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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081090
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20230602BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20230602BHJP
   C09K 5/14 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
H01L23/46 B
C09K5/14 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194788
(22)【出願日】2021-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛樹
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136CC14
5F136CC18
5F136EA36
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】小型化や薄型化を行いつつ、十分な放熱を確保することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、筐体の内部に配置された発熱体と接触する第1面とその逆側の第2面と第1面と第2面とを跨ぐ第3面とを備える熱伝導性を有する板状のベースプレートと、ベースプレートの第2面を覆う熱伝導接触面を備えるベーパーチャンバーと、ベースプレートの第3面に接続される第1接続部と、べーパーチャンバーの熱伝導接触面に接続される第2接続部と、を一端側に有し、他端側が前記発熱体から離間した位置まで延在するヒートパイプと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に配置された発熱体と接触する第1面とその逆側の第2面と前記第1面と前記第2面とを跨ぐ第3面とを備える熱伝導性を有する板状のベースプレートと、
前記ベースプレートの前記第2面を覆う熱伝導接触面を備えるベーパーチャンバーと、
前記ベースプレートの前記第3面に接続される第1接続部と、前記べーパーチャンバーの前記熱伝導接触面に接続される第2接続部と、を一端側に有し、他端側が前記発熱体から離間した位置まで延在するヒートパイプと、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記ヒートパイプの前記他端側には、放熱位置で熱拡散を行う放熱シートが接続されている、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記放熱シートは、前記筐体内に配置されたバッテリの表面と面接触するように配置されている、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記放熱シートは、前記バッテリの前記表面と面接触する熱伝導性の金属板を備える、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ヒートパイプは、少なくとも2本設けられ、前記ヒートパイプの前記第1接続部は、前記ベースプレートに形成される異なる前記第3面にそれぞれ接続される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の情報処理装置においては、筐体の内部に搭載される発熱部品、例えば、CPU(Central Processing Unit)等からの放熱を効率的に行うことが、性能維持、品質向上、劣化抑制等の面で重要である。そのため、電動ファン等を用いた放熱構造を筐体内部に備える情報処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6370223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、情報処理装置の小型化、薄型化が盛んに進められ、各種構成部品の小型化が行われているとともに、大型化の原因の一つとなり得る放熱用の電動ファンを省略してファンレス構造として薄型化を図ろうとする提案が行われている。しかしながら、ファンレス構造とする場合、放熱経路の確保や放熱位置の選定が難しく、情報処理装置の小型化や薄型化を行いつつ、十分な放熱を確保するために、さらなる改良が必要であるというのが現状である。
【0005】
したがって、本発明が解決する課題の一例は、小型化や薄型化を行いつつ、十分な放熱を確保することができる情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る情報処理装置は、筐体の内部に配置された発熱体と接触する第1面とその逆側の第2面と前記第1面と前記第2面とを跨ぐ第3面とを備える熱伝導性を有する板状のベースプレートと、前記ベースプレートの前記第2面を覆う熱伝導接触面を備えるベーパーチャンバーと、前記ベースプレートの前記第3面に接続される第1接続部と、前記べーパーチャンバーの前記熱伝導接触面に接続される第2接続部と、を一端側に有し、他端側が前記発熱体から離間した位置まで延在するヒートパイプと、を備える。
【0007】
また、情報処理装置の前記ヒートパイプの前記他端側には、例えば、放熱位置で熱拡散を行う放熱シートが接続されていてもよい。
【0008】
また、情報処理装置の前記放熱シートは、例えば、前記筐体内に配置されたバッテリの表面と面接触するように配置されていてもよい。
【0009】
また、情報処理装置の前記放熱シートは、例えば、前記バッテリの前記表面と面接触する熱伝導性の金属板を備えていてもよい。
【0010】
また、情報処理装置の前記ヒートパイプは、例えば、少なくとも2本設けられ、前記ヒートパイプの前記第1接続部は、前記ベースプレートに形成される異なる前記第3面にそれぞれ接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、ヒートパイプは、ベースプレートの第3面、すなわち側面に接続されるため、べーパーチャンバーとヒートパイプとを含む放熱構造体において、ヒートパイプの存在が発熱体の厚み方向の厚み増加に影響することを抑制できる。その結果、情報処理装置の厚み増加を抑制し、全体の薄型化に寄与することができる。また、べーパーチャンバーとヒートパイプとにより発熱体から離間した位置に熱輸送が可能になるため、ファンレス構造とした場合でも効率的な放熱を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態にかかる情報処理装置の一例としてのタブレット端末装置の外観を示す例示的かつ模式的な平面図である。
図2図2は、図1のタブレット端末装置の表示装置を取り外し、放熱構造体を含む内部構造を露出させた状態を示す例示的かつ模式的な平面図である。
図3図3は、実施形態のかかる情報処理装置の放熱構造体を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図4図4は、図3に示す放熱構造体を裏側から見た状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図5図5は、図4のA-A断面であり、実施形態にかかる情報処理装置の放熱構造体の構成部材の配置状態と熱伝導状態を説明する例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0014】
図1は、実施形態にかかる情報処理装置の一例としてのタブレット端末装置10の外観を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【0015】
タブレット端末装置10は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、OLED(Organic Light Emitting Diode)等の表示装置12を備える。表示装置12は、例えば、薄い矩形形状の筐体10aの一面側のほぼ全面に表示面12aを備える。筐体10aの側面等には、図示を省略した電源スイッチや音量調整等の各種機能を実現するスイッチ類、音声データを出力するスピーカ等が配置されている。また、筐体10aの表示面12a側の一部や表示面12aの裏面側(筐体10aの裏面側)の一部等には、撮像部のレンズ部(不図示)が配置されている。撮像部は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。
【0016】
また、表示装置12の表示面12aは、透明な入力装置として、例えば静電容量方式のタッチパネル14で覆われている。したがって、タブレット端末装置10の利用者は、タッチパネル14を通して、タブレット端末装置10(表示面12a)で表示される各種画像(例えば、アイコンやテキスト、映像コンテンツ等)を視認することができる。また、タッチパネル14は静電容量方式であるため、利用者は、表示面12aに表示される画像に対応したタッチパネル14の表面14a(操作面)の位置を指や専用のペン16で触れたり、表面14a上で指やペン16を動かしたりして操作することで、表示面12aに表示された画像の選択を行ったり、表示面12a上で文字や図形等の描画を行うことができる。なお、図1の例の場合、ペン16は、タブレット端末装置10の筐体10aの側面等に着脱可能に保持されている。ペン16は、例えば、マグネットを利用し保持されたり、フォルダ等を用いて保持されたりすることができる。
【0017】
図2は、図1のタブレット端末装置10の表示装置12(タッチパネル14)を取り外した状態の例示的かつ模式的な平面であり、筐体10aの内部で発生した熱の放熱を行うための放熱構造体18を含む内部構造を露出させた状態が示されている。なお、本明細書において、便宜上、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向とY方向とZ方向とは、互いに直交する。X方向は、タブレット端末装置10(筐体10a)の長辺に沿って-X方向、+X方向で定義される。Y方向は、タブレット端末装置10(筐体10a)の短辺に沿って-Y方向、+Y方向で定義される。Z方向は、タブレット端末装置10(筐体10a)の厚みに沿って裏側に向かう-Z方向、表側に向く+Z方向で定義される。
【0018】
図2において、タブレット端末装置10の内部の例えば-X方向に偏った左側領域には、タブレット端末装置10を駆動するための構成部品として、CPU20をはじめとし、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)やフラッシュメモリ等の記憶部、通信インターフェース等が基板に実装された状態で配置されている。また、タブレット端末装置10の内部の例えばX方向に偏った右側領域には、その大部分を利用してバッテリ22が配置されている。バッテリ22は、放熱構造体18の下面側に配置されているため、図2では、一部のみが見える状態で図示されている。バッテリ22は、例えば、X方向に長辺を有し、Y方向に短辺を有する略矩形形状の部品で、図2の場合、短辺がY方向に沿って2つ並ぶ状態で配置されている。なお、各部品の配置は一例であり、適宜変更可能である。なお、筐体10a内において、基板実装部品等の小型部品を片側の領域に集め、他方側にバッテリ等の大型部品を配置することにより、筐体10aの内部スペースの有効利用が実現し易くなる。
【0019】
ところで、基板実装部品において、CPU20は、タブレット端末装置10の駆動時に最も発熱する発熱体の一つであるといえる。そして、タブレット端末装置10を良好に駆動させるとともに、過剰な発熱による違和感を利用者に与え難いようにするためには、CPU20等の発熱体において発生した熱を効率的かつ迅速に放熱することが望ましい。したがって、タブレット端末装置10が高負荷状態で駆動している場合には、迅速な放熱が特に重要となる。また、タブレット端末装置10が、通常負荷状態で駆動している場合でも継続的にスムーズな放熱を行うことが望ましい。
【0020】
そこで、本実施形態のタブレット端末装置10の場合、発熱体で発生した熱を当該発熱体から離間した位置に迅速かつ継続的に熱輸送するための放熱構造体18を備える。図2に示される放熱構造体18は、一例として、筐体10a内部で-X方向に偏った左側領域に配置された基板に実装された構成部品のうち発熱量の多いCPU20で発生した熱を筐体10aのX方向に偏った右側領域に配置されたバッテリ22に熱輸送する。そして、輸送された熱をバッテリ22の表面に拡散するとともに+Z方向に装着される表示装置12側や-Z方向に存在するバックカバー(筐体10aの裏面側等)に放熱するように構成している。
【0021】
図3は、図2に示される放熱構造体18のみを示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、図4は、図3に示される放熱構造体18を裏側から見た状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、図5は、図4のA-A断面であり、放熱構造体18を構成する各構成部材の配置状態と熱伝導状態を説明する例示的かつ模式的な断面図である。
【0022】
本実施形態の放熱構造体18は、図3図4等に示されるように、主として、ベースプレート24と、べーパーチャンバー26と、ヒートパイプ28とで構成されている。
【0023】
ベースプレート24は、筐体10aの内部に配置された発熱体の一つであるCPU20と接触する第1面24a(図4参照)と、その逆側の第2面24b(図3参照)と、第1面24aと第2面24bとを跨ぐ第3面24c(図3図4参照)とを備える熱伝導性を有する板状の部材である。ベースプレート24は、例えば、熱伝導性の高い銅やアルミニュウム等の金属やグラファイト等の熱伝導物質を含む樹脂材料(例えば、グラファイトシート等)とすることができる。ベースプレート24は、CPU20とべーパーチャンバー26との間に挟まれ、CPU20とべーパーチャンバー26との間の隙間を埋めて熱伝導性を向上する機能を有する。
【0024】
本実施形態の場合、ベースプレート24は、当該ベースプレート24の第1面24aをCPU20の接触面(例えば基板実装時の上面)に押圧する板バネSを備える。図4等に示されるように、本実施形態の場合、板バネSは、4箇所に設けられている。各板バネSの一端側には、固定孔Saが形成されている。そして、固定孔Saに挿入されたねじ等の締結部材Sb(図2参照)により、基板等に固定されている。また、板バネSの他端側は、ベースプレート24の第2面24bに当接し、板バネSのバネ性を利用してベースプレート24をCPU20に押圧し、ベースプレート24とCPU20との密着性及び熱伝導性を向上させている。
【0025】
べーパーチャンバー26は、図4図5に示されるように、ベースプレート24の第2面24bを覆う熱伝導接触面26aを備える。べーパーチャンバー26は、図5に示されるように、薄い銅やアルミニュウム等の金属箔で外壁部26bを形成した中空構造体であり、その内部空間に冷却用の作動液(冷媒としての例えば純水等)を封入して構成されている。べーパーチャンバー26の熱伝導接触面26aを熱源の面(この場合、CPU20から熱が移動したベースプレート24の第2面24b)に接触させることで、内部の作動液が気化した蒸気となり、内部空間を低温部に向けて高速で移動する。そして、気化した動作液が低温部の外壁部26bに触れて冷却されて液化する。液化した動作液は、毛細管現象により高温部に戻る。この繰り返しによりべーパーチャンバー26は、高温部から低温部に向けて熱輸送を行う。
【0026】
ヒートパイプ28は、図4図5に示されるように、ベースプレート24の第3面24cに接続される第1接続部28aと、べーパーチャンバー26の熱伝導接触面26aに接続される第2接続部28bと、を一端側の第1端部領域部28cに有している。また、ヒートパイプ28の第1端部領域部28cとは逆側の他端側には、発熱体(CPU20)から離間した位置まで延在する第2端部領域部28dを備える。つまり、ヒートパイプ28は、発熱体が存在する高温部に第1端部領域部28cを有し、発熱体から離間した低温部に第2端部領域部28dを備える、細長い管状の部材である。
【0027】
ヒートパイプ28の構造及び熱輸送の原理はべーパーチャンバー26と同様である。ヒートパイプ28は、例えば、銅やアルミニュウム等の熱伝導率の高い金属で形成された管状に部材である。そして、ヒートパイプ28の内壁は毛細管構造を備えている。ヒートパイプ28の内部には、減圧状態で少量の作動液(例えば純水)が封入されている。ヒートパイプ28の一端が加熱されると、減圧状態の内部で作動液がすぐに蒸発し、潜熱の移動による熱の吸収を行う。蒸発した作動液は蒸気流となり、高速で低温側へ移動する。移動した蒸気は低温側の内壁に触れ、熱を渡しながら液体へと戻る(凝縮潜熱による熱の放出)。液体に戻った作動液は、毛細管構造を伝って高温側(元の位置)へ戻る。ヒートパイプ28は、上述の動作を繰り返し、高温部から低温部に向けて熱輸送を行うことができる。
【0028】
図4図5に示されるように、ヒートパイプ28はベースプレート24の第3面24cに熱的に接続されている。つまり、ヒートパイプ28はベースプレート24の側面に接続されている。その結果、発熱体であるCPU20に対して、ベースプレート24、べーパーチャンバー26、ヒートパイプ28で構成される放熱構造体18を装着する場合、Z方向の積層厚みにヒートパイプ28の厚みが加算されることが回避できる。つまり、放熱構造体18は、迅速な熱輸送を行う放熱性能を確保しつつ、CPU20に対するZ方向の厚みの増加を抑制して、薄型化を実現している。その結果、タブレット端末装置10の放熱特性の確保及び向上を実現しつつ、タブレット端末装置10の薄型化に寄与することができる。なお、図5においては、ベースプレート24のZ方向の厚みとヒートパイプ28のZ方向の厚みが略同一になるように構成しているが、ヒートパイプ28のZ方向の厚みがベースプレート24のZ方向の厚みと同等またはそれ未満であればよい。また、ヒートパイプ28のY方向の幅は、必要となる熱輸送能力(吸熱能力)に応じて適宜設定可能である。
【0029】
また、べーパーチャンバー26はベースプレート24(CPU20)の全体を覆うため、CPU20で発生した熱をスムーズにべーパーチャンバー26の全体に広く熱運搬(拡散)することができる。その結果、CPU20の発熱に基づくホットスポットが形成されることを抑制することができる。さらに、ヒートパイプ28は、第1接続部28aがベースプレート24の第3面24c(側面)に熱的に接続され、第2接続部28bがべーパーチャンバー26の熱伝導接触面26aに熱的に接続されている。したがって、ヒートパイプ28は、CPU20で発生した熱を、ベースプレート24を介して吸熱して一方側である第1端部領域部28cから他方側である第2端部領域部28dに効率的に熱輸送することができる。また、ヒートパイプ28は、べーパーチャンバー26に拡散されたCPU20で発生して熱を吸熱して、第1端部領域部28cから第2端部領域部28dに効率的に熱輸送することができる。
【0030】
また、図5に示されるように、ヒートパイプ28は、ベースプレート24に接触するとともにべーパーチャンバー26に包み込まれるように配置されているため、CPU20で発生した熱を効果的に吸熱しヒートパイプ28の熱輸送能力を効果的に利用することができる。したがって、CPU20の周辺でのホットスポットの形成をさらに効果的に抑制することができる。つまり、放熱構造体18において、ヒートパイプ28は、当該ヒートパイプ28の熱輸送能力を十分に発揮できるような配置が行われている。このように、ベースプレート24に接触するべーパーチャンバー26及びヒートパイプ28による熱輸送を効率的に行えるため、ファンレス構造のタブレット端末装置10(CPU20)を過負荷状態で駆動させた場合でも放熱を効果的かつ迅速に行うことができる。換言すれば、ファンレス構造のタブレット端末装置10(CPU20)を過負荷状態で長時間利用することが可能になる。また、ファンレス構造のタブレット端末装置10(CPU20)を通常負荷状態で駆動させた場合でも、良好な放熱をスムーズに行うことができる。
【0031】
なお、本実施形態の場合、ヒートパイプ28は、2本設けられている例が示されている。2本のヒートパイプ28は、それぞれの第1接続部28aが、ベースプレート24の異なる第3面24cに接続されている。図4に示されるように、略矩形形状のベースプレート24の一つの辺部24c1には、一方のヒートパイプ28Aの第1接続部28aが接続されている。また、ベースプレート24の辺部24c1に対向する辺部24c2には、他方のヒートパイプ28Bの第1接続部28aが接続されている。このように2本のヒートパイプ28A,ヒートパイプ28Bをベースプレート24の対向位置に接続することにより、ベースプレート24の接近した位置(例えば、隣接する第3面24c)に接続する場合に比べて、ベースプレート24から効率的に吸熱し、迅速かつスムーズな熱輸送を実現することができる。また、図2図4等に示されるように、ヒートパイプ28Aの第2端部領域部28d及びヒートパイプ28Bの第2端部領域部28dは、Y方向の離間した位置に配策している。その結果、輸送した熱を互いに離れた位置から放熱することが可能となり、放熱による熱分布の集中を回避し易い。
【0032】
なお、ヒートパイプ28の配置本数は、適宜変更可能であり、1本でもよいし、3本以上でもよい。また、ヒートパイプ28の第1接続部28aをベースプレート24に第3面24cに接続する場合、図4に示す位置に限らず、各構成部品のレイアウト等に応じて適宜変更可能で、ベースプレート24における他の位置の第3面24cに接続してもよく、同様の効果を得ることができる。
【0033】
また、本実施形態の放熱構造体18の場合、ヒートパイプ28の他端側(第2端部領域部28d)には、放熱位置(熱輸送先)で熱拡散をより効率に行う放熱シートとして、例えば、グラファイトシート30が接続されている。グラファイトシート30は、炭素の同素体であるグラファイト(石墨)を薄いシート状にしたもので、平面方向への熱伝導率が高い特性を有する。
【0034】
ヒートパイプ28によって輸送された熱は、グラファイトシート30に移動し拡散されつつ、バッテリ22の表面を介して、筐体10aのバックカバー側に放熱される。同様に、グラファイトシート30に移動した熱は、筐体10aに装着されている表示装置12に伝達し放熱される。バッテリ22は、前述したように、筐体10a内において、大型部品であり、その表面積が大きく、また、CPU20等に比べて駆動時の発熱量が少ないため筐体10a内部において低温部を構成することができる。したがって、CPU20等の高温部から輸送さる熱を吸熱し易く、スムーズに拡散し放熱することができる。
【0035】
図2図4に示されるように、ヒートパイプ28Aの第2端部領域部28dには、グラファイトシート30Aが接続されている。また、ヒートパイプ28Bの第2端部領域部28dには、グラファイトシート30Bが接続されている。その結果、ヒートパイプ28Aを介して輸送された熱は、グラファイトシート30Aを介して、+Y方向側からグラファイトシート30Aの面方向に拡散し、ヒートパイプ28Bを介して輸送された熱は、グラファイトシート30Bを介して、-Y方向側からグラファイトシート30Bの面方向に拡散する。その結果、広範囲に迅速な熱拡散を行い易く、また、熱輸送先で、ホットスポット等の高温部が形成されることを抑制することができる。また、グラファイトシート30Aが接触するバッテリ22及びグラファイトシート30Bが接触するバッテリ22に対して、概ね均等にかつ広範囲に熱拡散を行うことができるので、複数のバッテリ22間の熱負荷の差が発生し難くなる。その結果、バッテリ22の劣化の偏りを抑制し易く、タブレット端末装置10に装着されるバッテリ22全体としての劣化抑制にも寄与することができる。
【0036】
なお、本実施形態の放熱構造体18の場合、さらに放熱効率を向上するために、グラファイトシート30(放熱シート)に金属板を備えてもよい。図4に示されるように、一例といて、グラファイトシート30Aに連結する状態で、グラファイトシート30Cが設けられ、当該グラファイトシート30Cには、銅やアルミニュウム等の熱伝導率の高い金属板32が接続されている。つまり、グラファイトシート30Cは、バッテリ22の表面と面接触する金属板32を備える。金属板32は、グラファイトシート30Cに輸送された熱を吸熱し、バッテリ22への熱の拡散及び放熱を促進することができる。なお、図4の場合、金属板32は、グラファイトシート30Cの一部に配置されているが、グラファイトシート30Cの全面に配置されてもよい。また、図4の場合、金属板32の一部は、グラファイトシート30Cから突出し、バッテリ22以外の部分にも接続可能に形成されている。その結果、金属板32は、ヒートパイプ28Aにより輸送されてきた熱を、バッテリ22のみならず、バッテリ22の周囲の部材や筐体10aの壁面等にも輸送可能で、さらに高熱効率を向上することができる。なお、本実施形態の場合、金属板32を備えるグラファイトシート30Cをグラファイトシート30A側のみに接続する例を示したが、金属板32を備えるグラファイトシート30Cの接続は、筐体10a内における放熱状況(熱分布等)によって適宜選択することができる。例えば、グラファイトシート30B側に金属板32を接続してもよいし、両方に接続してもよく、同様の効果を得ることができる。また、グラファイトシート30Aやグラファイトシート30Bに金属板32を装着してもよく、同様の効果を得ることができる。
【0037】
上述したように、本実施形態のタブレット端末装置10は、ベースプレート24と、べーパーチャンバー26と、ヒートパイプ28と、を備える。ベースプレート24は、筐体10aの内部に配置された発熱体としての例えばCPU20と接触する第1面24aとその逆側の第2面24bと第1面24aと第2面24bとを跨ぐ第3面24cとを備える熱伝導性を有する板状の部材である。べーパーチャンバー26は、ベースプレート24の第2面24bを覆う熱伝導接触面を備える部材である。ヒートパイプ28は、ベースプレート24の第3面24cに接続される第1接続部28aと、べーパーチャンバー26の熱伝導接触面26aに接続される第2接続部28bと、を一端側に有し、他端側が発熱体(例えばCPU20)から離間した位置まで延在する。この構成によれば、発熱体であるCPU20に対してベースプレート24、べーパーチャンバー26、ヒートパイプ28で構成される放熱構造体18を装着する場合、積層方向の厚みにヒートパイプ28の厚みが加算されることが回避できる。その結果、発熱体に対する放熱構造体18の厚みの増加を抑制して、放熱構造体18の薄型化、ひいてはタブレット端末装置10の薄型化に寄与することができる。また、べーパーチャンバー26とヒートパイプ28とにより発熱体(CPU20)から離間した位置に熱輸送が可能になるため、ファンレス構造とした場合でも効率的な放熱を実現することができる。
【0038】
また、ヒートパイプ28の他端側(第2端部領域部28d)には、放熱位置で熱拡散を行うグラファイトシート30(放熱シート)が接続されている。この構成によれば、例えば、ヒートパイプ28を介して輸送された熱をグラファイトシート30の面方向に拡散する。その結果、広範囲に迅速な熱拡散を行い易く、また、熱輸送先でホットスポット等の高温部が形成されることを抑制することができる。
【0039】
また、グラファイトシート30(放熱シート)は、筐体10a内に配置されたバッテリ22の表面と面接触するように配置されている。この構成によれば、例えば、筐体10a内において、CPU20等の高温部より発熱量が小さく、表面積が比較的大きな部品であるバッテリ22に、CPU20等の高温部から輸送さる熱を吸熱させ、スムーズに拡散させて放熱を行うことができる。
【0040】
また、グラファイトシート30C(放熱シート)は、バッテリ22の表面と面接触する熱伝導性の金属板32を備える。この構成によれば、例えば、金属板32は、グラファイトシート30Cに輸送された熱を吸熱し、バッテリ22への熱の拡散及び放熱を促進することができる。
【0041】
また、ヒートパイプ28は、少なくとも2本設けられ、ヒートパイプ28の第1接続部28aは、ベースプレート24に形成される異なる第3面24cにそれぞれ接続される。この構成によれば、例えば、複数のヒートパイプ28をベースプレート24の異なる第3面24cに接続することにより、ベースプレート24から効率的に吸熱し、迅速かつスムーズな熱輸送を実現することができる。
【0042】
なお、上述した実施形態では、情報処理装置の一例として、タブレット端末装置10を示した。別の例では、情報処理装置として、例えば、ノートパソコン、スマートフォン、携帯電話等、薄型化が要求される情報処理装置であれば、本実施形態の構成を適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0043】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
10…タブレット端末装置、10a…筐体、12…表示装置、18…放熱構造体、20…CPU(発熱体)、22…バッテリ、24…ベースプレート、24a…第1面、24b…第2面、24c…第3面、26…べーパーチャンバー、26a…熱伝導接触面、26b…外壁部、28,28A,28B…ヒートパイプ、28a…第1接続部、28b…第2接続部、28c…第1端部領域部、28d…第2端部領域部、30,30A,30B,30C…グラファイトシート(拡散シート)、32…金属板。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に配置された発熱体と接触する第1面とその逆側の第2面と前記第1面と前記第2面とを跨ぐ第3面とを備える熱伝導性を有する板状のベースプレートと、
前記ベースプレートの前記第2面を覆う熱伝導接触面を備えるベーパーチャンバーと、
前記ベースプレートの前記第3面に接続される第1接続部と、前記べーパーチャンバーの前記熱伝導接触面に接続される第2接続部と、を一端側に有し、他端側が前記発熱体から離間した位置まで延在するヒートパイプと、
を備
前記ヒートパイプは、少なくとも2本設けられ、前記ヒートパイプの前記第1接続部は、前記ベースプレートに形成される異なる前記第3面にそれぞれ接続される、情報処理装置。
【請求項2】
前記ヒートパイプの前記他端側には、放熱位置で熱拡散を行う放熱シートが接続されている、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記放熱シートは、前記筐体内に配置されたバッテリの表面と面接触するように配置されている、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記放熱シートは、前記バッテリの前記表面と面接触する熱伝導性の金属板を備える、請求項3に記載の情報処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の第1態様に係る情報処理装置は、筐体の内部に配置された発熱体と接触する第1面とその逆側の第2面と前記第1面と前記第2面とを跨ぐ第3面とを備える熱伝導性を有する板状のベースプレートと、前記ベースプレートの前記第2面を覆う熱伝導接触面を備えるベーパーチャンバーと、前記ベースプレートの前記第3面に接続される第1接続部と、前記べーパーチャンバーの前記熱伝導接触面に接続される第2接続部と、を一端側に有し、他端側が前記発熱体から離間した位置まで延在するヒートパイプと、を備前記ヒートパイプは、少なくとも2本設けられ、前記ヒートパイプの前記第1接続部は、前記ベースプレートに形成される異なる前記第3面にそれぞれ接続される
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】