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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081305
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】改良されたフォトレジスト製剤
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/312 20060101AFI20230602BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230602BHJP
   C09D 7/41 20180101ALI20230602BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20230602BHJP
   C09D 163/02 20060101ALI20230602BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20230602BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20230602BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
H01L21/312 D
C09D7/63
C09D7/41
C09D163/00
C09D163/02
C09D5/00 D
C09D7/20
H05K3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177811
(22)【出願日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】17/538,384
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機・ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】グラハム・デビッド シー.
(72)【発明者】
【氏名】プロヴァンス・ジョエル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー・ショーン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ・リチャード ディー.
【テーマコード(参考)】
4J038
5F058
【Fターム(参考)】
4J038DB051
4J038DB061
4J038DB071
4J038DB081
4J038JA33
4J038JA60
4J038JC18
4J038JC34
4J038JC38
4J038KA02
4J038KA04
4J038KA06
4J038KA08
4J038MA09
4J038NA09
4J038PA17
4J038PB11
4J038PC02
5F058AA06
5F058AC01
5F058AC07
5F058AD01
5F058AF04
5F058AG01
(57)【要約】
【課題】流体ジェット吐出デバイスに用いる改良されたフォトレジスト製剤および流体ジェット吐出デバイスに用いる平坦化層を改良する方法を提供する。
【解決手段】平坦化層は、約2~約3ミクロンの厚さを有し、約8.0~約8.5重量%の光酸発生剤、約2~約3.6重量%の光開始剤、約0.35~約0.5重量%の緑色染料、約35~約46重量%の多官能エポキシ化合物、約35~約50重量%の1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物、および約1~約2.6重量%のシラン接着促進剤を含み、全ての重量%は、溶媒のない層の合計重量に対するものである。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体吐出ヘッドに用いる平坦化層であって、前記平坦化層が、約2~約3ミクロンの厚さを有し、溶媒のない前記平坦化層の合計重量に対して、約8.0~約8.5重量%の光酸発生剤、溶媒のない前記平坦化層の合計重量に対して、約2~約3.6重量%の光開始剤、溶媒のない前記平坦化層の合計重量に対して、約0.35~約0.5重量%の緑色染料、溶媒のない前記平坦化層の合計重量に対して、約35~約46重量%の多官能エポキシ化合物、溶媒のない前記平坦化層の合計重量に対して、約35~約50重量%の1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物、および溶媒のない前記平坦化層の合計重量に対して、約1~約2.6重量%のシラン接着促進剤を含む平坦化層。
【請求項2】
前記1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物が、
【化1】

【化2】

【化3】
、および
【化4】
の化学式の化合物からなる群より選択される請求項1に記載の平坦化層。
【請求項3】
前記多官能エポキシ化合物が、
【化5】

【化6】

【化7】
、および
【化8】
の化学式の化合物からなる群より選択され、
m、n、およびpが、各前記化合物における繰り返し単位の数を示す整数である請求項1に記載の平坦化層。
【請求項4】
前記1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物が、
【化9】
の化学式の化合物の溶媒のない前記平坦化層の合計重量に対して、約3.5~約4.6重量%を含み、
化学式(III)の前記化合物が、1モル当たり約140グラムのエポキシ当量を有し、
【化10】
の化学式の化合物の溶媒のない前記平坦化層の合計重量に対して、約35~約46重量%を含み、
化学式(IV)の前記化合物が、1モル当たり約1700~約2300グラムのエポキシ当量を有する請求項1に記載の平坦化層。
【請求項5】
前記多官能エポキシ化合物が、
【化11】
の化学式の化合物の溶媒のない前記平坦化層の合計重量に対して、約35~約46重量%を含み、
化学式(VI)の前記化合物が、1モル当たり約195~約230グラムのエポキシ当量を有する請求項1に記載の平坦化層。
【請求項6】
前記シラン接着促進剤が、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む請求項1に記載の平坦化層。
【請求項7】
前記緑色染料が、粉状の緑色金属錯塩染料を含む請求項1に記載の平坦化層。
【請求項8】
前記光開始剤が、2-イソプロピルチオキサントンを含む請求項1に記載の平坦化層。
【請求項9】
前記光酸発生剤が、第5A族元素のオニウム塩、第6A族元素のオニウム塩、および芳香族ハロニウム塩からなる群より選択される芳香族錯塩を生成することのできる化合物または化合物の混合物を含む請求項1に記載の平坦化層。
【請求項10】
流体吐出ヘッドに用いる半導体チップを平坦化する方法であって、
フォトレジスト製剤を前記半導体チップのデバイス表面にスピンコーティングして、約2~約3ミクロンの厚さを有する平坦化層を提供することと、
前記平坦化層を乾燥させて、溶媒を除去することと、
マスクを介して前記平坦化層を化学線に露光することと、
前記露光された平坦化層を現像して、前記平坦化層に流体イジェクタの位置を定義することと、
前記現像された平坦化層をベークして、前記平坦化層を硬化することと、
を含み、前記フォトレジスト製剤が、前記フォトレジスト製剤の合計重量に対して、約3.5~約4.5重量%の光酸発生剤、前記フォトレジスト製剤の合計重量に対して、約0.8~約1.8重量%の光開始剤、前記フォトレジスト製剤の合計重量に対して、約0.15~約0.25重量%の緑色染料、前記フォトレジスト製剤の合計重量に対して、約15~約20重量%の多官能エポキシ化合物、前記フォトレジスト製剤の合計重量に対して、約15~約25重量%の1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物、前記フォトレジスト製剤の合計重量に対して、約0.5~約1.3重量%のシラン接着促進剤、および残部の溶媒を含む方法。
【請求項11】
前記1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物が、
【化12】

【化13】

【化14】
、および
【化15】
の化学式の化合物からなる群より選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記多官能エポキシ化合物が、
【化16】

【化17】

【化18】
、および
【化19】
の化学式の化合物からなる群より選択され、
m、n、およびpが、各前記化合物における繰り返し単位の数を示す整数である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物が、
【化20】
の化学式の化合物を含み、
化学式(III)の前記化合物が、1モル当たり約140グラムのエポキシ当量、および
【化21】
の化学式の化合物を有し、
化学式(IV)の前記化合物が、1モル当たり約1700~約2300グラムのエポキシ当量を有する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記多官能エポキシ化合物が、
【化22】
の化学式の化合物を含み、
化学式(VI)の前記化合物が、1モル当たり約195~約230グラムのエポキシ当量を有する請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記シラン接着促進剤が、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記緑色染料が、粉状の緑色金属錯塩染料を含む請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記光開始剤が、2-イソプロピルチオキサントンを含む請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記光酸発生剤が、第5A族元素のオニウム塩、第6A族元素のオニウム塩、および芳香族ハロニウム塩からなる群より選択される芳香族錯塩を生成することのできる化合物または化合物の混合物を含む請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記溶媒が、γ-ブチロラクトン、アセトフェノン、およびその混合物からなる群より選択される請求項10に記載の方法。
【請求項20】
請求項10に記載の方法によって作られた平坦化層を含む流体吐出ヘッドに用いる半導体チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体ジェット吐出デバイスに用いる改良されたフォトレジスト製剤および流体ジェット吐出デバイスの平坦化層を改良する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体ジェット吐出デバイスは、流体ジェット吐出ヘッドの技術および使用がインクジェット印刷アプリケーションを超えた様々なアプリケーションに拡大するにつれて、進化し続けている。流体ジェット吐出デバイスの重要な部品は、流体ジェット吐出ヘッドである。流体ジェット吐出ヘッドを適切に操作するには、吐出ヘッドの部品を精密に製造し、互いに対して相対的に配置する必要がある。例えば、吐出ヘッドのノズルプレートと半導体チップ部品の間のアライメント許容量(alignment tolerance)は、吐出ヘッドの正常機能にとって非常に重要である。
【0003】
ジェット吐出ヘッドを製造している間、ノズルプレート内のノズル孔を介して流体を吐出させるために使用される半導体チップ上の流体吐出デバイスとノズル孔を揃えるようにノズルプレートがウェハ上の半導体チップとして揃えられる。。流体吐出デバイスとノズル孔の間のミスアライメント(misalignment)は、ノズル孔から吐出される流体液滴の位置の精度に悪影響を与える。流体吐出デバイスとノズルプレートのアライメントも、ノズル孔を介して吐出される流体液滴の量と速度に影響を与える。
【0004】
流体ジェット吐出ヘッドを生産するには、複数の製造工程が必要である。まず、抵抗性、導電性、および絶縁性の金属層をシリコンウェハに堆積させて、個々の半導体チップを形成する。抵抗層等の層の一部を各チップの別々の位置に配置する。したがって、微小スケール(microscopic scale)において、チップの表面は、実質的に、凹凸(irregular)または非平面(non-planar)である。チップ表面の凹凸は、ノズルプレートとチップの間の接着不良や、半導体チップ上の流体吐出デバイスに関連するノズルプレート内のノズル孔のミスアライメント、あるいは、最悪の場合、ノズルプレートとチップの間の剥離(delamination)を引き起こす可能性がある。
【0005】
導電性、抵抗性、および絶縁性の層をウェハに堆積させて、個々のチップが形成されると、ノズルプレートとチップを互いに揃えた後に個々のノズルプレートをチップに取り付ける。そして、ノズルプレート/チップアセンブリをウェハから切除した後、ワイヤボンディングまたはテープ自動ボンディング(tape automated bonding, TAB)プロセスを使用して、各半導体チップにTAB回路またはフレキシブル回路を電気接続する。その後、ダイボンド接着剤を使用して、得られた各ノズルプレート/チップおよび回路アセンブリをチップポケット内のカートリッジ本体に取り付ける。最後に、アセンブリのTAB回路またはフレキシブル回路部分をカートリッジ本体に貼着(adhesively attach)する。流体ジェット吐出ヘッドの作成には複数の接着剤が使用されるため、吐出ヘッド部品を組み立てている間、通常、いくつかの硬化工程が必要になる。各組み立ておよび硬化工程を行うことによって、部品のミスアライメントが生じる可能性が出てくる。さらに、組み立て工程の間に吐出ヘッドを処理することによって、ノズルプレートとチップの間に剥離が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
平坦化層を使用して、ノズルプレートと半導体チップの間の接合を強めることができる。平坦化層は、撮像および処理されることによって流体吐出デバイスを露出するフォトレジスト材料層であってもよい。しかしながら、従来のフォトレジスト材料は、チップに堆積した金属層の反射性(reflectivity)により、正確に撮像および現像するのが困難であるため、半導体チップの重要部位から材料を完全に除去することができない。したがって、依然として、ノズルプレートを半導体チップに取り付けるための平坦化層として使用することのできる改良されたフォトレジスト製剤が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に関し、本発明の1つの実施形態は、平坦化層および方法を提供する。平坦化層は、約2~約3ミクロンの厚さを有し、溶媒のない(devoid of solvent)層の合計重量に対して、約8.0~約8.5重量%の光酸発生剤、溶媒のない層の合計重量に対して、約2~約3.6重量%の光開始剤、溶媒のない層の合計重量に対して、約0.35~約0.5重量%の緑色染料、溶媒のない層の合計重量に対して、約35~約46重量%の多官能エポキシ化合物、溶媒のない層の合計重量に対して、約35~約50重量%の1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物、および溶媒のない層の合計重量に対して、約1~約2.6重量%のシラン接着促進剤を含む。
【0008】
別の実施形態において、流体吐出ヘッドに用いる半導体チップを平坦化する方法を提供する。この方法は、フォトレジスト製剤を半導体チップのデバイス表面にスピンコーティングして、約2~約3ミクロンの厚さを有する平坦化層を提供することを含む。平坦化層を乾燥させて、溶媒を除去し、その後、マスクを介して化学線に露光する。露光された平坦化層を平坦化層に流体イジェクタの位置を規定するために現像し、最後に、平坦化層をベークして硬化する。フォトレジスト製剤は、製剤の合計重量に対して、約3.5~約4.5重量%の光酸発生剤、製剤の合計重量に対して、約0.8~約1.8重量%の光開始剤、製剤の合計重量に対して、約0.15~約0.25重量%の緑色染料、製剤の合計重量に対して、約15~約20重量%の多官能エポキシ化合物、製剤の合計重量に対して、約15~約25重量%の1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物、製剤の合計重量に対して、約0.5~約1.3重量%のシラン接着促進剤、および残部の溶媒を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物は、下記の化学式の化合物から選択される。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
いくつかの実施形態において、多官能エポキシ化合物は、下記の化学式の化合物から選択される。
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
式中、m、n、およびpは、各化合物における繰り返し単位の数を示す整数である。
【0020】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物は、下記の化学式の化合物の溶媒のない層の合計重量に対して、約3.5~約4.6重量%を含む。
【0021】
【化9】
【0022】
化学式(III)の化合物は、1モル当たり約140グラムのエポキシ当量を有し、下記の化学式の化合物の溶媒のない層の合計重量に対して、約35~約46重量%を含む。
【0023】
【化10】
【0024】
化学式(IV)の化合物は、1モル当たり約1700~約2300グラムのエポキシ当量を有する。
【0025】
いくつかの実施形態において、多官能エポキシ化合物は、下記の化学式の化合物の溶媒のない層の合計重量に対して、約35~約46重量%を含む。
【0026】
【化11】
【0027】
化学式(VI)の化合物は、1モル当たり約195~約230グラムのエポキシ当量を有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、シラン接着促進剤は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-glycidoxypropyltrimethoxysilane)である。
【0029】
いくつかの実施形態において、緑色染料は、粉状の緑色金属錯塩染料(metal complex dye)である。
【0030】
いくつかの実施形態において、光開始剤は、2-イソプロピルチオキサントン(2-isopropylthioxanthone)である。
【0031】
いくつかの実施形態において、光酸発生剤は、第5A族元素のオニウム塩(onium salt)、第6A族元素のオニウム塩、および芳香族ハロニウム塩(aromatic halonium salt)から選択される芳香族錯塩(aromatic complex salt)等のカチオンを生成することのできる化合物または化合物の混合物である。
【0032】
いくつかの実施形態において、溶媒は、γ-ブチロラクトン(gamma-butyrolactone)、アセトフェノン(acetophenone)、およびその混合物から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、フォトレジスト製剤を半導体チップのデバイス表面にスピンコーティングして、約2~約3ミクロンの厚さを有する平坦化層を提供することによって作られた平坦化層を含む流体吐出ヘッドに用いる半導体チップを提供する。平坦化層を乾燥させて、溶媒を除去し、その後、マスクを介して化学線に露光する。露光された平坦化層を現像して、平坦化層に流体イジェクタの位置を定義する。最後に、平坦化層をベークして硬化する。フォトレジスト製剤は、製剤の合計重量に対して、約3~約5重量%の光酸発生剤、製剤の合計重量に対して、約0.8~約1.8重量%の光開始剤、製剤の合計重量に対して、約0.15~約0.25重量%の緑色染料を含み、製剤の合計重量に対して、約15~約20重量%の多官能エポキシ化合物、製剤の合計重量に対して、約15~約25重量%の1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物、製剤の合計重量に対して、約0.5~約1.3重量%のシラン接着促進剤、および残部の溶媒(balance solvent)を含む。
【発明の効果】
【0034】
本発明に基づく組成物および方法の利点は、吐出ヘッドに用いる平坦化層を撮像および現像している間に、金属反射率を減らし、プロセスウィンドウ(process window)を増やすことである。プロセスウィンドウを増やすことによって、マスクと半導体チップのアライメントが増え、ウェハ上の複数の半導体チップに用いる平坦化層に吐出ヘッド構成を形成することができる。したがって、本明細書において説明する製剤および方法は、吐出ヘッドに用いる半導体チップを収容するウェハの加工性(processability)を高めるのに有効である。
【0035】
本発明の目的のため、「二官能エポキシ材料」は、化合物においてエポキシ官能基を2つのみ有する材料を意味する。「多官能エポキシ材料」は、化合物においてエポキシ官能基を2つより多く有する材料を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
図1】本発明に係る流体吐出ヘッドの一部の縮尺ではない断面図である。
図2】平坦化層を半導体基板上のキャビテーション層に塗布する前の図1の流体吐出ヘッドの一部の縮尺ではない断面図である。
図3】複数の半導体基板を含むウェハの縮尺ではない平面図である。
図4】本発明に係る平坦化層を含む流体吐出ヘッドを作成するプロセスを示したものである。
図5】本発明に係る平坦化層を含む流体吐出ヘッドを作成するプロセスを示したものである。
図6】本発明に係る平坦化層を含む流体吐出ヘッドを作成するプロセスを示したものである。
図7図1の流体吐出ヘッドの縮尺ではない斜視図である。
図8図1の流体吐出ヘッドを含む流体カートリッジの縮尺ではない斜視図である。
図9】従来の流体吐出ヘッドの一部の平面図における顕微鏡写真画像である。
図10】従来の流体吐出ヘッドの一部の平面図における顕微鏡写真画像である。
図11】従来の流体吐出ヘッドの一部の平面図における顕微鏡写真画像である。
図12】本発明に係る流体吐出ヘッドの一部の平面図における顕微鏡写真画像である。
図13】本発明に係る流体吐出ヘッドの一部の平面図における顕微鏡写真画像である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態に関し、流体吐出ヘッドは、シリコン基板に取り付けられた様々なフォトレジスト層で作られる。流体吐出ヘッドの組み立てと操作を改善するため、フォトレジスト層内で流れ特徴(flow feature)を撮像することは、流体吐出デバイスを流体チャンバおよび流体吐出ノズルと揃えるための重要な工程である。本実施形態に基づき、流体吐出デバイスを含む半導体基板に流体チャンバ、流体供給チャネル、およびノズル孔等の流れ特徴を含むノズルプレートをラミネートする。図1は、本発明に係る流体吐出ヘッドの一部の縮尺ではない断面図を示したものである。吐出ヘッド10は、シリコン二酸化パッシベーション(passivation)層14を含むシリコン基板12、好ましくはアルミニウムおよび銅またはベータ相(beta-phase)タンタル等の他の抵抗性金属の抵抗層16、アルファ相(alpha-phase)タンタル、金等の導電層18、炭化ケイ素および/または窒化ケイ素等のパッシベーション層20、およびタンタルのキャビテーション(cavitation layer)層22を含む。図1に示す実施形態において、流体吐出デバイスは、流体供給チャネル28から吐出チャンバ26に供給された流体を加熱するヒーター抵抗器24である。流体供給チャネル28および吐出チャンバ26、ならびに吐出ノズル30は、いずれもノズルプレート32内に形成され、接着剤36を用いて半導体基板34に熱ラミネート(heat laminate)される。適切なノズルプレート32は、1つの表面にフェノール接着剤を含むポリイミド膜で作られる。ノズルプレート32および接着剤36は、レーザーアブレーション(laser ablate)されて、その中に吐出チャンバ26、流体供給チャネル28、およびノズル孔30を形成する。
【0038】
図2に示すように、パッシベーション層、絶縁層、および導電層の全てがシリコン基板に塗布されると、半導体基板34の露出面38は、平滑ではなくなる。ノズルプレート32が半導体基板34の粗面に直接塗布された場合、ノズルプレートが半導体基板34から剥離する可能性がある。したがって、平坦化層40を使用して、ノズルプレート32を半導体基板34にラミネートするための平滑な面を提供するのが好ましい。平坦化層40は、半導体基板34の露出面38に塗布される。通常、シリコンウェハ42(図3)を使用して、複数の半導体基板34を提供する。
【0039】
平坦化層40を半導体基板34の露出面38に塗布する手順例に基づいて、非光反応性(non-photoreactive)溶媒および1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物をアンバーボトル(amber bottle)またはフラスコ(flask)等の適切な容器内で混合し、混合物を約60℃のローラーミル(roller mill)に一晩入れて、確実に成分を適切に混合する。溶媒と二官能エポキシ化合物を混合した後、容器に多官能エポキシ化合物を追加して、得られた混合物を約60℃のローラーミルで2時間回転させる。他の成分も一つずつ容器に追加し、各成分を容器に追加した後、容器を約60℃で2時間回転させて、ウェハコーティング混合物を提供する。得られたフォトレジスト混合物も、従来の充填物(例えば、硫酸バリウム(barium sulfate)、タルク(talc)、グラスバブルズ(glass bubbles))、粘度調整剤(例えば、焼成シリカ(pyrogenic silica))、顔料等の様々な添加物を含むことができる。これらの充填物を使用して、混合物の粘度を調整し、ウェハ42にスピンコーティングしてもよい。
【0040】
フォトレジスト製剤を表面38に塗布して表面38を平坦化するために、レジストスピナー(resist spinner)または従来のウェハレジスト堆積トラックのいずれかの適切な寸法のチャック(chuck)の中心にシリコンウェハ42を置く。フォトレジスト製剤は、手または機械的のいずれかによって、ウェハ42の中心に分配される。そして、ウェハ42を保持するチャックを1分当たり所定の回転数で回転させて、フォトレジスト製剤をウェハの中心からウェハ42の端部に均一に広げる。得られる樹脂フィルムの厚さを変化させるために、ウェハ42の回転速度を調整してもよく、またはフォトレジスト製剤の粘度を変えてもよい。2500rpmまたはそれ以上の回転速度を使用することができる。表面38に塗布されるフォトレジスト製剤の量は、表面38を実質的に平坦化するのに十分でなければならない。したがって、平坦化層40の厚さは、平坦化する実際の表面の不規則性によって変わってもよい。層40の厚さが約1~約5ミクロンの範囲であれば、通常、大部分の表面38に対して十分である。一般的な層40の厚さは、約2~約3ミクロンの範囲である。
【0041】
その後、得られたコーティングされたシリコンウェハ42を手または機械的のいずれかによってチャックから取り外し、材料がソフトベーク(soft bake)されるまで、温度制御されたホットプレート内または約90℃の温度に制御されたオーブン内に約30秒~約1分間置く。ベーキング工程は、溶媒の少なくとも一部を平坦化層40から除去するため、表面38に部分的に乾燥したフィルムが形成される。その後、シリコンウェハ42を熱源から取り除き、室温まで冷却する。
【0042】
平坦化層40、例えば、吐出デバイス位置24および接合パッド位置50にパターンを形成するために、平坦化層40をマスクして、放射源に露光する。半導体基板34に電気接続させるために使用される流体吐出デバイス24および接合パッド50(図7)の位置を定義するために、不透明領域46および透明領域48を含む適切なマスク44を使用して、平坦化層40の一部を放射源に露光し、平坦化層40を撮像する。平坦化層40の硬化により、紫外線および可視スペクトル領域内の波長でフォトレジスト製剤が化学線に露光する。露光は、使用した特定のエポキシ材料および芳香族錯塩の量に応じて、および放射源および放射源からの距離および硬化される層40の厚さに応じて、約1秒未満~約10分以上であってもよく、好ましくは、約5秒~約1分以上である。平坦化層40は、また、電子ビーム照射に露光することによって硬化されてもよい。この手順は、標準的な半導体リソグラフィックプロセスに類似する。露光後、平坦化層40を約90℃の温度で約30秒~約10分間、好ましくは、約1分~約5分間ベークし、平坦化層40の硬化が完了する。
【0043】
図6に示すように、マスク44の不透明領域46の下方にある平坦化層40の化学線に露光されなかった領域を現像プロセスで平坦化層40から除去する。現像液は、タンクのような装置中に浸漬させて撹拌することによって、またはスプレーのいずれかによって、シリコンウェハ42に接触するようになる。スプレーまたはウェハ42の浸漬のいずれかにより、フォトマスキングおよび露光によって定義された過剰の材料が適切に除去される。現像液の例には、例えば、ブチルセロソルブアセテート(butyl cellosolve acetate)、キシレンとブチルセロソルブアセテートの混合物、およびブチルアセテートのようなC1-6アセテートが含まれる。平坦化層40を現像した後、約150℃~約200℃、好ましくは、約170℃~約190℃の温度で、約1分~約60分間、好ましくは、約15分~約30分任意でベークし、ノズルプレート32を半導体基板34にラミネートする前に、残った溶媒を除去する。熱ラミネープロセスにより、ウェハ上の各半導体基板34にレーザーアブレーションしたノズルプレート32を取り付けて、複数の吐出ヘッド10を形成する。そして、吐出ヘッド10をウェハ42から切除する。
【0044】
図7は、ウェハ42から切除した吐出ヘッド10の縮尺ではない斜視図である。図8に示すように、各吐出ヘッド10を流体カートリッジ本体60に取り付けてもよい。電気トレース64および電気接触パッド66を含むフレキシブル回路62を吐出ヘッド10上の接合パッド50に取り付けて、吐出ヘッド10上の流体吐出デバイスの電気的制御および起動を行う。
【0045】
本実施形態の重要な特徴は、平坦化層40を撮像および現像している間に、シリコン基板上の金属層の金属反射率を減らし、プロセスウィンドウを増やすのに効果的な平坦化層40を使用することである。プロセスウィンドウを増やすことによって、マスク44と半導体基板34のアライメントが増え、ウェハ42上の複数の吐出ヘッド10に用いる平坦化層40に吐出ヘッド特徴を定義することができる。
【0046】
平坦化層40は、半導体基板34を含むウェハ42にスピンコーティングされた改良されたフォトレジスト製剤で作られる。本明細書で説明する改良されたフォトレジスト製剤は、1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物、シラン接着促進剤、光酸発生剤、光開始剤、染料、および1つまたはそれ以上の溶媒を含む。非光反応性溶媒を使用して、樹脂製剤をチップ10の表面26に塗布する。
【0047】
1つまたはそれ以上の二官能エポキシ化合物は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(diglycidyl ether)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(3,4-epoxycyclohexylmethyl-3,4-epoxycyclo-hexene carboxylate)、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキセンカルボキシレート(3,4-epoxy-6-methylcyclohexyl-methyl-3,4-epoxy-6-methylcy-clohexene carboxylate)、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(bis(3,4-epoxy-6-methylcyclohexylmethyl) adipate)、およびビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル(bis(2,3-epoxycyclopentyl) ether)から選択することができる。代表的な二官能エポキシ化合物は、下記の化合物から選択することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0048】
【化12】
【0049】
【化13】
【0050】
【化14】
【0051】
【化15】
【0052】
特に好ましい二官能化合物は、(III):(IV)の重量比率が約0.05:1~約0.15:1の化合物(III)と化合物(IV)の混合物である。化合物(III)は、1モル当たり約140グラムのエポキシ当量を有し、化合物(IV)は、1モル当たり約1700~約2300グラムのエポキシ当量を有する。
【0053】
溶媒のない層40における二官能化合物の合計重量は、約35~約55重量%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、化合物(III)の量は、溶媒のない層40の合計重量に対して、約3.5~約4.6重量%の範囲であってもよく、化合物(IV)の量は、溶媒のない層40の合計重量に対して、約35~約46重量%の範囲であってもよい。
【0054】
平坦化層40に使用されるフォトレジスト製剤の多官能エポキシ化合物は、ポリフェノールのグリシジルエーテル(glycidyl ether)等の芳香族エポキシドから選択することができる。代表的な多官能エポキシ化合物は、下記の化合物から選択することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0055】
【化16】
【0056】
【化17】
【0057】
【化18】
【0058】
【化19】
【0059】
いくつかの実施形態において、多官能化合物(VI)は、1モル当たり約195~約230グラムの範囲のエポキシ当量を有する。層40における化合物(VI)の量は、溶媒のない層40の合計重量に対して、約35~約46重量%の範囲であってもよい。
【0060】
フォトレジスト製剤は、シラン化合物等の効果的な量の接着促進剤を含んでもよい。フォトレジスト製剤の成分と相溶性であるシラン化合物は、通常、多官能エポキシ化合物、二官能エポキシ化合物、および光酸発生剤からなる群より選択される少なくとも1つの要素と反応することのできる官能基を有する。このような接着促進剤は、3-(グアニジニル)プロピルトリメトキシシラン(3-(guanidinyl)propyltrimethoxysilane)、およびグリシドキシアルキルトリアルコキシシラン(glycidoxyalkyltrialkoxysilane)、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(gamma-glycidoxypropyltrimethoxysilane)等のエポキシド官能基を有するシランであってもよい。フォトレジスト製剤中に存在するシラン化合物の量は、溶媒のない層40の合計重量に対して、約1.0~約2.5重量%、例えば、約1.0~約2.1重量%の範囲であってもよく、そこに含まれる全ての範囲を含む。
【0061】
平坦化層として使用したフォトレジスト製剤を撮像および現像するために、光酸発生剤、および選択的に開始剤を使用することができる。光酸発生剤は、第5A族元素のオニウム塩、第6A族元素のオニウム塩、および芳香族ハロニウム塩から選択される芳香族錯塩等のカチオンを生成することのできる化合物または化合物の混合物である。芳香族醋塩は、紫外線照射または電子ビーム照射に露光されることによって、エポキシドと反応を開始する酸部分(acid moiety)を生成することができる。光酸発生剤は、層40の重量に対して、約7~約10重量%、適切には、約8.0~約8.5重量%の範囲の量で、溶媒のない層40中に存在することができる。
【0062】
芳香族ヨードニウム醋塩および芳香族スルホニウム醋塩を含む(ただし、これらに限定されない)活性放射線によって照射された時にプロトン酸を生成する化合物を光酸発生剤として使用してもよい。例として、ジ-(t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート(di-(t-butylphenyl)iodonium triflate)、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(diphenyliodonium tetrakis(pentafluorophenyl)borate)、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(diphenyliodonium hexafluorophosphate)、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(diphenyliodonium hexafluoroantimonate)、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(di(4-nonylphenyl)iodonium hexafluorophosphate)、[4-(オクチルオキシ)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート([4-(octyloxy)phenyl]phenyliodonium hexafluoroantimonate)、トリフェニルスルホニウムトリフレート(triphenylsulfonium triflate)、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(triphenylsulfonium hexafluorophosphate)、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート(triphenylsulfonium hexafluoroantimonate)、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(triphenylsulfonium tetrakis(pentafluorophenyl)borate)、4,4’-ビス[ジフェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィド(4,4'-bis[diphenylsulfonium]diphenylsulfide)、ビス-ヘキサフルオロホスフェート(bis-hexafluorophosphate)、4,4’-ビス[ジ([β]-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィドビス-ヘキサフルオロアンチモナート(4,4'-bis[di([beta]-hydroxyethoxy)phenylsulfonium]diphenylsulfide bis-hexafluoroantimonate)、4,4’-ビス[ジ([β]-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィド-ビスヘキサフルオロホスフェート(4,4'-bis[di([beta]-hydroxyethoxy)(phenylsulfonium)diphenyl sulfide-bishexafluorophosphate)、7-[ジ(p-トリル)スルホニウム]-2-イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロホスフェート(7-[di(p-tolyl)sulfonium]-2-isopropylthioxanthone hexafluorophosphate)、7-[ジ(p-トリル)スルホニオ]-2-イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモナート(7-[di(p-tolyl)sulfonio]-2-isopropylthioxanthone hexafluoroantimonate)、7-[ジ(p-トリル)スルホニウム]-2-イソプロピルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(7-[di(p-tolyl)sulfonium]-2-isopropyl tetrakis(pentafluorophenyl)borate)、フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート(phenylcarbonyl-4'-diphenylsulfonium diphenylsulfide hexafluorophosphate)、フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモナート(phenylcarbonyl-4'-diphenylsulfonium diphenylsulfide hexafluoroantimonate)、4-tert-ブチルフェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート(4-tert-butylphenylcarbonyl-4'-diphenylsulfonium diphenylsulfide hexafluorophosphate)、4-tert-ブチルフェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモナート(4-tert-butylphenylcarbonyl-4'-diphenylsulfonium diphenylsulfide hexafluoroantimonate)、4-tert-ブチルフェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(4-tert-butylphenylcarbonyl-4'-diphenylsulfonium diphenylsulfide tetrakis(pentafluorophenyl)borate)、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモナート(diphenyl [4-(phenylthio)phenyl]sulfonium hexafluoroantimonate)等が挙げられる。
【0063】
選択的な光開始剤は、チオキサントンまたはアルキルまたはアリルで置換されチオキサントン化合物から選択することができる。適切なアルキル置換チオキサントン化合物は、ブチルチオキサントン(butylthioxanthone)、2-フェニルチオキサントン(2-Phenylthioxanthone)、2-ベンジルチオキサントン(2-benzylthioxanthone)、2-シクロ-ヘキシルチオキサントン(2-cyclo-hexylthioxanthone)、4-イソプロピルチオキサントン(4-isopropylthioxanthone)、2-アセチルチオキサントン(2-acetylthioxanthone)、チオキサントン(thioxanthone)、2-メチルチオキサントン(2-methylthioxanthone)、2-エチルチオキサントン(2-ethylthioxanthone)等を含むが、本発明はこれに限定されない。溶媒のない層40におけるチオキサントン化合物の量は、約2.5~約3.5重量%の範囲であってもよい。
【0064】
平坦化層40に用いるフォトレジスト製剤に様々な染料および顔料を追加して、平坦化層40の撮像プロセス中に金属反射率を減らすことができる。フォトレジスト製剤に含まれる染料は、特に限定されない。染料の具体例には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、および金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。特に適切な染料は、粉状の緑色金属錯塩染料である。溶媒のない層40における緑色金属錯塩染料の量は、約0.35~約0.5重量%の範囲であってもよい。
【0065】
平坦化層40を形成するために、フォトレジスト製剤は、通常、溶媒を含み、ウェハ42上で基板34をスピンコーティングするために使用可能な製剤を提供する。適切な溶媒は、好ましくは、非光反応性の溶媒である。非光反応性溶媒は、γ-ブチロラクトン、C1-6アセテート、テトラヒドロフラン、低分子量ケトン、その混合物等を含むが、本発明はこれらに限定されない。特に好ましい非光反応性溶媒は、γ-ブチロラクトンとアセトフェノンの混合物である。非光反応性溶媒は、フォトレジスト製剤の合計重量に対して、約40~約70重量%、好ましくは、約45~約65重量%の範囲の量で、平坦化層40を提供するために使用される製剤混合物中に存在する。非光反応性溶媒は、好ましくは、硬化された平坦化層40に残留しないため、平坦化層40の硬化ステップの前またはその間に除去される。
【0066】
本発明に基づく平坦化層によって提供される予期せぬ改善を証明するために、以下の非限定例を提供する。表1に示すように、先行技術のフォトレジスト製剤に基づいて、半導体基板34を先行技術の平坦化材料でコーティングし、且つ改良されたフォトレジスト製剤に基づいて、半導体基板34を改良された平坦化材料でコーティングした。
【0067】
【表1】
【0068】
先行技術の平坦化材料および改良された平坦化材料を撮像および現像して、各平坦化層に流体イジェクタ位置および接合パッド位置を提供した。先行技術の製剤1および2の撮像および現像された平坦化層の平面図を図9および図11に示す。図9に示すように(先行技術の製剤1)、製剤中の緑色染料の量の増加に伴う露光不足によって、平坦化層40には皺70がある。先行技術の製剤2については、図10に示すように、平坦化層40の露光過度によって、流体イジェクタ24の上に残留している材料72によって示されている通り、流体イジェクタ上の平坦化層の撮像および現像が不完全である。同様に、先行技術の製剤2については、接合パッド50上の平坦化層40の露光過度によって、接合パッド50上に余剰の平坦化材料74が残留している。しかしながら、図12および図13に示すように、改良された製剤は、流体イジェクタ24および接合パッド50上の平坦化材料の除去が大幅に改良されている。改良された製剤は、光酸発生剤の増加、および緑色染料の減少により、撮像プロセス中の金属の反射率を意外かつ予想外に減少させた。
【0069】
以上、様々な態様および例示的実施形態およびその利点について説明したが、当業者であれば理解できるように、本発明の原理および精神から逸脱しなければ、これらの実施形態に対して各種変更、代替、および修正を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13