IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 佐竹化学機械工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図1
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図2
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図3
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図4
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図5
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図6
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図7
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図8
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図9
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図10
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図11
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図12
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図13
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図14
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図15
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図16
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図17
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図18
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図19
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図20
  • 特開-分級機及び、この分級機の設計方法 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081038
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】分級機及び、この分級機の設計方法
(51)【国際特許分類】
   B03B 5/32 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
B03B5/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194692
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】舘下 遼太
(72)【発明者】
【氏名】院去 貢
【テーマコード(参考)】
4D071
【Fターム(参考)】
4D071AA52
4D071AB04
4D071AB61
4D071AB62
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非接触シール部を有する分級機であっても、液漏れがないブレードローター機構部を設計することができると共に、分級性能が大きく、低回転の分級機を提供する。また、前記分級機の設計方法を提供する。
【解決手段】ハウジングと、ハウジング内に設けた、微粒と粗粒とに分級する分級ローターと、ハウジングを貫通して設けた分級ローターの回転軸と、微粒排出手段と、粗粒の排出口と、ハウジングと回転軸とを密閉する密閉手段とよりなり、分級ローターは、分級羽根と、該分級羽根より内側部分に配置した複数の整流羽根とよりなり、複数のブレードの外径dbと、分級ローターの外径drとの比(db/dr)が、実験により得られたブレード/分級ローター比(db/dr)と、密閉手段からの液漏れ停止時における分級ローター周速との相関関係から、設計上の最大分級ローター周速に対応するブレード/分級ローター比(db/dr)となるように形成される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分級される粒子を含む原料が供給されるハウジングと、
該ハウジング内に設けた、微粒と粗粒とに分級する分級ローターと、
前記ハウジングを貫通して設けた、前記分級ローターの回転軸と、
該回転軸を回転駆動させる回転手段と、
前記分級ローター内に流入した、分級された微粒を、前記ハウジング外に排出する微粒排出手段と、
前記分級ローターにより分級されなかった粗粒を、前記ハウジング外に排出する排出口と、
前記ハウジングに前記原料を供給する供給手段と、
前記ハウジングと前記回転軸とを密閉する密閉手段とよりなり、
前記分級ローターは、外周部に開口部を有し、該開口部から内部に流入した流体を外部に排出する排出口を有する回転自在な枠体と、
該枠体内の外周側部分に、円周方向に所望の間隔を存して配置された複数の分級羽根とよりなり、
前記密閉手段は、前記回転軸に直交して固定した板体と、該板体の面に固定した、円周方向に所望の間隔を存して配置した、前記ハウジングの内側面に近接させた複数のブレードとよりなり、
前記複数のブレードが円形状に配置されて形成されたブレードローターの外径dbと、前記分級ローターの外径drとの比(db/dr)が、実験により得られたブレード/分級ローター比(db/dr)と、前記密閉手段からの液漏れ停止時における分級ローター周速との相関関係から、設計上の最大分級ローター周速に対応するブレード/分級ローター比(db/dr)となるように形成されることを特徴とする分級機。
【請求項2】
前記枠体内の、前記分級羽根より内側部分に、円周方向に所望の間隔を存して配置された複数の整流羽根を設けたことを特徴とする請求項1に記載の分級機。
【請求項3】
前記設計上の最大分級ローター周速が30m/sの時に、前記ブレード/分級ローター比(db/dr)が、1.204であることを特徴とする請求項1又は2に記載の分級機。
【請求項4】
分級される粒子を含む原料が供給されるハウジングと、
該ハウジング内に設けた、微粒と粗粒とに分級する分級ローターと、
前記ハウジングを貫通して設けた、前記分級ローターの回転軸と、
該回転軸を回転駆動させる回転手段と、
前記分級ローター内に流入した、分級された微粒を、前記ハウジング外に排出する微粒排出手段と、
前記分級ローターにより分級されなかった粗粒を、前記ハウジング外に排出する排出口と、
前記ハウジングに前記原料を供給する供給手段と、
前記ハウジングと前記回転軸とを密閉する密閉手段とよりなり、
前記分級ローターは、外周部に開口部を有し、該開口部から内部に流入した流体を外部に排出する排出口を有する回転自在な枠体と、
該枠体内の外周側部分に、円周方向に所望の間隔を存して配置された複数の分級羽根とよりなり、
前記密閉手段は、前記回転軸に直交して固定した板体と、該板体の面に固定した、円周方向に所望の間隔を存して配置した、前記ハウジングの内側面に近接させた複数のブレードとよりなる分級機の
ブレード/分級ローター比(db/dr)と、前記密閉手段からの液漏れ停止時における分級ローター周速との相関関係を求める工程と、
該相関関係から、設計上の最大分級ローター周速に対応するブレード/分級ローター比(db/dr)を求める工程と、
該求められたブレード/分級ローター比(db/dr)となるように分級機を設計することを特徴とする分級機の設計方法。
【請求項5】
前記枠体内の、前記分級羽根より内側部分に、円周方向に所望の間隔を存して配置された複数の整流羽根を設けたことを特徴とする請求項4に記載の分級機の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分級機、特に、メカニカルシールを用いない非接触シール部を有する湿式の分級機、及びこの分級機の設計方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(1.分級機の一般的な説明)
【0003】
微粒子を高精度に分級する分級機としては、分級羽根を円周方向に互いに離間して(円周方向に所望の間隔を存して)、回転中心から放射状に配置した、或いは、羽根の長手方向を向く、幅方向に対する中心線が回転中心を向かないように配置した分級ローターを高速回転させて、微粒子を分級する装置がある。
【0004】
該分級は、分級ローターの各隣接する分級羽根間に形成される分級室内に、気体や液体などの流体が、外周部から流入して内周側に向かって移動する間、流体中の粒子が分級ローターの高速回転による遠心力Fと、この遠心力の作用方向と逆向きの内周方向に向かって流れる流体の抗力Rを受け、両者がバランスする(F=Rとなる)分級粒子径より径大の粗粒は分級ローター外に排出され、径小の微粒は分級ローター内に流入するようになる。
【0005】
また、分級機のハウジングと、該ハウジングを貫通して設けられた回転軸とを回転自在にシール(密閉)するために、該回転軸を摺動自在に支持したメカニカルシール部を用いずに、摺動部分の無いブレードローター機構部(密閉手段)を設けた非接触シール部を有する分級機がある。
【0006】
(2.従来の非接触シール部を有する分級機の具体的説明)
【0007】
図17図21は、前記従来の湿式のシールレス分級機1を示し、該分級機1は、例えば、直径50mm~300mmの円筒状のハウジング2と、該ハウジング2内に設けられた分級ローター3と、前記ハウジング2の天井板2aに形成された貫通孔2bを貫通して垂設して設けた、前記分級ローター3の回転軸4と、該回転軸4を回転駆動させるモーター等よりなる回転手段5と、前記分級ローター3により分級され、該分級ローター3内に流入した微粒を前記ハウジング2外に流出させる、前記回転軸4に形成した軸方向に延びる貫通孔(微粒排出手段)6と、前記回転軸4に形成された貫通孔6の他端に連通し、前記分級された微粒を回収タンク(図示せず)に導く回収室7と、前記分級ローター3により分級されなかった粗粒を前記ハウジング2外に排出する排出口8と、例えば、0.1μm~100μmの分級される粒子を含む原料スラリーを貯めた原料タンク9から、該原料スラリーを供給ポンプ10により、前記ハウジング2内に供給する供給口11とよりなる。
【0008】
なお、12は、前記回転軸4を回転自在に支持する支持部を示す。
【0009】
また、前記天井板2aの貫通孔2bと前記回転軸4とを、非接触で気密(液密)に密閉するために、ブレードローター機構部が設けられる。
【0010】
該ブレードローター機構部は、例えば、ハウジング2の天井板2aの内側面に、その上面を対向させて接近して、該天井部2aに形成された貫通孔2bを貫通した回転軸4に直交して固定した、前記貫通孔2bよりも大きく形成された円板板13と、該円板13の上面に固定した、円周方向に互いに離間して(円周方向に所望の間隔を存して)、回転中心から放射状に配置した、前記天井面2aの内側面に近接させた、半径方向に延びる複数の断面矩形状の棒体からなるブレード14とよりなる。
【0011】
なお、前記天井板2aの内側面は、前記貫通した回転軸4に直交した平坦面状に形成され、前記円板13の上面に対向するようになる。
【0012】
また、前記各ブレード14は、例えば、図19に示すように、所望の長さで、それぞれ同形状に形成されて、前記円板13の上面の外周側に設けられ、また、該各ブレード14の外端は、前記円板13の外端に一致、或いは、若干内側に位置するように設けられる。
【0013】
そして、円形状に配置された複数の前記ブレード14により、ブレードローターが構成されるようになる。
【0014】
なお、15は、前記ハウジング2内のスラリーが、前記ブレードローター機構部、前記貫通孔2bを介して、前記ハウジング2外に漏れてしまった場合、その漏れたスラリーを回収するためのスラリー排出室を示す。
【0015】
また、前記分級ローター3は、例えば、図20及び図21に示すように、上下に離間し同軸に配置した2枚の同形の円板状の板16a、16bと、該上側の板16aの中心部に設けた、前記貫通孔6に連通する排出口3aとよりなる枠体16と、前記2枚の板16a、16bの互いに対向する面の外周側部分間に、周方向に等間隔で、回転中心より放射状に設けるか、或いは、羽根の長手方向を向く、幅方向に対する中心線が回転中心を向かないように設けた複数の分級羽根17と、前記枠体16内に、前記分級羽根17より内側部分に、円周方向に所望の間隔を存して、回転中心から放射状に配置された、又は、羽根の長手方向を向く、幅方向に対する中心線が回転中心を向かないように配置された複数の整流羽根22とよりなり、各互いに隣接する前記分級羽根17、17間に分級室18が形成される。
【0016】
なお、前記整流羽根22は、主に、分級ローター内の流れを安定化させるためのものであるが、設けない場合もある。
【0017】
前記分級機1においては、前記ハウジング2内に、前記原料タンク9からの原料スラリーを供給ポンプ10により供給口11から供給し、該分級機1内に設けられた高速回転する分級ローター3により、前記原料スラリーが粗粒スラリーと微粒スラリーとに分級され、そして、粗粒スラリーは、前記分級機1のハウジング2の排出口8からハウジング2外に排出されて、また、前記分級ローター3の外周部の開口部から該分級ローター3内に流入した微粒スラリーは、前記分級ローター3に形成された、前記回転軸4の貫通孔6の一端に連通した排出口3aから、前記分級ローター3に固定された回転軸4の貫通孔6を通って、該貫通孔6の他端から前記回収室7に流入し、回収タンクに回収されるようになる。
【0018】
また、前記円板13が高速回転することにより、前記ハウジング2内を密閉構造とすることができ、前記天井板2aの内側面と前記ブレード14とは離間しているので、メカニカルシール部のような消耗、摩耗、固着などのトラブルを解消できる。
【0019】
例えば、非接触シール部を有する分級機としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特願2020-83855号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
前記分級操作において、分級ローター外周部には外周に向かう遠心力による液圧が発生しており、原液を分級ローター内に侵入させるには、その圧力に打ち勝つ液圧を確保するために分級機内を密閉化する必要がある。
【0022】
また、前記ブレードローター機構部の動作は、高速で回転するブレードローターの外周部に機内の液が到達すると同時に外周に向かう遠心力が働き、液をブレードローター内に侵入させない状態を作り、機外への液漏れを防止する操作が行われる。
【0023】
すなわちブレードローター機構部は抵抗体として働き、シール効果を発揮する。
【0024】
そして、ブレードローター機構部と分級ローターの構造上の違いに起因する、発生圧力に関して、ブレードローター機構は既述の通りブレードローターとハウジング2の内壁面間に隙間がある構造から、円板間に羽根を挟み込んだ分級ローターに比較し、液漏れが起こりやすく、発生(抵抗)圧力/理論圧力が低くなる。
【0025】
そのため、同径では、ブレードローター機構部に比較し分級ローターの圧力の方が高くなるため、機内の液がブレードローター機構部から漏れ、シール効果を果たさなくなる。それを防ぎ液漏れの無いシール効果を持たせるにはブレードローター径を分級ローター径より大きく設定する必要があると予見された。
【0026】
しかしながら、どの程度、大きくするかは明らかでなかった。
【0027】
そこで、本願発明者は、種々実験検討の結果、ブレードローター機構部から液漏れが発生しないブレードローター径と分級ローター径の関係、運転条件を求めブレードローター機構部の最適化を確立したものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
前記の目的を達成すべく、本発明の分級機は、分級される粒子を含む原料が供給されるハウジングと、該ハウジング内に設けた、微粒と粗粒とに分級する分級ローターと、前記ハウジングを貫通して設けた、前記分級ローターの回転軸と、該回転軸を回転駆動させる回転手段と、前記分級ローター内に流入した、分級された微粒を、前記ハウジング外に排出する微粒排出手段と、前記分級ローターにより分級されなかった粗粒を、前記ハウジング外に排出する排出口と、前記ハウジングに前記原料を供給する供給手段と、前記ハウジングと前記回転軸とを密閉する密閉手段とよりなり、前記分級ローターは、外周部に開口部を有し、該開口部から内部に流入した流体を外部に排出する排出口を有する回転自在な枠体と、該枠体内の外周側部分に、円周方向に所望の間隔を存して配置された複数の分級羽根とよりなり、前記密閉手段は、前記回転軸に直交して固定した板体と、該板体の面に固定した、円周方向に所望の間隔を存して配置した、前記ハウジングの内側面に近接させた複数のブレードとよりなり、前記複数のブレードが円形状に配置されて形成されたブレードローターの外径dbと、前記分級ローターの外径drとの比(db/dr)が、実験により得られたブレード/分級ローター比(db/dr)と、前記密閉手段からの液漏れ停止時における分級ローター周速との相関関係から、設計上の最大分級ローター周速に対応するブレード/分級ローター比(db/dr)となるように形成されることを特徴とする。
【0029】
また、前記設計上の最大分級ローター周速が30m/sの時に、前記ブレード/分級ローター比(db/dr)が、1.204であることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の分級機の設計方法は、分級される粒子を含む原料が供給されるハウジングと、該ハウジング内に設けた、微粒と粗粒とに分級する分級ローターと、前記ハウジングを貫通して設けた、前記分級ローターの回転軸と、該回転軸を回転駆動させる回転手段と、前記分級ローター内に流入した、分級された微粒を、前記ハウジング外に排出する微粒排出手段と、前記分級ローターにより分級されなかった粗粒を、前記ハウジング外に排出する排出口と、前記ハウジングに前記原料を供給する供給手段と、前記ハウジングと前記回転軸とを密閉する密閉手段とよりなり、前記分級ローターは、外周部に開口部を有し、該開口部から内部に流入した流体を外部に排出する排出口を有する回転自在な枠体と、該枠体内の外周側部分に、円周方向に所望の間隔を存して配置された複数の分級羽根とよりなり、前記密閉手段は、前記回転軸に直交して固定した板体と、該板体の面に固定した、円周方向に所望の間隔を存して配置した、前記ハウジングの内側面に近接させた複数のブレードとよりなる分級機のブレード/分級ローター比(db/dr)と、前記密閉手段からの液漏れ停止時における分級ローター周速との相関関係を求める工程と、該相関関係から、設計上の最大分級ローター周速に対応するブレード/分級ローター比(db/dr)を求める工程と、該求められたブレード/分級ローター比(db/dr)となるように分級機を設計することを特徴とする。
【0031】
また、前記枠体内の、前記分級羽根より内側部分に、円周方向に所望の間隔を存して配置された複数の整流羽根を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、非接触シール部を有する分級機であっても、液漏れがないブレードローター機構部を設計することができると共に、分級性能(処理量)が大きく、低回転の分級機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の分級機を設計するために用いる分級機の説明用縦断側面図である。
図2】本発明の分級機を設計するために用いる他の分級機の説明用縦断側面図である。
図3】本発明の分級機を設計するために用いる更に他の分級機のブレードローター(溝型)の説明用平面図である。
図4】本発明の分級機を設計するために用いる更に他の分級機のブレードローター(溝型)の説明用縦断側面図である。
図5】分級機のブレードローター機構部からの液漏れを阻止するイメージ図である。
図6】分級機の説明に関する寸法、記号、単位を示す図である。
図7】実験より求めた係数値を表わす図である。
図8】実験より求めた、液漏れが停止した時のブレード/分級ローター比(db/dr)と分級ローター周速との関係を示す図である。
図9】従来のメカニカルシール部を有する分級機の説明用縦断側面図である。
図10】比較実験における原液粒度分布を示す図である。
図11】分級機の説明に関する寸法、記号、単位を示す図である。
図12】比較実験における微粒子分布を示す図である。
図13】実験により求めた分級ローター周速と機内圧力(分級ローター実測圧力)との関係を示す図である。
図14】実験により求めたブレードローター周速と、ブレードローター実測圧力との関係を示す図である。
図15】、ブレード/分級ローター比(db/dr)をパラメータとして分級ローター周速と差圧との関係を示す図である。
図16】実験条件を示す図である。
図17】ブレードローター機構部を有する従来の分級機の構成概略図である。
図18】ブレードローター機構部を有する従来の分級機の説明用縦断側面図である。
図19図18のA-A線断面図である。
図20図18のB-B線断面図である。
図21】分級機の、整流羽根を省略した分級ローターの説明用縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【0035】
なお、背景技術で説明した部分と同じ部分には、同じ符号を付け、説明を省略する。
【実施例0036】
(3.本発明の説明)
【0037】
本発明者は、ブレードローターの径(db)と分級ローターの径(dr)とをそれぞれ変えて、分級機を運転し、液漏れが止まる条件を実験等により調べたところ、ブレードローター径(db)と分級ローター径(dr)とのブレード/分級ローター比(db/dr)が一定であれば、ブレードローター径と分級ローター径とを変化させても、同じ分級ローター周速のところで、液漏れしないことを見出した。
【0038】
また、ブレード/分級ローター比(db/dr)が減少するに従い、液漏れさせないためには、分級ローター周速を上昇させる必要があることが分かった。
【0039】
また、ブレード/分級ローター比(db/dr)を一定とした場合、分級ローター周速を上昇させる程、液漏れが起こりにくいことが分かった。
【0040】
また、分級性能(処理量)は、分級粒子径が一定において、後述する数6に示すように、分級ローター周速の2乗に比例することから、分級ローター周速が高い程、処理量が高くなることが分かった。
【0041】
そこで、開発(設計)しようとする分級機において、ブレード/分級ローター比(db/dr)と、液漏れ停止時における分級ローター周速との相関関係を実験等により導き出し、該相関関係をもとに、これから開発する分級機の設計上の最大分級ローター周速における、液漏れしない最適なブレードローター径(db)と分級ローター径(dr)との比(db/dr)を導き出し、この値を用いることにより、最適な分級機を開発できることを見出した。
【0042】
以下、具体的に説明する。
【0043】
図1は、開発しようとする分級機の最適条件を求めるために用いるブレードローター機構部を有する最適条件設定用分級機19を示し、該分級機19は、従来の分級機1と基本的構成が同じであるが、ハウジング(機内)2の圧力を計測するための圧力計20を設けている。
【0044】
なお、前記図1の分級機19は、分級ローター3上部にブレードローター機構部の円板13を固定した例であるが、例えば、図2に示すように、分級ローター3上部と離間してブレードローター機構部を設けても、前記分級機19と同じ効果を有する。
【0045】
また、図3及び図4に示すように、円板13の上面に、半径方向に延びる溝21を複数形成し、該溝21間の残された凸状部分をブレード14としたブレードローター機構部であっても、前記分級機19と同じ効果を有する。
【0046】
また、本実施例の分級機19は、原液を下部から投入した例を示すが、原液を上部から投入する分級機であっても、該分級機19と同じ効果を有する。
【0047】
そして、開発しようとする分級機の最適条件を探すために、前記分級機19を用いて、ブレードローター径(db)を一定(0.054m)とし、分級ローター径(dr)を実験1では、0.038m、実験2では、0.043m、実験3では、0.044m、実験4では、0.45mとして、水で満たした分級機内に微量の水を供給し続け、前記ブレードローター機構部又は分級ローター側から分級機外に水が漏れるようにし、そして、分級ローターの回転数を上昇させながら、前記圧力計20により、機内圧力を測定し、目視により、ブレードローター機構部から外部への水漏れが停止した時の分級ローター周速を求めた。なお、分級ローターの回転数を上げていく際、最初は、ブレードローター機構部のみから水漏れが生ずるが、所望の回転数から、ブレードローター機構部からの水漏れが停止し、分級ローター側から水が外部に排出されるようになる。
【0048】
即ち、実験1~4では、ブレード/分級ローター比(db/dr)を変化させた場合の実験を示す。
【0049】
また、前記実験2におけるブレード/分級ローター比(db/dr)と同じ比(1.256)となるように、実験5では、ブレードローター径を0.086m、分級ローター径を0.0685mとし、実験6では、ブレードローター径を0.100m、分級ローター径を0.0796mとして、前記と同様に、水を供給し、分級ローターの回転数を上昇させながら、前記圧力計20により、機内圧力を測定し、目視により、ブレードローター機構部から外部への水漏れが停止した時の分級ローター周速を求めた。
【0050】
即ち、実験2、実験5,実験6では、ブレード/分級ローター比(db/dr)を一定にして、ブレードローター径と分級ローター径を変化させた場合の実験を示す。
【0051】
なお、図5は、ブレードローター機構部からの液漏れ無しのイメージ図である。
【0052】
なお、前記分級機19の最大分級ローター周速は30m/s、許容圧力は、0.5MPaであり、この範囲で分級操作を行う。
【0053】
また、後述するように、ブレードローターからの圧力と分級ローターからの圧力との差圧は、分級ローターで発生する圧力が機内圧力を支配することから、分級ローターの実測圧力は、機内圧力と同じになると定義し、ブレードローターの実測圧力から、実験1~6の機内圧力を差し引いた値とした。なお、機内圧力は前記圧力計20により求めた。
【0054】
なお、数1は、理論圧力を示す式であり、前記差圧は、後述する(5.1.)(5.2.)(5.3.)ように、実験から求められた分級ローター実測圧力実験式(数2)を、実験から求められたブレードローター実測圧力実験式(数3)から差し引いた数4(=数3-数2)から求めた。
【0055】
【数1】
【0056】
【数2】
【0057】
【数3】
【0058】
【数4】
【0059】
なお、記号、単位等は、図6で示し、図7は、後述するように、実験により求められた分級ローター実測圧力実験数(数2)と、ブレードローター実測圧力実験式(数3)の係数値を示す。
【0060】
また、Sは、n・πdで表される。
【0061】
また、前記ブレードローター実測圧力は、水で満たした分級機内に微量の水を供給し続け、所定のブレードローター径のブレードローターを単独で回転数を上昇させながら供給圧力を測定し、供給圧力をブレードローター実測圧力と定義し、これにより、ブレードローター周速とブレードローター実測圧力の関係を求めた。なお、供給された水はブレードローター機構部から漏らすようにした。
【0062】
即ち、実験7、実験8,実験9では、それぞれブレードローター径を0.054m、0.086m、0.100mとして、ブレードローターを単体で回転数を上昇させながら、前記圧力計20により、機内圧力を測定し、機内圧力をブレードローター実測圧力として、ブレードローター周速との関係を求めた。
【0063】
なお、前記実験1~実験9における諸条件を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
また、実験条件は、実験1から実験9は微量の水流量が、原液供給量Q=2.78E-07m3/sで行い、回転数は、16.6~250s-1で行った。
【0066】
そして、前記実験1~6の結果を表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
その結果、実験2、5、6から、ブレード/分級ローター比(db/dr)が一定なら、同じ分級ローター周速で液漏れが停止することが分かった。
【0069】
また、ブレード/分級ローター比(db/dr)が大きくなる程、液漏れを防ぐには、分級ローター周速を低減できることが分かった。
【0070】
従って、前記実験1~6より、ブレード/分級ローター比(db/dr)と、液漏れ停止時の分級ローター周速との関係は、図8に示すように、比(db/dr)が大きくなるほど、液漏れ停止時の分級ローター周速が低くなる関係線Mを導き出せ、該関係線Mより上部領域Bにおいては、液漏れがなく、下部領域Cにおいては、液漏れが起こることが分かった。
【0071】
なお、比(db/dr)が低い領域においては、液漏れを防止するためには、比(db/dr)が減少するに従い、急激に、分級ローター周速を上昇させる必要がある。
【0072】
また、分級ローターは、高速回転させる必要があり、機械的な負担が大きいため、できるだけ回転数が小さい方が好ましい。
【0073】
そして、例えば、ブレード/分級ローター比(db/dr)を大きくしても、液漏れを防止できるが、比(db/dr)を大きくするに従い、液漏れ防止に必要とする分級ローター周速は低下できるが、後述する数6から、処理量は低下してしまう。
【0074】
従って、前記分級機19の分級性能(処理量)を最大にできる分級ローター周速30m/sにおける、前記関係線Mに対応する比(db/dr)は、1.204となるが、該比(db/dr)を1.204より大きくした場合、前記1.204の運転時と同等の分級性能(処理量)を得るためには、同じ分級ローター周速(30m/s)に設定する必要があり、この場合、ブレードローター径を一定にした場合、分級ローター径は小さくなるため、分級ローターの回転数を上昇させる必要があり、機械的な負担が大きい。
【0075】
即ち、数6に示すように、分級ローター径が小さくなると分級ローター周速Srが低下するので、分級性能(処理量)を維持させるためには、周速の保持のために回転数を上昇させなければならない。
【0076】
なお、表3は、シミュレーションにより、分級ローター周速30m/sにおけるブレード/分級ローター比(db/dr)の分級性能への影響を表わしたもので、ブレード/分級ローター比(db/dr)を大きくした場合に、分級性能は一定であるが、分級ローターの回転数が増えていることが分かる。
【0077】
【表3】
【0078】
また、分級ローター周速30m/sにおいて、ブレード/分級ローター比(db/dr)を一定にした場合、ブレードローター径を大きくした場合、分級性能は一定であるが、分級ローターの回転数を小さくできる。但し、ブレードローター径は、分級機の大きさから限界がある。
【0079】
また、表3より、分級ローター周速が30m/sの時が、一番処理量が多い事が分かる。
【0080】
以上より、できるだけ分級ローター回転数を低くして機械的な負担がなくし、そして、分級性能(処理量)を最大限上げられ、さらに、液漏れが生じない分級機を設計するためには、分級機19の最大分級ローター周速における、液漏れ停止時を表わす前記関係線Mに対応するブレード/分級ローター比(db/dr)を求めれば最適の分級機を設計できるようになる。
【0081】
そして、上記実験例においては、分級機19の最大分級ローター周速が30m/sであるので、この30m/sにおける、ブレード/分級ローター比(db/dr)は1.204が最適の値となる。
【0082】
なお、この時の機内圧力は、後述する図13から0.387MPaが求められ、装置の仕様(0.5MPa)範囲内にあることが確認できた。
【0083】
本発明によれば、ブレード/分級ローター比(db/dr)と、液漏れ停止時における分級ローター周速との相関関係を実験等により導き出し、該相関関係をもとに、これから開発する分級機に必要とされる分級ローター周速から、液漏れしない最適なブレードローター径(db)と分級ローター径(dr)との比(db/dr)を導き出し、この値を用いることにより、低いローター回転数で液漏れしない分級機を提供することができるようになる。
【0084】
(4.軸封にメカニカルシールを用いた分級機との比較)
【0085】
メカニカルシール23を用いた分級機と、本発明に基づき開発した開発機の非接触のシール部を有する分級機との分級性能比較を行った。
【0086】
図9は、メカニカルシールを用いた分級機24を示し、図10に示す粒子径のシリカを水で5wt%に分散して原料スリラーを製作して用いた。なお、該原料スリラーの粒度分は表4に示す。
【0087】
【表4】
【0088】
実験方法は、前記シリカスラリーを使用した分級実験を、メカニカルシールを用いた分級機と、開発機で行い、分級性能が同等になることの確認を行った。
【0089】
原液は5.56E-07m3/sで供給し、粗粒は定量ポンプで2.78E-07m3/sで引き抜き、残りは微粒で2.78E-07m3/sで回収した。なお、分級ローター周速は、Sr=7.96m/sとした。
【0090】
そして、開発機における水運転で得られた結果とシリカスラリーによる運転結果を比較し、運転結果の評価を行った。
【0091】
その結果を、表4に表わす。なお、記号、単位、条件等は、図11に示す。
【0092】
該表4から、軸封にメカニカルシールを使用する分級機と開発機の分級性能にほとんど差は無かった。
【0093】
また、前記粒度分布を有する原液(シリカスラリー)を使用し、図12に示すように、メカニカルシールを用いた分級機と開発機における微粒粒度分布はほぼ同じになった。
【0094】
また、開発機のブレードローター機構方式は、従来機のメカニカルシール方式と同様に分級運転時は軸封部からの液漏れは無く、このシール方式はメカニカルシールに取って代わると確認できた。
【0095】
また、開発機で実験1の水運転と本実験のシリカスラリー運転の比較で、機内圧力は液の密度比に比例しており、シリカスラリーの方が水に比較し1.03倍程度高くなった(シリカ5%水スラリー密度ρs : 1028kg/m3 )。
【0096】
また、液漏れ停止時の分級ローター周速は水運転時とシリカスラリー運転時でほぼ同じであった。
【0097】
以上から、水運転で得られた結果をスラリー運転に同様に適用できると判断された。
【0098】
なお、前記表4における、理論分級粒子径計算式は、分級羽根の断面積を差し引いた分級断面積A=0.7πdrTとして、数5を用いた。そして、該数5において、Qfに微粒回収量2.78E-07m3/sを代入して計算した。
【数5】
【0099】
(5.各種、実験条件等の説明)
【0100】
(5.1.分級ローター周速Srと機内圧力Pa(分級ロータ実測圧力Pr)の関係に関して)
【0101】
前記実験1~6におけるブレードローター径と分級ローター径の条件において、それぞれ原液供給口から機内に水を定量供給しながら、同軸上に固定されたブレードローターと分級ローターの回転を徐々に上昇し、前記圧力計を用いて、この間で求められる分級ローター周速と機内圧力の関係を求めた。
【0102】
なお、機内圧力は分級ローター実測圧力に支配され、同じ圧力とした。そして、供給された水は粗粒排出口と微粒排出口から機外に排出され、それぞれの排出量を等量に分けるために、粗粒排出口から排出される水は定量ポンプを使用し、残りの水は微粒排出口から排出した。
【0103】
その結果の分級ローター周速と機内圧力(分級ロータ実測圧力)の関係は、図13に示す相関関係となることが分かった。
【0104】
そして、数2から、前記数におけるブレードローター数kb=6.46E-7、乗数α= 1.88であった。
【0105】
そして、該図13における相関関係から、分級ローター周速と機内圧力の関係を示す式として、数2、図7が求められた。
【0106】
そして、該数2から分級ローター周速が同じであれば、分級ローター径が変わっても同じ機内圧力を示すことが分かった。
【0107】
なお、機内圧力に関して分級ローター周速の上昇に伴い、機内圧力が上昇し、開発分級機の最大周速30m/s において0.387MPaまで上昇することが分かった。そして、装置の許容圧力の0.5MPa以下であることが確認できた。
【0108】
(5.2.ブレードローター周速Sbとブレードローター実測圧力Pbの関係に関して)
【0109】
ブレードローター機構部で発生するブレードローター実測圧力を見るため、原液供給口から機内に水を定量供給しながらブレードローターを単独で取付け、前記実験7~9におけるブレードローター径の条件において、それぞれのブレードローターにおいてブレードローター周速を徐々に上昇し、この時の圧力をブレードローター実測圧力として求めた。
【0110】
ブレードローター実測圧力は、前記圧力計20で計測した。
【0111】
その結果のブレードローター周速とブレードローター実測圧力の関は、図14に示す相関関係であることが分かった。
【0112】

そして、前記図14における相関関係から、ブレードローター周速と機内圧力の関係を示す式として、数3、図7が求められた。
【0113】
そして、数3から、前記数(式)におけるブレードローター数kb=4.65E-7、乗数α=1.88であった。
【0114】
そして、ブレードローター径が変わっても、ブレードローター周速が同じであれば、同じ圧力を示した。
【0115】
なお、理論値がブレードローター周速の2乗に比例するのに対し、ブレードローター実測圧力はブレードローター周速の1.88乗となった。
【0116】
(5.3.db/dr値におけるローター周速と差圧 (ブレードローター圧力 - 機内圧力) の関係について)
【0117】
差圧は同軸上で回転するブレードローター実測圧力と機内圧力(分級ロータ実測圧力)間の圧力差であるため、最適値と求められたdb/dr値 1.204とdb/dr値を変えた場合で分級ローター周速を30m/s まで上昇した時の分級ローター周速と差圧の関係を数4から求め図15に示した。
【0118】
なお、数4は数3-数2から求めた。
【0119】
また、差圧は、微小で圧力計の測定限界を超えるため数4で計算した。
【0120】
その結果、差圧は微小値と分かった。
【0121】
また、図15から、db/dr値が一定で分級ローター周速を上昇するほど、差圧は上昇し、ブレードローター機構からの液漏れは起こりにくくなった。
【0122】
また、db/dr値が大きくなる程、同一周速における差圧は大きくなり、液の漏れが起こりにくくなる。
【0123】
また、前記表2からブレードローターから液漏れが停止する時の必要とされる分級ローター周速において、db/dr値が小さい程、ブレードローター機構部からの液漏れが止まるのに必要とする差圧は大きくなり、その差圧を作るために分級ローター周速は高くする必要がある。
【0124】
また、db/dr値が一定であれば、ローター径が変わっても液漏れが停止する時の必要とされる分級ローター周速は一定でその時の差圧、機内圧力も一定である。
【0125】
(5.4.ブレード/分級ローター径 比(db/dr)値の分級性能への影響に関して)
【0126】
遠心分級機で得られる分級粒子径はストークス式から計算される。そして、開発分級機において、分級ローターによりこの分級操作が行われ、ストークス式から分級性能が計算できる。そして、供給量微粒回収量と分級粒子との関係は前記数5に示される。そして、数5のQfは微粒回収量で示されている。
【0127】
また、数5を、微粒回収量Qfでまとめた式として数6が示される。
【0128】
【数6】
【0129】
そして、上記数(式)により分級ローター周速、分級粒子径が一定の条件でdb/dr変化した場合の 原液供給量への影響を見るためのシミュレーション計算を行い、結果を前記表3にまとめられる。
【0130】
なお、諸条件は、図16に示される。
【0131】
上記のシミュレーション計算結果から、db/dr値の変化に対し、分級ローター周速を一定にすれば、分級性能の分級粒子径、原液供給量は同じとなった。
【0132】
しかし、開発分級機は高速で分級ローターを回転する必要があり、分級ローター周速を一定にしたとしても、機械的な負荷が大きいことから、出来るだけ回転数は低減できる運転が望ましい。
【0133】
そこで、上記シミュレーション計算からdb/dr値が小さい程分級ローター回転数は低下できることからdb/dr値の低い1.204が望ましいと判断される。
【0134】
また、db/dr値を一定で分級ローター径を大きくしたとしても、分級ローター周速を一定にすれば分級性能は同じとなり、分級ローター回転数は低減できるが、そのdb/dr値が一定の中でも一番回転数の低いdb/d値が1.204が望ましいと判断される。
【0135】
本発明によれば、非接触シール部を有する分級機であっても、液漏れがないブレードローター機構部を設計することができると共に、分級性能(処理量)が高い、低回転の分級機を提供することができる。
【符号の説明】
【0136】
1 分級機
2 ハウジング
2a 天井板
2b 貫通孔
3 分級ローター
3a 排出口
4 回転軸
5 回転手段
6 貫通孔
7 回収室
8 排出口
9 原料タンク
10 供給ポンプ
11 供給口
12 支持部
13 円板
14 ブレード
15 スラリー排出室
16 枠体
16a 板
16b 板
17 分級羽根
18 分級室
19 分級機
20 圧力計
21 溝
22 整流羽根
23 メカニカルシール
24 分級機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21