(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081320
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】病院内自動運転車両管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20230602BHJP
【FI】
G16H40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187823
(22)【出願日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2021195009
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501055145
【氏名又は名称】株式会社ZMP
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】谷口 恵恒
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】病院内における非接触化とスタッフの労働負荷の低減を図ると共に、患者の無人搬送を実現する病院内自動運転車両管理システムを提供する。
【解決手段】病院内自動運転車両管理システム10は、自動運転車両管理部30と、自動運転車両20と、各種設備を管理する病院管理サーバ40と、スタッフ端末50と、病院における各種項目の在庫・発注・納品管理を行なう業者管理サーバ60と、を含む。病院管理サーバは、スタッフ端末から要求された各種項目を積載した自動運転車両を搬送元である第一の場所から搬送先である第二の場所まで運行する搬送情報47を作成する。自動運転車両管理部30は、搬送情報47及びマップデータ31に基づいて第一の場所から第二の場所までの走行経路33aを作成して自動運転車両20に送信する。自動運転車両20は、走行経路33aに従って第一の場所から第二の場所まで要求された各種項目を搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病院内の自動運転車両が通行可能な通路,周辺環境に関する三次元のマップデータを登録した自動運転車両管理部と、前記自動運転車両管理部にネットワークを介して接続される自動運転車両と、前記病院内の各種設備を管理する病院管理サーバと、前記病院管理サーバにネットワークを介して接続されるスタッフ端末と、前記病院における各種項目の在庫・発注・納品管理を行なう業者管理サーバと、を含んでおり、
前記病院管理サーバが、前記スタッフ端末からの要求により、要求された各種項目を積載した自動運転車両を、搬送元である第一の場所から搬送先である第二の場所まで運行する搬送情報を作成し、
前記自動運転車両管理部が、前記搬送情報及び前記マップデータに基づいて前記第一の場所から第二の場所までの走行経路を作成して前記自動運転車両に送信し、
前記自動運転車両が、前記走行経路に従って前記第一の場所から第二の場所まで要求された各種項目を搬送する、病院内自動運転車両管理システム。
【請求項2】
前記各種項目の一つが注射薬払出部から取り出されて注射トレーに載せられた点滴用注射薬であって、前記第一の場所にて注射トレーを収容した注射カートがカート搬送用の自動運転車両により前記第二の場所まで搬送され、
前記点滴用注射薬が取り出された後の空の注射トレーを収容する注射カートが、カート搬送用の自動運転車両により前記第二の場所から第一の場所まで搬送される、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項3】
前記自動運転車両管理部が、前記業者管理サーバからの前記病院の搬入口への搬入車両の納品情報に基づいて、前記納品情報に含まれる各種項目に対応して自動運転車両を前記搬入口に移動させる、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項4】
前記自動運転車両管理部が、前記病院管理サーバからのエレベータ情報又はセキュリティドア情報を含む走行経路情報を作成し、
前記自動運転車両が、走行経路に沿って走行する際にこれらのエレベータ情報及びセキュリティドア情報に従って前記病院内のエレベータを利用しセキュリティドアの開閉を行なうことを特徴とする、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項5】
前記自動運転車両管理部が、前記第一の場所から第二の場所へ走行している自動運転車両の走行状況を前記病院管理サーバに送信し、
前記病院管理サーバが、前記自動運転車両の走行状況を前記スタッフ端末に送信する、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項6】
前記各種項目の一つが、給食部から個々の病室等に配膳すべき食事であって、
前記病院管理サーバが、病院の給食部からの配膳すべき食事に関する搬送情報を前記自動運転車両管理部に送信し、
前記自動運転車両管理部が、前記搬送情報に基づいて第一の場所としての給食部から第二の場所としての前記食事を配膳すべき各病室等へ食事搬送用の自動運転車両により食事を搬送させる、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項7】
前記各種項目の一つが、医材,薬剤,リネン等であって、
前記病院管理サーバが、病院の貯蔵部又は消毒・滅菌機能付き医材貯蔵部からの搬送情報を前記自動運転車両管理部に送信し、
前記自動運転車両管理部が、前記搬送情報に基づいて第一の場所としての貯蔵部から第二の場所としての病室,診察室,治療室等へ搬送用の自動運転車両により医材,薬剤,リネン等の各種項目を搬送させると共に、
前記自動運転車両管理部が、各種項目の余剰品及び使用済品を前記第二の場所から第一の場所まで搬送用の自動運転車両により搬送させる、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項8】
前記各種項目の一つが、患者等から採取して検査部で検査すべき検体であって、
前記病院管理サーバが、病院の検査部からの搬送情報を前記自動運転車両管理部に送信し、
前記自動運転車両管理部が、前記搬送情報に基づいて第一の場所としての検査部から第二の場所へ搬送用の自動運転車両により空の検体用容器を搬送させると共に、
前記自動運転車両管理部が、検体を収容した検体用容器を第二の場所から第一の場所としての検査部まで搬送用の自動運転車両により搬送させる、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項9】
前記各種項目の一つが、救急患者を乗せたストレッチャーであって、
前記病院管理サーバが、病院の救急搬入口からの搬送情報を前記自動運転車両管理部に送信し、
前記自動運転車両管理部が、前記搬送情報に基づいて第一の場所としての救急搬入口から第二の場所としての救急治療室等へ救急患者を乗せたストレッチャーをストレッチャー搬送用の自動運転車両により搬送させる、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項10】
前記各種項目の一つが、歩行不可能又は歩行困難な患者であって、
前記病院管理サーバが、搬送情報を前記自動運転車両管理部に送信し、
前記自動運転車両管理部が、前記搬送情報に基づいて第一の場所から第二の場所まで患者搬送用の自動運転車両により歩行不可能又は歩行困難な患者を搬送させる、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項11】
前記自動運転車両が、病院内の巡回警備,消毒又は清掃用の自動運転車両であって、
前記病院管理サーバが、前記巡回警備,消毒又は清掃用の自動運転車両に関する要求情報による搬送情報を自動運転車両管理部に送信し、
前記自動運転車両管理部が、前記搬送情報に基づいて当該自動運転車両を所定の走行経路に沿って走行させる、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項12】
前記自動運転車両管理部が、前記自動運転車両の遠隔監視及び/又は遠隔操作をする遠隔監視及び/又は遠隔操作部と、前記自動運転車両の走行経路の設定等を行う走行経路設定部と、前記自動運転車両の稼働データに基づいて該自動運転車両の稼働状態を分析する稼働状態分析部と、前記自動運転車両と前記病院内のエレベータ及びセキュリティドア等の連携を行う外部連携部と、を備える、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項13】
前記自動運転車両に、施錠及び解錠が可能な収容部と前記病院内のスタッフの認証のための読取手段部が設けられており、
前記病院内のスタッフのID情報が前記自動運転車両の前記読取手段部により読み取られ、
前記自動運転車両管理部が、前記病院管理サーバに前記スタッフのID情報を照会し、
これを受けた前記病院管理サーバが、前記スタッフのID情報を病院セキュリティ管理データベースに照会し、該病院セキュリティ管理データベースからスタッフのID認証情報を受け取ると、該スタッフのID認証情報を前記自動運転車両管理部に送信し、
これを受けた前記自動運転車両管理部が、前記自動運転車両の前記収容部の解錠を指示する、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項14】
前記病院管理サーバが、前記スタッフ端末からの要求により前記第一の場所から複数の搬送先まで運行する前記搬送情報を作成し、
前記自動運転車両管理部が、前記搬送情報及び前記マップデータに基づいて前記第一の場所から前記複数の搬送先までの走行経路を作成して前記自動運転車両に送信し、
前記自動運転車両が、前記走行経路に従って前記第一の場所から前記複数の搬送先まで前記各種項目を搬送する、請求項1に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【請求項15】
前記自動運転車両が、前記ネットワークに接続され、かつ、前記スタッフが操作を行なう車載端末を備え、前記第一の場所から前記複数の搬送先までの走行経路が、前記車載端末の表示部に表示される、請求項14に記載の病院内自動運転車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院内において自動運転車両を運行管理する病院内自動運転車両管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院においては、手術用具等の医材の納品又は使用済用品の回収、シーツ,タオル,パジャマ等のリネンの納品又は使用済用品の回収、あるいは点滴液を含む各種薬剤等の納品、さらには検体の回収、食事の納品又は容器の回収等が、外部業者により行なわれている場合が多い。病院によっては、これらの医材や備品などを中央材料室等において内部作業で行ったり、各種薬剤を薬剤部等の内部作業で行うところもある。ただし、医材、備品、各種薬剤等の病院への搬送は、全て外部業者がトラック等の輸送用車両で行っている。このため、複数の外部業者の搬送車両を管理し、各搬送車両の到着時刻や出発時刻を管理して搬送車両の集中を回避するような搬送車両の管理が既に行なわれている。
【0003】
しかしながら、例えばリネンのように、病院内を業者が巡回して納品及び回収を行なうものあり、安全管理上及び衛生管理上の課題があった。
【0004】
これに対して、病院業務全体を一括して管理する所謂病院管理システムが一部で実用化されている。
病院管理システムは、例えば患者に関する診療業務を電子化して電子カルテにより管理すると共に、入院患者に食事を提供する給食部,点滴用注射薬を保管する注射薬部,医材を保管する医材貯蔵部,薬剤やリネン等を保管する貯蔵部,患者から採取した検体の検査を行なう検査部等の各部署を統合して管理し、スタッフから要求される医材,薬剤,リネン,食事等の各部署への手配、在庫管理及び発注等を行なうようにしている。このような病院管理システムによれば、各スタッフからの要求に応じて、医材,薬材,リネン,食事等の各種項目を、要求されたスタッフステーション,病室,治療室や手術室等に搬送するように手配し、担当者がこれらの各種項目を自分で搬送しあるいは担当の業者に搬送させる。さらに、病院管理システムは、病院建物内のエレベータ管理やセキュリティ管理も行なうようになっている。
【0005】
このうち、例えば点滴用の注射薬に関しては、注射薬自動払出システムが実用化されており、病院の薬剤部に設けられた注射薬自動払出システムから所定の注射薬を載せたトレーを取り出し、公知の注射カートに収容して指定されたスタッフステーション等に搬送する。その際、例えば朝の定常業務において、大量の注射カートを各スタッフステーションに搬送する必要があるが、現在では各スタッフステーションに注射カート準備完了の旨の通知が送信され、この通知を受けて当該スタッフステーションのスタッフが薬剤部まで注射カートを取りに行き、当該注射カートをスタッフステーションまで手押しで搬送する必要があり、重労働で時間がかかってしまう。スタッフステーションに戻ってからも、注射カートから個々のトレーを取り出して点滴袋に入れるという煩雑な作業も必要である。
【0006】
また、患者の症状の変化により通常三割程度の注射液が不要となり、返却することが必要となり、使用途中の注射液は廃棄しなければならない。さらに、患者の症状の急変によっては新たな注射液が突然に必要となることがある。このような場合には、スタッフステーションのスタッフが注射薬自動払出システムまで出向いて必要な注射薬を取りに行くこともある。
【0007】
他方、病院内では、歩行不可能又は歩行困難な人を車椅子に乗せて搬送することもあり、救急搬送された患者をストレッチャーに乗せて治療室に搬送することもある。このような場合には、車椅子やストレッチャーを人力で搬送しなければならず、搬送のための人員も必要となる。
【0008】
一方、自動運転車両により病院内の所定のルートを自動走行させて巡回警備,消毒又は清掃等を行なうことも実用化されつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上の点に鑑み、病院内における医材,注射液を含む薬剤,リネン,検体や食事の搬送を自動運転車両により無人化して非接触化を図ると共に、自動運転車両により患者の無人搬送を実現し、さらに各自動運転車両が相互に円滑に運行できるようにした病院内搬送管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、本発明によれば、病院内の自動運転車両が通行可能な通路,周辺環境に関する三次元のマップデータを登録した自動運転車両管理部と、自動運転車両管理部にネットワークを介して接続される自動運転車両と、病院内の各種設備を管理する病院管理サーバと、病院管理サーバにネットワークを介して接続されるスタッフ端末と、病院における各種項目の在庫・発注・納品管理を行なう業者管理サーバと、を含み、病院管理サーバが、スタッフ端末からの要求により要求された各種項目を積載した自動運転車両を搬送元である第一の場所から搬送先である第二の場所まで運行する搬送情報を作成し、自動運転車両管理部が、搬送情報及びマップデータに基づいて第一の場所から第二の場所までの走行経路を作成して自動運転車両に送信し、自動運転車両が、走行経路に従って第一の場所から第二の場所まで要求された各種項目を搬送する、病院内自動運転車両管理システムにより達成される。
【0011】
好ましくは、各種項目のうちの一つが注射薬部の注射薬払出部から取り出されて注射トレーに載せられた点滴用注射薬であって、第一の場所にて注射トレーを収容した注射カートがカート搬送用の自動運転車両により第二の場所まで搬送され、点滴用注射薬が取り出された空の注射トレーを収容する注射カートが、カート搬送用の自動運転車両により第二の場所から第一の場所まで搬送される。好ましくは、自動運転車両管理部が、業者管理サーバからの病院の搬入口への搬入車両の納品情報に基づいて納品情報に含まれる各種項目に対応して自動運転車両を搬入口に移動させる。好ましくは、自動運転車両管理部が、病院管理サーバからのエレベータ情報又はセキュリティドア情報を含む走行経路情報を作成し、自動運転車両が走行経路に沿って走行する際にこれらのエレベータ情報及びセキュリティドア情報に従って病院内のエレベータを利用しセキュリティドアの開閉を行なう。好ましくは、自動運転車両管理部が、第一の場所から第二の場所へ走行している自動運転車両の走行状況を病院管理サーバに送信し、病院管理サーバが自動運転車両の走行状況をスタッフ端末に送信する。
好ましくは、各種項目の一つが個々の病室等に配膳すべき食事であって、病院管理サーバが病院の給食部からの配膳情報を自動運転車両管理部に送信し、自動運転車両管理部が、配膳情報に基づいて第一の場所としての給食部から第二の場所としての食事を配膳すべき各病室等へ食事搬送用の自動運転車両により食事を搬送させる。好ましくは、各種項目の一つが医材,薬剤,リネン等であって、病院管理サーバが、病院の貯蔵部又は消毒・滅菌機能付き医材貯蔵部からの搬送情報を自動運転車両管理部に送信し、自動運転車両管理部が、搬送情報に基づいて第一の場所としての貯蔵部から第二の場所としての病室,診察室,治療室等へ搬送用の自動運転車両により医材,薬剤,リネン等の各種項目を搬送させると共に、自動運転車両管理部が、各種項目の余剰品及び使用済品を第二の場所から第一の場所まで搬送用の自動運転車両により搬送させる。
好ましくは、各種項目の一つが検体であって、病院管理サーバが、病院の検査部からの搬送情報を自動運転車両管理部に送信し、自動運転車両管理部が、搬送情報に基づいて第一の場所としての検査部から第二の場所へ搬送用の自動運転車両により空の検体用容器を搬送すると共に、自動運転車両管理部が、検体を収容した検体用容器を第二の場所から第一場所としての検査部まで搬送用の自動運転車両により搬送する。好ましくは、各種項目の一つが救急患者を乗せたストレッチャーであって、病院管理サーバが、病院の救急搬入口からの搬送情報を自動運転車両管理部に送信し、自動運転車両管理部が、搬送情報に基づいて第一の場所としての救急搬入口から第二の場所としての救急治療室等へ救急患者を乗せたストレッチャーをストレッチャー搬送用の自動運転車両により搬送する。好ましくは、各種項目の一つが歩行不可能又は歩行困難な患者であって、病院管理サーバが搬送情報を自動運転車両管理部に送信し、自動運転車両管理部が搬送情報に基づいて第一の場所から第二の場所まで患者搬送用の自動運転車両により搬送する。
好ましくは、自動運転車両が、病院内の巡回警備,消毒又は清掃用の自動運転車両であって、病院管理サーバが、巡回警備,消毒又は清掃用の自動運転車両に関する要求情報による搬送情報を自動運転車両管理部に送信し、自動運転車両管理部が、搬送情報に基づいて当該自動運転車両を所定の走行経路に沿って走行させる。
自動運転車両管理部は、好ましくは、自動運転車両の遠隔監視及び/又は遠隔操作をする遠隔監視及び/又は遠隔操作部と、自動運転車両の走行経路の設定等を行う走行経路設定部と、自動運転車両の稼働データに基づいて該自動運転車両の稼働状態を分析する稼動状態分析部と、自動運転車両と病院内のエレベータ及びセキュリティドア等の連携を行う外部連携部と、を含む。
好ましくは、自動運転車両に、施錠及び解錠が可能な収容部と病院内のスタッフの認証のための読取手段部が設けられており、
病院内のスタッフのID情報が自動運転車両の読取手段部により読み取られ、
自動運転車両管理部が、病院管理サーバにスタッフのID情報を照会し、
これを受けた病院管理サーバが、スタッフのID情報を病院セキュリティ管理データベースに照会し、該病院セキュリティ管理データベースからスタッフのID認証情報を受け取ると、該スタッフのID認証情報を自動運転車両管理部に送信し、
これを受けた自動運転車両管理部が、自動運転車両の収容部の解錠を指示する。
好ましくは、病院管理サーバが、スタッフ端末からの要求により、第一の場所から複数の搬送先まで運行する搬送情報を作成し、
自動運転車両管理部が、搬送情報及びマップデータに基づいて第一の場所から複数の搬送先までの走行経路を作成して自動運転車両に送信し、
自動運転車両が、走行経路に従って第一の場所から複数の搬送先まで各種項目を搬送する。
好ましくは、自動運転車両が、ネットワークに接続され、かつ、スタッフが操作を行なう車載端末を備え、第一の場所から複数の搬送先までの走行経路が、車載端末の表示部に表示される。
【発明の効果】
【0012】
このようにして、本発明によれば、病院内における医材,注射液を含む薬剤,リネン,検体や食事の搬送を自動運転車両により無人化して非接触化とスタッフの労働負荷低減を図ると共に、自動運転車両により患者の無人搬送を実現し、さらに各自動運転車両が相互に円滑に運行できるようにした病院内搬送管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による病院内自動運転車両管理システムの一実施形態の全体構成を示す概略図である。
【
図2】
図1の病院内自動運転車両管理システムにおける自動運転車両の基本構成の外観を示し、(A)は正面斜視図、(B)は背面斜視図である。
【
図3】
図2の自動運転車両の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1の病院内自動運転車両管理システムにおける点滴用注射液の搬送作業を示す図である。
【
図5】回収された医材を洗浄、乾燥、滅菌等の処理を施した後、滅菌された医材を払出す工程を示す図である。
【
図6】本発明による病院内自動運転車両管理システムの第一の変形例の構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明による病院内自動運転車両管理システムの第二の変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明による病院内自動運転車両管理システムの一実施形態の全体構成を示している。病院内自動運転車両管理システム(以下、管理システムという)10は、自動運転車両20と、自動運転車両管理部30と、病院管理サーバ40と、スタッフ端末50と、業者管理サーバ60と、ネットワーク70と、から構成されている。
【0015】
自動運転車両20及びスタッフ端末50は、
図1には一つのみが示されているが、実際には複数の自動運転車両20及び複数のスタッフ端末50が配置されている。複数のスタッフ端末50は、それぞれ病院内の各部署に配置された医師,看護師、検査技師等のスタッフが所持しており、必要に応じて操作することができる。スタッフ端末50としては、ノート型やデスクトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット又は携帯電話等のスマートデバイスを使用することができる。これらの各種のスタッフ端末50の記憶部には、医師,看護師、検査技師等のスタッフの業務に応じて、管理システム10に連動するプログラムが格納されている。
【0016】
ネットワーク70は任意の構成のネットワークであり、インターネット、無線ネットワーク、専用回線ネットワークであっても、また公衆回線ネットワーク、あるいはWi-Fi等の無線LANであってもよく、自動運転車両20と自動運転車両管理部30の間、自動運転車両管理部30と病院管理サーバ40の間、そして病院管理サーバ40とスタッフ端末50及び業者管理サーバ60を相互に接続することにより、各種情報を相互に送受信することができる。
【0017】
自動運転車両20は、
図2に示すように、外観上ほぼ立方体形状に形成された本体部21と本体部21に懸架された走行部としての車輪22とから構成されている。自動運転車両20の本体部21には、表示部23と、監視カメラ24と、スピーカ25と、搬送すべき物品等のための収容部26と、ライト27と、方向指示器28と、が備えられ、ライト27として自動運転車両20の前方にはフロントライト27a,27bが、また後方にはバックライト27c,27dが、それぞれ配設されている。
【0018】
図示の場合、自動運転車両20は、収容部26を備えた食事,医材,薬剤,リネン,検体等の各種項目の搬送用の自動運転車両として描かれているが、自動運転車両20がカート等を載置する台座を備える場合は、台座上に注射薬払出部、例えば注射薬自動払出システムから取り出した点滴用注射薬を載せた注射トレーを収容した注射カートや患者を載せたストレッチャー等を搬送する搬送用の自動運転車両20として利用され得る。
【0019】
自動運転車両20が一人乗り用座席を備えたカートタイプの場合には、歩行不可能又は歩行困難な患者等を搬送する患者搬送用の自動運転車両20として利用され得る。あるいは、自動運転車両20が巡回監視,消毒,清掃等の各種作業用車両である場合には、例えば警報機,消毒薬噴霧器,ポリッシャーやクリーナー等、用途に応じて種々の機能を備えたものであってもよい。
【0020】
方向指示器28は、自動運転車両20の周囲の人が前面,側面及び背面から曲がる方向が分かる位置として、自動運転車両20の前側の左右側部の上部に耳状に配設され、例えば発光ダイオード(LED)によるランプ等から成る。
【0021】
表示部23は、
図2では本体部21の正面側に設けられ、後述する目形状映像を表示する。ここで、表示部23は、後述するディスプレイ83と、本体部21の正面側に設けられた左右一対の開口部23a,23bにより構成される。ディスプレイ83としては、液晶、有機ELや発光ダイオードによる表示装置が好ましく、高輝度発光ダイオードを高密度に並べたフルカラーの発光ダイオードディスプレイが一層好適である。表示部23の下方にはスピーカ25が設けられている。
【0022】
監視カメラ24は、自動運転車両20の周囲の画像を取得するカメラ、即ち自動運転車両20の前方,側方及び後方の通路状況や歩行者等を撮影して監視するカメラである。監視カメラ24は、本体部21の正面側に左右一対設けられた前方監視カメラ24a,24bと、本体部21の側面側に左右一対設けられた側方監視カメラ24c,24dと、から構成されている。監視カメラ24は、単眼カメラ,広域カメラ,ステレオカメラ等を使用できる。
【0023】
さらに、監視カメラ24は、
図2に示すように、本体部21の後方に左右一対の後方監視カメラ24e,24fを備えていてもよい。前方監視カメラ24a,24b及び後方監視カメラ24e,24fをそれぞれ単眼カメラとすることにより、自動運転車両20の周囲360度にある物体,人や他の自動運転車両等の画像を取得して、周囲の監視を行なうことができる。本体部21の背面側には
図2(B)に示すように、収容部26が設けられ、例えば搬送すべき各種項目のうち、医材,薬剤,リネン,検体,食事等を積載することができる。
【0024】
図3は自動運転車両20の制御系統の構成を示している。自動運転車両20は、制御部29としてのCPU81を備え、CPU81に、スピーカ25とバッテリ82とディスプレイ83と記憶部84と駆動部85と検出部86とが接続されている。検出部86は、撮像部としての監視カメラ24と、自動運転車両20の走行状態を制御するためのセンサであるIMU等の姿勢検出センサ86aと、監視センサ86bと、距離センサ86cと、位置センサ86dと、周囲の歩行者,自転車,バイク等との接触を検知するバンパーセンサ86eと、ネットワーク70に対して送信及び受信を行う状態送受信部86fと、から構成されている。
【0025】
CPU81及び記憶部84は、自動運転車両20に搭載された装置の各部を制御する。CPU81は、マイクロプロセッサやマイクロコントローラ等により構成される。
【0026】
記憶部84は、DRAM,ハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ、フラッシュメモリを用いたディスク(SSD)等の不揮発性メモリ等により構成される。CPU81と装置各部の接続は周知の方法を用いてよく、例えばCAN(Controller Area Network)を使用してもよい。さらに、自動運転車両20を機能させるプログラムは、当該プログラムを実行するCPU81と記憶部84等から成るコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に記録され格納されている。記憶媒体としては、CD-ROM,DVD-ROMや、USBメモリ等を用いることができる。上記プログラムは、例えば、無線のネットワーク70を介して自動運転車両管理部30からコンピュータの記憶部84にダウンロードされてもよい。
【0027】
バッテリ82は自動運転車両20の動力源である。バッテリ82はCPU81に接続され、バッテリ82の残量その他の情報がCPU81により監視される。
【0028】
ディスプレイ83は表示部23を構成する装置である。本実施形態では、自動運転車両20の状態及び/又は監視カメラ24が撮像した映像に基づいて、所定の目形状映像を表示部23に表示する。ここで、自動運転車両20の状態とは、走行経路における直進,左折,右折,停止等の各走行動作状態と、自動運転車両20に関する監視カメラ24による画像情報及び検出部86の検出情報と、を示す。検出部86の検出情報とは、姿勢検出センサ86a,監視センサ86b,距離センサ86c,位置センサ86dと、バンパーセンサ86e等からの情報である。自動運転車両20の状態に関する監視カメラ24による画像情報及び検出部86による検出情報は、必要に応じて状態送受信部86fにより後述する自動運転車両管理部30に送信される。
【0029】
当該目形状映像を表示する装置がディスプレイ83であり、監視カメラ24からの検出信号に基づいたCPU81からの発光指令によりディスプレイ83に所定の目形状パターンに従った映像が表示される。ディスプレイ83に映像が表示される際、スピーカ25からの映像の表示に連動した所定の出力がされてもよい。さらに、自動運転車両20の走行状態や停止状態に応じてライト27と方向指示器28とが表示される。ライト27及び方向指示器28は、CPU81からの発光指令により図示しない発光用ドライバにより表示される。
【0030】
駆動部85は、モータ85aとモータ85aを駆動制御するドライバ85bとで構成され、モータ85aで車輪22を駆動する。具体的には、CPU81からの制御信号によりドライバL85b1,ドライバR85b2が、それぞれモータ85a1,85a2を制御して、左後輪22c及び右後輪22dを駆動する。スピーカ25は、前述するように自動運転車両20の本体部21の前面に設置され、所定の音声を出力する装置である。
【0031】
姿勢検出センサ86aは、例えば慣性計測ユニット(Inertial Measurement Unit,IMUとも呼ぶ)であり、本実施形態では、自動運転車両20のロール軸,ピッチ軸及びヨー軸の各軸周りの運動について角速度及び角加速度を計測する慣性計測装置である。
【0032】
監視センサ86bは、自動運転車両20の周囲、特に前方の人や障害物等を検出し、人や障害物との距離の測定、即ち測距、人や障害物に関する二次元及び三次元の画像認識、形状と色の認識、自動運転車両20の走行経路の追従のために用いるセンサである。監視センサ86bは、人や障害物を検出したときにその位置座標や人の目の高さ等に関する位置情報を取得する。ディスプレイ83は、この位置情報に基づいて制御されてもよい。監視センサ86bとしては、単眼カメラ又はステレオカメラを用いて位置情報を取得するモジュール、ライダー等を用いて構成することができる。モジュールは、単眼カメラやステレオカメラから取得した画像データを処理して位置情報とするCPU又はGPU(画像処理プロセッサ)及び記憶装置等から構成し得る。単眼カメラを用いたモジュールは、人や障害物の形状,色及びパターンを認識することができ、大凡の距離をも計測できる。ステレオカメラを用いたモジュールは、測距、人や車、障害物等の三次元認識、形状と色を識別するために使用される。
【0033】
ライダー(LaserImaging Detection and Ranging)は、レーザーレーダーとも呼ばれるセンサであり、レーザー画像検出と測距を行なう。ライダーは、二次元ライダーや三次元ライダーを用いてもよい。三次元ライダーは、自動運転車両20の前方のレーザー画像検出と、検出した物体との測距、検出した物体の形状の測定等ができる。ライダーを備えている場合には、自動運転車両20の前方の物体とその距離を検出して、前方のレーザー画像と検出した物体との距離のデータを検出信号としてCPU81に送出する。
【0034】
さらに、監視センサ86bを自動運転車両20の前方上部に配設してもよい。監視センサ86bは、自動運転車両20の前方の人や他の自動運転車両、障害物等の画像検出と測距を遠方まで検知することができる。
【0035】
距離センサ86cは、自動運転車両20と障害物等との距離を計測し自動運転車両20の前方に向かって配置され、走行路の前方にある障害物に対して超音波や赤外線を出射してその反射波を検出することにより、当該障害物までの距離を測定する。
【0036】
位置センサ86dは、自動運転車両20の現在位置を捕捉する。本実施形態では、位置センサ86dはGNSS受信ユニットを用いている。位置センサ86dと姿勢検出センサ86aは、それぞれ別個の装置を用いるかあるいはGNSS受信機能,ジャイロセンサ機能及び加速度センサ機能が一つのパッケージに統合された装置を用いるかは任意に選択し得る。
【0037】
バンパーセンサ86eは周囲の人,障害物や他の自動運転車両等との接触を検知する。バンパーセンサ86eにより周囲の人,障害物や他の自動運転車両との接触を検知して、自動運転車両20の自動走行を停止又は非常停止することができる。
【0038】
状態送受信部86fは、公衆通信ができる例えば第三世代(3Gと呼ぶ),第四世代(4Gと呼ぶ)及び第五世代(5Gと呼ぶ)等、あるいは無線LAN等の通信モジュールから構成される。
【0039】
ここで、自動運転車両管理部30は、自動運転車両20の現在位置及び前もって作成された走行経路から自動運転車両20同士又は自動運転車両20と周辺環境との相互位置に基づいて、自動運転車両20の運行を遠隔監視及び/又は遠隔操作できる運行サーバであって、後述する病院管理サーバ40を介して、病院建物40aのエレベータ制御部44やセキュリティ制御部45を制御することもできる。セキュリティ制御部45により制御されるのは、自動運転車両20が出入りする集中医療室(Intensive Care Unit,ICUとも呼ぶ)、医材や薬剤、検体等の搬入・搬出及び消毒や清掃のために出入りをする設備、例えば、医材や薬剤の保管室、トイレや浴室等に設置されたセキュリティドア45aであってもよい。この構成によれば、自動運転車両20が自動運転車両管理部30によって遠隔監視及び/遠隔操作されると共に、自動運転車両20が病院建物40a内のエレベータ41に接近したとき、自動運転車両管理部30が当該病院建物40aのエレベータ制御部44を制御することによって、自動運転車両20が走行経路中に在る病院建物内のエレベータ41を円滑に利用することができる。同様に、自動運転車両20がセキュリティドア45aに接近したとき、自動運転車両管理部30が当該病院建物40aのセキュリティ制御部45を制御してセキュリティドア45aを開閉することによって、自動運転車両20が走行経路中に在る病院建物40a内のセキュリティドア45aを円滑に通過することができる。なお、エレベータ41、エレベータ制御部44、セキュリティ制御部45、セキュリティドア45aは、
図1には一つのみが示されているが、実際には複数のエレベータ41、複数のエレベータ制御部44、複数のセキュリティ制御部45、複数のセキュリティドア45aが配置されている。
【0040】
このような構成の自動運転車両20の制御回路において、姿勢検出センサ86a,監視センサ86b,距離センサ86c及び位置センサ86dと、監視カメラ24等からなるセンサからの検出信号と、前もって作成された走行経路と、に基づいて、CPU81は駆動部85を駆動制御して当該走行経路に沿って自動走行することができる。
走行経路を作成するためのマップデータ31は、自動運転車両管理部30に登録されており、自動運転車両管理部30の制御部33は、後述する病院管理サーバ40から送られてくる搬送情報47に基づいて、搬送情報47に含まれる搬送元の位置情報から搬送元に近い自動運転車両20を選択し、続いて当該自動運転車両20の現在位置情報81aと搬送元及び搬送先の位置情報に基づいてマップデータ31を読み出して走行経路33aを作成し、ネットワーク70を介して自動運転車両20に送信する。その際、自動運転車両管理部30は、走行経路33a中に病院建物40aのエレベータ41及びセキュリティドア45aが含まれる場合には、エレベータ利用情報33b,エレベータ制御情報33c及びセキュリティ制御情報33dを作成してネットワーク70を介して病院管理サーバ40に送信する。エレベータ利用情報33bは、病院建物40aのエレベータ41に関して乗車階及び降車階を含む情報であり、エレベータ制御情報33cはエレベータかご43の呼び出し及び乗車後の降車階の指定を含む情報である。セキュリティ制御情報33dは、病院建物40aのセキュリティシステムにおけるセキュリティドア45aの開閉を制御する情報である。
【0041】
また、CPU81は、そのときの現在位置81a及び走行状態をネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。これにより自動運転車両管理部30は、当該自動運転車両20の現在位置及び走行状態を認識して運行を管理する。
【0042】
本実施形態において、自動運転車両20はバッテリ82を動力源とし、駆動部85の各モータ85aにより車輪22(図示の場合、左後輪22c,右後輪22d)を駆動して走行する電動車両である。自動運転車両20は、その走行状態と監視カメラ24及び/又は監視センサ86bが撮影した映像に基づいて所定の目形状映像を表示部23に表示する。さらに自動運転車両20は、本体部21の前面にスピーカ25を備え、自動運転車両20の走行状態及び/又は監視カメラ24が撮影した映像に基づいて所定の音声をスピーカ25に出力する。
【0043】
自動運転車両管理部30は適宜の箇所に設置された運行サーバであって、自動運転車両20の走行経路作成に必要なマップデータ31を登録する記憶部32と、記憶部32に対してマップデータ31の読み書きを行なうと共に、自動運転車両20の運行運理を行なう制御部33と、から構成されている。マップデータ31は、自動運転車両20の走行可能であるエリアに関して自動運転車両20の走行に必要な通路及び周辺環境に関するデータ、例えば通路の境界の位置等の情報を含む三次元データである。記憶部32には、マップデータ31がデータベースとして登録されており、位置情報により当該位置情報付近を含むマップデータを読み出すことができる。さらに、病院建物40aがエレベータ41及びセキュリティドア45aを備える場合には、マップデータ31には当該病院建物40a内の他のフロアへの移動のために利用可能なエレベータ41や走行経路33aに沿って配置されるセキュリティドア45aの位置情報等を含んでいる。
【0044】
自動運転車両管理部30の制御部33は、自動運転車両20から送られてくる現在位置情報81a及び後述する搬送情報47による搬送元及び搬送先の位置情報に基づいて、現在位置から搬送元を介して搬送先までに対応するエリアのマップデータ31を記憶部32から読み出し、現在位置から搬送元までそして搬送元から搬送先までの走行経路33aを作成してネットワーク70を介して自動運転車両20に送信する。さらに自動運転車両管理部30の制御部33は、作成した走行経路33aに病院建物40a内のエレベータ利用及びセキュリティドア通過が含まれる場合には、エレベータ利用情報33b,エレベータ制御情報33c及びセキュリティドア利用情報33dを作成し、ネットワーク70を介して病院管理サーバ40に送信する。
【0045】
病院管理サーバ40は、病院建物40a内に設けられた後述する各部署の業務に関する電子カルテ,医材,薬剤,リネン,食事や検体を管理すると共に、病院建物40a内のエレベータ41を制御・管理している。
【0046】
エレベータ41は、
図1に概略的に示すように、病院建物40aの複数階のフロア間の容易な移動を可能にするために設けられ、病院建物40aを上下に貫通する移動路42内で上下に移動可能に支持され、且つ図示しない駆動部により上下動に移動するエレベータかご43とエレベータかご43を上下に駆動制御するエレベータ制御部44とから構成される。
【0047】
エレベータ制御部44は、病院管理サーバ40に対してゲートウェー44aを介して接続されると共に、病院管理サーバ40は、さらにゲートウェー40bからネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に接続されている。これにより、エレベータ制御部44は、自動運転車両管理部30から送られてくるエレベータ利用情報33b及びエレベータ制御情報33cに基づいてエレベータ41を制御する。
【0048】
また、病院管理サーバ40は、病院建物40a内のセキュリティシステムを制御・管理するために、セキュリティ制御部45を備えている。セキュリティ制御部45は、病院建物40aの出入り口における人等の監視、スタッフの出勤管理、出入り業者の入出管理等を行なうと共に、内部における通行を規制するためのセキュリティドア45aの開閉管理を行なう。セキュリティ制御部45は、病院管理サーバ40に対してゲートウェー40cを介して接続されている。これにより、セキュリティ制御部45は、自動運転車両管理部30から送られてくるセキュリティドア利用情報33dに基づいてセキュリティドア45aの開閉を制御する。
【0049】
かくして、病院内自動運転車両管理システム10において、自動運転車両20,自動運転車両管理部30及び病院管理サーバ40が病院建物40a,エレベータ41及びセキュリティドア45aと相互に接続される。こうして病院建物40a内のエレベータ41やセキュリティドア45a等の電気設備が、自動運転車両管理部30の制御部33によりネットワーク70を介して制御される。
【0050】
ここで、エレベータ41としては、例えば無人自動運転ロボットが搬送,警備や消毒,清掃のために移動しやすいように、エレベータ41等の設備をロボットと連携させて稼働させることができる所謂ロボットマネジメントプラットホームを採用したビル等に設置されているエレベータにも適用できる。これにより、エレベータ制御部44は、自動運転車両20からネットワーク70経由で自動運転車両管理部30,病院管理サーバ40を介して送られてくる自動運転車両20の現在位置81a,エレベータ利用情報33b及びエレベータ制御情報33cに基づいて、自動運転車両20がエレベータホールに接近したときにエレベータ呼び出し操作の信号を送出し、またエレベータかご43に乗り込んだ際には行き先階の入力信号を送出することによりエレベータ41を利用することができる。
【0051】
また、セキュリティ制御部45は、自動運転車両20からネットワーク70経由で自動運転車両管理部30,病院管理サーバ40を介して送られてくる自動運転車両20の現在位置81a,セキュリティ利用情報33dに基づいて、自動運転車両20がセキュリティドア45aに接近したときにセキュリティドア開放信号45bを送出してセキュリティドア45aを開放すると共に、自動運転車両20がセキュリティドア45aを通過した後、セキュリティドア閉鎖信号45cを送出してセキュリティドア45aを閉鎖する。
【0052】
上記構成によれば、自動運転車両20が、病院内の第一の場所から第二の場所まで走行経路33aに沿って走行する際に、自動運転車両20の移動と連動してエレベータ乗降の際にエレベータ41の呼び出し及び行き先階の指定や、セキュリティドア45aの開閉を行ない、円滑に病院内を移動することができる。
【0053】
さらに、病院管理サーバ40は、スタッフ端末50から要求情報51を受け取ると、要求情報51に含まれる各種項目の種類に対応して各部署61~65を選択し、各部署61~65を搬送元とし要求情報51に含まれる搬送先として搬送情報47を作成し、ネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。また、病院管理サーバ40は、例えば電子カルテ等に基づいて薬剤,リネン,食事等に関する要求情報46を作成し、業者管理サーバ60に送信すると共に、上述した要求情報51と同様にさらに搬送情報47を作成し、ネットワ-ク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。
【0054】
病院管理サーバ40は、業者管理サーバ60から納入業者による病院の搬入口への納品情報60aを受け取ったとき、この納品情報60aに含まれる納品されるべき各種項目の種類及び納品日時から未搬送の要求情報51に対応するものを選択し、当該要求情報51に関連付けて搬送情報47を作成し、自動運転車両管理部30に送信する。これを受けて、自動運転車両管理部30は適宜の自動運転車両20を選択し、当該自動運転車両20の現在位置情報81aから現在位置から病院の搬入口を経て搬送先までの走行経路33aを作成して当該自動運転車両20に送信する。
【0055】
さらに、病院管理サーバ40は、救急入院の依頼があったとき救急搬送のための搬送情報47を作成して自動運転車両管理部30に送信する。これを受けて自動運転車両管理部30は、ストレッチャー搬送用の自動運転車両20を選択して、当該自動運転車両20の現在位置情報81aから、現在位置から救急搬入口を経て救急治療室等への走行経路33aを作成して当該自動運転車両20に送信する。
【0056】
また、病院管理サーバ40は、スタッフ端末50から患者搬送のための要求情報51を受け取ると、患者等搬送のための搬送情報47を作成して自動運転車両管理部30に送信する。これを受けて、自動運転車両管理部30は患者搬送用の自動運転車両20を選択して当該自動運転車両20の現在位置情報81aから、現在位置から搬送元を経て搬送先への走行経路33aを作成して当該自動運転車両20に送信する。
【0057】
スタッフ端末50は、例えばPCや携帯電話,スマートホン,タブレット等の携帯端末であって、病院管理サーバ40に対してネットワーク70を介してあるいは他のWi-Fi(登録商標)回線,有線LAN等のネットワークを介して病院管理サーバ40に接続されており、専用のアプリをインストールすることにより病院管理サーバ40に対して必要な各種品目を要求することができる。スタッフ端末50は、病院内の各部署に配置された医師,看護師等のスタッフが携帯しており、スタッフが操作することにより、搬送先,必要とする各種項目の種類及び数量を含む要求情報51を作成して病院管理サーバ40に対して送信することができる。また、スタッフ端末50は、病院管理サーバ40から送られてくる到着情報48を受信する。これにより、スタッフは、自分が要求した各種項目に関して自動運転車両20により搬送される各種項目の到着を認知することができる。この到着情報48は、当該自動運転車両20が搬送先に近づいたとき、病院管理サーバ40が作成して搬送先に対応するスタッフ端末50に対して送信する。
【0058】
業者管理サーバ60は病院管理サーバ40に接続され、注射薬部61,医材貯蔵部62,貯蔵部63,給食部64及び検査部65における各種項目の在庫,発注及び納品の管理を行い、在庫が少なくなった各種項目に関して担当する業者に発注を行うと共に、当該業者による納品を管理する。なお、注射薬部61は薬剤部の中に設けられ、注射薬室、注射室等と呼ばれる場合もある。医材貯蔵部62は材料部、中央材料室等と呼ばれる場合もあるが、医材の回収、洗浄、滅菌及び払出しの機能を有している。業者管理サーバ60は、納品業者からの納品項目及び納品日時等を含む納品情報60aを受け取って病院管理サーバ40に送信する。
また、業者管理サーバ60は、病院管理サーバ40から送信される要求情報46及びスタッフ端末50から送信される要求情報51を、それぞれ対応する各部署、即ち注射薬部61,医材貯蔵部62,貯蔵部63,給食部64及び検査部65に送信する。これにより、注射薬部61,医材貯蔵部62,貯蔵部63,給食部64及び検査部65は要求情報51及び46に基づいて要求された各種項目の搬送を準備する。そして、注射薬部61,医材貯蔵部62,貯蔵部63,給食部64及び検査部65は、搬送準備が完了すると、その旨を病院管理サーバ40に送信する。
【0059】
注射薬部61は注射薬払出部として、例えば
図4に示す市販の注射薬自動払出システムを使用して、
図4(A)に示す払出部61aから点滴用注射薬を取り出して
図4(B)に示す注射トレー61b上に載せ、
図4(C)に示す注射カート61cに収容する。注射薬部61が既存の注射薬払出部である場合には、スタッフは、既存の注射薬払出部から点滴用注射薬を取り出して
図4(B)に示す注射トレー61b上に載せ、
図4(C)に示す注射カート61cに収容してもよい。この注射カート61cは、
図4(D)に示すカート搬送用の自動運転車両20の台座上に載置され、
図4(E)に示す自動運転車両20により搬送され得る。
【0060】
上記構成によれば、注射薬部61にて、注射薬払出部から取り出して注射トレー61bに載せられた点滴用注射薬に関して、注射トレー61bを収容した注射カート61cが、搬送元としての注射薬部61である第一の場所から搬送先としての例えばスタッフステーションである第二の場所まで、カート搬送用の自動運転車両20により非接触で人手によらずに自動搬送され得ることになる。
【0061】
医材貯蔵部62は、市販の医材用自動搬送・洗浄・乾燥・滅菌処理システムを利用しており、
図5に示すように自動運転車両20により回収された医材が種類毎に仕分けされてそれぞれ洗浄・乾燥され、そして必要なセットの医材が組にされ、さらに滅菌された後、保管されており、要求があったときに滅菌された医材が払い出されて搬送されるようになっている。
【0062】
貯蔵部63は薬剤,リネン等の貯蔵部であり、納入業者により納品された薬剤,リネン等が保管されており、要求があったときに要求された薬剤,リネン等が払い出されて搬送される。なお、貯蔵部63は、貯蔵する部材に応じて薬剤貯蔵部,リネン室、リネン貯蔵部等と呼ばれる場合もある。
【0063】
給食部64は、病院管理サーバ40からの要求情報46に基づいて食事を作り、例えば患者毎にトレーに載せた状態で払い出される。なお、給食部は、栄養部又は栄養科とも呼ばれる場合もある。
【0064】
検査部65は、スタッフ端末50からの要求情報51又は病院管理サーバ40からの要求情報46に基き、まず空の検体用容器が払い出され、自動運転車両20により回収された検体の入った検体用容器を回収して、検体用容器内に収容された検体の検査を行なう。
【0065】
本発明による病院内自動運転車両管理システム10は以上のように構成されている。
病院内自動運転車両管理システム10によれば、スタッフ端末50からの要求により、病院管理サーバ40が、要求された各種品目に関して業者管理サーバ60に対して当該各種品目の在庫及び保管場所を確認し、各種品目の品名,搬送元,搬送先を含む搬送情報47を作成して自動運転車両管理部30に送信する。これを受けて、自動運転車両管理部30は、この搬送情報47に含まれる搬送元から搬送先までのマップデータ31を読み出し、搬送情報47及びマップデータ31に基づいて搬送元である第一の場所から搬送先である第二の場所までの走行経路33aを作成して自動運転車両20に送信する。これにより、自動運転車両20は、第一の場所にて当該各種品目が積載された後に、第一の場所から第二の場所まで走行経路33aに従って移動する。このようにして、スタッフ端末50により要求された各種品目は、自動運転車両20により第一の場所から第二の場所まで非接触で人手によらずに自動搬送され得る。
【0066】
上記構成によれば、病院の搬入口(バックヤードとも呼ぶ)への搬入車両の到着の際に、自動運転車両20が搬入口に移動することによって、搬入車両から荷卸しされる各種項目に関してより迅速に自動運転車両20に積載して搬送することができる。ここで、上記の医材、各種薬剤、リネン、検体の回収、食事の納品又は容器の回収等の病院への搬送、又は病院から外部への搬送は、全て外部業者がトラック等の輸送用車両で行っている。
【0067】
最初に、点滴用注射薬を搬送する場合について説明する。
スタッフ端末50にてスタッフの操作によって点滴用注射薬に関する要求が行なわれると、搬送先,要求された点滴用注射薬の種類及び数量を含む要求情報51が作成され、病院管理サーバ40に送信される。
【0068】
病院管理サーバ40は、要求情報51に含まれる各種項目である点滴用注射薬に対応して注射薬部61を選択し、注射薬部61を搬送元とし要求情報51に含まれる搬送先を指定する搬送情報47を作成してネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。同時に、病院管理サーバ40は、選択した注射薬部61に対して要求情報51を送信する。これにより、注射薬部61は、要求された点滴用注射薬を払出し、この点滴用注射薬が注射トレー61b上に載せられて注射カート61cに収容される。
【0069】
他方、自動運転車両管理部30は、病院管理サーバ40から送られてきた搬送情報47に基づいて、搬送情報47に含まれる搬送元及び搬送先から近くのカート搬送用の自動運転車両20を選択して、当該自動運転車両20の現在位置情報81aにより現在位置から搬送元そして搬送先までの走行経路に対応するエリアのマップデータ31を読み出し、走行経路33aを作成して自動運転車両20に送信する。これにより、自動運転車両20はこの走行経路33aに沿って現在位置から搬送元である注射液部61まで走行し、注射液部61にて台座に注射カート61cが積載される。
【0070】
その後、自動運転車両20は、走行経路33aに沿って搬送元である注射薬部61から搬送先まで自動走行する。ここで、走行経路33a中にエレベータ41又はセキュリティドア45aが含まれる場合には、自動運転車両20がエレベータ41又はセキュリティドア45aに接近すると、病院管理サーバ40はエレベータ制御部44又はセキュリティ制御部45に対してエレベータ利用情報33b及びエレベータ制御情報33c又はセキュリティ制御情報33dを送信することにより、エレベータ41を利用しあるいはセキュリティドア45aを開閉して通過する。
【0071】
自動運転車両20が搬送先に接近すると、当該自動運転車両20の現在位置情報81aに基づいて、病院管理サーバ40は当該搬送情報47の搬送先のスタッフ端末50に対して到着情報48を送信する。これにより、スタッフ端末50を携帯しているスタッフは、搬送先で自動運転車両20の到着に備えて待機する。自動運転車両20が搬送先に到着すると、スタッフは自動運転車両20の台座から注射カート61cを卸して注射トレー61bを取り出し、要求した点滴用注射液を受け取る。かくして、点滴用注射液の搬送が終了する。
【0072】
次に、医材を搬送する場合について説明する。
スタッフ端末50にてスタッフの操作によって医材に関する要求が行なわれると、要求された医材の種類及び数量を含む要求情報51が作成され、病院管理サーバ40に送信される。病院管理サーバ40は、要求情報51に含まれる各種項目である医材に対応して、医材貯蔵部62を搬送元とし、要求情報51に含まれる搬送先を指定する搬送情報47を作成してネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。同時に、病院管理サーバ40は選択した医材貯蔵部62に対して要求情報51を送信する。これにより、医材貯蔵部62は既に滅菌して保管してある医材を払出す。
【0073】
他方、自動運転車両管理部30は、病院管理サーバ40から送られてきた搬送情報47に基づいて、搬送情報47に含まれる搬送元及び搬送先から近くの搬送用の自動運転車両20を選択し、当該自動運転車両20の現在位置情報81aにより現在位置から搬送元そして搬送先までの走行経路に対応するエリアのマップデータ31を読み出して走行経路33aを作成して自動運転車両20に送信する。これにより、自動運転車両20は、この走行経路33aに沿って現在位置から搬送元である医材貯蔵部62まで走行して、医材貯蔵部62にて収容部26に医材が積載される。その後、自動運転車両20は、走行経路33aに沿って搬送元である注射薬部61から搬送先まで自動走行する。
【0074】
自動運転車両20が搬送先に接近すると、当該自動運転車両20の現在位置情報81aに基づいて、病院管理サーバ40は当該搬送情報47の搬送先のスタッフ端末50に対して到着情報48を送信する。これにより、スタッフ端末50を携帯しているスタッフは、搬送先で自動運転車両20の到着に備えて待機する。自動運転車両20が搬送先に到着すると、スタッフは自動運転車両20の収容部26から医材を卸し、注射トレー61bを取り出して要求した点滴用注射液を受け取る。
【0075】
その後、スタッフは使用済の医材を自動運転車両20の収容部26に収容する。収容部26が閉じられたことを確認して、自動運転車両20は搬送先から搬送元である医材貯蔵部62まで戻る。医材貯蔵部62では、使用済の医材が収容部26から取り出されて回収される。回収した医材は、医材貯蔵部62において仕分け,洗浄・乾燥,セット組,滅菌の後、次の使用のために保管される。かくして、医材の搬送が終了する。
【0076】
続いて、薬液及びリネンの搬送について説明する。スタッフ端末50にてスタッフの操作によって薬液又はリネンに関する要求が行なわれると、要求された薬液又はリネンの種類及び数量を含む要求情報51が作成され、病院管理サーバ40に送信される。病院管理サーバ40は、要求情報51に含まれる各種項目である薬液又はリネンに対応して貯蔵部63を搬送元とし、要求情報51に含まれる搬送先を指定する搬送情報47を作成し、ネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。同時に、病院管理サーバ40は、選択した貯蔵部63に対して要求情報51を送信する。これにより貯蔵部63は保管してある薬液又はリネンを払出す。
【0077】
他方、自動運転車両管理部30は、病院管理サーバ40から送られてきた搬送情報47に基づいて、搬送情報47に含まれる搬送元及び搬送先から近くの搬送用の自動運転車両20を選択し、当該自動運転車両20の現在位置情報81aにより現在位置から搬送元そして搬送先までの走行経路に対応するエリアのマップデータ31を読み出し、走行経路33aを作成して自動運転車両20に送信する。これにより、自動運転車両20はこの走行経路33aに沿って現在位置から搬送元である貯蔵部63まで走行し、貯蔵部63にて収容部26に薬剤又はリネンが積載される。その後、自動運転車両20は走行経路33aに沿って搬送元である貯蔵部63から搬送先まで自動走行する。
【0078】
自動運転車両20が搬送先に接近すると、当該自動運転車両20の現在位置情報81aに基づいて病院管理サーバ40は当該搬送情報47の搬送先のスタッフ端末50に対して到着情報48を送信する。これによりスタッフ端末50を携帯しているスタッフは、搬送先で自動運転車両20の到着に備えて待機する。自動運転車両20が搬送先に到着すると、スタッフは自動運転車両20の収容部26から要求した薬剤又はリネンを受け取る。
【0079】
その後、スタッフは、余剰品である未使用の薬剤や使用済のリネンがあればこれらを自動運転車両20の収容部26に収容する。収容部26が閉じられたことを確認して、自動運転車両20は搬送先から搬送元である貯蔵部63まで戻る。貯蔵部63では、未使用の薬剤はそのまま貯蔵部63に保管されると共に使用済のリネンは収容部26から回収され、病院内で選択されあるいはリネン洗濯の業者に引き渡される。かくして、薬剤又はリネンの搬送が終了する。
【0080】
上記構成によれば、医材,薬剤,リネン等の指定された各種項目の搬送情報47に基づいて、第一の場所として、例えば医材貯蔵部62又は貯蔵部63で指定された各種項目が積載された搬送用の自動運転車両20が第二の場所へ走行経路33aに沿って走行する。これにより、指定された各種項目が搬送用の自動運転車両20により非接触で人手によらずに自動搬送され得る。
【0081】
次に、食事の搬送について説明する。
病院管理サーバ40は、所定の食事時間に合わせて搬送元である給食部64と食事を配膳すべき搬送先を含む要求情報46を作成すると共に、この要求情報46に含まれる各種項目である食事に対応して給食部64を搬送元とし、要求情報46に含まれる搬送先を指定する搬送情報47を作成し、ネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。同時に、病院管理サーバ40は給食部64に対して要求情報46を送信する。これにより、給食部64は搬送先毎に食事をトレーに載置して払出す。
【0082】
他方、自動運転車両管理部30は、病院管理サーバ40から送られてきた搬送情報47に基づいて、搬送情報47に含まれる搬送元及び搬送先から近くの搬送用の自動運転車両20を選択し、当該自動運転車両20の現在位置情報81aにより現在位置から搬送元そして搬送先までの走行経路に対応するエリアのマップデータ31を読み出し、走行経路33aを作成して自動運転車両20に送信する。これにより、自動運転車両20は、この走行経路33aに沿って現在位置から搬送元である給食部64まで走行して、給食部64にて収容部26に食事が積載される。その後、自動運転車両20は走行経路33aに沿って搬送元である給食部64から搬送先まで自動走行する。
【0083】
自動運転車両20が搬送先に接近すると、当該自動運転車両20の現在位置情報81aに基づいて、病院管理サーバ40は当該搬送情報47の搬送先のスタッフ端末50に対して到着情報48を送信する。これにより、スタッフ端末50を携帯しているスタッフは搬送先で自動運転車両20の到着に備えて待機する。自動運転車両20が搬送先に到着すると、スタッフは自動運転車両20の収容部26から食事を受け取る。
【0084】
その後、スタッフは、使用済の食器が乗ったトレーがあれば、このトレーを自動運転車両20の収容部26に収容する。収容部26が閉じられたことを確認して、自動運転車両20は搬送先から搬送元である給食部64まで戻る。給食部64では、トレーに載置された食器を回収し、食器内に食材が残っている場合には廃棄すると共に、使用済の食器を洗浄して食器保管場所に保管する。以上で、食事の搬送が終了する。
【0085】
上記構成によれば、搬送情報47に基づいて、第一の場所としての給食部64にて食事を積載された食事搬送用の自動運転車両20が、第二の場所としての食事を配膳すべき各病室等へ走行経路33aに沿って走行する。これにより、食事が、食事搬送用の自動運転車両20により非接触で人手によらずに自動搬送される。
【0086】
次に、検体の搬送について説明する。
スタッフ端末50にてスタッフによって検体回収に関する要求が行なわれると、要求された検体回収を含む要求情報51が作成され、病院管理サーバ40に送信される。病院管理サーバ40は、要求情報51に含まれる各種項目である検体回収に対応して検査部65を搬送元とし、要求情報51に含まれる搬送先を指定する搬送情報47を作成して、ネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。同時に、病院管理サーバ40は選択した検査部65に対して要求情報51を送信する。これにより、検査部65は保管してある空の検体用容器を払出す。
【0087】
他方、自動運転車両管理部30は、病院管理サーバ40から送られてきた搬送情報47に基づいて、搬送情報47に含まれる搬送元及び搬送先から近くの搬送用の自動運転車両20を選択し、当該自動運転車両20の現在位置情報81aにより現在位置から搬送元そして搬送先までの走行経路に対応するエリアのマップデータ31を読み出し、走行経路33aを作成して自動運転車両20に送信する。これにより自動運転車両20は、この走行経路33aに沿って現在位置から搬送元である検査部65まで走行し、検査部65にて収容部26に空の検体用容器が積載される。その後、自動運転車両20は走行経路33aに沿って搬送元である検査部65から搬送先まで自動走行する。
【0088】
自動運転車両20が搬送先に接近すると、当該自動運転車両20の現在位置情報81aに基づいて、病院管理サーバ40は当該搬送情報47の搬送先のスタッフ端末50に対して到着情報48を送信する。これにより、スタッフ端末50を携帯しているスタッフは搬送先で自動運転車両20の到着に備えて待機する。自動運転車両20が搬送先に到着すると、スタッフは自動運転車両20の収容部26から空の検体用容器を受け取る。
【0089】
その後、スタッフは検体用容器に検体を入れて、検体を入れた検体用容器を自動運転車両20の収容部26に収容する。収容部26が閉じられたことを確認して、自動運転車両20は搬送先から搬送元である検査部65まで戻る。検査部65では、収容部26から検体を入れた検体用容器が取り出され、検査部65にて当該検体の検査が行なわれる。かくして、検体回収が終了する。
【0090】
上記構成によれば、搬送情報47に基づいて、第一の場所としての検査部65にて空の検査容器が積載された搬送用の自動運転車両20が、第二の場所へ走行経路33aに沿って走行し、第二の場所で空の検査容器が荷卸しされ、第二の場所で検体を収容した検体容器が積載された搬送用の自動運転車両20が、第二の場所から第一の場所としての検査部65に走行経路33aに沿って走行する。これにより、空の検体容器が、搬送用の自動運転車両20により第一の場所としての検査部65から第二の場所に搬送されると共に、検体を収容した検体容器が、搬送用の自動運転車両20により第二の場所から第一の場所としての検査部65に搬送され、検体容器が第一の場所と第二の場所の間で非接触で人手によらずに自動搬送される。
【0091】
次に、救急患者の搬送について説明する。
病院管理サーバ40は、救急入院又は救急検査の依頼があったとき、病院の救急搬入口を搬送元とし救急治療室等を搬送先とする搬送情報47を作成し、ネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。同時に、病院管理サーバ40は病院の救急担当部署に救急受入れの情報を送信する。これにより、救急担当部署では、救急搬入口で救急患者の受入れのため少なくともストレッチャーを準備する。
【0092】
他方、自動運転車両管理部30は、病院管理サーバ40から送られてきた搬送情報47に基づいて、搬送情報47に含まれる搬送元及び搬送先から近くのストレッチャー搬送用の自動運転車両20を選択し、当該自動運転車両20の現在位置情報81aにより現在位置から搬送元そして搬送先までの走行経路に対応するエリアのマップデータ31を読み出し、走行経路33aを作成して自動運転車両20に送信する。これにより、自動運転車両20は、この走行経路33aに沿って現在位置から搬送元である救急搬入口まで走行して、救急搬入口にて救急患者を乗せたストレッチャーが積載される。その後、自動運転車両20は、走行経路33aに沿って搬送元である救急搬入口から搬送先である救急治療室等まで自動走行する。
【0093】
自動運転車両20が搬送先に接近すると、当該自動運転車両20の現在位置情報81aに基づいて、病院管理サーバ40は当該搬送情報47の搬送先である救急治療室等のスタッフ端末50に対して到着情報48を送信する。これにより、スタッフ端末50を携帯している救急治療室等のスタッフは救急治療室等で自動運転車両20の到着に備えて待機する。自動運転車両20が救急治療室等に到着すると、スタッフは自動運転車両20からストレッチャーを卸す。かくして、救急患者の搬送が終了する。この構成によれば、搬送情報47に基づいて、第一の場所としての救急搬入口で救急患者を載せたストレッチャーが、ストレッチャー搬送用の自動運転車両20により救急搬入口から第二の場所としての救急治療室等へ非接触で人手によらずに自動搬送され得る。
【0094】
続いて、患者の搬送について説明する。
スタッフ端末50にてスタッフの操作によって患者搬送に関する要求が行なわれると、要求された患者搬送の搬送元及び搬送先を含む要求情報51が作成され、病院管理サーバ40に送信される。病院管理サーバ40は、要求情報51に含まれる搬送元及び搬送先を指定する搬送情報47を作成して、ネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。同時に、病院管理サーバ40は搬送元に対して要求情報51を送信する。これにより、搬送元では患者搬送の準備を行なう。
【0095】
他方、自動運転車両管理部30は、病院管理サーバ40から送られてきた搬送情報47に基づいて、搬送情報47に含まれる搬送元及び搬送先から近くの患者搬送用の自動運転車両20を選択し、当該自動運転車両20の現在位置情報81aにより現在位置から搬送元そして搬送先までの走行経路に対応するエリアのマップデータ31を読み出し、走行経路33aを作成して自動運転車両20に送信する。これにより、自動運転車両20はこの走行経路33aに沿って現在位置から搬送元まで走行し、搬送元にて患者が自動運転車両20に乗車する。その後、自動運転車両20は、走行経路33aに沿って搬送元から搬送先まで自動走行する。
【0096】
自動運転車両20が搬送先に接近すると、当該自動運転車両20の現在位置情報81aに基づいて、病院管理サーバ40は当該搬送情報47の搬送先のスタッフ端末50に対して到着情報48を送信する。これにより、スタッフ端末50を携帯しているスタッフは搬送先で自動運転車両20の到着に備えて待機する。自動運転車両20が搬送先に到着すると、自動運転車両20から患者が降車する。かくして、患者の搬送が終了する。
この構成によれば、搬送情報47に基づいて、第一の場所にて歩行不可能又は歩行困難な患者を乗せた患者搬送用の自動運転車両20が第二の場所へ走行経路33aに沿って走行し、歩行不可能又は歩行困難な患者は患者搬送用の自動運転車両20により非接触で人手によらずに自動搬送される。
【0097】
なお、業者管理サーバ60は、発注していた各種項目に関して納入業者から納品の連絡を受け取ったとき、各種項目の種類,数量及び納品日時を含む納品情報60aを作成して病院管理サーバ40に送信する。これを受けて、病院管理サーバ40は、納品情報60aに含まれる納品されるべき各種項目の種類及び納品日時から未搬送の要求情報51に対応するものを選択し、当該要求情報51に関連付けて搬送情報47を作成し自動運転車両管理部30に送信する。自動運転車両管理部30は、搬送情報47に基づいて病院の搬入口に近い自動運転車両20を選択し、当該自動運転車両20の現在位置情報81aにより現在位置から病院の搬入口を経て搬送先までの走行経路33aを作成して当該自動運転車両20に送信する。
【0098】
これにより自動運転車両20は、この走行経路33aに沿って現在位置から搬送元である病院の搬入口まで走行し、搬入口にて収容部26に納品された各種項目が積載される。その後、自動運転車両20は走行経路33aに沿って搬送元である病院の搬入口から搬送先まで自動走行する。
【0099】
自動運転車両20が搬送先に接近すると、当該自動運転車両20の現在位置情報81aに基づいて、病院管理サーバ40は当該搬送情報47の搬送先のスタッフ端末50に対して到着情報48を送信する。スタッフ端末50を携帯しているスタッフは搬送先で自動運転車両20の到着に備えて待機し、自動運転車両20が搬送先に到着すると、スタッフは自動運転車両20の収容部26から納品された各種項目を受け取る。
【0100】
最後に、自動運転車両20による巡回警備,消毒又は清掃の作業について説明する。
病院管理サーバ40は、例えば所定時間毎に所定の走行経路33aに沿った巡回警備,消毒又は清掃作業に関する要求情報46を作成し、巡回警備,消毒又は清掃作業用の自動運転車両20の待機場所を出発点(第一の場所)として、所定の巡回経路を経て出発点(第二の場所)に戻る搬送情報47を作成し、ネットワーク70を介して自動運転車両管理部30に送信する。
【0101】
自動運転車両管理部30は、病院管理サーバ40から送られてきた搬送情報47に基づいて、搬送情報47に含まれる出発点に対して近くの巡回警備,消毒又は清掃用の自動運転車両20を選択し、当該自動運転車両20の現在位置情報81aにより現在位置から所定の巡回経路を経て出発点に戻る走行経路に対応するエリアのマップデータ31を読み出し、走行経路33aを作成して自動運転車両20に送信する。これにより、自動運転車両20はこの走行経路33aに沿って現在位置から走行を開始し、巡回警備,消毒又は清掃を行ないながら自動走行して現在位置に戻る。この構成によれば、前述したカート搬送用,食事搬送用,ストレッチャー搬送用を含む搬送用の自動運転車両20と共存して、巡回警備,消毒又は清掃用の自動運転車両20が、病院内を所定の走行経路33aに沿って走行することにより、病院内の安全性が確保されると共に清潔に保持され得る。かくして、自動運転車両20による巡回警備,消毒又は清掃の作業が終了する。
【0102】
本発明によれば、病院内における医材,注射液を含む薬剤,リネン,検体や食事の搬送を自動運転車両20により無人化して非接触化とスタッフの労働負荷低減を図ると共に、自動運転車両20により患者の無人搬送を実現し、さらに各自動運転車両が相互に円滑に運行できるようにした病院内搬送管理システム10を提供することができる。
【0103】
(病院内搬送管理システムの第一の変形例)
次に、病院内の設備及び業務と連携することができる自動運転車両管理部30Aを有している病院内自動運転車両管理システムの変形例について説明する。
図6は、本発明による病院内自動運転車両管理システムの第一の変形例の構成を示すブロック図である。
図6に示す病院内自動運転車両管理システム10Aは、
図1に示す自動運転車両の運行システム10と異なり、自動運転車両管理部30Aが、さらに遠隔監視及び/又は遠隔操作部35と、走行経路設定部36と、稼動状態分析部37と、外部連携部38と、ユーザ用インターフェイス39と、を備えて構成されている。遠隔監視及び/又は遠隔操作部35は、上述した病院内自動運転車両管理システム10と同様の機能を有し、さらに、緊急時の警報発報機能を有する。
【0104】
自動運転車両管理部30Aは、適宜の箇所に設置されたサーバである。自動運転車両管理部30Aは、主記憶装置及び補助記憶装置を備える記憶装置と、四則演算等の演算処理を行なう演算装置と、記憶装置32A及び演算装置を制御する制御装置33Aと、を備えるコンピュータで構成されている。記憶装置32Aは、自動運転車両管理部30と同様にマップデータ31を備えると共に、さらに、設定用データベース32aと、分析用データベース32bと、外部連携用データベース32cと、を備えている。そして、病院内自動運転車両管理システムのデータ処理プログラム、つまり、病院内自動運転車両プログラム(管理用アプリとも呼ぶ)が補助記憶装置に格納されている。管理用アプリのプログラムが演算装置に展開されることで、
図6に示す自動運転車両管理部30Aの制御装置33Aと記憶装置32Aと遠隔監視及び/又は遠隔操作部35と走行経路設定部36と稼動状態分析部37と外部連携部38とユーザ用インターフェイス39の各部が稼動する。
【0105】
遠隔監視及び/又は遠隔操作部35は、上述した病院内自動運転車両管理システム10と同様に自動運転車両20Aの運行を遠隔監視及び/又は遠隔操作できる機能を有し、さらに、緊急時の警報発報機能を有している。遠隔監視及び/又は遠隔操作部35は、各自動運転車両20iからの監視カメラ24による画像情報及び位置センサ86dによる現在位置情報81aを利用して、各自動運転車両20iの現在位置等の状態をリアルタイムで監視することができる。例えば、自動運転車両管理部30Aのディスプレイにマップデータ31に基づいた二次元又は三次元のマップ上に各自動運転車両20iの現在位置を表示することができる。
【0106】
遠隔操作に関しては、複数の自動運転車両20A(20a~20i~20n)が互いに衝突しないように、群制御、最適経路生成、最適経路探索等のアルゴリズムにより制御されてもよい。
【0107】
遠隔監視及び/又は遠隔操作部35は、自動運転車両20の監視センサ86bにより人や障害物を検出したときに、自動運転車両管理部30Aのディスプレイに人や障害物を検出した旨の警報を表示してもよい。
【0108】
走行経路設定部36は、上述したように、病院管理サーバ40から送られてくる搬送情報47に基づいて、搬送情報47に含まれる搬送元の位置情報から搬送元に近い自動運転車両20Aを選択し、続いて当該自動運転車両20Aの現在位置情報81aと搬送元及び搬送先の位置情報に基づいてマップデータ31を読み出して走行経路33aを作成し、ネットワーク70を介して自動運転車両20Aに送信する機能を有していると共に、複数の自動運転車両20Aの管理、各自動運転車両20の予定管理等の機能を有している。複数の自動運転車両20Aの管理や予定に関する設定用データは、記憶部32Aの設定用データベース32aに格納されている。
【0109】
稼動状態分析部37は、自動運転車両の稼働状態等に係るデータの収集及び報告機能と、これらのデータを用いたシミュレーション機能と、稼働状態の最適化機能等の機能を有している。自動運転車両20Aの稼働状態に関する稼働データは、複数の自動運転車20Aの年月日毎の稼働を分析する稼働データとして、各運転モードの使用率、稼働時間、バッテリ残量、総距離、エラー回数等が挙げられる。稼働データは、記憶部32Aの分析用データベース32bに格納されている。
【0110】
外部連携部38は、複数のエレベータ41A、複数のセキュリティドア45a及び病院管理サーバ40との連携、病院の電子カルテ及び業務システムの連携(通知、呼び出し等)の機能を有している。これらの連携は、記憶部32Aの外部連携用データベース32cに格納されているAPI(Application Program Interface、アプリケーションプログラミングインタフェースとも呼ばれる)により実行される。
【0111】
外部連携部38は、複数の自動運転車両20Aと病院内の複数のエレベータ41Aと必要に応じてセキュリティドア45a等との接続を行う機能を有している。外部連携部38は、複数の自動運転車両20Aの製造会社に特有の通信方式に対応できるように、各種の通信プロトコルに対応している。通信方式としては、MQTT(MQ Telemetry Transportの略で、機器同士の通信に使用されるプロトコルである)、PLC(Programmable Logic controller)、OPC UA(OPC Foundationによるオープンソースの産業用インターフェイス)等が挙げられる。
【0112】
ユーザ用インターフェイス39は、遠隔監視及び/又は遠隔操作部35で取得した自動運転車両20の遠隔監視の画面を、病院管理サーバ40のディスプレイ40cに送出するためのインターフェイスである。この場合、病院の自動運転車両20を管理するスタッフが、ディスプレイ40cを視認することにより複数の自動運転車両20Aの運行状態を監視することができる。ディスプレイ40cは、病院管理サーバ40だけではなく、病院から監視を委託され、かつ、病院の外部にある会社の管理サーバに設けられてもよい。
【0113】
(病院内自動運転車両管理システムの第二の変形例)
次に、自動運転車両20の収容部の施錠及び解錠の管理ができる病院内自動運転車両管理システムの変形例について説明する。
図7は、本発明による病院内自動運転車両管理システムの第二の変形例の構成を示すブロック図である。
図7に示す病院内自動運転車両管理システム10Bは、
図1に示す病院内自動運転車両管理システム10と異なり、さらに、収容部26Bの施錠と解錠が可能な機構26a及び病院内のスタッフの認証を行う読み取り部87を備えた自動運転車両20Bと、記憶部32Bに収容部管理データベース32dを備えた自動運転車両管理部30Bと、病院セキュリティ管理データベース49を備えた病院管理サーバ40Bと、を備えている。他の構成は、
図1に示す病院内自動運転車両管理システム10と同様である。
【0114】
自動運転車両20Bの収容部26Bにおいて、自動で解錠及び施錠ができる機構26aは、自動運転車両20Bの収容部26Bの図示しないドアを固定するための電磁ロックと、ドア毎の自動開閉のためのプランジャなどの動作機器により構成されている。収容部26B内には、収容された医材や薬剤の有無を検出するセンサが設けられていてもよい。
【0115】
病院内のスタッフの認証を行う読取部87は、例えばIDカードに表示されたQRコード(登録商標)、又は病院内のスタッフ等が所持している近距離無線(以下NFCと呼ぶ)を内蔵したIDカード等を読み取る機能を有している。QRコード(登録商標)の読み取りには、スキャナを用いることができる。スキャナとしては、自動運転車両20Bの監視カメラ24を用いてもよい。病院内のスタッフが所持しているIDカードを自動運転車両20Bの読取部87にかざすことにより、病院内のスタッフのID情報87aを読み取らせることができる。読み取られたスタッフのID情報87aは、自動運転車両20BのCPU81により状態送受信部86f及びネットワーク70を介して自動運転車両管理部30Bに送信にされる。
【0116】
これを受けて、自動運転車両管理部30Bの制御部33Bは、受信したスタッフID情報87aを病院管理サーバ40Bに照会する。病院管理サーバ40Bは、受信したスタッフID情報87aを病院セキュリティ管理データベース49に照会し、受信したスタッフID情報87aの認証を行う。病院管理サーバ40Bは、病院セキュリティ管理データベース49からスタッフのID認証情報87bを受け取る、つまり認証がされるとスタッフID認証情報87bを、ネットワーク70Bを介して自動運転車両管理部30Bに送信する。自動運転車両管理部30Bの制御部33Bは、スタッフのID認証情報87bに基づいて病院内のスタッフのIDカードを読み取った当該自動運転車両20Bに収容部26Bの解錠指示を送信する。これを受け、自動運転車両20Bは、CPU81から解錠機構
26aにより収容部26Bの解錠を行い、スタッフは自動運転車両20Bの収容部26Bから納品された医材や薬剤等を受け取ることができる。その後、スタッフは使用済の薬剤や医材を自動運転車両20Bの収容部26Bに収容する。収容部26Bが閉じられたことを確認して、自動運転車両20Bは搬送先から搬送元である注射薬部61又は医材貯蔵部62まで戻る。
【0117】
病院40a内のスタッフからのスタッフのID認証情報87bの記録、つまりアクセスログは、自動運転車両管理部30Bの収容部管理データベース32d及び/又は病院管理サーバ40Bの病院セキュリティ管理データベース49に格納することができる。
【0118】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、自動運転車両20が搬送元に接近したとき到着情報48をスタッフ端末50に送信するが、これに限らず、到着情報48に替えて走行状況として逐次当該自動運転車両20の現在位置を通知するようにしてもよい。この構成にすれば、各種項目の搬送のために自動運転車両20が走行しているときに、当該自動運転車両20の走行状況がスタッフ端末50に送信されることで、スタッフ端末50を所持する病院スタッフは自動運転車両20による各種項目の搬送状況47を逐次把握することができるので、各種項目の搬送到着に備えて種々の準備作業を行なうことができる。
【0119】
上述した実施形態では、自動運転車両20がネットワーク70に対して送信及び受信を行う状態送受信部86fを備えているが、これに限らず、自動運転車両20の状態送受信部86fは、ネットワーク70に対して送信及び受信を行い、スタッフが各種操作を行なう車載端末90(
図7参照)として構成されてもよい。車載端末90は、市販のタブレット端末等の情報端末機器が使用され、その表示部90aは、スタッフから見やすい位置に配置される。車載端末90は、上述したスタッフのID情報87aの読取部90bを備えていてもよい。
上述した実施形態では、自動運転車両20は、自動運転車両管理部30で作成された走行経路33aに従って移動するが、この走行経路33aは、自動運転車両20Bの車載端末90の表示部90aに表示されてもよい。自動運転車両20Bは、上述したように、第一の場所にて当該各種品目が積載された後、第二の場所まで走行経路33aに従って移動するが、さらに、第二の場所から第三の場所へ点滴用注射薬、医材、薬液、リネン、食事等の搬送のために移動してもよい。この場合、スタッフは、自動運転車両20Bから点滴用注射薬、医材、食事等を受け取った後、車載端末90の表示部90aに示されている次の搬送先に自動運転車両20Bを自動走行させてもよい。表示部90aがタッチパネルの場合、スタッフはタッチパネルに示された次の搬送先の表示をタッチすることにより自動運転車両20Bを、次の搬送先まで自動走行させることができる。
【0120】
(複数の搬送先への搬送)
病院内自動運転車両管理システム10Bによれば、スタッフ端末50からの要求により、病院管理サーバ40Bが、要求された各種品目に関して業者管理サーバ60に対して当該各種品目の在庫及び保管場所を確認し、各種品目の品名,搬送元,複数の搬送先を含む搬送情報47Aを作成して自動運転車両管理部30Bに送信する。これを受けて、自動運転車両管理部30Bは、この搬送情報47Aに含まれる搬送元から搬送先までのマップデータ31を読み出し、搬送情報47及びマップデータ31に基づいて搬送元である第一の場所から複数の搬送先までの走行経路33aを作成して自動運転車両20Bに送信する。つまり、病院管理サーバ40Bは、スタッフ端末50からの要求により、第一の場所から複数の搬送先まで運行する搬送情報47Aを作成し、自動運転車両管理部30Bが、搬送情報47A及びマップデータ31に基づいて第一の場所から複数の搬送先までの走行経路33aを作成して自動運転車両20Bに送信し、自動運転車両20Bが、走行経路33aに従って第一の場所から複数の搬送先まで各種項目を搬送することができる。
【0121】
これにより、自動運転車両20Bは第一の場所にて当該各種品目を積載後、第一の場所から第二の場所、第三の場所等の複数の搬送先まで走行経路33aに従って巡回移動する。このようにして、スタッフ端末50により要求された各種品目は、自動運転車両20Bにより第一の場所から複数の搬送先まで非接触で人手によらずに自動搬送され得る。
具体的には、自動運転車両管理部30Bは、搬送情報47Aに含まれる搬送元から複数の搬送先までのマップデータ31を読み出し、搬送情報47A及びマップデータ31に基づいて搬送元である第一の場所から複数の搬送先(第二、第三等の所定の場所)までの走行経路33aを作成して自動運転車両20の状態送受信部86f又は車載端末90に送信する。これを受けて、自動運転車両20BのCPU81は、駆動部85を制御して、複数の搬送先が含まれている走行経路33aを自律走行する。
【符号の説明】
【0122】
10,10A,10B 病院内自動運転車両管理システム
20,20A,20B 自動運転車両
21 本体部
22 車輪
23 表示部
24 監視カメラ
25 スピーカ
26,26B 収容部
26a 施錠と解錠が可能な機構
27 ライト
28 方向指示器
29 制御部
30,30A,30B 自動運転車両管理部
31 マップデータ
32 記憶部
32a 設定用データベース
32b 分析用データベース
32c 外部連携用データベース
32d 収容部管理データベース
33,33A,33B 制御部
33a 走行経路
33b エレベータ利用情報
33c エレベータ制御情報
33d セキュリティ制御情報
35 遠隔監視及び/又は遠隔操作部
36 走行経路設定部
37 稼動状態分析部
38 外部連携部
39 ユーザ用インターフェイス
40,40B 病院管理サーバ
40a 病院建物
40c ディスプレイ
40b,44a ゲートウェー
41,41A エレベータ
42 移動路
43 エレベータかご
44 エレベータ制御部
45 セキュリティ制御部
45a セキュリティドア
45b セキュリティドア開放信号
46,51 要求情報
47,47A 搬送情報
48 到着情報
49 病院セキュリティ管理データベース
50 スタッフ端末
60 業者管理サーバ
60a 納品情報
61 注射薬部
61a 払出部
61b 注射トレー
61c 注射カート
62 医材貯蔵部
63 貯蔵部
64 給食部
65 検査部
70 ネットワーク
81 CPU
81a 現在位置情報
82 バッテリ
83 ディスプレイ
84 記憶部
85 駆動部
85a モータ
85b ドライバ
86 検出部
86a 姿勢検出センサ
86b 監視センサ
86c 距離センサ
86d 位置センサ
86e バンパーセンサ
86f 状態送受信部
87 読み取り部
87a スタッフのID情報
87b スタッフのID認証情報
90 車載端末
90a 表示部
90b 読取部