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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081033
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】フィルター構造体
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20230602BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20230602BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20230602BHJP
   F24F 7/06 20060101ALN20230602BHJP
【FI】
B01D46/00 C
F24F8/108 210
F24F13/28
F24F7/06 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194684
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】足立 将司
(72)【発明者】
【氏名】山岸 拓人
【テーマコード(参考)】
3L058
4D058
【Fターム(参考)】
3L058BK05
4D058JA12
4D058KC26
4D058KC52
4D058KC81
4D058SA02
(57)【要約】
【課題】 防汚性能が向上するフィルター構造体を提供する。
【解決手段】フィルター構造体1は、枠体10と、フィルター20と、取付部30a及び30bを備える。枠体10は、開口部11が形成された枠部12と、枠部12から被取付体の側に延びる壁部13と、3本の骨16a、16b及び16cを備える支持部17とを備える。壁部13の下端部14は全周に渡って、被取付体の外面に当接できるように形成されている。取付部30aは、下端部14に接続され、開口部11の半径方向における外方に延び、磁石31よりなる取付手段を含む。取付部30bは取付部30aと同様の構成であり、取付部30aの対向位置に配置されている。フィルター20は不織布よりなり、開口部11の全体を覆って枠部12及び支持部17の背面側の面に接着されている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口を有する被取付体の外方側に取り付けられるフィルター構造体であって、
少なくとも1つの開口部が形成された枠部と、前記枠部の外周縁全域から前記被取付体側に延びる壁部とを備える枠体と、
前記開口部の全体を覆って前記枠部の一方面に固定されるフィルターとを備え、
前記壁部の前記下端部は全周に渡って、前記被取付体の外面に当接できるように形成される、フィルター構造体。
【請求項2】
前記壁部は、下端部が円形状に形成される、請求項1記載のフィルター構造体。
【請求項3】
前記下端部は、前記下端部の半径方向における外方に延びるフランジ部を含む、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のフィルター構造体。
【請求項4】
前記下端部に接続されて前記下端部の半径方向における外方に延び、前記被取付体に脱着自在に取り付けできる取付手段を含む取付部を備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載のフィルター構造体。
【請求項5】
前記取付部は、前記枠体と前記取付手段との間において形成される、前記枠体に対して屈曲自在のヒンジ部を介して接続される、請求項4記載のフィルター構造体。
【請求項6】
前記ヒンジ部は、蛇腹状に形成され、前記枠体に対して伸縮自在である、請求項5記載のフィルター構造体。
【請求項7】
前記取付部を2つ備え、前記取付部の各々は、前記下端部の直径における対向位置に配置される、請求項4から請求項6のいずれかに記載のフィルター構造体。
【請求項8】
前記枠体と前記取付部とは、難燃性の樹脂よりなり、
前記フィルターは、前記枠体に固定されており、
前記取付手段は、前記取付部に固定された磁石よりなる、請求項4から請求項7のいずれかに記載のフィルター構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はフィルター構造体に関し、特に吸気口の外方側に取り付けられるフィルター構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンジフードのファン(シロッコファン)の汚れを防止するファン用フィルターとして、特許文献1に示すものが存在している。
【0003】
図12は、従来のファン用フィルターの実施形態を示す平面図であり、図13は、図12に示したファン用フィルターの中央横断面図である。
【0004】
図12及び図13を参照して、ファン用フィルター90は、枠部70と、不織布フィルター80とを有する。
【0005】
枠部70は、アルミニウム箔により形成されており、円筒状の筒状部71の一端に、筒状部71の半径方向外方に延びる外向きフランジ部72が一体に形成されるとともに、筒状部71の他端に、筒状部71の半径方向内方に延びる内向きフランジ部73が一体に形成されている。内向きフランジ部73の内側は開口部74とされる。外向きフランジ部72の外形は十角形に形成され、枠部70の外縁部及び内縁部(開口部74の内周縁部)は、アルミニウム箔の端縁を丸めた縁巻き状態に形成されている。
【0006】
枠部70の開口部74の内面側には、不織布フィルター80がヒートシール等の接着手段等により設けられ、この不織布フィルター80により開口部74全体が覆われている。
【0007】
さらに、開口部74には、帯状の補強部75が略十字形状に架け渡し状態で枠部70と一体に設けられ、この補強部75によって枠部70の中央部分が補強されている。この補強部75により、開口部74は4個に分割して設けられる。
【0008】
枠部70外周の外向きフランジ部72の一部には、180°対向する位置に突出部76が形成され、この突出部76の裏面に磁石77が取り付けられており、これら突出部76及び磁石77により、ファンの金属面に着脱するための取付部78を構成している。
【0009】
ファン用フィルター90は使用においては、レンジフード内のファンの吸い込み口を覆うように取り付けられ、枠部70の左右の取付部78の磁石77をレンジフードの鉄製のハウジング表面に吸着させることにより、レンジフードに取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2015-202433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に示す上述のような従来のファン用フィルター90は、磁石77の下面よりも枠部70の下端が上方に位置しているため、レンジフードのシロッコファンのハウジング(ファンケースともいう)への取り付け時にハウジング表面と枠部70との間に隙間が生じるものであった。さらに、枠部70の外縁部及び内縁部(開口部74の内周縁部)に形成される縁巻は手指の切傷を防ぐ目的で外縁部に形成されているものであるが、ハウジング表面と枠部70との間に隙間が生じないように枠部70の外縁部全周に対して縁巻を均一な径で形成することは難しいためハウジング表面と枠部70との間に多少なりとも隙間が形成されてしまう。よって、ファンの換気時に吸い込まれる油煙等が隙間からファンに入り込み、油等の汚れがファンに付着する虞があるものであった。又、アルミニウム箔により形成された枠部70は変形しやすく、店頭での陳列時やシロッコファンのハウジングへの取り付け時に縁巻き状態に形成された外縁部や内縁部の潰れ等による新たな隙間発生及び防汚性能低下の虞もあった。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、防汚性能が向上するフィルター構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、吸気口を有する被取付体の外方側に取り付けられるフィルター構造体であって、少なくとも1つの開口部が形成された枠部と、枠部の外周縁全域から被取付体側に延びる壁部とを備える枠体と、開口部の全体を覆って枠部の一方面に固定されるフィルターとを備え、壁部の下端部は全周に渡って、被取付体の外面に当接できるように形成されるものである。
【0014】
このように構成すると、枠体と被取付体とに隙間が生じにくい、という作用1が得られる。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、壁部は、下端部が円形状に形成されるものである。
【0016】
このように構成すると、枠体と被取付体とに隙間がより生じにくい、という作用2が得られる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の発明の構成において、下端部は、下端部の半径方向における外方に延びるフランジ部を含むものである。
【0018】
このように構成すると、下端部の強度が増す、又、下端部が被取付体の平面部分に当接する場合において下端部と被取付体との当接箇所が広くなる、という作用3が得られる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、下端部に接続されて下端部の半径方向における外方に延び、被取付体に脱着自在に取り付けできる取付手段を含む取付部を備えるものである。
【0020】
このように構成すると、取り付け時に枠体を脱着自在に固定できる、という作用4が得られる。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、取付部は、枠体と取付手段との間において形成される、枠体に対して屈曲自在のヒンジ部を介して接続されるものである。
【0022】
このように構成すると、取付手段の位置を変えることができる、という作用5が得られる。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、ヒンジ部は、蛇腹状に形成され、枠体に対して伸縮自在であるものである。
【0024】
このように構成すると、更に広範囲にて取付手段の位置を変えることができる、という作用6が得られる。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項4から請求項6のいずれかに記載の発明の構成において、取付部を2つ備え、取付部の各々は、下端部の直径における対向位置に配置されるものである。
【0026】
このように構成すると、取付部の数を減らせる、という作用7が得られる。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項4から請求項7のいずれかに記載の発明の構成において、枠体と取付部とは、難燃性の樹脂よりなり、フィルターは、枠体に固定されており、取付手段は、取付部に固定された磁石よりなるものである。
【0028】
このように構成すると、一体的に形成されたフィルター構造体となる、という作用8が得られる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、上記作用1が得られるため、防汚性能が向上する。
【0030】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、上記作用2が得られるため、より防汚性能が向上する。
【0031】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の発明の効果に加えて、上記作用3が得られるため、より防汚性能が向上する。
【0032】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、上記作用4が得られるため、取り付けが簡便となる。
【0033】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、上記作用5が得られるため、取り付けやすさが向上する。
【0034】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、上記作用6が得られるため、取り付けやすさがより向上する。又、下端部の当接箇所と取付部の取付箇所との間に段差が生じていても取り付けやすい。
【0035】
請求項7記載の発明は、請求項4から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、上記作用7が得られるため、取り付け状態が安定する。また、被取付体の一部に干渉物がある場合に干渉を避けることができる。例えば、一方の取付部とベルマウスを固定する固定ネジとが干渉する場合において干渉しないよう当該取付部の位置をずらして固定したときに、他方の取付部が隣接していないので、各々の取付部とベルマウスの固定ネジとが干渉しにくく、取り付けやすさが向上する。
【0036】
請求項8記載の発明は、請求項4から請求項7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、上記作用8が得られるため、ワンタッチで容易に取り付け可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体が取り付けられるレンジフードの斜視図である。
図2】この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の使用状態の概略を示した正面図である。
図3図2で示したフィルター構造体の正面図である。
図4図3で示したフィルター構造体の背面図及び端面図である。
図5図4で示した“Y”部分の拡大図である。
図6図2で示したVI-VIラインの拡大端面図である。
図7図6で示した“Z”部分の拡大図である。
図8】この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の、幅広のベルマウス及び吸気口側に隆起したテーパー形状のベルマウスにおける使用状態の概略を示した拡大端面図であって、それぞれ図7に対応した図である。
図9】この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の、ファンケースの側面における使用状態の概略を示した拡大端面図であって、図7に対応した図である。
図10】この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の、ベルマウスの外面における使用状態の概略を示した正面図であって、図2に対応した図である。
図11】この発明の第2の実施の形態によるフィルター構造体の正面図であって、第1の実施の形態の図3に対応した図である。
図12】従来のファン用フィルターの実施形態を示す平面図である。
図13図12に示したファン用フィルターの中央横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体が取り付けられるレンジフードの斜視図であり、図2は、この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の使用状態の概略を示した正面図であり、図3は、図2で示したフィルター構造体の正面図であり、図4は、図3で示したフィルター構造体の背面図及び端面図であり、図5は、図4で示した“Y”部分の拡大図であり、図6は、図2で示したVI-VIラインの拡大端面図である。
【0039】
まず、図1を参照して、台所のガスレンジ等の上方であって図示しない天井側に取り付けて使用されるレンジフード40は、レンジフード40内部に配置された外面が鉄板等の磁性材料よりなるファンケース41に収容されたシロッコファン42を備えている。ファンケース41の外面においては、鉄板等の磁性材料よりなり円形形状のベルマウス43が、4つの固定ネジ45を介してファンケース41の前面に取り付けられている。シロッコファン42の奥側は図示しないダクトに接続されている。このようにして吸気口44が形成される。
【0040】
次に、図2を参照して、ベルマウス43、吸気口44及び固定ネジ45の各々を覆って、ファンケース41の外方側に、フィルター構造体1が取り付けられている。取付状態の詳細は後述する。又、図2の取付状態においては、フィルター構造体1はファンケース41に取り付けられているが、フィルター構造体1の被取付体にはベルマウス43も含むものとし、当接するとはベルマウス43と当接する場合も含む意味であるものとする。
【0041】
次に、図3から図6を参照して、フィルター構造体1は、枠体10と、フィルター20とを備え、更に、2つの取付部30a及び30bを備える。
【0042】
枠体10は、円形状の開口部11が1つ形成された枠部12と、枠部12の外周縁全域からファンケース41及びベルマウス43の側に逆テーパー状に延びる壁部13とを備える。
【0043】
尚、壁部13は、下端部14が円形状に形成され、下端部14は全周に渡って、ファンケース41の外面(吸気口44側の面)に当接できるように形成されている。又、下端部14は、下端部14の半径方向における外方に同心円状に延びるフランジ部15を含む。このように構成したことによる効果は後述する。又、下端部14の直径は205mmに、壁部13の高さは15mmに、それぞれ設定されている。このように構成すると、ベルマウス43の周りにおいて下端部14をファンケース41に当接させることができる。又、取付時に枠部12がベルマウス43及び固定ネジ45の各々に干渉せず、且つ、吸気時に枠体10が変形しない程度の強度が備わる。尚、壁部13の高さが高くなり過ぎると枠体10の強度が低下し、吸気時に枠体10が変形する虞が生じる。また、レンジフードの金属フィルターや整流板と接触してしまう虞が生じる。
【0044】
枠体10は、3本の骨16a、16b及び16cを備える支持部17を更に備える。骨16aは、1本のリブを備え、開口部11の縁部に一方端部18が接続して開口部11の内方に延びるように形成されている。骨16b及び16cも骨16aと同様の構成を有し、骨16a、16b及び16cは、開口部11の内方にて他方端部19a、19b及び19c同士が連結するものとなっている。尚、骨16aは、正面視において、骨16b及び16cの各々と形成する角度が、それぞれ120°となるように配置されている。言い換えると、骨16a、16b及び16cの各々は、正面視において、自身が隣接する他の骨16a、16b及び16cの各々と形成する角度がいずれも120°となる位置に配置されている。このように構成したことによる効果も後述する。なお、骨の形状や幅は限定されないが、骨の各々が形成する角度は、円形状の枠部12が形成する円の中心点から各骨の幅方向の中央を通る仮想線を枠部12へ延ばしたときに形成される角度をいうが、各々が厳密に120°である必要はなく、骨の各々が形成する角度に多少の角度差があったとしても、本発明の効果を奏する限りにおいては許容できるものである。また、リブは無くてもよい。
【0045】
取付部30aは、下端部14に接続されて開口部11の半径方向における外方に延び、取付部30aの凹部32の内方に接着された磁石31よりなりファンケース41(被取付体)に脱着自在に取り付けできる取付手段を含むものである。このように構成すると、取り付け時に枠体10を脱着自在に固定できるため、取り付けが簡便となる。
【0046】
取付部30aは、枠体10の下端部14と磁石31(取付手段)との間において形成される、枠体10に対して屈曲自在のヒンジ部33を介して接続される。尚、ヒンジ部33は、蛇腹状に形成され、枠体10に対して伸縮自在でもある。このように構成すると、通常状態においては磁石31(取付手段)の下面は下端部14(フランジ部15)と面一となるように構成されているが、取付手段の位置を変えることができるため、取り付けやすさが向上する。又、更に広範囲にて取付手段の位置を変えることができるため、取り付けやすさがより向上する。取り付けやすさ向上についての具体例は後述する。
【0047】
取付部30bも、取付部30aと同様の構成を有する。
【0048】
尚、枠体10と取付部30a及び30bとは、難燃性の樹脂であるポリ塩化ビニル(PVC)のシート1枚を用いて、一体的に真空成形したものよりなる。このように構成すると、枠体10の耐熱性が向上するため、難燃性のフィルター構造体となるため、高温に達することのあるレンジフードに対しても好適に使用できる。
【0049】
2つの取付部30a及び30bの各々は、開口部11の直径における対向位置に配置されており、一方の取付部30bは骨16aの延長線上に配置されている。このように構成すると、他方の取付部30aが他の骨16b及び骨16cとの間に配置されるため、枠体10の変形を抑制できる。又、取付部30a及び30bの各々にかかる負荷が均等になるため、取付部の数が取付部30a及び30bの2つのみであっても取り付け状態が安定する。更に、取付部の数を減らせるので、取り付け状態が安定する。更に、取り付け時に枠体10を固定できる箇所が増え、又、下端部14の強度が増すため、取り付け状態が安定する。
【0050】
最後に、フィルター20は、通気性を有するシート形状の材料である不織布よりなり、開口部11の全体を覆って枠部12及び支持部17の背面側の面に熱融着(熱溶着)または接着剤にて接着されている。このように構成すると、上述の構成を備える枠体10と、フィルター20と、取付部30a及び30bと、磁石31(取付手段)との各々が一体的に形成されたフィルター構造体1となるため、ワンタッチで容易に取り付け可能となる。
【0051】
尚、上述したように、枠体10の支持部17は所定角度の間隔で配置された3本の骨16を備えるものである。したがって、開口部11の分断を3つに抑えながら、支持部17によりフィルター20が支持されるため、通気面積を広く取って通気量を確保しつつ、吸気時のフィルター20の吸い込みを防止できる。
【0052】
図7は、図6で示した“Z”部分の拡大図である。
【0053】
まず、図2図6及び図7の各々を参照して、フィルター構造体1は、ベルマウス43、吸気口44、固定ネジ45、ベルマウス43周りのファンケース41及びシロッコファン42を覆って、ファンケース41の外面(外方側)に取り付けられている。ベルマウス43は吸気口44と同心円状の略ドーナツ形状に形成されており、ファンケース41の外面はシロッコファン42の奥行き方向に直交する平面状に形成されている。
【0054】
ここで、図6及び図7を参照して、取付部30aは磁石31により、磁性材料よりなるファンケース41の外面に吸着している。取付部30bも取付部30aと同様にファンケース41に吸着している。尚、上述したように、下端部14はファンケース41の外面に当接できるように形成され、又、取り付け時において磁石31の下面は下端部14(フランジ部15)と面一である。よって、フィルター構造体1は取付状態において、枠体10とファンケース41とに隙間が生じにくいものとなっている。このように構成すると、フィルター構造体1の防汚性能が向上する。更に、フランジ部15により、フィルター構造体1は下端部14の強度が増す。又、下端部14が、平面状に形成されているファンケース41の外面に当接しているこの取付状態において、すなわち、下端部14がファンケース41の平面部分に当接する場合において、下端部14とファンケース41との当接箇所が広くなる。このように構成すると、フィルター構造体1の防汚性能がより向上する。
【0055】
図8は、この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の、幅広のベルマウス及び吸気口側に隆起したテーパー形状のベルマウスにおける使用状態の概略を示した拡大端面図であって、それぞれ図7に対応した図である。
【0056】
まず、図8の(1)を参照して、図7に示すベルマウス43が、半径方向の幅において外面の幅が広いベルマウス46に置き換わっている。尚、他の構成要素は図7に示すフィルター構造体1と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0057】
ベルマウス46は外面のスペースが広いため、この使用状態においては下端部14及びフランジ部15が、被取付体に含まれるベルマウス46の外縁付近の外面に当接している。尚、この状態において磁石31をベルマウス46の外面に吸着させようとすると、ベルマウス46とファンケース41との段差により磁石31が傾いてしまい、フィルター構造体1の取付状態が不安定となる。そこで、上述したように蛇腹状に形成され、枠体10に対して伸縮自在であるヒンジ部33を伸ばして(あるいは曲げることで)、磁石31の位置をベルマウス46の外縁の外側にあるファンケース41の外面にまで移動させると、磁石31が磁性材料よりなるファンケース41の外面に吸着し、取付部30aを介してフィルター構造体1がファンケース41に取り付けられる。尚、フィルター構造体1の取り付けは、図示しない取付部30bにおいて同様にファンケース41へ吸着する、又は、フィルター構造体1の中心位置をベルマウス46の中心位置からずらして取付部30bのみベルマウス46へ吸着することにより、完了する。このように構成すると、広範囲にて磁石31(取付手段)の位置を変えることができるため、下端部14の当接箇所と取付部30aの取付箇所との間に段差が生じていても取り付けやすい。なお、図8の(1)の場合には段差を避けて取付部を取り付けたが、段差部分での取付部の取り付けを排除するものではない。
【0058】
次に、図8の(2)を参照して、図7に示すベルマウス43が、手前側から奥側にかけて逆テーパー形状を有するベルマウス47に置き換わっている。尚、他の構成要素は図7に示すフィルター構造体1と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0059】
ベルマウス47においては、ベルマウス47の傾斜している外面に下端部14が当接しており、通常状態では下端部14と面一であるフランジ部15及び磁石31の下面は、ベルマウス47の外面から浮く。そこで、上述したように枠体10に対して屈曲自在、且つ、伸縮自在であるヒンジ部33を曲げ伸ばしして磁石31を移動させ、磁石31をファンケース41に吸着させる。図示しない取付部30bも同様に吸着させ、フィルター構造体1の取り付けを完了する。このように構成すると、磁石31(取付手段)の位置を変えることができるため、取り付けやすさが向上する。又、上述したように、下端部14は円形状に形成されている。したがって、傾斜形状を有するベルマウス47に当接する場合であっても、下端部14が吸気口44周りにおいてベルマウス47にフィットしやすく、枠体10とベルマウス47とに隙間がより生じにくいため、フィルター構造体1の防汚性能がより向上する。なお、図8の(2)の場合にはベルマウス47の傾斜を避けて取付部を取り付けたが、傾斜部分での取付部の取り付けを排除するものではない。
【0060】
図9は、この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の、ファンケースの側面における使用状態の概略を示した拡大端面図であって、図7に対応した図である。
【0061】
図を参照して、図7に示すベルマウス43の位置が、ファンケース41の側面48に寄っている。尚、他の構成要素は図7に示すフィルター構造体1と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0062】
このような配置においては、ファンケース41の外面に磁石31を吸着させることができない。そこで、上述したように枠体10に対して屈曲自在であるヒンジ部33を曲げて、磁石31の位置をファンケース41の外方側の一部である側面48にまで移動させ、側面48に磁石31を吸着させる。このように構成すると、磁石31(取付手段)の位置を変えることができるため、取り付けやすさが向上する。
【0063】
図10は、この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の、ベルマウスの外面における使用状態の概略を示した正面図であって、図2に対応した図である。
【0064】
図を参照して、図2に示すベルマウス43が、フィルター構造体1よりも幅の広いベルマウス49に置き換わっている。尚、他の構成要素は図2に示すフィルター構造体1と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0065】
ベルマウス49は外面のスペースが広いため、この使用状態においては下端部14、フランジ15、取付体30a及び30bの全てがベルマウス49の外面に当接している。言い換えると、フィルター構造体1がベルマウス49の外面に取り付けられ、フィルター構造体1の被取付体がベルマウス49となっている。尚、フィルター構造体1の取り付けに際しては、取付部30a及び30bと固定ネジ45との干渉を避けるようにフィルター構造体1の位置を調節する必要があるが、上述したように、フィルター構造体1は取付部の数を2つにしたものである。したがって、フィルター構造体1は、被取付体がベルマウス49となる場合に取付部30a及び30bと固定ネジ45とが干渉しにくく、取り付けやすさが向上したものとなっている。言い換えると、フィルター構造体1は、取付部の数を減らせるので、被取付体の一部に干渉物がある場合に干渉を避けることができる。例えば、一方の取付部30aとベルマウス49を固定する固定ネジ45とが干渉する場合において干渉しないよう当該取付部30aの位置をずらして固定したときに、他方の取付部30bが隣接していないので、各々の取付部30a及び30bとベルマウス49の固定ネジ45とが干渉しにくく、取り付けやすさが向上したものとなっている。又、様々な機種に適合しやすいものとなっている。
【0066】
図11は、この発明の第2の実施の形態によるフィルター構造体の正面図であって、第1の実施の形態の図3に対応した図である。
【0067】
図を参照して、フィルター構造体2は、第1の実施の形態によるフィルター構造体1における骨16a、16b及び16cを、骨56a、56b及び56cに、フィルター20の接着位置を枠体50の正面側に、取付部30a及び30bを、取付部60a、60b及び60cに、それぞれ置き換えたものよりなる。尚、他の構成要素は第1の実施の形態によるフィルター構造体1と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0068】
骨56a、56b及び56cはいずれも、3本のリブを備え、支持部57を構成するものである。このように構成すると、骨56a、56b及び56cの強度が向上する。
【0069】
フィルター20は、開口部51の全体を覆って枠部52及び支持部57の正面側の面に熱融着にて接着されている。このように構成すると、吸気時にフィルター20が枠部52及び支持部57により支えられるため、フィルター20の吸い込みがより起こりにくくなる。
【0070】
取付部60aは、下端部54に接続されて開口部51の半径方向における外方に延び、取付部60aの外方片62の正面側の面に載置される磁石61よりなりファンケース及びベルマウス等の磁性材料よりなる被取付体に脱着自在に取り付けできる取付手段を含むものである。尚、取付部60aも、枠体50に対して屈曲自在且つ伸縮自在の蛇腹状に形成されたヒンジ部63を介して接続されるから、外方片62の位置、すなわち磁石61(取付手段)の載置位置を広範囲において変えることができる。よって、取り付けやすさ及び機種適合性がより向上する。又、磁石61の位置を外方片62の範囲内で自在に変えられるため、取付手段の位置の微調整がしやすい。取付部60b及び60cも、取付部60aと同様の構成を有する。
【0071】
取付部60a、60b及び60cは、それぞれ骨56a、56b及び56cの延長線上に配置されている。このように構成すると、吸気時にフィルター20が押し付けられることで特に負荷のかかりやすい支持部57及び支持部57周りの枠体50の強度が向上するため、枠体50の変形を抑制できる。
【0072】
尚、上記の各実施の形態では、枠体は3本の骨を備える支持部を備えるものであったが、支持部は無くてもよい。
【0073】
又、上記の各実施の形態では、枠部は1つの開口部が形成されたものであったが、複数の開口部が形成されるものであってもよい。
【0074】
更に、上記の各実施の形態では、骨はいずれもリブを備えるものであったが、無くてもよく、又、他の形状であってもよく、1本や2本でもよく、3本以外の本数であってもよい。
【0075】
更に、上記の各実施の形態では、支持部は3本の骨を備えるものであったが、4本以上の骨を備えるものであってもよく、又、例えば環状に形成された、骨同士に架け渡される補助フレーム等、フィルターを支持する他の構成を備えるものであってもよい。
【0076】
更に、上記の各実施の形態では、骨の各々は隣接する骨と形成する角度が所定角度となる位置に配置されていたが、形成する角度が劣角又は優角となる位置に配置されていればよい。
【0077】
更に、上記の各実施の形態では、開口部は円形状であったが、楕円形状や多角形状等の他の形状であってもよい。
【0078】
更に、上記の各実施の形態では、壁部は所定寸法で逆テーパー状に延びるものであったが、他の寸法に設定されてもよく、円筒状に延びてもよい。また、枠体の断面形状が湾曲したような形状である場合のように枠部と壁部が明確に区別し難い形状であっても本発明の効果を奏する限り含まれる。
【0079】
更に、上記の各実施の形態では、下端部は全周に渡って、被取付体の外面に当接できるように形成されていたが、被取付体から浮くように形成されていてもよい。
【0080】
更に、上記の各実施の形態では、下端部は円形状に形成されていたが、楕円形状や多角形状等他の形状に形成されていてもよい。
【0081】
更に、上記の各実施の形態では、下端部はフランジ部を含むとしていたが、フランジ部は無くてもよい。
【0082】
更に、上記の各実施の形態では、フランジ部は下端部と同心円状であったが、多角形等、他の形状であってもよい。
【0083】
更に、上記の各実施の形態では、フィルターは不織布よりなるものであったが、例えば通気性を有するシート形状の材料よりなるものであればよい。
【0084】
更に、上記の各実施の形態では、取付部は2つ又は3つであったが、1つのみであっても4つ以上あってもよく、又、無くてもよい。更に、下端部以外の場所に接続してもよく、枠体から分離した部材であってもよい。
【0085】
更に、上記の第1の実施の形態では、取付部の各々は開口部の直径における対向位置に配置されていたが、他の場所に配置されてもよい。
【0086】
更に、上記の各実施の形態では、取付部の少なくとも1つは骨の延長線上に配置されていたが、全ての取付部が骨と骨の間に配置されていてもよい。
【0087】
更に、上記の各実施の形態では、取付部はヒンジ部を介して下端部に接続するものであったが、ヒンジ部が無くてもよい。
【0088】
更に、上記の各実施の形態では、ヒンジ部は蛇腹状に形成されていたが、例えば、ヒンジ部を細長く形成する、又は、下端部から取付部にかけて太い部分と細い部分とが周期的に配置されるよう形成する等して、屈曲自在のその他の形状に形成されていてもよい。
【0089】
更に、上記の各実施の形態では、枠体及び取付部はポリ塩化ビニル(PVC)のシート1枚を用いて、一体的に真空成形したものであったが、他の難燃性樹脂を用いてもよく、金属箔等、樹脂以外の素材を用いてもよい。又、真空成形によらない製造方法、例えば射出成形、プレス成形、3Dプリンターでの積層等の種々の方法にて製造されてもよく、枠体と取付部とを個別に成形した後に接続させてもよい。
【0090】
更に、上記の各実施の形態では、取付手段は取付部に配置される磁石のみであったが、両面テープ等を介して被取付体側に配置可能な受け用の磁石又は磁性体を更に備えてもよく、面ファスナーや両面テープ等、他の取付手段であってもよい。このように構成すると、被取付体が磁性材料でなくてもフィルター構造体を取り付けることができる。
【0091】
更に、上記の第1の実施の形態では、磁石は取付部に接着されていたが、取付部に嵌合する等、他の固定方法によって取付部に固定されていてもよい。
【0092】
更に、上記の第1の実施の形態では、通常状態においては磁石の下面は下端部と面一であったが、ずれていてもよい。
【0093】
更に、上記の各実施の形態では、フィルターは枠体に熱融着されていたが、接着剤を用いた接着等、他の固定方法によって枠体に固定されていてもよい。
【0094】
更に、上記の各実施の形態では、フィルターは枠体の所定の面に固定されていたが、他方の面に固定されてもよい。
【0095】
更に、上記の各実施の形態では、フィルター構造体の被取付体はレンジフード内に収容されたシロッコファンのファンケース又はベルマウスであったが、ファンケースとベルマウスとが一体型の部材が被取付体であってもよく、又、吸気口を有する他の換気装置及びその周辺部材を被取付体としてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…フィルター構造体
2…フィルター構造体
10…枠体
11…開口部
12…枠部
13…壁部
14…下端部
15…フランジ部
16a、16b、16c…骨
17…支持部
18…一方端部
19a、19b、19c…他方端部
20…フィルター
30a、30b…取付部
31…磁石
32…凹部
33…ヒンジ部
40…レンジフード
41…ファンケース
42…シロッコファン
43…ベルマウス
44…吸気口
46…ベルマウス
47…ベルマウス
48…側面
49…ベルマウス
50…枠体
51…開口部
52…枠部
54…下端部
56a、56b、56c…骨
57…支持部
60a、60b、60c…取付部
61…磁石
62…外方片
63…ヒンジ部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13