(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081151
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】水平多関節ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20230602BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B25J9/06 D
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194877
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 浩彦
(72)【発明者】
【氏名】栗林 保
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707BS26
3C707CY29
3C707HT02
3C707NS13
5F131AA02
5F131BA60
5F131CA12
5F131DB03
5F131DB06
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
(57)【要約】
【課題】水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットにおいて、関節部から水平多関節ロボットの内部への液体の浸入を抑制することが可能な水平多関節ロボットを提供する。
【解決手段】この水平多関節ロボットは、第1アーム部7と、第1アーム部7の上側に配置され第1アーム部7に回動可能に連結される第2アーム部8とを備えている。第1アーム部7は、第1アーム部7と第2アーム部8との連結部分となる関節部11において第1アーム部7の外周側部分の一部を構成する環状の軸受押え部材26を備え、第2アーム部8は、関節部11において第2アーム部8の外周側部分を構成するアーム部本体29を備えている。アーム部本体29は、関節部11の径方向の外側から軸受押え部材26の上側部分を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部29aを備えており、筒状覆部29aの下端は、軸受押え部材26の上端よりも下側に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットにおいて、
支持部と、前記支持部の上側に配置されるとともに前記支持部に回動可能に連結される被支持部とを備え、
前記支持部は、前記支持部と前記被支持部との連結部分となる関節部において前記支持部の外周側部分の少なくとも一部を構成する環状の支持側部材を備え、
前記被支持部は、前記関節部において前記被支持部の外周側部分の少なくとも一部を構成する被支持側部材を備え、
前記被支持側部材は、前記関節部の径方向の外側から前記支持側部材の少なくとも上側部分を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部を備え、
前記筒状覆部の下端は、前記支持側部材の上端よりも下側に配置されていることを特徴とする水平多関節ロボット。
【請求項2】
搬送対象物が搭載される前記被支持部としてのハンドを備え、
前記アームは、前記ハンドが先端側に回動可能に連結される前記支持部としての先端側アーム部を備えることを特徴とする請求項1記載の水平多関節ロボット。
【請求項3】
搬送対象物が搭載されるハンドを備え、
前記アームは、前記ハンドが先端側に回動可能に連結される前記被支持部としての先端側アーム部と、前記先端側アーム部の基端側が先端側に回動可能に連結される前記支持部としての基端側アーム部とを備えることを特徴とする請求項1記載の水平多関節ロボット。
【請求項4】
前記アームの基端側が回動可能に連結される前記支持部としての本体部を備え、
前記アームは、前記本体部に基端側が回動可能に連結される前記被支持部としての基端側アーム部を備えることを特徴とする請求項1記載の水平多関節ロボット。
【請求項5】
搬送対象物が搭載されるとともに前記アームの先端側に回動可能に連結されるハンドを備え、
前記ハンドは、前記ハンドの先端側に配置されるとともに前記搬送対象物の端面が当接する当接面を有する端面当接部材と、前記当接面に向かって前記搬送対象物を押し付ける押付部材と、前記ハンドの基端側の内部に配置されるとともに前記押付部材を移動させる移動機構と、前記移動機構を上側から覆うカバーとを備え、
前記移動機構には、前記押付部材の基端が連結され、
前記カバーは、前記押付部材の基端側部分を上側から覆っていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水平多関節ロボット。
【請求項6】
搬送対象物が搭載されるとともに前記アームの先端側に回動可能に連結されるハンドを備え、
前記ハンドは、前記ハンドの先端側に配置されるとともに前記搬送対象物の端面が当接する当接面を有する端面当接部材と、前記当接面に向かって前記搬送対象物を押し付ける押付部材と、前記ハンドの基端側の内部に配置されるとともに前記押付部材を移動させる移動機構と、前記移動機構を上側から覆うカバーとを備え、
前記移動機構は、前記押付部材の基端が先端に固定されるスライド軸と、前記スライド軸をスライド可能に保持する軸保持部材とを備え、
前記軸保持部材には、前記スライド軸が挿通される貫通穴が形成され、
前記スライド軸は、前記軸保持部材に対して直線的にスライド可能となっており、
前記スライド軸の先端側には、前記スライド軸の径方向の外側に広がる鍔部が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の水平多関節ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基板や半導体ウエハ等の搬送対象物を搬送するための水平多関節ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の水平多関節ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。アームは、互いに回動可能に連結される第1アーム部と第2アーム部とによって構成されている。
【0003】
特許文献1に記載の水平多関節ロボットでは、第1アーム部の基端側は、本体部に回動可能に連結されている。第2アーム部の基端側は、第1アーム部の先端側に回動可能に連結されている。ハンドは、第2アーム部の先端側に回動可能に連結されている。第1アーム部は、本体部よりも上側に配置され、第2アーム部は、第1アーム部よりも上側に配置され、ハンドは、第2アーム部よりも上側に配置されている。本体部と第1アーム部との連結部分、第1アーム部と第2アーム部との連結部分、および、第2アーム部とハンドとの連結部分は、関節部となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の水平多関節ロボットが、たとえば、液体を使う所定の処理が行われた後の半導体ウエハを搬送する場合、半導体ウエハ上に残っている液体が半導体ウエハから落下して、関節部から水平多関節ロボットの内部に入り込むおそれがある。また、関節部から水平多関節ロボットの内部に液体が入り込むと、水平多関節ロボットの内部で腐食が発生するおそれが生じる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットにおいて、関節部から水平多関節ロボットの内部への液体の浸入を抑制することが可能な水平多関節ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の水平多関節ロボットは、水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットにおいて、支持部と、支持部の上側に配置されるとともに支持部に回動可能に連結される被支持部とを備え、支持部は、支持部と被支持部との連結部分となる関節部において支持部の外周側部分の少なくとも一部を構成する環状の支持側部材を備え、被支持部は、関節部において被支持部の外周側部分の少なくとも一部を構成する被支持側部材を備え、被支持側部材は、関節部の径方向の外側から支持側部材の少なくとも上側部分を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部を備え、筒状覆部の下端は、支持側部材の上端よりも下側に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の水平多関節ロボットでは、支持部は、支持部と被支持部との連結部分となる関節部において支持部の外周側部分の少なくとも一部を構成する環状の支持側部材を備え、支持部の上側に配置される被支持部は、関節部において被支持部の外周側部分の少なくとも一部を構成する被支持側部材を備えている。また、本発明では、被支持側部材は、関節部の径方向の外側から支持側部材の少なくとも上側部分を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部を備えており、筒状覆部の下端は、支持側部材の上端よりも下側に配置されている。そのため、本発明では、関節部において、筒状覆部の下側を通過した液体が支持側部材の上側を通過しなければ、関節部から水平多関節ロボットの内部に液体は浸入しない。したがって、本発明では、たとえば、搬送対象物から落下した液体が関節部から水平多関節ロボットの内部に浸入するのを抑制することが可能になる。
【0009】
本発明において、たとえば、水平多関節ロボットは、搬送対象物が搭載される被支持部としてのハンドを備え、アームは、ハンドが先端側に回動可能に連結される支持部としての先端側アーム部を備えている。
【0010】
本発明において、たとえば、水平多関節ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドを備え、アームは、ハンドが先端側に回動可能に連結される被支持部としての先端側アーム部と、先端側アーム部の基端側が先端側に回動可能に連結される支持部としての基端側アーム部とを備えている。
【0011】
本発明において、たとえば、水平多関節ロボットは、アームの基端側が回動可能に連結される支持部としての本体部を備え、アームは、本体部に基端側が回動可能に連結される被支持部としての基端側アーム部を備えている。
【0012】
本発明において、水平多関節ロボットは、搬送対象物が搭載されるとともにアームの先端側に回動可能に連結されるハンドを備え、ハンドは、ハンドの先端側に配置されるとともに搬送対象物の端面が当接する当接面を有する端面当接部材と、当接面に向かって搬送対象物を押し付ける押付部材と、ハンドの基端側の内部に配置されるとともに押付部材を移動させる移動機構と、移動機構を上側から覆うカバーとを備え、移動機構には、押付部材の基端が連結され、カバーは、押付部材の基端側部分を上側から覆っていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、搬送対象物から落下した液体が押付部材の基端側部分に付着するのをカバーによって抑制することが可能になる。したがって、たとえば、搬送対象物から落下した液体がハンドの基端側の内部へ浸入するのをカバーによって抑制することが可能になる。
【0013】
本発明において、水平多関節ロボットは、搬送対象物が搭載されるとともにアームの先端側に回動可能に連結されるハンドを備え、ハンドは、ハンドの先端側に配置されるとともに搬送対象物の端面が当接する当接面を有する端面当接部材と、当接面に向かって搬送対象物を押し付ける押付部材と、ハンドの基端側の内部に配置されるとともに押付部材を移動させる移動機構と、移動機構を上側から覆うカバーとを備え、移動機構は、押付部材の基端が先端に固定されるスライド軸と、スライド軸をスライド可能に保持する軸保持部材とを備え、軸保持部材には、スライド軸が挿通される貫通穴が形成され、スライド軸は、軸保持部材に対して直線的にスライド可能となっており、スライド軸の先端側には、スライド軸の径方向の外側に広がる鍔部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、搬送対象物から落下した液体が軸保持部材の貫通穴を通過してハンドの基端側の内部へ浸入するのを鍔部によって抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の水平多関節ロボットでは、関節部から水平多関節ロボットの内部への液体の浸入を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる水平多関節ロボットの平面図である。
【
図2】
図1に示す水平多関節ロボットの側面図である。
【
図3】
図1に示すアームが伸びている状態のハンドおよびアームの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(水平多関節ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる水平多関節ロボット1の平面図である。
図2は、
図1に示す水平多関節ロボット1の側面図である。
【0018】
本形態の水平多関節ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するための産業用ロボットである。ウエハ2は、円板状に形成されている。本形態では、ウエハ2に対して液体を使う所定の処理が行われ、ロボット1は、処理後のウエハ2を搬送する。
【0019】
ロボット1は、ウエハ2が搭載されるハンド3と、ハンド3が先端側に回動可能に連結されるアーム4と、アーム4の基端側が回動可能に連結される本体部5とを備えている。また、ロボット1は、本体部5を水平方向に直線的に移動させる水平移動機構(図示省略)を備えている。本形態のロボット1は、2個のハンド3および2本のアーム4を備えており、2本のアーム4のそれぞれに1個のハンド3が回動可能に連結されている。本体部5には、2本のアーム4の基端側が回動可能に連結されている。
【0020】
アーム4は、互いに相対回動可能に連結される第1アーム部7と第2アーム部8との2個のアーム部によって構成されている。アーム4は、水平方向に動作する。具体的には、アーム4は、水平方向において伸縮動作をする。第1アーム部7および第2アーム部8は、中空状に形成されている。第1アーム部7の基端側は、本体部5に回動可能に連結されている。第1アーム部7の先端側には、第2アーム部8の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部8の先端側には、ハンド3が回動可能に連結されている。本形態の第2アーム部8は、先端側アーム部であり、第1アーム部7は、基端側アーム部である。
【0021】
第1アーム部7は、本体部5に対して上下方向を回動の軸方向として回動する。第2アーム部8は、第1アーム部7に対して上下方向を回動の軸方向として回動する。ハンド3は、第2アーム部8に対して上下方向を回動の軸方向として回動する。第1アーム部7は、本体部5よりも上側に配置され、第2アーム部8は、第1アーム部7よりも上側に配置されている。ハンド3は、第2アーム部8よりも上側に配置されている。第1アーム部7と本体部5との連結部分は、関節部10となっている。第1アーム部7と第2アーム部8との連結部分は、関節部11となっている。第2アーム部8とハンド3との連結部分は、関節部12となっている。
【0022】
本形態では、ハンド3と第2アーム部8との関係において、第2アーム部8は、支持部となっており、ハンド3は、支持部である第2アーム部8の上側に配置されるとともに第2アーム部8に回動可能に連結される被支持部となっている。また、第1アーム部7と第2アーム部8との関係において、第1アーム部7は、支持部となっており、第2アーム部8は、支持部である第1アーム部7の上側に配置されるとともに第1アーム部7に回動可能に連結される被支持部となっている。また、本体部5と第1アーム部7との関係において、本体部5は、支持部となっており、第1アーム部7は、支持部である本体部5の上側に配置されるとともに本体部5に回動可能に被支持部となっている。
【0023】
(本体部、アームおよびハンドの構成)
図3は、
図1に示すアーム4が伸びている状態のハンド3およびアーム4の平面図である。
図4は、
図3のE-E断面の断面図である。
図5は、
図4のF部の拡大図である。
図6は、
図4のG部の拡大図である。
図7は、
図4のH部の拡大図である。
【0024】
本体部5は、中空状に形成されるケース体14を備えている。ケース体14の内部には、上下方向を回動の軸方向としてケース体14に対して回動可能な中空状の回動軸15が配置されている。また、本体部5は、ケース体14の上端に形成される開口を塞ぐようにケース体14の上端部に固定される円板状のカバー16と、ケース体14またはカバー16に固定される筒状の固定部材17とを備えている。カバー16の外形は、ケース体14の外形よりも大きくなっている。固定部材17には、プーリ18が固定されている。
【0025】
回動軸15は、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。固定部材17は、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。回動軸15は、固定部材17の内周側に配置されている。カバー16の中心部には、固定部材17の一部が配置される貫通穴が形成されており、固定部材17は、カバー16の中心部に固定されている。固定部材17の上端は、カバー16の上面よりも上側に配置され、固定部材17の下端は、カバー16の上面よりも下側に配置されている。
【0026】
回動軸15の上端は、カバー16の上面よりも上側に配置されている。回動軸15の上端には、第1アーム部7の基端側が固定されている。ケース体14の内部には、ケース体14に対して回動軸15を回動させるためのモータ(図示省略)が配置されている。このモータには、たとえば、プーリ、ベルトおよび減速機を介して回動軸15が連結されている。
【0027】
第1アーム部7は、細長い中空の箱状に形成されるアーム部本体21と、平板状の2枚のカバー22、23とを備えている(
図4参照)。アーム部本体21の上面は、アーム部本体21の先端部を除いて開口している。アーム部本体21の下面は、アーム部本体21の基端部を除いて開口している。カバー22は、アーム部本体21の上面に形成される開口を塞ぐようにアーム部本体21の上面側に固定されている。カバー23は、アーム部本体21の下面に形成される開口を塞ぐようにアーム部本体21の下面側に固定されている。
【0028】
アーム部本体21の基端側の下面には、上下方向に貫通する貫通穴が形成されている。アーム部本体21の先端側の上面には、上下方向に貫通する貫通穴が形成されている。第1アーム部7は、アーム部本体21の基端部に固定される固定部材24と、アーム部本体21の先端部に固定される中空状の固定軸25および軸受押え部材26とを備えている。固定軸25には、プーリ27が固定されている。
【0029】
第2アーム部8は、細長い中空の箱状に形成されるアーム部本体29と、平板状の2枚のカバー30、31とを備えている(
図4参照)。アーム部本体29の上面は、アーム部本体29の先端部を除いて開口している。アーム部本体29の下面は、アーム部本体29の基端部を除いて開口している。カバー30は、アーム部本体29の上面に形成される開口を塞ぐようにアーム部本体29の上面側に固定されている。カバー31は、アーム部本体29の下面に形成される開口を塞ぐようにアーム部本体29の下面側に固定されている。
【0030】
アーム部本体29の基端側の下面には、上下方向に貫通する貫通穴が形成されている。アーム部本体29の先端側の上面には、上下方向に貫通する貫通穴が形成されている。第2アーム部8は、アーム部本体29の基端部に固定される筒状の固定部材32と、アーム部本体29の先端部に固定される筒状の固定部材34とを備えている。固定部材32には、プーリ33が固定されている。
【0031】
ハンド3は、ウエハ2が搭載されるウエハ搭載部36と、ハンド3の基端部を構成するハンド基部37と、ハンド基部37に固定される固定部材38を備えている。固定部材38には、プーリ39が固定されている。ウエハ搭載部36は、略Y型の平板状に形成されている。ウエハ搭載部36は、ハンド基部37の先端部に固定されている。ハンド基部37は、中空状に形成されている。ハンド3のより具体的な構成については後述する。
【0032】
(関節部の構成)
図5に示すように、固定部材17の、カバー16の上面よりも上側に配置される部分である上端部17aは、大径部17bと、大径部17bよりも外径の小さい中径部17cと、中径部17cよりも外径の小さい小径部17dとによって構成されている。大径部17bと中径部17cと小径部17dとは、下側からこの順番に配置されている。大径部17bの下面は、カバー16の上面に接触している。大径部17bの下面とカバー16の上面との間には、大径部17bの内周側への液体の浸入を防止するためのOリング等のシール部材が配置されている。
【0033】
関節部10では、上述のように、固定部材17の内周側に回動軸15が配置されている。固定部材17の上端部17aは、関節部10において本体部5の外周面の一部を構成している。具体的には、上端部17aは、関節部10において本体部5の外周面の上端部を構成している。本形態の固定部材17は、関節部10において本体部5の外周側部分の一部を構成する環状の支持側部材となっている。
【0034】
回動軸15は、軸受42を介して固定部材17に回動可能に支持されている。プーリ18は、固定部材17の小径部17dの上端部に固定されている。回動軸15の上端部および固定部材17の上端部17aは、アーム部本体21の基端側の下面に形成される貫通穴に挿入されている。回動軸15の上端部および小径部17dは、アーム部本体21の基端側の内部に配置されている。プーリ18および軸受42も、アーム部本体21の基端側の内部に配置されている。
【0035】
固定部材24は、アーム部本体21の基端側の内部でアーム部本体21の基端部に固定されている。また、固定部材24は、回動軸15の上端に固定されており、軸受42を介して固定部材17に回動可能に支持されている。そのため、アーム部本体21は、固定部材17に対して回動可能となっている。すなわち、第1アーム部7は、固定部材17およびケース体14に対して回動可能となっている。
【0036】
アーム部本体21の基端側部分は、関節部10において第1アーム部7の外周側部分を構成している。アーム部本体21の下面は、固定部材17の中径部17cの上端よりも下側に配置されている。アーム部本体21の基端部には、関節部10の径方向の外側から中径部17cの上端部および小径部17dを全周に亘って覆う(囲む)筒状の筒状覆部21aが形成されている。すなわち、アーム部本体21は、関節部10の径方向の外側から固定部材17の上側部分を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部21aを備えている。本形態のアーム部本体21は、関節部10において第1アーム部7の外周側部分を構成する被支持側部材となっている。
【0037】
筒状覆部21aの下面は、アーム部本体21の下面の一部を構成している。筒状覆部21aの下面は、中径部17cの上端よりも下側に配置されている。すなわち、筒状覆部21aの下面は、小径部17dの上面よりも下側に配置されており、筒状覆部21aの下端は、固定部材17の上端よりも下側に配置されている。
【0038】
関節部11において、固定軸25は、アーム部本体21の先端側の内部に配置されている。固定軸25は、上下方向を軸方向とする細長い円筒状に形成されている。アーム部本体21には、固定軸25の下端部が固定されている。プーリ27は、固定軸25の上端に固定されている。プーリ27は、アーム部本体29の基端側の内部に配置されている。軸受押え部材26は、円環状に形成されている。また、軸受押え部材26は、上下方向の長さが短い扁平な円筒状に形成されている。
【0039】
軸受押え部材26は、アーム部本体21の先端部の上面側に固定されている。軸受押え部材26の上端は、アーム部本体21の上面およびカバー22の上面よりも上側に配置されている。軸受押え部材26は、関節部11において第1アーム部7の外周面の一部を構成している。具体的には、軸受押え部材26は、関節部11において第1アーム部7の外周面の上端部を構成している。軸受押え部材26は、後述の軸受45を上側から押える機能を果たしている。本形態の軸受押え部材26は、関節部11において第1アーム部7の外周側部分の一部を構成する環状の支持側部材となっている。
【0040】
固定部材32は、アーム部本体29の基端側の下面に固定されている。固定部材32の上端部の外周面は、アーム部本体29の基端部の下面に形成される貫通穴の内周面に接触している。プーリ33は、固定部材32の下端に固定されている。固定部材32は、軸受押え部材26の内周側に挿入されており、固定部材32の下端部およびプーリ33は、アーム部本体21の先端側の内部に配置されている。プーリ33とプーリ18とには、図示を省略するベルトが架け渡されている。
【0041】
固定軸25は、固定部材32およびプーリ33の内周側に配置されている。固定部材32およびプーリ33は、軸受44を介して固定軸25に回動可能に支持されている。また、固定部材32およびプーリ33は、軸受45を介してアーム部本体21の先端部および軸受押え部材26に回動可能に支持されている。そのため、固定部材32は、アーム部本体21および固定軸25に対して回動可能となっている。すなわち、第2アーム部8は、第1アーム部7に対して回動可能となっている。
【0042】
アーム部本体29の基端側部分は、関節部11において第2アーム部8の外周側部分を構成している。アーム部本体29の基端部の下面には、軸受押え部材26の上端部が配置される凹部29bが形成されている。凹部29bは、上側に向かって窪む円環状に形成されている。アーム部本体29の下面は、軸受押え部材26の上端よりも下側に配置されている。本形態のアーム部本体29は、関節部11において第2アーム部8の外周側部分を構成する被支持側部材となっている。
【0043】
関節部11の径方向における凹部29bの外側部分は、関節部11の径方向の外側から軸受押え部材26の上端部を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部29aとなっている。すなわち、アーム部本体29の基端部には、関節部11の径方向の外側から軸受押え部材26の上端部を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部29aが形成されており、アーム部本体29は、関節部11の径方向の外側から軸受押え部材26の上側部分を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部29aを備えている。上述のように、アーム部本体29の下面は、軸受押え部材26の上端よりも下側に配置されており、筒状覆部29aの下端は、軸受押え部材26の上端よりも下側に配置されている。
【0044】
関節部12において、アーム部本体29の内部には、アーム部本体29の下端側から上側に突出する円筒状の中空軸部29cが形成されている。固定部材34は、円環状に形成されている。また、固定部材34は、上下方向の長さが短い扁平な円筒状に形成されている。固定部材34は、アーム部本体29の先端部の上面側に固定されている。固定部材34の上端は、アーム部本体29の上面およびカバー30の上面よりも上側に配置されている。固定部材34は、関節部12において第2アーム部8の外周面の一部を構成している。具体的には、固定部材34は、関節部12において第2アーム部8の外周面の上端部を構成している。本形態の固定部材34は、関節部12において第2アーム部8の外周側部分の一部を構成する環状の支持側部材となっている。
【0045】
固定部材38は、鍔部38bを有する鍔付きの円筒状に形成されている。固定部材38は、ハンド基部37の下面に固定されている。プーリ39は、固定部材38の下端に固定されている。プーリ39の上端部および固定部材38の下端部は、固定部材34の内周側に挿入されている。プーリ39の下端部は、アーム部本体29の先端側の内部に配置されている。プーリ39とプーリ27とには、図示を省略するベルトが架け渡されている。中空軸部29cは、プーリ39の内周側に配置されている。固定部材38およびプーリ39は、軸受47を介して中空軸部29cに回動可能に支持されている。そのため、固定部材38およびプーリ39は、アーム部本体29に対して回動可能となっている。すなわち、ハンド3は、第2アーム部8に対して回動可能となっている。
【0046】
固定部材38の鍔部38bは、関節部12の径方向の外側に広がる円環状に形成されている。鍔部38bは、固定部材38の下側部分に形成されている。固定部材38は、関節部12においてハンド3の外周面の一部を構成している。具体的には、固定部材38は、関節部12においてハンド3の外周面の下端部を構成している。鍔部38bの下面には、固定部材34の上端部が配置される凹部38cが形成されている。凹部38cは、上側に向かって窪む円環状に形成されている。鍔部38bの下面は、固定部材34の上端よりも下側に配置されている。本形態の固定部材38は、関節部12においてハンド3の外周側部分の一部を構成する被支持側部材となっている。
【0047】
関節部12の径方向における凹部38cの外側部分は、関節部12の径方向の外側から固定部材34の上端部を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部38aとなっている。すなわち、固定部材38には、関節部12の径方向の外側から固定部材34の上端部を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部38aが形成されており、固定部材38は、関節部12の径方向の外側から固定部材34の上側部分を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部38aを備えている。上述のように、鍔部38bの下面は、固定部材34の上端よりも下側に配置されており、筒状覆部38aの下端は、固定部材34の上端よりも下側に配置されている。
【0048】
(ハンドの構成)
図8は、
図3のJ-J断面の断面図である。
【0049】
ハンド3は、ウエハ搭載部36、ハンド基部37および固定部材38に加えて、ウエハ2の端面が当接する当接面を有する2個の端面当接部材48と、ウエハ2が載置される2個のウエハ載置部材49と、端面当接部材48の当接面に向かってウエハ2を押し付ける押付部材50と、押付部材50を移動させる移動機構51とを備えている。ハンド基部37は、ハンド基部本体53と、ハンド基部本体53の上面に固定されるカバー54とを備えている。
【0050】
端面当接部材48は、略Y形状をなすウエハ搭載部36の先端部の2箇所に配置されている。すなわち、端面当接部材48は、ハンド3の先端側に配置されている。ウエハ載置部材49は、ウエハ搭載部36の基端側に配置されている。ウエハ2は、2個の端面当接部材48と2個のウエハ載置部材49とに搭載される。
【0051】
押付部材50は、ウエハ2の端面に接触する2個のローラ56と、2個のローラ56を回転可能に保持するローラ保持部材57と、ローラ保持部材57が固定される基材58とを備えている。ローラ56は、略Y形状をなすローラ保持部材57の先端部の2箇所に取り付けられている。基材58は、上下方向を厚さ方向とする細長い長方形の平板状に形成されている。基材58は、押付部材50の基端側部分を構成している。ローラ保持部材57は、基材58の長手方向の一端部となる先端部に固定されている。
【0052】
移動機構51は、ハンド基部37の内部に配置されている。すなわち、移動機構51は、ハンド3の基端側の内部に配置されている。具体的には、ハンド基部本体53に、ハンド基部本体53の上面から下側に向かって窪む凹部が形成されており、この凹部の中に移動機構51が配置されている。移動機構51は、駆動源としてのエアシリンダ60と、エアシリンダ60の動力で水平方向にスライドするスライド軸61と、スライド軸61をスライド可能に保持する軸保持部材62とを備えている。
【0053】
エアシリンダ60は、ハンド基部本体53に固定されている。スライド軸61は、細長い円柱状に形成されている。スライド軸61の軸方向におけるスライド軸61の一端であるスライド軸61の基端は、エアシリンダ60のロッドに取り付けられている。スライド軸61の軸方向におけるスライド軸61の他端であるスライド軸61の先端には、基材58の基端が固定されている。すなわち、スライド軸61の先端には、押付部材50の基端が固定されている。また、押付部材50の基端が移動機構51に連結されている。
【0054】
スライド軸61の先端側には、スライド軸61の径方向の外側に広がる鍔部61aが形成されている。本形態では、スライド軸61の先端部が鍔部61aとなっている。鍔部61aは、円環状に形成されている。スライド軸61の軸方向から見たときに、鍔部61aの外形は、基材58の外形よりも大きくなっている。
【0055】
軸保持部材62は、直方体のブロック状に形成されている。軸保持部材62は、ハンド基部本体53に固定されている。軸保持部材62には、スライド軸61が挿通される貫通穴62aが形成されている。スライド軸61は、軸保持部材62に対して直線的にスライド可能となっている。エアシリンダ60は、2個のローラ56がウエハ2の端面に接触するウエハ保持位置(
図1、
図3参照)と、2個のローラ56がウエハ2の端面から離れるように退避する退避位置との間でスライド軸61および押付部材50を移動させる。
【0056】
ハンド基部本体53の上面に固定されるカバー54は、移動機構51を上側から覆っている。また、カバー54は、押付部材50の基端側部分を上側から覆っている。具体的には、カバー54は、押付部材50が退避位置に配置されているときの基材58の大半部分を上側から覆うとともに、押付部材50がウエハ保持位置に配置されているときの基材58の基端側部分を上側から覆っている。押付部材50がウエハ保持位置に配置されている状態においても、スライド軸61の先端は、カバー54の下側に配置されており、鍔部61aは、カバー54によって上側から覆われている。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、本体部5は、関節部10において本体部5の外周側部分の一部を構成する環状の固定部材17を備え、本体部5の上側に配置される第1アーム部7は、関節部10において第1アーム部7の外周側部分を構成するアーム部本体21を備えている。また、本形態では、アーム部本体21は、関節部10の径方向の外側から固定部材17の上側部分を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部21aを備えており、筒状覆部21aの下端は、固定部材17の上端よりも下側に配置されている。そのため、本形態では、関節部10において、筒状覆部21aの下側を通過した液体が固定部材17の上側を通過しなければ、関節部10から本体部5の内部に液体は浸入しない。したがって、本形態では、たとえば、ウエハ2から落下した液体が関節部10から本体部5の内部に浸入するのを抑制することが可能になる。
【0058】
本形態では、第1アーム部7は、関節部11において第1アーム部7の外周側部分の一部を構成する環状の軸受押え部材26を備え、第1アーム部7の上側に配置される第2アーム部8は、関節部11において第2アーム部8の外周側部分を構成するアーム部本体29を備えている。また、本形態では、アーム部本体29は、関節部11の径方向の外側から軸受押え部材26の上側部分を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部29aを備えており、筒状覆部29aの下端は、軸受押え部材26の上端よりも下側に配置されている。そのため、本形態では、関節部11において、筒状覆部29aの下側を通過した液体が軸受押え部材26の上側を通過しなければ、関節部11から第1アーム部7の内部に液体は浸入しない。したがって、本形態では、たとえば、ウエハ2から落下した液体が関節部11から第1アーム部7の内部に浸入するのを抑制することが可能になる。
【0059】
本形態では、第2アーム部8は、関節部12において第2アーム部8の外周側部分の一部を構成する環状の固定部材34を備え、第2アーム部8の上側に配置されるハンド3は、関節部12においてハンド3の外周側部分の一部を構成する固定部材38を備えている。また、本形態では、固定部材38は、関節部12の径方向の外側から固定部材34の上側部分を全周に亘って覆う筒状の筒状覆部38aを備えており、筒状覆部38aの下端は、固定部材34の上端よりも下側に配置されている。そのため、本形態では、関節部12において、筒状覆部38aの下側を通過した液体が固定部材38の上側を通過しなければ、関節部12から第2アーム部8の内部に液体は浸入しない。したがって、本形態では、たとえば、ウエハ2から落下した液体が関節部12から第2アーム部8の内部に浸入するのを抑制することが可能になる。
【0060】
本形態では、基端が移動機構51に連結される押付部材50の基端側部分は、ハンド基部37の内部に配置される移動機構51を上側から覆うカバー54によって上側から覆われている。具体的には、基材58の、少なくとも基端側部分がカバー54によって上側から覆われている。そのため、本形態では、たとえば、ウエハ2から落下した液体が基材58の、少なくとも基端側部分に付着しにくくなる。したがって、本形態では、たとえば、ウエハ2から落下した液体がハンド基部37の内部に浸入するのをカバー54によって抑制することが可能になる。
【0061】
本形態では、押付部材50の基端が先端に固定されるスライド軸61は、スライド軸61が挿通される貫通穴62aが形成される軸保持部材62にスライド可能に保持されているが、スライド軸61の先端側には、スライド軸61の径方向の外側に広がる鍔部61aが形成されている。そのため、本形態では、たとえば、ウエハ2から落下した液体が軸保持部材62の貫通穴62aを通過してハンド基部37の内部に浸入するのを鍔部61aによって抑制することが可能になる。
【0062】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0063】
上述した形態において、スライド軸61の先端側に形成される鍔部61aがスライド軸61の先端部となっていなくても良い。すなわち、鍔部61aは、スライド軸61の軸方向において、基材58の基端と軸保持部材62との間に形成されていれば良い。また、上述した形態において、アーム4は、互いに回動可能に連結される3個以上のアーム部によって構成されても良い。さらに、上述した形態において、ロボット1が有するハンド3およびアーム4の数は1個であっても良い。また、上述した形態において、ロボット1は、ウエハ2以外の搬送対象物を搬送しても良い。また、上述した形態では、ロボット1は、搬送対象物を搬送するためのロボットであるが、本発明が適用されるロボットは、他の用途で使用されるロボットであっても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 ロボット(水平多関節ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ、搬送対象物)
3 ハンド(被支持部)
4 アーム
5 本体部(支持部)
7 第1アーム部(支持部、被支持部、基端側アーム部)
8 第2アーム部(支持部、被支持部、先端側アーム部)
10~12 関節部
17 固定部材(支持側部材)
21 アーム部本体(被支持側部材)
21a 筒状覆部
26 軸受押え部材(支持側部材)
29 アーム部本体(被支持側部材)
29a 筒状覆部
34 固定部材(支持側部材)
38 固定部材(被支持側部材)
38a 筒状覆部
48 端面当接部材
50 押付部材
51 移動機構
54 カバー
61 スライド軸
61a 鍔部
62 軸保持部材
62a 貫通穴