(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081046
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】小便器
(51)【国際特許分類】
E03D 13/00 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
E03D13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194707
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊博
(72)【発明者】
【氏名】南部 康夫
(72)【発明者】
【氏名】古田 祐一
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA04
2D039DB04
2D039FC09
2D039FD02
(57)【要約】
【課題】使用者が近づき易くなり、それにより、使用者との接触による不衛生等を防止することができる小便器を提供する。
【解決手段】本発明の小便器1は、正面において排尿を受けるためのボウル面4をその内側に形成している開口部6と、このボウル面の上方領域の中央に設けられ洗浄水をボウル面の左右方向に広がるように吐水する吐水装置14と、を有し、開口部は、上側を形成する上側縁8と、下側と形成する下側縁10と、これらの上側縁と下側縁とを繋ぐ両側の側縁12によって形成され、開口部の下側縁は、正面視で、上側縁の曲率半径R1よりも小さな曲率半径R2により形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便器であって、
正面において排尿を受けるためのボウル面をその内側に形成している開口部と、
このボウル面の上方領域の中央に設けられ洗浄水をボウル面の左右方向に広がるように吐水する吐水装置と、を有し、
上記開口部は、上側を形成する上側縁と、下側と形成する下側縁と、これらの上側縁と下側縁とを繋ぐ両側の側縁によって形成され、
上記開口部の下側縁は、正面視で、上記上側縁の曲率半径よりも小さな曲率半径により形成されていることを特徴とする小便器。
【請求項2】
上記開口部の両側の側縁は、その上端から下端に向けて、正面視において、その幅が等間隔又は狭まるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の小便器。
【請求項3】
上記開口部の下側縁は、上面視において、上記上側縁の曲率半径よりも小さな曲率半径により形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の小便器。
【請求項4】
上記開口部の両側の側縁は、側面視において、上方部分よりも下方部分の方が、鉛直方向に対する斜め前方に延びる傾斜角度が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の小便器。
【請求項5】
上記開口部は、側面視において、その上側縁、下側縁、及び、両側の側縁が、ほぼ直線状で斜め前方に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の小便器。
【請求項6】
上記開口部の上側縁及び下側縁は、それぞれ複数の円弧の組合せにより形成され、上記開口部は、正面視で、その下側縁の複数の円弧の曲率半径の平均値が、上記上側縁の複数の円弧の曲率半径の平均値よりも小さな値となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の小便器。
【請求項7】
上記開口部の上側縁及び下側縁は、それぞれ複数の円弧の組合せにより形成され、上記開口部は、上面視で、その下側縁の複数の円弧の曲率半径の平均値が、上記上側縁の複数の円弧の曲率半径の平均値よりも小さな値となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の小便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排尿(小便)を受けるためのボウル面を備えた小便器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小便器本体の最下部が床面から浮かれた状態となるように背後が壁面に沿って取り付けられた壁掛け式の小便器が記載されている。この小便器は、便鉢(ボウル面)を備え、その便鉢の開口部が、上部側から下部側に沿って前側(使用者側)に突き出るように傾斜して形成されている。開口部は更に所謂トラック形状、即ち、上側端部及び下側端部がそれぞれ同じ曲率半径を持つ円弧形状に形成され、さらに、上側端部の円弧形状と下側端部の円弧形状が平行な直線状の側部によって接続された形状となっている。ここで、上側端部の円弧形状と下側端部は、それぞれ単一の曲率半径で形成されているので、大きな曲率半径の円弧形状となっている。
【0003】
この小便器は便鉢の開口部をトラック形状とているので、意匠性がよく、さらに、小便器本体の形状において、大きな変曲点(即ち、角部)となる箇所を減らすことができるので、施工の際に、応力が集中する箇所や欠けやすい箇所が減少するという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の小便器においては、使用者の排尿の際、便鉢(ボウル面)の開口部の下側端部が上側端部と同様に大きな曲率半径で形成されているので、使用者の股下部分と接触し易くなり、使用者が小便器に近づき難いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、使用者が近づき易くなり、それにより、使用者との接触による不衛生等を防止することができる小便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、小便器であって、正面において排尿を受けるためのボウル面をその内側に形成している開口部と、このボウル面の上方領域の中央に設けられ洗浄水をボウル面の左右方向に広がるように吐水する吐水装置と、を有し、開口部は、上側を形成する上側縁と、下側と形成する下側縁と、これらの上側縁と下側縁とを繋ぐ両側の側縁によって形成され、開口部の下側縁は、正面視で、上側縁の曲率半径よりも小さな曲率半径により形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、開口部が、上側を形成する上側縁と、下側と形成する下側縁と、これらの上側縁と下側縁とを繋ぐ両側の側縁によって形成され、開口部の下側縁が、正面視で、上側縁の曲率半径よりも小さな曲率半径により形成されているので、使用者の排尿時に、使用者が小便器に近づいても股下部分が当たり難くなる。また、開口部の上側縁の曲率半径が下側縁の曲率半径よりも大きく設定されているため、ボウル面の吐水装置が設けられた位置よりも上部の不洗部領域を減らすことができ、且つ、この不洗浄部領域を減らした状態で、使用者の排尿時に、使用者の腕が開口部に当たらないよう開口部の内側に入れることができる。これにより、本発明によれば、使用者と小便器との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、開口部の両側の側縁は、その上端から下端に向けて、正面視において、その幅が等間隔又は狭まるように形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、開口部の両側の側縁が、その上端から下端に向けて、正面視において、その幅が等間隔又は狭まるように形成されているので、使用者が、排尿時に、腕を上方から下方に向けて、腕同士の距離が縮まるような態勢を取っても腕が当たり難くなり、一方、腕が当たりに難い下方領域においては、使用者がより小便器に近づき易くなる。これにより、本発明によれば、使用者と小便器との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、開口部の下側縁は、上面視において、上側縁の曲率半径よりも小さな曲率半径により形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、開口部の下側縁が、上面視において、上側縁の曲率半径よりも小さな曲率半径により形成されているので、使用者が排尿時に下方を見下ろしたとき、視覚的且つ物理的に、使用者が小便器に近づき易くなる。これにより、本発明によれば、使用者と小便器との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、開口部の両側の側縁は、側面視において、上方部分よりも下方部分の方が、鉛直方向に対する斜め前方に延びる傾斜角度が大きくなるように形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、開口部の両側の側縁は、側面視において、上方部分よりも下方部分の方が、鉛直方向に対する斜め前方に延びる傾斜角度が大きくなるように形成されているので、使用者は、排尿時に、小便器に近づき易くなり、排尿終了間近の尿垂れを確実に開口部がキャッチして外部への尿の飛散を防止することができる。これにより、本発明によれば、使用者と小便器との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、開口部は、側面視において、その上側縁、下側縁、及び、両側の側縁が、ほぼ直線状で斜め前方に延びるように形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、開口部が、側面視において、その上側縁、下側縁、及び、両側の側縁が、ほぼ直線状で斜め前方に延びるように形成されているので、使用者は、排尿時に、小便器に近づき易くなり、排尿終了間近の尿垂れを確実に開口部がキャッチして外部への尿の飛散を防止することができる。これにより、本発明によれば、使用者と小便器との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、開口部の上側縁及び下側縁は、それぞれ複数の円弧の組合せにより形成され、開口部は、正面視で、その下側縁の複数の円弧の曲率半径の平均値が、上側縁の複数の円弧の曲率半径の平均値よりも小さな値となるように形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、使用者の排尿時に、使用者が小便器に近づいても股下部分が当たり難くなる。これにより、本発明によれば、使用者と小便器との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、開口部の上側縁及び下側縁は、それぞれ複数の円弧の組合せにより形成され、開口部は、上面視で、その下側縁の複数の円弧の曲率半径の平均値が、上側縁の複数の円弧の曲率半径の平均値よりも小さな値となるように形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、使用者が排尿時に下方を見下ろしたとき、視覚的且つ物理的に、使用者が小便器に近づき易くなる。これにより、本発明によれば、使用者と小便器との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の小便器によれば、使用者が近づき易くなり、それにより、使用者との接触による不衛生等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による小便器を斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による小便器を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態による小便器を右側方から見た側面図である。
【
図4】本発明の実施形態による小便器を示す平面図である。
【
図5】
図2のIV-IV線に沿って見た断面図である。
【
図6】本発明の実施形態による小便器の外周天面等を示す正面図である。
【
図7】本発明の実施形態による小便器の外周天面等を示す正面図である。
【
図8】本発明の実施形態による小便器の外周天面等を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参酌して、本発明の実施形態による小便器について説明する。まず、
図1乃至
図4により、本発明の実施形態による小便器の基本構造を説明する。
図1は本発明の実施形態による小便器を斜め前方から見た斜視図であり、
図2は本発明の実施形態による小便器を示す正面図であり、
図3は本発明の実施形態による小便器を右側方から見た側面図であり、
図4は本発明の実施形態による小便器を示す平面図である。
【0017】
図1乃至
図4に示すように、本発明の実施形態による小便器1は、壁掛け式の小便器である。小便器1は、陶器製の小便器本体2を備え、この小便器本体2は、鉛直方向に延びる壁面WAに取り付けられ、且つ、床面Fから所定高さだけ離間して設けられている。
ここで、小便器1を説明する際、使用者の側を前側、壁側を後側、上方を上側、下方を下側、使用者に対して右方向を右側、使用者に対して左方向を左側とする。
【0018】
小便器1の小便器本体2は、正面において排尿(小便)を受けるためのボウル面4を有し、このボウル面4の外周縁が開口部6を形成している。
このボウル面4の開口部6は、上側を形成する上側縁8、下側を形成する下側縁10、上側縁8と下側縁10を繋ぐ両側に位置する側縁12を備えている。
【0019】
ボウル面4の上方領域には、ボウル面4に洗浄水を吐水するスプレッダと呼ばれている吐水装置14が取り付けられている。この吐水装置14の構造等については、後述する(
図5参照)。
さらに、ボウル面4の底部には、排水口16が設けられ、この排水口16の下流側にはトラップ部18が設けられている(
図5参照)。
【0020】
小便器本体2の開口部6の外周側には後方に向けて外周面20が形成されている。さらに、この外周面20の後端側、即ち、小便器本体2の裏面には、壁付面22が形成されている(
図3,
図4参照)。小便器本体2は、この壁付面22に設けられた取付金具等により、壁面WAに取り付けられるようになっている。
【0021】
小便器本体2の外周面20は、開口部6の上側縁8から後方に向けて延びる外周天面24と、開口部6の下側縁10から後方に向けて延びる外周下側面26と、開口部6の両側の側縁12から後方に向けて延びる外周側面28を備えている(
図2及び
図4参照)。
【0022】
次に、
図5により、上述した小便器1の吐水装置14について説明する。
図5は
図2のIV-IV線に沿って見た断面図である。
図5に示すように、上述したように、ボウル面4の上方領域には、吐水装置14が取り付けられており、この吐水装置14は、本体部14aを有し、この本体部14aは、小便器本体2の壁付面22に形成された取付孔30に挿入され固定されている。
【0023】
吐水装置14の本体部14aは、ボウル面4に沿って下方に開口した吐水口14bと、この吐水口14bに連通する給水管部14cを備えている。この本体部14aの給水管部14cには、給水配管32が接続され、この給水配管32の上流側は、給水部材34を介して、水道等の給水源に接続されている。この給水配管32には、流路を開閉させるための電磁弁36が設けられ、制御部38からの信号により、所定のタイミングで開閉操作されるようになっている。電磁弁36が開操作されると、給水源から供給される洗浄水が、吐水口14bからボウル面4に下方に向けて放射状に吐水される。
【0024】
次に、
図5に示すように、ボウル面4の底部には、排水口16が設けられ、さらに、この排水口16には複数の通水孔が形成された目皿40が取り付けられている。さらに、排水口16の下流側には、トラップ部18が形成され、このトラップ部18は、下降流路18a、折返し流路18b、上昇流路18cを備え、これらの流路により、洗浄水を封水として貯留するトラップ流路を形成している。トラップ部18は、排水管42に接続され、この排水韓42は外部の排水設備に接続され、小便及び洗浄水が外部に排出されるようになっている。
【0025】
次に、
図2乃至
図4により、小便器本体2の開口部6の形状について説明する。
先ず、
図2に示すように、小便器本体2の開口部6の下側縁10は、正面視で、上側縁8の曲率半径よりも小さな曲率半径により形成されている。
具体的には、
図2において、開口部6の上側縁8の中央部8a(即ち、開口部6の上端部)に接する円弧の曲率半径をR1とし、開口部6の下側縁10の中央部10a(即ち、開口部6の下端部)に接する円弧の曲率半径をR2とした場合には、R1>R2の関係となる。この例の場合、R1は85mm~95mmの範囲が好ましく、R2は244mm~262mmの範囲が好ましい。
【0026】
また、小便器本体2の開口部6の下側縁10が、正面視で、上側縁8の曲率半径よりも小さな曲率半径により形成されている別の例として、開口部6の上側縁8及び下側縁10は、それぞれ複数の円弧の組合せにより形成され、開口部6は、その下側縁10の複数の円弧の曲率半径の平均値R22が、正面視で、上側縁8の複数の円弧の曲率半径の平均値R11よりも小さな値となるように形成されていてもよい。この例の場合、R11は578mm~606mmの範囲が好ましく、R22は1011mm~1049mmの範囲が好ましい。
【0027】
次に、
図4に示すように、小便器本体2の開口部6の下側縁10は、上面視で、上側縁8の曲率半径よりも小さな曲率半径により形成されている。
具体的には、
図4において、開口部6の上側縁8の中央部8a(即ち、開口部6の上端部)に接する円弧の曲率半径をR3とし、開口部6の下側縁10の中央部10a(即ち、開口部6の下端部)に接する円弧の曲率半径をR4とした場合には、R3>R4の関係となる。この例の場合、R3は237mm~255mmの範囲が好ましく、R4は153mm~167mmの範囲が好ましい。
【0028】
また、小便器本体2の開口部6の下側縁10が、上面視で、上側縁8の曲率半径よりも小さな曲率半径により形成されている別の例として、開口部6の上側縁8及び下側縁10は、それぞれ複数の円弧の組合せにより形成され、開口部6は、その下側縁10の複数の円弧の曲率半径の平均値R44が、上面視で、上側縁8の複数の円弧の曲率半径の平均値R33よりも小さな値となるように形成されていてもよい。この例の場合、R33は356mm~378mmの範囲が好ましく、R44は235mm~253mmの範囲が好ましい。
【0029】
次に、
図2により、小便器本体2の開口部6の両側の側縁12について説明する。
図2に示すように、小便器本体2の開口部6の両側の側縁12は、その上端12aから下端12bに向けて、正面視において、その幅Wが等間隔又は狭まるように形成されている。具体的には、両側の側縁12の上端12aにおける幅をW1とし、下端12bにおける幅をW2とすると、W1≧W2の関係となる。
ここで、
図4に示すように、小便器本体2の開口部6の両側の側縁12における上述したW1≧W2の関係は平面視の場合も同じである。
【0030】
次に、
図3に示すように、小便器本体2の開口部6は、側面視において、その上方部分U(即ち、上側縁8及び側縁12の上方部分)よりもその下方部分L(即ち、側縁12の下方部分及び下側縁10)の方が、鉛直方向(壁面WAに沿った方向)に対する斜め前方に延びる傾斜角度θが大きくなるように形成されている。
【0031】
具体的には、
図3に示すように、開口部6は、複数の円弧形状の組み合わせにより形成されている。ここで、開口部6の上方部分Uの接線をA1、下方部分Lの接線をA2とすると、接線A1の鉛直方向に対する斜め前方に延びる傾斜角はθ1となり、接線A2の鉛直方向に対する斜め前方に延びる傾斜角はθ2となり、θ1<θ2の関係となる。
【0032】
なお、本実施形態による小便器においては、小便器本体2の開口部6は、側面視において、その上側縁8、下側縁10、及び、両側の側縁12が、ほぼ直線状で斜め前方に延びるように形成されてもよい。
【0033】
次に、上述した本発明の実施形態による小便器1が奏する作用効果を説明する。
まず、本実施形態においては、小便器1の小便器本体2の開口部6が、上側を形成する上側縁8と、下側と形成する下側縁10と、これらの上側縁と下側縁とを繋ぐ両側の側縁12によって形成され、開口部6の下側縁10が、正面視で、上側縁8の曲率半径R1、R11より小さな曲率半径R2、R22により形成されているので、使用者の排尿時に、使用者が小便器1に近づいても股下部分が当たり難くなる。また、開口部6の上側縁8の曲率半径R1、R11が下側縁10の曲率半径R2、R22よりも大きく設定されているため、ボウル面4の吐水装置14が設けられた位置よりも上部の不洗部領域を減らすことができ、且つ、この不洗浄部領域を減らした状態で、使用者の排尿時に、使用者の腕が開口部6に当たらないよう開口部6の内側に入れることができる。これにより、本実施形態による小便器1によれば、使用者と小便器1との接触による不衛生性と、使用者による床面Fへの尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0034】
次に、本実施形態においては、小便器1の開口部6の両側の側縁12は、その上端12aから下端12bに向けて、正面視及び上面視において、その幅Wが等間隔又は狭まるように形成されているので、使用者が、排尿時に、腕を上方から下方に向けて、腕同士の距離が縮まるような態勢を取っても腕が当たり難くなり、一方、腕が当たりに難い下方領域においては、使用者がより小便器に近づき易くなる。これにより、本実施形態による小便器1によれば、使用者と小便器1との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0035】
次に、本実施形態においては、小便器1の開口部6の下側縁10は、上面視において、上側縁8の曲率半径R3、R33より小さな曲率半径R4,R44により形成されているので、使用者が排尿時に下方を見下ろしたとき、視覚的且つ物理的に、使用者が小便器1に近づき易くなる。これにより、本実施形態による小便器1によれば、使用者と小便器1との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0036】
次に、本実施形態においては、小便器1の開口部6の両側の側縁12は、側面視において、上方部分Uよりも下方部分Lの方が、鉛直方向に対する斜め前方に延びる傾斜角度θが大きくなるように形成されているので、使用者は、排尿時に、小便器1に近づき易くなり、排尿終了間近の尿垂れを確実に開口部がキャッチして外部への尿の飛散を防止することができる。これにより、本実施形態による小便器1によれば、使用者と小便器1との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0037】
次に、本実施形態において、小便器1の開口部6は、側面視において、その上側縁8、下側縁10、及び、両側の側縁12が、ほぼ直線状で斜め前方に延びるように形成されているので、使用者は、排尿時に、小便器1に近づき易くなり、排尿終了間近の尿垂れを確実に開口部がキャッチして外部への尿の飛散を防止することができる。これにより、本実施形態による小便器1によれば、使用者と小便器1との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0038】
次に、本実施形態においては、小便器1の開口部6の上側縁8及び下側縁10は、それぞれ複数の円弧の組合せにより形成され、開口部6は、その下側縁10の複数の円弧の曲率半径の平均値R22が、正面視で、上側縁8の複数の円弧の曲率半径の平均値R11よりも小さな値となるように形成されているので、使用者の排尿時に、使用者が小便器に近づいても股下部分が当たり難くなる。これにより、本実施形態による小便器1によれば、使用者と小便器1との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0039】
次に、本実施形態においては、小便器1の開口部6の上側縁8及び下側縁10は、それぞれ複数の円弧の組合せにより形成され、開口部6は、その下側縁10の複数の円弧の曲率半径の平均値R44が、上面視で、上側縁8の複数の円弧の曲率半径の平均値R33に比べて小さな値となるように形成されているので、使用者が排尿時に下方を見下ろしたとき、視覚的且つ物理的に、使用者が小便器1に近づき易くなる。これにより、本実施形態による小便器1によれば、使用者と小便器1との接触による不衛生性と、使用者による床面への尿垂れに伴う不衛生性と、使用者に対する他者からの視認性を防止することができる。
【0040】
次に、
図6乃至
図8により、本実施形態の小便器1の小便器本体2の外周面20について説明する。
図6乃至
図8は本発明の実施形態による小便器の外周天面等を示す正面図である。
【0041】
先ず、
図6に示すように、小便器本体2の外周面20の外周天面24は、後方から前方に向けて下方に傾斜し、さらに、外周天面24全体において、または、外周天面24の少なくとも吐水装置14よりも上側において、開口部6の上側縁8に直交し上側縁8から壁付面22まで延びる線B1、B2、B3の長さが、正面視において、壁付面22の上端から下方に向けて長くなるように形成されている。
【0042】
本実施形態による小便器1においては、上述した構成により、小便器1の外観洗浄を行う際、外周天面24から流れる洗浄水F1は下向きのベクトルと、開口部6に向かうベクトルと、を有し、これにより、洗浄水F1をボウル面4に向かわせつつ、壁付面22の側に洗浄水が流れることを抑制することができる。
【0043】
次に、
図7に示すように、小便器本体2の外周面20の外周天面24は、後方から前方に向けて下方に傾斜し、さらに、外周天面24全体において、または、外周天面24の少なくとも吐水装置14よりも上側において、壁付面22の外縁に直交し開口部6の上側縁8まで延びる線の長さC1、C2、C3が、正面視において、壁付面22の上端から下方に向けて長くなるように形成されている。
【0044】
本実施形態による小便器1においては、上述した構成により、小便器1の外観洗浄を行う際、外周天面24から流れる洗浄水F2は下向きのベクトルと、開口部に向かうベクトルと、を有し、これにより、洗浄水F2をボウル面4に向かわせつつ、壁付面22の側に洗浄水が流れることを抑制することができる。
【0045】
次に、
図8に示すように、まず、壁付面22の外縁が円弧形状に形成され、次に、開口部6の上側縁8が円弧形状に形成され、さらに、外周面20の外周天面24が、外周天面24全体、または、外周天面24の少なくとも吐水装置14よりも上側において、正面視で、壁付面22の左右方向の中心点22aを除く外縁22bとこの外縁22bと接する円弧の曲率半径の中心点O1を結ぶ線L1が、開口部6の左右方向の中心軸線C0と交差するように形成されている。換言すれば、壁付面22の外縁22bに接する円弧は、ボウル面4側に向いた円弧であり、外周天面24の外側に向いた円弧を含まないことを意味している。
【0046】
本実施形態による小便器1においては、上述した構成により、外周天面24から流れる水は下向きのベクトルと、開口部6に向かうベクトルと、を有し、そのため、ボウル面4に水を向かわせつつ、壁付面22の側に水が流れることを抑制することができる。
【0047】
次に、
図2に示すように、本実施形態においては、外周天面24全体において、または、外周天面24の少なくとも吐水装置14よりも上側において、壁付面22の外縁は、正面視で、開口部6の上側縁8の曲率半径R1よりも大きな曲率半径R5により形成されている。
【0048】
本実施形態による小便器1においては、上述した構成により、外周天面24から流れる水は下向きのベクトルと、開口部6に向かうベクトルと、を有し、そのため、ボウル面4に水を向かわせつつ、壁付面側に水が流れることを抑制することができる。
【0049】
次に、
図2及び
図4に示すように、本実施形態においては、吐水装置14より下側において、外周面20の外周天面24及び外周側面28は、後方から前方に向けて内側に傾斜し、且つ、開口部6の上側縁8及び側縁12が斜め前方に延びるように形成されている。
【0050】
本実施形態による小便器1においては、上述した構成により、外周天面24から流れる水は下向きのベクトルと、開口部6に向かうベクトルと、を有し、そのため、ボウル面4に水を向かわせつつ、壁付面22の側に水が流れることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 小便器
2 小便器本体
4 ボウル面
6 開口部
8 上側縁
10 下側縁
12 側縁
14 吐水装置
20 外周面
22 壁付面
24 外周天面
26 外周下側面
28 外周側面
WA 壁面
F 床面