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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081238
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】生体電気供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195016
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】512255192
【氏名又は名称】株式会社リファイン
(74)【代理人】
【識別番号】100192496
【弁理士】
【氏名又は名称】西平 守秀
(72)【発明者】
【氏名】保坂 雅彦
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ01
4C053JJ13
4C053JJ24
(57)【要約】
【課題】電気が供給される刺激エリアのバリエーションを高めることができ、かつ時系列での連続的な刺激エリアの変化を大きくして使用者が人間によるマッサージを受けるような電気的刺激を付与することができる生体電気供給装置を提供する。
【解決手段】生体電気供給装置10は、3つの突出電極部13(電極部の一例)においてその一対の組み合わせを選択するとともに、一対のそれぞれの極性を決定し、その決定された一対の組み合わせおよびその一対のそれぞれの極性に従ってその一対の組み合わせを通電する。このため、その一対の組み合わせを適宜切り替えることで電気が供給される刺激エリアのバリエーションを高めることができる。また、時系列での連続的な刺激エリアの変化を大きくすることも可能となるため、使用者が人間によるマッサージを受けるような電気的刺激を付与することができる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その先端部で使用者の皮膚表面に係合するとともに、前記皮膚表面に係合した際に前記皮膚表面を通じて前記使用者の生体内に向けて電気を供給可能とするための3つ以上の電極部と、
前記3つ以上の電極部を保持するとともに前記使用者に把持される把持部と、
前記3つ以上の電極部においてその一対の組み合わせを選択するとともに、前記一対のそれぞれの極性を決定する選択決定部と、
前記選択決定部によって決定された前記一対の組み合わせおよび前記一対のそれぞれの極性に従って、前記一対の組み合わせに通電する通電部と、を有する、
生体電気供給装置。
【請求項2】
前記選択決定部は、前記一対の組み合わせの選択を経時的に自動的に順次切り替える、
請求項1に記載の生体電気供給装置。
【請求項3】
前記3つ以上の電極部が所定の面において周方向に沿って配設されており、
前記選択決定部は、前記一対の組み合わせの選択を隣接する前記電極部同士で行い、その選択をその周方向に沿って順次切り替える、
請求項2に記載の生体電気供給装置。
【請求項4】
前記電極部のそれぞれが、その先端に前記皮膚表面に接触するための接触子と、ロッド状に延在して形成され、前記接触子を保持する保持部と、を有し、
前記電極部は3つ配設され、
前記電極部のうち少なくとも1つにおいて前記保持部の長さがそれ以外の前記電極部よりも短くまたは長く形成される、
請求項1~3のいずれか1つに記載の生体電気供給装置。
【請求項5】
前記電極部の2つにおける前記保持部の長さは略同一に形成され、
前記電極部の残り1つは、前記電極部の2つよりも短くまたは長く形成される、
請求項4に記載の生体電気供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体電気供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の体内では、生体電流が常時流れて細胞活動および筋肉の収縮運動が行われている。その健康を維持するために外部から電気を供給して外部作用として細胞活動および筋肉の収縮運動を活性化することが行われている。その装置としては、外部から生体電流と同様なパルス電流を供給して生体を刺激する生体電気供給装置が知られる(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
生体電気供給装置は、生体に電気を直接的に供給する複数の電極部を有して、血行促進などの健康目的、痩身・引き締めの目的、また顔のシワおよびたるみの改善などで美顔の目的、その他目的で使用される。具体的な形態としては、その電極部がベルト、ズボン、手袋などに配設されるもの、あるいはその使用者が装置本体を把持して自由な場所にその電極部を任意の皮膚表面に接触させる、いわゆるハンディータイプなどが知られる。
【0004】
この種のハンディータイプの生体電気供給装置においては、使用者によってその複数の電極部が任意の使用者の皮膚表面に接触され、その接触の状態で通電される。この通電により、これら複数の電極部に接触する身体の部位間に電流が供給され、その電極部間に位置するたとえば筋肉または細胞が電気的刺激を受けることになる。筋肉の場合には、筋肉が収縮したり弛緩(しかん)したりして血流が促進される。このような電気的な刺激により、使用者の皮膚表面を通じたケアが実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-129866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1の装置は、複数の電極部が親電極部およびその親電極部に対応する複数の子電極部によって構成されており、また親電極部と、複数の子電極部のそれぞれと、の間の離間距離が異なるように装置本体に配設される。そのため、親電極部と子電極部との組み合わせが適宜切り替えられることによって、電気が供給される刺激エリアが任意に変更することが可能であるとされる。
【0007】
しかしながら、前記特許文献1の装置は親電極部が固定して設定されるものであり、その電気が供給される刺激エリアのバリエーション(種類)が少なく、また動作が静的であってマッサージのような時系列での連続的な刺激エリアの変化が小さい。この点で、改善の余地があったといえる。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、電気が供給される刺激エリアのバリエーションを高めることができ、かつ時系列での連続的な刺激エリアの変化を大きくして使用者が人間によるマッサージを受けるような電気的刺激を付与することができる生体電気供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前述した目的は、後記の構成により達成される。
(1) その先端部で使用者の皮膚表面に係合するとともに、前記皮膚表面に係合した際に前記皮膚表面を通じて前記使用者の生体内に向けて電気を供給可能とするための3つ以上の電極部と、前記3つ以上の電極部を保持するとともに前記使用者に把持される把持部と、前記3つ以上の電極部においてその一対の組み合わせを選択するとともに、前記一対のそれぞれの極性を決定する選択決定部と、前記選択決定部によって決定された前記一対の組み合わせおよび前記一対のそれぞれの極性に従って、前記一対の組み合わせに通電する通電部と、を有する、生体電気供給装置。
(2)前記選択決定部は、前記一対の組み合わせの選択を経時的に自動的に順次切り替える、(1)に記載の生体電気供給装置。
(3)前記3つ以上の電極部が所定の面において周方向に沿って配設されており、前記選択決定部は、前記一対の組み合わせの選択を隣接する前記電極部同士で行い、その選択をその周方向に沿って順次切り替える、(2)に記載の生体電気供給装置。
(4)前記電極部のそれぞれが、その先端に前記皮膚表面に接触するための接触子と、ロッド状に延在して形成され、前記接触子を保持する保持部と、を有し、前記電極部は3つ配設され、前記電極部のうち少なくとも1つにおいて前記保持部の長さがそれ以外の前記電極部よりも短くまたは長く形成される、(1)~(3)のいずれか1つに記載の生体電気供給装置。
(5)前記電極部の2つにおいて前記保持部の長さは略同一に形成され、前記電極部の残り1つは、前記電極部の2つよりも短くまたは長く形成される、(4)に記載の生体電気供給装置。
【0010】
前記(1)の構成によれば、3つ以上の電極部においてその一対の組み合わせを選択するとともに、一対のそれぞれの極性を決定し、その決定された一対の組み合わせおよびその一対のそれぞれの極性に従ってその一対の組み合わせを通電する。このため、その一対の組み合わせを適宜切り替えることで電気が供給される刺激エリアのバリエーションを高めることができる。また、時系列での連続的な刺激エリアの変化を大きくすることも可能となるため、使用者が人間によるマッサージを受けるような電気的刺激を付与することができる。
前記(2)の構成によれば、選択決定部が一対の組み合わせの選択を経時的に自動的に順次切り替えるため、時系列での連続的な刺激エリアの変化をさらに大きくして使用者にとってよりマッサージ効果が高い電気的刺激を付与することができる。
前記(3)の構成によれば、3つ以上の電極部が所定の面において周方向に沿って配設される。また、選択決定部は、一対の組み合わせの選択を隣接する電極部同士で行い、その選択をその周方向に沿って順次切り替える。このため、多方面で刺激エリアを発生させることで複雑に配置される表情筋のような筋肉に容易に電気的刺激を付与することができる。つまり、より一層マッサージ効果が高い電気的刺激を付与することができる。
前記(4)の構成によれば、3つの電極部のうち少なくとも1つにおいて保持部の長さがそれ以外の電極部よりも短くまたは長く形成される。このため、たとえば使用者の頭部のように曲面を有しかつ使用者の手より上側に位置する皮膚表面に対しても、使用者は装置本体を把持した状態で3つの電極部を容易に当接させながらスライドさせることができる。これにより、装置の使い勝手を向上させることができる。
前記(5)の構成によれば、電極部の2つにおいて保持部の長さは略同一に形成され、電極部の残り1つは、その他の電極部の2つよりも短くまたは長く形成される。このため、たとえば使用者の頭部のように曲面を有しかつ使用者の手より上側に位置する皮膚表面に対しても、3つの電極部をより容易にかつより確かに当接させながらスライドさせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の生体電気供給装置によれば、3つ以上の電極部においてその一対の組み合わせを選択するとともに、一対のそれぞれの極性を決定する選択決定部と、選択決定部によって決定された一対の組み合わせおよび一対のそれぞれの極性に従って、一対の組み合わせに通電する通電部と、を有する。このため、複数の電極部の組み合わせおよびその極性が種々に変更されて使用可能である。これにより、電気的刺激が異なる部位が時系列的に変化するため、使用者が人間によるマッサージを受けるような皮膚表面の電気的刺激を実現することができる。
【0012】
すなわち、電気が供給される刺激エリアのバリエーションを高めることができ、かつ時系列での連続的な刺激エリアの変化を大きくして使用者が人間によるマッサージを受けるような電気的刺激を付与することができる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細はさらに明確化されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る生体電気供給装置の外観を例示する斜視図
図2図1に示す生体電気供給装置の外観をカバーを外した状態で例示する正面図
図3図1に示す生体電気供給装置の下端部の部分拡大図
図4図1に示す生体電気供給装置の底面図
図5図1に示す生体電気供給装置の電気的な機能を例示するブロック図
図6図3に示す突出電極部の通電の様子を例示する斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る生体電気供給装置に関する実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0016】
ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。たとえば、すでによく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。また、添付図面のそれぞれは符号の向きに従って参照するものとする。
【0017】
(第1実施形態)
図1図5に基づいて本開示に係る実施形態1について説明する。
【0018】
[・生体電気供給装置のハードウェア構成について]
図1および図2を参照して、生体電気供給装置10のハードウェア構成について説明する。図1は、本実施形態に係る生体電気供給装置10の外観を例示する斜視図である。図2は、図1に示す生体電気供給装置10の外観をカバーCを外した状態で例示する正面図である。
【0019】
図1および図2に示すように、本実施形態の生体電気供給装置10はハンディータイプの装置であり、その装置本体は全体的にハンマー型、換言すれば略T字状に形成されており、上半部10Aおよび下半部10B(把持部の一例)を有して構成される。生体電気供給装置10の上半部10Aは、図1および図2で左右方向に沿って延在する略筒状に形成される。その下半部10Bは、上半部10Aの左右方向中間部のうちその下側部に一体的に連結して図1および図2で下方に沿って延在する筒状に形成される。
【0020】
下半部10Bは、把持部として使用者に把持される部分である。使用者は下半部10Bを片方の手で把持して、後述するように上半部10Aおよび下半部10Bのそれぞれに配設される複数の電極部11,12,13を使用者自身の任意の皮膚表面に当接して(接触させて)使用する。複数の電極部11,12,13のそれぞれはその先端部または先端面で使用者の皮膚表面に当接または接触(係合)するとともに、皮膚表面に係合した際に皮膚表面を通じて使用者の生体内に向けて電気を供給可能とする。
なお、本実施形態の生体電気供給装置10はバッテリーが内蔵されており、電源に接続されていない状態でも稼働可能に構成される。
【0021】
上半部10Aにおいて図1および図2で左右両端面には、円盤状に形成される平坦電極部11が配設される。平坦電極部11は皮膚表面に対し面接触し、その面接触によって電気的刺激を皮膚表面に幅広く付与することが可能である。また、平坦電極部11は、金属アレルギーを抑制するため、その材料はたとえば耐食チタン素材などからなり、後述する突起電極部も同様である。また、たとえばペルチェ素子(不図示)が上半部10Aに内蔵可能に構成されており、平坦電極部11がペルチェ素子の一端部に貼設され、ペルチェ素子が動作することで皮膚表面を冷却することも可能である。
なお、その他に平坦電極部11は、その他超音波振動が付与可能に構成されてもよい。
【0022】
下半部10Bの周面には、複数の操作入力部16およびインジケーター(表示部の一例:不図示)が図1および図2で上下方向に沿って並設される。複数の操作入力部16には、主電源のオンまたはオフを切り替える電源ボタン、電気的刺激を開始または終了するスタート・ストップボタン、電気的刺激のパターンを切り替えるモード選択ボタンなどが含まれて設けられる。これらの電源ボタン、スタート・ストップボタンまたはモード切替ボタンなどが使用者によって適宜押圧(この場合にはたとえば機械式スイッチで構成される)または指でタッチ(この場合にはたとえば静電式スイッチで構成される)して操作される。また、その使用者の操作に伴ってインジケーターが点灯し、操作内容が使用者に視認される。また、その他、複数のインジケーターが連続的に並設されて、電池の残量が視認可能に構成されてもよい。
【0023】
なお、使用者は、さらに操作入力部16を通じて、電気供給の際の電気的刺激に関するパルスの強さ、周波数および電気の流れる方向(電流の向き)などを任意に設定することが可能である。すなわち、使用者は、操作入力部16を操作することで変化のある電気的刺激を皮膚表面に対して行うことが可能である
【0024】
また、下半部10Bの下端面には、下方に突出して形成される3つ(3本)の突出電極部13が配設される。換言すれば、この3つの突出電極部13は下半部10Bによって保持される。また、生体電気供給装置10は、下半部10Bの下端部に着脱自在に設けられるカバーCをさらに有する。3つの突出電極部13の不要時にはカバーCが取り付けられて(図1参照)、3つの突出電極部13はカバーCの内部に収納される。この場合、3つの突出電極部13は外部に露出されることはない。
なお、下半部10Bの表裏面(両側面)のそれぞれには、手掌電極部12が長手方向に沿って延在して貼設される。使用者が、装置本体を把持する際、その手が手掌電極部12に面接触することで電気がその手掌電極部12を通じて手のひらの皮膚表面に適宜供給される。
【0025】
[・突出電極部について]
図3および図4を参照して、突出電極部13について説明する。図3は、図1に示す生体電気供給装置10の下端部の部分拡大図である。図4は、図1に示す生体電気供給装置10の底面図である。
【0026】
図3および図4に示すように、本実施形態に係る3つの突出電極部13は、下半部10Bの下端面(所定の面の一例)において周方向に沿って配設される。本実施形態では、下半部10Bの下端面は略円形状に形成される。3つの突出電極部13は、その下端面の中心を基準として120度の間隔で離間して配置され、隣接する突出電極部13同士でその離間距離のそれぞれは略同一とされる。換言すれば、その下端面の正面視で3つの突出電極部13は正三角形を描くように配置される。
【0027】
また、3つの突出電極部13のそれぞれは、接触子14と、この接触子14を保持する保持部15と、を有して構成される。接触子14は、突出電極部13の先端部に配設されており、ボール状に形成されて使用者の皮膚表面に接触することが可能である。また、保持部15は、ロッド状に延在して形成されており、その先端部で接触子14に連結するとともにその基端部で下半部10Bの下端面に固設される。
【0028】
また、2本(2つ)の突出電極部13は略同一の長さに設けられており、残りの1本はこの2本よりも短く形成される。これにより、たとえば使用者の頭部のように曲面を有しかつ使用者の手より上側に位置する皮膚表面に対しても、使用者は装置本体を把持した状態で3本の突出電極部13を容易に当接させながらスライドさせることが可能となる。
【0029】
なお、互いに同一の長さの2本の突出電極部13だけを用いて、使用者が顎に沿わせてスライドさせることも可能である。このとき、この2本の突出電極部13だけに電気が供給されれば、その皮膚表面に対する電気的刺激により使用者のフェイスラインをトリートメントすることが可能である。また、本実施形態では、1本の突出電極部13は他の2本の突出電極部13よりも短く形成されるが、これに限らず長く形成されてもよい。この場合でも同様な作用効果を有することが可能である。
【0030】
[・生体電気供給装置の電気的な機能構成について]
図5および図6を参照して、生体電気供給装置10の電気的な機能構成について説明する。図5は、図1に示す生体電気供給装置10の電気的な機能を例示するブロック図である。図6は、図3に示す突出電極部13の通電の様子を例示する斜視図である。
なお、以下の説明では突出電極部13に対する電気供給について説明するが、平坦電極部11および手掌電極部12に対しても同様に動作するためその説明を省略する。
【0031】
図5に示すように、生体電気供給装置10は、3つの突出電極部13に電気を供給する機能(電気的機能)として、制御部20と、操作入力部16と、電極切替部21(選択決定部の一例)と、通電部22と、を含んで構成される。
なお、操作入力部16は前述したように使用者によって操作されるボタンなどである。
【0032】
制御部20は、いわゆるミニコンピュータであり、回路基板として演算器(たとえばCPU(Central Processing Unit):不図示)、インターフェイス回路(不図示)などを含んで構成される。さらに、制御部20には、読み出し専用記憶装回路としてのROM回路(不図示)、および書き込み可能な記憶回路としてのRAM回路(不図示)などの回路も搭載される。
【0033】
ROM回路にはソフトウェアとしてのプログラム(不図示)が記憶保持されており、そのプログラムは制御部20の演算器によって実行される。RAM回路は、その実行における一時的記憶保持回路として使用される。また、本実施形態では、装置本体には物理的に実装されるハードウェアとしての所定の処理を専門的に行う専用回路も複数内蔵される。つまり、図5に示す図示されるブロックのそれぞれは、プログラムなどのソフトウェアにより実現される機能、または専用回路などのハードウェアにより実現される機能を表している。
【0034】
なお、本実施形態では、図5に示される機能はソフトウェアおよびハードウェアの両方により実現されるとしたが、これに限定されない。たとえば、その機能全部が「装置」の物理的構成としてハードウェアによって構成されてもよい。
【0035】
本実施形態では、制御部20は、使用者による操作入力部16の操作を監視しておりその監視に基づいて装置自体のオンまたはオフの制御を実行する。また、制御部20は、電極切替部21および通電部22を制御するとともに、その制御の際、皮膚表面に供給される電気に伴う電気的刺激に関しその供給時間、そのパルスの強さおよび周波数などの各種パラメータの設定を管理する。その管理に従って、電極切替部21および通電部22は協働して使用者の皮膚表面に電気を供給して電気的刺激を付与する。
【0036】
電極切替部21は、3つの突出電極部13においてその一対の組み合わせを選択するとともに、一対のそれぞれの極性を決定する。また、電極切替部21は、その一対の組み合わせの選択を経時的に自動的に順次切り替える。特に本実施形態では、電極切替部21は、一対の組み合わせの選択を隣接する突出電極部13同士で行い、その選択をその周方向に沿って順次切り替える。通電部22は、制御部20の制御に基づいて、電極切替部21によって決定された一対の組み合わせおよび一対のそれぞれの極性に従って、その一対の組み合わせに通電する。
【0037】
たとえば、図5に示すように、電極切替部21および通電部22は、まずは3つの突出電極部13のうち第1の突出電極部13Aと第2の突出電極部13Bの対を選択し、その間で第1の突出電極部13Aを正極に、第2の突出電極を負極に設定して通電する。電極切替部21および通電部22は、次に選択する突出電極部13を切り替えて第2の突出電極部13Bと第3の突出電極部13Cの対を選択し、その間で第2の突出電極部13Bを正極に、第3の突出電極部13Cを負極に設定して通電する。さらに次に電極切替部21および通電部22は、第3の突出電極部13Cと第1の突出電極部13Aの対を選択し、その間で第3の突出電極部13Cを正極に、第1の突出電極部13Aを負極に設定して通電する。
【0038】
このように複数(本実施形態では3つ)の突出電極部13、すなわち第1の突出電極部13A、第2の突出電極部13Bおよび第3の突出電極部13Cにおいてその一対の組み合わせの選択が経時的に順次切り替えられ、繰り返し実行される。この切替および繰り返しにより刺激エリアが順々にローテーションされて電気が供給されるので、多方面で刺激エリアを発生させることができ、その結果複雑に配置される表情筋のような筋肉に容易に電気的刺激を付与することが可能となる。
なお、切り替える順序については前述した順序の逆順にしてもよく、その切替の方向が周方向であればランダムな順序に設定されてもよい。
【0039】
[・本実施形態の利点について]
以上説明したように本実施形態の生体電気供給装置10によれば、3つの突出電極部13(電極部の一例)においてその一対の組み合わせを選択する。その選択とともに、一対のそれぞれの極性を決定し、その決定された一対の組み合わせおよびその一対のそれぞれの極性に従ってその一対の組み合わせを通電する。このため、その一対の組み合わせを適宜切り替えることで電気が供給される刺激エリアのバリエーションを高めることができる。また、時系列での連続的な刺激エリアの変化を大きくすることも可能となるため、使用者が人間によるマッサージを受けるような電気的刺激を付与することができる。
【0040】
また、本実施形態の生体電気供給装置10によれば、電極切替部21(選択決定部の一例)が一対の組み合わせの選択を経時的に自動的に順次切り替える。このため、時系列での連続的な刺激エリアの変化をさらに大きくして使用者にとってよりマッサージ効果が高い電気的刺激を付与することができる。
【0041】
また、本実施形態の生体電気供給装置10によれば、3つの突出電極部13(電極部の一例)が所定の面において周方向に沿って配設される。また、電極切替部21(選択決定部の一例)は、一対の組み合わせの選択を隣接する電極部同士で行い、その選択をその周方向に沿って順次切り替える。このため、多方面で刺激エリアを発生させることで複雑に配置される表情筋のような筋肉に容易に電気的刺激を付与することができる。つまり、より一層マッサージ効果が高い電気的刺激を付与することができる。
【0042】
また、本実施形態の生体電気供給装置10によれば、3つの突出電極部13(電極部の一例)のうち少なくとも1つにおいて保持部15の長さがそれ以外の突出電極部13よりも短く形成される。このため、たとえば使用者の頭部のように曲面を有しかつ使用者の手より上側に位置する皮膚表面に対しても、使用者は装置本体を把持した状態で3つの突出電極部13を容易に当接させながらスライドさせることができる。これにより、装置の使い勝手を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態の生体電気供給装置10によれば、突出電極部13(電極部の一例)の2つの保持部15の長さは略同一に形成され、突出電極部13の残り1つは、その他の突出電極部13の2つよりも短くまたは長く形成される。このため、たとえば使用者の頭部のように曲面を有しかつ使用者の手より上側に位置する皮膚表面に対しても、3つの突出電極部13をより容易にかつより確かに当接させながらスライドさせることができる。
【0044】
つまり、本実施形態の生体電気供給装置10によれば、3つの突出電極部13(複数の電極部の一例)の組み合わせおよびその極性が種々に変更されて使用可能である。これにより、電気的刺激が異なる部位が時系列的に変化するため、使用者が人間によるマッサージを受けるような皮膚表面の電気的刺激を実現することができる。
【0045】
すなわち、電気が供給される刺激エリアのバリエーションを高めることができ、かつ時系列での連続的な刺激エリアの変化を大きくして使用者が人間によるマッサージを受けるような電気的刺激を付与することができる。
【0046】
以上、図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 :生体電気供給装置
10A:上半部
10B:下半部
11 :平坦電極部
12 :手掌電極部
13 :突出電極部
13A:第1の突出電極部
13B:第2の突出電極部
13C:第3の突出電極部
14 :接触子
15 :保持部
16 :操作入力部
20 :制御部
21 :電極切替部
22 :通電部
C :カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6