(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081097
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】ビス(アルキルオキシ)ベンゼンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 41/16 20060101AFI20230602BHJP
C07C 43/205 20060101ALI20230602BHJP
C07C 41/40 20060101ALI20230602BHJP
C07C 41/42 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
C07C41/16
C07C43/205 A
C07C41/40
C07C41/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194798
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000189659
【氏名又は名称】上野製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】▲はま▼口 正基
(72)【発明者】
【氏名】芝 一休
(72)【発明者】
【氏名】仮屋 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】中山 翔太
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC43
4H006BB11
4H006BB16
4H006BB20
4H006BC31
4H006BE12
4H006GN03
4H006GP03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ビス(アルキルオキシ)ベンゼンが高純度で得られる製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶媒および50%平均粒子径が50μm以下である炭酸カリウムの存在下、式(1)
で表されるベンゼンジオールとハロゲン化アルキルとを反応させる工程を含む、式(2)
[式中、Rは炭素原子数6~20の整数であるアルキル基を示す]で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンの製造方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒および50%平均粒子径が50μm以下である炭酸カリウムの存在下、式(1)
【化1】
で表されるベンゼンジオールと、ハロゲン化アルキルと
を反応させる工程を含む、式(2)
【化2】
[式中、Rは炭素原子数6~20の整数であるアルキル基を示す]
で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンの製造方法。
【請求項2】
式(1)で表されるベンゼンジオールは、カテコール、レゾルシノールおよびハイドロキノンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハロゲン化アルキルは1-ブロモオクタンまたは1-ブロモオクタデカンである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンは、1,2-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼンおよび1,4-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼンからなる群から選択される、請求項1~3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
式(1)で表されるベンゼンジオール1モルに対し、ハロゲン化アルキル1.8~5.0モルを反応させる、請求項1~4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
式(1)で表されるベンゼンジオール1モルに対し、炭酸カリウム1.5~5.0モルを存在させる、請求項1~5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
式(1)で表されるベンゼンジオールとハロゲン化アルキルとを、50~150℃の温度で反応させる、請求項1~6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
有機溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである、請求項1~7の何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記工程は式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを含む粗組成物を得る工程である、請求項1~8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記粗組成物から式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを蒸留させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記粗組成物から式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを再結晶溶媒で再結晶させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
再結晶溶媒はキシレン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、クロロホルムおよびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選択される1種以上である、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビス(アルキルオキシ)ベンゼンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビス(アルキルオキシ)ベンゼンは、カテコールやハイドロキノン等のベンゼンジオールと脂肪族アルコールとのビスエーテル体であり、溶解性フラーレン誘導体(特許文献1)や、青色電界発光高分子(特許文献2)、ディスコティック液晶化合物(特許文献3)等の原料、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の変色温度調整剤(特許文献4)としての用途が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、炭酸カリウムの存在下、カテコールと1-ブロモオクタンとを反応させて1,2-ジオクチルオキシベンゼンを合成したことが記載されている。しかしながら、目的の反応と同時に複数の副反応も進行し、その副生成物によって、得られるビス(アルキルオキシ)ベンゼンの純度が低下するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-135237号公報
【特許文献2】特開2003-183363号公報
【特許文献3】特開2011-201831号公報
【特許文献4】特開2007-118197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ビス(アルキルオキシ)ベンゼンが高純度で得られる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、ベンゼンジオールとハロゲン化アルキルとの反応において、50%平均粒子径が50μm以下である炭酸カリウムの存在下で反応させることにより、ビス(アルキルオキシ)ベンゼンが高純度で得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕有機溶媒および50%平均粒子径が50μm以下である炭酸カリウムの存在下、式(1)
【化1】
で表されるベンゼンジオールと、ハロゲン化アルキルと
を反応させる工程を含む、式(2)
【化2】
[式中、Rは炭素原子数6~20の整数であるアルキル基を示す]
で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンの製造方法。
〔2〕式(1)で表されるベンゼンジオールは、カテコール、レゾルシノールおよびハイドロキノンからなる群から選択される、〔1〕に記載の方法。
〔3〕ハロゲン化アルキルは1-ブロモオクタンまたは1-ブロモオクタデカンである、〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンは、1,2-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼンおよび1,4-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼンからなる群から選択される、〔1〕~〔3〕の何れかに記載の方法。
〔5〕式(1)で表されるベンゼンジオール1モルに対し、ハロゲン化アルキル1.8~5.0モルを反応させる、〔1〕~〔4〕の何れかに記載の方法。
〔6〕式(1)で表されるベンゼンジオール1モルに対し、炭酸カリウム1.5~5.0モルを存在させる、〔1〕~〔5〕の何れかに記載の方法。
〔7〕式(1)で表されるベンゼンジオールとハロゲン化アルキルとを、50~150℃の温度で反応させる、〔1〕~〔6〕の何れかに記載の方法。
〔8〕有機溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである、〔1〕~〔7〕の何れかに記載の方法。
〔9〕前記工程は式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを含む粗組成物を得る工程である、〔1〕~〔8〕の何れかに記載の方法。
〔10〕前記粗組成物から式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを蒸留させる工程を含む、〔9〕に記載の方法。
〔11〕前記粗組成物から式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを再結晶溶媒で再結晶させる工程を含む、〔9〕に記載の方法。
〔12〕再結晶溶媒はキシレン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、クロロホルムおよびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選択される1種以上である、〔11〕に記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ビス(アルキルオキシ)ベンゼンを高純度で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、反応原料として使用されるベンゼンジオールおよびハロゲン化アルキルは、市販のものを用いてもよく、また当業者に知られた方法で製造したものを用いてもよい。
【0010】
本発明に使用されるベンゼンジオールは、式(1):
【化3】
で表されるベンゼンジオールである。
【0011】
その具体例としては、(1)-1:カテコール、(1)-2:レゾルシノールおよび(1)-3:ハイドロキノンからなる群から選択されるものが挙げられる。
【化4】
【0012】
本発明に使用されるハロゲン化アルキルの具体例としては、1-ブロモヘキサン、1-ブロモヘプタン、1-ブロモオクタン、1-ブロモノナン、1-ブロモデカン、1-ブロモウンデカン、1-ブロモドデカン、1-ブロモトリデカン、1-ブロモテトラデカン、1-ブロモペンタデカン、1-ブロモヘキサデカン、1-ブロモヘプタデカン、1-ブロモオクタデカン、1-ブロモノナデカン、1-ブロモエイコサン、1-クロロヘキサン、1-クロロヘプタン、1-クロロオクタン、1-クロロノナン、1-クロロデカン、1-クロロウンデカン、1-クロロドデカン、1-クロロトリデカン、1-クロロテトラデカン、1-クロロペンタデカン、1-クロロヘキサデカン、1-クロロヘプタデカン、1-クロロオクタデカン、1-クロロノナデカン、1-クロロエイコサン、1-ヨードヘキサン、1-ヨードヘプタン、1-ヨードオクタン、1-ヨードノナン、1-ヨードデカン、1-ヨードンデカン、1-ヨードドデカン、1-ヨードトリデカン、1-ヨードテトラデカン、1-ヨードペンタデカン、1-ヨードヘキサデカン、1-ヨードヘプタデカン、1-ヨードクタデカン、1-ヨードノナデカン、1-ヨードエイコサンおよび1-ブロモ-2-エチルヘキサンからなる群から選択される1種以上が挙げられる。これらの中でも1-ブロモオクタンまたは1-ブロモオクタデカンが好ましい。
【0013】
本発明に使用されるハロゲン化アルキルは、式(1)で表されるベンゼンジオール1モルに対し、好ましくは1.8~5.0モル、より好ましくは1.9~4.0モル、さらに好ましくは2.0~3.5モル、特に好ましくは2.1~3.0モル反応させるのがよい。
【0014】
式(1)で表されるベンゼンジオール1モルに対しハロゲン化アルキルの量が5.0モルを上回る場合、過剰量のハロゲン化アルキルが残存し、反応系中の水酸化物イオンとハロゲン化アルキルとが反応し、アルコールが生成するため、生産効率が低下するとともに、後処理工程においてアルコールの除去に長時間を要する傾向がある。また、ハロゲン化アルキルの量が1.8モルを下回る場合、生成率が低下する傾向がある。
【0015】
本発明では、例えば式(1)で表されるベンゼンジオール1モルとハロゲン化アルキル2モルとの反応は、式(1)で表されるベンゼンジオール1モルに対し、ハロゲン化アルキルが2モルとなるような量で存在させることにより行われる。
【0016】
本発明に使用される炭酸カリウムの50%平均粒子径は50μm以下であり、0.1~40μmであるのが好ましく、1.0~30μmであるのがより好ましい。炭酸カリウムの50%平均粒子径が上記範囲内にあることで、副反応が抑制されつつ、反応が十分に進行する。炭酸カリウムの50%平均粒子径が50μm超の場合、反応に長時間を要し、生成効率が低下する。
【0017】
本発明に使用される炭酸カリウムの量は、式(1)で表されるベンゼンジオール1モルに対し、好ましくは1.5~5.0モル、より好ましくは1.8~4.5モル、さらに好ましくは2.0~4.0モル、特に好ましくは2.2~3.5モル存在させるのがよい。
【0018】
式(1)で表されるベンゼンジオール1モルに対し、炭酸カリウムの量が1.5モルを下回る場合、反応が十分に進行しない傾向がある。また、炭酸カリウムの量が5.0モルを上回る場合、ハロゲン化アルキルのアルコールへの変換速度が速まり、反応が十分に進行しない傾向がある。
【0019】
式(1)で表されるベンゼンジオールとハロゲン化アルキルとの反応における反応温度は特に限定されないが、50~150℃が好ましく、70~130℃がより好ましく、90~110℃がさらに好ましい。反応温度が上記範囲内にあると、副反応が抑制されつつ、反応が十分に進行し易い。
【0020】
反応時間は、反応温度等の条件によって変動するため特に限定されないが、通常1~50時間であり、好ましくは3~40時間、より好ましくは6~30時間の間で適宜選択してよい。
【0021】
本発明に使用される有機溶媒としては、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、ジグリム、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;酢酸、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン等のプロトン性極性溶媒;アセトン、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;等が挙げられる。これらの中でも反応生成率に優れる点でN,N-ジメチルホルムアミドが好ましい。尚、これらの反応溶媒は、1種類に限られず、2種類以上を組み合わせた混合溶媒であってもよい。また、反応溶媒は、脱水脱酸素化して用いることが好ましい。
【0022】
本発明に使用される有機溶媒の量は、式(1)で表されるベンゼンジオールに対して1~30質量倍が好ましく、3~20質量倍がより好ましく、5~15質量倍がさらに好ましく、7~10質量倍が特に好ましい。
【0023】
本発明において、式(1)で表されるベンゼンジオールとハロゲン化アルキルとの反応は、不活性ガスの気流下またはバブリング下、もしくは減圧条件下で行うのが好ましい。このような条件下で反応させることによって、酸素や水分による反応阻害を回避し、反応を円滑に進行させることができる。
【0024】
不活性ガスとしては、反応を阻害しないガスであればよく、具体的には、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノンおよびクリプトンからなる群から選択される1種以上が挙げられる。これらの中で、入手容易性および経済性に優れる点で、窒素が好ましい。
【0025】
不活性ガスは、原料である式(1)で表されるベンゼンジオールとハロゲン化アルキルを収容する反応容器の反応液上部の空間部に吹き込んでもよく、あるいは、反応液中に直接吹き込んでもよい。
【0026】
式(1)で表されるベンゼンジオールとハロゲン化アルキルとの上記反応により、式(2):
【化5】
で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンが生成する。
【0027】
式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンとしては、1,2-ビス(n-ヘキシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-ヘキシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-ヘキシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-ヘプチルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-ヘプチルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-ヘプチルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-ノニルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-ノニルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-ノニルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-デシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-デシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-デシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-ウンデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-ウンデシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-ウンデシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-ドデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-ドデシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-ドデシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-トリデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-トリデシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-トリデシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-テトラデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-テトラデシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-テトラデシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-ペンタデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-ペンタデシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-ペンタデシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-ヘキサデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-ヘキサデシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-ヘキサデシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-ヘプタデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-ヘプタデシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-ヘプタデシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-ノナデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-ノナデシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-ノナデシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-エイコシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-エイコシルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-エイコシルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-エチルヘキシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-エチルヘキシルオキシ)ベンゼンおよび1,4-ビス(n-エチルヘキシルオキシ)ベンゼンなどが挙げられる。これらの中でも1,2-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼンおよび1,4-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼンからなる群から選択されるものが好ましい。各構造式を以下に記す。
【0028】
・1,2-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン
【化6】
・1,3-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン
【化7】
・1,4-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン
【化8】
・1,2-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン
【化9】
・1,3-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン
【化10】
・1,4-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン
【化11】
【0029】
有機溶媒および50%平均粒子径が50μm以下である炭酸カリウムの存在下、式(1)で表されるベンゼンジオールと、ハロゲン化アルキルとを反応させる工程を工程によって、式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを含む粗組成物が得られる。式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを含む粗組成物は、精製によりさらに純度を高めることができる。
【0030】
精製は、式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを含む粗組成物からビス(アルキルオキシ)ベンゼンを蒸留させる工程、および/または、式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを再結晶溶媒で再結晶させる工程を含むのが、生成物の純度を効率よく高められる点で好ましい。
【0031】
上記精製操作の前に、必要により、水溶性化合物を除去するための水性媒体による洗浄や、不溶性の異物を除去するためのろ過処理、着色性物質、金属などを除去するための活性炭などによる吸着剤処理を行ってもよい。
【0032】
式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを含む粗組成物とは、目的物である式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを含む粗組成物以外に、反応原料や中間体、副生物などの不純物を含む組成物を意味する。不純物の含有量は反応方法によっても異なるが、通常は粗組成物中1~25質量%であり、別の場合には3~15質量%である。
【0033】
粗組成物中に含まれる具体的な不純物としては、原料であるハロゲン化アルキル、ベンゼンジオールなどの残存物のほか、ベンゼンジオールとハロゲン化アルキルとのモノエーテル体などの中間体、水酸化物イオンとハロゲン化アルキルの反応物である副生物としてのアルコールなどが挙げられる。
【0034】
式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを含む粗組成物からビス(アルキルオキシ)ベンゼンを蒸留させる工程は、蒸留装置に粗組成物を添加し、常圧下または減圧下で加熱し、ビス(アルキルオキシ)ベンゼンを回収することにより行われる。
【0035】
蒸留は、圧力1~50hPa、温度150~250℃の範囲で適宜実施するのが好ましい。
【0036】
再結晶させる工程は、式(2)で表されるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを含む粗組成物に再結晶溶媒を加えて、温度は使用溶媒によるが50~150℃に昇温し粗組成物を完全に溶解させた後、撹拌しながら10~50℃に降温し、ビス(アルキルオキシ)ベンゼンの結晶を析出させることによって行われる。
【0037】
再結晶させる工程において用いられる再結晶溶媒は、キシレン、ヘプタン、シクロヘキサノン、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、N - メチル- 2 - ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、4 - メチルテトラヒドロピラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸プロピルおよび酢酸ブチルからなる群から選択される1種以上が挙げられる。これらの中でも、不純物除去に優れることからキシレン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、クロロホルムおよびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0038】
再結晶させる工程において用いられる再結晶溶媒の使用量は、溶媒の種類によっても異なるが、原料であるベンゼンジオールに対し1~30質量倍であることが好ましく、より好ましくは5~20質量倍である。再結晶溶媒がベンゼンジオールに対し1質量倍を下回る場合、原料や副生物などの不純物が結晶中に取り込まれてしまい高純度の結晶を得ることが困難になる傾向があり、30質量倍を上回る場合、ビス(アルキルオキシ)ベンゼンの収量が著しく減少することがある。
【0039】
再結晶によって得られた結晶は濾過等の常套手段により固液分離し、目的物であるビス(アルキルオキシ)ベンゼンを回収する。固液分離に際し、適宜有機溶媒を注いで結晶を洗浄するのが好ましい。固液分離の際に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン(THF)、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選択される1種以上が好ましく使用される。有機溶媒は、ベンゼンジオールに対し0.5~20質量倍使用するのが好ましい。
【0040】
固液分離によって回収された結晶は、常圧下において通風乾燥するか、あるいは減圧下で乾燥し溶媒を留去することによって、高純度のビス(アルキルオキシ)ベンゼンを得ることができる。
【実施例0041】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、各化合物の略称は以下を用いる。
CO-8:1,2-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン
CO-18:1,2-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン
RO-8:1,3-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン
RO-18:1,3-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン
HO-8:1,4-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン
HO-18:1,4-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン
【0042】
各化合物は、以下の方法によって分析した。
【0043】
・CO-8の分析
<超高速パフォーマンス液体クロマトグラフィー(UPLC)>
装置: Waters UPLC H-Class システム
カラム型番: ACQUITY UPLC HSS C18 1.8μm 2.1×50mm
液量:0.5mL/分
溶媒比: H2O(pH2.3)/MeOH=80/20(1.5分)→0.5分→36/64(3分)→1分→18/82(3分)→1.5分→4/96(4.5分)グラジエント分析
波長: 229nm
カラム温度: 40℃
<算出方法>
保持時間0.5分から15分の間で検出された全ピーク面積の総量を分母として各物質ピーク面積を分子として面積%を算出した。
各化合物のピーク位置は試料濃度により変化するため、一概には言えないが、各化合物のピークトップとなる凡そのリテンションタイム(保持時間)を下に記す。
カテコール:0.7分
CO-8:12分
カテコールと1-ブロモオクタンとのモノエーテル体:7分
その他のピークはすべて副生物とした。
【0044】
・RO-8の分析
<超高速パフォーマンス液体クロマトグラフィー(UPLC)>
装置: Waters UPLC H-Class システム
カラム型番: ACQUITY UPLC HSS C18 1.8μm 2.1×50mm
液量:0.5mL/分
溶媒比: H2O(pH2.3)/MeOH=80/20(1.5分)→0.5分→36/64(3分)→1分→18/82(3分)→1.5分→10/90(5.5分)→2分→2/98(4分)グラジエント分析
波長: 229nm
カラム温度: 40℃
<算出方法>
保持時間0.4分から20分の間で検出された全ピーク面積の総量を分母として各物質ピーク面積を分子として面積%を算出した。
各化合物のピーク位置は試料濃度により変化するため、一概には言えないが、各化合物のピークトップとなる凡そのリテンションタイム(保持時間)を下に記す。
レゾルシノール:0.5分
RO-8:15分
レゾルシールと1-ブロモオクタンとのモノエーテル体:7分
その他のピークはすべて副生物とした。
【0045】
・HO-8の分析
<超高速パフォーマンス液体クロマトグラフィー(UPLC)>
装置: Waters UPLC H-Class システム
カラム型番: ACQUITY UPLC HSS C18 1.8μm 2.1×50mm
液量:0.5mL/分
溶媒比: H2O(pH2.3)/MeOH=80/20(1.5分)→0.5分→36/64(3分)→1分→18/82(3分)→1.5分→4/96(4.5分)グラジエント分析
波長: 229nm
カラム温度: 40℃
<算出方法>
保持時間0.5分から15分の間で検出された全ピーク面積の総量を分母として各物質ピーク面積を分子として面積%を算出した。
各化合物のピーク位置は試料濃度により変化するため、一概には言えないが、各化合物のピークトップとなる凡そのリテンションタイム(保持時間)を下に記す。
ハイドロキノン:0.6分
HO-8:13分
ハイドロキノンと1-ブロモオクタンとのモノエーテル体:17分
その他のピークはすべて副生物とした。
【0046】
・CO-18、RO-18、HO-18の分析
<超高速パフォーマンス液体クロマトグラフィー(UPLC)>
装置: Waters UPLC H-Class システム
カラム型番: ACQUITY UPLC HSS C18 1.8μm 2.1×50mm
液量:0.5mL/分
溶媒比:MeOH = 100%
波長: 229nm
カラム温度: 40℃
<算出方法>
保持時間0.2分~15分の間で検出された全ピーク面積の総量を分母として各物質ピーク面積を分子として面積%を算出した。
各化合物のピーク位置は試料濃度により変化するため、一概には言えないが、各化合物のピークトップとなる凡そのリテンションタイム(保持時間)を下に記す。
カテコール:0.2分
CO-18:10~12分
カテコールと1-ブロモオクタデシルとのモノエーテル体(中間体):0.7分
レゾルシノール:0.2分
RO-18:12~14分
レゾルシノールと1-ブロモオクタデシルとのモノエーテル体(中間体):0.7分
ハイドロキノン:0.2分
HO-18:10~13分
ハイドロキノンと1-ブロモオクタデシルとのモノエーテル体(中間体):0.6分
その他のピークはすべて副生物とした。
【0047】
・CO-8の分析
<ガスクロマトグラフィー(GC)>
装置: 島津GC-2014型
カラム型番: G-100 1.2mm×40m 5μm
キャリアガス:He 20mL/分
内標準物質:安息香酸ブチル
溶媒:アセトン
カラム温度: 140℃
【0048】
・RO-8、HO-8の分析
<ガスクロマトグラフィー(GC)>
装置: 島津GC-2014型
カラム型番: G-100 1.2mm×40m 5μm
キャリアガス:He 20mL/分
内標準物質:安息香酸プロピル
溶媒:アセトン
カラム温度: 140℃
【0049】
・CO-18、RO-18、HO-18の分析
<ガスクロマトグラフィー(GC)>
装置: 島津GC-2014型
カラム型番: G-100 1.2mm×40m 1μm
キャリアガス:He 20mL/分
内標準物質:フタル酸ジブチル
溶媒:クロロホルム
カラム温度: 200℃
【0050】
実施例1:CO-8の合成
攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、カテコール(CT、富士フィルム和光純薬株式会社製)22.0g(0.20モル)、1-ブロモオクタン(OcBr、TCI社製)81.4g(0.42モル)、炭酸カリウム(日本曹達株式会社製、50%平均粒子径19.38μm)60.9g(0.44モル)およびDMF176.3g(CTに対して8.0質量部)を加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、同温度で6時間反応させた後、OcBr7.9g(0.04モル)、炭酸カリウム5.5g(0.04モル)を追加し、さらに同温度で3時間反応させ、粗組成物を得た。得られた粗組成物をUPLCにて分析を行った。結果を表1に記す。
【0051】
実施例2:RO-8の合成
攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、レゾルシノール(RE、富士フィルム和光純薬株式会社製)22.0g(0.20モル)、1-ブロモオクタン(OcBr、TCI社製)81.1g(0.42モル)、炭酸カリウム(日本曹達株式会社製、50%平均粒子径19.38μm)60.9g(0.44モル)およびDMF176.0(REに対して8.0質量部)を加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、同温度で3時間反応させた後、OcBr3.9g(0.02モル)を追加し、同温度で3時間反応させた後、さらにOcBr7.7g(0.04モル)を追加し、同温度で3時間反応させ、組成物を得た。得られた粗組成物をUPLCにて分析を行った。結果を表1に記す。
【0052】
実施例3:HO-8の合成
攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、ハイドロキノン(HQ、宇部興産株式会社製)22.0g(0.20モル)、1-ブロモオクタン(OcBr、TCI社製)96.5g(0.50モル)、炭酸カリウム(日本曹達株式会社製、50%平均粒子径19.38μm)71.8g(0.52モル)およびDMF176.3g(HQに対して8.0質量部)を加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、同温度で12時間反応させた後、OcBr19.3g(0.10モル)、炭酸カリウム13.9g(0.10モル)を加え、さらに同温度で9時間反応させ、粗組成物を得た。得られた組成物をUPLCにて分析を行った。結果を表1に記す。
【0053】
実施例4:CO-18の合成
攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、カテコール(CT、富士フィルム和光純薬株式会社製)22.0g(0.20モル)、1-ブロモオクタデカン(ODBr、TCI社製)159.9g(0.48モル)、炭酸カリウム(日本曹達株式会社製、50%平均粒子径19.38μm)66.8g(0.48モル)およびDMF179.1g(CTに対して8.1質量部)を加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、同温度で9時間反応させ、粗組成物を得た。得られた粗組成物をUPLCにて分析を行った。結果を表1に記す。
【0054】
実施例5:RO-18の合成
攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、レゾルシノール(RE、富士フィルム和光純薬株式会社製)22.0g(0.20モル)、1-ブロモオクタデカン(ODBr、TCI社製)166.8g(0.50モル)、炭酸カリウム(日本曹達株式会社製、50%平均粒子径19.38μm)66.3g(0.48モル)およびDMF176.2g(REに対して8.1質量部)を加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、同温度で6時間反応させ、粗組成物を得た。得られた粗組成物をUPLCにて分析を行った。結果を表1に記す。
【0055】
実施例6:HO-18の合成
攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、ハイドロキノン(HQ、宇部興産株式会社製)22.0g(0.20モル)、1-ブロモオクタデカン(ODBr、TCI社製)201.1g(0.60モル)、炭酸カリウム(日本曹達株式会社製、50%平均粒子径19.38μm)85.6g(0.62モル)およびDMF220.6g(HQに対して10.0質量部)を加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、同温度で9時間反応させ、粗組成物を得た。得られた粗組成物をUPLCにて分析を行った。結果を表1に記す。
【0056】
比較例1~4
炭酸カリウム(日本曹達株式会社製、50%平均粒子径19.38μm)を炭酸カリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製、50%平均粒子径481.4μm)に変更した以外は、それぞれ実施例1~4と同様に実施し、粗組成物を得た。結果を表2に記す。
【0057】
実施例7:CO-8の精製(蒸留)
実施例1で得られた反応液を、30℃まで冷却し、同温度にて固液分離し、濾液を回収し、回収した濾液を70℃、5hPaの条件にて溶媒を留去し残渣を回収した。残渣にキシレン110.2g、水44.0gを加え、攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lコルベンに加え80℃で30分間撹拌を行った。水溶液が有機層と水層に分離するまで静置した後、水層を抜き出した。残った有機層に水44.0gを加え、80℃で30分間攪拌し、水溶液が有機層と水層に分離するまで静置した後、有機層を取り出した。リービッヒ冷却管を備えたナスフラスコに取り出した有機層、攪拌子を加え、マグネチックスターラーで攪拌しつつ、4hPaになるまで減圧を行いながら193℃まで昇温し、減圧蒸留を行い、留分を回収し1,2-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン(CO-8)61.7gを得た(収率90.7mol%)(収率:回収ビス(アルキルオキシ)ベンゼンモル量/仕込ベンゼンジオールモル量)。得られたCO-8をUPLCとGCにて分析を行った。分析結果を表3に記す。
【0058】
実施例8:RO-8の精製(再結晶)
実施例2で得られた反応液を、60℃まで冷却し、同温度にて固液分離し、濾液を回収し、回収した濾液を80℃、10hPaの条件にて溶媒を留去し残渣を回収した。残渣にキシレン44.0g、水44.0gを加え、攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lコルベンに加え80℃で30分間撹拌を行った。水溶液が有機層と水層に分離するまで静置した後、水層を抜き出した。残った有機層に水44.0gを加え、80℃で30分間攪拌し、水溶液が有機層と水層に分離するまで静置した後、有機層を取り出した。取り出した有機層を攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lコルベンに加え、キシレン21.9g、メタノール66.0gを加え、15℃まで冷却し、1,3-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン(RO-8)を析出させた。懸濁液を固液分離し、メタノール66.1gで洗浄した。得られた結晶を50℃、10hPaで乾燥することでRO-8の結晶32.7gを得た(収率48.6mol%)。得られたRO-8をUPLCとGCにて分析を行った。分析結果を表3に記す。
【0059】
実施例9:HO-8の精製(再結晶)
実施例3で得られた反応液を、60℃まで冷却し、同温度にて固液分離し、濾液を回収し、回収した濾液を80℃、10hPaの条件にて溶媒を留去し残渣を回収した。残渣にキシレン65.4g、水22.5gを加え、攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lコルベンに加え80℃で30分間撹拌を行った。水溶液が有機層と水層に分離するまで静置した後、水層を抜き出した。残った有機層に水22.6gを加え、80℃で30分間攪拌し、水溶液が有機層と水層に分離するまで静置した後、有機層を取り出した。取り出した有機層を攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lコルベンに加え、10℃まで冷却し、1,4-ビス(n-オクチルオキシ)ベンゼン(HO-8)を析出させた。懸濁液を固液分離し、メタノール181.6gで洗浄した。得られた結晶を50℃、10hPaで乾燥することでHO-8の結晶44.5gを得た(収率66.5mol%)。得られたHO-8をUPLCとGCにて分析を行った。分析結果を表3に記す。
【0060】
実施例10:CO-18の精製(再結晶)
実施例4で得られた反応液に、水175.9gを加え90℃まで昇温した後、攪拌機、温度センサーを備えた1.0L下抜きコルベンに加え、さらに水113.7gを加え90℃で30分間攪拌した。水溶液が分離するまで静置した後、水層を抜き出した。残った有機層に水44.2g、キシレン330.5g、シクロヘキサノン123.4gを加え、95℃で30分間攪拌し、水溶液が分離するまで静置した後、有機層を取り出した。取り出した有機層を、攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lコルベンに加え、27℃まで冷却し、1,2-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン(CO-18)を析出させた。懸濁液を固液分離し、メタノール111.1gで洗浄した。得られた結晶を60℃、10hPaで乾燥することでCO-18の結晶76.7gを得た(収率60.9mol%)。得られたCO-18をUPLCとGCにて分析を行った。分析結果を表4に記す。
【0061】
実施例11:RO-18の精製(再結晶)
実施例5で得られた反応液に、水178.3gを加え90℃まで昇温した後、攪拌機、温度センサーを備えた1.0L下抜きコルベンに加え、さらに水177.1gを加え90℃で30分間攪拌した。水溶液が分離するまで静置した後、水層を抜き出した。残った有機層に水43.7g、キシレン351.4g、シクロヘキサノン177.2gを加え、90℃で30分間攪拌し、水溶液が分離するまで静置した後、有機層を取り出した。取り出した有機層を、攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lコルベンに加え、35℃まで冷却し、1,3-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン(RO-18)を析出させた。懸濁液を固液分離し、メタノール65.3gで洗浄した。得られた結晶を60℃、5hPaで乾燥することでRO-18の結晶94.0gを得た(収率75.5mol%)。得られたRO-18をUPLCとGCにて分析を行った。分析結果を表4に記す。
【0062】
実施例12:HO-18の精製(再結晶)
実施例6で得られた反応液に、水156.2gを加え100℃まで昇温した後、攪拌機、温度センサーを備えた1.0L下抜きコルベンに加え、さらに水184.4gを加え90℃で30分間攪拌した。水溶液が分離するまで静置した後、水層を抜き出した。残った有機層に水44.7g、キシレン111.1g、シクロヘキサノン330.8gを加え、90℃で30分間攪拌し、水溶液が分離するまで静置した後、水層を取り出した。残った有機層にカルボラフィン2.3gを加え、100℃で1時間攪拌し脱色操作を行った。同温度にて混合液を固液分離し、カーボンを除去し有機層を取り出した。取り出した有機層を、攪拌機、温度センサーを備えた0.5Lコルベンに加え、40℃まで冷却し、1,4-ビス(n-オクタデシルオキシ)ベンゼン(HO-18)を析出させた。懸濁液を固液分離し、メタノール220.3gで洗浄した。得られた結晶を60℃、5hPaで乾燥することでHO-18の結晶112.6gを得た(収率91.4mol%)。得られたHO-18をUPLCとGCにて分析を行った。分析結果を表4に記す。
【0063】
表1、2に示す通り、50%平均粒子径50μm以下の炭酸カリウムを用いた本発明の実施例1~6は、50%平均粒子径50μm超の炭酸カリウムを用いた比較例1~4と比較して、中間体(ベンゼンジオールとハロゲン化アルキルとのモノエーテル体)の残存率が低く、副生物の生成が抑制され、目的物質の生成率が高いことが分かる。また、表3、4に示す通り、さらに蒸留や再結晶等の精製を実施することにより過剰量の反応原料や副生物を有意に除去可能であることが分かる。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】