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特開2023-81067媒体発行装置、媒体発行システム、及び媒体発行方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081067
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】媒体発行装置、媒体発行システム、及び媒体発行方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 21/00 20060101AFI20230602BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20230602BHJP
   G06K 1/12 20060101ALI20230602BHJP
   B41J 3/01 20060101ALI20230602BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20230602BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J3/407
G06K1/12 H
B41J3/01
B41J2/325 A
B41J2/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194748
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】星 朋宏
【テーマコード(参考)】
2C055
2C065
2C187
【Fターム(参考)】
2C055JJ03
2C055JJ07
2C055JJ11
2C065AA01
2C065AB10
2C065AC01
2C065AD07
2C065CZ02
2C065CZ07
2C065DA09
2C065DA24
2C065DA26
2C187AC01
2C187AC05
2C187AD14
2C187AF07
2C187AG17
2C187BF08
2C187CD08
2C187DB28
2C187GB10
(57)【要約】
【課題】サイズの小さなバーコード等の印刷精度を高める媒体発行装置を提供する。
【解決手段】
印刷データ生成部200は、コードデータが含まれる印刷データ300を生成する場合、コードデータが含まれていない元サイズの場合よりもカード4の搬送方向に対して拡大された印刷データ300を生成する。駆動部14は、搬送路内でカード4を搬送する搬送機構を駆動する。印刷部13は、駆動部14の駆動に応じて、印刷データ300を読み出してカード4への印刷を行う。制御部は、拡大された印刷データ300を上位装置2より取得し、当該拡大率に応じて駆動部14の駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を発行する媒体発行装置であって、
搬送路内で媒体を搬送する搬送機構を駆動する駆動部と、
前記駆動部による駆動に応じて、印刷データを読み出して前記媒体への印刷を行う印刷部と、
前記印刷データにコードデータが含まれている場合、前記コードデータが含まれていない元サイズよりも前記媒体の搬送方向に対して拡大された前記印刷データを取得し、少なくとも前記コードデータの箇所は、拡大率に応じて前記駆動部の駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行う制御部とを備える
ことを特徴とする媒体発行装置。
【請求項2】
前記コードデータが含まれる拡大された前記印刷データは、前記搬送方向において前記元サイズのn倍の大きさのビットマップデータであり、
前記制御部は、
前記媒体が搬送される速度が前記通常駆動速度のn分の1となるよう前記駆動速度を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体発行装置。
【請求項3】
前記印刷部は、
前記媒体が複数回搬送される度に、拡大された前記印刷データに含まれる色データに応じた印刷を行い、
前記制御部は、
前記コードデータの印刷色の場合のみ前記駆動速度を低速度にし、
前記印刷色以外の色の場合は、前記駆動速度を前記通常駆動速度にしつつ、前記元サイズと同様のサイズに印刷されるように前記印刷データの読み出しを変更する
ことを特徴とする請求項1又2に記載の媒体発行装置。
【請求項4】
媒体を発行する媒体発行装置と、前記媒体発行装置用の印刷データを生成する上位装置とを含む媒体発行システムであって、
前記上位装置は、
コードデータが含まれる前記印刷データを生成する場合、前記コードデータが含まれていない元サイズの場合よりも前記媒体の搬送方向に対して拡大された前記印刷データを生成する印刷データ生成部を備え、
前記媒体発行装置は、
搬送路内で媒体を搬送する搬送機構を駆動する駆動部と、
前記駆動部の駆動に応じて、前記印刷データを読み出して前記媒体への印刷を行う印刷部と、
前記拡大された前記印刷データを前記上位装置より取得し、少なくとも前記コードデータの箇所は、拡大率に応じて前記駆動部の駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行う制御部とを備える
ことを特徴とする媒体発行システム。
【請求項5】
媒体を発行する媒体発行装置により実行される媒体発行方法であって、
搬送路内で媒体を搬送する搬送機構を駆動し、
印刷データにコードデータが含まれている場合、前記コードデータが含まれていない元サイズよりも前記媒体の搬送方向に対して拡大された前記印刷データを取得し、少なくとも前記コードデータの箇所は、拡大率に応じて駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行い、
駆動に応じて、前記印刷データを読み出して前記媒体への印刷を行う
ことを特徴とする媒体発行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にカード等の媒体を発行する媒体発行装置、媒体発行システム、及び媒体発行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カード状記録媒体(以下、単に「カード」という。)を発行するカード発行システムが存在する。
このようなカード発行システムは、カードを発行するカード発行装置が、ATM(Automated Teller Machine)等の上位装置と接続されて構成される。このようなカード発行装置では、発行前のカードが積層されて収容される収容部と、カードに印刷を行うプリンタ等の印刷部とを備えることが多い。
一方、このカードへの印刷では、一次元又は二次元のバーコード等の機械的に読み取られるコードを印刷することもある。
【0003】
このような従来のコードを印刷する印刷方法の一例として、特許文献1を参照すると、n次元コードのパターンを印刷する時に、使用するプリンタの解像度とドット寸法に応じて、黒パターン部の寸法が印刷された時に原パターンに近くなるようにあらかじめ寸法をやや小さく設定して印刷することで、一次元バーコードや二次元コード等のn次元コードをドット・インパクト・プリンタでも寸法精度良く、小さな寸法で印刷することを可能にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-203098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、近年、増えてきた、スマートフォン等で撮像させるような標準サイズよりも小さいバーコード等のコードを印刷すると、解像度が低すぎて印刷が潰れてしまい、認識不可能となることがあった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の問題を解消し、小さいコードでも精度良く印刷可能な媒体発行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の媒体発行装置は、媒体を発行する媒体発行装置であって、搬送路内で媒体を搬送する搬送機構を駆動する駆動部と、前記駆動部による駆動に応じて、印刷データを読み出して前記媒体への印刷を行う印刷部と、前記印刷データにコードデータが含まれている場合、前記コードデータが含まれていない元サイズよりも前記媒体の搬送方向に対して拡大された前記印刷データを取得し、少なくとも前記コードデータの箇所は、拡大率に応じて前記駆動部の駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行う制御部とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、小さいコードでも精度よく印刷可能となる。
【0008】
本態様の媒体発行装置は、前記コードデータが含まれる拡大された前記印刷データは、前記搬送方向において前記元サイズのn倍の大きさのビットマップデータであり、前記制御部は、前記媒体が搬送される速度が前記通常駆動速度のn分の1となるよう前記駆動速度を制御することを特徴とする。
このように構成することで、n倍に拡大された印刷データでも、元のサイズで印刷を行うことができる。
【0009】
本態様の媒体発行装置は、前記印刷部は、前記媒体が複数回搬送される度に、拡大された前記印刷データに含まれる色データに応じた印刷を行い、前記制御部は、前記コードデータの印刷色の場合のみ前記駆動速度を低速度にし、前記印刷色以外の色の場合は、前記駆動速度を前記通常駆動速度にしつつ、前記元サイズと同様のサイズに印刷されるように前記印刷データの読み出しを変更することを特徴とする。
このように構成することで、印刷スピードの低下を抑えることができる。
【0010】
本発明の他の態様の媒体発行システムは、媒体を発行する媒体発行装置と、前記媒体発行装置用の印刷データを生成する上位装置とを含む媒体発行システムであって、前記上位装置は、コードデータが含まれる前記印刷データを生成する場合、前記コードデータが含まれていない元サイズの場合よりも前記媒体の搬送方向に対して拡大された前記印刷データを生成する印刷データ生成部を備え、前記媒体発行装置は、搬送路内で媒体を搬送する搬送機構を駆動する駆動部と、前記駆動部の駆動に応じて、前記印刷データを読み出して前記媒体への印刷を行う印刷部と、前記拡大された前記印刷データを前記上位装置より取得し、少なくとも前記コードデータの箇所は、拡大率に応じて前記駆動部の駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行う制御部とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、小さいコードでも精度よく印刷可能となる。
【0011】
本発明の他の態様の媒体発行方法は、媒体を発行する媒体発行装置により実行される媒体発行方法であって、搬送路内で媒体を搬送する搬送機構を駆動し、印刷データにコードデータが含まれている場合、前記コードデータが含まれていない元サイズよりも前記媒体の搬送方向に対して拡大された前記印刷データを取得し、少なくとも前記コードデータの箇所は、拡大率に応じて駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行い、駆動に応じて、前記印刷データを読み出して前記媒体への印刷を行うことを特徴とする。
このように構成することで、小さいコードでも精度よく印刷可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷データにコードデータが含まれている場合、元サイズよりも媒体の搬送方向に対して拡大された印刷データを取得し、当該拡大率に応じて駆動部の駆動速度を低速度にする制御を行うことで、小さいコードでも精度良く印刷可能な媒体発行装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係るカード発行システムのシステム構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係るカード発行処理のフローチャートである。
図3図2に示すカード発行処理における印刷データ、拡大データ、及び印刷されたカードの概念図である。
図4図2に示す拡大データ印刷処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態>
〔カード発行システムXの構成〕
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るカード発行システムXの構成について説明する。本実施形態に係るカード発行システムXは、媒体を発行する媒体発行システムの一例である。
具体的には、カード発行システムXは、新規のカード4(媒体)を発行するための装置である。カード発行システムXは、例えば、カード発行機能を備えたATM、キオスク(Kiosk)の端末、交通機関のチケット発行システム、コンビニエンスストア等のポイントカード発行システム、小売店のメンバーカード発行システム、遊技機のカード発行支払システム、入退場管理システム、乗り物のチケット発行システム、駐車場の管理システム等(以下、単に「ATM等」と省略して記載する。)を含む。
具体的には、カード発行システムXは、カード発行装置1及び上位装置2を含んでいる。本実施形態において、カード発行装置1と上位装置2とは、USB(Universal Serial Bus)等により接続されている。
【0015】
カード発行装置1は、上位装置2からの指示により、カード4に必要な情報を印刷して発行する印字発行プリンタ及びカードリーダ等である。本実施形態において、カード発行装置1と上位装置2との通信は、例えば、接続されているUSBケーブルにて行われる。
【0016】
上位装置2は、本実施形態においては、カード発行装置1を制御し、ATM等の各機能を実現するための情報処理装置である。具体的には、上位装置2は、例えば、ATM等の本体装置であり制御用のPC(Personal Computer)、タブレット端末、携帯電話等の制御演算装置を含む。このため、上位装置2は、カード発行システムXの機能を実現するためのアプリケーションソフトウェア(Application Software、以下、単に「アプリ」と省略して記載する。)を実行する。
本実施形態において、上位装置2は、制御対象のカード発行装置1に接続される。これに加え、上位装置2は、ネットワーク、各種の周辺機器等とも接続可能である。
【0017】
本実施形態に係るカード4は、本実施形態の媒体発行システムに対応した媒体の一例である。カード4は、非接触型ICカード、接触型ICカード、及び/又は磁気ストライプを備えた磁気カード等である。カード4は、例えば、厚さが0.7~0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製である。カード4が磁気カードの場合、例えば、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。また、カード4が非接触型ICカード及び/又は接触型ICカードの場合、例えば、ICチップが内蔵されている。ここで、カード4には、ICチップと磁気ストライプとが両方設けられていてもよい。これに加え、カード4が非接触型ICカードの場合、近距離無線用のR/W(Read / Write)アンテナが内蔵されていてもよい。
なお、カード4は、厚さが0.18~0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であってもよい。
【0018】
本実施形態に係るカード発行システムXに対応した消耗品3は、例えば、後述する印刷部13用のインクリボンである。このインクリボンは、例えば、カード4にカラーや白黒で印字(印刷)するための昇華式又は熱転写式のインクリボンであってもよい。さらに、本実施形態においては、このインクリボンは、規定として、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラック(黒)のフィルムが含まれるカラーのインクリボンであってもよい。このカラーのインクリボンは、更に印刷面を保護するためのオーバーコート層のフィルムが含まれていてもよい。加えて、インクリボンとして、黒のみのもの、特殊な金属粒子等が入った偽造防止色、メタル(金属)色や、蛍光色、ホログラム、熱により膨張する熱膨張フィルム等の特殊なもの(以下、「特殊色」という。)も含む。加えて、インクリボンは、マルチタイム(複数回使用可能)のもの等も含む。本実施形態においては、消耗品3には、非接触型ICカードと同様の通信方式(ISO14443)のRFIDタグ(以下、「無線タグ」という。)が貼り付けられ、消耗品3の種類やIDやシリアル番号等を含む消耗品情報が管理されてもよい。
【0019】
(カード発行装置1のシステム構成)
カード発行装置1は、共通基板12、印刷部13、駆動部14、及び発行部15等のユニットを含んでいる。
【0020】
共通基板12は、発行部15及び印刷部13を上位装置2に接続するためのデバイスである。本実施形態において、共通基板12は、例えば、カード発行装置1の基板上に設けられたUSB基板の回路及びインターフェイス等である。
共通基板12は、制御演算部と、USBのハブの回路とを含んでおり、このハブを介して発行部15及び印刷部13と接続する。
【0021】
このうち、制御演算部は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を含む
具体的には、共通基板12は、上位装置2からのコマンド(命令)の受信、及びコマンドに対するレスポンス(応答)を、USBケーブルを介して行うことが可能である。この上で、共通基板12は、上位装置2から取得した印刷データ300を、印刷部13の記録媒体11に格納することが可能である。
【0022】
印刷部13は、駆動部14の駆動に応じて、印刷データ300を読み出してカード4への印刷を行うカードプリンタ等である。
本実施形態において、印刷部13は、例えば、熱転写式又は昇華式のプリンタであり、新規のカード4に、縁なし、両面、カラー印刷等で印刷を行う。これにより、印刷部13は、写真品質の画像や文字を、カード4の表面に印刷可能である。具体的には、例えば、印刷部13は、サーマルヘッドのような印刷ヘッドの回路及び機構を含み、後述する印刷データ300のようなフルーカラービットマップ画像を数百dpi等で印刷する。本実施形態においては、後述する元サイズの印刷データ300を通常印刷する場合のdpiが300dpiである例について説明する。
【0023】
本実施形態に係るサーマルヘッドは、インクリボンに含まれるインクを溶融又は昇華させ、カード4に定着させるためのヒータアレイ等であってもよい。本実施形態においては、印刷部13は、金属色、蛍光色、ホログラム、オーバーコート、点字用や凹凸による識別用の熱膨張フィルム等の特殊なインクリボンを用いた印刷(以下、「特殊印刷」という。)を行うことも可能であってもよい。
【0024】
駆動部14は、カード発行装置1の内部に形成されている搬送路内でカード4を搬送する搬送機構を駆動する。駆動部14は、駆動ローラ及びプラテンローラを備えており、カード4を搬送路の前後方向へ搬送する。駆動ローラ及びプラテンローラには、動力伝達機構を介して共通のステッピングモータ及びエンコーダ等が連結されている。ここで、本実施形態においては、搬送路におけるカード4の搬送方向において、カード4が発行され排出される側を前方向とし、カード4が格納される発行部15のある内部側を後ろ方向とする。
【0025】
発行部15は、発行前の新規のカード4が収容されるホッパーユニット等である。発行部15は、上位装置2からの制御により、収容されたカード4を内部の搬送路に沿って、印刷部13の方へ排出することが可能である。
【0026】
さらに、印刷部13は、受信したコマンドに従って、カード4の搬送や読取/書込に対する制御を行うための制御部10及び記録媒体11を備えている。
【0027】
このうち、制御部10は、カード発行装置1各部の制御を行うCPU、MPU、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP、ASIC等を含む制御演算部である。さらに、制御部10は、制御プログラム、及び暗号データを含む各種データを格納する一時的でない記録媒体11を内蔵又はチップオンモジュール等で含んでいる。
【0028】
この記録媒体11は、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。このROMは、フラッシュメモリ(Flash Memory)やその他の不揮発性半導体メモリを含む。さらに、ROMは、SSD(Solid State Drive)やeMMC(embedded MultiMediaCard)を構成してもよい。
【0029】
なお、印刷部13は、記録媒体11として、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記録媒体、光ディスクのような光学記録媒体、その他の一時的でない記録媒体を備えていてもよい。
【0030】
また、カード発行装置1は、駆動部14によるモータ駆動により装置内部へ取り込み、カード4を読み出し(リード)又は書き込み(ライト)可能なカードリーダとしての機能も備えていてもよい。この場合、カード発行装置1は、例えば、ICチップのリード/ライト、磁気ストライプのリード/ライトを行うことが可能であってもよい。
さらに、カード発行装置1は、搬送路内のどの位置にカード4が存在するかを検出するための、光学センサーやスイッチ等のカードセンサーを備えていてもよい。
【0031】
(上位装置2のシステム構成)
具体的に説明すると、上位装置2は、制御部20、記憶部21、及び接続部22等を含んでいる。
【0032】
制御部20は、CPU、MPU、GPU、DSP、ASIC等を含む制御演算部である。
【0033】
記憶部21は、RAM及びROMを含む記録媒体である。このうち、ROMは、フラッシュメモリやその他の不揮発性半導体メモリを含む。さらに、記憶部21は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)のような磁気記録媒体、光学記録媒体、光ディスクのようなその他の一時的でない記録媒体である。
【0034】
接続部22は、外部の機器に接続するためのチップセット(Chipset)、I/O(Input / Output)等の回路及び物理的なインターフェイスである。接続部22は、カード発行装置1に接続するためのUSB等の汎用シリアルインターフェイス、パラレルインターフェイス、デジタルビデオインターフェイス等を含んでいる。さらに、接続部22は、ネットワークと接続するためのネットワークインターフェイスの物理層等も含む。
【0035】
本実施形態においては、接続部22により、カード発行装置1とUSBで接続する例について説明する。加えて、接続部22は、ATM等に備えられるLCD(Liquid Crystal Display)パネルや有機ELパネル等のディスプレイ、タッチパネル及び各種ボタン等の周辺機器も接続する。
【0036】
〔カード発行システムXの機能構成〕
次に、本発明の実施の形態に係るカード発行システムXにおいて、カード4の印刷と発行を行うための機能的な構成について説明する。
上位装置2の制御部20は、印刷データ生成部200を含む。
記憶部21は、印刷データ300を格納する。
カード発行装置1の印刷部13の記録媒体11は、印刷データ300を格納する。
【0037】
印刷データ生成部200は、カード4の発行の際に印刷される印刷データ300を生成する。
この際、印刷データ生成部200は、後述するコードデータが含まれる印刷データ300を生成することも可能である。この場合、印刷データ生成部200は、コードデータが含まれていない元サイズの場合よりもカード4が搬送方向に対して拡大された印刷データ300(以下、「拡大データ」ともいう。)を生成する。
【0038】
加えて、印刷データ生成部200は、例えば、各種決済等を行い、カード発行装置1でカード4を発行させるATM等のアプリを実行する。すなわち、本実施形態において、印刷データ生成部200は、アプリの実行部としても機能する。本実施形態において、このアプリは、決済に加え、ユーザと対話的に応答し、カード4のデザインをして発行を手助けすることも可能である。
【0039】
さらに、印刷データ生成部200は、カード発行装置1を制御するためのデバイスドライバやミドルウェア等も実行する。これにより、印刷データ生成部200は、カード発行装置1との間でコマンド及びこれに付随するデータを送受信する。
また、印刷データ生成部200は、決済やカード4の発行を行わせる際に、各種コマンド及びデータを送信する。加えて、印刷データ生成部200は、カード4に格納された情報の読み出しを行うカード読み出しコマンド、カード4に情報を書き込むカード書き込みコマンド等も送信可能である。
【0040】
また、本実施形態において、印刷部13の制御部10は、上位装置2から送信された印刷データ300を、内蔵する記録媒体11に格納する。
そして、印刷部13は、この格納された印刷データ300に基づいて、カード4に印刷することが可能である。
本実施形態において、印刷部13は、例えば、カード4が複数回搬送される度に、拡大データの印刷データ300に含まれる色毎のビットマップデータに応じた印刷を行う。
【0041】
本実施形態において、印刷部13の制御部10は、拡大された印刷データ300を上位装置2より取得し、少なくともコードデータの箇所は、拡大率に応じて駆動部14の駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行う。
具体的に、本実施形態においては、制御部10は、元サイズのn倍の拡大データの印刷データ300が印刷される場合、コードデータの箇所は、カード4が搬送される速度が通常駆動速度のn分の1となるよう駆動速度を制御する。
【0042】
さらに、制御部10は、コードデータの印刷色(以下、「コード印刷色」という。)の場合のみ駆動速度を低速度にしてもよい。この場合、制御部10は、コード印刷色以外の色の場合は、駆動速度を通常駆動速度にしつつ、元サイズと同様のサイズに印刷されるように印刷データ300の読み出しを変更する。具体的には、例えば、制御部10は、印刷データ300を搬送方向について、間引きして読み出してもよい。
【0043】
印刷データ300は、印刷部13によりカード4に印刷される画像データである。本実施形態においては、印刷データ300は、上述の印刷部13の解像度(dpi)に応じたカラーのビットマップデータを用いる。このビットマップデータは、例えば、R(Red)、G(Green)、B (Blue)の原色系カラー、又はC(Cyan)、M(Magenta)、Y(Yellow)、K(black, Key plate)の補色系のカラーであってもよい。また、印刷データ300のビットマップデータは、Windows(登録商標)BMP形式、TIFF形式、PNG形式等のデータであってもよく、圧縮されていなくても、ランレングスやLZW等で圧縮されていてもよい。なお、ビットマップデータは、JPG形式等の非可逆圧縮のビットマップデータであってもよい。加えて、印刷データ300の各色のビット数は、例えば、8ビット(0~255)、16ビット(0~65536)等であってもよく、ログスケール等であってもよい。加えて、印刷データ300は、特殊印刷用のビットマップデータも含んでいてもよい。
【0044】
ここで、印刷データ300は、一次元乃至二次元のバーコード、カラーコード、ドット集合体、光学透かし等、スマートフォンのカメラ、専用読み取り機等で光学的、磁気的、静電容量、物理的な凹凸等のパターンとして機械的に読み取り可能な情報(これらを、単に「コード」という。)を描画するためのデータ(これを、「コードデータ」という。)を含んでいてもよい。この場合、本実施形態においては、通常の解像度(元サイズ)から、搬送方向においてn倍の大きさの拡大データの印刷データ300を用いることが可能である。
【0045】
本実施形態の具体例としては、印刷データ300のサイズとして、例えば、300dpiにて元サイズが960(横)×600(縦)ピクセルのカラービットマップデータを用いる。すなわち、このサイズは、1ピクセルが約0.084mmとなり、縦横比が1:1となる。また、この例では、コードデータは、ビットマップデータ内にパターンとして、直接、描画される。このようにされる場合、スマートフォンのカメラ等で読み取られることが前提である、JANコードやITFコードの標準サイズよりも小さな一次元バーコード等を印刷すると、一ピクセルの線幅で数値を表現するのが難しく、「つぶれ」が生じて、解像度が足りなくなる。
このため、本実施形態において、このようなコードデータを含む拡大データとしては、2880(横)×600(縦)ピクセルの印刷データ300を用いる。すなわち、この例では、搬送方向は横方向であり、拡大データの印刷データ300(拡大された印刷データ300)は、横方向に3倍に拡大され、縦横比が1:3のサイズとなる。
【0046】
なお、印刷データ300は、印刷用の消耗品3の状態に応じて適切に印刷させるための設定値として、印刷送りスピード、ストローブ値、温度補正値、出力階調値等のデータもメタデータ等として含まれていてもよい。
また、印刷データ300は、印刷データ生成部200により接続部22を介して、カード発行装置1に送信され、印刷部13の記録媒体11に格納される。この際、印刷データ300は、印刷部13の記録媒体11のうち、RAM又はフラッシュメモリに格納されてもよい。
【0047】
ここで、上位装置2の制御部20は、記憶部21に格納された制御プログラムを実行することで、印刷データ生成部200として機能させられる。
また、上述の上位装置2及びカード発行装置1の各部は、本実施形態のカードリーダ制御方法を実行するハードウェア資源となる。
なお、上述の機能構成部の一部又は任意の組み合わせをICやプログラマブルロジックやFPGA(Field-Programmable Gate Array)等で回路的、ハードウェア的に構成してもよい。
【0048】
〔カード発行システムXによるカード発行処理〕
次に、図2及び図3により、本発明の実施の形態に係るカード発行システムXのカード発行処理の説明を行う。
本実施形態のカード発行処理では、上位装置2がATM等のアプリを実行し、カード発行装置1を用いてカード4に印刷して発行する。この際、上位装置2でコードデータが含まれる印刷データ300を生成する場合、元サイズの場合よりもカード4の搬送方向に対して拡大した拡大データの印刷データ300を生成し、コードを描画(付加)する。この上で、カード発行装置1にて、拡大データの拡大率に応じて駆動部14の駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にして、取得された印刷データ300によりカード4に印刷する。
【0049】
本実施形態のカード発行処理は、カード発行装置1においては、印刷部13の制御部10及び各部の制御手段が記録媒体11等に格納された制御プログラム(図示せず)を、上位装置2においては、制御部20が記憶部21に格納された制御プログラム(図示せず)を、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、図2のフローチャートにより、本実施形態のカード発行処理をステップ毎に説明する。
【0050】
(ステップS101)
まず、上位装置2の印刷データ生成部200が印刷データ生成処理を行う。
ここでは、印刷データ生成部200が、ATM等のカード発行と印刷を行うためのアプリを実行する。このアプリは、ユーザの指示、カード4によるカード決算やポイントカード発行等に伴って実行されてもよい。
【0051】
次に、印刷データ生成部200は、タッチパネルやテンキー等のユーザによる操作を受け付けて、カード発行用に印刷データ300を生成する。印刷データ生成部200は、初期状態では、上述の元サイズの印刷データ300を生成してもよい。この際、印刷データ生成部200は、記憶部21に格納されたデフォルト(規定)の元サイズの画像データを読み出して、これを印刷データ300にコピー等してデフォルト(規定)のデータとしてもよい。さらに、印刷データ生成部200は、この際に、図示しないカメラにて、ATM等を操作するユーザの顔写真が撮影し、これを印刷データ300に加えてもよい。
【0052】
図3(a)は、写真が加えられた元サイズの印刷データ300-1の例を示している。印刷データ300-1は、元サイズであることを示すメタデータが含まれていてもよい。
【0053】
(ステップS102)
次に、印刷データ生成部200が、生成される印刷データ300にコードが付加されるか否かを判定する。
印刷データ生成部200は、アプリによりコードが付加されることが指示された場合、すなわちコードデータが含まれる印刷データ300が生成される場合に、Yesと判定する。印刷データ生成部200は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、印刷データ生成部200は、処理をステップS103に進める。
Noの場合、印刷データ生成部200は、処理をステップS104に進める。
【0054】
(ステップS103)
生成される印刷データ300にコードがあった場合、印刷データ生成部200が、拡大データ生成処理を行う。
印刷データ生成部200は、カード4の搬送方向において元サイズのn倍に拡大した、すなわち拡大率n倍の大きさの拡大データの印刷データ300を生成する。
【0055】
この際、印刷データ生成部200は、元サイズの印刷データ300に既に描画されていた画像データを、n倍に引き延ばしてもよい。
この場合、印刷データ生成部200は、単に搬送方向について、1ピクセルがnピクセルとなるようにコピーしてもよい。または、印刷データ生成部200は、バイリニアフィルタリング等により、色及び階調の変化がスムーズになるように、1ピクセルをnピクセルに引き延ばしてもよい。または、印刷データ生成部200は、引き延ばされた箇所については、コード印刷色以外の色を、白や黒等の階調で単にフィリングし、処理を高速化してもよい。
【0056】
この上で、印刷データ生成部200は、印刷データ300のメタデータ等に、n倍に引き延ばされた解像度と、コードを含むことを設定してもよい。加えて、印刷データ生成部200は、印刷の速度を、1/n倍に低速印刷するデータ等をメタデータ等に設定してもよい。
この上で、印刷データ生成部200は、搬送方向に拡大された印刷データ300に、搬送方向の解像度がn倍に拡大された状態で、コードを描画する。
【0057】
図3(b)は、印刷データ生成部200が、拡大データとして、搬送方向において3倍に拡大したビットマップデータを印刷データ300-2として生成し、これに横方向について3倍の解像度で一次元バーコードBを描画した例を示す。
この例においては、印刷データ生成部200は、一次元バーコードBについて、各バーの横方向(搬送方向)の幅を3倍に描画している。
【0058】
さらに、印刷データ生成部200は、コード印刷色、コードが描画された箇所の矩形座標、搬送方向での開始並びに描画終了座標、又はポリゴンの座標等のデータを、コードデータの箇所として、印刷データ300のメタデータ等に格納することが可能である。印刷データ生成部200は、この矩形座標、開始並びに描画終了座標、又はポリゴンの座標等を、この3倍に拡大された印刷データの縦横方向(搬送方向及び搬送方向に対向する方向)のピクセル数に基づいて設定されてもよい。なお、コードが複数描画された場合は、印刷データ生成部200は、これらの座標を全て格納してもよい。
【0059】
(ステップS104)
次に、印刷データ生成部200が、データ送信処理を行う。
印刷データ生成部200は、デバイスドライバやミドルウェア等を実行し、印刷データ生成部200により選択された印刷データ300を、送信コマンドにてカード発行装置1に送信する。
具体的には、印刷データ生成部200は、拡大データである印刷データ300-2等であった場合には、その旨を送信コマンドのフラグ等で提示してもよい。その後、印刷データ生成部200は、印刷データ300をコマンドに付随するデータとして、カード発行装置1へUSB等で送信する。
【0060】
(ステップS201)
次に、印刷部13の制御部10が、データ受信処理を行う。
ここで、共通基板12の制御手段は、上位装置2から印刷データ300を受信する。この上で、共通基板12の制御手段は、印刷データ300をデコード(復号)して、印刷部13へ送信する。これにより、印刷部13の制御部10は、共通基板12から受信した印刷データ300を取得し、記録媒体11へ格納する。
または、共通基板12の制御手段が、DMA(Direct Memory Access)等を用いて、印刷部13の記録媒体11に、印刷データ300を直接格納するようにしてもよい。
【0061】
(ステップS202)
次に、制御部10が、拡大データであるか否かを判定する。
印刷部13は、取得された印刷データ300が、元サイズよりも拡大された拡大データであった場合、Yesと判定する。印刷部13は、それ以外、すなわち元サイズであった場合、Noと判定する。
Yesの場合、印刷部13は、処理をステップS203に進める。
Noの場合、印刷部13は、処理をステップS204に進める。
【0062】
(ステップS203)
拡大データの印刷データ300であった場合、制御部10が、拡大データ印刷処理を行う。
制御部10は、拡大データの印刷データ300について、拡大率に応じて駆動部14の駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行い、印刷部13によりカード4に印刷させる。これにより、拡大データであっても、元サイズと同じサイズで搬送方向の解像度が高解像度化されて印刷される。この処理の詳細については、後述する。その後、制御部10は、処理をステップS205に進める。
【0063】
図3(c)は、このようにしてコードが印刷されたカード4の例を示す。この例では、元サイズのカード4に、一次元バーコードBが300dpiの三倍の解像度で描画されている。
【0064】
(ステップS204)
一方、元サイズの印刷データ300であった場合、制御部10が、通常印刷処理を行う。
この処理では、制御部10は、印刷データ300による通常の印刷を行う。すなわち、上述した例では、制御部10は、印刷部13に300dpi等の通常のdpiにて印刷されるよう、駆動部14を駆動させ、コードデータを含まない印刷データ300に基づいてカード4に印刷する。
【0065】
(ステップS205)
ここで、印刷部13及び駆動部14が、媒体排出処理を行う。
印刷終了後、印刷部13は、共通基板12を介して、上位装置2へ印刷結果を通知する。
この上で、印刷部13は、駆動部14を駆動して、カード4を搬送路内で前方向に搬送させ、排出させる。これにより、ATM等を操作しているユーザは、印刷されたカード4を取得可能となる。
以上により、本発明の実施の形態に係るカード発行処理を終了する。
【0066】
次に、図4のフローチャートにより、図2のステップS203の拡大データ印刷処理の詳細について説明する。
【0067】
(ステップS211)
まず、制御部10が、コード印刷色であるか否かを判定する。
本実施形態において、制御部10は、印刷データ300を色毎に読み出して、消耗品3の該当する色毎について印刷を行う。具体的には、制御部10は、例えば、インクリボンを該当色の箇所に移動させる。
【0068】
この上で、制御部10は、次に印刷する該当色がコード印刷色であるか否かを判定する。制御部10は、この該当色がコード印刷色であった場合、Yesと判定する。ここで、制御部10は、コード印刷色が特殊印刷用の印刷色であった場合も、Yesと判定してもよい。制御部10は、コード印刷色以外の色であった場合、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS212に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS214に進める。
【0069】
(ステップS212)
コード印刷色であった場合、制御部10が、コードデータの箇所であるか否かを判定する。制御部10は、印刷データ300を印刷する際に、搬送時にコードデータのある箇所の特定ピクセル前になったらYesと判定する。制御部10は、印刷データ300にコードデータのない箇所については、Noと判定する。この際、制御部10は、コードデータを印刷し終えた場合、又はまだ印刷していない箇所である場合等では、Noと判定してもよい。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS213に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS214に進める。
【0070】
(ステップS213)
ここで、コードデータの箇所であった場合、制御部10は、低速駆動処理を行う。
制御部10は、印刷データ300内でコードデータのある箇所について、拡大データの印刷データ300における拡大率に応じて、駆動部14の駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行う。具体的には、制御部10は、カード4が搬送される速度が通常駆動速度のn分の1となるよう駆動速度を制御する。
【0071】
たとえば、上述の図3の例では、拡大率が3倍の場合、カード4の搬送速度が、印刷データ300の一行(ライン)について、4ミリ秒/ラインだったのを、12ミリ秒/ラインに遅くする。
【0072】
この上で、制御部10は、印刷データ300のビットマップデータを搬送方向について全て読み出して、このビットマップデータのピクセルの明度値に応じた濃度となる出力を印刷部13のサーマルヘッド等に付加し、カード4に印刷する。これにより、搬送方向について元サイズのn倍の解像度にて、印刷データ300が印刷される。
【0073】
上述の図3の例では、印刷データ300に300dpiの3倍の解像度で黒色の一次元バーコードBのコードデータが含まれていた場合、この箇所については、バーの横方向幅における解像度が元サイズの3倍となる。これにより、通常サイズよりも小さなバーコードであっても、スマートフォンのカメラ等でもエラーを減らして認識可能となる。
【0074】
(ステップS214)
コード印刷色以外の色であった場合、制御部10は、通常駆動間引き読み出し処理を行う。
制御部10は、駆動速度を通常駆動速度にする。上述の図3の例では、拡大率が3倍の場合、カード4の搬送速度を4ミリ秒/ラインとする。
【0075】
しかしながら、この場合、印刷データ300は搬送方向に拡大されているため、制御部10は、元サイズと同様のサイズに印刷されるように、印刷データ300の読み出しを変更する。
具体的には、例えば、制御部10は、印刷データ300を搬送方向ではnピクセル毎に間引き(スキップ)して読み出して、この印刷部13のサーマルヘッド等でカード4に印刷させる。または、制御部10は、例えば、間引きをせず、印刷データ300の搬送方向のnピクセル分のデータを平均化したり、最大値を取得したり、エッジ処理したり等して明度値を算出する。この上で、制御部10は、印刷部13のサーマルヘッド等に、この明度値に応じた濃度となる出力を付加し、カード4に印刷する。
【0076】
上述の図3の例では、これにより、元サイズと同様の解像度にて、コード以外の色の箇所が描画される。
【0077】
(ステップS215)
ここで、制御部10が、媒体搬送処理を行う。
カード4への色の印刷が終了した場合、制御部10は、駆動部14を駆動して、再度、別の色で印刷可能な位置までカード4を搬送させる。本実施形態において、制御部10は、後ろ側に搬送されたカード4を、前側に搬送させる。この際、制御部10は、上述のカードセンサーにより、カード印刷の開始位置まで搬送させてもよい。
【0078】
(ステップS216)
ここで、制御部10が、カード4の全ての色を印刷したか否かを判定する。
制御部10は、印刷データ300の全ての色を印刷して、カード4の印刷が終了した場合に、Yesと判定する。この場合、制御部10は、オーバーコート層を印刷し終えた時点で、Yesと判定してもよい。制御部10は、それ以外の場合、すなわち他の色を印刷する必要がある場合、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、拡大データ印刷処理を終了する。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS211に戻して、他の色の印刷を続ける。
以上により、本実施形態に係る拡大データ印刷処理の説明を終了する。
【0079】
〔本実施形態の主な効果〕
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、特許文献1に記載されたような装置では、ドットインパクト式のプリンタで、コードを印刷する際に解像度の低いプリンタの場合は、法をやや小さく設定して印刷することでにじみ等による解像度の低下を抑えることができた。
しかしながら、従来の装置では、小さく印刷されたコードの印刷には適用することができなかった。具体的には、従来の300dpiで印刷できる印刷部の場合、印刷用のデータとして、1:1のサイズを使用すると、1ピクセルの長さが約0.084mmとなるため、バーコードを印刷する際に解像度の限界があった。
【0080】
これに対して、本発明の実施の形態に係るカード発行システムXは、カード4(媒体)を発行する媒体発行装置であるカード発行装置1(媒体発行装置)と、カード発行装置1用の印刷データ300を生成する上位装置2とを含む媒体発行システムであって、上位装置2は、コードデータが含まれる印刷データ300を生成する場合、コードデータが含まれていない元サイズの場合よりもカード4の搬送方向に対して拡大された印刷データ300を生成する印刷データ生成部200を備え、カード発行装置1は、搬送路内でカード4を搬送する搬送機構を駆動する駆動部14と、駆動部14の駆動に応じて、印刷データ300を読み出してカード4への印刷を行う印刷部13と、拡大された印刷データ300を上位装置2より取得し、少なくともコードデータの箇所は、拡大率に応じて駆動部14の駆動速度を通常駆動速度よりも低速度にする制御を行う制御部10とを備えることを特徴とする。
【0081】
このように構成することで、小さいコードでも精度よく印刷可能なカード発行装置1を提供することができる。これにより、スマートフォンのカメラ等でも精度良くコードを認識させることが可能となる。
上述の具体例のように、カード4の搬送方向において、例えば、3倍の解像度とすると、1ピクセルの幅が0.084/3=0.028mmとなり、一次元のバーコードの場合でも、スマートフォンのカメラ等で読み取り可能な程度に制度よく印刷することができる。つまり、上述の例のように、300dpi程度の印刷部13であっても、それ以上に細かいコードを印刷することが可能となる。
また、印刷部13の印刷性能を上げる等の構造的な変更する必要がないため、コストパフォを削減しつつ、高精度印刷させることが可能となる。
【0082】
本発明の実施の形態に係るカード発行装置1において、コードデータが含まれる拡大された印刷データ300は、搬送方向において元サイズのn倍の大きさのビットマップデータであり、制御部10は、カード4が搬送される速度が通常駆動速度のn分の1となるよう駆動速度を制御することを特徴とする。
【0083】
このように構成することで、印刷データ300としてn倍の大きさのビットマップデータをそのまま印刷した場合に、カード4の搬送方向で拡大されることを防ぐことができる。すなわち、カード4の搬送速度をn/1倍にすることで元のサイズで印刷を行うことができる。
【0084】
また、整数倍(n倍)の拡大率で拡大することで、コードの印刷の際に、コードのバーの幅が割りきれない等での四捨五入や切り捨てによる誤差を最小限に抑えて、より精度良く印刷させることができる。さらに、印刷時もこの拡大率に応じて、カード4が1/n倍の速度に固定して搬送されるように、低速で駆動させることができる。すなわち、駆動速度の制御が容易となり、駆動速度の微変化によるジッター、ワウフラッター等を抑えて、より精度よく印刷することが可能となる。
【0085】
また、従来、サイズの小さいバーコード画像を、例えば、上述の300dpiのままのビットマップに貼り付けると、解像度が低下して「潰れた」状態となってしまう。これをただ横方向に3倍に拡大したとしても、潰れたものが引き延ばされるだけとなり、コードの解像度を高めることはできなかった。すなわち、その状態でカードへの印刷を行っても、当然ながら、高精度で印刷することができなかった。
【0086】
これに対して、本発明の実施の形態に係る上位装置2の印刷データ生成部200は、コードを印刷データ300に加える際に、印刷データ300の解像度をカード4の搬送方向でn倍とすることを特徴とする。
【0087】
このように構成することで、印刷データ300の生成時に、コードの解像度が低くなることを防ぐことができ、結果として高精度で印刷することが可能となる。すなわち、上位装置2にてコードを印刷データ300に付加(描画)する際に、拡大した印刷データ300を作成してから付加し、それを印刷することで、高精度なコードの印刷が可能となる。
【0088】
本発明の実施の形態に係るカード発行装置1において、印刷部13は、カード4が複数回搬送される度に、拡大された印刷データ300に含まれる色データに応じた印刷を行い、制御部10は、コードデータの印刷色の場合のみ駆動速度を低速度にし、印刷色以外の色の場合は、駆動速度を通常駆動速度にしつつ、元サイズと同様のサイズに印刷されるように印刷データ300の読み出しを変更することを特徴とする。
【0089】
このように構成することで、コード以外の色について元サイズの場合と同様の印刷速度でカード4を印刷することが可能となる。これにより、コードを高精度に印刷するための印刷スピードの低下を抑えることが可能となる。
【0090】
〔他の実施の形態〕
なお、上述の実施形態においては、コードとして一次元のバーコードをカード4の搬送方向を各バーの幅方向(横方向)として高解像度化して印刷する例について記載した。
しかしながら、コードとして、二次元バーコード等を用いても、搬送方向で高解像度化させることができるため、スマートフォン等での認識率を高めることができる。
さらに、他のドット集合体等においても、搬送方向で高解像度化することで、より認識率を高めることができる。
また、搬送方向と対向する方向について、上述の例では縦方向についても、n倍又はn倍とは異なる倍率で拡大し、ディザリング等を行うことで、擬似的に印刷精度を高めることも可能であってもよい。
【0091】
また、印刷データ300に付加されるコードデータは、直接ビットマップデータに描画されるのではなく、別途、ベクトルデータやビットマップデータの画像データとして添付されてもよい。さらに、印刷データ300そのものも、PDF(Portable Document Format)、PS(Post Script)、オブジェクト単位のデータ等のベクトルデータを含むデータであってもよい。
このように構成することで、様々な構成に対応可能となる。
【0092】
上述の実施形態においては、上位装置2で印刷データ300にコードデータを付加して、更に、解像度を高めたデータであることを指定する例について記載した。
しかしながら、カード発行装置1の制御部10において、印刷データ300を畳み込みNN(ニューラルネットワーク)等の画像処理で解析、判別し、コードが付加されていることを判別した場合に、上述の処理を行うようにしてもよい。
さらに、印刷データ300がビットマップデータではなかったり、コードの画像データが別途送付されたりするような構成であってもよい。この場合、制御部10で、上位装置2から元サイズのコードの画像データを、コマンドを送信して要求し、上位装置2から送信されたものを受信してもよい。これにより、記録媒体11に格納された印刷データ300に、直接、コードを付加(描画)する際に、印刷データ300を拡大してから付加するといった構成も可能である。
このように構成することで、上位装置2に特別のアプリ等をインストールしなくても、高解像度のコードの印刷を行うことが可能となる。
【0093】
また、上述の実施形態においては、印刷データ300のうち、コードデータの印刷色で、コードデータが存在する箇所についてのみ、駆動速度を低速度とする例について記載した。
しかしながら、全ての印刷色について、コードデータがある箇所を低速度で駆動するようにしてもよい。または、コードデータのある箇所に関係なく、コードデータの印刷色については駆動速度を低速度としてもよい。または、コードデータがある場合、全ての印刷色について駆動速度を低速度としてもよい。
これら場合、上述のように、印刷データ300からのコードデータの箇所を判別して、低速度で駆動するどうか判断するようにしてもよい。
このように構成することで、コードの印刷における速度低下を抑えた上で、コードデータの印刷箇所の速度変化等による微小なズレの発生や解像度の変化による印刷の変化等を抑えて、高精度にカード4を印刷することができる。
【0094】
さらに、上述の実施形態においては、低速で駆動する際に、印刷データ300の明度値や濃度の制御を変更していない例について記載した。
しかしながら、低速で駆動すると濃度が濃くなる場合、薄くするように制御してもよい。この場合、単に濃度を1/n倍とするのではなく、印刷データ300のピクセルの明度値に応じて、段階的又は特定の濃度変化曲線に従った濃度制御を行うことが可能である。
これにより更にカード4の印刷の精度を高めることができる。
【0095】
上述の実施形態においては、主にインクリボンを用いた熱転写や昇華式のプリンタでカード4に印刷する例について記載した。
しかしながら、感熱紙を用いたサーマルプリンタ、インクジェットプリンタ、ドットマトリクスプリンタ、電子乾写真方式のプリンタ、レーザー刻印式プリンタ、溶融式又は紫外線硬化式の3Dプリンタ等、他の印刷方式のプリンタであっても、カード4を搬送するプリンタについて用いることが可能である。さらに、単票印刷のプリンタでなくロール紙のプリンタでも、カラーでなくても、白黒のプリンタであってもよい。また、これら印刷の方式により、上述の濃度制御の方式も変更することが可能である。
このように構成することで、様々な構成に対応したカード4の印刷が可能となる。
【0096】
上述の実施形態においては、上位装置2が、ATM等の本体である例について説明した。
しかしながら、上位装置2は、カード4のデザインを行うPCやスマートフォン等であってもよい。この場合、PCやスマートフォン等に、カード4のデザインを行うアプリ等がインストールされ、印刷部13と有線又は無線で接続されてもよい。
【0097】
加えて、上述の実施の形態においては、印刷データ300が上位装置2から、直接接続されたカード発行装置1へ送信される例について記載した。
しかしながら、印刷データ300を共通鍵や公開鍵等で暗号化等してから、ネットワーク経由でカード発行装置1へ送信するような構成も可能である。
このように構成することで、様々な構成に対応可能となる。また、暗号化することでセキュリティを向上させられる。
【0098】
また、カード発行装置1の印刷部13は、カード発行装置1に搭載されず、別途、USBや無線等で接続されていてもよい。または、カード発行装置1は、上位装置2と筐体内で接続されず、PCやスマートフォン等の上位装置2とUSBや無線等で接続されてもよい。
さらに、カード発行装置1は、上位装置2と接続されない、いわゆる「スタンドアロン」で印刷可能であってもよい。この場合、スタンドアロンのカード発行装置1は、上位装置2やメンテナンス用端末と一時的に接続して、上述の印刷データ300を取得することが可能であってもよい。
【0099】
上述の実施形態においては、カード4を媒体の例として、コードの印刷を行う例について記載した。
しかしながら、カード4以外の、例えば、駐車券、入場券、列車や飛行機等の切符、その他のチケット、ラベルプリンタで印刷されたラベル、レシート、RFID(Radio Frequency IDentifier)等の導電性インクの印刷装置、その他のコードの印刷が必要な媒体について、同様の構成で媒体発行をすることが可能である。
このように構成することで、様々な媒体に対応可能となる。
【0100】
また、上述の実施形態においては、主にカード発行装置1のカード4の発行に関する構成について記載した。
しかしながら、カード発行装置1は、カード4に格納された情報を読み取るヘッド等を備えたカードリーダの機能を含んでいてもよい。このヘッド等は、例えば、磁気ヘッド、暗号化磁気ヘッド、IC接点、電磁誘導アンテナ等を含む。磁気ヘッドの場合、カード4が接触され摺動されることで、カード4上に設けられた磁気ストライプに記録された磁気情報を読み出し、書き込むことが可能である。IC接点、電磁誘導アンテナ等では、カード4の接点と接触、又は電磁誘導等で、カード4に内蔵されたICに格納された情報を読み出し、書き込むことが可能である。
【0101】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0102】
1 カード発行装置
2 上位装置
3 消耗品
4 カード
10、20 制御部
11 記録媒体
12 共通基板
13 印刷部
14 駆動部
15 発行部
21 記憶部
22 接続部
200 印刷データ生成部
300 印刷データ
B 一次元バーコード
X カード発行システム
図1
図2
図3
図4