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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081031
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】感知器取付角度調整器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20230602BHJP
   F16M 11/14 20060101ALI20230602BHJP
   F16M 13/02 20060101ALI20230602BHJP
   G08B 17/06 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
G08B17/00 G
F16M11/14 Z
F16M13/02 D
G08B17/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194680
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA11
5C085FA13
5G405AA01
5G405AB05
5G405CA58
5G405FA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構造で感知器の向きの調整も行いやすい感知器取付角度調整器を提供する。
【解決手段】感知器取付角度調整器100は、第1の取付部材10と、第2の取付部材50と、を備える。第1の取付部材10は、取付基準面Saを有するベース部11と、軸Ax1を中心として回転可能に設けられた第1の接続部品15とを有する。第1の接続部品15は、第1の連結基準面を含み、第2の取付部材50に連結される第1の連結部16を有する。第2の取付部材50は、第2の連結基準面を有する第2の連結部56を有する。第1の連結部16及び第2の連結部56は、回転面S1において互いに回転可能に設けられ、第1の接続部品15をベース部11に対して回転させるか又は第2の取付部材50を第1の取付部材10に対して回転させることにより、支持基準面S2の向きが調整可能に構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の対象物に取り付けられる第1の取付部材と、
感知器を支持する第2の取付部材と、
を備える感知器取付角度調整器であって、
前記第1の取付部材は、
前記所定の対象物に固定される取付基準面を有するベース部と、前記取付基準面を通過する軸を中心として前記ベース部に対して回転可能に設けられた第1の接続部品とを有し、前記第1の接続部品は、前記所定の対象物に取り付けられる前記取付基準面に対して傾斜した角度をなす第1の連結基準面を含み前記第2の取付部材に連結される第1の連結部を有し、
前記第2の取付部材は、
前記感知器を支持する支持基準面に対して所定の角度をなす第2の連結基準面を有する第2の連結部を有し、前記第1の連結部及び前記第2の連結部は、それぞれの前記連結基準面を対向させた状態で回転面において互いに回転可能に設けられ、
前記第1の接続部品を前記ベース部に対して回転させるか、又は、前記第2の取付部材を前記第1の取付部材に対して回転させることにより、前記支持基準面の向きが調整可能に設けられている、
感知器取付角度調整器。
【請求項2】
前記第2の取付部材を前記第1の取付部材に対して回転させることにより、側面視において、取付基準面を通過する前記軸と前記支持基準面に垂直な軸とのなす角度が0°から90°までの範囲内の任意の角度となるように、前記支持基準面の向きが調整可能に設けられている、
請求項1に記載の感知器取付角度調整器。
【請求項3】
側面視において、前記取付基準面に対する前記回転面のなす角度と、前記支持基準面に対する前記回転面のなす角度とが同一である、
請求項1又は2に記載の感知器取付角度調整器。
【請求項4】
前記第2の取付部材は、
前記支持基準面を形成する支持部材と、
前記支持部材に連結された第2の接続部品と、
を有し、
前記支持部材が前記第2の接続部品に対して回転可能に設けられている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の感知器取付角度調整器。
【請求項5】
前記第1の連結部及び前記第2の連結部は外形が同一の円筒形状に形成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の感知器取付角度調整器。
【請求項6】
前記第1の接続部品を前記ベース部に対して回転させる駆動機構、又は、前記第1の連結部と前記第2の連結部とを互いに回転させる駆動機構の少なくとも何れかをさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の感知器取付角度調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感知器取付角度調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感知器を所定の方向に向けた状態で壁面や天井面に固定する取付具が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-15331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の取付具は、複数の部品が連結用部品や固定ネジ等で互いに連結された構造であり、複雑な構造で且つ多くの部品が必要である。
【0005】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で感知器の向きの調整も行いやすい感知器取付角度調整器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の感知器取付角度調整器は、所定の対象物に取り付けられる第1の取付部材と、感知器を支持する第2の取付部材と、を備える感知器取付角度調整器であって、前記第1の取付部材は、前記所定の対象物に固定される取付基準面を有するベース部と、前記取付基準面を通過する軸を中心として前記ベース部に対して回転可能に設けられた第1の接続部品とを有し、前記第1の接続部品は、前記所定の対象物に取り付けられる前記取付基準面に対して傾斜した角度をなす第1の連結基準面を含み前記第2の取付部材に連結される第1の連結部を有し、前記第2の取付部材は、前記感知器を支持する支持基準面に対して所定の角度をなす第2の連結基準面を有する第2の連結部を有し、前記第1の連結部及び前記第2の連結部は、それぞれの前記連結基準面を対向させた状態で回転面において互いに回転可能に設けられ、前記第1の接続部品を前記ベース部に対して回転させるか、又は、前記第2の取付部材を前記第1の取付部材に対して回転させることにより、前記支持基準面の向きが調整可能に設けられている。
【0007】
前記第2の取付部材を前記第1の取付部材に対して回転させることにより、側面視において、取付基準面を通過する前記軸と前記支持基準面に垂直な軸とのなす角度が0°から90°までの範囲内の任意の角度となるように、前記支持基準面の向きが調整可能に設けられていてもよい。
【0008】
側面視において、前記取付基準面に対する前記回転面のなす角度と、前記支持基準面に対する前記回転面のなす角度とが同一であってもよい。
【0009】
第2の取付部材は、支持基準面を形成する支持部材と、前記支持部材に連結された第2の接続部品と、を有し、前記支持部材が前記第2の接続部品に対して回転可能に設けられていてもよい。
【0010】
前記第1の連結部及び前記第2の連結部は外形が同一の円筒形状に形成されていてもよい。
【0011】
前記第1の接続部品を前記ベース部に対して回転させる駆動機構、又は、前記第1の連結部と前記第2の連結部とを互いに回転させる駆動機構の少なくとも何れかをさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単な構造で感知器の向きの調整を行い易い感知器取付角度調整器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の感知器取付角度調整器が所定の対象物に設置された状態を示す図である。
図2】感知器取付角度調整器を第1の向きと第2の向きとに変更した状態を示す図である。
図3】感知器取付角度調整器の外観を示す模式的な斜視図である。
図4】第1の取付部材を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
図5】第2の取付部材を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
図6】第1の接続部品と第2の接続部品との連結構造の一例を示す断面図である。
図7】取付基準面に対する支持基準面の可動範囲を説明するための模式図である。
図8】第1の取付部材を軸周りで回転させた際の支持基準面の位置を示す模式図である。
図9】第1の取付部材単体を示す図であり、第1の取付部材を軸周りで回転させた状態を示す図である。
図10】駆動機構を備える感知器取付角度調整器を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら以下説明する。図1は、本発明の一実施形態の感知器取付角度調整器100が所定の対象物Aに設置された状態を示す図である。図2は、感知器取付角度調整器100を第1の向きと第2の向きとに変更した状態を示す図である。図2(a)は水平方向である第1の向きであり、図2(b)は下向き45°の向きである。
【0015】
以下では、図面に描かれた部材の向きに合わせて「上」、「下」、「右」、「左」のような方向を示す用語が使用されるが、これらの用語は本発明を限定する意図で使用されるものではない。
【0016】
(感知器取付角度調整器100について)
図1に示すように、本実施形態の感知器取付角度調整器100は、感知器200を所定の対象物Aに取り付けるための器具であって、第1の取付部材10と、第2の取付部材50とを備えている。第1の取付部材10と第2の取付部材50とは互いに回転可能に連結されている。
【0017】
感知器200は、例えば炎感知器、煙感知器、ガス感知器など任意の感知器である。以下では、感知器200が炎感知器である例について説明する。検知対象物300は特定のものに限定されないが、一例として、発火の可能性がある所定の機器である。図1では、検知対象物300が室内に配置され、鉛直な壁面である対象物Aに感知器取付角度調整器100を介して感知器200が取り付けられている。
【0018】
第1の取付部材10は、対象物Aに取り付けられる部材であり、図2及び図3に示すように、ベース部11と、第1の接続部品15とを有している。感知器取付角度調整器100の特徴の1つは、図2に示すように、第1の接続部品15を軸Ax1周りにベース部11に対して回転させるか、又は、第2の取付部材50を軸Ax2周りに第1の取付部材10に対して回転させることにより、感知器200の向きが調整可能に設けられている点にある。以下、詳細に説明する。
【0019】
図3は、感知器取付角度調整器100の外観を示す模式的な斜視図である。図4は、第1の取付部材10を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。ベース部11は、対象物Aに固定される取付基準面Saを形成する部材である。ベース部11の形状は任意であるが、本実施形態ではベース部11は板状である。ベース部11は、具体的には四角形の板状部材であってもよい。ベース部11には、一例として、対象物Aにベース部11を固定するために固定用のボルト(不図示)が通される複数の孔11hが形成されている。ベース部11の材質は特定のものに限定されないが、例えば、樹脂または金属である。
【0020】
第1の接続部品15は、軸Ax1を中心としてベース部11に対して回転可能に設けられている。軸Ax1は、ベース部11の取付基準面Saを通過する軸であり、具体的には、取付基準面Saに対して垂直な軸である。第1の接続部品15は、ベース部11の取付基準面Saとは反対側の面に設けられている。第1の接続部品15は、基端部と先端部とを有する部材であり、基端部がベース部11に回転可能に接続され、先端部には第1の連結部16が形成されている。
【0021】
第1の連結部16は、第2の取付部材50の第2の連結部56(詳細後述)に回転可能に連結される構造部である。第1の連結部16は、例えば円筒形状に形成され、第1の連結基準面16aは一例として円環状の平面である。軸Ax2は、第1の連結基準面16aに垂直な軸であり、また、第1の連結部16の円筒の中心軸である。
【0022】
第1の連結基準面16aは、図4(a)に示すように、取付基準面Saに対して傾斜した角度をなすように形成されている。第1の連結基準面16aは、具体的には、取付基準面Saに対して22.5の角度をなしている。第1の連結基準面16aが他の角度で取付基準面Saに対して角度をなす態様については、後述する。
【0023】
なお、本実施形態では第1の連結部16は円筒形状であるが、第1の連結部16の断面形状は例えば円形、楕円形、四角形、多角形等であってもよい。第1の接続部品15のうち、ベース部11に接続される基端部と第1の連結部16との間の領域は、どのような形状であってもよい。第1の接続部品15の材質は特定のものに限定されないが、例えば、樹脂または金属である。
【0024】
第1の接続部品15が中空の筒状部材であり、その内部に感知器200に接続されるリード線が通されてもよい。この場合、ベース部11に不図示の開口部が設けられ、リード線がその開口部を通るように、感知器200が設置されてもよい。
【0025】
図5は、第2の取付部材50を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。第2の取付部材50は、支持部材51と、第2の接続部品55とを有する。
【0026】
支持部材51は、感知器200を支持する支持基準面S2を有する部材である。支持部材51は、例えば四角形の板状部材であり、支持基準面S2は一例として平坦面である。支持部材51には、感知器200を支持するために固定用のボルト(不図示)が通される複数の孔51hが形成されていてもよい。支持部材51の材質は特定のものに限定されないが、例えば、樹脂または金属である。
【0027】
第2の接続部品55は、軸Ax3を中心として支持部材51に対して回転可能に設けられている。軸Ax3は、支持基準面S2を通過する軸であり、具体的には、支持基準面S2に対して垂直な軸である。第2の接続部品55は、支持部材51の支持基準面S2とは反対側の面に設けられている。第2の接続部品55は、基端部と先端部とを有する部材であり、基端部が支持部材51に回転可能に接続され、先端部には第2の連結部56が形成されている。
【0028】
第2の連結部56は、第1の取付部材10の第1の連結部16に回転可能に連結される構造部である。第2の連結部56は、例えば円筒形状に形成されている。図5において、軸Ax2は、第2の連結基準面56aに垂直な軸であり、また、第2の連結部56の円筒の中心軸である。第2の連結部56は、具体的には、第1の連結部16と直径が同一の円筒形状(換言すれば、外形が同一の円筒形状)であってもよい。「直径が同一の円筒形状」とは、円筒の直径が同一であればよく、内径は必ずしも同一である必要はない。
【0029】
第2の連結部56は、支持基準面S2に対して傾斜した角度をなすように形成された第2の連結基準面56aを含んでいる。第2の連結基準面56aは、具体的には、支持基準面S2に対して22.5の角度をなしている。上述した第1の連結部16についての説明も踏まえると、本実施形態では、取付基準面Saに対する第1の連結基準面16aのなす角度と、支持基準面S2に対する第2の連結基準面56aのなす角度とが同一となるように設けられている。
【0030】
第1の連結基準面16a及び第2の連結基準面56aは、感知器取付角度調整器100の組立状態で互いに対向し、回転面S1に一致する面である。よって、換言すれば、本実施形態では、取付基準面Saに対する回転面S1のなす角度と、支持基準面S2に対する回転面S1のなす角度とが同一であるということになる。このような構成により、図2のように、感知器取付角度調整器100は、支持基準面S2と取付基準面Saとが平行になる状態と、支持基準面S2が取付基準面Saに対して45°の角度をなす状態とに変形可能となっている。具体的には、本実施形態では、支持基準面S2が取付基準面Saに対して0°から±45°の範囲内の任意の角度となるように、支持基準面S2の位置が調整可能である。この詳細については、図7及び図8を参照して後述する。
【0031】
なお、本実施形態では第2の連結部56は円筒形状であるが、第2の連結部56の断面形状は例えば円形、楕円形、四角形、多角形等であってもよい。第2の接続部品55のうち、支持部材51に接続される基端部と第2の連結部56との間の領域は、どのような形状であってもよい。第2の取付部材50の材質は特定のものに限定されないが、例えば、樹脂または金属である。
【0032】
第2の接続部品55が中空の筒状部材であり、その内部に感知器200に接続されるリード線が通されてもよい。この場合、支持部材51に開口部51g(図3参照)が設けられ、リード線がその開口部51gに通され、感知器200に接続されていてもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、第2の接続部品55が軸Ax3を中心として支持部材51に対して回転可能に設けられているが、第2の接続部品55が支持部材51に対して回転しないように固定されていてもよい。
【0034】
本発明において、第2の取付部材50は、第2の連結部56を有する部材であって感知器200を直接的又は間接的に支持する機能を有していればよい。したがって、支持部材51が設けられておらず、第2の接続部品55の端部に感知器200が取り付けられるような構成としてもよい。
【0035】
図6は、第1の接続部品15と第2の接続部品55との連結構造の一例を示す断面図である。第1の接続部品15の第1の連結部16と、第2の接続部品55の第2の連結部56とは、例えば、図6のような構造により互いに回転可能に連結される。この例では、第2の連結部56の先端部に形成された円環状の突出部56bが、第1の連結部16の先端部付近に形成された突出部56bに対応する形状の凹部16bに挿入されている。
【0036】
第1の連結部16と第2の連結部56とは同軸に配置され、回転面S1に垂直な軸Ax2周りに互いに相対的に回転可能である。
【0037】
第1の連結部16と第2の連結部56との軸Ax2周りの相対的な回転を規制してロックするために、例えば、不図示の固定ネジが設けられていてもよい。不図示の固定ネジは、例えば、第1の連結部16の周壁の厚み方向に延在するように形成されたネジ孔(不図示)に対して外側から径方向内側に向かってねじ込まれる。固定ネジの先端が突出部56bの外周面に当接し、押し付けられることで、回転がロックされる。
【0038】
第1の連結部16と第2の連結部56との相対的な回転をロックするための構造としては、他にも、例えば、第1の連結部16の周りを囲むように配置された結束手段を締め付けることで固定が行われるものであってもよい。結束手段は例えばバンドであってもよい。このような構造は、第1の連結部16が結束手段の締め付けによって径方向内側に変形する部材で構成されている場合に利用可能である。
【0039】
(感知器200について)
再び図1及び図2を参照する。感知器200は、前述したように本実施形態では一例として炎感知器である。感知器200は、任意の形状の筐体201を有し、第2の取付部材50の支持基準面S2に固定されている。本実施形態では、図1に示すように、感知器200は検知対象物300の側を向くように感知器取付角度調整器100によって支持されている。
【0040】
〔感知器取付角度調整器100の動作〕
上述の構成を有する感知器取付角度調整器100の動作について、以下に説明する。図7は、取付基準面Saに対する支持基準面S2の可動範囲を説明するための模式図である。図8は、第1の取付部材10を軸Ax1周りで回転させた際の支持基準面S2の位置を示す模式図である。図9は、第1の取付部材10単体を示す図であり、第1の取付部材10を軸Ax1周りで回転させた状態を示す図である。
【0041】
図9に関し、図9(c)が図4の部品図の側面視の状態に対応している。この状態から軸Ax1を中心として第1の取付部材10を時計回りに45°(第1の取付部材10を正面側から見たときの時計回りの方向をいう)回転させた状態が図9(b)であり、第1の取付部材10を時計回りに90°回転させた状態が図9(a)である。図9(c)の状態から軸Ax1を中心として第1の取付部材10を反時計回りに45°回転させた状態が図9(d)であり、第1の取付部材10を時反計回りに90°回転させた状態が図9(e)である。図7における回転面S1の向き(換言すれば第1の取付部材10の向き)は、図9(c)に示す状態に対応している。
【0042】
本実施形態の感知器取付角度調整器100では、第1に、図7に例示するように、第2の取付部材50を第1の取付部材10に対して回転させることにより、側面視において軸Ax1と軸Ax3とのなす角度が0°から45°までの範囲内の任意の角度となるように、支持基準面S2の向きが調整可能に設けられている。このように、0°から45°までの範囲内で支持基準面S2の取付基準面Saに対する角度を調整可能な理由は、次の通りである。
【0043】
具体的には、本実施形態では、回転面S1が取付基準面Saに対して22.5°で傾くとともに、支持基準面S2も回転面S1に対して22.5°で傾いている。したがって、第2の取付部材50を第1の取付部材10に対して軸Ax2周りに回転させたときに、支持基準面S2は、図7に示すように、軸Ax3と軸Ax1とのなす角度が0°となる位置(すなわち、支持基準面S2と取付基準面Saとが平行となる位置)と、軸Ax3と軸Ax1とのなす角度が45°となる位置とに移動することができる。軸Ax3と軸Ax1とのなす角度が0°となる位置から45°となる位置まで支持基準面S2を移動させるためには、第2の取付部材50を第1の取付部材10に対して軸Ax2周りに180°回転させればよい。
【0044】
本実施形態の感知器取付角度調整器100では、第2に、第1の取付部材10が軸Ax1周りに回転可能に構成されている。したがって、支持基準面S2を上記のような可動範囲内の任意の位置に位置させ、第1の取付部材10を軸Ax1周りに回転させることで、図8に示すように支持基準面S2を軸Ax1を中心とした任意の向きに向けることができる。感知器取付角度調整器100が上記のように構成されていることにより、結果的に、本実施形態の感知器取付角度調整器100では、軸Ax1と軸Ax3とのなす角度が側面視及び上面視のいずれにおいても0°から±45°の範囲内の任意の角度となるように支持基準面S2の向きが調整可能となっている。
【0045】
感知器取付角度調整器100を用いて感知器200を対象物Aに設置する際、ユーザは、例えば、まず、感知器200を感知器取付角度調整器100の支持基準面S2に取り付ける。そして、感知器取付角度調整器100の取付基準面Saを対象物Aに対して取り付ける。その後、第1の取付部材10及び/又は第2の取付部材50を回転させて支持基準面S2の向き(すなわち、感知器200の向き)を調整する。そして、感知器200が例えば検知対象物300を向いた状態で、必要に応じて、回転をロックするための手段(例えば、固定ネジや結束手段)を操作して、感知器200を最終的な取付位置に設置する。
【0046】
〔作用効果〕
以上説明したように、本実施形態の感知器取付角度調整器100では、第1の接続部品15をベース部11に対して回転させるか、又は、第2の取付部材50を第1の取付部材10に対して回転させることにより、支持基準面S2の向きをその可動範囲内において自由に変更できるので、感知器200を所望の向きに向けることができる。具体的には、本実施形態の場合、第1の接続部品15がベース部11に対して軸Ax1周りに回転可能に構成されていることと、第2の取付部材50が第1の取付部材10に対して軸Ax2周りで回転可能に構成されていることとのコンビネーションにより、感知器200の向きを、側面視及び上面視のいずれにおいても軸Ax1と軸Ax3とのなす角度が0°から±45°の範囲内となるような任意の角度に向けることができる。
【0047】
特に、感知器200が炎感知器などの場合、感知器200が所定の検知対象物300に正しく向けられている必要がある。従来の構成では、構造が複雑なうえに、複数箇所の固定ボルトを緩めて感知器の向きを調整する必要があったが、本実施形態の感知器取付角度調整器100では、第2の取付部材50及び/又は第1の取付部材10を回転させるという簡単な操作で、感知器200を所望の向きに向けることが可能である。
【0048】
このような構成は、例えば、感知器200を対象物Aに一旦取り付けた後に検知対象物300の位置が変更され、感知器200の向きを調整する必要が生じた場合に、作業者が容易に向きを変更できる点で有利である。
【0049】
第1の取付部材10と第2の取付部材50とがいずれも筒状部材であり、その中にリード線が通される構成の場合、リード線が感知器取付角度調整器100の外部に露出しない。
【0050】
第1の連結部16及び第2の連結部56の形状に関し、第1の連結部16及び第2の連結部56が同一の円筒形状の場合、第1の連結部16と第2の連結部56とを相対的に回転させても、互いに対向する第1の連結基準面16aと第2の連結基準面56aとが外部に露出することはない。第1の連結基準面16aや第2の連結基準面56aが外部に露出している場合、塵埃や異物が露出部に付着することで第1の連結部16と第2の連結部56とを回転させ難くなるおそれがあるが、上記構造の場合そのような問題の発生を低減できる。
【0051】
以上、図面を参照しながら本発明の具体的な構成について説明したが、本発明の感知器取付角度調整器は上記に限定されるものではなく、種々変更可能である。
【0052】
(変形例1)
上記の実施形態では図7及び図8に示したように、軸Ax1と軸Ax3とのなす角度が0°から45°までの範囲内の任意の角度となる構成であった。しかしながら、本発明の他の一態様として、取付基準面Saと回転面S1とがなす角度及び支持基準面S2と回転面S1とがなす角度をいずれも45°としてもよい。この場合、軸Ax1と軸Ax3とのなす角度が0°から90°までの範囲内となるような、広い可動範囲を実現することができる。
【0053】
なお、当然ながら、取付基準面Saと回転面S1とがなす角度及び支持基準面S2と回転面S1とがなす角度は、22.5°及び45°以外の任意の角度に設定されてもよい。例えば、取付基準面Saと回転面S1とがなす角度及び支持基準面S2と回転面S1とがなす角度は30°や50°といった任意の角度であってもよい。また、上記実施形態では、取付基準面Saと回転面S1とがなす角度と、支持基準面S2と回転面S1とがなす角度とが同一である構成を例示したが、取付基準面Saと回転面S1とがなす角度と、支持基準面S2と回転面S1とがなす角度とが非同一であってもよい。
【0054】
感知器取付角度調整器100は、壁面ではなく、水平な天井面に取り付けられてもよいし、又は、屋根の内側の傾斜した構造体等に取り付けられてもよい。本実施形態の感知器取付角度調整器100によれば、その可動範囲内で、感知器200を任意の向きに向けることが可能なため、感知器取付角度調整器100が取り付けられる対象物Aに関わらず、感知器200を所望の向きに良好に向けることができる。
【0055】
(変形例2)
上記の実施形態では、第1の取付部材10と第2の取付部材50のみを備える感知器取付角度調整器100について説明したが、本発明の感知器取付角度調整器は、例えば第1の取付部材10と第2の取付部材50との間に連結される1つ又は複数の中間連結部材を備えていてもよい。中間連結部材は、第1の取付部材10、第2の取付部材50及び他の中間連結部材に対して、回転可能に連結されてもよい。
【0056】
(変形例3)
図10は、駆動機構を備える感知器取付角度調整器を模式的に示す図である。本発明の一形態の感知器取付角度調整器は、図10に示すように、第1の接続部品15をベース部11に対して回転させる駆動機構60、又は、第1の接続部品15の第1の連結部16と第2の接続部品55の第2の連結部56とを互いに回転させる駆動機構60の少なくとも何れかを有していてもよい。駆動機構60は、モータ等のアクチュエータを有し、例えば、制御回路からの制御信号に応じて、第1の接続部品15及び/又は第2の接続部品55を所定の回転角度だけ回転させるように構成されていてもよい。さらに、支持部材51を第2の接続部品55に対して回転させるための駆動機構60が設けられていてもよい。
【0057】
(変形例4)
第1の接続部品15をベース部11に対して回転させた際、第2の接続部品55を第1の接続部品15に対して回転させた際、及び/又は、支持部材51を第2の接続部品55に対して回転させた際に、所定の回転角度ごとにクリック感を生じさせる構造が設けられていてもよい。この構造としては、例えば、ボールとコイルスプリングとを有するものであってもよい。コイルスプリングの付勢力でボールが所定の面に押し付けられ、当該所定の面に形成された凹部にボールが入り込む際にクリック感が発生する。感知器取付角度調整器がこのように構成されていることで、ユーザは、操作をしている対象の部品が所定の角度に回転したことを手の感覚を通じて確認することができる。
【0058】
(変形例5)
第1の接続部品15のベース部11に対する回転、第2の接続部品55の第1の接続部品15に対する回転、及び/又は、支持部材51の第2の接続部品55に対する回転は、回転範囲が制限されておらず部品どうしが360°以上回転するもの以外にも、例えば回転範囲が360°未満の所定の範囲に制限されていてもよい。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0060】
10 第1の取付部材
11 ベース部
11h 孔
15 第1の接続部品
16 第1の連結部
16a 第1の連結基準面
16b 凹部
50 第2の取付部材
51 支持部材
51h 孔
51g 開口部
55 第2の接続部品
56 第2の連結部
56a 第2の連結基準面
56b 突出部
60 駆動機構
100 感知器取付角度調整器
200 感知器
201 筐体
300 検知対象物
A 対象物
Ax1 軸
Ax2 軸
Ax3 軸
S1 回転面
S2 支持基準面
Sa 取付基準面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10