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  • 特開-帯なしカジュアル和服 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081246
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】帯なしカジュアル和服
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/00 20180101AFI20230602BHJP
【FI】
A41D1/00 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021204635
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】520025312
【氏名又は名称】小野 久美子
(72)【発明者】
【氏名】小野 久美子
【テーマコード(参考)】
3B030
【Fターム(参考)】
3B030BA01
3B030BB01
3B030BC01
3B030BC02
(57)【要約】
【課題】締め付けに弱い体質の方でも誰もが正式着物の和柄を楽しめるように、肌にストレスフリーで、そして、人に着せてもらったり、習ったりしなくとも普段から自力で気軽に着られるように、楽でより動きやすくしたカジュアルな帯なし和服の提供にある。
【解決手段】 正式着物を着るときの帯や複数の紐や必要物品など締め付けるものをすべて省略し、着物や浴衣を上衣、下衣に分けた上衣において、従来からある甚平などの和服の両脇下にある左右の身頃の紐に加え、上衣のウエスト背部、背中央中心に紐(図1の1)を一部縫い付けて、前や横で紐を結ぶ(A)ことや、着物を上衣、下衣に分けた上衣の下前と上前のウエスト位置に縫い付けた紐(図4の4,5)を、下前の紐は、身八口を紐の太さや季節に合わせて紐が通るほどに縫って開けた開口部(8)に通し、上前のウエスト位置に付けた紐はそのまま後ろにもっていき、それらを後ろで縛る形(B)の帯なし和服と、下衣(図9の6)は動きやすくするため後の下端にスリット(6)を入れた。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着物や浴衣を上衣、下衣に分けた上衣の左右の身頃に紐のついた甚平などの和服の両脇下にある従来の紐に加え、上衣のウエスト背中央部に紐を一部縫いつけて、前で縛るのを組み合わせたことを特徴とする和服
【請求項2】
着物や浴衣を上衣、下衣に分けた上衣において、下前(右前身ごろ)と上前(左前身ごろ)の端のウエスト位置に紐を縫いつけて、下前の紐に合わせて縫った身八口を通した紐と、上前のウエスト位置の紐はそのまま後ろにもっていき、それらを後ろで縛ることを特徴とする和服
【請求項3】
着物や浴衣を上衣、下衣に分けた下衣の、後ろから巻いて前が重なり、そのうしろ部分の中央下端部にスリットが入ったことを特徴とする和服
【請求項4】
請求項1から3に記載の前記和服が上下つながった和服
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは、締め付けなくて動きやすい、肌にストレスフリーな帯なしカジュアル和服に関する。
【背景技術】
【0002】
現代では、締め付けによる蕁麻疹のでる方が増えている。また、締め付けない衣服や下着も数多く店頭に並ぶようになったように、他にも多くの方が締め付けず、着ていて楽な衣服を求めているようである。
特に外部からの物理的な刺激によっておこる蕁麻疹を機械的蕁麻疹というが、その中に、遅延性圧蕁麻疹(以下、締め付け蕁麻疹)という皮膚への圧により起こる蕁麻疹がある。こういう体質の方が着物を着るとなると、ある程度は我慢できるが、半日して脱ぐころには蕁麻疹が出てしばらくの間、痒みが治まらない。
こうなっては着物(以下、区別するため正式着物と書く)を楽しむどころではない。そんな締め付け蕁麻疹のある方でも日本の民族衣装である正式着物の美しい和柄を楽しめるように、そして、そうでない方も、窮屈さをなくし、他人に着せてもらったり、習ったりしなくとも自力で気軽に着られる和服であるように、動きやすく普段着に楽に着られ、着物離れを戻せるように、さらに旅行などにも持ち運び便利な、帯なしカジュアル和服を提供する。
これまで、着脱を簡単にするために二部式着物や帯なし着物が出ているが、正式着物同様おはしょりやしめつけるものなどたくさんの必要物品があったり、逆に帯がないものは、シルエットが幅広く、正式着物のようにスマートではなかったりした。また、正式着物では小股でなければ少し歩きにくかった。
以下、二部式着物や帯なし着物の紐のついた関連のあるものを挙げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-137608
【特許文献2】特開2007-016372
【特許文献3】特開2006-063463
【特許文献4】特開2002-266115
【特許文献5】特開2005-097811
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】実全昭60-161109
【非特許文献2】実登3134575
【非特許文献3】実登3115547
【非特許文献4】意匠登録1394655
【非特許文献5】実全昭59-160506
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、様々なところに紐を付けているが、帯をすることが前提のものであり、今回の案の紐より上位にある。正式着物の着方として、従来から長襦袢を着た後、その上に紐を胸のアンダーバストのところで縛るが、その衣文ガイドの役割のひもを内側につけたものであり、違う紐である。コーリンベルトも紐も従来の正式着物同様に複数の紐をしめて、その上、帯もするので窮屈さがあり、圧による痒みの出る体質の方には楽しめず、一般の方にも気軽さに欠けるという問題がある。
【0006】
特許文献2はおはしょりがあるが、帯を巻く前提の二部式着物だと締め付け蕁麻疹の方は、その問題を解決しない。そして、二部式であれば長くないのでおはしょりを作る必要をなくすことも可能である。
【0007】
特許文献3の紐もおはしょりのためのループであり、おはしょりや硬い帯を締めることは気軽さに欠けるという問題がある。帯なしカジュアル着物は、呉服屋さんや、しゃれた老舗だけでなく締め付け蕁麻疹の体質の方にもそうでない方にも日本人の着物離れを戻し、和柄の美しさに、楽(らく)さをプラスした新しい形の和服を提供しようとするものである。
【0008】
特許文献4の紐も簡単におはしょりを作るものであり、帯ありきなので、複数の紐で締め付けることとなり、締め付け蕁麻疹の体質の方にとって気軽に楽しむカジュアルな着物とはならない。
【0009】
特許文献5は、紐が中央にある。この着物スーツは締め付けないでラフに着られるが、これも身頃のゆとりがありすぎて、生地が肌についてなく、風が直接当たってしまうのが嫌な人には合わず、これの帯がない時には身頃が幅広く、スマートでないためシルエットが正式着物のようにいかないという問題があった。
【0010】
非特許文献1のシルエットは少し似ているが、上衣裾に係止部材を取り付けており、その小さな穴2か所に紐を通さなければならないことと、ラフに寝ころぶときに部材が当たって痛いという問題がある。
【0011】
非特許文献2は締め付けずウエストもすっきりしている。しかし、作業しやすくという目的で発案した着物であるが、これも紐がないので上に帯を身に着けることになり、締め付け蕁麻疹の方には痒くて作業もできなくなることもある。また、この発案のゴムを使うことでラテックスアレルギーのある方はアレルギーが出現し、締め付け蕁麻疹と同じく痒くて長時間着ていられず、楽しめないという問題も出てくる。
【0012】
非特許文献3は固定ベルトであり、緩みがなく、締め付け蕁麻疹のできる、方にとっては窮屈である。また、ファスナーを使うが寝ころんだときに当たると痛いと感じる人も出てくる可能性あり、肌にストレスフリーにはならないという問題がある。肌が敏感な方には、紐のきつさ、結び目のあたる痛さが問題となる。
【0013】
非特許文献4は、二部式着物ではないが、形がより近いものでスマートでもある。しかし、これもいかに正式着物をスピーディに着られるかを目標に作られたものであり、省略したのは衣文をぬくこととおはしょりを作ることで、締め付けることに変わりはない。正式着物のようにその上の帯のために、紐は後ろを通って前で結ぶのがこれまでの常識であるが、これも二十に巻くものであり、帯を結ぶ前の前処理のようなものであった。そのためこの紐の端は紐の中にしまっているのであり、帯で締め付けること前提なので、今回の解決にはならない。また、歩きにくさは改善されずカジュアルにならない。
【0014】
非特許文献5は昔からある型であり、これの良さもあるが、これもシルエットが幅広く、正式着物と全く違うものになる。シルエットを正式着物により近く、スマートに見せたい人には合わないことになる。
【0015】
このように、正式着物を楽しむために問題になることは、
1 自力で着るのが大変であること、
2 皮膚を圧迫し、窮屈であり、人によっては痒くなってしまうこと、
3 きつく結んだ紐やベルトが体に当たり、ラフでないこと、
4 動いているうちに着崩れしてしまうことがあること、
5 持ち運ぶには15くらいの必要物品(和装スリップ、補正用タオル、衿芯、長襦袢、半衿、伊達締め、クリップ、コーリンベルトなど着付け用ベルト、ウエストベルト、紐3本ほど、帯板、帯、帯揚げ、帯締めなど)が多くて大変であること、などがある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これら1から5の問題を解決するため、正式着物の正式な帯など、皮膚を圧迫し続けるものすべてを省略し、紐だけにして圧迫のない、肌にストレスフリーな和服にする。一つは甚平などの既存の身頃の両端の紐に加え、ウエストの背中央部に一部縫い付けた紐(1)を前で結ぶ着物にして(図1,2)、もう一つは下前と上前のウエスト位置に縫い付けた紐(図4の4、5)を、後ろで縛る(図7,8)だけの和服にする。衿のところはスナップボタンで留めて(3)胸元の開くのを防ぐ。カジュアル和服の下衣(図9)もアクティブに動けるように後ろの中央下端にスリット(6)を入れる。下衣上部のダーツ(7)は必要に応じて作る。
【発明の効果】
【0017】
そうすることで、ストレスフリーの新たな正式着物の代わりとなり、誰もが美しい和柄を楽しめ、簡単に洋服のように気軽に着られ、着崩れの心配もなく、ラフに寝ころぶことも可能であり、着脱が簡単で正式着物より断然、動きやすくなる。そして紐でいくらでも調整でき、太っても痩せても関係ないので経済的で一生大切に着ることができる。さらに簡単に持ち運べるカジュアルな和服となる。これらから着物離れを解消できる可能性も期待できる。
【0018】
例えば、海外に旅行に行く際、これでは日本人の民族衣装である正式着物だとは紹介できないが、このカジュアル和服で美しい自慢の和柄だけは紹介できるし、呉服屋も活気が出るかもしれないほど楽で普段に着られる和服である。また、必要物品がないことで、Tシャツ2枚と同じ手軽さとなり、荷物の多い海外旅行にも洋服に混じって気軽に持ち運べる。さらに気軽に着られることで、同じアジアの中国人や韓国人と間違われることもなく「日本人です」と言わなくても着ていれば、そう認識してもらえる。
【0019】
格式ばった正式着物は美しいが普段着にするには、着るのに時間もかかるし、技術も必要であるがこれは簡単なので普段着にできる。ただ、正式着物のような帯を身に付けたい締め付けの無理な体質でなければこの上から、ワンタッチ帯でも正式帯でも付けることもできるので、パーティなどで華やかさを出したいときも簡単に正式着物に近づける。
【0020】
生地は綿、絹、ウール、ポリエステルなど何でもよく、この下に下着を身につけてから着てもいいし、綿の浴衣地などで直接着てもよい。常識では浴衣は寝る前の夕方に着る寝間着であったが、綿のTシャツがいつでも着られるように、浴衣を日中に着るのが変という常識を覆せるものとする。肌の敏感な方にとっては綿の浴衣の着心地は普段着にしたいアイテムである。
【0021】
身八口の開きは、縫って、使う紐の幅を通すほどの開きで足りるが、広くても狭くてもよく、付ける紐や、着る季節の和服に合わせて作る。
【0022】
この帯なしカジュアル和服は、授乳の時大変便利である。胸元のスナップボタンを外せばいつでも授乳しやすく胸元が無理なく開く。正式着物では妊婦にはきついがこれは腹部を圧迫しない。妊娠の何か月でも着られるため、妊婦中にも経済的である。
【0023】
紐は何でもいいが、和服と同じ布か、化繊アレルギーのない方には綿がいいし、化繊アレルギーのない方なら、兵児帯をつけてもきれいである。兵児帯も子供だけに使うのはもったいなく、窮屈でなく柔らかいのは着心地がいい。また、美しい柄の腰ひもを付けても結んだ時にきれいである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】は帯なしカジュアル和服の後ろから見た図(A案)
図2】は帯なしカジュアル和服の前から見た図(A)
図3】は帯なしカジュアル和服の前から見た全身(A)
図4】は帯なしカジュアル和服の前から見た図(B案)
図5】は帯なしカジュアル和服の前を開いた身八つ口部分(B)
図6】は帯なしカジュアル和服の前から見た全身(B)
図7】は帯なしカジュアル和服の後ろから見た全身(B)
図8】は帯なしカジュアル和服の紐を兵児帯にした時の後ろ姿(B)
図9】は着物の下衣にスリットを入れた帯なしカジュアル和服
【符号の説明】
【0025】
1後ろのウエスト紐
2従来からある甚平などに使われる紐
3内側にスナップボタン
4右前身ごろの紐
5左前身ごろの紐
6スリット
7ダーツ(必要に応じて)
8身八口を縫った紐通しの開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9