(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081347
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】1つのパワーモジュールハウジング内に統合されているゲートドライバおよび機能的コンポーネントを備えるパワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230602BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20230602BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20230602BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20230602BHJP
H02H 3/087 20060101ALI20230602BHJP
H02H 5/04 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H03K17/687 A
H01L25/04 C
H02M1/08 A
H02H3/087
H02H5/04 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022189835
(22)【出願日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】17/537,959
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】599158797
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Am Campeon 1-15, 85579 Neubiberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ アーレンス
【テーマコード(参考)】
5G004
5H740
5H770
5J055
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB02
5G004BA04
5H740BA01
5H740BA11
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK03
5H740PP03
5H740PP07
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5H770QA28
5J055AX08
5J055BX16
5J055CX07
5J055DX09
5J055EY01
5J055EY10
5J055EY12
5J055EY17
5J055EY21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1つのパワーモジュールハウジング内に統合されたゲートドライバおよび機能的コンポーネントを備えるパワーモジュール、パワーデバイス及びゲートドライバを提供する。
【解決手段】パワーモジュールハウジング100を含む装置において、パワーモジュールハウジング100は、導電性基板104と、導電性基板104の上に位置決めされている回路基板112と、を含む。導電性基板104には、パワーデバイス110が取り付けられており、パワーデバイス110は、回路基板112に取り付けられているゲートドライバ114によってコントロールされる。パワーモジュールハウジング100は、導電性基板104を回路基板112から電気的に絶縁する絶縁材料を含んでいる。監視コンポーネントは、少なくとも導電性基板104に取り付けられており、かつ、ゲートドライバ114及びパワーデバイス110に動作可能に結合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーモジュールハウジングを含む装置であって、
前記パワーモジュールハウジングは、
導電性基板と、
前記導電性基板の上に位置決めされている回路基板と、
前記導電性基板を前記回路基板から電気的に絶縁する絶縁材料と、
前記回路基板に取り付けられているゲートドライバと、
前記導電性基板に取り付けられており、かつ前記ゲートドライバによってコントロールされる少なくとも1つのパワーデバイスと、
少なくとも前記導電性基板に取り付けられており、かつ前記ゲートドライバおよび前記パワーデバイスに動作可能に結合されている監視コンポーネントと、
を含んでいる装置。
【請求項2】
前記監視コンポーネントは、前記少なくとも1つのパワーデバイスのパラメータに基づいて、前記少なくとも1つのパワーデバイスをターンオフするように構成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記監視コンポーネントは、前記少なくとも1つのパワーデバイスのパラメータを表す信号を前記ゲートドライバに提供するように構成されており、
前記ゲートドライバは、前記少なくとも1つのパワーデバイスをターンオフするように構成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記監視コンポーネントは、前記少なくとも1つのパワーデバイスのパラメータを表す信号を前記ゲートドライバに提供するように構成されており、
前記ゲートドライバは、前記信号を外部コントローラに提供するように構成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記導電性基板は、ダイレクト銅接合(DCB)ボードおよび絶縁金属基板(IMS)ボードのうちの1つを含んでいる、
請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記絶縁材料は、ポッティングゲルを含んでいる、
請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、前記ゲートドライバを前記少なくとも1つのパワーデバイスに電気的に結合する導電性コネクタを含んでおり、
前記絶縁材料は、前記導電性コネクタの周囲に形成されており、前記ゲートドライバを前記パワーデバイスから電気的に絶縁する、
請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記導電性基板を前記回路基板に電気的に結合する導電性コネクタを含んでおり、
前記絶縁材料は、前記導電性コネクタの周囲に形成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記監視コンポーネントの少なくとも一部を前記回路基板に電気的に結合する導電性コネクタを含んでおり、
前記絶縁材料は、前記導電性コネクタの周囲に形成されており、前記回路基板を前記監視コンポーネントから電気的に絶縁する、
請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、回路基板コネクタを含んでおり、前記回路基板コネクタは前記回路基板に結合されており、前記パワーモジュールハウジングの外側で接続性を提供する、
請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記回路基板は、第1の電圧レベルで動作し、
前記導電性基板は、前記第1の電圧レベルよりも高い第2の電圧レベルで動作する、
請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記監視コンポーネントは、過電流保護デバイスを含んでいる、
請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記過電流保護デバイスは、前記導電性基板上のコンポーネントと、前記導電性基板と前記回路基板との間の導電性コネクタと、前記回路基板上のコンポーネントと、によって形成されている、
請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記監視コンポーネントは、温度保護デバイスを含んでいる、
請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、前記導電性基板に取り付けられている複数のパワーデバイスを含んでおり、前記複数のパワーデバイスは、ハーフブリッジ、フルブリッジ、三相インバータ、整流器、または交流から直流へのコンバータもしくは交流から交流へのコンバータもしくは直流から直流へのコンバータもしくは直流から交流へのコンバータのうちの1つを実現する、
請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記監視コンポーネントは、電流測定デバイスまたは電圧測定デバイスを含んでいる、
請求項1記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、前記導電性基板に取り付けられており、かつ少なくとも前記ゲートドライバに電力を供給する内部電源を含んでいる、
請求項1記載の装置。
【請求項18】
パワーモジュールハウジングを含む装置であって、
前記パワーモジュールハウジングは、
導電性基板と、
前記導電性基板に隣接して位置決めされている回路基板と、
前記導電性基板を前記回路基板から電気的に絶縁する絶縁材料と、
前記回路基板に取り付けられているゲートドライバと、
前記導電性基板に取り付けられており、かつ前記ゲートドライバによってコントロールされるパワーデバイスと、
少なくとも前記導電性基板に取り付けられており、かつ前記ゲートドライバおよび前記パワーデバイスに動作可能に結合されている監視コンポーネントと、
を含んでいる装置。
【請求項19】
パワーモジュールハウジングを含む装置であって、
前記パワーモジュールハウジングは、
導電性基板と、
前記導電性基板とは離されて、前記パワーモジュールハウジング内に位置決めされている回路基板と、
前記導電性基板を前記回路基板から電気的に絶縁する絶縁材料と、
前記回路基板に取り付けられているゲートドライバと、
前記導電性基板に取り付けられており、かつ前記ゲートドライバによってコントロールされるパワーデバイスと、
少なくとも前記導電性基板に取り付けられており、かつ前記ゲートドライバおよび前記パワーデバイスに動作可能に結合されている監視コンポーネントと、
を含んでいる装置。
【請求項20】
前記監視コンポーネントは、電流測定デバイス、電圧測定デバイス、温度保護デバイス、過電流保護デバイスまたは整流器のうちの少なくとも1つを含んでいる、
請求項19記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワーモジュール、パワーデバイスおよびゲートドライバの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
今日のインテリジェントパワーモジュール(IPM)は、1つまたは複数のゲートドライバなどのロジックコンポーネントと、種々のパワーデバイスと、の両方を1つのハウジング内に含んでいる。インテリジェントパワーモジュールは典型的に、例えば、白物家電および類似の用途において使用される。無停電電源、産業用モータ駆動装置、統合型モータ駆動装置、AC-DC電源などの電力変換機器のために、周波数変換などの種々の工業用途において使用される産業用パワーモジュールは、典型的には、パワーモジュールのハウジングの外部に収容されている外部ゲートドライバによって駆動される。ゲートドライバおよび任意の付加的なロジックコンポーネントは、パワーデバイスが、今日のIPMに比べて改善された絶縁を必要とするという事実のために、典型的にはパワーモジュールの外部に配置されている。このような外部配置は、パワーモジュールをコントロールするために必要なロジックコンポーネントがパワーモジュールのハウジング内に統合されている場合には節約できるだろう多くのスペースを必要とする。したがって、産業用途用のIPMが使用可能になること、例えば産業用のIPMを提供することが有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本概要は、「詳細な説明」において、以降でより詳細に説明される、簡略化された形式の概念の選択を紹介するために提供されている。本概要は、特許請求の範囲に記載される主題の主要な要因または本質的な特徴を特定することを意図するものでも、特許請求の範囲に記載される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。
【0004】
本明細書で提示される技術の一実施形態では、装置が提供される。装置は、パワーモジュールハウジングを含んでいる。パワーモジュールハウジングは、導電性基板と、導電性基板の上に位置決めされている回路基板と、を含んでいる。パワーモジュールハウジングは、導電性基板を回路基板から電気的に絶縁する絶縁材料を含んでいる。パワーモジュールハウジングは、回路基板に取り付けられているゲートドライバを含んでいる。パワーモジュールハウジングは、導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバによってコントロールされる少なくとも1つのパワーデバイスを含んでいる。パワーモジュールハウジングは、少なくとも導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバおよびパワーデバイスに動作可能に結合されている監視コンポーネントを含んでいる。
【0005】
本明細書で提示される技術の一実施形態では、装置が提供される。装置は、パワーモジュールハウジングを含んでいる。パワーモジュールハウジングは、導電性基板と、導電性基板に隣接して位置決めされている回路基板と、を含んでいる。パワーモジュールハウジングは、導電性基板を回路基板から電気的に絶縁する絶縁材料を含んでいる。パワーモジュールハウジングは、回路基板に取り付けられているゲートドライバを含んでいる。パワーモジュールハウジングは、導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバによってコントロールされるパワーデバイスを含んでいる。パワーモジュールハウジングは、少なくとも導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバおよびパワーデバイスに動作可能に結合されている監視コンポーネントを含んでいる。
【0006】
本明細書で提示される技術の一実施形態では、装置が提供される。装置は、パワーモジュールハウジングを含んでいる。パワーモジュールハウジングは、導電性基板と、導電性基板とは離されている回路基板と、を含んでいる。パワーモジュールハウジングは、導電性基板を回路基板から電気的に絶縁する絶縁材料を含んでいる。パワーモジュールハウジングは、回路基板に取り付けられているゲートドライバを含んでいる。パワーモジュールハウジングは、導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバによってコントロールされるパワーデバイスを含んでいる。パワーモジュールハウジングは、導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバおよびスイッチに動作可能に結合されている監視コンポーネントを含んでいる。
【0007】
上述の目的および関連する目的の達成のために、以降の説明および添付の図面は、特定の例示的な態様および実施形態を記載する。これらは、1つまたは複数の態様が使用され得る種々の様式のうちの一部を示しているだけである。本開示の他の態様、利点および新規の特徴は、添付の図面に関連して考慮される際に、以降の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書に提示されている技術に即したパワーモジュールハウジング内に統合されているゲートドライバおよび監視コンポーネントを備える装置を表すコンポーネントブロック図である。
【
図2】本明細書に提示する技術に即したパワーモジュールハウジング内に統合されているゲートドライバおよび監視コンポーネントを備える装置を表すコンポーネントブロック図である。
【
図3】本明細書に提示される技術に即したパワーモジュールハウジング内に統合されているゲートドライバと監視コンポーネントとの間の接続性を表すコンポーネントブロック図である。
【
図4】本明細書で提示される技術に即したゲートドライバを表すコンポーネントブロック図である。
【
図5A】本明細書に提示される技術に即したパワーモジュールハウジング内に統合されているゲートドライバおよび監視コンポーネントを備える装置を表すコンポーネントブロック図である。
【
図5B】SC検出回路を表すコンポーネントブロック図である。
【
図6】本明細書に提示される技術に即したパワーモジュールハウジング内に統合されているゲートドライバおよび監視コンポーネントを備える装置を表すコンポーネントブロック図である。
【
図7】本明細書に提示される技術に即したパワーモジュールハウジング内に統合されているゲートドライバおよび監視コンポーネントを備える装置を表すコンポーネントブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以降では、特許請求の範囲に記載される主題を、図面を参照して説明する。ここでは、同様の参照番号は、全体を通して、同様の要素を指すために使用される。以降の記載では、説明の目的で、特許請求の範囲に記載される主題を完全に理解するために、多数の特定の詳細が示される。しかし、特許請求の範囲に記載される主題がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることが明らかであり得る。他の例では、特許請求の範囲に記載される主題を容易に説明するために、周知の構造およびデバイスがブロック図の形態で示されている。
【0010】
電子機器の分野では、ゲートドライバおよび付加的な監視コンポーネントをパワーモジュールの1つのパワーモジュールハウジング内に統合するパワーモジュールが提供される。一般に、パワーモジュールが、1つのパワーモジュールハウジング内のこのレベルの統合を提供することはない。特に、パワーモジュールは、スイッチ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などのパワー半導体のみを含み得る。これらのパワー半導体をコントロールするゲートドライバは、パワーモジュールハウジングの外部に位置している。例えば、ゲートドライバは、外部ハウジング内にある回路基板に取り付けられてよく、この外部ハウジングは、パワーモジュールハウジングとは離されており、パワーモジュールハウジングの外部にある。付加的な監視コンポーネントも、パワーモジュールのパワーモジュールハウジングの外部に収容されている。これらの監視コンポーネントは、過電流保護デバイス、温度保護デバイス、電流測定デバイス、電圧測定デバイスおよび/または他の保護機能に関連し得る。監視コンポーネントがパワーモジュールハウジングの外部にあるため、付加的な接続ピンが必要となる。これらの付加的な接続ピンは、磁気結合のために、可能な限りパワー半導体の近くに配置されなければならない。ゲートドライバおよび監視コンポーネントのための付加的な接続ピンと付加的な外部ハウジングとは、コスト、サイズおよび複雑さを増大させる。
【0011】
種々のコンポーネントおよび機能がほとんどまたは全く統合されていないこれらのパワーモジュールとは対照的に、本明細書で提供される装置は、1つのパワーモジュールハウジング内の高いレベルの統合を有している。特に、ガルバニック絶縁されたゲートドライバなどのゲートドライバと、ゲートドライバによって駆動されるパワースイッチまたはサイリスタなどのパワーデバイスと、監視コンポーネントと、が、同じパワーモジュールハウジング内に一緒に統合される。ゲートドライバは、パワーモジュールハウジング内の回路基板に取り付けられていてよい。パワーデバイスおよび監視コンポーネントは、導電性基板に取り付けられていてよい(例えば、チップレベルで導電性基板内に統合されていてよい)。いくつかの実施形態では、導電性基板は、ダイレクト銅接合ボード(DCBボード)または絶縁金属基板(IMS)ボードを含んでいてよい。回路基板および導電性基板は、回路基板と導電性基板とが互いに離され、互いに直接接触しないように、パワーモジュールハウジング内に取り付けられている。
【0012】
パワーモジュールハウジングは、絶縁材料を含んでいてよく、この絶縁材料は、シリコーンゲル、絶縁性の軟質ポッティング材料などのポッティングゲルを含んでいてよい。絶縁材料は、導電性基板の相対的に高い動作電圧に起因して発生し得るインダクタンス、カップリング、クロストークまたは他の問題からの干渉を緩和するために、導電性基板を回路基板から電気的に絶縁する。いくつかの実施形態では、導電性基板は、約1.2kV~5kVの電圧または任意の他の電圧で動作することができる。これとは対照的に、回路基板および回路基板に取り付けられているコンポーネントは、格段に低い電圧、例えば約3.3V~5Vで動作することができる。したがって、回路基板および回路基板に取り付けられているコンポーネントは、導電性基板の高い電圧によって損傷を受け得る。導電性基板と回路基板とを離し、絶縁材料を用いて導電性基板と回路基板とを電気的に絶縁することによって、こうした損傷が緩和される。
【0013】
ゲートドライバを備えたパワーモジュールハウジング内に、種々の監視コンポーネントが統合されていてよい。これらの監視コンポーネントは、少なくとも導電性基板内に統合されていてよく、チップレベルでの過電流保護および/または過温度保護、電流測定、電圧測定、温度測定および/または他の機能などの種々の機能を提供することができる。監視コンポーネント、パワーデバイスおよびゲートドライバを、パワーモジュールの1つのパワーモジュールハウジング内に統合することができるため、このようなコンポーネントがパワーモジュールハウジングの外部に収容されないので、全体のサイズ、複雑性およびコストが低減される。パワーモジュールハウジングのサイズを相対的に小さく保つことができる。なぜなら、絶縁材料によって、インダクタンス、カップリング、クロストークまたは他の問題からの干渉なく、回路基板と導電性基板との両方を、パワーモジュールハウジング内に、互いにきわめて近接して配置することが可能となるからである。例えば、パワーモジュールハウジングは、30mm×30mm~100mm×100mmの寸法を有していてよい。さらに、絶縁材料の使用は、導電性基板および導電性基板上のコンポーネントの高い動作電圧が、格段に低い電圧で動作する回路基板および回路基板上のコンポーネントを損傷しないことを保証する。
【0014】
図1は、パワーモジュールハウジング100の断面図を示している。パワーモジュールハウジング100は、導電性基板104を含んでいる。いくつかの実施形態では、導電性基板104は、導電性材料、例えば銅を含んでいる。いくつかの実施形態では、導電性基板104は、ダイレクト銅接合(DCB)ボードまたは絶縁金属基板(IMS)ボードを含んでいる。いくつかの実施形態では、導電性基板104は、パワーモジュールハウジング100の一方の側、例えばパワーモジュールハウジング100の底側に配置されてよい。導電性基板104が、パワーモジュールハウジング100の内部の任意の場所に配置されてよいことが理解され得る。
【0015】
パワーモジュールハウジング100は、回路基板112を含んでいる。いくつかの実施形態では、回路基板112は、回路基板112が導電性基板104に直接接触しないように、導電性基板104とは離して位置決めされている。いくつかの実施形態では、回路基板112は、導電性基板104の上(例えば上方)に位置するが導電性基板104には接触していない。回路基板112と導電性基板104とは両方ともパワーモジュールハウジング100内に位置しているが、互いに離されている。なぜなら、回路基板112と導電性基板104とは、互いに離されていない場合には、損傷を引き起こしかねない異なる電圧で動作するからである。特に、導電性基板104は、相対的に高い電圧、例えば約1.2kV~約5kVの電圧、または約3.3V~5Vの電圧または任意の他の電圧で動作する回路基板112の電圧よりも高い任意の他の電圧で動作し得る。導電性基板104のより高い電圧は、回路基板112に損傷を与える可能性があり、したがって導電性基板104は、回路基板112とは離して位置決めされている。
【0016】
回路基板112と導電性基板104とをパワーモジュールハウジング100内に一緒に配置することができるように、回路基板112と導電性基板104とをさらに絶縁するために、絶縁材料136がパワーモジュールハウジング100内に含まれていてよい。いくつかの実施形態では、絶縁材料136は、パワーモジュールハウジング100の内部キャビティを部分的に充填することができる。いくつかの実施形態では、絶縁材料136は、パワーモジュールハウジング100の内部キャビティを完全に充填することができる。いくつかの実施形態では、絶縁材料136はポッティングゲル、例えばシリコーン材料、シリコーンゲル材料、絶縁ポッティング材料または他の任意の絶縁材料を含んでいる。
【0017】
回路基板112が導電性基板104の上に配置されている実施形態では、回路基板112と導電性基板104との間の距離は、絶縁材料136によって提供される電気的な絶縁に起因して、3mmなどの相対的に短い距離であってよい。パワーモジュールの動作中、導電性基板104の温度が上昇し得る。回路基板112と導電性基板104との間の距離に応じて、導電性基板104の温度上昇が、回路基板112の温度の上昇をもたらし、この上昇によって、回路基板112の温度が、回路基板112に取り付けられているコンポーネントのジャンクション温度に到達し得るまたはジャンクション温度を超過し得る。したがって、絶縁材料136によって、回路基板112と導電性基板104との間の距離を著しく短くすることが可能であっても、熱的結合を回避するために、回路基板112と導電性基板104との間の距離が長くされていてよい。例えば、一実施形態では、回路基板112と導電性基板104との間の電気的な絶縁に必要な距離は3mmであってよく、他方で断熱に必要な距離は5mmであってよい。その結果、回路基板112と導電性基板104との間の距離は5mmであってよい。この例から見て取れるように、回路基板112と導電性基板104との間の距離は、電気的要求および熱的要求の両方を満たすように選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のデバイスが、回路基板112に取り付けられていてよい。これらのデバイスは、回路基板112によって支持される電圧範囲内、例えば約3.3V~約5Vの間、または種々の電圧変更コンポーネントを使用して達成される他の何らかの電圧内で動作し得る。いくつかの実施形態では、ゲートドライバ114が回路基板112に取り付けられていてよい。いくつかの実施形態では、ゲートドライバ114は、ガルバニック絶縁されたゲートドライバまたは他のタイプのゲートドライバを含んでいてよい。ゲートドライバ114は、パワーモジュールハウジング100の外部(外側)に配置されている外部コントローラ118によってコントロールされてよい。外部コントローラ118は、外部コントローラ118のような、パワーモジュールハウジング100の外部に配置されているコンポーネントに、回路基板112から通信を提供する回路基板コネクタ116を介して、ゲートドライバ114に接続可能である。外部コントローラ118は、ゲートドライバ114をコントロールするために使用されるパルス幅変調信号を生成するように構成されていてよい。これらのパルス幅変調信号は、外部コントローラ118から回路基板コネクタ116および回路基板112を介してゲートドライバ114に伝送され得る。
【0019】
ゲートドライバ114は、パワーデバイス110および/または図示されていない他のパワー半導体のような、導電性基板104に取り付けられている(例えば、チップレベルで導電性基板104内に統合されている)1つまたは複数のパワーデバイスのゲートに動作可能に結合されていてよく、かつこのゲートをコントロールするように構成されていてよい。例えば、パワーデバイス110は、導電性基板104に取り付けられているまたは導電性基板104内に統合されているスイッチまたはサイリスタを含んでいてよい。ゲートドライバ114は、例えば、スイッチを開閉するためまたはサイリスタのモードを変更するために、パワーデバイス110のゲートをコントロールすることができる。いくつかの実施形態では、導電性コネクタ130が、ゲートドライバ114をパワーデバイス110に接続し、絶縁材料136は、導電性コネクタ130の周囲に形成されている、また別の様式でゲートドライバ114をパワーデバイス110から電気的に絶縁する。
【0020】
いくつかの実施形態では、導電性コネクタ120~134を使用して、パワーモジュールハウジング100内のコンポーネント間の接続性およびパワーモジュールハウジング100外の接続性を提供することができる。例えば、導電性コネクタ132および導電性コネクタ134は、導電性基板104に接続されており、パワーモジュールハウジング100を通ってパワーモジュールハウジング100の外部に延びている。外部コンポーネントが、導電性コネクタ132および導電性コネクタ134に接続されていてよく、これによって、外部コンポーネントは、導電性基板104に取り付けられているまたは導電性基板104内に統合されているコンポーネントと通信する(例えば電気信号を送受信する)ことができる。導電性コネクタ120は、第1の監視コンポーネント106の少なくとも一部を回路基板112に接続する。導電性コネクタ126は、第2の監視コンポーネント108の少なくとも一部を回路基板112に接続する。導電性コネクタ122、導電性コネクタ124および導電性コネクタ128は、回路基板112に取り付けられているコンポーネントが、導電性基板104に取り付けられているまたは導電性基板104内に統合されているコンポーネントと通信する(例えば電気信号を送受信する)ことができるように、導電性基板104を回路基板112に接続する。絶縁材料136は、導電性コネクタ120~134の周囲および回路基板112と導電性基板104との間に形成され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、導電性コネクタ120~134は、導電性材料、例えば銅を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、導電性コネクタ120~134は、プレスフィットピンを含んでいる。導電性コネクタ130のようなプレスフィットピンは、プレスフィット部131とコンタクトホール133とを含んでいる。プレスフィット部131は、CuFeP、CuZr、CuCrZr、CuMg、CuCrTiSi、CuCrAgFeTiSiおよびCuNiSiMgのうちの少なくとも1つを含んでいる。コンタクトホール133は、導電性基板104の一部であるか、または導電性基板104に接続されていてよい。プレスフィット部131がコンタクトホール133内に圧入され、これによってプレスフィット部131が塑性変形され、プレスフィット部131の一方の端部は、パワーデバイス110との接続を形成するように、機械的かつ電気的に導電性基板104に接触する。プレスフィット部131の他方の端部は、ゲートドライバ114との接続を形成するように、回路基板112に電気的に接続されている。このようにして、ゲートドライバ114は、導電性コネクタ130(プレスフィットピン)によって、パワーデバイス110と動作可能に(電気的に)接続されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、ボンディングワイヤを使用して、導電性コネクタ120~134の代わりに電気的接続を形成することができる。ボンディングワイヤは、導電性基板104に接続した後、回路基板112の頂部での接続のため回路基板112の上および周囲に延びていてよい。この実施形態では、回路基板112の長さは、ボンディングワイヤが回路基板112の縁部を上がって回り込むことができるように、導電性基板104の長さよりも短くてよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の監視コンポーネントを、少なくとも導電性基板104に取り付ける(例えば導電性基板104の内に、例えばチップレベルで統合する)ことができ、これらの監視コンポーネントは例えば第1の監視コンポーネント106、第2の監視コンポーネント108および/または図示されていない他の監視コンポーネントである。監視コンポーネントは、ゲートドライバ114、パワーデバイス110、導電性基板104内に統合されている他のパワー半導体、導電性基板104内に統合されている他の監視コンポーネント、回路基板112または回路基板112に取り付けられている他のコンポーネントと動作可能に結合されていてよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、監視コンポーネント、導電性基板104、回路基板112およびゲートドライバ114は全て、同じ1つのパワーモジュールハウジング100内に統合され、収容されている。絶縁材料136は、インダクタンス、カップリング、クロストークまたは回路基板112、ゲートドライバ114および/または回路基板112に取り付けられている他のコンポーネントの相対的に低い動作電圧(例えば、3.3V~5V)と比較して、導電性基板104および導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)コンポーネントの相対的に高い動作電圧(例えば、1.2kVおよび5kVまたは任意の他の電圧)に起因する他の問題からの干渉を緩和するために使用される。絶縁材料136によって提供される電気的な絶縁は、電流測定機能、電圧測定機能、温度測定機能、内部電源、過温度保護、過電流保護、整流器および/または監視コンポーネントの他の機能を、パワーモジュールハウジング100内に統合することを可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態では、パワーモジュールハウジングは、導電性基板104に取り付けられている内部電源を含んでおり、この内部電源は、1つまたは複数の監視コンポーネント、パワーデバイスおよび/または導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)他のコンポーネントに電力を提供する。さらに、内部電源は、回路基板112に取り付けられているゲートドライバに電力を提供し、特に、ゲートドライバがパワーデバイス110のゲートをコントロールするために必要とする電圧を提供し、この電圧は、例えばいくつかの実施形態では15Vであってよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、監視コンポーネントは電流測定デバイスを含んでおり、電流測定デバイスは、1つまたは複数のパワーデバイスおよび/または導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)他のコンポーネントに関連する電流値を測定するために使用される。電流測定デバイスは、導電性基板104内の電流測定値を得るために、回路基板112に取り付けられているコンポーネントによって使用され得る。一実施例では、電流測定デバイスは、集積型カレントミラー(電流センス)を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、監視コンポーネントは電圧測定デバイスを含んでおり、電圧測定デバイスは、1つまたは複数の監視コンポーネント、スイッチ、パワー半導体および/または導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)他のコンポーネントに関連する電圧値を測定するために使用される。電圧測定デバイスが、導電性基板104内の電圧測定値を得るために、回路基板112に取り付けられているコンポーネントによって使用されてよい。いくつかの実施形態では、監視コンポーネントは、温度測定デバイス(例えば、導電性基板104内のチップ上の温度依存性ダイオードまたは抵抗器)を含んでおり、この温度測定デバイスは、1つまたは複数のパワーデバイスおよび/または導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)他のコンポーネントに関連する温度値を測定するために使用される。
【0027】
いくつかの実施形態では、監視コンポーネントは、閾値を超過する電流測定値に基づいて、1つまたは複数のパワーデバイスおよび/または導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)他のコンポーネントをスイッチオフするために使用される過電流保護デバイスを含んでいる。したがって、過電流保護デバイスは、チップレベルでの電流保護を提供することができる。いくつかの実施形態では、監視コンポーネントは、閾値を超過する温度測定値に基づいて、1つまたは複数のパワーデバイスおよび/または導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)他のコンポーネントをスイッチオフするために使用される温度保護デバイスを含んでいる。したがって、温度保護デバイスは、チップレベルでの過温度保護を提供することができる。いくつかの実施形態では、温度保護デバイス、過電流保護デバイスおよび/または他の保護回路は、IGBTおよび/またはMOSFETに適したものであってよく、集積型カレントミラー(電流センス)または集積型温度測定(例えばチップ上のまたは導電性基板104内の温度依存性ダイオードまたは抵抗器)を含んでいてよい。
【0028】
回路基板112および導電性基板104は、種々の構成にしたがってパワーモジュールハウジング100内に位置決めされてよい。いくつかの実施形態では、回路基板112は、
図2によって示されるように、導電性基板104に隣接して位置決めされてよい。絶縁材料136が、回路基板112と導電性基板104との間に形成され、回路基板112と導電性基板104との間を電気的に絶縁する。回路基板112と導電性基板104との間、例えばゲートドライバ114とパワーデバイス110との間の接続性を提供するために、1つまたは複数のボンディングワイヤが使用される。例えば、第1のボンディングワイヤ202が、導電性基板104と回路基板112との間に接続されていてよい。第2のボンディングワイヤ204が、パワーデバイス110と回路基板112との間に接続されていてよい。これらのボンディングワイヤは、銅材料を含んでいてよい。
【0029】
図3は、パワーモジュールハウジング100内に統合され得る種々のコンポーネントを示すシステム概要を示している。いくつかの実施形態では、パワーモジュールハウジング100は、回路基板112に取り付けられ得るコントロール回路308を含んでいる。ここで示されているように、コントロール回路308は6チャネルゲートドライバである。いくつかの実施形態では、コントロール回路308は、6つのシングルチャネルゲートドライバまたは3つのデュアルチャネルゲートドライバまたはこれらの任意の組み合わせを含んでいてよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのパワーデバイスは、コントロール信号CTRL_R、CRTL_SおよびCRTL_Tに基づいて動作するコントロールされた三相整流器302を実現する複数のパワーデバイス312の一部である。いくつかの実施形態では、監視コンポーネントは電圧測定デバイス304を含んでおり、この電圧測定デバイス304は、VTN、VSN、VRNおよびVDCなど、パワーモジュールハウジング100内の種々の電圧を測定するように構成されていてよい。いくつかの実施形態では、パワーモジュールハウジングは、コントロール回路308およびパワーモジュールハウジング100内の種々のコンポーネントに電力を提供することができる内部電源306を含んでいる。いくつかの実施形態では、監視コンポーネントは、交流電流を測定するためのシャントなどの電流測定コンポーネント314を含んでいる。いくつかの実施形態では、監視コンポーネントは過電流検出デバイス316を含んでいる。これらの監視コンポーネントは、導電性基板104に取り付けられてよく(導電性基板104内に統合されていてよく)、かつコントロール回路308に接続されていてよい。
【0030】
図4は、ゲートドライバ114の例を示している。ゲートドライバ114は、ゲートドライバ114の入力側にコントロールロジック402を含んでいてよい。ゲートドライバ114は、ゲートドライバ114の出力側に高電圧(HV)コントロールロジック406を含んでいてよく、これは、アウトピン407を介してパワーデバイス110にコントロール信号を提供する。ゲートドライバ114は、1つのトランシーバセットに組み合わせ可能な送受信要素404を含んでいる。送受信要素404を介したゲートドライバ114の入力側と出力側との間の伝送は、コアレス変圧器を介して容量性または誘導性であってよい。ゲートドライバ114は、センスアウトピン410またはFLTを含んでいてよく、これは、ゲートドライバ114が実際に、センスパラメータを表す信号を伝送するか、または故障状態が存在すると判定するかに関係する。ゲートドライバ114は、少なくとも導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)コンポーネント、例えば監視コンポーネントに結合可能なセンスインプットピン408を含んでいてよい。ゲートドライバ114は、入力側の接地412と出力側の接地414とを含んでいてよい。いくつかの実施形態では、パワーデバイスのパラメータ(例えば測定された電流パラメータ、測定された温度パラメータなど)を表す信号を、センスインプットピン408を介してゲートドライバ114に提供するように、監視コンポーネントが構成されていてよい。この信号は、コントロールロジック402によって処理され、コントロールロジック402は、この信号に基づいて動作を実行することができ、例えば、パワーデバイスのパラメータ(例えば、閾値を超過する測定された電流パラメータ、閾値を超過する測定された温度パラメータなど)に基づいてパワーデバイスをターンオフする動作を実行することができる。いくつかの実施形態では、監視コンポーネントは、パワーデバイスのパラメータを表す信号を、センスインプットピン408を介してゲートドライバ114に提供することができる。ゲートドライバ114は、信号を外部コントローラに、例えばセンスアウトピン410を介して提供することができる。
【0031】
図5Aは、導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)種々の監視コンポーネント、例えば安全機能を提供することができる第1の監視コンポーネント502、第2の監視コンポーネント504、第3の監視コンポーネント506および/または第4の監視コンポーネント508に接続されている、ゲートドライバ114の例を示している。第1の監視コンポーネント502は、電流検知機能(例えば電流感知抵抗)を利用して、閾値を超過する測定電流に応答してゲート電流を遮断するか否かを決定する。したがって、第1の監視コンポーネント502は過電流保護を提供する。第3の監視コンポーネント506が、パワーデバイス内部に配置されているダイオード523をさらに有していることを除いて、第3の監視コンポーネント506は、第1の監視コンポーネント502と同様である。ダイオード523の順方向電圧は温度依存性であり、ゲートドライバ114によって測定され、これによって電流監視に加えて温度監視が可能になる。
【0032】
特に、第1の監視コンポーネント502および/または第3の監視コンポーネント506は、センス抵抗RS509に結合されている電流センス出力を有しているパワーデバイスを含んでいてよい、またはこれに結合されていてよい。監視コンポーネント502、506は、さらに、センス抵抗RS509を備えた分圧器を形成する抵抗器RFLT511と、コンデンサCFLT513と、を含んでいてよい。コンデンサCFLT513が設けられている場合、いくつかの実施形態では、監視コンポーネント502、506は、コンデンサCFLT513が充電されると、負荷電流を表す信号をゲートドライバに出力するだけでよい。
【0033】
いくつかの実施の形態では、コンポーネントRS509、RFLT511およびCFLT513が回路基板112に取り付けられていてよく、導電性コネクタ120~130(電気的な接続)の一部は、導電性基板104に取り付けられているパワーデバイスの電流センス出力間の接続を提供する。
【0034】
第2の監視コンポーネント504は、過電流保護を提供する。監視コンポーネント504は、SC検出回路515を含んでおり、SC検出回路515は、監視コンポーネント502に関して上述したように、電流検知能力を有しているパワーデバイスに結合されている。SC検出回路515は、パワーデバイスのゲート端子とエミッタ/ソース電位との間に結合されている。SC検出回路515は、
図5Bを参照しながら以降で説明するように、パワーデバイスをターンオフするように構成されていてよい。いくつかの実施形態では、監視コンポーネント504は自己保護機能を提供することができ、この場合、監視コンポーネント504は、パワーデバイスのパラメータ(例えば閾値を超過する測定された電流パラメータ、閾値を超過する測定された温度パラメータなど)に基づいて、パワーデバイスをターンオフするように構成されている。
【0035】
図5Bに示されているように、いくつかの実施形態では、SC検出回路515は、SC検出機能554と、パワーデバイスのゲート電圧に基づいてSC検出機能554に電力を供給する電圧源558と、スイッチ550と、を含んでいてよい。パワーデバイスの電流センスピンにおける電流が閾値を超えた場合、SC検出機能554はスイッチ550を閉成し、これによってパワーデバイスのゲート端子をパワーデバイスのエミッタ/ソース電位に結合し、これがパワーデバイスをターンオフする。SC検出回路515は、トランジスタ521を介して、ゲートドライバのゲート端子またはOUT端子へ向かう電流の流れを阻止するダイオード556を含んでいてよい。SC検出回路515は、抵抗552、キャパシタンス560およびスイッチ550をさらに含んでいてよい。SC検出回路515の接続503、505および507は、監視コンポーネント504の対応する接続と接続されていてよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、SC検出回路515、トランジスタ521およびダイオード519は、回路基板112に、例えば導電性コネクタ120~130などの電気的な接続によって取り付けられていてよく、これによってパワーデバイスの電流センス出力とSC検出回路との間の接続ならびにダイオード519のアノードとパワーデバイスのゲート端子との間の接続が提供される。
【0037】
第4の監視コンポーネント508は、(例えば温度依存性ダイオードまたは抵抗器を介して)温度センシングを提供する。
図5Aに示されているように、第4の監視コンポーネント508は、温度依存性抵抗器525を含んでおり、これは、導電性基板104の温度の正確な測定を提供するために導電性基板104に取り付けられていてよい、またはゲートとソース/エミッタとの間のポリシリコン抵抗器として、これらの間で小さな漏れ電流を提供するために、パワーデバイス内に配置されてよい。この漏れ電流はゲートドライバ114によって測定可能であるが、パワーデバイスの性能には影響を与えない。
【0038】
図6は、導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)複数のパワーデバイス602に接続されているゲートドライバ114の例を示している。複数のパワーデバイス602は、3つの相に対する完全な反転を提供することができる6つのサイリスタから構成されている整流器を含んでいてよい。
【0039】
図7は、導電性基板104に取り付けられている(導電性基板104内に統合されている)複数のパワーデバイスおよび監視コンポーネントに接続されているゲートドライバ114の例を示している。ゲートドライバ114は、ハーフブリッジを形成する2つのパワーデバイスに結合されていてよい。ハーフブリッジの出力(例えば相電流または相電圧)の調整およびコントロールのためのシャントが、ハーフブリッジの出力ノード内に統合されている。いくつかの実施形態では、シャントは、導電性基板104上に形成されていてよい。いくつかの実施形態では、シャントは、プリント回路基板112上に形成されてよい。
【0040】
現在開示されている技術の一実施形態は、装置を含んでいる。装置は、パワーモジュールハウジングを含んでおり、パワーモジュールハウジングは、導電性基板と、導電性基板の上に位置決めされている回路基板と、導電性基板を回路基板から電気的に絶縁する絶縁材料と、回路基板に取り付けられているゲートドライバと、導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバによってコントロールされる少なくとも1つのパワーデバイスと、少なくとも導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバおよびパワーデバイスに動作可能に結合されている監視コンポーネントと、を含んでいる。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、監視コンポーネントは、少なくとも1つのパワーデバイスのパラメータに基づいて、少なくとも1つのパワーデバイスをターンオフするように構成されている。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、監視コンポーネントは、少なくとも1つのパワーデバイスのパラメータを表す信号をゲートドライバに提供するように構成されており、ゲートドライバは、少なくとも1つのパワーデバイスをターンオフするように構成されている。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、監視コンポーネントは、少なくとも1つのパワーデバイスのパラメータを表す信号をゲートドライバに提供するように構成されており、ゲートドライバは、この信号を外部コントローラに提供するように構成されている。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、導電性基板は、ダイレクト銅接合(DCB)ボードおよび絶縁金属基板(IMS)ボードのうちの1つを含んでいる。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、絶縁材料はポッティングゲルを含んでいる。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、装置は、ゲートドライバを少なくとも1つのパワーデバイスに電気的に結合する導電性コネクタを含んでおり、絶縁材料は、導電性コネクタの周囲に形成されており、ゲートドライバをパワーデバイスから電気的に絶縁する。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、装置は、導電性基板を回路基板に電気的に結合する導電性コネクタを含んでおり、絶縁材料は、導電性コネクタの周囲に形成されている。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、装置は、監視コンポーネントを回路基板に電気的に結合する導電性コネクタを含んでおり、絶縁材料は、導電性コネクタの周囲に形成されており、回路基板を監視コンポーネントから電気的に絶縁する。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、装置は、回路基板コネクタを含んでおり、回路基板コネクタは回路基板に結合されており、パワーモジュールハウジングの外側で接続性を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、回路基板は第1の電圧レベルで動作し、導電性基板は第1の電圧レベルよりも高い第2の電圧レベルで動作する。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、監視コンポーネントは過電流保護デバイスを含んでいる。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、過電流保護デバイスは、導電性基板上のコンポーネントと、導電性基板と回路基板との間の導電性コネクタと、回路基板上のコンポーネントと、によって形成されている。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、監視コンポーネントは、温度保護デバイスを含んでいる。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、装置は、導電性基板に取り付けられている複数のパワーデバイスを含んでおり、これらの複数のパワーデバイスは、ハーフブリッジ、フルブリッジ、三相インバータ、整流器、または交流から直流へのコンバータもしくは交流から交流へのコンバータもしくは直流から直流へのコンバータもしくは直流から交流へのコンバータのうちの1つを実現する。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、監視コンポーネントは、電流測定デバイスまたは電圧測定デバイスを含んでいる。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、装置は、導電性基板に取り付けられており、かつ少なくともゲートドライバに電力を提供する内部電源を含んでいる。
【0057】
現在開示されている技術の一実施形態は、装置を含んでいる。装置は、パワーモジュールハウジングを含んでおり、パワーモジュールハウジングは、導電性基板と、導電性基板に隣接して位置決めされている回路基板と、導電性基板を回路基板から電気的に絶縁する絶縁材料と、回路基板に取り付けられているゲートドライバと、導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバによってコントロールされるパワーデバイスと、少なくとも導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバおよびパワーデバイスに動作可能に結合されている監視コンポーネントと、を含んでいる。
【0058】
現在開示されている技術の一実施形態は、装置を含んでいる。装置は、パワーモジュールハウジングを含んでおり、パワーモジュールハウジングは、導電性基板と、導電性基板とは離されて、パワーモジュールハウジング内に位置決めされている回路基板と、導電性基板を回路基板から電気的に絶縁する絶縁材料と、回路基板に取り付けられているゲートドライバと、導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバによってコントロールされるパワーデバイスと、少なくとも導電性基板に取り付けられており、かつゲートドライバおよびパワーデバイスに動作可能に結合されている監視コンポーネントと、を含んでいる。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、監視コンポーネントは、電流測定デバイス、電圧測定デバイス、温度保護デバイス、過電流保護デバイスまたは整流器のうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0060】
主題が、構造的特徴および/または方法論的行為に特有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲において定義されている主題が必ずしも上述の特定の特徴または行為に限定されないことが理解されるべきである。むしろ、上述の特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実現する例示的な形態として開示されている。
【0061】
「例」として本明細書に記載されている任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも有利であると解釈されるべきではない。むしろ、「例」という用語の使用は、本明細書に提示された技術に属し得る1つの可能な態様および/または実装を提示することを意図している。このような例は、このような技術に必須ではなく、または限定を意図するものではない。このような技術の種々の実施形態は、単独でまたは他の特徴と組み合わせてこのような例を含んでいてよい、かつ/または例示された例を変化させてよい、かつ/または例示された例を省略してよい。
【0062】
本出願において使用される場合、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することを意図している。すなわち、別段の定めがない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを使用する」は、自然の包括的な順列のいずれかを意味することを意図する。すなわち、XがAを使用する、XがBを使用する、またはXがAおよびBの両方を使用する場合に、「XはAまたはBを使用する」が、上述のいずれかの例のもとで満たされる。さらに、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」および「an」は、別段の定めがない限り、または単数形に向けられたものであることが文脈から明らかでない限り、概して「1つまたは複数」を意味すると解釈され得る。また、別段の定めがない限り、「第1」、「第2」などは、時間的な側面、空間的な側面、順序などを意味することを意図していない。むしろ、このような用語は単に、特徴、要素、項目などに対する識別子、名前などとして使用される。例えば、第1の要素および第2の要素は、概して、要素Aおよび要素B、2つの異なる要素、2つの同一の要素または同じ要素に対応する。
【0063】
また、本開示は1つまたは複数の実装に関して図示および説明されてきたが、当業者は、本明細書および添付の図面の読解および理解に基づいて同等の変更および修正を想到するであろう。本開示は、全てのこのような修正および変更を含んでおり、以降の特許請求の範囲によってのみ限定される。特に、上述のコンポーネント(例えば、要素、リソースなど)によって実行される種々の機能に関して、このようなコンポーネントを説明するために使用される用語は、別段の定めがない限り、説明されたコンポーネントの特定の機能を実行する(例えば、機能的に同等である)任意のコンポーネント(ただし、これは、本明細書に例示された、本開示の例示的な実装においてこの機能を実行する開示された構造とは構造的に同等ではない)に対応することを意図している。さらに、本開示の特定の特徴が、いくつかの実装のうちの1つの実装のみに関して開示されてきたかもしれないが、このような特徴が、任意の所定の用途または特定の用途に所望され、有利であり得るように、他の実装の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせられてよい。さらに、用語「含んでいる(includes)」、「有している(having)」、「有している(has)」、「を備える(with)」、またはそれらの異形が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される限りにおいて、このような用語は、用語「含んでいる(comprising)」と同様の様式で、包括的であることが意図されている。
【外国語明細書】