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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081125
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】照明システム、照明装置及び照明方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20230602BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20230602BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20230602BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20230602BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20230602BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230602BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230602BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20230602BHJP
   F21V 21/02 20060101ALI20230602BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230602BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B45/10
H05B45/20
H05B47/16
H05B47/165
F21S2/00 621
F21S2/00 622
F21V23/00 140
F21S8/04 320
F21V21/02 100
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194841
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 健二
(72)【発明者】
【氏名】上野 康晴
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K273PA05
3K273PA07
3K273QA01
3K273RA08
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA08
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA46
3K273UA27
3K273UA29
3K273VA08
(57)【要約】
【課題】従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる照明システムを提供する。
【解決手段】照明システムA1は、第1のLEDモジュールと、第2のLEDモジュールと、駆動装置と、制御装置と、支持装置4と、を備える。第1の光源は、被照射面S10に複数色の第1の光を照射する。第2の光源は、被照射面S10に複数色の第2の光を照射する。駆動装置は、第1の光源及び第2の光源を駆動する。制御装置は、駆動装置を制御して第1の光及び第2の光を各別に調色及び調光する。支持装置4は、第1の光源及び第2の光源を支持する。支持装置4は、被照射面S10において、第1の光が照射される第1照射範囲の一部と第2の光が照射される第2照射範囲の一部が重なるように第1のLEDモジュール及び第2のLEDモジュールを支持する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射面に複数色の第1の光を照射する第1の光源と、
前記被照射面に複数色の第2の光を照射する第2の光源と、
前記第1の光源及び前記第2の光源を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置を制御して前記第1の光及び前記第2の光を各別に調色及び調光する制御装置と、
前記第1の光源及び前記第2の光源を支持する支持装置と、
を備え、
前記支持装置は、前記被照射面において、前記第1の光が照射される第1照射範囲の一部と前記第2の光が照射される第2照射範囲の一部が重なるように前記第1の光源及び前記第2の光源を支持する、
照明システム。
【請求項2】
前記支持装置は、前記第1照射範囲において照度が最大となる第1ピーク領域と、前記第2照射範囲において照度が最大となる第2ピーク領域と、が重ならないように前記第1の光源及び前記第2の光源を支持する、
請求項1記載の照明システム。
【請求項3】
前記支持装置は、前記第1照射範囲において照度が最大値の半分以上となる第1半値領域と、前記第2照射範囲において照度が最大値の半分以上となる第2半値領域と、が重ならないように前記第1の光源及び前記第2の光源を支持する、
請求項1記載の照明システム。
【請求項4】
前記第1の光源は、互いに光源色が異なる複数の発光素子を有し、
前記第2の光源は、互いに光源色が異なる複数の発光素子を有する、
請求項1-3のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記第1の光源が有する前記複数の発光素子の少なくとも一部の発光素子の光源色は、前記第2の光源が有する前記複数の発光素子の光源色と異なる、
請求項4記載の照明システム。
【請求項6】
前記第1の光の配光を制御する第1の配光制御部材と、
前記第2の光の配光を制御する第2の配光制御部材と、
を更に備え、
前記第1の配光制御部材及び前記第2の配光制御部材はそれぞれ、前記被照射面において前記第1照射範囲と前記第2照射範囲が重なる方向に沿って前記第1の光及び前記第2の光を集光するように構成される、
請求項1-5のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項7】
前記第1の配光制御部材及び前記第2の配光制御部材はそれぞれ、前記被照射面において前記第1照射範囲と前記第2照射範囲が重なる方向と交差する方向に沿って前記第1の光及び前記第2の光を拡散するように構成される、
請求項6記載の照明システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記駆動装置を制御して、前記第1の光の色及び前記第2の光の色が時間経過に伴って変化するように調色する、
請求項1-7のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項9】
請求項1-8のいずれかの照明システムに用いられ、
被照射面に複数色の光を照射する光源と、
前記光の配光を制御する配光制御部材と、
前記光源と前記配光制御部材を保持する筐体と、
を備える、
照明装置。
【請求項10】
第1の光源から被照射面に複数色の第1の光を照射し、かつ、第2の光源から前記被照射面に複数色の第2の光を照射し、
前記被照射面において、前記第1の光が照射される第1照射範囲の一部と前記第2の光が照射される第2照射範囲の一部を重ねる、
照明方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明システム、照明装置及び照明方法に関し、より詳細には、演出用の照明を行うための照明システム、照明装置及び照明方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の照明装置を例示する。特許文献1記載の照明装置(以下、従来例という。)は、ホリゾントライトと呼ばれる演出照明用の照明装置である。ホリゾントライトとは、テレビ局のスタジオや舞台などの背景壁面を照明する用途に用いられる照明装置である。
【0003】
従来例は、それぞれ白色光を放射する第1の光源と第2の光源を備えている。第2の光源の光は背景壁面の上方に照射され、かつ、第2の光源の配光特性(第2配光特性)は相対的に平坦になっている。一方、第1の光源の光は、背景壁面において第2の光源の光よりも下方に照射される。さらに、第1の光源の配光特性(第1配光特性)は、周囲よりも照度の高い領域(いわゆる光だまり)を形成するような配光特性となっている。
【0004】
したがって、従来例における全体の配光特性は、背景壁面の下方に光溜(だ)まりを形成しつつ、背景壁面の上方に向かって徐々に照度が低下していくような伸びのある配光特性となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-127380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年ではテレビ局のスタジオ及び舞台以外の場所でも演出用の照明が行われるようになっており、演出用の照明のニーズがますます増加する傾向にある。しかしながら、従来例のように単色(白色)の光のみでは多様な演出用の照明を行うことが困難であった。
【0007】
本開示の目的は、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる照明システム、照明装置及び照明方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る照明システムは、第1の光源と、第2の光源と、駆動装置と、制御装置と、支持装置と、を備える。前記第1の光源は、被照射面に複数色の第1の光を照射する。前記第2の光源は、前記被照射面に複数色の第2の光を照射する。前記駆動装置は、前記第1の光源及び前記第2の光源を駆動する。前記制御装置は、前記駆動装置を制御して前記第1の光及び前記第2の光を各別に調色及び調光する。前記支持装置は、前記第1の光源及び前記第2の光源を支持する。前記支持装置は、前記被照射面において、前記第1の光が照射される第1照射範囲の一部と前記第2の光が照射される第2照射範囲の一部が重なるように前記第1の光源及び前記第2の光源を支持する。
【0009】
本開示の一態様に係る照明装置は、照明システムに用いられ、被照射面に複数色の光を照射する光源と、前記光の配光を制御する配光制御部材と、前記光源と前記配光制御部材を保持する筐体と、を備える。
【0010】
本開示の一態様に係る照明方法は、第1の光源から被照射面に複数色の第1の光を照射し、かつ、第2の光源から前記被照射面に複数色の第2の光を照射し、前記被照射面において、前記第1の光が照射される第1照射範囲の一部と前記第2の光が照射される第2照射範囲の一部を重ねる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の照明システム、照明装置及び照明方法は、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の実施形態に係る照明システムの使用状態を示す側面図である。
図2図2は、同上の照明システムの回路ブロック図である。
図3図3Aは、同上の照明システムによって照明される被照射面の正面図である。図3Bは、同上の被照射面における照度分布を示す図である。
図4図4は、同上の照明システムにおける第1の照明装置の斜視図である。
図5図5は、同上の照明システムにおける第1の照明装置の分解斜視図である。
図6図6は、同上の照明システムにおける第2のレンズユニットの正面図である。
図7図7は、同上の照明システムの動作を説明するための色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態に係る照明システム、照明装置及び照明方法について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(1)概要
実施形態に係る照明システムA1は、第1の光源(第1のLEDモジュールC1)と、第2の光源(第2のLEDモジュールC2)と、駆動装置2と、制御装置3と、支持装置4と、を備える(図1及び図2参照)。
【0015】
第1のLEDモジュールC1は、被照射面S10に複数色の第1の光を照射する(図1参照)。第2のLEDモジュールC2は、被照射面S10に複数色の第2の光を照射する。駆動装置2は、第1のLEDモジュールC1及び第2のLEDモジュールC2を駆動する。制御装置3は、駆動装置2を制御して第1の光及び第2の光を各別に調色及び調光する。支持装置4は、第1のLEDモジュールC1及び第2のLEDモジュールC2を支持する(図1参照)。
【0016】
支持装置4は、被照射面S10において、第1の光が照射される第1照射範囲S11の一部と第2の光が照射される第2照射範囲S12の一部が重なるように第1のLEDモジュールC1及び第2のLEDモジュールC2を支持する(図3B参照)。
【0017】
実施形態に係る照明システムA1は、例えば、鉄道車両の客車の内壁面、宿泊施設の客室の壁面、商業施設の通路の壁面、その他の不特定多数の人の目に触れる機会が多い場所の壁面、あるいはそれらの天井面などの被照射面S10に対して演出用の照明を行う用途に用いられる。実施形態に係る照明システムA1が行う照明は、単なる間接照明ではなく、複数色の第1の光及び第2の光を被照射面S10に照射することによって、被照射面S10を含む空間を快適な空間に演出するための照明である。
【0018】
ここで、実施形態における第1の光源(第1のLEDモジュールC1)及び第2の光源(第2のLEDモジュールC2)はそれぞれ、複数色の光、つまり、複数の光源色の光(第1の光及び第2の光)を被照射面S10に照射可能である。例えば、第1のLEDモジュールC1及び第2のLEDモジュールC2はそれぞれ、光源色の異なる複数種類のLEDを有し、それら複数種類のLEDの光量が個別に調整(調光)されることによって複数色の光(第1の光及び第2の光)を放射することができる。
【0019】
しかして、実施形態に係る照明システムA1は、上記構成により、被照射面S10において、第1の光から第2の光(あるいは、第2の光から第1の光)へ徐々に光色(光源色)及び光量を変化させることにより、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる。なお、実施形態に係る照明システムA1は、壁面である被照射面S10を斜め上方から照明する場合を例示しているが、これに限定されず、例えば、壁面である被照射面S10を斜め下方から照明してもよいし、あるいは、天井面を被照射面として下方から照明しても構わない。
【0020】
また、実施形態に係る照明装置は、第1のLEDモジュールC1を備える第1の照明装置B1、及び、第2のLEDモジュールC2を備える第2の照明装置B2である(図1参照)。
【0021】
第1の照明装置B1は、第1のLEDモジュールC1と、第1の光の配光を制御する配光制御部材(第1のレンズユニットL1)と、第1のLEDモジュールC1と第1のレンズユニットL1を保持する筐体10Aと、を備える。
【0022】
同様に、第2の照明装置B2は、第2のLEDモジュールC2と、第2の光の配光を制御する配光制御部材(第2のレンズユニットL2)と、第2のLEDモジュールC2と第2のレンズユニットL2を保持する筐体10Bと、を備える。
【0023】
しかして、実施形態に係る照明装置(第1の照明装置B1;第2の照明装置B2)は、実施形態に係る照明システムA1に用いられ、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる。
【0024】
さらに、実施形態に係る照明方法は、第1のLEDモジュールC1から被照射面S10に複数色の第1の光を照射し、かつ、第2のLEDモジュールC2から被照射面S10に複数色の第2の光を照射する。実施形態に係る照明方法は、被照射面S10において、第1の光が照射される第1照射範囲S11の一部と第2の光が照射される第2照射範囲S12の一部を重ねる。
【0025】
しかして、実施形態に係る照明方法は、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる。
【0026】
(2)詳細
実施形態に係る照明システムA1(以下、照明システムA1と略す。)は、図1に示すように、第1の照明装置B1と、第2の照明装置B2と、第1の照明装置B1及び第2の照明装置B2を支持する支持装置4と、を備えている。また、第1の照明装置B1は、第1のLEDモジュールC1を備え、第2の照明装置B2は、第2のLEDモジュールC2を備えている。さらに、照明システムA1は、第1のLEDモジュールC1及び第2のLEDモジュールC2を駆動する駆動装置2と、駆動装置2を制御する制御装置3と、を備えている(図2参照)。
【0027】
(2-1)照明装置
第1の照明装置B1と第2の照明装置B2の基本的な構成は共通である。第1の照明装置B1は、2つの第1のLEDモジュールC1と、2つの第1のレンズユニットL1と、2つの第1のLEDモジュールC1を収容する筐体10Aと、複数の遮光板11と、を備える(図4図5参照)。また、第2の照明装置B2は、2つの第2のLEDモジュールC2と、2つの第2のレンズユニットL2と、2つの第2のLEDモジュールC2を収容する筐体10Bと、複数の遮光板11と、を備える(図1参照)。
【0028】
2つの第1のLEDモジュールC1は、それぞれ長方形状の2枚の基板13と、各基板13の表面に実装された複数個(図示例では12個)のLED12と、を有している(図5参照)。また、2つの第2のLEDモジュールC2は、第1のLEDモジュールC1と同様に、それぞれ長方形状の2枚の基板と、各基板の表面に実装された12個のLEDと、を有している。ただし、1枚の基板13に実装されるLED12の個数は12個に限定されない。また、各LED12は、表面実装型(パッケージ型)のLEDであるが、COB(Chip on Board)型のLEDであっても構わない。
【0029】
ここで、第1のLEDモジュールC1及び第2のLEDモジュールC2は、それぞれ4色のLED12を3個ずつ有している。4色の組合せは、例えば、光の3原色(赤色、緑色、青色)と白色の組合せ、又は、紫色、青緑色(シアン)、琥珀色(アンバー)、水色の組合せ、あるいは、深い赤色、ミントグリーン色、水色、琥珀色の組合せ、などが好ましい。ただし、第1のLEDモジュールC1の4色の組合せと第2のLEDモジュールC2の4色の組合せは、互いに異なることが好ましい。なお、第1のLEDモジュールC1及び第2のLEDモジュールC2は、それぞれ3色以下又は5色以上のLED12を1~2個又は4個以上有しても構わない。また、4色の組合せは、上述した組合せ以外の組合せであっても構わない。4色のLED12は、基板13の長手方向に沿って、各色のLED12が同じ順序で1列に並ぶように実装されることが好ましい。
【0030】
筐体10A及び筐体10Bは、例えば、アルミダイカストによって、前面が開口した長尺の箱状に形成されている。ただし、筐体10A及び筐体10Bは、アルミ以外の金属、合成樹脂、又はセラミックスで形成されても構わない。
【0031】
2つの第1のLEDモジュールC1は、筐体10Aの長手方向に沿って筐体10Aの底に1列に並ぶように収容される(図5参照)。2つの第2のLEDモジュールC2は、第1のLEDモジュールC1と同様に、筐体10Bの長手方向に沿って筐体10Bの底に1列に並ぶように収容される。
【0032】
2つの第1のレンズユニットL1は、筐体10Aの前面の開口を塞ぐように筐体10Aに取り付けられる(図4及び図5参照)。第1のレンズユニットL1は、12個のレンズ14Aと、それら12個のレンズ14Aを1列に並べて支持する支持部15Aと、一対の遮光カバー16と、を有している(図4及び図5参照)。12個のレンズ14Aはそれぞれ、1列に並ぶように支持部15Aに支持される。なお、12個のレンズ14Aと支持部15Aは、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって一体に形成されている。
【0033】
各レンズ14Aは、第1のレンズユニットL1の長手方向に沿って光を拡散し、第1のレンズユニットL1の短手方向に沿って光を集光するように構成されている。なお、12個のレンズ14Aは、第1のレンズユニットL1が筐体10Aに取り付けられた状態において、基板13に実装されている12個のLED12と一対一で対向する。つまり、1個のレンズ14Aは、対向する1個のLED12から放射される光を集光及び拡散する。
【0034】
なお、第2のレンズユニットL2の構造は、遮光カバー16を有しない点を除いて、第1のレンズユニットL1の構造と共通であるから詳細な説明を省略する(図6参照)。
【0035】
(2-2)支持装置
支持装置4は、台座40と、二対の取付板41と、を有する(図1参照)。台座40は、金属材料によって3角柱状に形成されている。二対の取付板41は、それぞれ金属板によって長方形状に形成されている。二対の取付板41の長手方向の一端部が、台座40の2つの底面400に2つずつ固定(ねじ止め)される。そして、各取付板41の長手方向の他端部が台座40の底面400と平行に台座40から突出している(図1参照)。
【0036】
二対の取付板41の他端部に、第1の照明装置B1の筐体10A及び第2の照明装置B2の筐体10Bのそれぞれの長手方向の両端部がねじ止めによって取り付けられる。つまり、筐体10A及び筐体10Bは、それぞれ一対の取付板41によって台座40に固定される。ただし、筐体10A及び筐体10Bは、一対の取付板41に対して、筐体10A及び筐体10Bの軸回りに回転可能に取り付けられても構わない。
【0037】
支持装置4は、例えば、建物の天井面S40において、壁面(被照射面S10)と近い位置にねじ止めなどの適宜の方法で台座40が固定されて設置される。ただし、支持装置4は、二対の取付板41に取り付けられた第1の照明装置B1及び第2の照明装置B2を壁面に対向させるように設置される(図1参照)。
【0038】
(2-3)駆動装置
駆動装置2は、第1点灯回路21及び第2点灯回路22を備えている(図2参照)。第1点灯回路21と第2点灯回路22は、共通の回路構成を有している。第1点灯回路21と第2点灯回路22はそれぞれ、外部の電源(例えば、商用の交流電源又は蓄電池などの直流電源)から供給される電力を利用して第1のLEDモジュールC1及び第2のLEDモジュールC2に直流電流を供給する。また、第1点灯回路21は、第1のLEDモジュールC1の4色のLED12に供給する直流電流の大きさ(電流値)を色ごとに個別に調整することができるように構成されている。例えば、第1点灯回路21は、4色のLED12に対応した4つの定電流回路を有し、各定電流回路から各色のLED12に直流電流を供給するように構成される。同様に、第2点灯回路22は、第2のLEDモジュールC2の4色のLED12に供給する直流電流の大きさ(電流値)を色ごとに個別に調整することができるように構成されている。例えば、第2点灯回路22は、4色のLED12に対応した4つの定電流回路を有し、各定電流回路から各色のLED12に直流電流を供給するように構成される。
【0039】
(2-4)制御装置
制御装置3は、1つ以上のプロセッサ及びメモリなどを有するマイクロコントローラを主構成要素とする。制御装置3は、メモリに格納されているプログラムを1つ以上のプロセッサに実行させることにより、第1点灯回路21及び第2点灯回路22から出力される直流電流(負荷電流)を、各色のLED12ごとの目標値に一致させるように第1点灯回路21及び第2点灯回路22を個別に制御する。なお、負荷電流の目標値は、各LED12の定格電流を100%としたとき、例えば、0%から100%の範囲に設定される。
【0040】
制御装置3は、それぞれに異なるシーン(演出用の照明)を再現するための複数のシーンデータをメモリに記録している。複数のシーンデータはそれぞれ、第1のLEDモジュールC1が有する4色のLED12ごとの負荷電流の目標値、及び第2のLEDモジュールC2が有する4色のLED12ごとの負荷電流の目標値の組合せである。つまり、制御装置3は、4色のLED12の各々の負荷電流の目標値を調整することにより、第1のLEDモジュールC1から放射される第1の光及び第2のLEDモジュールC2から放射される第2の光を個別に調色・調光して各シーンすることができる。例えば、シーンデータは、青空、夕暮れの空、夜明け前の空などの自然環境を模倣したシーン(演出用の照明)を再現するように設定される。ただし、シーンデータで再現可能な自然環境を模したシーンは、上記青空、夕暮れの空、夜明け前の空に限定されない。
【0041】
(2-5)照明システムの動作
次に、照明システムA1の動作を説明する。照明システムA1は、例えば、鉄道車両の客車の内壁面、商業施設の通路の壁面、その他の不特定多数の人の目に触れる機会が多い場所の壁面などの被照射面S10に対して演出用の照明(シーンの再現)を行う。
【0042】
制御装置3は、外部からの指示に応じて複数のシーンデータのうちの1つのシーンデータを選択し、選択したシーンデータに応じて駆動装置2を制御する。また、制御装置3は、あらかじめ決められたスケジュールに従って、複数のシーンデータから選択する1つのシーンデータを時間経過とともに順次切り替えながら駆動装置2を制御しても構わない。
【0043】
ここで、図3Aは、照明システムA1によって照明されているときの被照射面S10の一部を示し、図3Bは、被照射面S10の一部における照度分布を示している。なお、第1の照明装置B1及び第2の照明装置B2は、天井面S40から斜め下向きに被照射面S10に光(第1の光及び第2の光)を照射している(図1参照)。
【0044】
図3Bにおいて、「S11」は第1の照明装置B1から被照射面S10に照射される第1の光の照射範囲(第1照射範囲)を示し、「S12」は第2の照明装置B2から被照射面S10に照射される第2の光の照射範囲(第2照射範囲)を示している。また、「S21」は、被照射面S10において第1の光の照度が最大となる領域(第1ピーク領域)を示し、「S22」は被照射面S10において第2の光の照度が最大となる領域(第2ピーク領域)を示している。さらに、「S31」は第1照射範囲S11において照度が最大値の半分以上となる領域(第1半値領域)を示し、「S32」は第2照射範囲S12において照度が最大値の半分以上となる領域(第2半値領域)を示している。
【0045】
図3Aにおいて、「Q11」は主として第1の光の色で照明される範囲(第1照射範囲S11の一部)を示し、「Q12」は主として第2の光の色で照明される範囲(第2照射範囲S12の一部)を示している。そして、「Q13」は第1の光の色と第2の光の色が徐々に混ざり合ってグラデーションを形成している範囲(第1照射範囲S11と第2照射範囲S12が重複する範囲)を示している。ここで、第1のレンズユニットL1及び第2のレンズユニットL2は、それぞれの長手方向(水平方向)に沿って光を拡散し、かつ、短手方向(鉛直方向)に沿って光を集光する。そのため、照明システムA1は、被照射面S10の近くに第1の照明装置B1及び第2の照明装置B2を設置した状態において、第1の光及び第2の光を、鉛直方向には相対的に狭く、かつ、水平方向には相対的に広く照射することができる。
【0046】
ここで、支持装置4は、第1照射範囲S11において照度が最大となる第1ピーク領域S21と、第2照射範囲S12において照度が最大となる第2ピーク領域S22と、が重ならないように第1の照明装置B1及び第2の照明装置B2を支持することが好ましい。あるいは、支持装置4は、第1照射範囲S11において照度が最大値の半分以上となる第1半値領域S31と、第2照射範囲S12において照度が最大値の半分以上となる第2半値領域S32と、が重ならないように第1の照明装置B1及び第2の照明装置B2を支持することが好ましい。
【0047】
しかして、照明システムA1は、上述したような条件を満足するように支持装置4が第1の照明装置B1及び第2の照明装置B2を支持するので、被照射面S10において第1の光から第2の光(あるいは、第2の光から第1の光)へ徐々に光色及び光量を変化させて自然環境を模したシーンなどを再現することができる。その結果、照明システムA1は、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる。
【0048】
ところで、第1のLEDモジュールC1及び第2のLEDモジュールC2はそれぞれ、異なる4色のLED12を3個ずつ有している。これらのLED12の発光色(光源色)の間には、人が目で見て異なる色と判断可能な色の違い(色差)がある。図7は、いわゆるマクアダム(Mac Adam)楕円を10倍の倍率で表示したxy色度図を示している。マクアダム楕円は、米国の物理学者マクアダムがxy色度図上の25点(色)について等色実験を行い、その色と区別がつかない範囲をその点を中心とした楕円で示したものである。つまり、マクアダム楕円内の任意の色度座標の色は、通常、そのマクアダム楕円の中心の色度座標の色と同じ色と認識される。したがって、第1のLEDモジュールC1及び第2のLEDモジュールC2がそれぞれ有する各LED12の色の色度座標は、同じマクアダム楕円内に存在しないという条件を満たしている。ただし、各LED12の色の違いを表す指標はマクアダム楕円に限らず、例えば、CIE1976L*a*b*表色系で現される色差を指標としても構わない。
【0049】
(2-6)照明方法
実施形態に係る照明方法は、第1の光源から被照射面S10に複数色の第1の光を照射し、かつ、第2の光源から被照射面S10に複数色の第2の光を照射し、被照射面S10において、第1の光が照射される第1照射範囲S11の一部と第2の光が照射される第2照射範囲S12の一部を重ねる(図3B参照)。実施形態に係る照明方法は、上述した照明システムA1を使用して実施することができる。ただし、実施形態に係る照明方法は、照明システムA1を使用せずに実施しても構わない。
【0050】
しかして、実施形態に係る照明方法は、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる。
【0051】
(3)実施形態のその他の利点
照明システムA1は、第1の光の配光を制御する第1の配光制御部材(第1のレンズユニットL1)と、第2の光の配光を制御する第2の配光制御部材(第2のレンズユニットL2)と、を更に備える。第1のレンズユニットL1及び第2のレンズユニットL2はそれぞれ、被照射面S10において第1照射範囲S11と第2照射範囲S12が重なる方向(鉛直方向)に沿って第1の光及び第2の光を集光するように構成される(図3B参照)。さらに、第1のレンズユニットL1及び第2のレンズユニットL2はそれぞれ、被照射面S10において第1照射範囲S11と第2照射範囲S12が重なる方向と交差する方向(水平方向)に沿って第1の光及び第2の光を拡散するように構成される(図3A参照)。
【0052】
しかして、照明システムA1は、被照射面S10の近くに第1の照明装置B1及び第2の照明装置B2を設置した状態において、第1の光及び第2の光を、鉛直方向には相対的に狭く、かつ、水平方向には相対的に広く照射することができる。
【0053】
また、照明システムA1は、制御装置3が駆動装置2を制御して、第1の光の色及び第2の光の色が時間経過に伴って変化するように調色すれば、従来に比べて更に多様な演出用の照明を行うことができる。
【0054】
(4)まとめ
本開示の第1の態様に係る照明システム(A1)は、第1の光源(第1のLEDモジュールC1)と、第2の光源(第2のLEDモジュールC2)と、駆動装置(2)と、制御装置(3)と、支持装置(4)と、を備える。第1の光源は、被照射面(S10)に複数色の第1の光を照射する。第2の光源は、被照射面(S10)に複数色の第2の光を照射する。駆動装置(2)は、第1の光源及び第2の光源を駆動する。制御装置(3)は、駆動装置(2)を制御して第1の光及び第2の光を各別に調色及び調光する。支持装置(4)は、第1の光源及び第2の光源を支持する。支持装置(4)は、被照射面(S10)において、第1の光が照射される第1照射範囲(S11)の一部と第2の光が照射される第2照射範囲(S12)の一部が重なるように第1の光源及び第2の光源を支持する。
【0055】
第1の態様に係る照明システム(A1)は、被照射面(S10)において、第1の光から第2の光(あるいは、第2の光から第1の光)へ徐々に光色及び光量を変化させることができる。その結果、第1の態様に係る照明システム(A1)は、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる。
【0056】
本開示の第2の態様に係る照明システム(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明システム(A1)において、支持装置(4)は、第1照射範囲(S11)において照度が最大となる第1ピーク領域(S21)と、第2照射範囲(S12)において照度が最大となる第2ピーク領域(S22)と、が重ならないように第1の光源及び第2の光源を支持することが好ましい。
【0057】
第2の態様に係る照明システム(A1)は、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる。
【0058】
本開示の第3の態様に係る照明システム(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明システム(A1)において、支持装置(4)は、第1照射範囲(S11)において照度が最大値の半分以上となる第1半値領域(S31)と、第2照射範囲(S12)において照度が最大値の半分以上となる第2半値領域(S32)と、が重ならないように第1の光源及び第2の光源を支持することが好ましい。
【0059】
第3の態様に係る照明システム(A1)は、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる。
【0060】
本開示の第4の態様に係る照明システム(A1)は、第1-第3のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明システム(A1)において、第1の光源は、互いに光源色が異なる複数の発光素子(LED12)を有することが好ましい。第2の光源は、互いに光源色が異なる複数の発光素子(LED12)を有することが好ましい。
【0061】
第4の態様に係る照明システム(A1)は、第1の光源及び第2の光源がそれぞれ光源色の異なる複数の発光素子(LED12)を有することにより、従来に比べて更に多様な演出用の照明を行うことができる。
【0062】
本開示の第5の態様に係る照明システム(A1)は、第4の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明システム(A1)において、第1の光源が有する複数の発光素子の少なくとも一部の発光素子の光源色は、第2の光源が有する複数の発光素子の光源色と異なることが好ましい。
【0063】
第5の態様に係る照明システム(A1)は、第1の光源が有する複数の発光素子の少なくとも一部の発光素子の光源色を、第2の光源が有する複数の発光素子の光源色と異ならせることによって、従来に比べて更に多様な演出用の照明を行うことができる。
【0064】
本開示の第6の態様に係る照明システム(A1)は、第1-第5のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る照明システム(A1)は、第1の光の配光を制御する第1の配光制御部材(第1のレンズユニットL1)と、第2の光の配光を制御する第2の配光制御部材(第2のレンズユニットL2)と、を更に備えることが好ましい。第1の配光制御部材及び第2の配光制御部材はそれぞれ、被照射面(S10)において第1照射範囲(S11)と第2照射範囲(S12)が重なる方向に沿って第1の光及び第2の光を集光するように構成されることが好ましい。
【0065】
第6の態様に係る照明システム(A1)は、被照射面(S10)の近くに第1の光源及び第2の光源を設置した状態において、第1の光及び第2の光を、鉛直方向には相対的に狭く照射することができる。
【0066】
本開示の第7の態様に係る照明システム(A1)は、第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る照明システム(A1)において、第1の配光制御部材及び第2の配光制御部材はそれぞれ、被照射面(S10)において第1照射範囲(S11)と第2照射範囲(S12)が重なる方向と交差する方向に沿って第1の光及び第2の光を拡散するように構成されることが好ましい。
【0067】
第7の態様に係る照明システム(A1)は、被照射面(S10)の近くに第1の光源及び第2の光源を設置した状態において、第1の光及び第2の光を、水平方向には相対的に広く照射することができる。
【0068】
本開示の第8の態様に係る照明システム(A1)は、第1-第7のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第8の態様に係る照明システム(A1)において、制御装置(3)は、駆動装置(2)を制御して、第1の光の色及び第2の光の色が時間経過に伴って変化するように調色することが好ましい。
【0069】
第8の態様に係る照明システム(A1)は、従来に比べて更に多様な演出用の照明を行うことができる。
【0070】
本開示の第9の態様に係る照明装置(第1の照明装置B1;第2の照明装置B2)は、第1-第8のいずれかの態様に係る照明システム(A1)に用いられる。第9の態様に係る照明装置は、被照射面に複数色の光を照射する光源(第1のLEDモジュールC1;第2のLEDモジュールC2)と、光の配光を制御する配光制御部材(第1のレンズユニットL1;第2のレンズユニットL2)と、光源と配光制御部材を保持する筐体(10)と、を備える。
【0071】
第9の態様に係る照明装置は、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる。
【0072】
本開示の第10の態様に係る照明方法は、第1の光源から被照射面(S10)に複数色の第1の光を照射し、かつ、第2の光源から被照射面(S10)に複数色の第2の光を照射する。第10の態様に係る照明方法は、被照射面(S10)において、第1の光が照射される第1照射範囲(S11)の一部と第2の光が照射される第2照射範囲(S12)の一部を重ねる。
【0073】
第10の態様に係る照明方法は、従来に比べて多様な演出用の照明を行うことができる。
【符号の説明】
【0074】
A1 照明システム
B1 第1の照明装置(照明装置)
B2 第2の照明装置(照明装置)
C1 第1のLEDモジュール(第1の光源)
C2 第2のLEDモジュール(第2の光源)
L1 第1のレンズユニット(第1の配光制御部材)
L2 第2のレンズユニット(第2の配光制御部材)
2 駆動装置
3 制御装置
4 支持装置
12 LED(発光素子)
S10 被照射面
S11 第1照射範囲
S12 第2照射範囲
S21 第1ピーク領域
S22 第2ピーク領域
S31 第1半値領域
S32 第2半値領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7