(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008116
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】設置精度判定方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111408
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】長濱 温子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚子
(72)【発明者】
【氏名】巽 研
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172DA05
2E172DB03
2E172DE02
2E172HA03
(57)【要約】
【課題】計測ユニットを支持する冶具が正しく設置されたかの判断の精度向上を図ることができる設置精度判定方法を提供する。
【解決手段】計測ユニット1を支持する途中階用冶具200を所定の位置に設置するステップS11と、前記所定の位置よりも下方且つ鋼管7の柱底6aよりも上方に形成され鋼管7の側面を貫通する充填確認孔7eからターゲット部材30を鋼管7内に挿入するステップS12と、レーザ距離計4によってターゲット部材30までの高さ方向の距離である第一の距離L1を測定するステップS13と、レーザ距離計4によって鋼管7の柱底6aまでの高さ方向の距離である第二の距離L2を測定するステップS14と、第二の距離L2から第一の距離L1を減算した値と、鋼管7の柱底6aから充填確認孔7eまでの高さ寸法hとを比較することにより、途中階用冶具200が正しく設置されたか否かを判定するステップS15と、を具備する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CFT構造用の鋼管内に圧入されたコンクリートの上方から、当該コンクリートの天端までの距離を測定するレーザ距離計を有する計測ユニットを設置する際に、当該計測ユニットを支持する冶具の設置精度を判定する設置精度判定方法であって、
前記冶具を所定の位置に設置する設置ステップと、
前記所定の位置よりも下方且つ前記鋼管の内部空間の最下端よりも上方に形成され前記鋼管の側面を貫通する挿入孔から、前記レーザ距離計から照射されるレーザ光を受けるターゲット部材を前記鋼管内に挿入する挿入ステップと、
前記レーザ距離計によって、当該レーザ距離計から前記ターゲット部材までの高さ方向の距離である第一の距離を測定する第一距離測定ステップと、
前記レーザ距離計によって、当該レーザ距離計から前記鋼管の内部空間の最下端までの高さ方向の距離である第二の距離を測定する第二距離測定ステップと、
前記第二の距離から前記第一の距離を減算した値と、前記鋼管の内部空間の最下端から前記挿入孔までの高さ寸法とを比較することにより、前記冶具が正しく設置されたか否かを判定する判定ステップと、
を具備する設置精度判定方法。
【請求項2】
前記挿入孔は、
コンクリートが予定充填高さまで充填されているかを視認するための充填確認孔、又は前記鋼管の内部空間の蒸気を抜くための蒸気抜き孔である、
請求項1に記載の設置精度判定方法。
【請求項3】
前記ターゲット部材は、
一方向に延伸するように形成され、前記レーザ距離計から照射されるレーザ光を受ける被照射部と、
前記被照射部を前記鋼管に固定する被固定部と、
を具備し、
前記被固定部は、
前記被照射部の延伸方向と直交するように形成され、前記鋼管の外側面と当接可能な当接面を具備する、
請求項1又は請求項2に記載の設置精度判定方法。
【請求項4】
前記被固定部は、
磁性を有する材料により形成されている、
請求項3に記載の設置精度判定方法。
【請求項5】
前記被照射部は、
前記鋼管内に挿入された状態で、平面視における面積を拡大可能に形成されている、
請求項3又は請求項4に記載の設置精度判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ距離計を有する計測ユニットを支持する冶具の設置精度を判定する設置精度判定方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CFT構造用の鋼管内にコンクリートを圧入する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、鋼管の下部のコンクリート圧入口からポンプ車によりコンクリートを圧入することで、鋼管の内部空間にコンクリートを圧入充填する方法が記載されている。
【0004】
上記特許文献1に記載された方法では、所定の計測階において、レーザ距離計から発するレーザ光を用いて、鋼管内部に充填されたコンクリートの天端までの距離を測定する。これにより、コンクリートの充填高さ(圧入レベル)を確認することができる。
【0005】
上記レーザ距離計を有する計測ユニットは、計測階において、鋼管のコンクリート圧入口から挿通される冶具によって、鋼管内部に位置するように支持される。
【0006】
このような冶具を設置する際には、例えばレーザ距離計のコンクリートの天端に対する指向方向がずれる等、冶具が正しく設置されない可能性がある。冶具が正しく設置されない場合、コンクリートの充填高さの測定結果の精度も低くなる。従って、冶具が正しく設置されたかの判断の精度向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、計測ユニットを支持する冶具が正しく設置されたかの判断の精度向上を図ることができる設置精度判定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、CFT構造用の鋼管内に圧入されたコンクリートの上方から、当該コンクリートの天端までの距離を測定するレーザ距離計を有する計測ユニットを設置する際に、当該計測ユニットを支持する冶具の設置精度を判定する設置精度判定方法であって、前記冶具を所定の位置に設置する設置ステップと、前記所定の位置よりも下方且つ前記鋼管の内部空間の最下端よりも上方に形成され前記鋼管の側面を貫通する挿入孔から、前記レーザ距離計から照射されるレーザ光を受けるターゲット部材を前記鋼管内に挿入する挿入ステップと、前記レーザ距離計によって、当該レーザ距離計から前記ターゲット部材までの高さ方向の距離である第一の距離を測定する第一距離測定ステップと、前記レーザ距離計によって、当該レーザ距離計から前記鋼管の内部空間の最下端までの高さ方向の距離である第二の距離を測定する第二距離測定ステップと、前記第二の距離から前記第一の距離を減算した値と、前記鋼管の内部空間の最下端から前記挿入孔までの高さ寸法とを比較することにより、前記冶具が正しく設置されたか否かを判定する判定ステップと、を具備するものである。
【0011】
請求項2においては、前記挿入孔は、コンクリートが予定充填高さまで充填されているかを視認するための充填確認孔、又は前記鋼管の内部空間の蒸気を抜くための蒸気抜き孔である
【0012】
請求項3においては、前記ターゲット部材は、一方向に延伸するように形成され、前記レーザ距離計から照射されるレーザ光を受ける被照射部と、前記被照射部を前記鋼管に固定する被固定部と、を具備し、前記被固定部は、前記被照射部の延伸方向と直交するように形成され、前記鋼管の外側面と当接可能な当接面を具備するものである。
【0013】
請求項4においては、前記被固定部は、磁性を有する材料により形成されているものである。
【0014】
請求項5においては、前記被照射部は、前記鋼管内に挿入された状態で、平面視における面積を拡大可能に形成されているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、計測ユニットを支持する冶具が正しく設置されたかの判断の精度向上を図ることができる。
【0017】
請求項2においては、ターゲット部材を挿入するための新たな孔の形成を不要とすることができる。
【0018】
請求項3においては、鋼管に被固定部の当接面を当接させることにより、被照射部の延伸方向の水平を保つことができる。
【0019】
請求項4においては、鋼管にターゲット部材を容易に固定することができる。
【0020】
請求項5においては、挿入孔の大きさを大きくすることなく、レーザ距離計から被照射部へのレーザ光の照射の確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】最上階用冶具が設置されたコンクリート充填鋼管柱を示した断面図。
【
図3】途中階用冶具が設置されたコンクリート充填鋼管柱を示した断面図。
【
図6】途中階用冶具によって支持されたレーザ距離計による距離測定方法を示した断面図。
【
図7】ターゲット部材が鋼管に固定された状態を示した斜視図。
【
図8】最上階用冶具によって支持されたレーザ距離計による距離測定方法を示した断面図。
【
図9】コンクリート充填後における距離測定方法を示した断面図。
【
図10】第二実施形態に係る設置精度判定方法において用いられるターゲット部材が鋼管に固定された状態を示した斜視図。
【
図11】(a)第三実施形態に係る設置精度判定方法において用いられるターゲット部材の第一状態を示した平面図。(b)当該ターゲット部材の第二状態を示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向、左右方向及び上下方向を定義して説明を行う。
【0023】
本発明の一実施形態に係る設置精度判定方法は、計測ユニット1を支持する冶具10の設置精度を判定するものである。計測ユニット1は、CFT構造(コンクリート充填鋼管構造)の建物の柱を構成する鋼管7の内部に圧入されたコンクリート8の圧入速度を測定するものである。
【0024】
以下では、まず、
図1、
図3及び
図4を用いて、CFT構造の建物の柱(以下では、「コンクリート充填鋼管柱6」と称する)の構成について説明する。
【0025】
コンクリート充填鋼管柱6は、
図1に示すように、鋼管7の内部空間にコンクリート8が充填されることで形成される。以下、コンクリート充填鋼管柱6の底(最下端)を、柱底6aと称する。鋼管7は、鋼材(鉄材)からなる四角筒形状の部材である。なお、鋼管7は、円筒形状であってもよい。鋼管7は、建物の各階に亘って形成される。鋼管7は、挿通孔7a及びダイアフラム7bを具備する。
【0026】
挿通孔7aは、鋼管7の側面(一の側面)を前後方向に貫通するように形成された孔である。挿通孔7aを介して、鋼管7の内部空間にコンクリート8が圧入される。挿通孔7aは、少なくとも建物の地上階Faに対応する位置に設けられる。また、挿通孔7aは、必要に応じて、所定の途中階Fnに対応する位置に設けられる(
図9参照)。
【0027】
また、鋼管7の側面には、コンクリート8が予定打設高さまで充填されているかを視認できるようにするための充填確認孔7eが設けられている。充填確認孔7eは、レーザ距離計4(計測ユニット1)より下方において、鋼管7の側面を前後方向に貫通するように形成されている。
【0028】
また、鋼管7の側面には、鋼管7の内部空間の蒸気を抜くための所定の蒸気抜き孔7fが設けられる。蒸気抜き孔は、上下方向に沿って所定間隔を空けて複数(例えば、各階ごとに)設けられる。なお、蒸気抜き孔7fの数及び位置は任意とすることができ、図示されているものに限定されない。
【0029】
ダイアフラム7bは、梁(不図示)の応力をコンクリート充填鋼管柱6に伝達する水平補強材である。ダイアフラム7bは、建物の各階の梁が設けられる位置に対応するように、鋼管7の上下方向に沿って所定間隔を空けて複数設けられる。ダイアフラム7bは、厚さ方向を上下方向に向けて配置される板形状とされている。ダイアフラム7bは、平面視において矩形状とされている。なお、ダイアフラム7bの平面視形状は、矩形状に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。ダイアフラム7bは、打設孔7c及び空気孔7dを具備する。
【0030】
図4に示す打設孔7cは、鋼管7の内部空間をコンクリート8が通過可能なように設けられる孔である。打設孔7cは、ダイアフラム7bの厚さ方向を貫通するように設けられる。打設孔7cは、ダイアフラム7bの平面視における中央部分に設けられる。打設孔7cの内径寸法は、強度やコンクリート8を好適に充填させる観点から適宜設定される。
【0031】
空気孔7dは、鋼管7の内部空間の空気を抜くための孔である。空気孔7dは、ダイアフラム7bの厚さ方向を貫通するように設けられる。空気孔7dは、ダイアフラム7bの平面視における四隅部分に設けられる。空気孔7dの内径寸法は、打設孔7cの内径寸法よりも小さく形成される。
【0032】
次に、
図1を用いて、コンクリート充填鋼管柱6の施工方法について説明する。
【0033】
まず、建物の地上階Faに搬入されたポンプ車からのコンクリート8が、鋼管7において地上階Faに設けられた挿通孔7aを介して、鋼管7の内部空間に圧入される。これにより、下方から上方へコンクリート8の天端8aを押し上げるように、鋼管7の内部空間にコンクリート8が充填される。
【0034】
鋼管7の内部空間に圧入されたコンクリート8は、ダイアフラム7bの打設孔7cを介して上階側へ圧入される。鋼管7の上端部までコンクリート8が充填されれば、コンクリート8の圧入が停止される。このように充填されたコンクリート8が固化することで、コンクリート充填鋼管柱6が形成される。なお、上述した例では、地上階Faにおいてコンクリート8を圧入した例を示したが、このような態様に限られず、所定の途中階Fnに設けられた挿通孔7aを介してコンクリート8を圧入することも可能である。
【0035】
次に、
図1及び
図2を用いて、計測ユニット1について説明する。
【0036】
計測ユニット1は、鋼管7の内部空間に圧入されたコンクリート8の情報を取得可能なものである。計測ユニット1は、照明部2、カメラ部3及びレーザ距離計4を具備する。
【0037】
図2に示す照明部2は、鋼管7の内部空間を照らすものである。照明部2は、発光ダイオード等からなる所定の発光部を有する。
【0038】
カメラ部3は、鋼管7の内部空間を撮像するものである。カメラ部3は、所定のレンズ部(不図示)を有する。
【0039】
レーザ距離計4は、鋼管7の内部空間に圧入されたコンクリート8の上方から、コンクリート8の天端8aまでの距離を測定可能なものである。レーザ距離計4は、所定のレーザ光照射部(不図示)を有する。レーザ距離計4は、
図1に示すように、下方に位置するコンクリート8の天端8aに指向すると共にレーザ光を照射し、上記レーザ光がコンクリート8の天端8aにより反射して戻るまでの時間を計測することで、コンクリート8の天端8aまでの距離を測定する。
【0040】
照明部2、カメラ部3及びレーザ距離計4は、ケース部(不図示)の内部に収容されている。
【0041】
カメラ部3の画像情報やレーザ距離計4による計測結果は、
図1に示す制御部290に出力される。制御部290は、CPU(Central Processing Unit)のような演算装置、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のような記憶装置等を具備する。制御部290は、レーザ距離計4による計測結果を用いて、鋼管7の内部空間におけるコンクリート8の圧入速度を算出可能である。
【0042】
上記コンクリート8の圧入速度やカメラ部3の画像情報は、所定のモニタを介して表示される。これにより、コンクリート8を圧入する作業者は、コンクリート8の圧入速度や鋼管7の内部空間の様子を確認しながら、コンクリート8の圧入を制御することができる。
【0043】
次に、本発明の一実施形態に係る設置精度判定方法で用いられる冶具10について説明する。
【0044】
冶具10は、計測ユニット1を、鋼管7の内部空間に圧入されたコンクリート8の天端8aよりも上方で支持するものである。冶具10としては、最上階用冶具100及び途中階用冶具200が用いられる。
【0045】
図1に示す最上階用冶具100は、鋼管7の上端部よりも上方において、計測ユニット1を支持するものである。最上階用冶具100は、
図1に示すように、鋼管7の上端部が位置する建物の最上階Fr(屋上階)に設置される。これにより、計測ユニット1を鋼管7に設置することができる。
【0046】
図3及び
図4に示す途中階用冶具200は、建物の途中階Fnにおいて、計測ユニット1を支持するものである。途中階用冶具200は、
図3及び
図4に示すように、鋼管7の上下方向途中部分に設置される。途中階用冶具200は、前方側固定手段260及び後方側固定手段270を具備する。
【0047】
図4に示す前方側固定手段260は、途中階用冶具200を鋼管7の後方を向く内側面(奥側の内側面)に対して固定するものである。前方側固定手段260は、途中階用冶具200の前端部に設けられる。前方側固定手段260は、
図4に示すように、鋼管7の後方を向く内側面のうち、正面視において挿通孔7aと重複する部分に固定される。前方側固定手段260は、磁力の発生及び非発生を切り替え可能とされている。
【0048】
後方側固定手段270は、途中階用冶具200を鋼管7の後方を向く外側面(手前側の外側面)に対して固定するものである。後方側固定手段270は、途中階用冶具200の後部に設けられる。後方側固定手段270は、左右に一対設けられる。後方側固定手段270は、磁力の発生及び非発生を切り替え可能とされている。
【0049】
上述の如く形成された途中階用冶具200は、例えば、以下のように途中階Fnに設置される。
【0050】
まず、途中階Fnにおいて、鋼管7の挿通孔7aに対して、計測ユニット1が固定された状態で途中階用冶具200を挿通させる。ここで、計測ユニット1の上下寸法は、挿通孔7aの内径寸法よりも大きい。そこで、途中階用冶具200及び計測ユニット1を挿通孔7aに挿通させる際には、挿通孔7aに対して挿通可能な程度に、計測ユニット1を適宜傾けるようにする。
【0051】
次に、計測ユニット1及び途中階用冶具200の前側部分が鋼管7の内部空間に位置する状態で、途中階用冶具200を前方に移動させ、前方側固定手段260を鋼管7の後方を向く内側面に対して当接させると共に、後方側固定手段270を鋼管7の後方を向く外側面に対して当接させる。この際に、計測ユニット1及び途中階用冶具200が、概ね水平状態となるように適宜角度を調整する。
【0052】
次に、適宜の操作により、前方側固定手段260及び後方側固定手段270を磁力発生状態とすることで、途中階用冶具200を、鋼管7に対して三点で支持する。これにより、計測ユニット1を鋼管7に設置することができる。
【0053】
ここで、冶具10(最上階用冶具100及び途中階用冶具200)が正しく設置されない場合、レーザ距離計4の指向方向がずれることにより、レーザ光がコンクリート8の天端8aに照射されない可能性がある。また、特に途中階用冶具200は鋼管7の内部に設置されるため、途中階用冶具200が正しく設置されているかを視認することは困難である。このため、従来、途中階用冶具200が正しく設置されているかを確認するために、レーザ距離計4によって柱底6aまでの距離を測定し、この測定距離(柱底6aまでの距離)が、レーザ距離計4が挿通される挿通孔7aの高さと概ね同じである場合には、途中階用冶具200が正しく設置されたと判断していた。
【0054】
しかしながら、途中階用冶具200を挿通するための挿通孔7aが途中階用冶具200の挿通部分に対して大きい場合、途中階用冶具200の設置位置(設置高さ)は、作業者によってばらつきが生じる。また、途中階用冶具200が挿通される挿通孔7aの高さと、レーザ距離計4の受光部の高さとは、必ずしも一致しない。このため、レーザ距離計4の受光部の高さの正確な値を得るのが難しく、前述の方法では、途中階用冶具200が正しく設置されたかを精度良く判断できているとはいえなかった。
【0055】
そこで、本実施形態においては、途中階用冶具200を介して計測ユニット1を鋼管7に設置する際に、
図5に示す設置精度判定方法を用いることにより、途中階用冶具200の設置精度の向上を図っている。以下、
図5に示す設置精度判定方法(以下、単に「判定方法」ということもある)について説明する。
【0056】
まず、ステップS11において、途中階用冶具200の設置を行う。このステップにおいては、作業者は、前述の方法により、途中階Fnにおいて、計測ユニット1を支持する途中階用冶具200を鋼管7に設置する。
【0057】
次に、ステップS12において、ターゲット部材30の挿入を行う。以下、ターゲット部材30について説明する。
【0058】
図6及び
図7に示すターゲット部材30は、レーザ距離計4から照射されるレーザ光の標的となる部材である。ターゲット部材30は、被照射部31及び固定部32を具備する。
【0059】
図7に示す被照射部31は、レーザ距離計4から照射されるレーザ光を受ける部分である。被照射部31は、前後方向に長尺な円柱状の鉄筋により形成されている。被照射部31は、当該被照射部31が挿通される充填確認孔7eより若干小さい径とされる。
【0060】
固定部32は、被照射部31を鋼管7に対して固定する部分である。固定部32は、厚さ方向を前後方向に向けて配置される板状とされている。固定部32は、背面視において、充填確認孔7eの直径より横幅の大きい矩形状とされている。固定部32は、磁性を有する鋼板により形成されている。固定部32は、その長手方向が被照射部31の長手方向と直角となるように、当該被照射部31の下部に溶接等により固定される。固定部32は、被照射部31の前後中途部に固定される。固定部32は、当接面32aを具備する。
【0061】
当接面32aは、固定部32の板面のうち前方を向く面であり、鋼管7の外側面と当接可能な面である。当接面32aは、被照射部31の延伸方向と直交するように形成される。
【0062】
このように構成されたターゲット部材30は、固定部32の当接面32aが鋼管7の後方を向く外側面(手前側の外側面)に当接するまで、鋼管7の充填確認孔7eに被照射部31の前部を挿通させる。そうすることで、固定部32を当該固定部32の磁力により鋼管7の外側面に固定させる。
【0063】
これにより、ターゲット部材30は、被照射部31の前端部(前側の一部)が、鋼管7の内部空間の平面視における中央部分に位置するように固定される。すなわち、被照射部31の前端部は、レーザ距離計4から照射されるレーザ光を受けることができる位置とされる。また、当接面32aが被照射部31の延伸方向と直交するように形成されているため、当接面32aを鋼管7の外側面に当接させることで、被照射部31の延伸方向を水平とすることができる。また、固定部32が磁性を有することにより、被照射部31を充填確認孔7eから挿通させて当接面32aを鋼管7の外側面に当接させるだけで、ターゲット部材30を鋼管7に容易に(一人作業で)固定することができる。
【0064】
次に、ステップS13において、ターゲット部材30までの距離L1を測定する。具体的には、レーザ距離計4は、下方に位置するターゲット部材30にレーザ光を照射し、上記レーザ光がターゲット部材30に反射して戻るまでの時間を計測することで、レーザ距離計4からターゲット部材30までの距離L1(
図6参照)を測定する。
【0065】
次に、ステップS14において、柱底6aまでの距離L2を測定する。具体的には、作業者は、まず、ターゲット部材30を充填確認孔7eから抜き取る。そして、レーザ距離計4は、下方に位置する柱底6aにレーザ光を照射し、上記レーザ光が柱底6aに反射して戻るまでの時間を計測することで、レーザ距離計4から柱底6aまでの距離L2(
図6参照)を測定する。
【0066】
次に、ステップS15において、距離L2-距離L1≒ターゲット部材30の挿入位置である(距離L2-距離L1が、ターゲット部材30の挿入位置と概ね同じ高さである)か否かを判定する。具体的には、ステップS14で測定された距離L2(柱底6aまでの距離)から、ステップS13で測定された距離L1(ターゲット部材30までの距離)を減算した値が、ターゲット部材30が挿入される充填確認孔7eの高さ寸法h(設計値)と概ね同じであるか判定する。ここで、充填確認孔7eの高さ寸法hは、柱底6aから充填確認孔7eの上端までの上下方向の距離でもよく、柱底6aから充填確認孔7eの中心までの上下方向の距離でもよいが、測定結果の正確さを考慮すると、柱底6aから充填確認孔7eの上端までの上下方向の距離を採用することが好ましい。但し、充填確認孔7eの孔径とターゲット部材30の被照射部31の外径との差を考慮すると、より正確な測定結果を得るためには、充填確認孔7eの高さ寸法hとして、柱底6aから充填確認孔7eの下端までの上下方向の距離にターゲット部材30の被照射部31の直径を加算した値を採用することが好ましい。このステップにおいて、距離L2から距離L1を差し引いた値と、充填確認孔7eの高さ寸法hとの差が、所定の閾値以下である場合、距離L2-距離L1≒ターゲット部材30の挿入位置であると判断する。一方、距離L2から距離L1を差し引いた値と、充填確認孔7eの高さ寸法hとの差が、所定の閾値を超える場合、距離L2-距離L1≒ターゲット部材30の挿入位置でないと判断する。
【0067】
距離L2-距離L1≒ターゲット部材30の挿入位置であると判定した場合(ステップS15で「YES」)、ステップS16に移行する。一方、距離L2-距離L1≒ターゲット部材30の挿入位置でないと判定した場合(ステップS15で「NO」)、ステップS17に移行する。
【0068】
ステップS16において、ステップS11で設置した途中階用冶具200が正しく設置されていると判断する。そして、
図5に示す設置方法を終了する。
【0069】
一方、ステップS17において、途中階用冶具200が正しく設置されていないと判断する。このため、作業者は、途中階用冶具200を設置し直す。そして、ステップS12に処理を戻す。
【0070】
このようにして、ステップS15でYESとなるまで、途中階用冶具200の設置をやり直す。
【0071】
上述の如く、距離L2-距離L1と高さ寸法hとが一致しない場合(ステップS15でNO)、途中階用冶具200が正しく設置されていない可能性がある。具体的には、レーザ距離計4の向きが正しくなく(指向方向が斜めとなっており)、柱底6aでない箇所(ダイアフラム7b等)にレーザ光が照射されている可能性がある。或いは、途中階用冶具200が、本来設置されるべき挿通孔7aではない孔に設置されている可能性がある。そこで、距離L2-距離L1と高さ寸法hとが概ね一致するように(ステップS15でYES)、途中階用冶具200を設置することにより、充填されるコンクリート8の天端8aまでの距離を正確に測定できるように、途中階用冶具200を正しく設置することができる。
【0072】
また、途中階用冶具200を正しく設置されているかを判断するのに、柱底6aまでの距離L2からターゲット部材30までの距離L1を減算した値と、ターゲット部材30が挿入される充填確認孔7eの高さ寸法hとを比較することにより、判断の精度を向上させることができる。
【0073】
具体的には、ターゲット部材30が挿入される充填確認孔7eの高さ寸法hは、設計値から把握することができる。そして、ターゲット部材30の被照射部31は、固定部32により水平に保つことができる。このため、被照射部31の(レーザ光を受ける部分の)高さと充填確認孔7eの高さ寸法hとを概ね同一視することができる。
【0074】
このように、ステップS15においては、被照射部31の(レーザ光を受ける部分の)高さの比較的正確な値が把握できる充填確認孔7eの高さ寸法hを基準として判断を行うこととなる。従って、途中階用冶具200の設置高さのばらつきや、挿通孔7aの高さとレーザ距離計4の受光部の高さとのずれを考慮しなくてもよく、ひいては、途中階用冶具200(レーザ距離計4)が正しく設置されたかの判断を精度良く行うことができる。
【0075】
このようにして、レーザ距離計4等を用いることで、途中階用冶具200の設置高さの測定精度を向上させることができる。この設置精度の向上により、コンクリート8の充填時における、コンクリート8の圧入速度やカメラ部3の画像情報のモニタリングの精度も向上する。これにより、コンクリート8の充填時の施工管理をより的確に行うことができ、施工報告書に正確な結果を記すことができる。そして、予定しているコンクリート8の充填高さが実際の高さと異なっている場合でも、事前に確認し、対応策を検討することができる。
【0076】
また、
図5に示す判定方法は、途中階用冶具200の設置に用いられるものとしたが、最上階用冶具100の設置に用いることもできる。すなわち、
図8に示すように、最上階用冶具100についても、同様の方法により、途中階用冶具200(レーザ距離計4)が正しく設置されたかの判断を精度良く行うことができる。以下、具体的に説明する。
【0077】
まずステップS11において、最上階用冶具100を建物の最上階Fr(屋上階)に設置する。次に、ステップS12において、ターゲット部材30を、鋼管7に設けられた任意の孔(例えば蒸気抜き孔7f)に挿通する。蒸気抜き孔7fは、計測ユニット1よりも下方に設けられている。そして、ターゲット部材30までの距離L1、柱底6aまでの距離L2(ステップS13、14)を測定し、距離L2から距離L1を減算した値と、ターゲット部材30が挿入される蒸気抜き孔7fの高さ寸法h(設計値)とを比較することにより、最上階用冶具100が正しく設置されたかの判断を精度良く行うことができる。
【0078】
以上の如く、本実施形態に係る設置精度判定方法は、
CFT構造用の鋼管7内に圧入されたコンクリート8の上方から、当該コンクリート8の天端8aまでの距離を測定するレーザ距離計4を有する計測ユニット1を設置する際に、当該計測ユニット1を支持する冶具10(途中階用冶具200又は最上階用冶具100)の設置精度を判定する設置精度方法であって、
前記冶具10を所定の位置に設置する設置ステップ(ステップS11)と、
前記所定の位置よりも下方且つ前記鋼管7の柱底6aよりも上方に形成され前記鋼管7の側面を貫通する挿入孔(充填確認孔7e又は蒸気抜き孔7f)から、前記レーザ距離計4から照射されるレーザ光を受けるターゲット部材30を前記鋼管7内に挿入する挿入ステップ(ステップS12)と、
前記レーザ距離計4によって、当該レーザ距離計4から前記ターゲット部材30までの高さ方向の距離である第一の距離L1を測定する第一距離測定ステップ(ステップS13)と、
前記レーザ距離計4によって、当該レーザ距離計4から前記鋼管7の柱底6aまでの高さ方向の距離である第二の距離L2を測定する第二距離測定ステップ(ステップS14)と、
前記第二の距離L2から前記第一の距離L1を減算した値と、前記鋼管7の柱底6aから前記挿入孔までの高さ寸法hとを比較することにより、前記冶具10が正しく設置されたか否かを判定する判定ステップ(ステップS15)と、
を具備するものである。
【0079】
このように構成することにより、計測ユニット1を支持する冶具10(途中階用冶具200又は最上階用冶具100)が正しく設置されたかの判断の精度向上を図ることができる。
【0080】
また、前記挿入孔は、
コンクリート8が予定打設高さまで充填されているかを視認できるようにするための充填確認孔7e、又は鋼管7の内部空間の蒸気を抜くための蒸気抜き孔7fであるものである。
【0081】
このように構成することにより、ターゲット部材30を挿入するための新たな孔の形成を不要とすることができる。
【0082】
また、前記ターゲット部材30は、
一方向に延伸するように形成され、前記計測ユニット1から照射されるレーザ光を受ける被照射部31と、
前記被照射部31を前記鋼管7に固定する固定部32と、
を具備し、
前記固定部32は、
前記被照射部31の延伸方向と直交するように形成され、前記鋼管7の外側面と当接可能な当接面32aを具備するものである。
【0083】
このように構成することにより、鋼管7に固定部32の当接面32aを当接させることにより、被照射部31の延伸方向の水平を保つことができる。
【0084】
また、前記固定部32は、
磁性を有する材料により形成されているものである。
【0085】
このように構成することにより、鋼管7にターゲット部材30を容易に固定することができる。
【0086】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0087】
例えば、本実施形態においては、
図5に示す判定方法を用いた冶具10の設置は、鋼管7にコンクリート8が全く充填されていない状態で行われることを前提として説明したが、コンクリート8の充填は期間をあけて(日を跨いで)行われる場合もあるため、コンクリート8が鋼管7内にある程度充填された状態で再び冶具10を設置する場合もある。この場合、
図5に示すステップ14においては、柱底6aまでの距離L2の代わりに、充填済みのコンクリート8の天端8aまでの距離L3(
図9参照)を用いて判定を行う。すなわち、ステップ14においては、充填されたコンクリート8の有無にかかわらず、鋼管7の内部空間の最下端(柱底6a又はコンクリート8の天端8a)までの距離を用いる。そして、コンクリート8が鋼管7内にある程度充填されている場合には、ステップS15においては、距離L3から距離L1を減算した値と、ターゲット部材30が挿入される充填確認孔7eの高さ寸法hからコンクリート8の充填高さHを減算した値とを比較することにより、冶具10が正しく設置されているかの判定を行う。なお、コンクリート8の充填高さHは、コンクリート8の前回の充填時において測定された値が用いられる。
【0088】
また、ターゲット部材30は、冶具10が設置された階に設けられてもよく、或いは冶具10が設置された階より下方の階に設けられてもよい。
【0089】
また、本実施形態においては、ターゲット部材30までの距離L1(ステップS13)、柱底6aまでの距離L2(ステップS14)の順で測定するものとしたが、測定の順序はこれに限定されるものではなく、距離L2、距離L1の順で測定してもよい。
【0090】
また、ターゲット部材30の形状は、本実施形態のものに限定されるものではない。以下、
図10を用いて、本発明の第二実施形態に係る判定方法で用いられるターゲット部材40について説明する。
【0091】
第二実施形態に係る判定方法で用いられるターゲット部材40が第一実施形態に係る判定方法で用いられるターゲット部材30と異なる点は、被照射部31に代えて被照射部41を具備する点である。よって以下では、第一実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
被照射部41は、レーザ距離計4から照射されるレーザ光を受ける部分である。被照射部41は、前後方向に長尺な鋼板により形成されている。被照射部41は、板面を上下方向に向けて配置される。被照射部41は、スリット状に形成された充填確認孔7gに挿通される。被照射部41の下方には、当該被照射部41の前後中途部において、固定部32が溶接等により固定される。
【0093】
このように被照射部41が形成されることにより、レーザ距離計4から照射されるレーザ光を受ける部分を平面とすることができるので、当該レーザ光を当たり易くすることができる。
【0094】
以下、
図11を用いて、本発明の第三実施形態に係る判定方法で用いられるターゲット部材50について説明する。
【0095】
第三実施形態に係る判定方法で用いられるターゲット部材50が第一実施形態に係る判定方法で用いられるターゲット部材30と異なる点は、被照射部31に代えて被照射部60を具備する点である。よって以下では、第一実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0096】
被照射部60は、レーザ距離計4から照射されるレーザ光を受ける部分である。被照射部60は、第一部材61、第二部材62、第三部材63、第四部材64及び第五部材65を具備する。
【0097】
第一部材61は、後述する第二部材62等を支持する部分である。第一部材61は、前後方向に長尺な部材により形成されている。第一部材61は、板面を上下方向に向けて配置される。第一部材61は、第一実施形態で用いられるターゲット部材30の被照射部31と同様に、充填確認孔7eに挿通される(
図7参照)。第一部材61の下方には、当該第一部材61の前後中途部において、固定部32が溶接等により固定される。
【0098】
第二部材62は、前後方向に長尺な部材により形成されている。第二部材62は、その長手方向の長さが第一部材61の長手方向の長さよりも短く形成される。第二部材62は、第一部材61の上面を前後方向に摺動可能に設けられる。
【0099】
第三部材63は、前後方向に長尺な部材により形成されている。第三部材63は、第二部材62の前端部に対して回動軸63a回りに回動可能に支持される。第三部材63は、左右に一対設けられる。
【0100】
第四部材64は、前後方向に長尺な部材により形成されている。第四部材64は、第三部材63の前端部に対して回動軸64a回りに回動可能に支持される。また、第四部材64は、第一部材61の前端部に対して回動軸64b回りに回動可能に支持される。第四部材64は、左右に一対設けられる。
【0101】
第五部材65は、第三部材63及び第四部材64で囲まれる部分に形成される。第五部材65は、レーザ光の反射率が比較的高く、且つ、伸縮自在な材料により形成される。
【0102】
このように構成された被照射部60は、第三部材63及び第四部材64で囲まれる部分が閉じた状態(
図11(a)に示す第一状態)と、第三部材63及び第四部材64で囲まれる部分が開いた状態(
図11(b)に示す第二状態)とに、形状を切り替え可能に形成される。
【0103】
以下、ターゲット部材50の配置方法について説明する。
【0104】
まず、被照射部60を第一状態(
図11(a)参照)とした状態で、ターゲット部材50を、第四部材64側から充填確認孔7e(
図7参照)に挿通する。
【0105】
次に、第三部材63、第四部材64及び第五部材65を鋼管7の内部に挿入した状態で、第二部材62を第一部材61に対して前方に摺動させる。そうすると、第四部材64の前端部は回動軸64bによって第一部材61に支持されているので、第三部材63の前端部及び第四部材64の後端部が左右外側に広がるように回動する。
【0106】
具体的には、右側の第三部材63は、平面視(
図11(b)参照)において回動軸63aの軸線を中心として時計回り方向に回動する。左側の第三部材63は、平面視において回動軸63aの軸線を中心として反時計回り方向に回動する。右側の第四部材64は、平面視において回動軸64bの軸線を中心として反時計回り方向に回動する。左側の第四部材64は、平面視において回動軸64bの軸線を中心として時計回り方向に回動する。
【0107】
これにより、第三部材63及び第四部材64が、平面視においてひし形状に広がり、被照射部60の形状が第二状態となる。これにより、第三部材63及び第四部材64で囲まれた部分に第五部材65が露出し、当該第五部材65によって、レーザ距離計4から照射されたレーザ光を受けることが可能となる。このように、ターゲット部材50の被照射部60は、鋼管7内に挿入された状態で、平面視における面積を拡大することができるので、充填確認孔7eの大きさ(径)を大きくすることなく、レーザ距離計4から被照射部60へのレーザ光の照射の確実性を向上させることができる。
【0108】
以上の如く、前記被照射部60は、
前記鋼管7内に挿入された状態で、平面視における面積を拡大可能に形成されているものである。
【0109】
このように構成することにより、充填確認孔7e(挿入孔)の大きさを大きくすることなく、レーザ距離計4から被照射部60へのレーザ光の照射の確実性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0110】
1 計測ユニット
4 レーザ距離計
7 鋼管
7e、7g 充填確認孔
7f 蒸気抜き孔
8 コンクリート
8a 天端
30、40、50 ターゲット部材
31、41、60 被照射部
32 被固定部
32a 当接面
100 最上階用冶具
200 途中階用冶具