置が変化することで、フレーム収納体1の横桟3と壁面200との間の距離が調整され、不陸が調整される。このため、ほんのわずかな不陸でも微調整がしやすい。また、微調整を行った後そのまま固定具35を打てば微調整をした状態で横桟3を固定することができるので、簡易に不陸を調整して固定することができる。
【0055】
本実施形態によれば、雄ねじ体33を、軸部331よりも外径が大きく軸部331の端部に配置されて壁面200に当接可能なフランジ部332を含んで構成した。これにより、雄ねじ体33を安定して壁面200に当接させることができる。雄ねじ体33と雌ねじ体34の相対位置の変化により不陸を調整するため、フランジ部332を厚くする必要がない。その結果、側面から視た場合に、フランジ部332を視認しにくく構成することが可能になり、外観が向上する。
【0056】
本実施形態によれば、軸部331の内部に、貫通孔333と連通し、内周面が平面視略六角形状に形成される六角内周部334を形成した。雄ねじ体33を、六角内周部334に六角レンチを挿入して操作することで、横桟3と壁面200との不陸を調整させた。雄ねじ体33の貫通孔333に六角レンチを挿入することで雄ねじ体33と雌ねじ体34との相対位置を変化させることができるので、簡易な操作で不陸を調整して固定することができる。
【0057】
本実施形態によれば、横桟3を、雄ねじ体33が挿通可能な本体部貫通孔30aを含んで構成した。雌ねじ体34を、本体部貫通孔30aの内周側に係合する小径部34aと、小径部34aから拡径して横桟3の内部に配置される大径部34bと、を含んで構成した。雌ねじ体34が小径部34aと大径部34bとを有し、小径部34a及び大径部34bで形成される段差34cで横桟3の本体部30における本体部貫通孔30aに係合することで、雌ねじ体34が本体部30から抜け落ちなくなる。さらに、雌ねじ体34の本体部30内の位置を規定することができる。これにより最低限の部品で不陸調整構造300を構成することができ、簡易な構成で不陸を調整して固定することができる。
【0058】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。上記実施形態では、横桟3を壁面200に固定する際の不陸調整構造300について説明したが、被固定面は、壁面200でなくてもよく、取付部材はフレーム収納体1に用いられるものに限られず、横桟3でなくてもよい。不陸調整構造は、部品を被固定面に取り付ける場合に広く用いられる概念である。
【0059】
上記実施形態では、連結金具4を、横桟3の上面を連結する平板状の部材として説明したが、これに限られない。図11は、横桟3同士を連結する連結金具4Cの他の実施形態を示す。図11に示すように、連結金具4Cは、方形筒状の横桟3の端部近傍における内部に挿入される。連結金具4Cは、断面視I字型に形成され、横桟3の方形の中空部内に、横桟3に沿った細長い板状の部分401と、この板状の部分の上下方向の端部で、板状の部分401の厚さよりも厚さ寸法の大きな上面部402及び底面部403とを有する。連結金具4は、隣接する横桟3が突き合わさる部分に、横桟3の内部に収容されない寸法の方形の肉厚部404を有し、この肉厚部404が、横桟3同士が連結される際の横桟3の端部キャップを模している。この連結金具4C及び隣接するそれぞれの横桟3を壁面200に向かって重ねて貫通するようにねじを締結することで、横桟3同士が連結されるとともに、壁面200に固定される。
【0060】
図12には、他の形状のフレームユニット10Dの例を示す。上記実施形態では、縦桟2及び横桟3を組み立てたフレームに棚板5や棚板5Aを配置したものを例に説明した。しかし、これに限られない。例えば、棚板5のみならず、引出81や収納棚82、家電等を手前に引出可能な板状の家電スライダー83等を配置してもよい。図12に示すように、連結ユニット120Dは、適宜左右方向に異なる幅に構成してもよい。
【0061】
上記実施形態では、フレームユニット10を、ベースユニット110に連結ユニット120を連結したものとして説明した。しかし、ベースユニット110が一つあれば、連結ユニット120に連結ユニット120を複数連結してよい。連結ユニット120同士の連結においても、隣接する一方の連結ユニットの背面側横桟と、他方の連結ユニットの背面側横桟とは、一本の縦桟の背面側で接続することができる。縦桟2及び横桟3の数や配置は、任意に変更可能であり、特に限定されない。
【0062】
上記実施形態では、棚板受け部材6の位置決め係合孔65は、瓢箪形状で奥行方向の略中央部付近に形成されたものを例に説明した。しかし、棚板5の種類や、設置場所に応じて、位置決め係合孔65の位置も形状も設計可能である。位置決め係合部は、棚板受け部材6の手前側又は奥側の隅に形成されていてもよい。また、家電スライダー83及び引出81の最下段に用いられているように、位置決め係合部65Dは、支持面部62に形成した貫通孔でなくてもよい。支持面部62の外縁の一部をU字状に屈曲させ、U字に湾曲した湾曲部に位置決め部材55を係合させるように構成してもよく、支持面部62の外縁の一部を切り欠いて形成してもよい。
【0063】
上記実施形態では、棚板受け部材6の側面部61における上方に延出する固定片64が受け部材当接面23に固定されている。しかし、側面部61を、固定片64を有さない略長方形に形成し、背面側の端部をビス64aにより固定してもよい。
【符号の説明】
【0064】
3 横桟(取付部材)、 30a 本体部貫通孔(取付部材貫通孔)、 33 雄ねじ体、 34 雌ねじ体、 34a 小径部、 34b 大径部、 34d 雌ねじ溝、 35 固定具、 331 軸部、 331a 雄ねじ溝、 332 フランジ部、 333 貫通孔、 334 六角内周部、 200 壁面(被固定面)、 300 不陸調整構造
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12