特開 2023-81044 料金収受中央装置及び料金収受方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023081044

(43)【公開日】2023-06-09

(54)【発明の名称】料金収受中央装置及び料金収受方法

(51)【国際特許分類】

   G07B 15/00 20110101AFI20230602BHJP

   G07B 15/06 20110101ALI20230602BHJP

   G06Q 50/10 20120101ALI20230602BHJP

【ＦＩ】

G07B15/00 Q

G07B15/00 510

G07B15/06

G06Q50/10

【審査請求】未請求

【請求項の数】10

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021194704

(22)【出願日】2021-11-30

(71)【出願人】

【識別番号】000003078

【氏名又は名称】株式会社東芝

(71)【出願人】

【識別番号】598076591

【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110003708

【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所

(72)【発明者】

【氏名】清水 良悟

【テーマコード（参考）】

3E127

5L049

【Ｆターム（参考）】

3E127AA16

3E127BA25

3E127BA61

3E127CA13

3E127DA19

3E127EA03

3E127EA14

3E127EA18

3E127EA21

3E127EA33

5L049CC11

(57)【要約】

【課題】滞在時間の短い運転者に有利なサービスを提供すること。
【解決手段】実施形態に係る料金収受中央装置は、入口料金所機器から、入口料金所進入日時情報、入口料金所識別情報、及びＥＴＣカードＩＤを含む入口料金所情報を受信し、出口料金所機器から、出口料金所進入日時情報、出口料金所識別情報、及び前記ＥＴＣカードＩＤを含む出口料金所情報を受信する料金所側通信部と、入口料金所識別情報及び出口料金所識別情報に基づいて入口料金所から出口料金所までの標準滞在時間要求を送信し、標準滞在時間要求に応じて標準滞在時間を受信するサーバ側通信部と、入口料金所進入日時情報及び出口料金所進入日時情報に基づいて車両の実滞在時間を算出し、標準滞在時間及び実滞在時間に基づいて、入口料金所情報又は出口料金所情報に含まれる通行料金に対応したサービスを付与するかどうか決定する制御部と、を備える。
【選択図】 図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

入口料金所機器から、車両が入口料金所に進入した日時を示す入口料金所進入日時情報、入口料金所識別情報、及び前記車両の車載器に挿入されたＥＴＣカードのＥＴＣカードＩＤを含む入口料金所情報を受信し、出口料金所機器に対して料金テーブルを配信し、前記出口料金所機器から前記車両が出口料金所に進入した日時を示す出口料金所進入日時情報、出口料金所識別情報、及び前記ＥＴＣカードＩＤを含む出口料金所情報を受信する料金所側通信部と、
前記入口料金所識別情報及び前記出口料金所識別情報に基づいて前記入口料金所から前記出口料金所までの標準滞在時間要求を送信し、前記標準滞在時間要求に応じて標準滞在時間を受信するサーバ側通信部と、
前記入口料金所進入日時情報及び前記出口料金所進入日時情報に基づいて前記車両の実滞在時間を算出し、前記標準滞在時間及び前記実滞在時間に基づいて、前記入口料金所情報又は前記出口料金所情報に含まれる通行料金に対応したサービスを付与するかどうか決定する制御部と、
を備える料金収受中央装置。

【請求項2】

前記サービスは、通行料金の割引であり、前記実滞在時間が前記標準滞在時間より小さい場合、前記制御部は、前記通行料金を割り引くと決定し、前記料金所側通信部は、割り引かれた通行料金を送信する、
請求項１に記載の料金収受中央装置。

【請求項3】

前記制御部は、前記入口料金所から前記出口料金所までの最低滞在時間を算出し、前記実滞在時間が前記最低滞在時間以上である場合、前記通行料金を割り引くと決定する、
請求項２に記載の料金収受中央装置。

【請求項4】

前記サービスは、ポイントの付与であり、前記実滞在時間が前記標準滞在時間より短い場合、前記制御部は、前記通行料金に応じたポイントを前記車両の運転者のポイント情報に付与すると決定する、
請求項１に記載の料金収受中央装置。

【請求項5】

前記サーバ側通信部は、前記入口料金所から前記出口料金所までの最低滞在時間を受信し、
前記実滞在時間が最低滞在時間以上である場合、前記制御部は、前記ポイントを前記車両の運転者のポイント情報に付与すると決定する、
請求項４に記載の料金収受中央装置。

【請求項6】

前記標準滞在時間は、前記入口料金所から前記出口料金所までの距離及び前記入口料金所から前記出口料金所の区間の法定速度に基づいて算出され、前記制御部は、前記入口料金所から出口料金所までの距離が所定の距離以上である場合、前記標準滞在時間を所定の距離に応じて延長する、
請求項１乃至５のいずれか１項に記載の料金収受中央装置。

【請求項7】

前記制御部は、前記実滞在時間が前記入口料金所から前記出口料金所までの距離に応じた最大滞在時間を超えるかどうか判定し、前記実滞在時間が前記最大滞在時間を超える場合、前記入口料金所から前記出口料金所までの区間で事業者由来の事由が発生したかどうか判定し、前記事業者由来の事由が発生していないと判定した場合、前記出口料金所の通行を阻止する通行不可信号を前記料金所側通信部に出力し、
前記料金所側通信部は、前記通行不可信号を前記出口料金所に送信する、
請求項１乃至６のいずれか１項に記載の料金収受中央装置。

【請求項8】

前記標準滞在時間は、前記入口料金所から前記出口料金所までの区間を含む有料道路上のリアルタイムの交通情報に基づいて算出される、
請求項１乃至７のいずれか１項に記載の料金収受中央装置。

【請求項9】

前記標準滞在時間は、前記入口料金所から前記出口料金所までの区間を含む有料道路上の過去の交通情報に基づいて算出される、請求項１乃至７のいずれか１項に記載の料金収受中央装置。

【請求項10】

車両が入口料金所に進入した日時を示す入口料金所進入日時情報、入口料金所識別情報、及び前記車両の車載器に挿入されたＥＴＣカードのＥＴＣカードＩＤを含む入口料金所情報を入口料金所機器から受信する手順と、
出口料金所機器対して両機テーブルを配信する手順と、
前記車両が出口料金所に進入した日時を示す出口料金所進入日時情報、出口料金所識別情報、及び前記ＥＴＣカードＩＤを含む出口料金所情報を出口料金所機器から受信する手順と、
前記入口料金所識別情報及び前記出口料金所情報に基づいて前記入口料金所から前記出口料金所までの標準滞在時間要求を送信する手順と、
前記標準滞在時間要求に応じて標準滞在時間を受信する手順と、
前記入口料金所進入日時情報及び前記出口料金所進入日時情報に基づいて前記車両の実滞在時間を算出する手順と、
前記標準滞在時間及び前記実滞在時間に基づいて、前記入口料金所情報又は前記出口料金所情報に含まれる通行料金に対応したサービスを付与するかどうか決定する手順と、
を備える、料金収受方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明の実施形態は、料金収受中央装置及び料金収受方法に関する。

【背景技術】

【0002】

従来の有料道路における通行料金は、基本的に入口料金所から出口料金所までの距離に応じて決められている。現在、ＥＴＣ（Electronic Toll Collection）システムを用いた自動料金収受が主流となっており、ＥＴＣカードを挿入したＥＴＣ車載器を搭載した車両が入口料金所及び出口料金所に設置されたＥＴＣ路側機を通過することにより出口料金所で入口料金所と出口料金所と間の料金を予め設定された料金マスタデータを参照することによって通行料金が決定されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１１－１７０６２８号公報

【特許文献2】特開２０１９－１２５２３４号公報

【特許文献3】特開２００２－０５６４２０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

近年有料道路の拡張に伴って利用者が目的地までに選択できる経路が多数存在している場合があるが、利便性及び通行料金等に起因して経路選択に偏りが生じると、特定の経路に交通が集中する。そのため、経路選択の偏りは、特定の経路での交通量の増加要因となっている。

【0005】

例えば、同一のルートを周回可能な有料道路等では、周回する車両も存在する。この様な車両が有料道路上に長く滞在することにより、交通量の増加が起こるという問題がある。

【0006】

また、滞在時間が極端に長い車両は、不法に有料道路内に滞在している可能性があるという問題もある。

【0007】

この発明は、上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、入口料金所から出口料金所までの滞在時間が短い車両の運転者が有利となるサービスを提供する技術を提供することにある。さらに、滞在時間の長い運転者に対する問合せ又は警察への通報を可能にする技術を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0008】

実施形態に係る料金収受中央装置は、入口料金所機器から、車両が入口料金所に進入した日時を示す入口料金所進入日時情報、入口料金所識別情報、及び前記車両の車載器に挿入されたＥＴＣカードのＥＴＣカードＩＤを含む入口料金所情報を受信し、出口料金所機器に対して料金テーブルを配信し、出口料金所機器から前記車両が出口料金所に進入した日時を示す出口料金所進入日時情報、出口料金所識別情報、及び前記ＥＴＣカードＩＤを含む出口料金所情報を受信する料金所側通信部と、前記入口料金所識別情報及び前記出口料金所識別情報に基づいて前記入口料金所から前記出口料金所までの標準滞在時間要求を送信し、前記標準滞在時間要求に応じて標準滞在時間を受信するサーバ側通信部と、前記入口料金所進入日時情報及び前記出口料金所進入日時情報に基づいて前記車両の実滞在時間を算出し、前記標準滞在時間及び前記実滞在時間に基づいて前記入口料金所情報又は前記出口料金所情報に含まれる通行料金通行料金に対応したサービスを付与するかどうか決定する制御部と、を備えるものである。

【0009】

実施形態に係る別の料金収受中央装置は、車両が入口料金所に進入した日時を示す入口料金所進入日時情報、入口料金所識別情報、及び前記車両の車載器に挿入されたＥＴＣカードのＥＴＣカードＩＤを含む入口料金所情報を入口料金所機器から受信し、前記車両が出口料金所に進入した日時を示す出口料金所進入日時情報、出口料金所識別情報、及び前記ＥＴＣカードＩＤを含む出口料金所情報、および予め料金収受中央装置から送信した入口料金所から出口料金所までの間の料金を定義した料金所マスタ情報を入口、及び出口料金所機器に送信し、前記入口料金所識別情報及び前記出口料金所識別情報に基づいて算出された通行料金を前記出口料金所機器から受信する料金所側通信部と、前記入口料金所識別情報及び前記出口料金所情報に基づいて前記入口料金所から前記出口料金所までの標準滞在時間要求を送信し、前記標準滞在時間要求に応じて標準滞在時間を受信するサーバ側通信部と、前記入口料金所進入日時情報及び前記出口料金所進入日時情報に基づいて前記車両の実滞在時間を算出し、前記標準滞在時間及び前記実滞在時間に基づいて前記通行料金に対応したサービスを付与するかどうか決定する制御部と、を備えるものである。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】図１は、実施形態に係る料金処理システムの概略構成の一例を示す図である。

【図2】図２は、実施形態に係る各装置及び各機器の構成例を示すブロック図である。

【図3】図３は、実施形態に係る料金処理システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。

【図4】図４は、実施形態に係る料金処理システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、図面を参照しながら料金処理システム、料金収受中央装置及び料金収受方法について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。

【0012】

［実施形態］
（構成）
図１は、実施形態に係る料金処理システムの概略構成の一例を示す図である。
料金処理システムは、料金収受中央装置１と、交通管制サーバ２と、入口料金所機器３と、出口料金所機器４と、車両検知器５と、車両６０に搭載された車載器６と、を備える。

【0013】

料金収受中央装置１は、いわゆる中央装置であり、有料道路を管理する管理会社の管理室等の所定の場所に設置される。そして、料金収受中央装置１は、入口料金所機器３、出口料金所機器４からの情報を受信し、走行経路ごとに車両６０の通行料金に対応したサービスを付与するかどうかを決定する。ここで、サービスについては後述する。

【0014】

交通管制サーバ２は、例えば、交通管制センターの管理室等の所定の場所に設置される。そして、交通管制サーバ２は、車両検知器５から情報を受信し、有料道路上の各種情報を作成して記憶している。なお、交通管制サーバ２は、料金収受中央装置１と同じ場所に設置されても良いし、異なる場所に設置されても良い。また、交通管制サーバ２は、料金収受中央装置１と同じ装置であっても良い。

【0015】

入口料金所機器３は、有料道路の入口料金所に配置される、路側機器である。路側機器である入口料金所機器３は、車両６０を検知すると車両６０の車載器６と通信を確立する。そして、入口料金所機器３は、車載器６と各種情報を送受信する。さらに入口料金所機器３は、車載器６との通信で取得した各種情報を料金収受中央装置１に送信する。

【0016】

また、通行料金は出口料金所機器で算出される対距離性料金の路線と、対応する出口に拠らず入口で料金が固定で確定する単一料金制の路線がある。単一料金制の場合には、料金収受中央装置１から通行料金を算出するための料金マスタ情報を受信する。更に、入口料金所機器３に対応する通行料金情報を料金収受中央装置１に送信する。

【0017】

出口料金所機器４は、有料道路の出口料金所に配置される。出口料金所機器４は、車両６０を検知すると車両６０の車載器６と通信を確立する。そして、出口料金所機器４は、車載器６と各種情報を送受信する。さらに出口料金所機器４は、車載器６との通信で取得した各種情報を料金収受中央装置１に送信し、料金収受中央装置１から通行料金を算出するための入口料金所機器から出口料金所機器までの間の料金マスタ情報、すなわち料金テーブルを受信する。そして、出口料金所機器４は、料金所マスタ情報から算出した通行料金情報を料金収受中央装置１に送信する。

【0018】

車両検知器５は、有料道路の道中、例えば、ジャンクション、渋滞が高い頻度で発生する地点等に配置される、路側機器である。車両検知器５は、有料道路を走行する車両６０を撮影し、各種情報を取得する。そして車両検知器５は、取得した各種情報を交通管制サーバ２に送信する。

【0019】

車載器６は、有料道路を走行する車両６０に配置される。車載器６は、入口料金所機器３及び出口料金所機器４と通信可能であり、車載器６に挿入されたＥＣＴカードのカードＩＤ、カード番号、及び有効期限等の各種情報を送信する。また、車載器６は、入場した入口料金所機器３から入口情報等を受信し、当該入口情報をＥＴＣカードに記憶させることが可能である。なお、車載器６は、車両検知器５とも通信可能であっても良い。

【0020】

なお、図１では、簡単化のため、入口料金所機器３、出口料金所機器４、及び車両検知器５を１つのみ示しているが、これらは複数であって良いのは勿論である。また、車両６０及び車載器６も１つのみを示しているが、車載器６を搭載した複数の車両６０が有料道路を通行するのは勿論である。

【0021】

図２は、実施形態に係る各装置及び各機器の構成例を示すブロック図である。すなわち、図２は、料金収受中央装置１、交通管制サーバ２、入口料金所機器３、出口料金所機器４、車両検知器５、及び車載器６それぞれの構成例を示すブロック図である。

【0022】

料金収受中央装置１は、通信部１１、制御部１２、記憶部１３等を有する。

【0023】

制御部１２は、料金収受中央装置１における制御及びデータ処理等を司る制御ユニットである。制御部１２は、ＣＰＵ、メモリ及びインタフェース等を有する。ＣＰＵは、プログラムを実行することにより、入口料金所情報及び出口料金所情報に基づいて車両の通行料金を算出する等の各種の処理機能を実現するプロセッサである。ＣＰＵは、インタフェース等を介して料金収受中央装置１を構成する各部に接続される。メモリは、ＣＰＵが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、及び設定データ等を保存する書換え可能な不揮発性メモリ等の各種のメモリを含む。すなわち、制御部１２は、ＣＰＵがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより各部の制御及びデータ処理を実行する。

【0024】

記憶部１３は、メインメモリ等の読出しや書込みが高速に行える記憶媒体を含む。記憶部１３は、ＨＤＤ或いはＳＳＤ等の大容量の記憶装置で構成されても良い 。記憶部１３は、当該料金収受中央装置１に関わる各種のデータを記憶する。例えば、記憶部１３は、入口料金所機器３から受信した入口料金所情報、出口料金所機器から受信した出口料金所情報等を記憶して良い。

【0025】

通信部１１は、１つ以上の有線又は無線の通信モジュールを含む通信インタフェースである。例えば、サーバ側通信部である通信部１１は、交通管制サーバ２と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。さらに、例えば、料金所側通信部である通信部１１は、入口料金所機器３及び出口料金所機器４と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。通信部１１は、制御部１２の制御の下、各装置及び各機器との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。

【0026】

交通管制サーバ２は、通信部２１、制御部２２、及び記憶部２３等を有する。

【0027】

制御部２２は、交通管制サーバ２における制御及びデータ処理等を司る制御ユニットである。制御部２２は、ＣＰＵ、メモリ及びインタフェース等を有する。ＣＰＵは、プログラムを実行することにより、車両検知器５から受信した交通情報に基づいて有料道路の状況を示す有料道路情報を算出することを実現するプロセッサである。ＣＰＵは、インタフェース等を介して交通管制サーバ２を構成する各部に接続される。メモリは、ＣＰＵが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、及び設定データ等を保存する書換え可能な不揮発性メモリ等の各種のメモリを含む。すなわち、制御部２２は、ＣＰＵがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより各部を制御及びデータ処理を実行する。

【0028】

記憶部２３は、メインメモリ等の読出しや書込みが高速に行える記憶媒体を含む。記憶部２３は、ＨＤＤ或いはＳＳＤ等の大容量の記憶装置で構成されても良い 。記憶部２３は、当該交通管制サーバ２に関わる各種のデータを記憶する。例えば、記憶部２３は、車両検知器５から受信した交通情報及び交通情報から算出された有料道路情報等を記憶する。

【0029】

通信部２１は、１つ以上の有線又は無線の通信モジュールを含む通信インタフェースである。例えば、通信部２１は、料金収受中央装置１と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。さらに、例えば、通信部２１は、車両検知器５と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。通信部２１は、制御部２２の制御の下、各装置及び各機器との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。

【0030】

入口料金所機器３は、上位通信部３１、制御部３２、記憶部３３、発進制御器３４、路側表示器３５、車両通信部３６等を有する。

【0031】

制御部３２は、入口料金所機器３全体の制御及びデータ処理等を行う制御ユニットである。制御部３２は、ＣＰＵ、メモリ、及びインタフェース等を有する。ＣＰＵは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。ＣＰＵは、インタフェース等を介して入口料金所機器３を構成する各部に接続される。メモリは、ＣＰＵが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、及び、設定データ等を保存する書換え可能な不揮発性メモリ等の各種のメモリを含む。

【0032】

記憶部３３は、メインメモリ等の読出しや書込みが高速に行える記憶媒体を含む。記憶部３３は、ＨＤＤ或いはＳＳＤ等の大容量の記憶装置で構成されても良い 。記憶部３３は、当該入口料金所機器３に関わる各種のデータを記憶する。例えば、記憶部３３は、入口料金所を識別する入口識別情報を記憶する。

【0033】

上位通信部３１は、上位装置としての料金収受中央装置１と通信するための、１つ以上の有線又は無線の通信モジュールを含む通信インタフェースである。例えば、上位通信部３１は、料金収受中央装置１と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。上位通信部３１は、制御部３２の制御の下、各装置及び各機器との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。

【0034】

発進制御器３４は、入口料金所に入場する車両６０の通行を制御する。発進制御器３４は、入口料金所に入場する車両６０が走行するレーンに設けた発進制御バーの開閉を制御する。例えば、発進制御器３４は、車両６０を一時停止させる場合、或いは車両６０の通行（入場）を不可とする場合、発進制御バーを閉じて車両６０の通行を物理的に阻止する。また、発進制御器３４は、車両６０の通行（入場）を許可する場合、発進制御バーを開放して車両６０の通行を許可する。なお、入口料金所がフリーフロー（ＦＦ）料金所である場合等、料金所に発進制御バーを設けなくとも良いのは勿論である。

【0035】

路側表示器３５は、入口料金所を通行する車両６０に乗車する利用者に対して案内等を表示する。路側表示器３５は、入口料金所に入場する車両６０に向けて設置される。

【0036】

車両通信部３６は、車両６０に搭載する車載器６と通信するための無線通信モジュールを含む。例えば、車両通信部３６は、入口料金所機器３に接近する車両６０（すなわち有料道路に入場しようとする車両６０）を検知し、車両６０に搭載された車載器６と通信を確立する。そして、車両通信部３６は、車載器６と無線通信することにより、車載器ＩＤ、車両６０のナンバープレート情報、及び車載器６に挿入されたＥＴＣカードのカードＩＤ等の各種情報を取得する。さらに、車両通信部３６は、入口料金所機器３の入口識別情報等を含む各種情報を車載器６に送信する。

【0037】

出口料金所機器４は、上位通信部４１、制御部４２、記憶部４３、発進制御器４４、路側表示器４５、車両通信部４６等を有する。

【0038】

制御部４２は、出口料金所機器４全体の制御及びデータ処理等を行う制御ユニットである。制御部４２は、ＣＰＵ、メモリ、及びインタフェース等を有する。ＣＰＵは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。ＣＰＵは、インタフェース等を介して出口料金所機器４を構成する各部に接続される。メモリは、ＣＰＵが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、及び、設定データ等を保存する書換え可能な不揮発性メモリ等の各種のメモリを含む。

【0039】

記憶部４３は、メインメモリ等の読出しや書込みが高速に行える記憶媒体を含む。記憶部４３は、ＨＤＤ或いはＳＳＤ等の大容量の記憶装置で構成されても良い 。記憶部４３は、当該出口料金所機器４に関わる各種のデータを記憶する。例えば、記憶部４３は、出口料金所を識別する出口識別情報を記憶する。さらに記憶部４３は、料金収受中央装置１から受信した料金テーブル、通行不可車両識別情報を記憶して良い。ここで、通行不可車両識別情報は、通行を許可しない車両６０の車両識別情報を記憶したテーブルであり、該当する車両６０が通行しようとした際、出口料金所機器４の制御部４２は、発進制御バーを閉じるように制御する。

【0040】

上位通信部４１は、上位装置としての料金収受中央装置１と通信するための、１つ以上の有線又は無線の通信モジュールを含む通信インタフェースである。例えば、上位通信部４１は、料金収受中央装置１と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。上位通信部４１は、制御部４２の制御の下、各装置及び各機器との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。

【0041】

発進制御器４４は、出口料金所に入場する車両６０の通行を制御する。発進制御器４４は、出口料金所に入場する車両６０が走行するレーンに設けた発進制御バーの開閉を制御する。例えば、発進制御器４４は、車両６０を一時停止させる場合、或いは車両６０の通行（出場）を不可とする場合、発進制御バーを閉じて車両６０の通行を物理的に阻止する。また、発進制御器４４は、車両６０の通行（出場）を許可する場合、発進制御バーを開放して車両６０の通行を許可する。なお、出口料金所がＦＦ料金所である場合等、料金所に発進制御バーを設けなくとも良いのは勿論である。

【0042】

路側表示器４５は、出口料金所を通行する車両６０に乗車する利用者に対して案内等を表示する。路側表示器４５は、出口料金所に入場する車両６０に向けて設置される。

【0043】

車両通信部４６は、車両６０に搭載する車載器６と通信するための無線通信モジュールを含む。例えば、車両通信部３６は、入口料金所機器３に接近する車両６０（すなわち有料道路に入場しようとする車両６０）を検知し、車両６０に搭載された車載器６と通信を確立する。そして、車両通信部３６は、車載器６と無線通信することにより、車載器ＩＤ、車両６０のナンバープレート情報、及び車載器６に挿入されたＥＴＣカードのカードＩＤ等の各種情報を取得する。さらに、車両通信部３６は、出口料金所機器４の出口識別情報等を含む各種情報を車載器６に送信する。

【0044】

車両検知器５は、上位通信部５１、制御部５２、記憶部５３、カメラ５４、及び車両通信部５５等を有する。

【0045】

制御部５２は、車両検知器５全体の制御及びデータ処理等を行う制御ユニットである。制御部５２は、ＣＰＵ、メモリ、及びインタフェース等を有する。ＣＰＵは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。ＣＰＵは、インタフェース等を介して車両検知器５を構成する各部に接続される。メモリは、ＣＰＵが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、及び設定データ等を保存する書換え可能な不揮発性メモリ等の各種のメモリを含む。

【0046】

上位通信部５１は、上位装置としての交通管制サーバ２と通信するための、１つ以上の有線又は無線の通信モジュールを含む通信インタフェースである。例えば、上位通信部５１は、交通管制サーバ２と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。上位通信部５１は、制御部５２の制御の下、各装置及び各機器との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。

【0047】

記憶部５３は、メインメモリ等の読み出しの読出しや書込みが高速に行える記憶媒体を含む。記憶部５３は、ＨＤＤ或いはＳＳＤ等の大容量の記憶装置で構成されても良い 。記憶部５３は、カメラ５４で撮影した撮影画像等を含む各種のデータを記憶する。

【0048】

車両通信部５５は、車両６０に搭載する車載器６と通信するための無線通信モジュールを含む。例えば、車両通信部５５は、有料道路上を走行している車両６０を検知し、車両６０に搭載された車載器６と通信を確立する。そして、車両通信部５５は、車載器６と無線通信することにより、車載器ＩＤ、ナンバープレート情報、及び車載器６に挿入されたＥＴＣカードのカードＩＤ等の各種情報を取得する。なお、車両検知器５が車両６０と通信する必要がない場合、車両通信部５５は、車両検知器５に無くとも良い。

【0049】

車載器６は、通信部６１、制御部６２、及び記憶部６３等を有する。

【0050】

制御部６２は、車載器６における制御及びデータ処理等を司る制御ユニットである。制御部６２は、ＣＰＵ、メモリ及びインタフェース等を有する。ＣＰＵは、プログラムを実行することにより、車載器６に挿入されたＥＴＣカードのカードＩＤ等を含む車載器情報を各料金所機器に送信する等の各種の処理機能を実現するプロセッサである。ＣＰＵは、インタフェース等を介して車載器６を構成する各部に接続される。メモリは、ＣＰＵが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、及び設定データ等を保存する書換え可能な不揮発性メモリ等の各種のメモリを含む。すなわち、制御部６２は、ＣＰＵがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより各部を制御及びデータ処理を実行する。

【0051】

記憶部６３は、メインメモリ等の読出しや書込みが高速に行える記憶媒体を含む。記憶部６３は、ＨＤＤ或いはＳＳＤ等の大容量の記憶装置で構成されても良い 。記憶部６３は、当該車載器６に関わる各種のデータを記憶する。例えば、記憶部６３は、車載器ＩＤ、車両６０の車種、ナンバープレート情報、車幅、車高等を含む各種情報等を記憶する。また、記憶部６３は、制御部２２の制御の下、入口料金所機器３から受信した入口識別情報及び出口料金所機器４から受信した出口識別情報を記憶しても良い。

【0052】

通信部６１は、１つ以上の無線の通信モジュールを含む通信インタフェースである。例えば、通信部６１は、入口料金所機器３、出口料金所機器４、及び車両検知器５と無線接続する通信モジュールを含む。通信部６１は、制御部６２の制御の下、各機器との間で無線通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。

【0053】

（動作）
図３は、実施形態に係る料金処理システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
料金収受中央装置１、交通管制サーバ２、入口料金所機器３、出口料金所機器４、車両検知器５、及び車載器６の制御部１２、制御部２２、制御部３２、制御部４２、制御部５２、及び制御部６２がそれぞれ記憶部１３、記憶部２３、記憶部３３、記憶部４３、記憶部５３、及び記憶部６３に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このシーケンスの動作が実現される。

【0054】

ここで、図３を参照して説明する処理は、入口料金所から出口料金所までの滞在時間が短い運転者が有利となるサービスを提供する処理である。

【0055】

ステップＳＴ１０１で、車両検知器５の制御部５２は、交通情報を取得する。最初に、車両検知器５の制御部５２は、カメラ５４を用いて有料道路上を走行している車両６０を撮影し、撮影画像に基づいて交通量、車両６０の平均速度、及び道路占有率等を含む交通情報を取得する。ここで、交通量は、所定の時間に車両検知器５を通過した車両６０の台数から算出可能な値である。車両６０の平均速度は、所定の時間に車両検知器５を通過した車両６０について、撮影画像から算出された速度を平均した値である。そして、道路占有率は、所定の時間に車両６０が存在した時間の比によって表される値である。なお、例えば、車両６０の平均速度を算出する際、法定速度を大幅に超えた車両６０が通行した場合、この車両６０の速度は、平均速度を算出する際に除外しても良い。

【0056】

ステップＳＴ１０２で、制御部５２は、上位通信部５１を通じて、交通管制サーバ２に交通情報を送信する。制御部５２は、取得した交通情報に加えて、交通情報を取得した際に使用した撮影画像、所定の時間の期間等の情報も交通管制サーバ２に送信しても良い。

【0057】

ステップＳＴ１０３で、交通管制サーバ２の制御部２２は、標準滞在時間を算出する。

【0058】

標準滞在時間は、例えば、各入口料金所から各出口料金所間の区間距離（Ｋｍ）／車両の平均速度によって算出される。また、標準滞在時間は、交通情報に含まれる交通量及び道路占有率を用いて算出しても良い。すなわち、標準滞在時間は、入口料金所から出口料金所までの区間を含む有料道路上のリアルタイムの交通情報に基づいて算出される。

【0059】

ここで、標準滞在時間は、ステップＳＴ１０１で受信した交通情報を使用せず、過去に受信した交通情報に基づいて算出しても良い。すなわち、制御部２２は、前記入口料金所から前記出口料金所までの区間を含む有料道路上のリアルタイムの交通情報に基づいて標準滞在時間を算出せずに、当該有料道路上の過去の交通情報に基づいて標準滞在時間を算出しても良い。

【0060】

また、標準滞在時間の算出は、料金収受中央装置１で行っても良い。すなわち、料金収受中央装置１の制御部１２は、交通管制サーバ２から交通情報を取得し、取得した交通情報に基づいて標準滞在時間を算出しても良い。

【0061】

ステップＳＴ１０４で、車両６０が入口料金所に進入し、有料道路に入場する。入口料金所機器３の制御部３２は、車両通信部３６を用いて車両６０を検知し、車載器６との通信を確立する。そして、車両通信部３６は、制御部３２の制御の下、車載器６に車両情報を送信するよう要求する車両情報要求を送信する。

【0062】

ステップＳＴ１０５で、車載器６の通信部６１は、車両情報を入口料金所機器３に送信する。通信部６１は、制御部６２の制御の下、車両情報要求を受信する。制御部６２は、記憶部６３に記憶された車載器ＩＤ、ＥＴＣカードのカード番号、ＥＴＣカードのカードＩＤ等を含む車両情報を通信部６１に出力する。そして、通信部６１は、車両情報を入口料金所機器３に送信する。

【0063】

ステップＳＴ１０６で、制御部３２は、入口料金所情報を送信する。路側機器である入口料金所機器３の制御部３２は、車両通信部３６を通じて車両情報を受信する。そして、制御部３２は、受信した車両情報、記憶部３３に記憶された入口料金所機器３を識別する入口ＩＤ、及び車両６０が入口料金所に入場した日時を示す入口料金所進入日時情報を含む、入口料金所情報を上位通信部３１に出力する。そして、上位通信部３１は、制御部３２の制御の下、出力された入口料金所情報を料金収受中央装置１に送信する。なお、有料道路が単一料金制の路線である場合、入口料金所情報は、車両６０の基本通行料金情報を含んで良い。

【0064】

入口料金所情報を受信した料金収受中央装置１は、記憶部１３に入口料金所情報を記憶させて良い。また、車両通信部３６は、記憶部に記憶された入口ＩＤ及び入口料金所進入日時情報等を含む入口情報を車載器６に送信しても良い。そして、車載器６の制御部６２は、ＥＴＣカードに受信した入口情報を記憶させても良い。

【0065】

その後、車両６０は有料道路を走行し、出口料金所に向かう。なお、ステップＳＴ１０１及びステップＳＴ１０２は、ステップＳＴ１０４の後に行われても良い。すなわち、ステップＳＴ１０１及びステップＳＴ１０２は、車両６０が有料道路に入場し、退場するまでの間に行われても良い。

【0066】

ステップＳＴ１０７で、車両６０が出口料金所に進入し、有料道路から退場する。出口料金所機器４の制御部４２は、車両通信部４６を用いて車両６０を検知し、車載器６との通信を確立する。そして、車両通信部４６は、制御部４２の制御の下、車載器６に車両情報を送信するよう要求する車両情報要求を送信する。

【0067】

ステップＳＴ１０８で、車載器６の通信部６１は、車両情報を出口料金所機器４に送信する。通信部６１は、制御部６２の制御の下、車両情報要求を受信する。制御部６２は、記憶部６３に記憶された車載器ＩＤ、ＥＴＣカードのカード番号、ＥＴＣカードのカードＩＤ、及び入口料金所機器３から受信した入口情報等を含む車両情報を通信部６１に出力する。そして、通信部６１は、車両情報を出口料金所機器４に送信する。

【0068】

ステップＳＴ１０９で、制御部４２は、出口料金所情報を送信する。出口料金所機器４の制御部４２は、車両通信部４６を通じて車両情報を受信する。制御部４２は、受信した車両情報に含まれる入口情報及び記憶部４３に記憶された料金テーブルに基づいて車両６０の基本通行料金を算出する。そして、制御部４２は、受信した車両情報、算出した基本通行料金、記憶部４３に記憶された出口料金所機器４を識別する出口ＩＤ、及び車両６０が出口料金所に進入した日時を示す出口料金所進入日時情報を含む、出口料金所情報を上位通信部４１に出力する。そして、上位通信部４１は、制御部４２の制御の下、出力された出口料金所情報を料金収受中央装置１に送信する。なお、有料道路が単一料金制の場合、ステップＳＴ１０６で説明した入口料金所情報に車両６０の基本通行料金が含まれているため、制御部４２は、基本通行料金を算出しなくても良い。

【0069】

ステップＳＴ１１０で、基本通行料金を管理する。料金収受中央装置１の制御部１２は、通信部１１を通じて、入口料金所情報又は出口料金所情報に含まれる基本通行料金を受信する。制御部１２は、入口料金所情報に含まれる入口ＩＤ及び出口料金所情報に含まれる出口ＩＤに基づいて車両６０の通行料金である基本通行料金を管理、すなわち記憶部１３に記憶させる。

【0070】

ステップＳＴ１１１で、制御部１２は、実滞在時間を算出する。制御部１２は、出口料金所情報に含まれる出口料金所進入日時から入口料金所情報に含まれる入口料金所進入日時を引くことで、実滞在時間を算出する。また、制御部１２は、入口ＩＤ及び出口ＩＤに基づいて入口料金所から出口料金所までの最低滞在時間を算出する。最低滞在時間は、例えば、入口料金所から出口料金所までの距離にその区間中の法定速度を掛けることで算出される。

【0071】

ステップＳＴ１１２で、通信部１１は、標準滞在時間要求を交通管制サーバ２に送信する。制御部１２は、実滞在時間を標準滞在時間と比較するために、標準滞在時間要求を生成し、通信部１１に出力する。そして、通信部１１は、当該標準滞在時間要求を交通管制サーバ２に送信する。

【0072】

ステップＳＴ１１３で、通信部２１は、標準滞在時間情報を送信する。制御部２２は、通信部２１を通じて、標準滞在時間要求を受信する。制御部２２は、当該要求に応じて、記憶部２３に記憶された標準滞在時間を取得し、通信部２１に出力する。通信部２１は、当該標準滞在時間を含む滞在時間情報を料金収受中央装置１に送信する。

【0073】

また、制御部１２は、入口料金所と出口料金所が所定の距離、例えば、１００Ｋｍ以上離れている場合、当該所定の距離に応じて標準滞在時間を延長して良い。例えば、長距離を移動する場合、車両６０の運転者は、パーキングエリア等で休憩を取ることが想定される。制御部１２は、この様な休憩時間等を標準滞在時間に含めるよう標準滞在時間を延長して良い。

【0074】

なお、制御部１２が標準滞在時間を算出している場合、ステップＳＴ１１２～ステップＳＴ１１３は、省略可能である。

【0075】

ステップＳＴ１１４で、制御部１２は、割引料金を算出する。制御部１２は、ステップＳＴ１１１で算出した実滞在時間及び標準滞在時間に基づいて割引料金を算出する。例えば、ある入口料金所からある出口料金所までの標準滞在時間が１Ｈであり、最低滞在時間が０．５ｈであるとする。そして、例えば、当該区間の割引設定が以下のように設定されているとする。

【0076】

設定１： 入口料金所から出口料金所までの滞在時間が０．５ｈ未満⇒ 割引なし（速度超過候補）
設定２： 入口料金所から出口料金所までの滞在時間が０．５ｈ以上から１．５ｈ未満 ⇒ 基本通行料金から１０％割引
設定３： 入口料金所から出口料金所までの滞在時間が１．５ｈ以上から２４ｈ未満 ⇒ 割引なし
設定４： 入口料金所から出口料金所までの滞在時間 ： ２４ｈ＜滞在時間 ⇒ 割引なし（長期滞在候補）
上記の条件下で、以下の４つの走行パターンについて説明する。
走行パターン１： 入口料金所進入日時（９：００） → 出口料金所ＩＣ進入日時（翌１０：００）＝滞在時間２５ｈ
走行パターン２： 入口料金所進入日時（９：００） → 出口料金所進入日時（９：１０）＝滞在時間：０．１ｈ
走行パターン３： 入口料金所進入日時（９：００） → 出口料金所進入日時（９：３０）＝滞在時間：０．５ｈ
走行パターン４： 入口料金所進入日時（９：００） → 出口料金所進入日時（１１：００）＝滞在時間：２ｈ
走行パターン１では、滞在時間２５ｈであるため、設定４に該当し長期滞在候補となるため、割引はない。走行パターン２では、滞在時間が０．１ｈであるため、設定１に該当し、速度超過候補となり、割引はない。走行パターン３では、滞在時間が０．５ｈであり、設定２に該当するため、基本料金から１０％の割引された割引料金が通行料金となる。走行パターン４では、設定３となり、割引はない。なお、この例は、単なる一例であり、任意の条件を設定可能であるのは勿論である。例えば、最低滞在時間を設定しなくとも良いし、設定２の中でさらに細かく条件を設定して割り引き率を変更するように設定しても良いのは勿論である。

【0077】

また、制御部１２は、標準滞在時間が所定の閾値より大きい場合、割引料金を適用しないようにしても良い。標準滞在時間が所定の閾値より大きい場合とは、有料道路で交通渋滞が発生している場合等が想定される。この様な場合にまで割引料金を適用する必要はない。例えば、制御部１２は、標準滞在時間を算出する際の平均速度が法定速度の半分になるような場合、割引料金を適用しないと決定しても良い。

【0078】

ステップＳＴ１１５で、通信部１１は、車載器６に通行料金を送信する。通信部１１は、出口料金所機器４を介して通行料金を車載器６に送信する。車載器６の制御部６２は、ＥＴＣカードに通行料金を記憶させても良い。

【0079】

ステップＳＴ１１６で、制御部１２は、ポイント付与率を算出する。例えば、ポイント付与率は、ステップＳＴ１１４で説明した区間の付与率が以下のように設定されているとする。

【0080】

設定５： 入口料金所から出口料金所までの滞在時間が０．５ｈ未満⇒ ポイント付与なし（速度超過候補）
設定６： 入口料金所から出口料金所までの滞在時間が０．５ｈ以上から１．５ｈ未満 ⇒ 基本通行料金の１％のポイントを付与
設定７： 入口料金所から出口料金所までの滞在時間が１．５ｈ以上から２４ｈ未満 ⇒ ポイント付与なし
設定８： 入口料金所から出口料金所までの滞在時間 ： ２４ｈ＜滞在時間 ⇒ ポイント付与なし（長期滞在候補）
上述した走行パターン１、２、４は、ポイント付与がなく、走行パターン３が基本通行料金の１％のポイントを運転者のポイント情報に付与することになる。ここで、ポイント情報は、ＥＴＣカード中に記憶させれた情報であっても良いし、運転者が利用者登録した所定のサイト上で見ることができる情報でも良い。なお、この例は、単なる一例であり、任意の条件を設定可能であるのは勿論である。例えば、最低滞在時間を設定しなくとも良いし、設定２の中でさらに細かく条件を設定しポイント付与率を変更するように設定しても良いのは勿論である。

【0081】

また、ステップＳＴ１１４～ステップＳＴ１１７では、基本通行料金を割り引き、ポイントを付与する例を説明したが、制御部１２は、その他のサービスを運転者に提供しても良い。例えば、実滞在時間が標準滞在時間より短い場合に、サービスエリアの所定の店舗で使用可能なクーポンを付与するかどうか決定しても良い。すなわち、制御部１２は、標準滞在時間及び実滞在時間に応じて通行料金に対応したサービスを付与するかどうか決定しても良い。

【0082】

ステップＳＴ１１８で、制御部１２は、ポイントを通知する。通信部１１は、出口料金所機器４を介してポイントを通知する。制御部６２は、ＥＴＣカードのポイント情報、すなわち、運転者のポイント情報にポイントを記憶させても良い。そして、制御部６２は、車両６０の運転者の設定に従って、次回の有料道路を使用した際の通行料金をポイントで支払っても良い。また、ポイント付与の通知先は、運転者が運転者の所持するメールアドレス、ＳＮＳのダイレクトメッセージ等を事前登録している場合、当該メールアドレス等であっても良い。この場合、運転者は、例えば、運転者が事前登録した所定のサイトでポイント情報を見ることが出来るＵＬＲを通知しても良い。

【0083】

ステップＳＴ１１４の割引料金とステップＳＴ１１６でのポイント付与とは、いずれか１方のみを行っても良い。すなわち、ステップＳＴ１１４を処理する場合、ステップＳＴ１１６及びステップＳＴ１１７を省略可能であるし、ステップＳＴ１１６及びステップＳＴ１１７を処理する場合にステップＳＴ１１４を省略可能である。

【0084】

図４は、実施形態に係る料金処理システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
料金収受中央装置１、交通管制サーバ２、入口料金所機器３、出口料金所機器４、車両検知器５、及び車載器６の制御部１２、制御部２２、制御部３２、制御部４２、制御部５２、及び制御部６２がそれぞれ記憶部１３、記憶部２３、記憶部３３、記憶部４３、記憶部５３、及び記憶部６３に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このシーケンスの動作が実現される。

【0085】

ここで、図４を参照して説明する処理は、利用者が長期間有料道路上に滞在した場合の処理である。また、ステップＳＴ２０１～ステップＳＴ２１３は、図３で説明したステップＳＴ２０１～ステップＳＴ１１３と同じであるため、ここでの説明を省略する。

【0086】

ステップＳＴ２１４で、制御部１２は、長期滞在者を判定する。例えば、図３のステップＳＴ１１４で説明した走行パターン１の場合、制御部１２は、当該運転者が長期滞在者であると判定する。制御部１２は、長期滞在者と判定された運転者についての個人情報、例えば、車両情報及び車載器６から取得可能な車両のナンバープレート情報、車載器ＩＤ、及び車種等を含む長期滞在者情報を抽出し、記憶部１３に記憶させる。

【0087】

ステップＳＴ２１５で、制御部１２は、車両６０の遅延が事業者由来の事由であるかどうかを判定する。例えば、有料道路上で事故、災害、緊急の道路工事等が発生し、通行止め、又は車線規制等による渋滞が発生した結果、車両６０が有料道路上に長期間滞在する場合もある。そこで、車両６０が通行した区間にこのような事業者由来の事由があると判定した場合、制御部１２は、車両６０の運転者が長期滞在者に該当しないと判定する。この場合、制御部１２は、記憶部１３に記憶した長期滞在者情報を削除しても良い。

【0088】

ステップＳＴ２１６で、通信部１１は、通行不可車両識別情報を送信する。車両６０の事業者由来の事由がないと判定した場合、制御部１２は、車両６０の運転者に事情を聞く必要があると判定する。そこで、制御部１２は、車両６０を出口料金所から出場を阻止するために、通行不可車両識別情報を生成し、通信部１１に出力する。通信部１１は、当該通行不可車両識別情報を出口料金所機器４に送信する。当該通行不可車両識別情報を受信した出口料金所機器４の制御部４２は、通行不可車両識別情報を記憶し、車載器から受信した車両識別情報が通行不可車両識別情報に合致した場合、発進制御器４４の発進制御バーを閉じるように制御する。そして、出口料金所機器４の管理者は、車両６０の運転者に事情を聞くことになる。また、運転者が何らかの違反等をしていた場合、管理者は、必要に応じて警察に通報しても良い。

【0089】

（実施形態の作用効果）
以上説明した実施形態によれば、入口料金所から出口料金所までの滞在時間が短い車両６０の運転者が有利となるサービスを提供することができる。

【0090】

また、滞在時間が長い運転者に対する問合せ又は警察への通報を可能にすることができる。

【0091】

［他の実施形態］
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図３及び図４で説明した処理は、並列して処理を行っても良い。すなわち、通行料金の割引及び／又はポイント付与の処理を行うと共に、長期滞在者がいる場合、当該長期滞在者に事情を聞くようにして良い。

【0092】

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

【符号の説明】

【0093】

１…料金収受中央装置
１１…通信部
１２…制御部
１３…記憶部
２…交通管制サーバ
２１…通信部
２２…制御部
２３…記憶部
３…入口料金所機器
３１…上位通信部
３２…制御部
３３…記憶部
３４…発進制御器
３５…路側表示器
３６…車両通信部
４…出口料金所機器
４１…上位通信部
４２…制御部
４３…記憶部
４４…発進制御器
４５…路側表示器
４６…車両通信部
５…車両検知器
５１…上位通信部
５２…制御部
５３…記憶部
５４…カメラ
５５…車両通信部
６…車載器
６１…通信部
６２…制御部
６３…記憶部
６０…車両

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】