IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産サンキョー株式会社の特許一覧

特開2023-81152産業用ロボットおよび産業用ロボットの教示方法
<>
  • 特開-産業用ロボットおよび産業用ロボットの教示方法 図1
  • 特開-産業用ロボットおよび産業用ロボットの教示方法 図2
  • 特開-産業用ロボットおよび産業用ロボットの教示方法 図3
  • 特開-産業用ロボットおよび産業用ロボットの教示方法 図4
  • 特開-産業用ロボットおよび産業用ロボットの教示方法 図5
  • 特開-産業用ロボットおよび産業用ロボットの教示方法 図6
  • 特開-産業用ロボットおよび産業用ロボットの教示方法 図7
  • 特開-産業用ロボットおよび産業用ロボットの教示方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081152
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】産業用ロボットおよび産業用ロボットの教示方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20230602BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20230602BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B25J9/22 A
H01L21/68 G
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194878
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】栗林 保
(72)【発明者】
【氏名】猪股 徹也
(72)【発明者】
【氏名】村田 渉
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707BS26
3C707KS03
3C707KV12
3C707KX07
3C707LS06
3C707LS14
3C707NS13
5F131AA02
5F131CA18
5F131DB06
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA52
5F131KB05
5F131KB53
(57)【要約】
【課題】自動教示された位置を補正するための校正を行う場合であっても、校正を行うためのオペレータの負担を軽減することが可能な産業用ロボットを提供する。
【解決手段】産業用ロボット1では、載置部3の所定位置PPに配置される搬送対象物を搭載するときのハンド4、5の位置であるハンド位置を記憶させるための教示ステップと、教示ステップで記憶されたハンド位置を補正するための校正ステップとを連続的に自動で実行している。校正ステップでは、教示ステップで特定されたハンド位置にハンド5を移動させて所定位置PPに配置された教示用搬送対象物32をハンド5に搭載して取り出した後、教示ステップで特定されたハンド位置にハンド5を再び移動させて載置部3に教示用搬送対象物32を置いてから、ハンド4に取り付けられた第2センサ28で教示用搬送対象物32の位置を検知し、第2センサ28の検知結果に基づいてハンド位置を補正している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を搬送するための産業用ロボットであって、
前記搬送対象物が搭載されるハンドと、上下方向を回動の軸方向として前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記産業用ロボットを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記搬送対象物が載置される載置部の所定位置に配置される前記搬送対象物を前記ハンドに搭載するとき、および、前記ハンドに搭載された前記搬送対象物を前記所定位置に置くときの前記ハンドの上下方向および水平方向の位置であるハンド位置を前記産業用ロボットに記憶させるための教示ステップと、前記教示ステップ後に、前記教示ステップで記憶された前記ハンド位置を補正するための校正ステップとを連続的に自動で実行し、
前記教示ステップが実行されるときには、前記搬送対象物と同形状に形成されるダミー搬送対象物、または、前記搬送対象物が前記所定位置に配置されており、
前記所定位置に配置される前記搬送対象物または前記ダミー搬送対象物を教示用搬送対象物とすると、
前記教示ステップでは、前記ハンドに取り付けられた第1センサによって、前記所定位置に配置された前記教示用搬送対象物の上下方向の位置を検知し、かつ、前記ハンドに取り付けられた第2センサによって、前記所定位置に配置された前記教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知するとともに、前記制御部は、前記第1センサおよび前記第2センサの検知結果に基づいて前記ハンド位置を特定して記憶し、
前記校正ステップでは、前記教示ステップで特定された前記ハンド位置に前記ハンドを移動させて前記所定位置に配置された前記教示用搬送対象物を前記ハンドに搭載して取り出した後、前記教示ステップで特定された前記ハンド位置に前記ハンドを再び移動させて前記載置部に前記教示用搬送対象物を置き、その後、前記ハンドに取り付けられた前記第2センサによって、前記載置部に置かれた前記教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知するとともに、前記制御部は、前記第2センサの検知結果に基づいて、前記教示ステップで記憶された前記ハンド位置のうちの水平方向の位置を補正することを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記ハンドとして、第1ハンドおよび第2ハンドを備え、
前記第1ハンドおよび前記第2ハンドのいずれか一方は、前記第1ハンドおよび前記第2ハンドのいずれか他方よりも上側に配置され、
上下方向から見たときに、前記アームに対する前記第1ハンドの回動中心と前記アームに対する前記第2ハンドの回動中心とが一致しているとともに、前記アームに対する前記第1ハンドの回動角度と前記アームに対する前記第2ハンドの回動角度とが等しいときに、前記第1ハンドに搭載される前記搬送対象物と前記第2ハンドに搭載される前記搬送対象物とが上下方向で重なっており、
前記教示ステップでは、前記第1ハンドに取り付けられた前記第1センサによって、前記所定位置に配置された前記教示用搬送対象物の上下方向の位置を検知するとともに、前記第1ハンドに取り付けられた前記第2センサによって、前記所定位置に配置された前記教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知し、
前記校正ステップでは、前記教示ステップで特定された前記ハンド位置に前記第2ハンドを移動させて前記所定位置に配置された前記教示用搬送対象物を前記第2ハンドに搭載して取り出した後、前記教示ステップで特定された前記ハンド位置に前記第2ハンドを再び移動させて前記載置部に前記教示用搬送対象物を置き、その後、前記第1ハンドに取り付けられた前記第2センサによって、前記載置部に置かれた前記教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知することを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記教示ステップおよび前記校正ステップが実行されるときには、前記第1センサおよび前記第2センサを有する教示用の治具が前記第1ハンドに取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記第1ハンドは、前記第2ハンドよりも上側に配置されていることを特徴とする請求項3記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記アームに対して前記第1ハンドを回動させる第1ハンド駆動機構と、前記アームに対して前記第2ハンドを回動させる第2ハンド駆動機構と、多関節アームである前記アームを伸縮させるアーム駆動機構と、前記アームを昇降させる昇降機構とを備え、
前記搬送対象物は、円板状に形成され、
前記ハンドは、前記ハンドに搭載される前記搬送対象物の端面に少なくとも3方向から接触して前記搬送対象物を水平方向において一定位置で保持するグリップ機構を備え、
前記アームに対する前記第1ハンドの回動角度と前記アームに対する前記第2ハンドの回動角度とが等しいときに、上下方向から見ると、前記グリップ機構によって保持される前記第1ハンド上の前記搬送対象物の中心と前記グリップ機構によって保持される前記第2ハンド上の前記搬送対象物の中心とが一致していることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の産業用ロボット。
【請求項6】
搬送対象物が搭載されるハンドと、上下方向を回動の軸方向として前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームとを備える産業用ロボットの教示方法であって、
前記搬送対象物が載置される載置部の所定位置に配置される前記搬送対象物を前記ハンドに搭載するとき、および、前記ハンドに搭載された前記搬送対象物を前記所定位置に置くときの前記ハンドの上下方向および水平方向の位置であるハンド位置を前記産業用ロボットに記憶させるための教示ステップと、前記教示ステップ後に、前記教示ステップで記憶された前記ハンド位置を補正するための校正ステップとを連続的に自動で実行し、
前記教示ステップが実行されるときには、前記搬送対象物と同形状に形成されるダミー搬送対象物、または、前記搬送対象物が前記所定位置に配置されており、
前記所定位置に配置される前記搬送対象物または前記ダミー搬送対象物を教示用搬送対象物とすると、
前記教示ステップでは、前記ハンドに取り付けられた第1センサによって、前記所定位置に配置された前記教示用搬送対象物の上下方向の位置を検知し、かつ、前記ハンドに取り付けられた第2センサによって、前記所定位置に配置された前記教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知するとともに、前記第1センサおよび前記第2センサの検知結果に基づいて前記ハンド位置を特定して記憶し、
前記校正ステップでは、前記教示ステップで特定された前記ハンド位置に前記ハンドを移動させて前記所定位置に配置された前記教示用搬送対象物を前記ハンドに搭載して取り出した後、前記教示ステップで特定された前記ハンド位置に前記ハンドを再び移動させて前記載置部に前記教示用搬送対象物を置き、その後、前記ハンドに取り付けられた前記第2センサによって、前記載置部に置かれた前記教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知するとともに、前記第2センサの検知結果に基づいて、前記教示ステップで記憶された前記ハンド位置のうちの水平方向の位置を補正することを特徴とする産業用ロボットの教示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送するための産業用ロボットに関する。また、本発明は、搬送対象物を搬送するための産業用ロボットの教示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを搬送する水平多関節型の産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、ステージへのワークの搬入およびステージからのワークの搬出を行う。この産業用ロボットに対しては、ステージに収容されているワークの上下方向および水平方向の位置を産業用ロボットに記憶させる産業用ロボットの自動教示が行われる。自動教示を行うときには、教示用の治具が産業用ロボットのハンドに取り付けられる。教示用の治具は、ワークの上下方向の位置を検知するための第1センサと、ワークの水平方向の位置を検知するための第2センサとを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットにおいて自動教示が行われる前には、校正(キャリブレーション)が行われる。校正を行うときには、まず、オペレータが、ハンドの理想とされる位置にワークを搭載する。その後、産業用ロボットを操作して、ハンドに搭載されたワークをステージに搬入して置く。その後、上述の教示用の治具をハンドに取り付けてから、自動教示と同じ動作を産業用ロボットに行わせて、第2センサによってワークの水平方向の位置を検知する。また、第2センサの検知結果に基づいて補正値を算出する。産業用ロボットの自動教示が終わると、自動教示された位置が、校正時に算出された補正値に基づいて補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-102695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業用ロボットの場合、自動教示を行うときの作業および操作と校正を行うときの作業および操作とが別々になっており、オペレータは、自動教示を行うときの作業や操作に加えて、校正を行うときの作業や操作を行う必要がある。また、この産業用ロボットの場合、校正を行うときの作業にオペレータの手作業が含まれており、校正を行うときのオペレータの作業は煩雑になる。そのため、特許文献1に記載の産業用ロボットの場合、校正を行うためのオペレータの負担が大きくなる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、搬送対象物を搬送するための産業用ロボットにおいて、自動教示された位置を補正するための校正を行う場合であっても、校正を行うためのオペレータの負担を軽減することが可能な産業用ロボットを提供することにある。また、本発明の課題は、搬送対象物を搬送するための産業用ロボットにおいて、自動教示された位置を補正するための校正を行う場合であっても、校正を行うためのオペレータの負担を軽減することが可能となる産業用ロボットの教示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物を搬送するための産業用ロボットであって、搬送対象物が搭載されるハンドと、上下方向を回動の軸方向としてハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、産業用ロボットを制御する制御部とを備え、制御部は、搬送対象物が載置される載置部の所定位置に配置される搬送対象物をハンドに搭載するとき、および、ハンドに搭載された搬送対象物を所定位置に置くときのハンドの上下方向および水平方向の位置であるハンド位置を産業用ロボットに記憶させるための教示ステップと、教示ステップ後に、教示ステップで記憶されたハンド位置を補正するための校正ステップとを連続的に自動で実行し、教示ステップが実行されるときには、搬送対象物と同形状に形成されるダミー搬送対象物、または、搬送対象物が所定位置に配置されており、所定位置に配置される搬送対象物またはダミー搬送対象物を教示用搬送対象物とすると、教示ステップでは、ハンドに取り付けられた第1センサによって、所定位置に配置された教示用搬送対象物の上下方向の位置を検知し、かつ、ハンドに取り付けられた第2センサによって、所定位置に配置された教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知するとともに、制御部は、第1センサおよび第2センサの検知結果に基づいてハンド位置を特定して記憶し、校正ステップでは、教示ステップで特定されたハンド位置にハンドを移動させて所定位置に配置された教示用搬送対象物をハンドに搭載して取り出した後、教示ステップで特定されたハンド位置にハンドを再び移動させて載置部に教示用搬送対象物を置き、その後、ハンドに取り付けられた第2センサによって、載置部に置かれた教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知するとともに、制御部は、第2センサの検知結果に基づいて、教示ステップで記憶されたハンド位置のうちの水平方向の位置を補正することを特徴とする。
【0008】
また、上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットの教示方法は、搬送対象物が搭載されるハンドと、上下方向を回動の軸方向としてハンドが先端側に回動可能に連結されるアームとを備える産業用ロボットの教示方法であって、搬送対象物が載置される載置部の所定位置に配置される搬送対象物をハンドに搭載するとき、および、ハンドに搭載された搬送対象物を所定位置に置くときのハンドの上下方向および水平方向の位置であるハンド位置を産業用ロボットに記憶させるための教示ステップと、教示ステップ後に、教示ステップで記憶されたハンド位置を補正するための校正ステップとを連続的に自動で実行し、教示ステップが実行されるときには、搬送対象物と同形状に形成されるダミー搬送対象物、または、搬送対象物が所定位置に配置されており、所定位置に配置される搬送対象物またはダミー搬送対象物を教示用搬送対象物とすると、教示ステップでは、ハンドに取り付けられた第1センサによって、所定位置に配置された教示用搬送対象物の上下方向の位置を検知し、かつ、ハンドに取り付けられた第2センサによって、所定位置に配置された教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知するとともに、第1センサおよび第2センサの検知結果に基づいてハンド位置を特定して記憶し、校正ステップでは、教示ステップで特定されたハンド位置にハンドを移動させて所定位置に配置された教示用搬送対象物をハンドに搭載して取り出した後、教示ステップで特定されたハンド位置にハンドを再び移動させて載置部に教示用搬送対象物を置き、その後、ハンドに取り付けられた第2センサによって、載置部に置かれた教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知するとともに、第2センサの検知結果に基づいて、教示ステップで記憶されたハンド位置のうちの水平方向の位置を補正することを特徴とする。
【0009】
本発明では、搬送対象物が載置される載置部の所定位置に配置される搬送対象物をハンドに搭載するとき、および、ハンドに搭載された搬送対象物を所定位置に置くときのハンドの上下方向および水平方向の位置であるハンド位置を産業用ロボットに記憶させるための教示ステップと、教示ステップ後に、教示ステップで記憶されたハンド位置を補正するための校正ステップとを連続的に自動で実行している。
【0010】
また、本発明では、校正ステップにおいて、教示ステップで特定されたハンド位置にハンドを移動させて所定位置に配置された教示用搬送対象物をハンドに搭載して取り出した後、教示ステップで特定されたハンド位置にハンドを再び移動させて載置部に教示用搬送対象物を置き、その後、ハンドに取り付けられた第2センサによって、載置部に置かれた教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知するとともに、第2センサの検知結果に基づいて、教示ステップで記憶されたハンド位置のうちの水平方向の位置を補正している。
【0011】
そのため、本発明では、オペレータが、教示ステップを実行するための作業および操作を行えば、校正ステップを行うための作業や操作を行わなくても、校正ステップまで自動で実行させることが可能になる。したがって、本発明では、教示ステップにおいて自動教示された位置を補正するための校正を行う場合であっても、校正を行うためのオペレータの負担を軽減することが可能になる。
【0012】
本発明において、産業用ロボットは、ハンドとして、第1ハンドおよび第2ハンドを備え、第1ハンドおよび第2ハンドのいずれか一方は、第1ハンドおよび第2ハンドのいずれか他方よりも上側に配置され、上下方向から見たときに、アームに対する第1ハンドの回動中心とアームに対する第2ハンドの回動中心とが一致しているとともに、アームに対する第1ハンドの回動角度とアームに対する第2ハンドの回動角度とが等しいときに、第1ハンドに搭載される搬送対象物と第2ハンドに搭載される搬送対象物とが上下方向で重なっており、教示ステップでは、第1ハンドに取り付けられた第1センサによって、所定位置に配置された教示用搬送対象物の上下方向の位置を検知するとともに、第1ハンドに取り付けられた第2センサによって、所定位置に配置された教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知し、校正ステップでは、教示ステップで特定されたハンド位置に第2ハンドを移動させて所定位置に配置された教示用搬送対象物を第2ハンドに搭載して取り出した後、教示ステップで特定されたハンド位置に第2ハンドを再び移動させて載置部に教示用搬送対象物を置き、その後、第1ハンドに取り付けられた第2センサによって、載置部に置かれた教示用搬送対象物の水平方向の位置を検知することが好ましい。
【0013】
このように構成すると、校正ステップにおいて、第1センサおよび第2センサが取り付けられていない第2ハンドによって教示用搬送対象物を搬送することが可能になるため、たとえば、ハンドによる教示用搬送対象物の搬送に支障が生じるおそれがある位置に第1センサや第2センサが配置されていたとしても、校正ステップにおいて、第1センサおよび第2センサを第1ハンドに取り付けたままの状態で、第2ハンドによって教示用搬送対象物を搬送することが可能になる。
【0014】
本発明において、教示ステップおよび校正ステップが実行されるときには、第1センサおよび第2センサを有する教示用の治具が第1ハンドに取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、第1ハンドに取り付けられる教示用の治具が第1センサおよび第2センサを備えているため、たとえば、第1ハンドによる搬送対象物の搬送に支障が生じるおそれがある位置に第1センサや第2センサが配置されている場合であっても、産業用ロボットの教示後に、第1センサおよび第2センサを第1ハンドから容易に取り外すことが可能になる。また、産業用ロボットの教示を行うときには、第1センサおよび第2センサを第1ハンドに容易に取り付けることが可能になる。
【0015】
本発明において、第1ハンドは、第2ハンドよりも上側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、第1ハンドが第2ハンドよりも下側に配置されている場合と比較して、教示用の治具を取り付けやすくなる。
【0016】
本発明において、たとえば、産業用ロボットは、アームに対して第1ハンドを回動させる第1ハンド駆動機構と、アームに対して第2ハンドを回動させる第2ハンド駆動機構と、多関節アームであるアームを伸縮させるアーム駆動機構と、アームを昇降させる昇降機構とを備え、搬送対象物は、円板状に形成され、ハンドは、ハンドに搭載される搬送対象物の端面に少なくとも3方向から接触して搬送対象物を水平方向において一定位置で保持するグリップ機構を備え、アームに対する第1ハンドの回動角度とアームに対する第2ハンドの回動角度とが等しいときに、上下方向から見ると、グリップ機構によって保持される第1ハンド上の搬送対象物の中心とグリップ機構によって保持される第2ハンド上の搬送対象物の中心とが一致している。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明では、搬送対象物を搬送するための産業用ロボットにおいて、自動教示された位置を補正するための校正を行う場合であっても、校正を行うためのオペレータの負担を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの側面図である。
図2図1に示す産業用ロボットの平面図である。
図3図1に示す産業用ロボットの構成を説明するためのブロック図である。
図4図1に示す産業用ロボットの教示を行うときに使用される治具の構成を説明するための平面図である。
図5図1に示す産業用ロボットの、教示ステップにおける動作を説明するための平面図である。
図6図1に示す産業用ロボットの、教示ステップにおける動作を説明するための平面図である。
図7図1に示す産業用ロボットの、校正ステップにおける動作を説明するための平面図である。
図8図1に示す産業用ロボットの、校正ステップにおける動作を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(産業用ロボットの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の側面図である。図2は、図1に示す産業用ロボット1の平面図である。図3は、図1に示す産業用ロボット1の構成を説明するためのブロック図である。
【0021】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するための水平多関節ロボットである。ウエハ2は、円板状に形成されている。ロボット1は、半導体製造システムに組み込まれて使用される。ロボット1は、ウエハ2が載置される載置部としてのウエハ載置部3(図5等参照)に対してウエハ2を搬送する。すなわち、ロボット1は、ウエハ載置部3へのウエハ2の搬入と、ウエハ載置部3からのウエハ2の搬出とを行う。ウエハ載置部3は、たとえば、ウエハ2に対して所定の処理が行われるときにウエハ2が載置されるステージである。また、ウエハ載置部3は、たとえば、複数枚のウエハ2が収容されるFOUP(Front-Opening Unified Pod)の内部に形成されている。
【0022】
ロボット1は、ウエハ2が搭載されるハンド4、5と、ハンド4、5が先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に動作するアーム6と、アーム6の基端側が回動可能に連結される本体部7とを備えている。また、ロボット1は、ロボット1を制御する制御部8を備えている。本形態のロボット1は、2個のハンド4、5を備えている。本形態のハンド4は、第1ハンドであり、ハンド5は、第2ハンドである。
【0023】
アーム6は、互いに回動可能に連結される3個のアーム部10~12によって構成されている。すなわち、アーム6は、多関節アームである。アーム部10の基端側は、本体部7に回動可能に連結されている。アーム部11の基端側は、アーム部10の先端側に回動可能に連結されている。アーム部12の基端側は、アーム部11の先端側に回動可能に連結されている。アーム部10~12は、上下方向(鉛直方向)を回動の軸方向として回動する。本体部7は、筐体13と、アーム部10の基端側が回動可能に連結される柱状部材(図示省略)を備えている。アーム部10の基端側は、柱状部材の上端部に回動可能に連結されている。本体部7とアーム部10とアーム部11とアーム部12とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。
【0024】
ハンド4、5は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。ハンド4とハンド5とは、同形状に形成されている。ハンド4、5の基端部は、アーム部12の先端側に回動可能に連結されている。ハンド4、5は、上下方向を回動の軸方向として回動する。ハンド4、5は、アーム部12に対して個別に回動可能となっている。ハンド4、5は、ハンド4、5に搭載されるウエハ2の端面(外周面)に3方向から接触してハンド4、5に搭載されるウエハ2を水平方向において一定位置で保持するグリップ機構14を備えている。グリップ機構14は、ウエハ2の端面が当接する当接面を有する端面当接部材15と、ウエハ2の端面が端面当接部材15の当接面に押し付けられるようにウエハ2を押すウエハ押付機構16とを備えている。
【0025】
端面当接部材15は、略Y形状をなすハンド4、5の先端部の2箇所に配置されている。ウエハ押付機構16は、ハンド4、5の先端側に向かってウエハ2の端面を押す押付部と、押付部を駆動するエアシリンダとを備えている。押付部は、ウエハ2の端面に接触するローラを備えている。ウエハ押付機構16は、制御部8に電気的に接続されている。具体的には、エアシリンダの配管経路に配置される電磁弁が制御部8に電気的に接続されている。ハンド4、5の上面には、ウエハ2が載置される2個のウエハ載置部材17が固定されており、ウエハ2は、端面当接部材15とウエハ載置部材17とに搭載される。なお、ハンド4、5に搭載されるウエハ2の端面に4方向以上から接触してウエハ2を保持するようにグリップ機構14が構成されていても良い。
【0026】
ハンド4の基端部とハンド5の基端部とは上下方向で重なっている。本形態では、ハンド4が上側に配置され、ハンド5が下側に配置されている。すなわち、ハンド4は、ハンド5よりも上側に配置されている。また、ハンド4、5は、アーム部12よりも上側に配置されている。上下方向から見たときに、アーム6に対するハンド4の回動中心(すなわち、アーム部12に対するハンド4の回動中心)とアーム6に対するハンド5の回動中心(すなわち、アーム部12に対するハンド5の回動中心)とは一致している。
【0027】
アーム6に対するハンド4の回動角度とアーム6に対するハンド5の回動角度とが等しいときには、ハンド4とハンド5とが上下方向で重なっている。すなわち、アーム6に対するハンド4の回動角度とアーム6に対するハンド5の回動角度とが等しいときには、ハンド4に搭載されるウエハ2とハンド5に搭載されるウエハ2とが上下方向で重なっている。より具体的には、アーム6に対するハンド4の回動角度とアーム6に対するハンド5の回動角度とが等しいときに、上下方向から見ると、グリップ機構14によって保持されるハンド4上のウエハ2の中心と、グリップ機構14によって保持されるハンド5上のウエハ2の中心とが一致している。
【0028】
ロボット1は、アーム6に対してハンド4を回動させる第1ハンド駆動機構19と、アーム6に対してハンド5を回動させる第2ハンド駆動機構20と、多関節アームであるアーム6を伸縮させるアーム駆動機構21と、アーム6を昇降させる昇降機構22とを備えている。第1ハンド駆動機構19、第2ハンド駆動機構20、アーム駆動機構21および昇降機構22は、制御部8に電気的に接続されている。具体的には、第1ハンド駆動機構19、第2ハンド駆動機構20、アーム駆動機構21および昇降機構22の駆動源となるモータ等が制御部8に電気的に接続されている。
【0029】
アーム駆動機構21は、アーム部10、11を回動させてアーム部10とアーム部11とからなるアーム6の一部分を伸縮させる第1駆動機構と、アーム部11に対してアーム部12を回動させる第2駆動機構とから構成されている。昇降機構22は、本体部7の柱状部材を昇降させる。昇降機構22は、筐体13の内部に収納されている。昇降機構22は、柱状部材と一緒にハンド4、5およびアーム6を昇降させる。
【0030】
(産業用ロボットの教示方法)
図4は、図1に示すロボット1の教示を行うときに使用される治具25の構成を説明するための平面図である。図5図6は、図1に示すロボット1の、教示ステップにおける動作を説明するための平面図である。図7図8は、図1に示すロボット1の、校正ステップにおける動作を説明するための平面図である。
【0031】
ロボット1に対しては、ウエハ載置部3に対するウエハ2の適切な搬送を行うための教示が行われる。ロボット1の教示を行うときには、制御部8は、ウエハ載置部3の所定位置PPに配置されるウエハ2をハンド4、5に搭載するとき、および、ハンド4、5に搭載されたウエハ2をウエハ載置部3の所定位置PPに置くときのハンド4、5の上下方向および水平方向の位置であるハンド位置HPをロボット1に記憶させるための教示ステップと、教示ステップ後に、教示ステップで記憶されたハンド位置HPを補正(校正)するための校正ステップとを連続的に自動で実行する。
【0032】
教示ステップおよび校正ステップでは、制御部8は、ウエハ押付機構16、第1ハンド駆動機構19、第2ハンド駆動機構20、アーム駆動機構21および昇降機構22を制御して、ロボット1を動作させる。すなわち、教示ステップおよび校正ステップでは、ロボット1は自動で動作し、教示ステップおよび校正ステップにおいて、ロボット1の教示を行うオペレータによって行われる手作業はない。
【0033】
ロボット1の教示を行うときには、ウエハ2と同形状に形成されるダミー搬送対象物としてのダミーウエハ32が使用される。また、ロボット1の教示を行うときには、教示用の治具25が使用される。治具25は、ハンド4の上面に取り付けられる。すなわち、教示ステップおよび校正ステップが実行されるときには、治具25がハンド4に取り付けられている。図4に示すように、治具25は、薄い平板状に形成される治具本体26と、上下方向におけるダミーウエハ32の位置を検知するための第1センサ27と、水平方向におけるダミーウエハ32の位置を検知するための2個の第2センサ28とを備えている。第1センサ27および第2センサ28は、ロボット1の教示を行うときには使用されるが、ロボット1がウエハ2を搬送するときには使用されない。
【0034】
治具本体26は、治具本体26の厚さ方向と上下方向とが一致するようにハンド4の上面に取り付けられる。治具本体26は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。第1センサ27および第2センサ28は、治具本体26に取り付けられている。第1センサ27は、発光部27aと受光部27bとを有する透過型の光学式センサである。第1センサ27と同様に、第2センサ28は、発光部と受光部とを有する透過型の光学式センサである。ハンド4に治具25を取り付けるときには、第1センサ27の配線および第2センサ28の配線をハンド4側の配線に接続する。治具25がハンド4の上面に取り付けられると、第1センサ27および第2センサ28は、制御部8に電気的に接続される。
【0035】
第1センサ27の発光部27aと受光部27bとは、水平方向において所定の隙間を介して対向配置されている。治具25がハンド4の上面に取り付けられると、発光部27aは、2個の端面当接部材15のうちの一方の端面当接部材15の近傍に配置され、受光部27bは、他方の端面当接部材15の近傍に配置される。第2センサ28の発光部と受光部とは、上下方向において所定の隙間を介して対向配置されている。第2センサ28は、治具本体26の上面側に取り付けられている。治具25がハンド4の上面に取り付けられると、2個の第2センサ28のうちの一方の第2センサ28は、2個のウエハ載置部材17のうちの一方のウエハ載置部材17の近傍に配置され、他方の第2センサ28は、他方のウエハ載置部材17の近傍に配置される。
【0036】
教示ステップが実行される前には、治具25がハンド4に取り付けられる。また、教示ステップが実行される前には、ウエハ載置部3の所定位置PPにダミーウエハ32が配置される。すなわち、教示ステップが実行されるときには、所定位置PPにダミーウエハ32が配置されている。治具25は、ロボット1の教示を行うオペレータがハンド4に取り付ける。ダミーウエハ32は、オペレータが所定位置PPに置く。本形態のダミーウエハ32は、所定位置PPに配置される教示用搬送対象物である。また、教示ステップが実行される前には、治具25が取り付けられたハンド4がウエハ載置部3の正面に配置される(図5参照)。
【0037】
その後、制御部8は、ロボット1の教示開始指令信号を受信する。教示開始指令信号を受信した制御部8は、教示ステップを実行する。教示ステップでは、第1センサ27によって、所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の上下方向の位置を検知し、かつ、第2センサ28によって、所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の水平方向の位置を検知するとともに、制御部8は、第1センサ27および第2センサ28の検知結果に基づいて上述のハンド位置HPを特定する。
【0038】
教示ステップでは、まず、ハンド4に取り付けられた第1センサ27によって、所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の上下方向の位置を検知し、その後、ハンド4に取り付けられた第2センサ28によって、所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の水平方向の位置を検知する。なお、本形態の教示ステップでロボット1が行う動作は、上述の特許文献1に記載された産業用ロボットに対して自動教示を行うときにこの産業用ロボットが行う動作と同じである。
【0039】
所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の上下方向の位置を第1センサ27によって検知するときには、ウエハ載置部3の正面に配置されるハンド4をダミーウエハ32に向かって移動させる。このときには、ハンド4を一定の振幅で上下方向に往復移動させる。たとえば、ハンド4が矩形波状に移動するようにハンド4を上下方向に往復移動させる。ハンド4が上下方向に往復移動しながらダミーウエハ32に向かって移動すると、やがて、第1センサ27の発光部27aから受光部27bに向かう光がダミーウエハ32によって遮られるため(図6(A)参照)、所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の上下方向の位置が検知される。
【0040】
所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の上下方向の位置が検知されると、ハンド4をウエハ載置部3の正面まで一旦、後退させる。その後、ダミーウエハ32の上下方向の位置の検知結果に基づいてハンド4の高さを設定してから、所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の水平方向の位置を第2センサ28によって検知するために、ハンド4をダミーウエハ32に向かって直線的に移動させる。
【0041】
ハンド4がダミーウエハ32に向かって移動すると、やがて、第2センサ28の発光部から受光部に向かう光がダミーウエハ32によって遮られる。所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の水平方向の位置を検知する際には、2個の第2センサ28の発光部から受光部に向かう光がダミーウエハ32によって同時に遮られるように(図6(B)参照)、ハンド4の移動方向に直交する方向におけるハンド4の位置が調整される。
【0042】
たとえば、2個の第2センサ28のうちの一方の第2センサ28の発光部から受光部に向かう光のみがダミーウエハ32によって遮られると、ダミーウエハ32に向かうハンド4の移動を停止して、他方の第2センサ28の発光部から受光部に向かう光がダミーウエハ32によって遮られる位置まで、ハンド4の移動方向に直交する方向にハンド4を移動させる。その後、ハンド4をウエハ載置部3の正面まで後退させてから、再び、ダミーウエハ32に向かって移動させる。
【0043】
2個の第2センサ28の発光部から受光部に向かう光がダミーウエハ32によって同時に遮られると(図6(B)参照)、所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の水平方向の位置が検知される。所定位置PPに配置されたダミーウエハ32の上下方向および水平方向の位置が検知されると、制御部8は、上述のように、第1センサ27および第2センサ28の検知結果に基づいてハンド位置HPを特定する。
【0044】
その後、制御部8は、校正ステップを実行する。校正ステップは、教示ステップに続いて実行されるため、校正ステップの開始時には、ウエハ載置部3の所定位置PPにダミーウエハ32が配置されている。校正ステップでは、まず、図7に示すように、ハンド5をウエハ載置部3の正面に自動で配置する。その後、教示ステップで特定されたハンド位置HPにハンド5を移動させ(図8(A)参照)、所定位置PPに配置されたダミーウエハ32をハンド5に搭載して取り出す(図8(B)参照)。たとえば、図8(B)に示すように、ハンド5に搭載されたウエハ2をウエハ載置部3の正面まで取り出す。ハンド5に搭載されるダミーウエハ32は、グリップ機構14によって一定位置で保持されている。
【0045】
その後、教示ステップで特定されたハンド位置HPにハンド5を再び移動させて(図8(A)参照)、ウエハ載置部3にダミーウエハ32を置く。このとき、ダミーウエハ32が所定位置PPに置かれることが理想ではあるが、実際には、ダミーウエハ32は、ウエハ載置部3の、所定位置PPから若干ずれた位置に置かれる。すなわち、所定位置PPの近傍にダミーウエハ32が置かれる。
【0046】
その後、教示ステップにおいてダミーウエハ32の水平方向の位置を検知する際に行われた動作と同じ動作をロボット1に行わせて、第2センサ28によって、ウエハ載置部3に載置されたダミーウエハ32の水平方向の位置を検知する。このときにも、2個の第2センサ28の発光部から受光部に向かう光がダミーウエハ32によって同時に遮られると、ウエハ載置部3に載置されたダミーウエハ32の水平方向の位置が検知される。その後、制御部8は、第2センサ28の検知結果に基づいて、教示ステップで記憶されたハンド位置HPのうちの水平方向の位置を補正する。
【0047】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、制御部8は、ハンド位置HPをロボット1に記憶させるための教示ステップと、教示ステップ後に、教示ステップで記憶されたハンド位HP置を補正するための校正ステップとを連続的に自動で実行している。また、本形態では、校正ステップにおいて、教示ステップで特定されたハンド位置HPにハンド5を移動させて所定位置PPに配置されたダミーウエハ32をハンド5に搭載して取り出した後、教示ステップで特定されたハンド位置HPにハンド5を再び移動させてウエハ載置部3にダミーウエハ32を置き、その後、第2センサ28によって、ウエハ載置部3に置かれたダミーウエハ32の水平方向の位置を検知するとともに、第2センサ28の検知結果に基づいて、教示ステップで記憶されたハンド位置HPのうちの水平方向の位置を補正している。
【0048】
そのため、本形態では、オペレータが、教示ステップを実行するための作業および操作を行えば、校正ステップを行うための作業や操作を行わなくても、校正ステップまで自動で実行させることが可能になる。したがって、本形態では、教示ステップにおいて自動教示された位置を補正するための校正を行う場合であっても、校正を行うためのオペレータの負担を軽減することが可能になる。
【0049】
本形態では、校正ステップにおいて、第1センサ27および第2センサ28が取り付けられていないハンド5によってダミーウエハ32を搬送している。そのため、本形態では、たとえば、ハンド4によるダミーウエハ32の搬送に支障が生じるおそれがある位置に第1センサ27や第2センサ28が配置されている場合であっても、校正ステップにおいて、第1センサ27および第2センサ28をハンド4に取り付けたままの状態で、ハンド5によってダミーウエハ32を搬送することが可能になる。
【0050】
本形態では、治具25が第1センサ27および第2センサ28を備えている。そのため、本形態では、たとえば、ハンド4によるウエハ2の搬送に支障が生じるおそれがある位置に第1センサ27や第2センサ28が配置されている場合であっても、ロボット1の教示後に、第1センサ27および第2センサ28をハンド4から容易に取り外すことが可能になる。また、ロボット1の教示を行うときには、第1センサ27および第2センサ28をハンド4に容易に取り付けることが可能になる。また、本形態では、治具25が取り付けられるハンド4がハンド5よりも上側に配置されているため、ハンド5に治具25が取り付けられている場合と比較して、治具25を取り付けやすくなる。
【0051】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0052】
上述した形態では、校正ステップにおいて、ダミーウエハ32の搬出および搬入を行った後に、ウエハ載置部3に置かれたダミーウエハ32の水平方向の位置を第2センサ28によって検知するとともに、第2センサ28の検知結果に基づいて、教示ステップで記憶されたハンド位置HPのうちの水平方向の位置を補正しているが、校正ステップにおいて、ダミーウエハ32の搬出および搬入を行った後に、ウエハ載置部3に置かれたダミーウエハ32の上下方向の位置を第1センサ27によって検知し、かつ、ウエハ載置部3に置かれたダミーウエハ32の水平方向の位置を第2センサ28によって検知するとともに、第1センサ27および第2センサ28の検知結果に基づいて、教示ステップで記憶されたハンド位置HPを補正しても良い。すなわち、校正ステップにおいて、教示ステップで記憶されたハンド位置HPの上下方向および水平方向の位置を補正しても良い。
【0053】
上述した形態において、治具25は、ハンド5に取り付けられても良い。この場合には、教示ステップにおいてハンド5が使用される。この場合のハンド5は第1ハンドであり、ハンド4は第2ハンドである。すなわち、第2ハンドが第1ハンドより上側に配置されていても良い。また、上述した形態において、ロボット1の教示を行うときに、ダミーウエハ32に代えて、ウエハ2が使用されても良い。この場合には、ウエハ2が教示用搬送対象物となる。
【0054】
上述した形態において、第1センサ27は、ハンド4に直接取り付けられていても良い。また、第2センサ28は、ハンド4に直接取り付けられていても良い。第1センサ27および第2センサ28がハンド4に直接取り付けられている場合には、治具25が不要になる。また、第1センサ27および第2センサ28がハンド4に直接取り付けられている場合であって、ハンド4によるウエハ2の搬送に支障が生じるおそれがある位置に第1センサ27や第2センサ28が配置されている場合には、ロボット1の教示が始まる前に、、第1センサ27や第2センサ28がハンド4に取り付けられ、ロボット1の教示が終わると、第1センサ27や第2センサ28がハンド4から取り外される。
【0055】
また、第1センサ27および第2センサ28がハンド4に直接取り付けられている場合であって、ハンド4によるダミーウエハ32の搬送に支障が生じない位置に第1センサ27および第2センサ28が配置されている場合には、ロボット1は、ハンド5を備えていなくても良い。この場合には、校正ステップにおいて、教示ステップで特定されたハンド位置HPにハンド4を移動させて所定位置PPに配置されたダミーウエハ32をハンド4に搭載して取り出した後、教示ステップで特定されたハンド位置HPにハンド4を再び移動させてウエハ載置部3にダミーウエハ32を置く。この場合であっても、オペレータが、教示ステップを実行するための作業および操作を行えば、校正ステップを行うための作業や操作を行わなくても、校正ステップまで自動で実行させることが可能になるため、教示ステップにおいて自動教示された位置を補正するための校正を行う場合であっても、校正を行うためのオペレータの負担を軽減することが可能になる。
【0056】
上述した形態において、アーム6は、2個のアーム部によって構成されても良いし、4個以上のアーム部によって構成されても良い。また、上述した形態において、ロボット1は、ウエハ2以外の搬送対象物を搬送するためのロボットであっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ、搬送対象物)
3 ウエハ載置部(載置部)
4 ハンド(第1ハンド)
5 ハンド(第2ハンド)
6 アーム
8 制御部
14 グリップ機構
19 第1ハンド駆動機構
20 第2ハンド駆動機構
21 アーム駆動機構
22 昇降機構
25 治具
27 第1センサ
28 第2センサ
32 ダミーウエハ(ダミー搬送対象物、教示用搬送対象物)
PP 所定位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8