IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーウェーブの特許一覧

<>
  • 特開-ロボットのケーブル接続構造 図1
  • 特開-ロボットのケーブル接続構造 図2
  • 特開-ロボットのケーブル接続構造 図3
  • 特開-ロボットのケーブル接続構造 図4
  • 特開-ロボットのケーブル接続構造 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081126
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】ロボットのケーブル接続構造
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20230602BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B25J19/00 F
H05K7/00 L
H05K7/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194843
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】山中 晶貴
【テーマコード(参考)】
3C707
4E352
【Fターム(参考)】
3C707BS09
3C707CT05
3C707CY03
3C707CY25
3C707CY27
3C707HS27
3C707JS05
4E352AA02
4E352AA03
4E352AA16
4E352BB02
4E352BB05
4E352BB10
4E352BB20
4E352CC08
4E352CC34
4E352DD03
4E352DD10
4E352DD12
4E352DR02
4E352DR25
4E352DR40
4E352GG04
4E352GG12
4E352GG15
(57)【要約】
【課題】ロボットからケーブルを引き出す方向を容易に変更可能であり、且つケーブルの引き出し方向を変更してもロボットのシール性を確保する。
【解決手段】ロボットのケーブル接続構造であって、可動部ケーブル(94~96)の先端には、可動部コネクタ(31~33)が設けられ、基台(11)の側面に第1開口(12)が形成され、基台の底面に第2開口(13)が形成され、可動部コネクタは、第1開口及び第2開口からそれぞれ外部へ露出可能であり、第1開口及び第2開口に取り付け可能である第1蓋部(20)及び第2蓋部(40)と、第1蓋部に設けられ、外部ケーブルを可動部コネクタに接続可能又は外部ケーブルを可動部コネクタまで挿通可能とし、且つ第1蓋部と外部ケーブルとの間をシールする導入部(21,22)と、基台と第1蓋部,第2蓋部との間をそれぞれシールする第1シール部材(17),第2シール部材(18)と、を備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、前記基台により支持された可動部とを備えるロボットのケーブル接続構造であって、
前記可動部には、可動部ケーブルが接続され、前記可動部ケーブルの先端には、可動部コネクタが設けられ、
前記基台は、中空に形成され、前記基台の側面に第1開口が形成され、前記基台の底面に第2開口が形成され、
前記可動部コネクタは、前記基台の内部に収納可能であり、且つ前記第1開口及び前記第2開口からそれぞれ外部へ露出可能であり、
前記第1開口及び前記第2開口に取り付け可能であり、取り付け先の前記第1開口又は前記第2開口を塞ぐ第1蓋部と、
前記基台と前記第1蓋部との間をシールする第1シール部材と、
前記第1蓋部に設けられ、外部ケーブルを前記可動部コネクタに電気的に接続可能又は外部ケーブルを前記可動部コネクタまで挿通可能とし、且つ前記第1蓋部と前記外部ケーブルとの間をシールする導入部と、
前記第1開口及び前記第2開口に取り付け可能であり、取り付け先の前記第1開口又は前記第2開口を塞ぐ第2蓋部と、
前記基台と前記第2蓋部との間をシールする第2シール部材と、を備えるロボットのケーブル接続構造。
【請求項2】
前記第1蓋部及び前記第2蓋部は、同一外形の板状に形成されている、請求項1に記載のロボットのケーブル接続構造。
【請求項3】
前記第1蓋部の外形及び前記第2蓋部の外形は、少なくとも1方向に関して非対称である、請求項2に記載のロボットのケーブル接続構造。
【請求項4】
前記第1蓋部の外形及び前記第2蓋部の外形は、台形である、請求項3に記載のロボットのケーブル接続構造。
【請求項5】
前記第1シール部材及び前記第2シール部材は、同一形状である、請求項2~4のいずれか1項に記載のロボットのケーブル接続構造。
【請求項6】
前記可動部ケーブルは、前記可動部コネクタを前記第1開口から前記基台の外まで引き出すことが可能であり、且つ前記可動部コネクタを前記第2開口から前記基台の外まで引き出すことが可能である長さに設定されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のロボットのケーブル接続構造。
【請求項7】
前記基台の内部には、電子部品が配置され、
前記電子部品と前記可動部コネクタとの間に、ユーザの手が前記電子部品に触れないようにする仕切部材が設けられている、請求項1~6のいずれか1項に記載のロボットのケーブル接続構造。
【請求項8】
前記可動部コネクタは、前記導入部に接続可能な第1コネクタを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のロボットのケーブル接続構造。
【請求項9】
前記可動部コネクタは、前記外部ケーブルを接続可能な第2コネクタを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のロボットのケーブル接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットにケーブルを接続する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボット機構部が側面に開口部を有する中空構造のベースを備え、ケーブル貫通孔を有する部材が開口部を塞ぐようにベースに取り付けられ、ベースの外側からケーブル貫通孔を通過したケーブルがベース内部でロボット機構部内ケーブルとコネクタにより接続されたロボットがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載のロボットでは、ケーブルがケーブル貫通孔を貫通する部分にはシール手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-14159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロボットの設置方法としては、床に設置される場合、壁や天井に設置される場合等がある。また、人と一緒に働く協働ロボットでは、ロボットを移動させて様々な場所に設置することが考えられる。その場合に、設置場所に応じて、ロボットからケーブルを引き出す方向を変更できることが望ましい。しかし、ロボットの設置方法を変更する際に、ロボットからケーブルを引き出す方向を容易に変更可能であり、且つケーブルの引き出し方向を変更してもロボットのシール性を確保することができる構造は未だ提案されていない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、ロボットからケーブルを引き出す方向を容易に変更可能であり、且つケーブルの引き出し方向を変更してもロボットのシール性を確保することができるロボットのケーブル接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
基台と、前記基台により支持された可動部とを備えるロボットのケーブル接続構造であって、
前記可動部には、可動部ケーブルが接続され、前記可動部ケーブルの先端には、可動部コネクタが設けられ、
前記基台は、中空に形成され、前記基台の側面に第1開口が形成され、前記基台の底面に第2開口が形成され、
前記可動部コネクタは、前記基台の内部に収納可能であり、且つ前記第1開口及び前記第2開口からそれぞれ外部へ露出可能であり、
前記第1開口及び前記第2開口に取り付け可能であり、取り付け先の前記第1開口又は前記第2開口を塞ぐ第1蓋部と、
前記基台と前記第1蓋部との間をシールする第1シール部材と、
前記第1蓋部に設けられ、外部ケーブルを前記可動部コネクタに電気的に接続可能又は外部ケーブルを前記可動部コネクタまで挿通可能とし、且つ前記第1蓋部と前記外部ケーブルとの間をシールする導入部と、
前記第1開口及び前記第2開口に取り付け可能であり、取り付け先の前記第1開口又は前記第2開口を塞ぐ第2蓋部と、
前記基台と前記第2蓋部との間をシールする第2シール部材と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、ロボットは、基台と、前記基台により支持された可動部とを備えている。このため、基台を床、壁、天井等に設置することにより、ロボットを様々な場所に設置することができる。前記可動部には、可動部ケーブルが接続され、前記可動部ケーブルの先端には、可動部コネクタが設けられている。このため、可動部コネクタに外部ケーブルを接続することにより、可動部コネクタ及び可動部ケーブルを介して可動部と外部ケーブルとを接続することができる。
【0008】
ここで、前記基台は、中空に形成され、前記基台の側面に第1開口が形成され、前記基台の底面に第2開口が形成され、前記可動部コネクタは、前記基台の内部に収納可能であり、且つ前記第1開口及び前記第2開口からそれぞれ外部へ露出可能である。このため、第1開口を介して可動部コネクタに外部ケーブルを接続することにより、基台の側面から外部ケーブルを引き出すことができる。また、第2開口を介して可動部コネクタに外部ケーブルを接続することにより、基台の底面から外部ケーブルを引き出すことができる。
【0009】
さらに、ケーブル接続構造は、前記第1開口及び前記第2開口に取り付け可能であり、取り付け先の前記第1開口又は前記第2開口を塞ぐ第1蓋部と、前記基台と前記第1蓋部との間をシールする第1シール部材と、前記第1蓋部に設けられ、外部ケーブルを前記可動部コネクタに電気的に接続可能又は外部ケーブルを前記可動部コネクタまで挿通可能とし、且つ前記第1蓋部と前記外部ケーブルとの間をシールする導入部と、を備えている。このため、前記基台と前記第1蓋部との間を第1シール部材によりシールし、前記第1蓋部と前記外部ケーブルとの間を導入部によりシールした状態で、外部ケーブルを導入部により前記可動部コネクタに電気的に接続、又は外部ケーブルを導入部により前記可動部コネクタまで挿通させて可動部コネクタに電気的に接続することができる。
【0010】
また、前記第1開口及び前記第2開口に取り付け可能であり、取り付け先の前記第1開口又は前記第2開口を塞ぐ第2蓋部と、前記基台と前記第2蓋部との間をシールする第2シール部材とを、ケーブル接続構造は備えている。このため、第1開口及び第2開口のうち第1蓋部が取り付けられていない開口を第2蓋部により塞ぐとともに、前記基台と前記第2蓋部との間を第2シール部材によりシールすることができる。
【0011】
しかも、第1蓋部及び第2蓋部は共に第1開口及び第2開口に取り付け可能である。このため、第1蓋部と第2蓋部とを付け替えることにより、ロボットからケーブルを引き出す方向を容易に変更可能である。そして、ケーブルの引き出し方向を変更しても、上記のようにロボットのシール性を確保することができる。
【0012】
第2の手段では、前記第1蓋部及び前記第2蓋部は、同一外形の板状に形成されている。こうした構成によれば、第1開口に第1蓋部と第2蓋部とを同様に取り付け及び取り外しすることができ、第2開口に第1蓋部と第2蓋部とを同様に取り付け及び取り外しすることができる。このため、第1蓋部と第2蓋部とを容易に付け替えることができる。さらに、第1開口に第1蓋部又は第2蓋部を取り付けるための構成と、第2開口に第1蓋部又は第2蓋部を取り付けるための構成とを共通化することができる。
【0013】
第3の手段では、第2の手段を前提として、前記第1蓋部の外形及び前記第2蓋部の外形は、少なくとも1方向に関して非対称である。こうした構成によれば、第1蓋部と第2蓋部とを付け替える際に、第1開口及び第2開口に対して第1蓋部及び第2蓋部を常に同一の向きで取り付けさせることができる。したがって、可動部コネクタに対する外部ケーブルの向きが変わることによる可動部ケーブル及び外部ケーブルの捻れを抑制することができる。
【0014】
具体的には、第4の手段では、前記第1蓋部の外形及び前記第2蓋部の外形は、台形である。こうした構成によれば、前記第1蓋部の外形及び前記第2蓋部の外形を、簡潔な形状により1方向に関して非対称にすることができる。
【0015】
第5の手段では、前記第1シール部材及び前記第2シール部材は、同一形状である。こうした構成によれば、前記基台と前記第1蓋部との間をシールする第1シール部材と、前記基台と前記第2蓋部との間をシールする第2シール部材とを共通化することができる。
【0016】
第6の手段では、前記可動部ケーブルは、前記可動部コネクタを前記第1開口から前記基台の外まで引き出すことが可能であり、且つ前記可動部コネクタを前記第2開口から前記基台の外まで引き出すことが可能である長さに設定されている。こうした構成によれば、第1開口又は第2開口から可動部コネクタを引き出した状態で、可動部コネクタに外部ケーブルを接続することができる。したがって、基台の内部で可動部コネクタに外部ケーブルを接続する場合と比較して、ユーザの作業性を向上させることができ、ロボットからケーブルを引き出す方向をさらに容易に変更可能となる。
【0017】
基台の内部に電子部品が配置されている場合、基台の内部で可動部コネクタに外部ケーブルを接続する際、あるいは基台の外で可動部コネクタに外部ケーブルを接続した後に基台の内部へ可動部コネクタを戻す際に、ユーザの手が電子部品に触れるおそれがある。
【0018】
この点、第7の手段では、前記基台の内部には、電子部品が配置され、前記電子部品と前記可動部コネクタとの間に、ユーザの手が前記電子部品に触れないようにする仕切部材が設けられている。こうした構成によれば、第1蓋部と第2蓋部とを付け替えて可動部コネクタに外部ケーブルを接続する際に、ユーザの手が電子部品に触れることを抑制することができる。
【0019】
第8の手段では、前記可動部コネクタは、前記導入部に接続可能な第1コネクタを含む。こうした構成によれば、第1コネクタを導入部に接続し、導入部に外部ケーブルを接続することにより、第1コネクタ及び導入部を介して、可動部ケーブルと外部ケーブルとを接続することができる。
【0020】
第9の手段では、前記可動部コネクタは、前記外部ケーブルを接続可能な第2コネクタを含む。こうした構成によれば、導入部により外部ケーブルを第2コネクタまで挿通させ、第2コネクタに外部ケーブルを接続することにより、第2コネクタを介して、可動部ケーブルと外部ケーブルとを接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ロボットの斜視図。
図2】基台の側面から外部ケーブルを引き出した状態を示す斜視図。
図3】基台の側面でのケーブル接続構造を示す断面斜視図。
図4】基台の底面でのケーブル接続構造を示す断面斜視図。
図5】基台の底面から外部ケーブルを引き出した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、床及び壁(天井)に固定可能なロボットのケーブル接続構造に具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に示すように、ロボット10は、基台11及びアーム30を備えている。基台11は、ボルト19により工場(建物)の床又は壁(天井)に固定される。アーム30(可動部)は、基台11により支持されている。アーム30は、複数の回転部及び関節を備えており、各関節に設けられたモータにより各回転部が回転させられる。
【0024】
基台11には、コネクタパネル20が取り付けられている。コネクタパネル20にケーブル91が接続されており、コネクタパネル20をケーブル92,93が挿通している。ケーブル91,92,93(外部ケーブル)は、ロボット10のコントローラ(制御部)や、電源等に接続されている。なお、本実施形態では、説明を簡便にするため、一部のケーブルのみを表示している。
【0025】
図2,3に示すように、基台11は、円筒状(中空)に形成されている。基台11の側面に第1開口12が形成されている。第1開口12は、上底辺が下底辺よりも短い台形に形成されている。すなわち、第1開口12は、上下方向(少なくとも1方向)に関して非対称である。
【0026】
基台11の底面に第2開口13が形成されている。第2開口13は、第1開口12と同形状に形成されている。第2開口13は、第1開口12側の底辺(上底辺)が第1開口12と反対側の底辺(下底辺)よりも短い台形に形成されている。すなわち、第2開口13は、左右方向(少なくとも1方向)に関して非対称である。
【0027】
上記アーム30には、ケーブル94,95,96が電気的に接続されている。ケーブル94,95,96(可動部ケーブル)は、アーム30に信号、電力等を送るケーブルである。ケーブル94,95,96の先端には、それぞれコネクタ31,32,33(可動部コネクタ)が接続されている。ケーブル94,95,96は、コネクタ31,32,33を第1開口12から基台11の外まで引き出すことが可能な長さに設定されている。すなわち、コネクタ31,32,33は、基台11の内部に収納可能であり、且つ第1開口12から外部へ露出可能である。なお、コネクタ31,32,33が第1開口12から外部へ露出可能とは、第1開口12からユーザがコネクタ31,32,33に対して接続作業が可能な程度に、コネクタ31,32,33が第1開口12からあらわれ出て(見えて)いればよい。
【0028】
基台11の内部には、電子部品15が搭載された基板14が設置されている。基板14(電子部品15)とコネクタ31,32,33との間には、仕切部材16が設けられている。仕切部材16は、基板14とコネクタ31,32,33(開口12,13)との間を仕切っており、基板14とコネクタ31,32,33(開口12,13)とを隔離している。仕切部材16には、開口16aが形成されている。開口16aは、ケーブル94,95,96を挿通可能であり、且つユーザの手(指)が入らない大きさに形成されている。すなわち、仕切部材16は、ユーザの手が基板14(電子部品15)に触れないようにしている。
【0029】
コネクタパネル20(第1蓋部)は、第1開口12に対応して、第1開口12よりも一回り大きい台形の板状に形成されている。コネクタパネル20の外形は、上底辺が下底辺よりも短い台形に形成されている。すなわち、コネクタパネル20の外形は、上下方向(少なくとも1方向)に関して非対称である。
【0030】
コネクタパネル20は、第1開口12に取り付け可能である。コネクタパネル20は、ねじ29により基台11の側面に取り付けられることにより、第1開口12を塞ぐ。基台11において第1開口12の周囲には、パッキン17が取り付けられている。パッキン17(第1シール部材)は、基台11とコネクタパネル20との間をシールする。なお、パッキン17は、コネクタパネル20に取り付けられていてもよい。
【0031】
コネクタパネル20には、接続部21、及び挿通部22が設けられている。
【0032】
接続部21(導入部)は、コネクタパネル20の外側の端部にコネクタ91aを接続可能であり、コネクタパネル20の内側の端部にコネクタ31(第1コネクタ)を接続可能になっている。接続部21において、コネクタパネル20の外側の端部には、ケーブル91の先端に取り付けられたコネクタ91aが接続されている。接続部21において、コネクタパネル20の内側の端部には、コネクタ31が接続される。接続部21は、コネクタパネル20とコネクタ91a(ケーブル91)との間をシールしている。
【0033】
挿通部22(導入部)は、ケーブル92,93をそれぞれコネクタ32,33まで挿通可能にしている。ケーブル92,93は、挿通部22を挿通してそれぞれコネクタ32,33(第2コネクタ)に接続されている。挿通部22は、コネクタパネル20とケーブル92,93との間をシールしている。なお、挿通部22がコネクタパネル20とケーブル92,93との間をシールしているとは、ロボット10が動作する環境においてコネクタパネル20とケーブル92,93との隙間から水や油等が入らない構造(防滴構造)であればよい。
【0034】
ダミーパネル40(第2蓋部)の外形は、コネクタパネル20の外形と同一である。ダミーパネル40は、第2開口13(第1開口12)に対応して、第2開口13(第1開口12)よりも一回り大きい台形の板状に形成されている。ダミーパネル40の外形は、第1開口12側の底辺(上底辺)が第1開口12と反対側の底辺(下底辺)よりも短い台形に形成されている。すなわち、ダミーパネル40の外形は、左右方向(少なくとも1方向)に関して非対称である。また、コネクタパネル20は、第2開口13に対応して、第2開口13よりも一回り大きい台形の板状に形成されている。
【0035】
ダミーパネル40は、第2開口13(第1開口12)に取り付け可能である。ダミーパネル40は、ねじ49(ねじ29)により基台11の底面(側面)に取り付けられることにより、第2開口13(第1開口12)を塞ぐ。基台11において第2開口13の周囲には、パッキン18が取り付けられている。パッキン18の形状は、パッキン17の形状と同一である。パッキン18(第2シール部材)は、基台11とダミーパネル40(コネクタパネル20)との間をシールする。なお、パッキン18は、ダミーパネル40に取り付けられていてもよい。また、コネクタパネル20は、第2開口13に取り付け可能である。コネクタパネル20は、ねじ49により基台11の底面に取り付けられることにより、第2開口13を塞ぐ。
【0036】
図4,5は、第1開口12にダミーパネル40が取り付けられ、第2開口13にコネクタパネル20が取り付けられる場合を示している。ケーブル94,95,96は、コネクタ31,32,33を第2開口13から基台11の外まで引き出すことが可能な長さに設定されている。すなわち、コネクタ31,32,33は、基台11の内部に収納可能であり、且つ第2開口13から外部へ露出可能である。なお、コネクタ31,32,33が第2開口13から外部へ露出可能とは、第2開口13からユーザがコネクタ31,32,33に対して接続作業が可能な程度に、コネクタ31,32,33が第2開口13からあらわれ出て(見えて)いればよい。
【0037】
なお、開口12,13、コネクタ31,32,33、コネクタパネル20、接続部21、挿通部22、パッキン17、ダミーパネル40、及びパッキン18により、ロボットのケーブル接続構造が構成されている。
【0038】
次に、図2に示す基台11の側面からケーブル91,92,93を引き出した状態から、図5に示す基台11の底面からケーブル91,92,93を引き出した状態へ変更する手順を説明する。以下の作業はユーザにより実行される。
【0039】
ねじ29を緩めて、図3に示すように、基台11の側面からコネクタパネル20を取り外す。コネクタ31,32,33を第1開口12から外に引き出す。接続部21からコネクタ31を取り外し、コネクタ32,33からそれぞれケーブル92,93を取り外す。ねじ49(図2参照)を緩めて、基台11の底面からダミーパネル40を取り外す。なお、コネクタパネル20よりも先にダミーパネル40を取り外してもよい。
【0040】
続いて、図4に示すように、コネクタ31,32,33を第2開口13から外に引き出す。この際に、ユーザの手が基板14(電子部品15)に触ることが、仕切部材16により抑制される。
【0041】
続いて、接続部21にコネクタ31を接続し、コネクタ32,33にそれぞれケーブル92,93を接続する。第2開口13からコネクタ31,32,33を基台11の内部へ戻す。この際に、ユーザの手が基板14(電子部品15)に触ることが、仕切部材16により抑制される。図5に示すように、ねじ49を締めて、基台11の底面にコネクタパネル20を取り付ける。ねじ29を締めて、基台11の側面にダミーパネル40を取り付ける。なお、コネクタパネル20よりも先にダミーパネル40を取り付けてもよい。
【0042】
また、図5に示す状態から図2に示す状態へ変更する際には、上記と逆の作業を実行する。
【0043】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0044】
・ロボット10は、基台11と、基台11により支持されたアーム30とを備えている。このため、基台11を床、壁、天井等に設置することにより、ロボット10を様々な場所に設置することができる。アーム30には、ケーブル94,95,96が接続され、ケーブル94,95,96の先端には、それぞれコネクタ31,32,33が設けられている。このため、コネクタ31,32,33にそれぞれケーブル91,92,93を接続することにより、コネクタ31,32,33及びケーブル94,95,96を介してアーム30とケーブル91,92,93とを接続することができる。
【0045】
・基台11は、中空に形成され、基台11の側面に第1開口12が形成され、基台11の底面に第2開口13が形成され、コネクタ31,32,33は、基台11の内部に収納可能であり、且つ第1開口12及び第2開口13からそれぞれ外部へ露出可能である。このため、第1開口12を介してコネクタ31,32,33にそれぞれケーブル91,92,93を電気的に接続することにより、基台11の側面からケーブル91,92,93を引き出すことができる。また、第2開口13を介してコネクタ31,32,33にそれぞれケーブル91,92,93を電気的に接続することにより、基台11の底面からケーブル91,92,93を引き出すことができる。
【0046】
・基台11とコネクタパネル20との間をパッキン17によりシールし、コネクタパネル20とケーブル91との間を接続部21によりシールした状態で、ケーブル91を接続部21によりコネクタ31に接続することができる。また、基台11とコネクタパネル20との間をパッキン17によりシールし、コネクタパネル20とケーブル92,93との間を挿通部22によりシールした状態で、ケーブル92,93を挿通部22によりそれぞれコネクタ32,33まで挿通させてコネクタ32,33に接続することができる。
【0047】
・第1開口12及び第2開口13に取り付け可能であり、取り付け先の第1開口12又は第2開口13を塞ぐダミーパネル40と、基台11とダミーパネル40との間をシールするパッキン18とを、ケーブル接続構造は備えている。このため、第1開口12及び第2開口13のうちコネクタパネル20が取り付けられていない開口をダミーパネル40により塞ぐとともに、基台11とダミーパネル40との間をパッキン18(パッキン17)によりシールすることができる。
【0048】
・コネクタパネル20及びダミーパネル40は共に第1開口12及び第2開口13に取り付け可能であるため、コネクタパネル20とダミーパネル40とを付け替えることにより、ロボット10からケーブル91,92,93を引き出す方向を容易に変更可能である。そして、ケーブル91,92,93の引き出し方向を変更しても、上記のようにロボット10のシール性を確保することができる。
【0049】
・コネクタパネル20及びダミーパネル40は、同一外形の板状に形成されている。こうした構成によれば、第1開口12にコネクタパネル20とダミーパネル40とを同様に取り付け及び取り外しすることができ、また第2開口13にコネクタパネル20とダミーパネル40とを同様に取り付け及び取り外しすることができる。このため、コネクタパネル20とダミーパネル40とを容易に付け替えることができる。さらに、第1開口12にコネクタパネル20又はダミーパネル40を取り付けるための構成と、第2開口13にコネクタパネル20又はダミーパネル40を取り付けるための構成とを共通化することができる。
【0050】
・コネクタパネル20の外形及びダミーパネル40の外形は、少なくとも1方向に関して非対称である。こうした構成によれば、コネクタパネル20とダミーパネル40とをユーザが付け替える際に、第1開口12及び第2開口13に対してコネクタパネル20及びダミーパネル40を常に同一の向きで取り付けさせることができる。したがって、コネクタ31,32,33に対するケーブル91,92,93の向きが変わることによるケーブル94,95,96及びケーブル91,92,93の捻れを抑制することができる。
【0051】
・コネクタパネル20の外形及びダミーパネル40の外形は、台形である。こうした構成によれば、コネクタパネル20の外形及びダミーパネル40の外形を、簡潔な形状により1方向に関して非対称にすることができる。
【0052】
・パッキン17及びパッキン18は、同一形状である。こうした構成によれば、基台11とコネクタパネル20との間をシールするパッキン17(パッキン18)と、基台11とダミーパネル40との間をシールするパッキン18(パッキン17)とを共通化することができる。
【0053】
・ケーブル94,95,96は、コネクタ31,32,33を第1開口12から基台11の外まで引き出すことが可能であり、且つコネクタ31,32,33を第2開口13から基台11の外まで引き出すことが可能である長さに設定されている。こうした構成によれば、第1開口12又は第2開口13からコネクタ31,32,33を引き出した状態で、コネクタ31,32,33にそれぞれケーブル91,92,93を接続することができる。したがって、基台11の内部でコネクタ31,32,33にそれぞれケーブル91,92,93を接続する場合と比較して、ユーザの作業性を向上させることができ、ロボット10からケーブル91,92,93を引き出す方向をさらに容易に変更可能となる。
【0054】
・基台11の内部には、電子部品15が配置され、電子部品15とコネクタ31,32,33との間に、ユーザの手が電子部品15に触れないようにする仕切部材16が設けられている。こうした構成によれば、コネクタパネル20とダミーパネル40とを付け替えてコネクタ31,32,33にケーブル91,92,93を接続する際に、ユーザの手が電子部品15に触れることを抑制することができる。
【0055】
・コネクタ31を接続部21に接続し、接続部21にケーブル91のコネクタ91aを接続することにより、コネクタ31及び接続部21を介して、ケーブル94とケーブル91とを接続することができる。
【0056】
・挿通部22によりケーブル92,93をそれぞれコネクタ32,33まで挿通させ、コネクタ32,33にそれぞれケーブル92,93を接続することにより、コネクタ32,33を介して、ケーブル95,96とケーブル92,93とをそれぞれ接続することができる。
【0057】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0058】
・仕切部材16を省略することもできる。
【0059】
・ケーブル94,95,96は、コネクタ31,32,33を第1開口12から露出可能であれば、コネクタ31,32,33を第1開口12から基台11の外まで引き出すことができない長さに設定されていてもよい。ケーブル94,95,96は、コネクタ31,32,33を第2開口13から露出可能であれば、コネクタ31,32,33を第2開口13から基台11の外まで引き出すことができない長さに設定されていてもよい。
【0060】
・基台11とコネクタパネル20との間、及び基台11とダミーパネル40との間をシール可能であれば、パッキン17とパッキン18とが異なる形状であってもよい。
【0061】
・開口12,13、コネクタパネル20、及びダミーパネル40の外形は、台形に限らず、異なる大きさの矩形をつなげた形状等であってもよい。この場合も、開口12,13、コネクタパネル20、及びダミーパネル40の外形を、1方向に関して非対称にすることができる。また、開口12,13、コネクタパネル20、及びダミーパネル40の外形を、矩形や、正方形、円形等にすることもできる。
【0062】
・コネクタパネル20及びダミーパネル40は、第1開口12及び第2開口13に取り付け可能であれば、互いの外形が異なっていてもよい。
【0063】
・基台11の形状は、円筒状に限らず、四角筒状(中空の直方体状)や、多角筒状等であってもよい。
【0064】
・ケーブル94,95,96(可動部ケーブル)は、基板14を介してアーム30に接続されていてもよい。すなわち、アーム30(可動部)に可動部ケーブルが接続されているとは、可動部と可動部ケーブルとが、他の部材を介して接続(電気的に接続)されている構成を含む。
【0065】
・ロボット10は、人と一緒に働く協働ロボット等、床、壁、天井等に固定されないロボットであってもよい。
【0066】
なお、上記の各変更例を組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0067】
10…ロボット、11…基台、12…第1開口、13…第2開口、17…パッキン(第1シール部材、第2シール部材)、18…パッキン(第1シール部材、第2シール部材)、20…コネクタパネル(第1蓋部)、21…接続部(導入部)、22…挿通部(導入部)、30…アーム(可動部)、31…コネクタ(可動部コネクタ)、32…コネクタ(可動部コネクタ)、33…コネクタ(可動部コネクタ)、40…ダミーパネル(第2蓋部)、91…ケーブル(外部ケーブル)、91a…コネクタ、92…ケーブル(外部ケーブル)、93…ケーブル(外部ケーブル)、94…ケーブル(可動部ケーブル)、95…ケーブル(可動部ケーブル)、96…ケーブル(可動部ケーブル)。
図1
図2
図3
図4
図5