(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081312
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】インダクタ及びインダクタの提供方法
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20230602BHJP
H01F 41/08 20060101ALI20230602BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
H01F27/00 160
H01F41/08
H01F17/04 F
H01F17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022183982
(22)【出願日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】2117307.5
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】522252637
【氏名又は名称】イーティーエー グリーンパワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ETA Green Power Limited
【住所又は居所原語表記】Hethel Engineering Centre Chapman Way Hethel NR14 8FB United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】リアム ボウマン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウッド
(72)【発明者】
【氏名】ショーン バーク
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070AB03
5E070BA06
5E070CA13
5E070CA16
(57)【要約】
【課題】フリンジ場と導体との間の相互作用を低減し、コアに蓄積されるエネルギー量を増加させること。
【解決手段】コアは、第1コア部と、第2コア部と、第1コア部と第2コア部との間に配置され、らせん導体によって取り囲まれたギャップと、を備えている。ギャップは、ギャップ磁気リラクタンスを提供するように構成され、ギャップ磁気リラクタンスは、コア磁気リラクタンスよりも大きい。らせん導体は、コアの一部を取り囲む導体の第1領域と、ギャップを取り囲む導体の第2領域と、を備えている。第1領域は、第1ピッチで構成され、第2領域は、第2ピッチで構成され、第2ピッチは、第1ピッチより大きい。導体の第2領域は、使用時に、導体の第2領域とギャップの周囲に発生する電磁場との間の相互作用の大きさを低減するように構成されている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
らせん導体と、
コア磁気リラクタンスを有するコアと、
を備え、
前記コアは、
第1コア部と、
第2コア部と、
前記第1コア部と前記第2コア部との間に配置され、前記らせん導体によって取り囲まれたギャップと、
を備え、
前記ギャップは、ギャップ磁気リラクタンスを提供するように構成され、
前記ギャップ磁気リラクタンスは、前記コア磁気リラクタンスよりも大きく、
前記らせん導体は、
前記コアの一部を取り囲む前記導体の第1領域と、
前記ギャップを取り囲む前記導体の第2領域と、
を備え、
前記第1領域は、第1ピッチで構成され、
前記第2領域は、第2ピッチで構成され、
前記第2ピッチは、前記第1ピッチより大きく、
前記導体の前記第2領域は、使用時に、前記導体の第2領域と前記ギャップの周囲に発生する電磁場との間の相互作用の大きさを低減するように構成されている、
インダクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のインダクタにおいて、
前記ギャップは、ギャップ長を有し、
前記ギャップ長は、前記第1コア部と前記第2コア部との間の前記ギャップを通る最短距離であり、
前記第2ピッチは、前記ギャップ長以上である、
インダクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のインダクタにおいて、
前記導体は、長さXの2辺と長さYの2辺を備えた矩形断面を有し、
長さXは、長さYより大きい、
インダクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のインダクタにおいて、
前記導体の前記第2領域は、前記導体の長さXを有する辺の1つが径方向内側表面の一部を形成するように配置されている、
インダクタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のインダクタにおいて、
中央長手方向軸と前記径方向内側表面との間の径方向距離は、前記導体の前記第1領域よりも前記導体の前記第2領域において大きい、
インダクタ。
【請求項6】
コアの周囲に導体の第1領域を配置するステップと、
前記コアのギャップの周囲に前記導体の第2領域を配置するステップと、
を備え、
前記導体の前記第1領域は、第1ピッチで前記コアの周囲に配置され、
前記導体の前記第2領域は、第2ピッチで前記コアの前記ギャップの周囲に配置され、 前記第2ピッチは、前記第1ピッチより大きい、
インダクタを形成する方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記ギャップは、ギャップ長を有し、
前記ギャップ長は、第1部分と第2部分との間の前記ギャップを通る最短距離であり、
前記第2ピッチは、ギャップ長以上である、
方法。
【請求項8】
らせん導体と、
コア磁気リラクタンスを有するコアと、
を備え、
前記コアは、
第1コア部と、
第2コア部と、
前記第1コア部と前記第2コア部との間に配置され、前記らせん導体によって取り囲まれたギャップと、
を備え、
前記ギャップは、ギャップ磁気リラクタンスを提供するように構成され、
前記ギャップ磁気リラクタンスは、前記コア磁気リラクタンスよりも大きく、
前記らせん導体は、
前記コアの一部を取り囲む前記導体の第1領域と、
前記ギャップを取り囲む前記導体の第2領域と、
を備え、
前記第1領域は、第1ピッチで構成され、
前記導体の前記第1領域は、第1断面積を有し、
前記第2領域は、第2ピッチで構成され、
前記第2ピッチは、前記第1ピッチより大きく、
前記導体の前記第2領域は、第2断面積を有し、
前記第2断面積は、前記第1断面積より小さく、
前記導体の前記第2領域は、使用時に、前記導体の第2領域と前記ギャップの周囲に発生する電磁場との間の相互作用の大きさを低減するように構成されている、
インダクタ。
【請求項9】
請求項8に記載のインダクタにおいて、
中央長手方向軸と前記径方向内側表面との間の径方向距離は、前記導体の前記第1領域よりも前記導体の前記第2領域において大きい、
インダクタ。
【請求項10】
コアの周囲に導体の第1領域を配置するステップと、
前記コアのギャップの周囲に前記導体の第2領域を配置するステップと、
を備え、
前記導体の前記第1領域は、第1断面積を有し、
前記導体の前記第2領域は、第2断面積を有し、
前記第2断面積は、前記第1断面積より小さい、
インダクタを形成する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記第1領域と第2領域とを有する導体を提供するステップと、
インダクタの第2領域を圧縮するステップと、
を備えた、
方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法において、
前記ギャップは、ギャップ長を有し、
前記ギャップ長は、第1部分と第2部分との間の前記ギャップを通る最短距離であり、
前記第2ピッチは、前記ギャップ長以上である、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ、例えばフラットリボンインダクタ、及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なインダクタは、一定の断面積と一定のピッチを持つらせん状の導体と、ギャップを持つコアで構成されている。導体には高い電力密度の電流が流れ、ギャップ内にフリンジ場(例えば電磁場)を発生させるのが一般的である。フリンジ場は導体と相互作用し、導体に渦電流を発生させ、インダクタの電力損失を引き起こすことがある。
【0003】
特許文献1には、フリンジングフィールドと導体との間の相互作用の大きさを低減することを目的とした装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3992996号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は独立項に記載されており、任意の特徴は従属項に記載されている。本開示の態様は、互いに関連して提供されてもよく、一態様の特徴は他の態様に適用されてもよい。
【0006】
本開示の一態様は、らせん導体と、コア磁気リラクタンスを有するコアと、を備えるインダクタを提供する。コアは、第1コア部と、第2コア部と、第1コア部と第2コア部との間に配置され、らせん導体によって取り囲まれたギャップと、を備えている。ギャップは、ギャップ磁気リラクタンスを提供するように構成され、ギャップ磁気リラクタンスは、コア磁気リラクタンスよりも大きい。らせん導体は、コアの一部を取り囲む導体の第1領域と、ギャップを取り囲む導体の第2領域と、を備えている。第1領域は、第1ピッチで構成され、第2領域は、第2ピッチで構成され、第2ピッチは、第1ピッチより大きい。導体の第2領域は、使用時に、導体の第2領域とギャップの周囲に発生する電磁場との間の相互作用の大きさを低減するように構成されている。
【0007】
本明細書において、電磁場は、フリンジ場と呼ばれてもよい。また、電磁場は、磁場であってもよい。本態様は、フリンジ場からなる体積内に配置される導体の体積が、単一ピッチからなる典型的なヘリカル導体と比較して小さくなるヘリカル導体を提供し得る。有利なことに、フリンジ場と導体との間の相互作用(すなわち電磁的相互作用)の大きさは、単一ピッチからなる典型的な導体と比較して低減される。
【0008】
ギャップは、ギャップ長が第1コア部と第2コア部との間のギャップを通る最短距離であるギャップ長を有してもよく、第2ピッチはギャップ長以上でもよい。ギャップ長よりも大きいピッチを有する第2領域を提供することは、ギャップ長より小さい第2ピッチを有する導体と比較して、導体とフリンジ場とが交差する体積を減少させ、その結果、フリンジ場と導体との相互作用を減少させ得る。
【0009】
導体は、長さXの2辺と長さYの2辺とを備えた矩形断面を有してもよく、長さXは長さYより大きい。導体の第2領域は、長さXの導体の辺の1つが径方向内側表面の一部を形成するように配置される。有利な点は、導体の最も長い辺が径方向内側表面を形成するように導体の第2領域を配置することは、第2領域の内側半径を増加させ、これにより、導体とフリンジ場との間の相互作用を低減し得る第2領域とフリンジ場との間の距離を増加させ得る。
【0010】
中央長手方向軸と径方向内側表面との間の径方向距離は、導体の第1領域よりも導体の第2領域において大きい。有利なことに、径方向内側表面が第1領域の径方向距離よりも大きい径方向距離を有するように導体の第2領域を配置することは、導体とフリンジ場との間の相互作用を低減し得る第2領域とフリンジ場との間の距離を増大させ得る。
【0011】
本開示の一態様は、インダクタを形成する方法を提供する。本方法は、コアの周囲に導体の第1領域を配置するステップと、コアのギャップの周囲に前記導体の第2領域を配置するステップと、を備え、前記導体の前記第1領域は、第1ピッチで前記コアの周囲に配置され、前記導体の前記第2領域は、第2ピッチで前記コアの前記ギャップの周囲に配置され、前記第2ピッチは、前記第1ピッチより大きい。
【0012】
ギャップは、ギャップ長を有していてもよく、ギャップ長は、第1部分と第2部分との間のギャップを通る最短距離であり、第2ピッチは、ギャップ長以上である。ギャップ長より大きいピッチを有する第2領域を提供することは、ギャップ長より小さい第2ピッチを有する導体と比較して、導体とフリンジ場とが交差する体積を減少させ、その結果、フリンジ場と導体との相互作用を減少させ得る。
【0013】
本開示の一態様は、中央長手方向軸と径方向内側表面と径方向外側表面とを備えるらせん導体と、コア磁気リラクタンスを有するコアと、を備えたインダクタを提供する。コアは、第1コア部と、第2コア部と、第1コア部と第2コア部との間に配置され、らせん導体によって取り囲まれたギャップと、を備え、ギャップは、ギャップ磁気リラクタンスを提供するように構成され、ギャップ磁気リラクタンスは、コア磁気リラクタンスよりも大きく、らせん導体は、コアの一部を取り囲む導体の第1領域と、ギャップを取り囲む導体の第2領域と、を備え、第1領域は、第1ピッチで構成され、導体の第1領域は、第1断面積を有し、第2領域は、第2ピッチで構成され、第2ピッチは、第1ピッチより大きく、導体の第2領域は、第2断面積を有し、第2断面積は、第1断面積より小さく、導体の第2領域は、使用時に、導体の第2領域とギャップの周囲に発生する電磁場との間の相互作用の大きさを低減するように構成されている。
【0014】
本態様は、フリンジ場に取り囲まれた空間内に配置されるらせん導体(第1断面積を有する第1領域と第2断面積を有する第2領域とを備え、第2断面積は第1断面積よりも小さい)の体積が、単一の断面積を有する典型的なヘリカル導体と比較して小さくなるインダクタを提供する。有利なことに、フリンジ場と導体との間の相互作用(すなわち電磁的相互作用)の大きさが、単一の断面積からなる典型的な導体と比較して低減される。
【0015】
中央長手方向軸と径方向内側表面との間の径方向距離は、導体の第1領域よりも導体の第2領域において大きくてもよい。有利なことに、第2領域とフリンジ場との間の距離を大きくすることにより、導体とフリンジ場との間の電磁的相互作用を低減し得る。
【0016】
本開示の一態様は、インダクタを形成する方法を提供する。本方法は、コアの周囲に導体の第1領域を配置するステップと、コアのギャップの周囲に導体の第2領域を配置するステップと、を備え、導体の前記第1領域は、第1断面積を有し、導体の前記第2領域は、第2断面積を有し、第2断面積は、前記第1断面積より小さい。
【0017】
本方法は、第1領域と第2領域とを有する導体を提供するステップと、インダクタの第2領域を圧縮するステップと、を含んでもよい。
【0018】
ギャップはギャップ長を有してもよく、ギャップ長は第1部分と第2部分との間のギャップを通る最短距離であり、第2ピッチはギャップ長以上である。
【0019】
らせん導体は、中央長手方向軸、径方向内側表面、及び径方向外側表面を備えてもよい。例では、第1コア部と第2コア部との間に配置されたギャップは、らせん導体の径方向内側表面により取り囲まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3A】
図1Cの導体に関する平面A-Aに沿ったインダクタの第1断面図である。
【
図3B】
図1Eの導体に関する平面B-Bに沿ったインダクタの第2断面図である。
【
図4A】インダクタ用導体の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
インダクタは、その間にギャップを設けるように配置された第1コア部と第2コア部とからなるコアを備えている。第1コア部及び第2コア部は、らせん導体を取り囲むように配置され(例えば、コア部はらせん導体の径方向外側表面の周りに配置される)、らせん導体は第1コア部及び第2コア部の少なくとも一方の少なくとも一部を取り囲む(例えば、以下により詳細に説明する円筒形の突起)。また、らせん導体は、ギャップを取り囲むように配置されている。
【0022】
導体に電流が流れると、導体を取り囲むように磁場が発生し、コアやコアのギャップを通過する。つまり、導体に電流を流すと、インダクタの中に磁気回路が発生する。回路のインダクタンスは、電流経路の形状や近傍の材料の透磁率に依存する。インダクタは、回路を流れる磁束を増加させる形状のワイヤー等の導体からなる部品で、通常、コイル状又はらせん状で、2つの端子がある。ワイヤーをコイル状に巻くと、磁束線が回路にリンクする回数が増加し、磁場の大きさ(例えば磁力線密度)が大きくなり、インダクタンスも大きくなる。導体の巻数が多いほど、磁気回路のインダクタンスは大きくなる。また、インダクタンスは、コイルの形状や巻きの間隔等、さまざまな要因に依存する。コアの内部は鉄などの強磁性体で構成されてもよく、コイルからの磁場によって材料に磁化が誘導され、磁束が増加する。強磁性体コアは透磁率が高いため、コイルのインダクタンスを、コアがない場合に比べて数千倍も高めることができる。
【0023】
導体に電流が流れると磁場が発生し、特に、ギャップ内及びその周囲において径方向に電磁場(いわゆるフリンジ場)が誘起される。フリンジ場は、らせん導体の領域と交差することがあり、その結果、フリンジ場とらせん導体との間に電磁的相互作用が生じる。この電磁的相互作用により、らせん導体のこれらの領域には渦電流が発生する。渦電流は、インダクタからエネルギーを散逸させ(例えば熱によって)、望ましくないことにインダクタの効率を低下させる。
【0024】
本明細書に記載されるインダクタは、電磁的相互作用の大きさを低減するように構成された形状を有する導体、例えばフリンジ場と導体との間の交差が少ない(したがって相互作用の大きさが小さい)導体を提供することにより、フリンジ場とインダクタとの間の電磁的相互作用の大きさを低減させる。本明細書に記載のインダクタは、ギャップにおける大きなピッチ(例えば、ギャップの長手方向の長さよりも大きなピッチ)、ギャップを取り囲む導体の領域の断面積の減少(例えば、ギャップを取り囲まない導体の領域の断面積と比較して)の少なくとも1つを有する導体を提供する。
【0025】
【0026】
インダクタは、導体100及びコアを備えている。コアの例は、
図2A-
図2C及び
図6に示されている。
【0027】
導体100は、らせん部(要素111A、121、111Bからなる)を有し、一対の電気接続部102A、102Bを有する。例えば、導体100のらせん部は、らせん導体と称されることがある。
【0028】
導体100は、矩形断面を有する。矩形断面は、導体の局所的な長手方向軸に垂直であり、例えば、局所的な長手方向軸が導体の長さ全体に配置され、導体がらせん状である(又はらせん部を有する)場合、導体の局所的な長手方向軸は、中央長手方向軸Cを取り囲むらせん形状を有する(以下でより詳細に説明する)。矩形断面は、導体の長さに沿って同じ大きさである。矩形断面は、2対の辺によって特徴付けられ、各対の辺は、それぞれ長さX(例えば幅)及びY(例えば高さ)を有する。長さXは、長さYより大きい。
【0029】
例えば、長さXが長さYと等しくてもよい、すなわち、断面が正方形の導体を使用してもよい。例えば、導体の断面は、円形であってもよい。円形の断面は、導体の局所的な長手方向軸に垂直である。
【0030】
らせん導体は、中央長手方向軸Cを有する。らせん導体100は、内側半径方向表面104を有する。内側半径方向表面104は、長手方向軸Cの周りに配置される。らせん導体は、長手方向軸C上の所定の点と内側半径方向表面104との間の最短距離として定義される内側半径RIを有する。らせん導体は、外側半径方向表面106を有する。外側半径方向表面106は、長手方向軸Cの周りに配置される。らせん導体は、長手方向軸C上の所定の点と外側半径方向表面106との間の最短距離として定義される外側半径ROを有する。外側半径ROと内側半径RIとの差は、導体の幅Xに等しく、RO-RI=Xである。
【0031】
らせん導体は、中央長手方向通路108を有する。中央長手方向通路108は、らせん導体の内側半径方向表面104によって区切られている。
【0032】
らせん導体は、第1領域(A部111A、B部111B)と、第2領域121と、を備える。導体の第1領域111A、111Bは、第1ピッチを構成する。導体の第2領域121は、第2ピッチを構成し、第2ピッチは、第1ピッチよりも大きい。
【0033】
ここで、ピッチという用語は、長手方向軸Cに沿って、らせんが長手方向軸Cの周りを1回転する距離を意味する。
【0034】
導体の第1領域は、例えば第1領域が第2領域を挟んで不連続であってもよい。すなわち、第1領域は、A部111A及びB部111Bの2つの不連続な部分からなる。A部111Aは、中央長手方向軸Cと平行な長手方向の長さLAを有し、B部111Bは、中央長手方向軸Cと平行な長手方向の長さLBを有している。導体の第1領域は、A部111Aの長手方向の長さLAとB部111Bの長手方向の長さLBとの和に等しい長手方向の長さL1、L1=LA+LBを有する。
【0035】
導体の第2領域121は、長手方向軸Cと平行な長手方向長さL2を有する。
【0036】
例えば、第1領域の第1ピッチは第2領域の第2ピッチと同じであってもよく、第1ピッチ及び第2ピッチはギャップ長より大きくてもよい。第2ピッチとギャップ長との差が大きいほど、導体とフリンジ場との間の相互作用の大きさは小さくなる。
【0037】
らせん導体は、長手方向軸Cに平行な長手方向の全長L
Tを有し、らせん導体の長手方向の全長L
Tは、第1領域の長さL
1と第2領域の長さL
2の長さの合計に等しく、L
T=L
1+L
2である。
図1A~
図1Eに示す例では、らせん導体の長手方向の全長L
Tは、A部111Aの長手方向の長さL
A、B部111Bの長手方向の長さL
B、及び第2領域121の長手方向の長さL
2の合計に等しく、L
T=L
A+L
B+L
2である。
【0038】
別の言い方をすれば、らせん導体の長手方向の全長LTは、第1領域111A、111Bの長手方向の長さL1と第2領域121の長手方向の長さL2の合計に等しく、LT=L1+L2である。
【0039】
導体100は、例えば起電力(EMF)のソースに接続されたときに、電流が流れることを可能にするように構成されている。導体100は、起電力のソースに接続するように構成されている。電気接続部102A及び102Bは、EMFのソースに接続可能である。導体100は、電流がそこを流れるときに磁場を発生するように構成されており、磁場は導体の周りに配置され、例えば磁場の磁力線は、導体の外側半径方向表面106の周りで中央通路108を通り、中央通路108を通って戻る閉ループを形成している。言い換えれば、磁力線は、導体の一部を取り囲む閉ループである。
【0040】
図2A~
図2Cは、インダクタ用対称型コアの断面図である。いくつかの例では、コアは、
図6に例示されるような非対称コアであってもよい。
【0041】
対称型コア200Aは、第1対称型コア部210と、第2対称型コア部220と、を備えている。
【0042】
第1対称型コア部210は、第1端部216と、第1円筒状突起212と、第1環状円筒状突起214と、を備えている。第1円筒状突起212は、第1端部216に接続されている。第1環状円筒状突起214は、第1端部216に接続されている。第1円筒状突起212及び第1環状円筒状突起214は、同心に、すなわち、第1円筒状突起212及び第1環状円筒状突起214は、第1円筒状突起212の長手方向軸及び第1環状円筒状突起214の長手方向軸が平行かつ一致するように配置される。第1円筒状突起212及び第1環状円筒状突起214は、それによってその間に第1環状中空218を提供するために同心に配置される。
【0043】
第1端部216は、円筒形状を有し、第1円筒状突起212及び第1環状円筒状突起214は、第1端部216の軸方向の面に配置される。第1端部216は、第1環状円筒状突起214の外径と等しい直径を有している。
【0044】
第1円筒状突起212は、直径DC1Iを有する。第1環状円筒状突起214は、内径DC1Oを有する。第1円筒状突起212の直径DC1Iは、第1環状円筒状突起214の内径DC1Oより小さい。
【0045】
第1円筒状突起212は、長さLC1を有する。言い換えれば、第1円筒状突起212は、第1端部216から長さLC1だけ長手方向に延びている。第1環状円筒状突起214は、長さLC1を有している。言い換えれば、第1環状円筒状突起214は、長さLC1だけ第1端部216から長手方向に延びている。
【0046】
第1対称型コア部210によって規定される第1環状中空は、第1円筒状突起212の長さLC1に等しい長さと、第1円筒状突起212の直径DC1Iに等しい内径と、第1環状円筒状突起214の内径DC1Oに等しい外径とを有する。
【0047】
第2対称型コア部220は、第2端部226と、第2円筒状突起222と、第2環状円筒状突起224と、を備えている。第2円筒状突起222は、第2端部226に接続されている。第2環状円筒状突起224は、第2端部226に接続される。第2円筒状突起222と第2環状円筒状突起224は、同心に、すなわち、第2円筒状突起222と第2環状円筒状突起224は、第2円筒状突起222の長手方向軸と第2環状円筒状突起224の長手方向軸が平行かつ一致しているように配置される。第2円筒状突起222及び第2環状円筒状突起224は、それによってその間に第2環状中空を提供するために同心に配置される。
【0048】
第2端部226は円筒形状を有し、第2円筒状突起222及び第2環状円筒状突起224は、第2端部226の軸方向の面に配置される。第2端部226は、第2環状円筒状突起224の外径と等しい直径を有する。
【0049】
第2円筒状突起222は、直径DC2Iを有する。第2環状円筒状突起224は、内径DC2Oを有する。第2円筒状突起222の直径DC2Iは、第2環状円筒状突起224の内径DC2Oより小さい。
【0050】
第2円筒状突起222は、長さLC2を有する。言い換えれば、第2円筒状突起222は、第2端部226から長さLC2だけ長手方向に延びている。第2環状円筒状突起224は、長さLC2を有している。言い換えれば、第2環状円筒形突起224は、長さLC2だけ第2端部226から長手方向に延びている。
【0051】
第2対称型コア部220によって規定される第2環状中空は、第2円筒状突起222の長さLC2に等しい長さと、第2円筒状突起222の直径DC2Iに等しい内径と、第2環状円筒状突起224の内径DC2Oに等しい外径とを有する。
【0052】
対称型コア200Aにおいて、第1円筒状突起212の直径DC1Iは、第2円筒状突起222の直径DC2Iと等しく、第1環状円筒状突起214の内径DC1Oは、第2環状円筒状突起224の内径DC2Oと等しく、第1環状円筒状突起214の外径は、第2環状円筒状突起224の外径と等しい。第1円筒状突起212の長さLC1は、第2円筒状突起222の長さLC2と等しく、第1円筒状環状突起214の長さは、第2円筒状環状突起224の長さと等しく、第1円筒状突起212の長さLC1は、らせん導体121AのA部の長手方向の長さLAと等しく、第2円筒状突起222の長さLC2は、らせん導体121BのB部の長手方向の長さLAと等しい。
【0053】
第1円筒状突起212の直径DC1Iは、導体の内側半径RIの2倍以下であり、DC1I=2RIとする。第2円筒状突起222の直径DC2Iは、導体の内半径RIの2倍以下であり、DC2I=2RIでもよい。第1環状円筒状突起214の内径DC1Oは、導体の外側半径ROの2倍以上であり、DC1O=2ROでもよい。第2環状円筒状突起224の内径DC2Oは、導体の外側半径ROの2倍以上であり、DC2O=2ROでもよい。
【0054】
第1対称型コア部210と第2対称型コア部220は、その間に隙間を設けるように配置される。第1対称型コア部210及び第2対称型コア部220は、第1円筒状突起212と第2円筒状突起222との間に直接的に内側ギャップ240を提供し、第1環状円筒状突起214と第2環状円筒状突起224との間に直接的に外側ギャップ250を提供するように配置される。
【0055】
内側ギャップ240は、第1円筒状突起212と第2円筒状突起222との間に直接存在する空間の領域を指す。内側ギャップ240は、第1円筒状突起212と第2円筒状突起222の軸方向の面との間に配置される直径DC1Iの円筒状の隙間である。より抽象的に言えば、第1円筒状突起の軸方向端面上の任意の点と第2円筒状突起の軸方向端面上の任意の点との間に引かれる任意の直線は、必ず内側ギャップ240の中に引かれる。
【0056】
外側ギャップ250は、第1環状円筒状突起212と第2環状円筒状突起222との間に直接存在する空間の領域を指す。外側ギャップ250は、内径DC1O、外径が第1円筒状突起の外径と等しい環状円筒状隙間であり、第1環状円筒状突起214及び第2環状円筒状突起224の軸方向の面の間に配置される。
【0057】
実施例では、第1対称型コア部及び第2対称型コア部は、第1円筒状突起と第2円筒状突起との間に内側ギャップを提供するが、第1環状円筒状突起と第2環状円筒状突起との間に外側ギャップが提供しないように配置される。このような例では、環状円筒状突起は、円筒状突起の長さよりも大きい長さを有する。例えば、
図6に示された非対称型コアは、外側ギャップを含んでいない。
【0058】
第1対称型コア部210と第2対称型コア部220との間に設けられたギャップは、コアの磁気リラクタンス(例えば、第1対称型コア部210、第2対称型コア部220とギャップとの複合系の複合磁気リラクタンス)を増加させるように構成される。内側ギャップ240は、コアの磁気リラクタンスを増加させるように構成される。外側ギャップ250は、コアの磁気リラクタンスを増加させるように構成される。
【0059】
有利なことに、コア200Aの磁気リラクタンスを増加させると、コア200Aに蓄積されるエネルギーの量(例えば、第1対称型コア部210、第2対称型コア部220及びギャップの結合系に蓄積されるエネルギー)が比較的に増加する。エネルギーは、磁場の形でコア200Aに蓄積される。
【0060】
対称型コア200Aは、例えば、
図1A~
図1Eに例示される導体100に係合するように構成される。第1対称型コア部210によって画定される第1環状中空218は、導体の一部、例えば、導体100のA部151Aを受け入れるように構成される。第2の対称型コア部220によって規定される第2環状中空228は、導体の一部、例えば、導体100のB部151Bを受け入れるように構成される。第1対称型コア部210と第2対称型コア部220との間のギャップは、導体の一部、例えば、導体100の第2領域151Bを受け入れるように構成される。別の言い方をすれば、導体の一部は、第1対称型コア部210と第2対称型コア部220との間、例えば導体100の第2領域121に配置されるように構成される。すなわち、導体の一部は、第1対称型コア部210と第2対称型コア部220との間に配置されるが、第1環状中空、第2環状中空、内側ギャップ及び外側ギャップのいずれにも配置されない。
【0061】
対称型コア200A内に導体が配置され、導体に電流が流れ、導体の周囲に磁場が発生すると、導体には磁場が発生する。発生した磁場の磁力線の少なくとも一部が対称型コア200Aを通過するように対称型コア200Bが配置される。
【0062】
対称型コア内に配置されたらせん導体(例えば、
図3A及び
図3Bに示されるように対称型コア内に配置された
図1A~
図1Eに示される導体)の場合、閉ループ磁力線は、導体の中央通路から、導体の外側半径方向表面の周りを通過して導体の中央通路に戻る。対称型コア200Aは、導体を通る電流の流れによって発生する磁力線を遮断するように構成されている。例えば使用時に、対称型コア200Aは、導体の電流の流れによって発生する磁場の磁力線の一部が対称型コア内(すなわち、第1対称型コア部210及び第2対称型コア部分220)に位置するように配置され、磁力線の一部が内側ギャップ240及び外側ギャップ250を通るようにする。
【0063】
有利なことに、上述したように、コアの磁気リラクタンスを増加させると、コアに蓄積されるエネルギー量(例えば、第1対称型コア部210、第2対称型コア部220及びギャップの結合系に蓄積される)が比較的に増加する。エネルギーは、磁場の形でコアに蓄積される。
【0064】
エネルギーは、第1対称型コア部210及び第2対称型コア部220よりも、ギャップに高い密度で蓄積される。
【0065】
磁場が対称型コア及びギャップを通過する場合、ギャップ内に内部電磁場(例えば磁場)が提供される。例えば、内部誘導電磁場は、第1円筒状突起部212と第2円筒状突起部222との間に配置される。
【0066】
内部電磁場(例えば磁場)は、中央内部電磁場242(例えば磁場)とフリンジ内部電磁場245(例えば磁場)とからなる。中央内部電磁場242は、内側ギャップ240内に配置される。フリンジ内部電磁場245は、中央内部電磁場242の周囲に半径方向に配置されている(例えば、フリンジ内部電磁場245は中央内部電磁場242を半径方向に取り囲んでいる)。
【0067】
フリンジ内部電磁場245の力線は、第1円筒状突起212の軸方向の面と第2円筒状突起222の軸方向の面とを結んでいる。
【0068】
フリンジ内部電磁場245の力線は、湾曲した形状を有する。フリンジ内部電磁場245の所定の力線は、第1円筒状突起212の軸方向の面から始まり、第1円筒状突起212の軸方向の面と第2円筒状突起222の軸方向の面との間の軸方向中間点に到達するまで半径方向外側に移動する。軸方向中間点から、磁力線は、第2円筒状突起222の軸方向の面に達するまで半径方向内側に移動する。別の言い方をすれば、第1円筒状突起の軸面に配置された概念上の磁荷は、2つの軸面から等距離にあるときに第1円筒状突起から最大半径方向変位まで単調に増加し、次に最大半径方向変位から第2円筒状突起まで単調に減少する弧状の経路に沿って第2円筒状突起の軸面に向けて場によって移動することになる。
【0069】
コアのギャップに形成されたフリンジ場は、典型的な導体(例えば、上記のようなピッチ変化のない導体又は導体)と交差することがある。典型的な導体とフリンジ場との交差が生じる典型的な導体の領域では、典型的な導体のこれらの領域で渦電流が発生し、それによって損失(例えば、典型的な導体を流れる電流の損失、例えば、渦電流によって発生する加熱の結果として典型的な導体からのエネルギー損失)が生じることがある。
【0070】
図3Aは、
図1Cの導体に関して示された平面A-Aに沿ったインダクタの第1断面図を示し、
図3Bは、
図1Eの導体に関して示された平面B-Bに沿ったインダクタの第2断面図を示している。
【0071】
【0072】
導体100のA部111Aは、第1対称型コア部210によって規定される第1環状中空218に配置される。導体100のB部111Bは、第2対称型コア部220によって規定される第2環状中空228に配置される。
【0073】
導体は、起電力(EMF)のソースに接続するように構成される。導体100は、電流が導体の周囲を貫通して流れるときに磁場を生成するように構成されている。例えば磁場の磁力線は、導体の外側半径方向表面106の周囲で中央通路108を通過して中央通路108に戻る閉ループを形成する。
【0074】
発生した磁場の磁力線の少なくとも一部は、対称型コア200Aを通過する。発生した磁場の磁力線は、導体108の中央通路から、導体の外側半径方向表面106の周りを通り、導体108の中央通路に戻る閉ループである。発生した磁場の磁力線は、第1対称型コア部210及び第2対称型コア部220と交差し、磁力線は、内側ギャップ240を通過し、外側ギャップ250を通過する。
【0075】
内部フリンジ場が配置される空間に配置されるらせん導体100(第1ピッチを有する第1領域と第2ピッチを有する第2領域とを含み、第2ピッチは第1ピッチよりも大きい)の体積は、単一のピッチからなる典型的ならせん導体と比較して減少する。有利なことに、フリンジ場と導体100との間の相互作用(すなわち、電磁的相互作用)の大きさは、単一ピッチからなる典型的な導体と比較して低減される。
【0076】
導体100の第2領域121の一部は、内部フリンジ場245及び外部フリンジ場255に配置される。第2導体のピッチは、内側ギャップの長手方向の長さL
Gよりも大きい。導体100の第2領域121のピッチが内側ギャップ240の長手方向の長さL
Gよりも大きいので、第2領域121は、第1対称型コア部210と第2対称型コア部220との間のギャップで部分的にターンすることしかできない。そのため、第1対称型コア部210と第2対称型コア部220との間のギャップには、導体が配置されていない領域が存在する。例えば、
図3Bに示される断面は、導体100の第2領域121が存在しないギャップの領域を示す。有利には、導体100の第2領域121の間の相互作用は、ギャップL
Gの長さ以下であるピッチを有する第2領域と比較して低減される。
【0077】
ギャップL
Gの長さよりも大きいピッチを有する第2領域を設けることは有利であり、第2領域のピッチをギャップL
Gの長さに対してできるだけ大きくすることがさらに有利である。ギャップの長さに対して第2領域のピッチが大きければ大きいほど、フリンジ場と導体との交差及び相互作用が小さくなり、例えばピッチが大きければ大きいほど、
図3Bに示すような断面を有するインダクタの割合が大きくなる。
【0078】
実施例では、第2コア部の導体は、より長い長さXが第2領域でらせん導体の内側半径方向表面を形成し、それによって第2領域でらせん導体の内側半径が増加するように配置されてもよい。有利なことに、内部フリンジ場と導体の第2領域との間の距離は、(例えば、より短い長さYが第2領域でらせん導体の内側半径方向表面を形成し、それによって、より長い長さXが内側半径方向表面を形成する導体の内側半径よりも小さい内側半径を有する第2領域の内側半径方向表面を提供する第2領域を有する導体に対して)増加することができ、これにより、フリンジ場と導体との間の相互作用の大きさが減少する。
【0079】
例えば
図3A及び
図3Bに示されるインダクタは、コアの周囲(例えば、第1及び/又は第2コア部の円筒状突出部の周囲)に導体の第1領域を配置すること、導体の第1領域が第1ピッチでコアの周囲に配置されること、コアのギャップの周囲に導体の第2領域を配置すること、導体の第2領域が第2ピッチでコアのギャップに配置され、第2ピッチが第1ピッチよりも大きくなっていること、を含む方法により形成されてもよい。
【0080】
実施例では、ギャップはギャップ長(例えば、コアの第1部分と第2部分との間のギャップを通る最短距離)を有し、第2ピッチはギャップ長より大きいか等しい。
【0081】
【0082】
導体400の部分は、導体400の第1領域のA部151Aと、導体400の第1領域のB部151Bと、導体400の第2領域171と、を有する。
【0083】
A部151Aは、第2領域171と接続されている。第2領域171は、第1領域のB部151Bと接続されている。A部151A及びB部151Bは、いずれも第1断面積を有する。第2領域171は、第2断面積を有し、第2断面積は、第1断面積よりも小さい。
【0084】
導体400は、これにより、第1領域のA部151A及びB部151Bと第2領域171とからなるらせん導体を提供するために、らせん状に配置される。
図5に示す例では、らせん導体400は、単一のピッチを有し、例えば、第1領域と第2領域は、同じピッチを有する。
【0085】
導体400の第1領域151A、151Bは、第1断面積A1を有する矩形断面を有する。矩形断面は、第1領域の全ての部分において同じ大きさである。矩形断面は、2対の側面によって特徴付けられ、各対の側面は、それぞれ長さX1(例えば幅)及びY1(例えば高さ)を有する。長さX1は、長さY1よりも大きい。第1断面積A1は、長さX1と長さY1との積に等しく、A1=X1Y1である。
【0086】
実施例では、長さX1は長さY1に等しく、すなわち正方形の断面を持つ導体を与えることができる。実施例では、導体の断面が円形であってもよい。
【0087】
導体400の第2領域171は、第2断面積A2を有する矩形状の断面を有する。矩形断面は、第2領域の全ての部分において同じ大きさである。矩形断面は、2対の側面によって特徴付けられ、各対の側面は、それぞれ長さX2(例えば幅)及びY2(例えば高さ)を有する。長さX2は、長さY2よりも大きい。第2断面積A2は、長さX2と長さY2との積に等しく、A2=X2Y2である。
【0088】
実施例では、長さX2は長さY2と等しく、すなわち正方形の断面を持つ導体を与えることができる。実施例では、導体の断面が円形であってもよい。
【0089】
第2断面積A2は、第1断面積A1よりも小さく、例えばX2Y2<X1Y1である。
【0090】
らせん導体は、中央の長手方向軸Cを有し、第1領域151A及び151Bは、第1内側半径方向表面154を有する。第1内側半径方向表面154は、長手方向軸Cの周りに配置され、第1領域は、長手方向軸C上の所定の点と第1内側半径方向表面154との間の最短距離として定義される第1内側半径R1を有する。第1領域は、第1外側半径方向表面156を有する。第1外側半径方向表面156は、長手方向軸Cの周りに配置され、第1領域は、R1O=R1+X1である、長手方向軸C上の所定の点と外側半径方向表面156との間の最短距離として定義される第1外側半径R1Oを有している。
【0091】
第2領域171は、第2内側半径方向表面164を有する。第1内側半径方向表面164は、長手方向軸Cの周りに配置され、第2領域は、長手方向軸C上の所定の点と第2内側半径方向表面164との間の最短距離として定義される第2内側半径R2を有している。第2領域は、第2外側半径方向表面166を有する。第2外側半径方向表面166は、長手方向軸Cの周りに配置され、第2領域は、長手方向軸C上の所定の点と第2外側半径方向表面166との間の最短距離として定義される第2外側半径R2Oを有し、R2O=R2+X2である。
【0092】
らせん導体は、中央の長手方向通路158を有する。中央の長手方向通路158は、らせん導体の第1領域の第1内側半径方向表面154と、らせん導体の第2領域の第2内側半径方向表面164とによって区切られる。
【0093】
導体の第1領域は、例えば第1領域が第2領域を挟んでおり不連続である。言い換えれば、第1領域は、A部151A及びB部151Bの2つの不連続な部分で構成される。A部151Aは、中央の長手方向軸Cに平行な長手方向の長さLAを有し、B部151Bは、中央の長手方向軸Cに平行な長手方向の長さLBを有する。導体の第1領域は、A部151Aの長手方向の長さLAとB部151Bの長手方向の長さLBとの合計に等しい長手方向の長さL1を有する。L1=LA+LBである。
【0094】
導体の第2領域171は、長手方向軸Cと平行な長手方向の長さL2を有する。
【0095】
らせん導体400は、長手方向軸Cに平行な長手方向の全長L
Tを有し、らせん導体の長手方向の全長L
Tは、第1領域L
1及び第2領域L
2の長さの合計に等しく、L
T=L
1+L
2である。
図4A~
図4Bに示す例では、らせん導体の長手方向の合計長さL
Tは、A部151Aの長手方向の長さL
A、B部151Bの長手方向の長さL
B、及び第2領域171の長手方向の長さL
2の合計に等しく、L
T=L
A+L
B+L
2である。別の言い方をすれば、らせん導体の長手方向の全長L
Tは、第1領域151A及び151Bの長手方向の長さL
1と第2領域171の長手方向の長さL
2の和に等しく、L
T=L
1+L
2である。
【0096】
導体400は、導体が起電力(EMF)のソースに接続されたときなど、電流が流れることを可能にするように構成されている。導体400は、EMFのソースに接続するように構成される。例えば、導体400は、
図1A~
図1Eに示す電気接続部102A及び102Bと同様の電気接続部を備え、電気接続部は、EMFのソースに接続可能である。導体400は、電流が流れるときに磁場を発生するように構成され、磁場は導体の周りに配置され、例えば、磁場の磁力線は、導体の外側半径方向表面156の周りで中央通路158を通過して中央通路158に戻る閉ループを形成する。言い換えれば、磁力線は、導体の一部を取り囲む閉ループである。
【0097】
対称型コア200Aは、導体、例えば
図4に図示された導体400と係合するように構成されている。第1対称型コア部210により画定される第1環状中空218は、導体の一部、例えば、導体400のA部151Aを受け入れるように構成される。第2対称型コア部220によって規定される第2環状中空228は、導体の一部、例えば、導体400のB部151Bを受け入れるように構成される。第1対称型コア部210と第2対称型コア部220との間のギャップは、導体の一部、例えば、導体400の第2領域151Bを受け入れるように構成される。別の言い方をすれば、導体の一部は、第1対称型コア部210と第2対称型コア部220との間に、例えば、導体400の第2領域171が配置されるように構成されている。すなわち、導体の一部は、第1対称型コア部210と第2対称型コア部220との間に配置されるが、第1環状中空、第2環状中空部、内側ギャップ、外側ギャップのいずれにも配置されることはない。
【0098】
【0099】
導体400のA部151Aは、第1対称型コア部210によって規定される第1環状中空218に配置される。導体400のB部151Bは、第2対称型コア部220によって規定される第2環状中空228に配置される。
【0100】
導体は、起電力(EMF)のソースに接続するように構成される。導体400は、電流が導体の周囲を通過して流れるときに磁場を生成するように構成されている。例えば、磁場の磁力線は、導体400の第1外側半径方向表面156及び第2外側半径方向表面166の周囲で中央通路158を通過して中央通路158を戻る閉ループを形成している。
【0101】
発生した磁場の磁力線の少なくとも一部は、対称型コア200Aを通過する。発生した磁場の磁力線は、導体の中央通路158から、導体400の第1外側径方向表面156及び第2外側半径方向表面166の周りを通り、導体400の中央通路158に戻る閉ループである。発生した磁場の磁力線は、第1対称型コア部210及び第2対称型コア部220と交差し、磁力線は、内側ギャップ240を通過し、外側ギャップ250を通過している。
【0102】
内部フリンジ場が配置される空間内に配置されるらせん導体400(第1断面積を有する第1領域と第2断面積を有する第2領域とを含み、第2断面積は第1断面積よりも小さい)の体積は、単一の断面積からなる典型的ならせん導体と比較して減少される。有利なことに、フリンジ場と導体400との間の相互作用(すなわち、電磁的相互作用)の大きさは、単一の断面積からなる典型的な導体と比較して低減される。
【0103】
図5に示す例では、導体400の第2領域171は、内部フリンジ場245及び外部フリンジ場255に配置されない。有利なことに、導体400の第2領域171の断面積よりも大きい第2領域(例えば、第1領域など)と比較して、導体400の第2領域171間の相互作用が低減される。
【0104】
実施例では、フリンジ場に配置される第2領域171の体積は、全体が単一の断面積からなる典型的な導体に比べて減少する。
【0105】
実施例では、第1断面積を有する第1領域は第1ピッチを有し、第2断面積を有する第2領域(第2断面積A2は第1断面積よりも小さい)は第2ピッチを有し、第2ピッチは第1ピッチより大きい。このような例では、内側フリンジ場が配置される空間内に配置されるらせん導体(第1ピッチを有する第1断面積を有する第1領域と第2ピッチを有する第2断面積を有する第2領域とを含む)の体積は、単一のピッチからなる典型的ならせん導体及び/又は単一の断面積からなる典型的な導体と比較して減少する。有利なことに、フリンジ場と導体との間の相互作用(すなわち電磁的相互作用)の大きさは、単一のピッチおよび/または単一の断面積からなる典型的な導体と比較して低減される。
【0106】
インダクタ、例えば
図5に示されるインダクタは、コアの周囲に導体の第1領域を配置し、導体の第1領域が第1断面積を有すること、コアのギャップの周囲に導体の第2領域を配置し、導体の第2領域は第2断面積を有し、第2断面積は第1断面積より小さい、を含む方法によって形成することができる。
【0107】
実施例では、この方法は、第1領域と第2領域とを有する導体を提供することと、インダクタの第2領域を圧縮すること、を含むでもよい。
【0108】
実施例では、ギャップは、ギャップ長(例えば、コアの第1部分と第2部分との間のギャップを通る最短距離)を有し、第2ピッチは、ギャップ長よりも大きいか又はそれと等しい。
【0109】
【0110】
非対称コア200Bは、第1非対称型コア部210’と、第2非対称型コア部220’と、を備える。
【0111】
第1非対称型コア部210’は、第1端部216’と、第1円筒状突起212’と、第1環状円筒状突起214’と、を備える。第1円筒状突起212’は、第1端部216’に接続される。第1環状円筒状突起214’は、第1端部216’に接続されている。第1円筒状突起212’と第1環状円筒状突起214’は、同心に配置される、すなわち、第1円筒状突起212’と第1環状円筒状突起214’は、第1円筒状突起212’の長手方向軸と第1環状円筒状突起214’の長手方向軸が平行かつ一致しているように配置される。第1円筒状突起212’と第1環状円筒状突起214’は、それによってその間に第1環状中空218’を提供するために同心に配置される。
【0112】
第1端部216’は円筒形状を有し、第1円筒状突起212’と第1環状円筒状突起214’は、第1端部216’の軸方向の面に配置される。第1端部216’は、第1環状円筒状突起214’の外径と等しい直径を有する。
【0113】
第1円筒状突起212’は、直径DC1Iを有する。第1環状円筒状突起214’は、内径DC1Oを有している。第1円筒状突起212’の直径DC1Iは、第1環状円筒状突起214’の内径DC1Oよりも小さい。
【0114】
第1円筒状突起212’は、長さLC1を有する。言い換えれば、第1円筒状突起212’は、長さLC1だけ第1端部216から長手方向に延びている。第1環状円筒形突起214’は、長さLC1を有する。言い換えれば、第1環状円筒状突起214’は、長さLC1だけ第1端部216’から長手方向に延びている。
【0115】
第1非対称型コア部210’によって規定される第1環状中空は、第1円筒状突起212’の長さLC1に等しい長さ、第1円筒状突起212’の直径DC1Iに等しい内径、第1環状円筒状突起214’の内径DC1Oに等しい外径を備える。
【0116】
第2非対称型コア部220’は、第2端部226’、第2環状円筒状突起224’を備えている。第2環状円筒状突起224’は、第2端部226’に接続されている。第2環状円筒状突起224’は、その間に第2環状中空228’を提供する。
【0117】
第2端部226’は円筒形状を有し、第2環状円筒状突起224’は第2端部226’の軸方向の面に配置される。第2端部226’は、第2環状円筒状突起224’の外径と等しい直径を有する。
【0118】
第2環状円筒状突起224’は、内径DC2Oを有する。
【0119】
第2環状円筒状突起224’は、長さLGを有する。言い換えれば、第2環状円筒状突起224’は、長さLGだけ第2端部226’から長手方向に延びている。
【0120】
第2非対称型コア部分220’によって規定される第2環状中空228’は、第2環状円筒状突起224’の長さLGに等しい長さ、第2環状円筒状突起224’の直径DC2Oに等しい内径を有する。
【0121】
非対称型コア200Bにおいて、第1環状円筒状突起214’の内径DC1Oは、第2環状円筒状突起224’の内径DC2Oと等しく、第1環状円筒状突起214’の外径は、第2環状円筒状突起224’の外径と等しい。
【0122】
非対称コア200Bは、第1領域と第2領域とを含むらせん導体を受け取るように構成されており、第1領域は連続的である(すなわち、第2領域によって分離されたA部分とB部分とから構成されるのではなく、第2領域に隣接する(ユニット))。らせん導体は、第1領域が第1ピッチを有し、第2領域が第2ピッチを有し、第2ピッチが第1ピッチよりも大きいという特徴、及び、第1断面積を有する第2領域と第2断面積を有する第2領域であって、第2断面積が第1断面積よりも小さいという特徴のうちの少なくとも1つを有している(第2領域によって分離されたA部分とB部分ではなく、第2領域に隣接した(一体の)第1領域)、これを受け取るように構成されている。このようならせん導体は、本明細書において、連続らせん導体と呼ばれる。連続らせん導体の第1領域は、L1’の長手方向の長さを有し、連続らせん導体の第2領域は、L2’の長手方向の長さを有している。
【0123】
第1環状中空218’は、連続らせん導体の第1領域を受けるように構成されている。第2環状中空228’は、連続らせん導体の第2領域を受け入れるように構成される。
【0124】
第1環状中空218’の長手方向の長さは、第1円筒状突出部212’の長さLC1の長さと等しくなっている。第2環状中空228’の長手方向の長さは、第2環状突出部224’の長手方向の長さLGと同じである。第1環状中空218’の長手方向の長さは、導体の第1領域の長さL1’と同じである。第2環状中空228’の長手方向の長さは、導体の第2領域L2’の長さと等しい。
【0125】
第1円筒状突起212’の直径DC1Iは、導体の内径の2倍以下である。第2環状円筒状突起224’の直径DC2Iは、導体の内径の2倍以下である。第1環状円筒状突起214’の内径DC1Oは、導体の外径の2倍以上である。第2環状円筒状突起224’の内径DC2Oは、導体の外径の2倍以上である。
【0126】
第1非対称型コア部210’と第2非対称型コア部220’は、その間にギャップを提供するように配置される。第1非対称型コア部210’と第2非対称型コア部220’は、第1円筒状突起212’と第2端部226’との間に直接、内側ギャップ240’を提供するように配置される。
【0127】
内側ギャップ240’は、第1円筒状突起212’と第2端部226’の軸方向の面間に配置される直径DC1Iの円筒状ギャップである。
【0128】
実施例では、第1非対称型コア部及び第2非対称型コア部は、第1円筒状突起と第2端部226’との間に内側ギャップを提供し、また、第1環状円筒状突起と第2環状円筒状突起との間に設けられる外側ギャップを提供するように配置される。このような例では、第1環状円筒状突起及び第2環状円筒状突起の長手方向の長さの和は、らせん導体の長手方向の長さより小さい。例えば、
図2A~
図2Cに図示された対称型コアは、外側ギャップを含んでいる。
【0129】
内側ギャップ240’は、コアの磁気リラクタンス(例えば、第1非対称型コア部210’、第2非対称型コア部220’及びギャップ240’の複合システムの複合磁気リラクタンス)を増大するように構成される。
【0130】
有利なことに、コア200Bの磁気リラクタンスを増加させると、コア200Bに蓄積されるエネルギーの量(例えば、第1非対称型コア部210’、第2非対称型コア部220’とギャップ240’の複合システムに蓄積されるエネルギー)が比較的に増加する。エネルギーは、磁場の形態でコア200Bに蓄積される。
【0131】
さらなる実施形態が想定される。任意の1つの実施形態に関連して説明された任意の特徴は、単独で、又は説明された他の特徴と組み合わせて使用することができ、また、実施形態の任意の他の1つ又は複数の特徴、又は実施形態の任意の他の組み合わせと組み合わせて使用することができることを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記に記載されていない同等物及び変更も採用することができる。
【外国語明細書】