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特開2023-81245基板固定装置及びプリント配線板検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081245
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】基板固定装置及びプリント配線板検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20230602BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20230602BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20230602BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20230602BHJP
   B25B 11/00 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
G01R31/28 J
H05K3/00 V
G01R31/52
G01R31/54
B25B11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195032
(22)【出願日】2021-11-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年4月12日に株式会社大昌電子へ販売品を設置
(71)【出願人】
【識別番号】594033824
【氏名又は名称】マイクロクラフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108958
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 英一
(72)【発明者】
【氏名】秀平 崇行
【テーマコード(参考)】
2G014
2G132
3C020
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AA03
2G014AA13
2G014AB59
2G132AF02
2G132AK03
2G132AL00
3C020XX06
(57)【要約】
【課題】 小型化かつ低コストで作成可能にする。
【解決手段】 本発明の基板固定装置2は、プリント配線板6に設定された被固定部位Fの略全長を、基台部に対して固定/解放可能な一対のクランプ部14、18と、該クランプ部14、18を相対移動させる膨縮体15とを備える第一固定機構8を含んでいる。クランプ部14、18は、互いの先端部が被固定部位Fの両面を把持して固定する。膨縮体15は、クランプ部14、18の基端部側における互いの対峙面の間に配設され、被固定部位Fの略長さ方向に延びる中空体であり、前記基端部側の各対峙面のそれぞれに外面が面状に当接するように配設されるとともに、被固定部位Fの長さ方向の略全長に渡って略同一断面形状に形成されており、内部にエアーが供給されると膨張してクランプ部14、18の前記基端部側を離隔させ、該内部からエアーが排出されると収縮して該基端部側を近接させる。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の縁部に設定されて該縁部の長さ方向に延びる被固定部位の略全長を、基台部に対して固定及び解放可能に設けられた一対のクランプ部と、
前記被固定部位を固定及び解除するように、該一対のクランプ部を互いに相対移動させる駆動手段とを備えており、
前記一対のクランプ部は、互いの基端部側が相対的に前記駆動手段により駆動されることにより、互いの先端部が前記被固定部位の両面を把持して該被固定部位を固定するように構成され、
前記駆動手段は、前記一対のクランプ部の前記基端部側における互いの対峙面の間に配設され、前記被固定部位の長さ方向と略平行に延びる中空の膨縮体であり、
該膨縮体は、前記基端部側の各対峙面のそれぞれに外面が少なくとも膨張時に面状に当接するように配設されるとともに、前記被固定部位の長さ方向の略全長に渡って略同一断面形状になるように形成されており、内部に流体が供給されると膨張して前記一対のクランプ部の前記基端部側を離隔させ、該内部から流体が排出されると収縮して該基端部側を近接させることにより、前記一対のクランプ部を互いに相対移動させるように構成されている基板固定装置。
【請求項2】
一方の前記クランプ部は、前記基台部に固定されており、他方の前記クランプ部は、前記一方のクランプ部に対して相対移動可能に設けられており、
前記膨縮体は、前記一方のクランプ部に対して前記他方のクランプ部を相対移動させるように構成されている請求項1記載の基板固定装置。
【請求項3】
前記他方のクランプ部は、その基端部側が前記被固定部位の長さ方向と平行に延びる軸体で回動自在に支持されている請求項2記載の基板固定装置。
【請求項4】
前記他方のクランプ部は、前記一方のクランプ部に対して、略平行に接近又は離間可能に支持されている請求項2記載の基板固定装置。
【請求項5】
前記一対のクランプ部は、それぞれが前記基台部に対して相対移動可能に設けられており、
前記膨縮体は、前記一対のクランプ部を互いに相対移動させるように構成されている請求項1記載の基板固定装置。
【請求項6】
前記一対のクランプ部は、それぞれの基端部側が前記被固定部位の長さ方向と平行に延びる軸体で回動自在に支持されている請求項5記載の基板固定装置。
【請求項7】
前記一対のクランプ部は、互いに略平行に接近又は離間可能に支持されている請求項5記載の基板固定装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の基板固定装置を含んでいるプリント配線板検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状に形成された基板を固定するための基板固定装置及びそれを含むプリント配線板検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術としては、特許文献1に記載されたプリント基板検査装置101を例示する。このプリント基板検査装置101は、図10に示すように、プリント基板102を把持するための把持装置103の把持機構として、エアシリンダによって回動される伝達軸114と、該伝達軸114のトルク(回転力)がリンク(図示略)を介して伝達されることによって回動させられる可動爪116と、該可動爪116とともにプリント基板102の端縁を把持(クランプ)する固定爪117とを備えている。そして、エアシリンダで回動される可動爪116の挟持面が、固定爪117の挟持面とともにプリント基板102の端縁を挟持する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2899492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のプリント基板検査装置101は、前記把持機構の外部に設けられた駆動手段としてのエアシリンダを含めた把持部の構成が大きいため、それを含むプリント基板検査装置101の構成も大きくなってしまうという課題がある。また、駆動手段としてエアシリンダの代わりにロータリーシリンダやモータを用いて偏心カムを回動させることで、固定爪の挟持面とともにプリント基板102の端縁を挟持するように構成されている把持部もある。この構成の把持部では、エアシリンダを用いたものに比べれば多少の小型化や薄型化が可能になるものの、エアシリンダを用いた把持部よりも、部品点数が増えて組み立てやメンテナンスが困難になるため、コスト増になるという課題がある。
【0005】
そこで、仮に前記把持機構の内部(例えば、可動爪116と固定爪117の間)に前述した従来の駆動手段(エアシリンダ、ロータリーシリンダ、モータ)を設けることも考えられないことはないが、そうすると前記把持機構が厚くなるという課題が発生する。十分な把持力を生じさせるための駆動力を駆動源に備えさせようとすると、それに応じて該駆動源が大型化するためである(例えば、エアシリンダの出力はその円筒の内径に比例する)。特に、プリント基板検査装置として、プリント基板102の両面から検査を行う構成を採用する場合、プローブがプリント基板102の両面側に配置されるので、プリント基板102を把持する前記把持機構が該両プローブに挟まれた位置に配置される。そのため、前記把持機構が厚くなると、それに干渉しないようにそれから両プローブを遠ざける必要があり、その結果、プローブと基板面の間の距離が離れ、プローブの位置精度が低下するという課題も発生する。
【0006】
また、特許文献1のように構成されたプリント基板検査装置101においては、プリント基板102の被把持部位の長さが長いときでもその略全体を可動爪116と固定爪117により均一な力で把持できるようにするために、可動爪116の幅方向における複数箇所にエアシリンダの駆動力を伝動するように、エアシリンダと可動爪116との間の伝動機構が構成される場合が多い。その場合、前記複数箇所へ動力が均一に伝動するように前記伝動機構を構成しないと、場所によって把持力に差が発生してしまう。そのため、前記伝動機構の調整にコストが掛かるという課題がある。そして、この課題は、駆動手段としてエアシリンダに代えてロータリーシリンダやモータを用いた場合にも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、第1の発明の基板固定装置は、
基板の縁部に設定されて該縁部の長さ方向に延びる被固定部位の略全長を、基台部に対して固定及び解放可能に設けられた一対のクランプ部と、
前記被固定部位を固定及び解除するように、該一対のクランプ部を互いに相対移動させる駆動手段とを備えており、
前記一対のクランプ部は、互いの基端部側が相対的に前記駆動手段により駆動されることにより、互いの先端部が前記被固定部位の両面を把持して該被固定部位を固定するように構成され、
前記駆動手段は、前記一対のクランプ部の前記基端部側における互いの対峙面の間に配設され、前記被固定部位の長さ方向と略平行に延びる中空の膨縮体であり、
該膨縮体は、前記基端部側の各対峙面のそれぞれに対し、前記被固定部位の長さ方向と略平行に延びる外面が少なくとも膨張時に面状に当接するように配設されるとともに、前記被固定部位における前記被固定部位の長さ方向の略全長に渡って略同一断面形状になるように形成されており、内部に流体が供給されると膨張して前記一対のクランプ部の前記基端部側を離隔させ、該内部から流体が排出されると収縮して該基端部側を近接させることにより、前記一対のクランプ部を互いに相対移動させるように構成されている。
【0008】
前記基板としては、板状に形成されたものであれば特に限定されないが、配線がプリントされたプリント配線板(回路素子が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。)、配線がプリントされていない板体等を例示する。前記流体としては、特に限定されないが、気体(例えば空気)又は液体(例えば油圧作動油)を例示する。前記被固定部位の長さ方向とは、それが設定されている前記縁部の長さ方向のことである。
【0009】
この構成によれば、前記駆動手段として、前記一対のクランプ部の間に配設された前記膨縮体を使用しているので、従来の駆動手段(エアシリンダ、ロータリーシリンダ、モータ)を使用する場合と比べ、設置スペースを大幅に低減でき、小型化することができる。しかも、前記従来の駆動手段と比べ、部品点数が減らすことができ、組み立ても簡単なため、低コストで作成することができる。また、前記膨縮体は、前記クランプ部との接触面積に応じた推力を得ることができ、前記被固定部位の長さ方向と略平行に延びる外面が面状に当接するように構成されているので、小型ながら大きな推力を得ることができる。しかも、前記膨縮体は、前記被固定部位における前記被固定部位の長さ方向の略全長に渡って略同一断面形状になるように形成されているので、パスカルの原理により、該略全長に渡って均一な推力を得ることができる。
【0010】
第2の発明の基板固定装置としては、前記第1の発明において、
一方の前記クランプ部は、前記基台部に固定されており、他方の前記クランプ部は、前記一方のクランプ部に対して相対移動可能に設けられており、
前記膨縮体は、前記一方のクランプ部に対して前記他方のクランプ部を相対移動させるように構成されている態様を例示する。
【0011】
この構成によれば、一方の前記クランプ部が前記基台部に固定されており、他方の前記クランプ部のみが駆動される構成として、前記第1の発明の基板固定装置を具体化できる。そして、この構成によれば、前記他方のクランプ部のみを駆動すればよいので、部品点数を少なくでき、組み立ても簡単なため、低コストで作成することができる。
【0012】
第3の発明の基板固定装置としては、前記第2の発明において、
前記他方のクランプ部は、その基端部側が前記被固定部位の長さ方向と平行に延びる軸体で回動自在に支持されている態様を例示する。
【0013】
前記軸体としては、特に限定されないが、直線状に延びる軸のほかに、直線上に列設された支点の集合体であって軸のように作用するものを含むものとする。前記軸体の位置は、特に限定されないが、前記先端部と前記膨縮体の間にしたり、前記膨縮体から前記基端部の間又は前記基端部にしたりすることを例示する。
【0014】
この構成のように、前記第2の発明の基板固定装置を具体化することができる。
【0015】
第4の発明の基板固定装置としては、前記第2の発明において、
前記他方のクランプ部は、前記一方のクランプ部に対して、略平行に接近又は離間可能に支持されている態様を例示する。
【0016】
前記一対のクランプ部の支持方法としては、特に限定されないが、前記一対のクランプ部と前記膨縮体の当接部位を固定することにより、前記膨縮体を介して前記一方のクランプ部に支持する態様や、前記基台部又は前記一方のクランプ部に設けられ、該他方のクランプ部を前記略平行にスライド移動可能にガイドするガイド部材を介して前記基台部又は前記一方のクランプ部に支持する態様を例示する。
【0017】
この構成のように、前記第2の発明の基板固定装置を具体化することもできる。
【0018】
第5の発明の基板固定装置としては、前記第1の発明において、
前記一対のクランプ部は、それぞれが前記基台部に対して相対移動可能に設けられており、
前記膨縮体は、前記一対のクランプ部を互いに相対移動させるように構成されている態様を例示する。
【0019】
この構成によれば、前記一対のクランプ部の両方が駆動される構成として、前記第1の発明の基板固定装置を具体化できる。
【0020】
第6の発明の基板固定装置としては、前記第5の発明において、
前記一対のクランプ部は、それぞれの基端部側が前記被固定部位の長さ方向と平行に延びる軸体で回動自在に支持されている態様を例示する。
【0021】
前記軸体としては、特に限定されないが、直線状に延びる軸のほかに、直線上に列設された支点の集合体であって軸のように作用するものを含むものとする。前記軸体の位置としては、特に限定されないが、前記先端部と前記膨縮体の間にしたり、前記膨縮体から前記基端部の間にしたり、前記基端部にしたりすることを例示する。また、前記軸体としては、前記一対のクランプ部に対して共通のものを設けたり、各前記クランプ部に対してそれぞれ設けたりすることを例示する。
【0022】
この構成のように、前記第5の発明の基板固定装置を具体化することができる。
【0023】
第7の発明の基板固定装置としては、前記第5の発明において、
前記一対のクランプ部は、互いに略平行に接近又は離間可能に支持されている態様を例示する。
【0024】
前記一対のクランプ部の支持方法としては、特に限定されないが、前記一対のクランプ部と前記膨縮体の当接部を固定するとともに、該膨縮体を基台部に固定することにより、前記膨縮体を介して前記基台部に支持する態様や、前記基台部に設けられ、該各クランプ部を前記略平行にスライド移動可能にガイドするガイド部材を介して前記基台部に支持する態様を例示する。
【0025】
この構成のように、前記第5の発明の基板固定装置を具体化することもできる。
【0026】
第8の発明のプリント配線板検査装置は、前記第1~第7のいずれかの発明に係る基板固定装置を含んでいる。
【0027】
この構成によれば、前記第1~第7のいずれかの発明に係る基板固定装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る基板固定装置及びプリント配線板検査装置によれば、小型化することができるとともに、低コストで作成することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明を具体化した一実施形態に係る基板固定装置及びプリント配線板検査装置の構成図である。
図2】同検査装置の平面図である。
図3】同固定装置の平面図である。
図4】同固定装置の第一固定機構の斜視図である。
図5】同第一固定機構の斜視図の一部拡大図(一部部品は図示せず。)である。
図6図4の分解斜視図である。
図7】同固定装置の膨縮体を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)のC-C線端面図、(d)は(b)のD-D線端面図である。
図8図3のA-A線断面図であり、(a)は一対のクランプ部が開いた状態、(b)は同クランプ部が閉じた状態をそれぞれ表している。
図9図3のB-B線断面図であり、(a)は一対のクランプ部が開いた状態、(b)は同クランプ部が閉じた状態をそれぞれ表している。
図10】背景技術に係るプリント基板検査装置の把持機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図9は本発明を具体化した一実施形態のプリント配線板検査装置1とそれに含まれる基板固定装置2を示している。
【0031】
プリント配線板検査装置1は、図1及び図2に示すように、基台部12、基板固定装置2、プローブ5、プローブ支持部4、移動機構部3(移動機構3a、移動機構3b)、測定部9、記憶部10、及び、制御部11を備えており、基板固定装置2により固定された基板としてのプリント配線板6の各検査点に対してプローブ5の検査針5aを接触させることを繰り返すことで検査を行うように構成されている。
【0032】
基台部12は、中央部にプリント配線板6を配置するための開口部13を有しており、該開口部13内には、後述する基板固定装置2によりプリント配線板6が固定される。
【0033】
プローブ5は、プリント配線板6の検査点に接触させる検査針5aを備えている。本例のプリント配線板検査装置1は、プリント配線板6の両面から検査を行うように、プローブ5がプリント配線板6の両面にそれぞれ配置されている。
【0034】
プローブ支持部4は、移動機構3aに対してプローブ5を支持するように構成されている。
【0035】
移動機構3aは、各種モータ、そのモータを駆動させるモータドライバなどから構成されており、プローブ5を、プリント配線板6の板面と平行方向(XY方向)及び垂直方向(Z方向)に移動可能に構成されている。
【0036】
移動機構3bは、各種モータ、そのモータを駆動させるモータドライバなどから構成されており、後述する基板固定装置2の第二固定機構7を、プリント配線板6に対して1方向(Y方向)に移動可能に構成されている。
【0037】
測定部9は、電圧源、電流源、計測器などから構成され、プローブ5に接続されており、プローブ5間に電流を流したり、電圧を印加したりすることにより、プリント配線板6内の回路の抵抗等を測定することが可能に構成されている。
【0038】
記憶部10は、例えばRAM(ランダム・アクセス・メモリ)、ハードディスク等のメモリにより構成されており、測定した値や、その演算結果などを一時的に記憶するように構成されている。
【0039】
制御部11は、CPU(中央処理装置)、RAM、ROM(リード・オンリー・メモリ)等により構成されており、移動機構部3の駆動制御や、測定部9によって測定された抵抗値などが不良であるかどうかを判定する処理などを行う。
【0040】
基板固定装置2は、図3図9に示すように、プリント配線板6の下縁部に設定された被固定部位Fを把持する第一固定機構8と、プリント配線板6の上縁部に設定された被固定部位Fを把持する第二固定機構7を備えている。第一固定機構8は、基台部12の開口部13の下縁部に取り付けられている。第二固定機構7は、移動機構3bを介して、第一固定機構8と平行に、基台部12の開口部13の上縁部に取り付けられることにより、プリント配線板6の縦サイズに対応させるために、Y方向(上下方向)に移動可能になっている。
【0041】
第一固定機構8は、一対のクランプ部14、18と、被固定部位Fを固定及び解除するように、該一対のクランプ部14、18を互いに相対移動させる駆動手段としての膨縮体15とを備える。
【0042】
一対のクランプ部14、18は、プリント配線板6の縁部における略直線状に延びる被固定部位Fの略全長を、基台部12に対して固定及び解放可能に設けられている。この一対のクランプ部14、18は、被固定部位Fの長さ方向と略平行に延びる、それぞれの先端部で被固定部位Fの両面を把持することで該被固定部位Fを固定するように構成されている。
【0043】
本例では、一方のクランプ部14は、基台部12に固定されており、他方のクランプ部18は、クランプ部14に対して相対移動可能に設けられており、膨縮体15は、一方のクランプ部14に対して他方のクランプ部18を相対移動させるように構成されている。
【0044】
第一クランプ部14は、端部14a及び支持部14b、14c等から構成され、端部14aでプリント配線板6を把持する。端部14aは支持部14bに取り付けられ、支持部14bは支持部14cを介して基台部12に取り付けられる。
【0045】
第二クランプ部18は、被固定部位Fの長さ方向と平行に延びる軸体19を支軸として、基端側が略回動可能に取り付けられており、その端部で第一クランプ部14とともにプリント配線板6を把持するように構成されている。この構成は本例において次のように具体化している。すなわち、軸体19は、被固定部位Fの長さ方向に沿って列設された複数の被係止穴19bを備えており、各被係止穴19bは、第一クランプ部14に立設されたピン20に挿通されるとともに、ピン20の先端に設けられた係止部20aによりピン20から脱落しないように係止されている。そして、軸体19と第一クランプ部14の間には、各被係止穴19bと対応する位置にそれぞれ設けられた複数の貫通穴18aにピン20が挿通されるとともに、該ピン20の長さ方向にスライド可能かつ、図8及び図9における左右方向へ該ピン20に対して傾動可能に、第二クランプ部18が設けられている。本例の貫通穴18aは、その直径がピン20の直径よりもやや大きめに形成されるとともに、開口縁部を面取りする(図8参照)ことにより、前記傾動を可能にしている。軸体19は、その第二クランプ部18への対峙面が断面円弧状の周面19aになっており(図8参照)、後述する膨縮体15が第二クランプ部18を周面19aに押しつけながら変形することにより、該周面19aに沿って第二クランプ部18が略回動するようになっている。
【0046】
膨縮体15は、主に図6図9に示すように被固定部位Fの長さ方向と略平行に延びる、それぞれの基端部側における互いの対峙面の間に、該各対峙面のそれぞれに外面が少なくとも膨張時に面状に当接するように配設されるとともに、被固定部位Fの略全長に渡って略同一断面形状になるように形成された中空体となっている。この膨縮体15は、変形(膨張及び収縮)可能な材料で中空に形成されており、膨縮体15の一端の開口15a(図7(c)参照)には、中空の内部に連通するエアー供給口17が設けられており、該エアー供給口17を介して流体としてのエアーが供給されたり、同エアーが排出されたりするように構成されている。そして、膨縮体15は、その内部にエアーが供給されると膨張して一対のクランプ部14、18の前記基端部側を離隔させたり、該内部からエアーが排出されると収縮して該基端部側を近接させたりすることにより、一対のクランプ部14、18を互いに相対移動させるように構成されている。
【0047】
エアー供給口17にはエアー供給チューブ(図示せず)が接続され、エアーの供給や排出が可能になっている。
【0048】
第二固定機構7に関しては、基本的には第一固定機構8とほぼ同じの構成のため、その構成及び動作の説明を省略する。機構として異なるのは、第二固定機構7は移動機構3bを介して基台部12に取り付けられることにより、Y方向に移動可能に構成されている点である。
【0049】
次に、第一固定機構8の動作について説明する。プリント配線板6の被固定部位Fを把持する閉動作は次のとおりである。
(1)図8(a)及び図9(a)の状態において、前記エアー供給源からエアーの供給が始まると、膨縮体15が膨張変形を開始する。
(2)エアーの供給を続けると、膨縮体15はさらに膨張変形し、第二クランプ部18に接触する。
(3)さらにエアーが供給されると、膨縮体15はさらに膨張変形し、軸体19の周面19aに沿って、第二クランプ部18を矢印方向(図の左側)に略回動させ、ストッパー部16に接触した位置で停止する。この時、第二クランプ部18の端部は右方向に回動し、図8(b)及び図9(b)に示すように、第一クランプ部端部14aとともにプリント配線板6を把持する。
【0050】
また、プリント配線板6の被固定部位Fを解放する開動作は次のとおりである。
(1)図8(b)及び図9(b)の状態において、第一クランプ部端部14a、第二クランプ部18の端部で、プリント配線板6を把持した状態から、膨縮体15の内部のエアーを開放する。
(2)膨縮体15は収縮変形し、元の形状(定常状態)に戻り、第二クランプ部18の端部は図の左方向に回動することで、プリント配線板6の固定が解除される(第二クランプ部18(端部とは反対側)と第一クランプ支持部14bは付勢手段としての引きバネ21で引っ張りあっているため、膨縮体15の収縮変形にあわせて第二クランプ部18は左に回動し、図8(a)及び図9(a)に示すように、第一クランプ部端部14a、第二クランプ部18の端部の間隔が大きくなる(一対のクランプ部14、18が開いた状態になる))。
【0051】
以上のように本例の基板固定装置2は、プリント配線板6の縁部に設定されて該縁部の長さ方向に延びる被固定部位Fの略全長を、基台部12に対して固定及び解放可能に設けられた一対のクランプ部14、18と、被固定部位Fを固定及び解除するように、該一対のクランプ部14、18を互いに相対移動させる駆動手段とを備える第一固定機構8及び第二固定機構7を含んでいる。一対のクランプ部14、18は、互いの基端部側が相対的に前記駆動手段により駆動されることにより、互いの先端部が被固定部位Fの両面を把持して該被固定部位Fを固定するように構成されている。前記駆動手段は、一対のクランプ部14、18の前記基端部側における互いの対峙面の間に配設され、被固定部位Fの長さ方向と略平行に延びる中空の膨縮体15となっている。該膨縮体15は、前記基端部側の各対峙面のそれぞれに外面が面状に当接するように配設されるとともに、被固定部位Fの長さ方向の略全長に渡って略同一断面形状になるように形成されており、内部に流体としてのエアーが供給されると膨張して一対のクランプ部14、18の前記基端部側を離隔させ、該内部からエアーが排出されると収縮して該基端部側を近接させることにより、一対のクランプ部14、18を互いに相対移動させるように構成されている。
【0052】
この構成によれば、前記駆動手段として、一対のクランプ部14、18の間に配設された膨縮体15を使用しているので、従来の駆動手段(エアシリンダ、ロータリーシリンダ、モータ)を使用する場合と比べ、設置スペースを大幅に低減でき、小型化することができる。しかも、前記従来の駆動手段と比べ、部品点数が減らすことができ、組み立ても簡単なため、低コストで作成することができる。また、膨縮体15は、クランプ部14、18との接触面積に応じた推力を得ることができ、被固定部位Fの長さ方向と略平行に延びる外面が面状に当接するように構成されているので、小型ながら大きな推力を得ることができる。しかも、膨縮体15は、被固定部位Fの長さ方向の略全長に渡って略同一断面形状になるように形成されているので、パスカルの原理により、該略全長に渡って均一な推力を得ることができる。
【0053】
また、一方のクランプ部14は、基台部12に固定されており、他方のクランプ部18は、一方のクランプ部14に対して相対移動可能に設けられており、膨縮体15は、一方のクランプ部14に対して他方のクランプ部18を相対移動させるように構成されている。この構成によれば、一方のクランプ部14が基台部12に固定されており、他方のクランプ部18のみが駆動される構成として、前記第1の発明の基板固定装置2を具体化できる。そして、この構成によれば、他方のクランプ部18のみを駆動すればよいので、部品点数を少なくでき、組み立ても簡単なため、低コストで作成することができる。
【0054】
また、他方のクランプ部18は、その基端部側が被固定部位Fの長さ方向と平行に延びる軸体19で略回動自在に支持されている。この構成のように、前記第2の発明の基板固定装置2を具体化することができる。
【0055】
さらに、プリント配線板検査装置1は、基板固定装置2を含んでおり、基板固定装置2と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)軸体19を省き、他方のクランプ部18が、一方のクランプ部14に対して、略平行に接近又は離間可能に支持されている態様にすること。
(2)一対のクランプ部14、18は、それぞれが基台部12に対して相対移動可能に設けられており、膨縮体15は、一対のクランプ部14、18を互いに相対移動させるように構成されている態様にすること。そして、この態様をさらに次の態様に具体化すること。
(a)一対のクランプ部14、18は、それぞれの基端部側が被固定部位Fの長さ方向と平行に延びる軸体で回動自在に支持されている態様。
(b)一対のクランプ部14、18は、互いに略平行に接近又は離間可能に支持されている態様。
(3)流体として、気体であるエアーに代えて、液体(例えば油圧作動油)を用いること。
【符号の説明】
【0057】
1 プリント配線板検査装置
2 基板固定装置
3 移動機構部
3a 移動機構
3b 移動機構
4 プローブ支持部
5 プローブ
5a 検査針
6 プリント配線板
7 第二固定機構
8 第一固定機構
9 測定部
10 記憶部
11 制御部
12 基台部
13 開口部
14 第一クランプ部
14a 端部
14b 支持部
14c 支持部
15 膨縮体
15a 開口
16 ストッパー部
17 エアー供給口
18 第二クランプ部
18a 貫通穴
19 軸体
19a 周面
19b 被係止穴
20 ピン
20a 係止部
21 引きバネ
F 被固定部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10