(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081104
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】手袋及び手袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
A41D 19/00 20060101AFI20230602BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20230602BHJP
A41D 19/04 20060101ALI20230602BHJP
A41D 19/015 20060101ALI20230602BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A41D19/00 P
A41D13/00 102
A41D19/04 A
A41D19/015 130Z
B32B7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194805
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】591161900
【氏名又は名称】ショーワグローブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】岸原 英敏
【テーマコード(参考)】
3B011
3B033
4F100
【Fターム(参考)】
3B011AA07
3B011AA08
3B011AB01
3B011AC07
3B011AC08
3B011AC13
3B011AC17
3B011AC24
3B011AC26
3B033AA09
3B033AA27
3B033AB01
3B033AB03
3B033AC01
3B033AC03
3B033BA01
3B033BA02
3B033BA04
4F100AK01C
4F100AK01D
4F100AK25C
4F100AK27D
4F100AK29D
4F100AK68B
4F100AL01D
4F100AN00C
4F100AN00D
4F100AN01D
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100CB03B
4F100CB05C
4F100DG01A
4F100EH46
4F100EJ42
4F100GB71
4F100JK06
4F100JL12B
4F100JL13C
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】本発明は、負荷、特にねじり負荷がかかっても手袋本体と被膜とが剥離し難い手袋の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係る手袋は、繊維製の手袋本体と、少なくとも上記手袋本体の外面の一部を覆い、ゴム又は樹脂を主成分とする被膜と、上記手袋本体及び上記被膜を接着する接着部とを備え、上記接着部が、上記被膜と接する粘着剤層と、上記手袋本体と接し、ホットメルト接着剤から構成される接着剤層とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製の手袋本体と、
少なくとも上記手袋本体の外面の一部を覆い、ゴム又は樹脂を主成分とする被膜と、
上記手袋本体及び上記被膜を接着する接着部と
を備え、
上記接着部が、
上記被膜と接する粘着剤層と、
上記手袋本体と接し、ホットメルト接着剤から構成される接着剤層と
を有する手袋。
【請求項2】
上記接着部が、上記粘着剤層と上記接着剤層との間に他の層を含まない請求項1に記載の手袋。
【請求項3】
上記粘着剤層の平均厚さが、20μm以上200μm以下であり、
上記接着剤層の平均厚さが、20μm以上200μm以下である請求項1又は請求項2に記載の手袋。
【請求項4】
上記接着剤層の平均厚さに対する上記粘着剤層の平均厚さの比が、0.3以上1.5以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の手袋。
【請求項5】
上記粘着剤層が、上記被膜の主成分であるゴム又は樹脂を形成する被膜成分を含み、
上記粘着剤層における上記被膜成分の含有量が、10質量%以上60質量%以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の手袋。
【請求項6】
繊維製の手袋本体と、少なくとも上記手袋本体の外面の一部を覆い、ゴム又は樹脂を主成分とする被膜と、上記手袋本体及び上記被膜を接着する接着部とを備える手袋の製造方法であって、
上記被膜の内面に対して粘着剤組成物を塗工及び乾燥させる粘着剤塗工乾燥工程と、
上記粘着剤塗工乾燥工程で形成された粘着剤層の表面に対してホットメルト接着剤を塗工及び加熱する接着剤塗工加熱工程と、
上記接着剤塗工加熱工程後に、上記被膜及び上記手袋本体を重ね合わせる重ね合わせ工程と、
上記重ね合わせ工程後に、上記被膜及び上記手袋本体を加熱により接着する接着工程と
を備える手袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋及び手袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば土木作業等の工業環境や、寒冷地での作業に用いられる手袋として、繊維製の手袋本体と、上記手袋本体の外面を覆いゴム又は樹脂を主成分とする被膜とを備える手袋が知られている。
【0003】
上記手袋は、例えば上記手袋本体と上記被膜とを接着剤により接着することで製造することができる(特表2008-514467号公報参照)。上記公報によれば、上記手袋本体と上記被膜とは異なる伸縮特性を持つため、不粘着性接着を形成して上記手袋本体に上記被膜を支持させ、その伸縮性を制限することで接着剤層と被膜及び/又は手袋本体との間の剥離を抑止している。具体的には、上記接着剤として、湿分に暴露されると架橋する接着剤で、イソシアネートを含むポリウレタンがよいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、手袋は使用者の手の動きに応じて複雑な動きをするため、上記接着剤を用いた従来の手袋であっても負荷、特にねじり負荷がかかると、手袋本体と被膜との剥離が生じ易い。このため、さらに剥離が生じ難い手袋が求められている。
【0006】
本発明はこれらの事情に鑑みてなされたものであり、負荷、特にねじり負荷がかかっても手袋本体と被膜とが剥離し難い手袋及びその手袋の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る手袋は、繊維製の手袋本体と、少なくとも上記手袋本体の外面の一部を覆い、ゴム又は樹脂を主成分とする被膜と、上記手袋本体及び上記被膜を接着する接着部とを備え、上記接着部が、上記被膜と接する粘着剤層と、上記手袋本体と接し、ホットメルト接着剤から構成される接着剤層とを有する。
【0008】
当該手袋は、上記粘着剤層により上記接着部を上記被膜と接着する。上記粘着剤層は、上記被膜に対する粘着力が高く、かつ仮に剥離したとしても再粘着するので上記被膜と上記接着部との間の接着を維持し易い。一方、当該手袋では、粘着剤によっては接着し難い上記手袋本体に対して、ホットメルト接着剤を用いて接着するので、上記手袋本体と上記接着部との接着力を高められる。従って、当該手袋は、負荷、特にねじり負荷がかかっても上記手袋本体と上記被膜とが剥離し難い。
【0009】
上記接着部が、上記粘着剤層と上記接着剤層との間に他の層を含まないとよい。このように上記接着部の上記粘着剤層と上記接着剤層との間に他の層を含めないことで、接着力を維持しつつ、当該手袋の柔軟性を高めることができる。また、当該手袋の追従性が高くなり、ねじり負荷に対して強くなる。
【0010】
上記粘着剤層の平均厚さとしては、20μm以上200μm以下が好ましく、上記接着剤層の平均厚さとしては、20μm以上200μm以下が好ましい。上記粘着剤層の平均厚さを上記範囲内とし、上記接着剤層の平均厚さを上記範囲内とすることで、当該手袋の柔軟性を維持しつつ、接着力を高めることができる。
【0011】
上記接着剤層の平均厚さに対する上記粘着剤層の平均厚さの比としては、0.3以上1.5以下が好ましい。このように上記平均厚さの比を上記範囲内とすることで、当該手袋の柔軟性を高めることができる。
【0012】
上記粘着剤層が、上記被膜の主成分であるゴム又は樹脂を形成する被膜成分を含むとよく、上記粘着剤層における上記被膜成分の含有量としては、10質量%以上60質量%以下が好ましい。このように粘着剤層に被膜の主成分と同じ成分を上記範囲内で含有させることで、被膜との粘着力を高めることができる。なお、「ゴムを形成する被膜成分」とは、重合されたゴムそのものである場合に加え、重合前のゴムの単量体である場合、あるいは両者が混合している場合を含む。「樹脂を形成する被膜成分」についても同様である。
【0013】
本発明の別の一態様に係る手袋の製造方法は、繊維製の手袋本体と、少なくとも上記手袋本体の外面の一部を覆い、ゴム又は樹脂を主成分とする被膜と、上記手袋本体及び上記被膜を接着する接着部とを備える手袋の製造方法であって、上記被膜の内面に対して粘着剤組成物に塗工及び乾燥させる粘着剤塗工乾燥工程と、上記粘着剤塗工乾燥工程で形成された粘着剤層の表面に対してホットメルト接着剤を塗工及び加熱する接着剤塗工加熱工程と、上記接着剤塗工加熱工程後に、上記被膜及び上記手袋本体を重ね合わせる重ね合わせ工程と、上記重ね合わせ工程後に、上記被膜及び上記手袋本体を加熱により接着する接着工程とを備える。
【0014】
当該手袋の製造方法では、粘着剤によっては接着し難い上記手袋本体に対して、ホットメルト接着剤を用いて接着するので、上記手袋本体と接着剤層との接着力を高められる。従って、当該手袋の製造方法により製造された手袋は、負荷、特にねじり負荷がかかっても剥離し難い。
【0015】
ここで、「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。また、「平均厚さ」とは、測定対象を有する部位から切り出した試験片の断面を100倍の倍率で観察し、デジタルマイクロスコープ(例えば株式会社キーエンスの「VHX-6000」)を用いて、幅2mmの間を100μmの間隔で測定した20点の厚さの算術平均である。なお、手袋の裾部の下端から指先側へ50mm付近に位置する平滑な部分に、「平均厚さ」の測定対象が存在する場合は、上記試験片はこの平滑な部分から切り出すことが好ましい。
【0016】
「粘着剤」とは、架橋剤が無添加又は少量であり、長時間経過後もタック性(粘着表面のネバツキ)を有し、常温(例えば25℃)でガム状、すなわち固体と液体との中間体の状態を呈する材料で、圧力により対象物に接着する性質を有する物質である。一般に、粘着剤は、25℃において複素引張弾性率E*(1Hz)<107dyne/cm2を満たす。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の手袋は、負荷、特にねじり負荷がかかっても手袋本体と被膜とが剥離し難い。また、本発明の手袋の製造方法は、負荷、特にねじり負荷がかかっても手袋本体と被膜とが剥離し難い手袋を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る手袋を掌側から見た模式的正面図である。
【
図2】
図2は、
図1の手袋の被膜を有する部分の模式的断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る手袋の製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る手袋及び手袋の製造方法について詳説する。
【0020】
〔手袋〕
図1及び
図2に示す手袋1は、繊維製の手袋本体10と、少なくとも手袋本体10の外面の一部を覆い、ゴム又は樹脂を主成分とする被膜20と、手袋本体10及び被膜20を接着する接着部30とを備える。
【0021】
手袋本体10及び被膜20は、共に着用者の掌及び手の甲を覆うよう袋状に形成された本体部1aと、着用者の第1指乃至第5指をそれぞれ覆うよう本体部1aから延設された有底筒状の第1指部乃至第5指部1bと、第1指部乃至第5指部1bとは反対方向に延設された筒状の裾部1cとを有する。つまり、
図1及び
図2に示す手袋1では、手袋本体10と被膜20とは、略同形である。接着部30は、
図2に示すように、手袋本体10と被膜20とが対向する全領域に設けられることが好ましいが、必須ではなく、手袋本体10と被膜20とが対向する一部の領域に接着部30を有さない構成とすることもできる。
【0022】
<手袋本体>
手袋本体10を構成する糸としては、綿糸、アクリル糸、ナイロン糸、ポリエステル糸、レーヨン糸、超高分子量ポリエチレン糸(HPPE)、金属繊維糸、グラスファイバー糸、導電繊維糸、及びそれらの複合糸等が挙げられる。また、上記糸の形態としては、紡績糸、フィラメントのストレート糸や捲縮加工糸、カバーリング糸、意匠撚糸などを利用できる。上記糸の太さ(複合糸の場合はすべての糸を組み合わせた状態での太さ)としては、50dtex以上1500dtex以下に相当する太さとすることができる。
【0023】
手袋本体10の編成は、特に限定されず、手袋本体10は、パイル編み、シームレス編みや、不織布等の布の縫製により手袋状に編成することができる。
【0024】
<被膜>
上述のように被膜20は、ゴム又は樹脂を主成分とする。上記ゴムとしては、天然ゴム(NR)及び合成ゴムを挙げることができる。上記合成ゴムとしては、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)やこれらの変性物等を挙げることができる。また、上記樹脂としては、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂やこれらの変性物等を挙げることができる。上記ゴム又は上記樹脂は一種を用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0025】
被膜20の主成分としては、ゴムが好ましく、中でも天然ゴム及びニトリルブタジエンゴムがより好ましい。このように被膜20の主成分を天然ゴム又はニトリルブタジエンゴムとすることで、被膜20の強度、柔軟性及び製造コストのバランスを好適化できる。
【0026】
被膜20は、必要に応じて加硫剤、架橋剤、顔料、ワックス、増粘剤等の各種添加剤を含んでもよい。
【0027】
被膜20の平均厚さの下限としては、0.1mmが好ましく、0.15mmがより好ましい。一方、被膜20の平均厚さの上限としては、0.7mmが好ましく、0.6mmがより好ましく、0.5mmがさらに好ましい。被膜20の平均厚さが上記下限未満であると、被膜20の耐摩耗性が低下するおそれがある。逆に、被膜20の平均厚さが上記上限を超えると、当該手袋1の柔軟性が不足するおそれがある。
【0028】
<接着部>
接着部30は、
図2に示すように、被膜20と接する粘着剤層31と、手袋本体10と接し、ホットメルト接着剤から構成される接着剤層32とを有する。当該手袋1では、接着部30は、粘着剤層31及び接着剤層32の2層で構成され、接着部30は粘着剤層31と接着剤層32との間に他の層を含まない。このように接着部30の粘着剤層31と接着剤層32との間に他の層を含めないことで、接着力を維持しつつ、当該手袋1の柔軟性を高めることができる。また、当該手袋1の追従性が高くなり、ねじり負荷に対して強くなる。
【0029】
接着部30は、手袋本体10と被膜20とが対向する対向領域すべてに設けることもできるが、対向領域の一部に設ける構成とすることもできる。対向領域の一部に設ける構成とする場合、少なくとも第一指乃至第五指の掌側の指先領域、掌と第一指乃至第五指との境界領域、及び掌領域に設けるとよい。これらの領域を接着することで手袋本体10と被膜20との位置ずれを効果的に抑制することができる。中でも掌と第一指乃至第五指との境界領域に含まれる指の付け根部分に接着部30を設けると、上記位置ずれの防止に効果的である。
【0030】
(粘着剤層)
粘着剤層31を構成する粘着剤としては、天然ゴム(例えば解重合した天然ゴム)、ポリウレタン、シリコーン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等を挙げることができる。中でも耐久性に優れる点でポリ(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。上記粘着剤には、必要に応じて増粘剤、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、顔料等が含まれてもよい。
【0031】
被膜20と粘着剤層31の粘着力を高めるために、粘着剤層31にゴム又は樹脂を混ぜても良い。混ぜるゴム又は樹脂としては、粘着力を高められるものであれば限定されないが、例えば天然ゴム、合成ゴム、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂などが挙げられる。被膜20と粘着剤層31の粘着力を判断する一つの指標としては、例えば溶解度パラメータが考えられる。この溶解度パラメータが近くなるように混ぜるゴム又は樹脂を選択することが好ましい。具体的には、被膜20の主成分がゴムである場合、被膜20と同じゴム成分を含めるとよい。例えば被膜20のゴムの成分がNRである場合、上記粘着剤が解重合されたNR成分と、強粘着性アクリル(ポリ(メタ)アクリル酸エステル)とを含むとよく、上記NR成分と、上記強粘着性アクリルとの質量比としては、15:85以上25:75以下とできる。一方、粘着剤層31の溶解度パラメータが被膜20の溶解度パラメータに近くなるようであれば、被膜20とは異なる成分を含有させてもよく、あるいは何も含有させなくてもよい。例えば被膜20のゴムの成分がNBRである場合、粘着剤層31に被膜20の成分(NBR)を含めなくとも、つまり強粘着性アクリルのみであっても高い粘着力を得ることができる。なお、各素材(ゴム又は樹脂)の溶解度パラメータは、例えば「新版 ゴム技術の基礎」(社団法人 日本ゴム協会)により求めることができる。
【0032】
粘着剤層31が、上記ゴムの成分を含む場合、粘着剤層31(固形分)における上記ゴムの成分の含有量の下限としては、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。一方、上記ゴムの成分の含有量の上限としては、60質量%が好ましく、50質量%がより好ましい。このように粘着剤層31に被膜20の主成分と同じ成分を上記範囲内で含有させることで、被膜20との粘着力を高めることができる。上記ゴムの成分の含有量が上記下限未満であると、この粘着力の向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記ゴムの成分の含有量が上記上限を超えると、接着剤層32との接着力が低下し、粘着剤層31と接着剤層32と間で剥離が生じ易くなるおそれがある。
【0033】
被膜20の主成分が樹脂である場合、粘着剤層31は、被膜20の主成分と同じ樹脂の成分を含めることができる。つまり、粘着剤層31に、被膜20の主成分である樹脂を形成する被膜成分を含めることができる。粘着剤層31における上記被膜成分の含有量としては、10質量%以上60質量%以下が好ましい。このように粘着剤層31に被膜20の主成分と同じ成分を上記範囲内で含有させることで、被膜20との粘着力を高めることができる。
【0034】
粘着剤層31の平均厚さの下限としては、20μmが好ましく、25μmがより好ましい。一方、粘着剤層31の平均厚さの上限としては、200μmが好ましく、100μmがより好ましい。粘着剤層31の平均厚さが上記下限未満であると、被膜20との粘着力が不足するおそれがある。逆に、粘着剤層31の平均厚さが上記上限を超えると、粘着剤はチキソトロピーが低いため、当該手袋1の製造時に粘着剤が垂れ易くなり、製造が困難となるおそれがある。
【0035】
接着剤層32の平均厚さに対する粘着剤層31の平均厚さの比としては、0.3が好ましく、0.4がより好ましい。一方、上記平均厚さの比の上限としては、1.5が好ましく、1.2がより好ましく、1.0がさらに好ましい。上記平均厚さの比が上記下限未満であると、粘着剤層31が薄くなることにより粘着剤層31と被膜20との粘着力が不足するおそれや、接着剤層32が厚くなることにより当該手袋1の柔軟性が低下するおそれがある。逆に、上記平均厚さの比が上記上限を超えると、粘着剤層31が厚くなることにより当該手袋1の製造が困難となるおそれや、接着剤層32が薄くなることにより接着剤層32と手袋本体10との接着力が不足するおそれがある。
【0036】
(接着剤層)
接着剤層32を構成するホットメルト接着剤は、硬化前は、融点を超える熱によって液状化し、冷めると固化する性質がある。
【0037】
上記ホットメルト接着剤の主成分としては、変性ポリエチレン-酢酸ビニル(EVA)、共重合ポリエステル、変性ポリオレフィン、ポリウレタン、スチレン-ブタジエンゴム(SBS)、ポリアミド等を挙げることができる。中でも手袋本体10及び粘着剤層31との接着力が確保し易い変性EVA、共重合ポリエステル、変性ポリオレフィン及びポリウレタンが好ましい。
【0038】
上記ホットメルト接着剤の融点の下限としては、60℃が好ましく、70℃がより好ましい。一方、上記ホットメルト接着剤の融点の上限としては、140℃が好ましく、130℃がより好ましい。上記ホットメルト接着剤の融点が上記下限未満であると、手袋輸送時の高温環境下や熱いものを把持した場合等に接着剤層32が剥離し易くなるおそれがある。逆に、上記ホットメルト接着剤の融点が上記上限を超えると、接着時に液化する温度が高くなるため、被膜20が劣化するおそれがある。
【0039】
接着剤層32の平均厚さの下限としては、20μmが好ましく、30μmがより好ましい。一方、接着剤層32の平均厚さの上限としては、200μmが好ましく、100μmがより好ましい。接着剤層32の平均厚さが上記下限未満であると、手袋本体10との接着力が不足するおそれがある。逆に、接着剤層32の平均厚さが上記上限を超えると、当該手袋1の柔軟性が低下するおそれがある。
【0040】
接着剤層32は、
図2に示すように、手袋本体10に含浸しているが、手袋本体10の内面にまでは浸透していないことが好ましい。このように接着剤層32を手袋本体10に含浸させることで、接着力を高めることができる。一方、接着剤層32を手袋本体10の内面にまでは浸透させないことで、当該手袋1の装着感が低下することを抑止できる。なお、接着剤層32が手袋本体10に含浸している場合、接着剤層32の平均厚さには、この含浸部分も含まれる。
【0041】
<利点>
当該手袋1は、粘着剤層31により接着部30を被膜20と接着する。粘着剤層31は、被膜20に対する粘着力が高く、かつ仮に剥離したとしても再粘着するので被膜20と接着部30との間の接着を維持し易い。一方、当該手袋1では、粘着剤によっては接着し難い手袋本体10に対して、ホットメルト接着剤を用いて接着するので、手袋本体10と接着部30との接着力を高められる。従って、当該手袋1は、負荷、特にねじり負荷がかかっても手袋本体10と被膜20とが剥離し難い。
【0042】
また、本発明者は、接着剤層32が手袋本体10のヨレを防止する効果があることを知得している。さらに、本発明者は、粘着剤層31が強い粘着力を有するのは、粘着剤層31がゴム層又は樹脂層である被膜20と接着剤層32の間に存在して空気と接触しないため、ファンデルワールス力や大気圧による剥離を防止する力を享受しているからであると推察している。
【0043】
〔手袋の製造方法〕
図3に示す手袋の製造方法は、
図1及び
図2に示す繊維製の手袋本体10と、少なくとも手袋本体10の外面の一部を覆い、ゴム又は樹脂を主成分とする被膜20と、手袋本体10及び被膜20を接着する接着部30とを備える手袋1の製造方法である。当該手袋の製造方法は、粘着剤塗工乾燥工程S1と、接着剤塗工加熱工程S2と、重ね合わせ工程S3と、接着工程S4とを備える。
【0044】
<粘着剤塗工乾燥工程>
粘着剤塗工乾燥工程S1では、被膜20の内面に対して粘着剤組成物を塗工及び乾燥させる。具体的には、以下の手順による。なお、以下の手順では、塗工を浸漬により行う場合で説明するが、塗工は他の方法で行ってもよい。
【0045】
まず、用意された被膜20を裏返し、内面が外側となるように手型に被せる。このときの被膜20は、架橋状態であってもよいし、半架橋状態であってもよい。被膜20を半架橋状態として粘着剤に浸漬することで、粘着剤層31と被膜20との粘着力を高められる。また、被膜20を架橋状態とする場合は、被膜20のみの状態であっても別の手型、例えばテフロン(登録商標)加工型等の滑りの良い手型に被せることができる。その被膜20の上に粘着剤層31、ホットメルトの接着剤層32、手袋本体10を順に形成していく。そして、完成した手袋1を、裾から反転させることなく、そのまま手型上を滑らせるように指先から上方向に離型する。そして離型後に手袋1を反転させる。この場合、完成した当該手袋1を反転することなく手型から離型できるので、手袋本体10が厚い場合であっても製造が可能となる。
【0046】
被膜20を被せた手型は、予熱しておくことが好ましい。このように予熱しておくことで、浸漬後の粘着剤組成物の乾燥が促進され、粘着剤組成物が垂れることを抑止することができる。上記手型の予熱温度の下限としては、20℃が好ましく、25℃がより好ましい。一方、上記手型の予熱温度の上限としては、70℃が好ましく、60℃がより好ましい。上記手型の予熱温度が上記下限未満であると、粘着剤組成物の乾燥促進効果が十分に得られないおそれがある。逆に、上記手型の予熱温度が上記上限を超えると、粘着剤組成物に浸漬した際に粘着剤組成物が被膜20からはじかれ、粘着剤層31の形成が困難となるおそれがある。
【0047】
次に、上記手型を粘着剤組成物に浸漬する。ここで、粘着剤組成物は、粘着剤層31を形成するために必要な固形分を水で希釈した溶液である。
【0048】
上記粘着剤組成物における固形分の下限としては、20質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。一方、上記固形分の上限としては、60質量%が好ましく、50質量%がより好ましい。上記固形分が上記下限未満であると、粘着成分の量が不足し、粘着力が低下するおそれがある。逆に、上記固形分が上記上限を超えると、当該手袋1の柔軟性が低下するおそれがある。
【0049】
上記粘着剤組成物の液温は、20℃以上45℃以下が好ましい。上記粘着剤組成物の液温が上記下限未満であると、十分に乾燥できないおそれがある。逆に、上記粘着剤組成物の液温が上記上限を超えると、上記粘着剤組成物が劣化し、粘着剤層31が十分に機能しないおそれがある。なお、上記粘着剤組成物への浸漬時間は、上記粘着剤組成物の所望の付着量、粘着剤層31の所望の厚さなどから決定することができる。
【0050】
浸漬後に、上記粘着剤組成物を乾燥させ、水分を蒸発させる。乾燥させる条件としては、水分が蒸発する限り特に限定されないが、乾燥させる温度としては、25℃以上90℃以下が好ましく、乾燥させる時間としては、10分以上3時間以下が好ましい。
【0051】
上記粘着剤組成物を乾燥させた後、上記手型を冷却する。冷却は、自然冷却によって行ってもよいし、空冷又は水冷により行ってもよい。なお、水冷の場合は、余分な水は吹き飛ばす等して取り除かれる。冷却後の上記手型の温度としては、30℃以下が好ましい。冷却後の上記手型の温度を上記上限以下とすることで、接着剤塗工加熱工程S2でホットメルト接着剤が過剰付着することを抑止できる。
【0052】
<接着剤塗工加熱工程>
接着剤塗工加熱工程S2では、粘着剤塗工乾燥工程S1で形成された粘着剤層31の表面に対してホットメルト接着剤を塗工及び加熱する。具体的には、以下の手順による。なお、以下の手順では、塗工を付着により行い、加熱溶融する場合で説明するが、塗工を水系の接着剤への浸漬により行い、その後に乾燥及び加熱する方法としてもよい。
【0053】
接着剤塗工加熱工程S2では、まず粘着剤塗工乾燥工程S1で形成された粘着剤層31の表面にホットメルト接着剤を付着させる。
【0054】
上記ホットメルト接着剤を付着させる方法としては、流動浸漬、スプレーコート、溶融化浸漬等を挙げることができる。中でも接着剤層32を均質に制御し易い流動浸漬又はスプレーコートを用いることが好ましい。
【0055】
流動浸漬では、ホットメルトパウダーを粘着剤層31の表面に均一に薄く付着させる。その際に、手型表面や粘着剤層31表面に過剰に付着したパウダーは除去して均一化を図る。
【0056】
スプレーコートでは、ホットメルトパウダーを粘着剤層31の表面に均一に薄くスプレーする。その際に、手型表面や粘着剤層31表面に過剰付着したパウダーは除去して均一化を図る。
【0057】
上記パウダーの質量累計が90%となる粒径D90の下限としては、40μmが好ましく、50μmがより好ましい。一方、上記粒径D90の上限としては、200μmが好ましく、180μmがより好ましい。上記粒径D90が上記下限未満であると、接着剤層32の接着力が不足するおそれがある。逆に、上記粒径D90が上記上限を超えると、接着剤層32が厚くなり過ぎ、製造される手袋1の柔軟性が不足するおそれがある。
【0058】
次に、上記ホットメルト接着剤を加熱溶融させる。
【0059】
具体的には、上記パウダーを溶融させて、粘着剤層31表面に接着剤層32を形成する。このときの加熱温度は、パウダーの溶融温度以上とされるが、被膜20の劣化を回避するため、140℃以下とすることが好ましい。加熱時間としては、接着剤層32が形成されるに十分な時間とされるが、例えば10分間以上60分間以下とできる。
【0060】
その後、上記手型を冷却する。冷却は、自然冷却によって行ってもよいし、空冷又は水冷により行ってもよい。冷却後の上記手型の温度としては、30℃以下が好ましい。接着剤層32の温度を下げることで、接着剤層32の表面が滑り易くなり、手袋本体10を重ね合わせ易くすることができる。なお、冷却に要する時間は、生産性の観点から3分間以上40分間以下が好ましい。これにより、粘着剤層31と接着剤層32とが積層された接着部30が形成される。
【0061】
<重ね合わせ工程>
重ね合わせ工程S3では、接着剤塗工加熱工程S2後に、被膜20及び手袋本体10を重ね合わせる。
【0062】
具体的には、手袋本体10を裏返し、内面が外側となるようにして、上記手型の被膜20に接着部30を介して被せる。この時、位置調整しつつ、水洗により粘着剤層31のリーチングを行うとよい。水に濡れることで、手袋本体10と被膜20との間や、手袋本体10と接着部30との滑りが良くなり、位置調整を行い易い。
【0063】
その後、湯洗を行う。この湯洗により、手袋本体10を収縮させ、フィットし易くすることができる。また、上記湯洗は手袋本体10のリーチングを兼ねる。湯洗の条件としては、例えば60℃以上90℃以下で15秒間以上25秒間以下とできる。
【0064】
<接着工程>
接着工程S4では、重ね合わせ工程S3後に、被膜20及び手袋本体10を加熱により接着する。この加熱によりホットメルト接着剤が再液状化し、手袋本体10と粘着剤層31との間を接着する。また、重ね合わせ工程S3でのリーチングにより手袋本体10等に含まれる水分を蒸発させる。
【0065】
このときの加熱温度は、ホットメルト接着剤の溶融温度以上とされるが、被膜20の劣化を回避するため、上記加熱温度の上限としては、140℃が好ましく、130℃がより好ましい。加熱時間としては、15分間以上60分間以下が好ましい。上記加熱時間が上記下限未満であると、被膜20及び手袋本体10の接着が不十分となるおそれがある。逆に、上記加熱時間が上記上限を超えると、被膜20が劣化するおそれがある。また、ホットメルト接着剤が手袋本体10の内面側まで浸透してしまい、手袋1の装着感が低下するおそれがある。
【0066】
加熱を行った後は、ホットメルト接着剤が十分に固化するのを待って、手袋1を手型から反転離型する。必要に応じて裾部1cのカットやバイアステープの縫製を行う。このようにして手袋1を製造することができる。
【0067】
<利点>
当該手袋の製造方法では、粘着剤によっては接着し難い手袋本体10に対して、ホットメルト接着剤を用いて接着するので、手袋本体10と接着剤層32との接着力を高められる。従って、当該手袋の製造方法により製造された手袋1は、負荷、特にねじり負荷がかかっても剥離し難い。
【0068】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【0069】
上記実施形態では、手袋の接着部が粘着剤層及び接着剤層の2層で構成される場合を説明したが、粘着剤層と接着剤層との間に他の層を有してもよい。
【0070】
上記実施形態では、手袋本体及び被膜は、共に着用者の掌及び手の甲を覆うよう袋状に形成された場合を説明したが、被膜は少なくとも上記手袋本体の外面の一部を覆う限り、袋状に形成されている必要はない。
【実施例0071】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、当該発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0072】
[No.1]
ウーリーナイロン210dtexを用いて手袋本体を編成した。また、表1に示す配合量(固形分)を有するNRゴムラテックス配合物を用いて被膜を作製した。
【0073】
【0074】
上記手袋本体及び上記被膜を用いて、上述した手袋の製造方法に従って、No.1の手袋を作製した。
【0075】
粘着剤にはムサシノケミカル社製「NF13」(質量比で、ポリ(メタ)アクリル酸エステル:解重合NR=80:20)を用い、ホットメルト接着剤には、東洋インキ社製「PR D60C-P」(主成分:EVA、融点:100℃、粒子径D90:63μm)を用いた。接着部は、粘着剤層の平均厚さを33μm、接着剤層の平均厚さを63μmとした。
【0076】
[No.2]
接着部を粘着剤層のみとした以外は、No.1と同様にして、No.2の手袋を作製した。なお、粘着剤層の平均厚さは、No.1の接着部全体の平均厚さと同じとなるように90μmとした。
【0077】
[No.3]
接着部を接着剤層のみとした以外は、No.1と同様にして、No.3の手袋を作製した。なお、接着剤層の平均厚さは、No.1の接着部全体の平均厚さと同じとなるように92μmとした。
【0078】
[No.4]
No.4として、市販の手袋を準備した。この手袋は、手袋本体がウーリーナイロン210dtexを用いて編成されたものであり、被膜は、表1に示す配合量を有するゴムラテックス配合物を用いて作製されている。接着部は、粘着剤とNaClとで構成されており、このうちNaClはリーチングで溶解してなくなる。つまり、No.4の接着部は、粘着剤のみで構成される。粘着剤層に用いられている粘着剤は、ムサシノケミカル社製「NF13」であり、接着剤層の平均厚さは70μmである。
【0079】
[No.5]
粘着剤層をポリ(メタ)アクリル酸エステル100%の「AC100」とした以外は、No.1と同様にして、No.5の手袋を作製した。
【0080】
[No.6]
No.1と同様の手袋本体10に対して表2に示す配合量(固形分)を有するNBRゴムラテックス配合物を用いて被膜を作製した。
【0081】
【0082】
上記被膜を用いた以外は、No.5と同様にして、No.6の手袋を作製した。
【0083】
[評価]
No.1~No.6の手袋に対して、常態と、水に24時間浸漬した後との2つの場合について、ねじり試験及び剥離試験を実施した。
【0084】
<ねじり試験>
ねじり試験は、以下の手順で行った。各手袋から接着部を含む試験片(指先部、直径18mm)を切り出した。上記試験片を、耐水ペーパー(#1000のサンドペーパ)に接触させ(接触部位は直径10mm)、5kgの荷重をかけた。この状態で試験片をねじりながら擦り合わせた。具体的には、1方向に半周(180度)回転させた後、逆方向に半周回転させる。このときの回転速度は、40Hzとした。この1方向又は逆方向の半周回転単位を1回とカウントして、試験片の被膜と手袋本体との一部が剥離して、浮きが発生した回数を記録した。結果を表3に示す。
【0085】
<剥離強度>
剥離強度は、手袋本体と被膜との接着部分を含む幅10mm×長さ60mmの大きさの試験片を切り取り、この試験片を用いて、引張速度50mm/分、走行距離100mmで180度剥離試験を行った際に観測される荷重の複数の山のピークと複数の谷のピークとを平均した値を接着部分の平均幅で除した値である。なお、「接着部分の平均幅」とは、接着部分の試験片幅方向の平均長さである。結果を表3に示す。
【0086】
【0087】
表3で、接着部の「-」は、該当する層(粘着剤層又は接着剤層)を含まないことを意味する。ねじり試験の括弧書は、被膜と手袋本体との間に浮きが発生する前に、被膜が破壊したことを意味している。また、ねじり試験の「0回」は、試験前にすでに浮きが生じていたことを意味する。
【0088】
表3の結果から、接着部を、被膜と接する粘着剤層と、手袋本体と接し、ホットメルト接着剤から構成される接着剤層とを有する構成(No.1、No.5、No.6)とすることで、負荷、特にねじり負荷がかかっても手袋本体と被膜とが剥離し難い手袋とできることが分かる。
【0089】
また、被膜のゴムの成分がNRであるNo.1及びNo.5の手袋を比較すると、粘着剤にゴムの成分にNRが含まれるNo.1の手袋の方が、特に水浸漬後の条件においてねじり負荷がかかっても手袋本体と被膜とが剥離し難い手袋とできることが分かる。一方、粘着剤にゴムの成分がNBRである場合は、強粘着性アクリルのみの粘着剤であっても高い粘着力を得ることができることが分かる。
以上のように、本発明の手袋は、負荷、特にねじり負荷がかかっても手袋本体と被膜とが剥離し難い。また、本発明の手袋の製造方法は、負荷、特にねじり負荷がかかっても手袋本体と被膜とが剥離し難い手袋を製造することができる。