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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081110
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】噛合チェーン式昇降機
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/12 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
B66F7/12
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194818
(22)【出願日】2021-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(71)【出願人】
【識別番号】301054623
【氏名又は名称】有限会社 菊池製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】波場 將人
(57)【要約】
【課題】噛合チェーンの傾斜や座屈を抑制して噛合チェーンの押上げ荷重を昇降ストロークに無関係に維持することができると共に、動作の信頼性が高く、保守メンテナンスに係る作業負担を低減することのできる噛合チェーン式昇降機を提供すること。
【解決手段】本発明の噛合チェーン式昇降機100は、昇降体101を昇降自在に駆動する噛合チェーン120を支持するチェーンガイド機構130を備え、チェーンガイド機構130が、昇降体101が最下降位置に位置されているときの状態から噛合チェーン120が進行方向に所定量以上移動した際に、噛合チェーン120の移動に伴って昇降体101との相対位置関係を維持した状態で移動可能に構成された支持体131を備えた構成とされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降体と、前記昇降体の底面を支持して該昇降体を昇降自在に駆動する噛合チェーンとを備えた噛合チェーン式昇降機であって、
前記噛合チェーンは、一対のチェーン部材が進行方向に移動することで相互に噛み合って自立状態で一体に剛直化するとともに前記一対のチェーン部材が退行方向に移動することで相互に噛み外れて分岐自在となるように構成され、
前記噛合チェーンを支持するチェーンガイド機構を備え、
前記チェーンガイド機構は、前記昇降体が最下降位置に位置されているときの状態から前記噛合チェーンが進行方向に所定量以上移動した際に、前記噛合チェーンの移動に伴って前記昇降体との相対位置関係を維持した状態で移動可能に構成された支持体を備えることを特徴とする噛合チェーン式昇降機。
【請求項2】
前記支持体は、前記噛合チェーンと係合して前記噛合チェーンと一体に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の噛合チェーン式昇降機。
【請求項3】
前記噛合チェーンは、チェーン幅方向外方に突出する係合部を有し、
前記支持体は、チェーン幅方向両側において前記噛合チェーンを挟み込むよう位置されチェーン幅方向両側から前記噛合チェーンの移動をガイドする支持フレーム部を有し、
前記支持フレーム部は、前記噛合チェーンの移動に伴って前記係合部と係合する被係合部を有することを特徴とする請求項2に記載の噛合チェーン式昇降機。
【請求項4】
前記噛合チェーンにおける前記一対のチェーン部材は、前記噛合チェーンの進退移動方向に沿った直列方向へ順次に連結される複数のリンクプレートと、前記直列方向で端部同士が重なった状態で隣り合うリンクプレート同士を連結する連結ピンとを有し、
前記昇降体が上限高さ位置に上昇されたときに所定高さ位置に位置される連結ピンが前記チェーン幅方向外方に延在するように形成されることで前記係合部が構成されていることを特徴とする請求項3に記載の噛合チェーン式昇降機。
【請求項5】
前記一対のチェーン部材の対向方向における前記噛合チェーンの両側外方に、前記支持体を誘導案内する一対の支持体ガイドレールが互いに対向するように立設され、
前記一対のチェーン部材の対向方向における前記支持体の両端の各々に、高さ方向に並んで配置され前記支持体ガイドレールに沿って転動する複数のガイドローラが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の噛合チェーン式昇降機。
【請求項6】
前記支持体は、前記一対のチェーン部材の対向方向両側から前記噛合チェーンのローラに接触するように構成された支持ヘッド部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の噛合チェーン式昇降機。
【請求項7】
前記支持体を複数備えており、
前記複数の支持体は、前記昇降体が上限位置まで移動されたときに前記複数の支持体が高さ方向において所定間隔毎に位置されるように順次に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の噛合チェーン式昇降機。
【請求項8】
前記一対のチェーン部材を相互に噛み合わせた噛合方向における前記支持体によるガイド長さが、チェーンピッチの2つ分以上に相当する範囲の大きさであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の噛合チェーン式昇降機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噛合チェーンを用いて昇降体を移動させる噛合チェーン式昇降機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備など、あらゆる産業分野で昇降装置が用いられている。
この種の昇降装置としては、一対のチェーン部材が進行方向への移動に伴い相互に噛み合うことで一体に剛直化するとともに相互に噛み外れて分岐自在となるように構成された噛合チェーンを用いて昇降体を昇降移動させる噛合チェーン式昇降機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような噛合チェーン式昇降機では、噛合チェーンの進行方向側の端部が例えば重量物などの搬送対象が搭載される昇降体としての天板の底面中央部に連結され、スプロケット等の噛合チェーン駆動装置により噛合チェーンが駆動されることで天板が昇降移動するようになっている。このように、天板を噛合チェーンにより直接押し引きすることで、省エネルギーで高速・高頻度運転を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-234904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、噛合チェーン式昇降機では、噛合チェーンにより搬送対象の荷重を支持している。このため、一対のチェーン部材を相互に噛み合せて剛直化させる部分を長くして天板の昇降ストローク(揚程)を増大させると、噛合チェーンの傾きや座屈が発生し易くなる。噛合チェーンの傾きや座屈が発生すると、押上げ荷重が減少し、昇降動作を不安定にさせたり、チェーン耐久性を低下させたりする要因となる。
このように、噛合チェーン式昇降機の揚程は、噛合チェーンの座屈強度に依存しており、噛合チェーンのサイズや配置の自由度が制限されている。
【0006】
一方、噛合チェーンの傾きや座屈を抑制するべく、噛合チェーンの進退移動方向を伸縮方向にして伸縮自在な伸縮リンク機構にガイド部を設けることが行われている。
しかしながら、このような方法では、装置構造全体の複雑化、及び部品点数増大等に伴う装置製造コストの増大といった問題がある。
しかも、ガイド部は伸縮リンク機構によって可動されるため、長期間の使用により動作信頼性が低下するおそれがあり、保守メンテナンスの作業負担が増大するという問題もある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、その目的は、噛合チェーンの傾斜や座屈を抑制して噛合チェーンの押上げ荷重を昇降ストロークに無関係に維持することができると共に、動作の信頼性が高く、保守メンテナンスに係る作業負担を低減することのできる噛合チェーン式昇降機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、昇降体と、前記昇降体の底面を支持して該昇降体を昇降自在に駆動する噛合チェーンとを備えた噛合チェーン式昇降機であって、前記噛合チェーンは、一対のチェーン部材が進行方向に移動することで相互に噛み合って自立状態で一体に剛直化するとともに前記一対のチェーン部材が退行方向に移動することで相互に噛み外れて分岐自在となるように構成され、前記噛合チェーンを支持するチェーンガイド機構を備え、前記チェーンガイド機構は、前記昇降体が最下降位置に位置されているときの状態から前記噛合チェーンが進行方向に所定量以上移動した際に、前記噛合チェーンの移動に伴って前記昇降体との相対位置関係を維持した状態で移動可能に構成された支持体を備えた構成とすることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本請求項1に係る噛合チェーン式昇降機においては、所定高さ位置にて噛合チェーンを昇降自在に支持するチェーンガイド機構が、昇降体が最下降位置に位置されているときの状態から前記噛合チェーンが進行方向に所定量以上移動した際に、噛合チェーンの移動に伴って昇降体との相対位置関係を維持した状態で移動可能に構成された支持体を備えた構成とされる。従って、本請求項1に記載の構成によれば、昇降体の上昇時において昇降体の上昇動作を阻害することがなく、噛合チェーンをチェーンガイド機構によって支持することができる。このため、噛合チェーンの傾斜や座屈を抑制して噛合チェーンの押上げ荷重を昇降ストローク(揚程)に無関係に維持することができ、昇降ストロークを伸ばすことができる。
また、伸縮リンク機構などの可動部を設ける必要がないため、装置構造全体の複雑化、及び部品点数増大等に伴う装置製造コストの増大といった問題を回避することができるとともに、信頼性の高い動作が実現可能であり、保守メンテナンスに係る作業負担を低減することができる。
【0010】
本請求項2に記載の構成によれば、簡単な構造で、噛合チェーンの動きに追従させて噛合チェーンを支持することができる。
本請求項3に記載の構成によれば、一対のチェーン部材の対向方向だけでなく、チェーン幅方向においても噛合チェーンの傾きや座屈を抑制することが可能となり、より安定した昇降体の昇降動作を実現することができる。しかも、噛合チェーンの進行方向への移動によって噛合チェーンの係合部が支持体に設けられた被係合部に係合されるとともに噛合チェーンの退行方向への移動により最下降位置にて噛合チェーンと支持体との係合が解除されるので、構成が簡単であり、高い動作の信頼性を得ることができる。
本請求項4に記載の構成によれば、噛合チェーンの構成の大幅な変更や部品点数の増加を伴うことなく、所期の効果を得ることができる。
【0011】
本請求項5に記載の構成によれば、支持体の姿勢を規制しながら安定した動作を実現することができる。
本請求項6に記載の構成によれば、より円滑かつ安定的に噛合チェーンを進退移動方向に沿って移動するようにガイドすることができる。
本請求項7に記載の構成によれば、噛合チェーンの押上げ荷重さえ満足していれば、昇降ストロークの制限はなくなるため、昇降ストロークを伸ばすことができる。
本請求項8に記載の構成によれば、一対のチェーン部材を相互に噛み合わせた噛合方向における支持体によるガイド長さが、チェーンピッチの2つ分以上に相当する範囲の大きさであることにより、チェーン部材における可動部を含む領域を拘束することができるため、噛合チェーンに傾斜や座屈が生じることを確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の噛合チェーン式昇降機の一例における構成の概略を示す図である。
図2】噛合チェーンの一部を示す斜視図である。
図3】噛合チェーンを構成するチェーン部材の一部を示す分解斜視図である。
図4】チェーンガイド機構の上面図である。
図5】チェーンガイド機構による噛合チェーン支持部の構成を概略的に示す拡大図である。
図6】支持体の昇降動作を説明するための概略図である。
図7】本発明の噛合チェーン式昇降機の他の例における構成の概略を示す、一対のチェー部材の対向方向から見た図である。
図8】本発明の噛合チェーン式昇降機を用いた段差解消機の構成の概略を示す図である。
図9図8に示す段差解消機における昇降体駆動機構の構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の噛合チェーン式昇降機について、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の噛合チェーン式昇降機の一例における構成の概略を示す図である。
本実施形態の噛合チェーン式昇降機100は、重量物などの搬送対象が搭載される昇降体101と、昇降体101を昇降自在に駆動する昇降体駆動機構110と、昇降体101を誘導案内する一対の昇降体ガイドレール108とを備える。以下においては、便宜上、図1における左右方向をX方向、紙面に垂直な方向をY方向、図1における上下方向をZ方向とするXYZ三次元直交座標を定義して各部の構造を説明する。
【0015】
昇降体101は、例えば、XY平面に沿って延びる水平な搭載面を有する平面形状が矩形状の昇降テーブル102により構成される。
昇降テーブル102の底面におけるX方向両側部の各々には、ガイドローラブラケット103が設けられている。ガイドローラブラケット103は、YZ平面に沿って延びる垂直板状部を有し、垂直板状部の外面に、ガイドローラ104がX方向に延びる回転軸を中心に回転自在に設けられている。この実施形態においては、一対の昇降体ガイドレール108は、X方向に離間して互いに対向して立設されており、ガイドローラブラケット103には、2対4個のガイドローラ104が昇降体ガイドレール108をY方向から挟持した状態で昇降体ガイドレール108に沿って転動するように設けられている。これにより、昇降体101に生じがちな横揺れ及び縦揺れを防止して確実かつ安定した昇降動作が実現可能になっている。なお、ガイドローラ104の配置形態は、昇降体101の横揺れ及び縦揺れを防止する配置形態であれば、特に限定されるものではない。
【0016】
昇降体ガイドレール108は、XY平面による断面においてY方向両側部がV字形状をなすように構成され、ガイドローラ104は、回転軸を通る断面において転動面がV字形状を有するものであり、これにより確実かつ安定した昇降体101の昇降動作が実現可能となっている。
【0017】
昇降体駆動機構110は、昇降テーブル102の底面中央部を支持して昇降テーブル102を昇降自在に駆動する噛合チェーン120と、噛合チェーン120を昇降自在に駆動する駆動スプロケット111と、駆動スプロケット111に駆動力を供給する駆動モータ112とを備えている。
【0018】
噛合チェーン120は、一対のチェーン部材121A,121Bが進行方向に移動することで相互に噛み合って自立状態で一体に剛直化するとともに一対のチェーン部材121A,121Bが退行方向に移動することで相互に噛み外れて分岐自在となるように構成される。
一対のチェーン部材121A,121Bは、略U字状の走行経路に沿って進退移動可能に配置されている。走行経路は、X方向における昇降体ガイドレール108の外方位置及びX方向における中央位置においてZ方向に直線状に延びる垂直走行部と、チェーンケース117内においてX方向に直線状に延びる水平走行部とを有する。
【0019】
一対のチェーン部材121A,121Bの各々は、図2及び図3にも示すように、進退移動方向に沿った直列方向へ順次に連結される複数対のフック状内歯プレート122と、複数対のフック状外歯プレート125と、チェーン幅方向で対向する各対のフック状内歯プレート122間に組み付けられるブシュ123と、ブシュ123が回動自在に挿入されるローラ124と、直列方向で端部同士が重なって隣り合う各対のフック状内歯プレート122と各対のフック状外歯プレート125とをブシュ123に挿通された状態で回動自在に連結する連結ピン126とをそれぞれ有している。
本実施形態においては、噛合チェーン120を構成する一対のチェーン部材121A,121Bには、チェーン幅方向に3列の複列であるものが用いられ、チェーン幅方向の複列に亙ってそれぞれフック状、所謂、チャック状に多重かつ強固に噛み合うことで、噛合チェーン120のチェーン幅方向に生じがちな座屈を確実に抑制するようになっている。
【0020】
駆動スプロケット111は、図1に示すように、チェーンケース117内における一対のチェーン部材121A,121Bが相互に噛み合って自立状態で一体に剛直化した位置において、一方のチェーン部材121Aと噛み合うようにチェーン幅方向(Y方向)に延びる軸線を中心に正逆両方向に回転可能に設けられている。
【0021】
駆動モータ112は、例えば三相インダクションモータにより構成されるが、サーボモータにより構成されてもよい。
【0022】
而して、この噛合チェーン式昇降機100は、噛合チェーン120を支持するチェーンガイド機構130を備える。
【0023】
チェーンガイド機構130は、一対のチェーン部材121A,121Bの対向方向(X方向)に延びるよう配置された支持体131と、X方向における噛合チェーン120の両側外方において互いに対向するように立設され支持体131を誘導案内する一対の支持体ガイドレール140とを備える。
【0024】
支持体131は、図4及び図5に示すように、噛合チェーン120が通過可能な空間を形成するようにX方向に間隔を空けて配置された一対の基体部132と、基体部132におけるY方向両側に設けられ各々の基体部132を一体に連結する支持フレーム部135とを備える。支持フレーム部135は、噛合チェーン120を挟み込むよう位置されY方向両側から噛合チェーン120の移動をガイドするように構成され、これにより、X方向だけでなく、Y方向においても噛合チェーン120の傾きや座屈を抑制することが可能となり、より安定した昇降体101の昇降動作を実現することができるようになっている。
【0025】
各々の基体部132のX方向外方側端部には、支持体ガイドレール140に沿って転動する2つのガイドローラ145が高さ方向(Z方向)に並ぶように設けられている。ガイドローラ145を支持するブラケット146は、支持体131の移動時の振動及び噛合チェーン120の変形等を吸収する例えばコイルバネよりなる緩衝部材147を介して基体部132に取り付けられている。このような構成とされることにより、昇降テーブル102が設置面に対して平行状態を維持したまま円滑に昇降されるように、支持体131の姿勢を規制しながら安定した動作を実現することができるようになっている。
支持体ガイドレール140は、XY平面による断面においてガイドローラ145の接触するガイド面がV字形状をなすように構成され、ガイドローラ145は、Y方向に延びる回転軸を通る断面において転動面がV字形状を有するものであり、これにより確実かつ安定した支持体131の昇降動作が実現可能となっている。
各々の基体部132のX方向内方側端部には、X方向両側から噛合チェーン120のローラ124に接触するように構成された支持ヘッド部133が設けられている。
支持ヘッド部133は、例えば樹脂材料により構成され、噛合チェーン120のX方向両側に適合する形状を有する。
【0026】
支持体131は、昇降体101が最下降位置に位置された状態から噛合チェーン120が進行方向に所定量以上移動した際に、噛合チェーン120の移動に伴って昇降テーブル102との相対位置関係を維持した状態で移動可能に構成されている。昇降体101が最下降位置と所定高さ位置との間で昇降される際には、支持体131が最下降位置である待機位置に位置された状態が保持され、噛合チェーン120を摺動可能にガイドするようになっている。
噛合チェーン120を移動させたとき、噛合チェーン120の移動量が少ない状態であれば、噛合チェーン120の座屈や傾きが生ずることはないため、噛合チェーン120を支持体131によって常時支持させる必要はない。従って、昇降体101が最上昇位置に移動されたときに噛合チェーン120の高さ方向の適正位置が支持されるように支持体131を移動可能に構成することで、噛合チェーン120の移動に追従させて支持体131を移動させるための可動部は不要となる。このため、装置構造全体の複雑化、及び部品点数増大等に伴う装置製造コストの増大といった問題を回避することができるとともに、信頼性の高い動作が実現可能であり、保守メンテナンスに係る作業負担を低減することができるようになっている。
【0027】
本実施形態では、噛合チェーン120が進行方向に所定量以上移動した際に、支持体131が噛合チェーン120と係合し、これにより支持体131が噛合チェーン120と一体に移動可能に設けられている。
具体的に説明すると、噛合チェーン120がチェーン幅方向外方に突出する係合部127を有する構成とされ、支持フレーム部135が、噛合チェーン120の移動に伴って係合部127と係合する被係合部136を有する構成とされる。
噛合チェーン120の係合部127は、昇降体101が最上昇位置に上昇されたときに所定高さ位置に位置される連結ピンがチェーン幅方向外方に延在するように形成されることで構成されている。以下、この連結ピンを係合用連結ピン126Aという。また、支持フレーム部135の被係合部136は、噛合チェーン120の係合用連結ピン126Aを受容可能な凹溝137により構成されている。
【0028】
以上において、一対のチェーン部材121A,121Bを相互に噛み合わせた噛合方向(Z方向)におけるチェーンガイド機構130によるガイド長さLは、図5に示すように、チェーンピッチpの2つ分以上に相当する範囲の大きさであることが好ましい。このような構成であることにより、チェーン部材121A,121Bにおけるフック状内歯プレート122とフック状外歯プレート125との回動自在な連結部を含む領域を拘束して昇降体ガイドレール108に対して固定端と同等の状態を形成することができるため、噛合チェーン120に傾斜や座屈が生じることを確実に抑制することができる。
【0029】
この噛合チェーン式昇降機100においては、駆動モータ112を正転駆動して駆動スプロケット111を正転回転させると、各チェーン部材121A,121Bが進行方向へ移動し相互に噛み合って自立状態で一体に剛直化する。そして、噛合チェーン120がチェーンケース117から繰り出され昇降体101が噛合チェーン120によって底面側から押されることでZ方向上方に向かって移動される。
昇降体101が最下降位置に位置されているときの状態から噛合チェーン120が進行方向に所定量以上移動されると、図6に示すように、噛合チェーン120の移動に伴って係合用連結ピン126Aが支持体131の凹溝137に係合され、支持体131が昇降テーブル102との相対位置関係を維持した状態で噛合チェーン120と一体に移動される。これにより、座屈によるチェーン屈曲方向の横ひずみが矯正されるため、噛合チェーン120の傾斜や座屈を抑制して噛合チェーン120の押上げ荷重を昇降ストローク(揚程)に無関係に維持することが可能となる。従って、必要とされる揚程が大きい場合であっても、噛合チェーン120のサイズや配置の変更を伴うことなく安定した昇降動作が実現可能となる。
【0030】
一方、駆動モータ112を逆転駆動して駆動スプロケット111を逆転回転させると、噛合チェーン120がチェーンケース117に引き込まれ昇降体101が噛合チェーン120によって引っ張られることでZ方向下方に向かって移動される。
支持体131が最下降位置である待機位置まで移動されると、噛合チェーン120の移動に伴って噛合チェーン120の係合用連結ピン126Aと支持体131の凹溝137との係合が解除され、次の昇降体101の上昇動作に備えられる。
その後、噛合チェーン120が退行方向にさらに移動されることで、昇降体101が最下降位置まで移動される。
【0031】
以上、本発明の一実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0032】
上記実施形態においては、昇降体が最上昇位置に移動されたときに噛合チェーンを高さ方向の一箇所においてチェーンガイド機構により支持する構成とされているが、噛合チェーンを高さ方向における複数箇所で支持するように構成されていてもよい。
図7は、本発明の噛合チェーン式昇降機の他の例における構成の概略を示す、一対のチェー部材の対向方向から見た図である。
この噛合チェーン式昇降機におけるチェーンガイド機構は、昇降体101が最上昇位置まで移動されたときに高さ方向において所定間隔毎に位置されて噛合チェーン120を支持する第一支持体131A及び第二支持体131Bを備えている。支持体の数は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜変更することができる。
第一支持体131A及び第二支持体131Bの各々と係合する係合用連結ピン126Aは、互いに異なる長さを有するように構成される。本実施形態では、先行して移動される第一支持体131Aに係合する係合用連結ピン126Aが、後続の第二支持体131Bに係合する係合用連結ピン126Aより短くなるように構成されている。
この噛合チェーン式昇降機においては、噛合チェーン120の進行方向への移動により、係合用連結ピン126Aが第一支持体131A及び第二支持体131Bの各々に順次に係合され、第一支持体131A及び第二支持体131Bが順次に移動される。昇降体101の移動時には、昇降テーブル102と第一支持体131Aとの相対位置関係及び昇降テーブル102と第二支持体131Bとの相対位置関係は維持された状態とされる。
複数の支持体を備えた噛合チェーン式昇降機においては、噛合チェーン120の押上げ荷重さえ満足していれば、昇降ストロークの制限はなくなるため、昇降ストロークを伸ばすことが可能となる。
【0033】
また、上記実施形態においては、支持体における被係合部に対する係合部が連結ピンにより構成されているが、チェーン構成部材とは別個の部材を設けることで構成されていてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、支持体を噛合チェーンに係合させて支持体を噛合チェーンと一体に移動させる構成とされているが、支持体をワイヤーやロープなどの索条体によって昇降体に連結させて支持体を移動させるように構成されていてもよい。このような構成のものにおいては、昇降体が最下降位置に位置されているときに索条体が弛緩状態とされ、噛合チェーンが所定量移動して昇降体が所定高さ位置まで上昇されたときに索条体が緊張状態となることで支持体が昇降体から吊り下げられ、これにより、支持体を昇降テーブルとの相対位置関係を維持した状態で噛合チェーンと共に移動させることが可能である。
【0034】
また、本発明の噛合チェーン式昇降機は、搬送対象を搭載する昇降体を下部位置と上部位置との間で垂直搬送することが可能であれば、如何なる装置レイアウトであってもよい。
そして、本発明の噛合チェーン式昇降機で用いられる噛合チェーンは、一対のチェーン部材が相互に噛み合って自立状態で一体に剛直化するとともに相互に噛み外れて分岐自在となるように構成されたものであれば、その具体的なチェーン形態は如何なるものであってもよい。例えば、チェーン幅方向に1列の単列であるもの、チェーン幅方向に2列以上の複列であるものなど何れであっても構わない。さらにまた、昇降体を昇降自在に駆動するチェーンとしては、直線姿勢から一方側のみに屈曲して屈曲姿勢となるノーバックベンドチェーンを複数組み合わせることで柱状の剛体をなすように構成されるものを用いてもよい。
【0035】
以下、本発明の噛合チェーン式昇降機を段差解消機に適用した実施例について説明する。
【0036】
図8は、本発明の噛合チェーン式昇降機を用いた段差解消機の構成の概略を示す図、図9は、図8に示す段差解消機における昇降体駆動機構の構成を示す上面図である。
この段差解消機は、住宅内の階下と階上とを連通する昇降路内を昇降移動し例えば利用者が車椅子で乗ることが可能に構成された昇降体101としてのかご105を備え、かご105の昇降装置として噛合チェーン式昇降機100が用いられている。
この段差解消機においては、下層階例えば1階のフロアレベルFL1から上層階例えば2階のフロアアレベルFL2までの揚程Hの略中間レベルにて、噛合チェーン120がチェーンガイド機構130によって支持されるように構成されている。
かご105の底面に設けられたガイドローラブラケット103には、例えば減速リミットスイッチ(図示せず)や停止リミットスイッチ(図示せず)などが設けられ、安定した昇降動作をより安全に実現できるようになっている。
また、昇降体駆動機構110を構成する駆動モータ112としては、ブレーキ付のものが用いられ、図9に示すように、ブレーキ開放レバー113及び手動降ろし機構114が設けられることで、停電時などの非常時においても、かご105を手動で昇降させることが可能に構成されている。このため、停電等の非常時にかご105内に閉じ込められることがなく高い安全性が得られる。なお、図9における115は、かご105の位置を検出するために、駆動モータ112の駆動軸の回転数を検出するエンコーダーである。
【0037】
本発明の噛合チェーン式昇降機は、段差解消機の昇降装置として有用なものであるが、段差解消機の昇降装置としてだけでなく、上述のように、各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備などにおける昇降装置として利用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0038】
100 ・・・ 噛合チェーン式昇降機
101 ・・・ 昇降体
102 ・・・ 昇降テーブル
103 ・・・ ガイドローラブラケット
104 ・・・ ガイドローラ
105 ・・・ かご
108 ・・・ 昇降体ガイドレール
110 ・・・ 昇降体駆動機構
111 ・・・ 駆動スプロケット
112 ・・・ 駆動モータ
113 ・・・ ブレーキ開放レバー
114 ・・・ 手動降ろし機構
115 ・・・ エンコーダー
117 ・・・ チェーンケース
120 ・・・ 噛合チェーン
121A ・・・ チェーン部材
121B ・・・ チェーン部材
122 ・・・ フック状内歯プレート
123 ・・・ ブシュ
124 ・・・ ローラ
125 ・・・ フック状外歯プレート
126 ・・・ 連結ピン
126A ・・・ 係合用連結ピン
127 ・・・ 係合部
130 ・・・ チェーンガイド機構
131 ・・・ 支持体
131A ・・・ 第一支持体
131B ・・・ 第二支持体
132 ・・・ 基体部
133 ・・・ 支持ヘッド部
135 ・・・ 支持フレーム部
136 ・・・ 被係合部
137 ・・・ 凹溝
140 ・・・ 支持体ガイドレール
145 ・・・ ガイドローラ
146 ・・・ ブラケット
147 ・・・ 緩衝部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降体と、前記昇降体の底面を支持して該昇降体を昇降自在に駆動する噛合チェーンとを備えた噛合チェーン式昇降機であって、
前記噛合チェーンは、一対のチェーン部材が進行方向に移動することで相互に噛み合って自立状態で一体に剛直化するとともに前記一対のチェーン部材が退行方向に移動することで相互に噛み外れて分岐自在となるように構成され、
前記噛合チェーンを支持するチェーンガイド機構を備え、
前記チェーンガイド機構は、前記昇降体が最下降位置に位置されているときの状態から前記噛合チェーンが進行方向に所定量以上移動した際に、前記噛合チェーンの移動に伴って前記昇降体との相対位置関係を維持した状態で移動可能に構成された支持体を備え、
前記支持体は、前記噛合チェーンと係合して前記噛合チェーンと一体に移動可能に設けられ、
前記噛合チェーンは、チェーン幅方向外方に突出する係合部を有し、
前記支持体は、チェーン幅方向両側において前記噛合チェーンを挟み込むよう位置されチェーン幅方向両側から前記噛合チェーンの移動をガイドする支持フレーム部を有し、
前記支持フレーム部は、前記噛合チェーンの移動に伴って前記係合部と係合する被係合部を有することを特徴とする噛合チェーン式昇降機。
【請求項2】
前記噛合チェーンにおける前記一対のチェーン部材は、前記噛合チェーンの進退移動方向に沿った直列方向へ順次に連結される複数のリンクプレートと、前記直列方向で端部同士が重なった状態で隣り合うリンクプレート同士を連結する連結ピンとを有し、
前記昇降体が上限高さ位置に上昇されたときに所定高さ位置に位置される連結ピンが前記チェーン幅方向外方に延在するように形成されることで前記係合部が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の噛合チェーン式昇降機。
【請求項3】
前記一対のチェーン部材の対向方向における前記噛合チェーンの両側外方に、前記支持体を誘導案内する一対の支持体ガイドレールが互いに対向するように立設され、
前記一対のチェーン部材の対向方向における前記支持体の両端の各々に、高さ方向に並んで配置され前記支持体ガイドレールに沿って転動する複数のガイドローラが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の噛合チェーン式昇降機。
【請求項4】
前記支持体は、前記一対のチェーン部材の対向方向両側から前記噛合チェーンのローラに接触するように構成された支持ヘッド部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の噛合チェーン式昇降機。
【請求項5】
前記支持体を複数備えており、
前記複数の支持体は、前記昇降体が上限位置まで移動されたときに前記複数の支持体が高さ方向において所定間隔毎に位置されるように順次に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の噛合チェーン式昇降機。
【請求項6】
前記一対のチェーン部材を相互に噛み合わせた噛合方向における前記支持体によるガイド長さが、チェーンピッチの2つ分以上に相当する範囲の大きさであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の噛合チェーン式昇降機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は昇降体と、前記昇降体の底面を支持して該昇降体を昇降自在に駆動する噛合チェーンとを備えた噛合チェーン式昇降機であって、前記噛合チェーンは、一対のチェーン部材が進行方向に移動することで相互に噛み合って自立状態で一体に剛直化するとともに前記一対のチェーン部材が退行方向に移動することで相互に噛み外れて分岐自在となるように構成され、前記噛合チェーンを支持するチェーンガイド機構を備え、前記チェーンガイド機構は、前記昇降体が最下降位置に位置されているときの状態から前記噛合チェーンが進行方向に所定量以上移動した際に、前記噛合チェーンの移動に伴って前記昇降体との相対位置関係を維持した状態で移動可能に構成された支持体を備え、前記支持体は、前記噛合チェーンと係合して前記噛合チェーンと一体に移動可能に設けられ、前記噛合チェーンは、チェーン幅方向外方に突出する係合部を有し、前記支持体は、チェーン幅方向両側において前記噛合チェーンを挟み込むよう位置されチェーン幅方向両側から前記噛合チェーンの移動をガイドする支持フレーム部を有し、前記支持フレーム部は、前記噛合チェーンの移動に伴って前記係合部と係合する被係合部を有する構成とすることにより、前記課題を解決するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、本請求項1に記載の構成によれば、簡単な構造で、噛合チェーンの動きに追従させて噛合チェーンを支持することができる。
さらにまた、本請求項1に記載の構成によれば、一対のチェーン部材の対向方向だけでなく、チェーン幅方向においても噛合チェーンの傾きや座屈を抑制することが可能となり、より安定した昇降体の昇降動作を実現することができる。しかも、噛合チェーンの進行方向への移動によって噛合チェーンの係合部が支持体に設けられた被係合部に係合されるとともに噛合チェーンの退行方向への移動により最下降位置にて噛合チェーンと支持体との係合が解除されるので、構成が簡単であり、高い動作の信頼性を得ることができる。
本請求項2に記載の構成によれば、噛合チェーンの構成の大幅な変更や部品点数の増加を伴うことなく、所期の効果を得ることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本請求項3に記載の構成によれば、支持体の姿勢を規制しながら安定した動作を実現することができる。
本請求項4に記載の構成によれば、より円滑かつ安定的に噛合チェーンを進退移動方向に沿って移動するようにガイドすることができる。
本請求項5に記載の構成によれば、噛合チェーンの押上げ荷重さえ満足していれば、昇降ストロークの制限はなくなるため、昇降ストロークを伸ばすことができる。
本請求項6に記載の構成によれば、一対のチェーン部材を相互に噛み合わせた噛合方向における支持体によるガイド長さが、チェーンピッチの2つ分以上に相当する範囲の大きさであることにより、チェーン部材における可動部を含む領域を拘束することができるため、噛合チェーンに傾斜や座屈が生じることを確実に抑制することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
図1】本発明の噛合チェーン式昇降機の一例における構成の概略を示す図である。
図2】噛合チェーンの一部を示す斜視図である。
図3】噛合チェーンを構成するチェーン部材の一部を示す分解斜視図である。
図4】チェーンガイド機構の上面図である。
図5】チェーンガイド機構による噛合チェーン支持部の構成を概略的に示す拡大図である。
図6】支持体の昇降動作を説明するための概略図である。
図7】本発明の噛合チェーン式昇降機の他の例における構成の概略を示す、一対のチェーン部材の対向方向から見た図である。
図8】本発明の噛合チェーン式昇降機を用いた段差解消機の構成の概略を示す図である。
図9図8に示す段差解消機における昇降体駆動機構の構成を示す上面図である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
上記実施形態においては、昇降体が最上昇位置に移動されたときに噛合チェーンを高さ方向の一箇所においてチェーンガイド機構により支持する構成とされているが、噛合チェーンを高さ方向における複数箇所で支持するように構成されていてもよい。
図7は、本発明の噛合チェーン式昇降機の他の例における構成の概略を示す、一対のチェーン部材の対向方向から見た図である。
この噛合チェーン式昇降機におけるチェーンガイド機構は、昇降体101が最上昇位置まで移動されたときに高さ方向において所定間隔毎に位置されて噛合チェーン120を支持する第一支持体131A及び第二支持体131Bを備えている。支持体の数は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜変更することができる。
第一支持体131A及び第二支持体131Bの各々と係合する係合用連結ピン126Aは、互いに異なる長さを有するように構成される。本実施形態では、先行して移動される第一支持体131Aに係合する係合用連結ピン126Aが、後続の第二支持体131Bに係合する係合用連結ピン126Aより短くなるように構成されている。
この噛合チェーン式昇降機においては、噛合チェーン120の進行方向への移動により、係合用連結ピン126Aが第一支持体131A及び第二支持体131Bの各々に順次に係合され、第一支持体131A及び第二支持体131Bが順次に移動される。昇降体101の移動時には、昇降テーブル102と第一支持体131Aとの相対位置関係及び昇降テーブル102と第二支持体131Bとの相対位置関係は維持された状態とされる。
複数の支持体を備えた噛合チェーン式昇降機においては、噛合チェーン120の押上げ荷重さえ満足していれば、昇降ストロークの制限はなくなるため、昇降ストロークを伸ばすことが可能となる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
図8は、本発明の噛合チェーン式昇降機を用いた段差解消機の構成の概略を示す図、図9は、図8に示す段差解消機における昇降体駆動機構の構成を示す上面図である。
この段差解消機は、住宅内の階下と階上とを連通する昇降路内を昇降移動し例えば利用者が車椅子で乗ることが可能に構成された昇降体101としてのかご105を備え、かご105の昇降装置として噛合チェーン式昇降機100が用いられている。
この段差解消機においては、下層階例えば1階のフロアレベルFL1から上層階例えば2階のフロアレベルFL2までの揚程Hの略中間レベルにて、噛合チェーン120がチェーンガイド機構130によって支持されるように構成されている。
かご105の底面に設けられたガイドローラブラケット103には、例えば減速リミットスイッチ(図示せず)や停止リミットスイッチ(図示せず)などが設けられ、安定した昇降動作をより安全に実現できるようになっている。
また、昇降体駆動機構110を構成する駆動モータ112としては、ブレーキ付のものが用いられ、図9に示すように、ブレーキ開放レバー113及び手動降ろし機構114が設けられることで、停電時などの非常時においても、かご105を手動で昇降させることが可能に構成されている。このため、停電等の非常時にかご105内に閉じ込められることがなく高い安全性が得られる。なお、図9における115は、かご105の位置を検出するために、駆動モータ112の駆動軸の回転数を検出するエンコーダーである。