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特開2023-81353デルタ-シグマ・アナログ-デジタル変換器のゲインプログラマビリティ技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081353
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】デルタ-シグマ・アナログ-デジタル変換器のゲインプログラマビリティ技術
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/38 20060101AFI20230602BHJP
   H03M 1/10 20060101ALI20230602BHJP
   H03M 3/02 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
H03M1/38
H03M1/10 A
H03M3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022190288
(22)【出願日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】17/538,187
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520490417
【氏名又は名称】アナログ ディヴァイスィズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シャオロン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ピーター・キャニフ
(72)【発明者】
【氏名】アビシェーク・バンディオパダヤイ
(72)【発明者】
【氏名】志方 明
【テーマコード(参考)】
5J022
5J064
【Fターム(参考)】
5J022AA02
5J022AB04
5J022BA06
5J022CA07
5J022CA10
5J022CB06
5J022CE04
5J022CF00
5J022CF01
5J022CF07
5J064BA03
5J064BA06
5J064BC06
5J064BC07
5J064BC11
(57)【要約】
【課題】連続時間デルタ-シグマ・アナログ-デジタル変換器(ADC)における逐次比較型レジスタ(SAR)ベースの量子化器と共に使用するための過剰ループ遅延補償(ELDC)技術を提供する。
【解決手段】この技術は、ELD補償SAR量子化器におけるELDゲインを効率的にプログラム及び較正することができる。ELDC回路は、ELDCデジタル-アナログ変換器(DAC)のゲイン又はSAR DACのゲインなどのゲインを調整するためにデジタルにプログラム可能なキャパシタンスを有するチャージポンプを含むことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するための逐次比較型レジスタ(SAR)アナログ-デジタル変換器(ADC)であって、
前記アナログ入力信号を受信するための入力に接続されたサンプリングスイッチと、
前記サンプリングスイッチに接続されたSARデジタル-アナログ変換器(DAC)であって、前記SAR DACが、SAR制御信号によって制御される第1のセットのコンデンサを含む、SAR DACと、
加算ノードによって前記SAR DACに接続された過剰ループ遅延補償(ELDC)回路であって、前記ELDC回路が、
ELDC制御信号によって制御される第2のセットのコンデンサを含むELDC DACと、
前記第1のセットのコンデンサ又は前記第2のセットのコンデンサのいずれかに接続されたチャージポンプであって、前記チャージポンプが、ゲインを調整するようにプログラム可能なキャパシタンスを有する、チャージポンプと、を含む、ELDC回路と、
論理回路であって、
前記SAR制御信号及び前記ELDC制御信号を生成することと、
前記デジタル出力信号を生成することと、を行うための論理回路と、を備えるSAR ADC。
【請求項2】
前記チャージポンプが、前記第2のセットのコンデンサに接続され、
前記プログラム可能なキャパシタンスが、前記ELDC DACのゲインを調整する、請求項1に記載のSAR ADC。
【請求項3】
前記論理回路が、
前記チャージポンプの電荷を前記第2のセットのコンデンサの電荷と組み合わせて、前記第2のセットのコンデンサの前記電荷を減衰させる、請求項2に記載のSAR ADC。
【請求項4】
前記第1のセットのコンデンサのうちのコンデンサが、対応する上部プレート及び下部プレートを有し、前記第2のセットのコンデンサのうちのコンデンサが、対応する上部プレート及び下部プレートを有し、前記論理回路が、スイッチ動作を制御して、
前記チャージポンプの前記電荷を前記第2のセットのコンデンサの前記トッププレート上の電荷と組み合わせて、前記第2のセットのコンデンサの前記電荷を減衰させる、請求項3に記載のSAR ADC。
【請求項5】
前記論理回路が、変換段階の間、スイッチ動作を制御して、
サンプリングされたアナログ入力信号を表す前記第1のセットのコンデンサの電荷を、前記チャージポンプの組み合わせた前記電荷及び前記第2のセットのコンデンサの電荷と組み合わせて、後続の電荷の組み合わせを生成し、
前記SAR DAC及び前記ELDC DACを制御して、前記後続の電荷の組み合わせでの変換のいくつかのビットトライアルを実行する、請求項3に記載のSAR ADC。
【請求項6】
前記論理回路が、較正信号を受信し、前記較正信号に応答して、スイッチ動作を制御して、
前記アナログ入力信号が基準電圧に設定された状態で、前記ELDC制御信号が第1のコード値に設定された第1のELDデジタル出力較正信号と、前記ELDC制御信号が第2のコード値に設定された第2のELDデジタル出力較正信号とを決定し、
前記第1のELDデジタル出力較正信号及び前記第2のELDデジタル出力較正信号に基づいて、チャージポンプ制御コードを決定し、前記チャージポンプ制御コードが、前記チャージポンプの前記キャパシタンスをプログラムする、請求項1に記載のSAR ADC。
【請求項7】
前記チャージポンプが、前記第1のセットのコンデンサに接続され、
前記プログラム可能なキャパシタンスが、前記SAR DACのゲインを調整する、請求項1に記載のSAR ADC。
【請求項8】
受信したアナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するための逐次比較型レジスタ(SAR)アナログ-デジタル変換器(ADC)を動作させる方法であって、
過剰ループ遅延補償(ELDC)回路のチャージポンプを、SARデジタル-アナログ変換器(DAC)の第1のセットのコンデンサ又は前記ELDC回路のELDC DACの第2のセットのコンデンサのいずれかに接続するステップであって、前記ELDC回路が、加算ノードによって前記SAR DACに接続され、前記チャージポンプが、ゲインを調整するようにプログラム可能なキャパシタンスを有する、ステップと、
SAR制御信号及びELDC制御信号を生成して、前記第1のセットのコンデンサ及び前記第2のセットのコンデンサをそれぞれ制御するステップと、
前記デジタル出力信号を生成するステップと、を含む方法。
【請求項9】
前記チャージポンプを前記第2のセットのコンデンサに接続するステップを含み、
前記プログラム可能なキャパシタンスが、前記ELDC DACのゲインを調整する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記チャージポンプの電荷を前記第2のセットのコンデンサの電荷と組み合わせて、前記第2のセットのコンデンサの前記電荷を減衰させるようにスイッチ動作を制御するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のセットのコンデンサのうちのコンデンサが、対応する上部プレート及び下部プレートを有し、前記第2のセットのコンデンサのうちのコンデンサが、対応する上部プレート及び下部プレートを有し、前記方法が、
前記チャージポンプの前記電荷を前記第2のセットのコンデンサの前記上部プレート上の電荷と組み合わせて、前記第2のセットのコンデンサの前記電荷を減衰させるようにスイッチ動作を制御するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
変換段階の間、サンプリングされたアナログ入力信号を表す前記第1のセットのコンデンサの電荷を、前記チャージポンプの組み合わせた前記電荷及び前記第2のセットのコンデンサの電荷と組み合わせて、後続の電荷の組み合わせを生成するようにスイッチ動作を制御するステップと、
前記SAR DAC及び前記ELDC DACを制御して、前記後続の電荷の組み合わせでの変換のいくつかのビットトライアルを実行するステップと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
較正信号を受信し、前記較正信号に応答して、
前記アナログ入力信号が基準電圧に設定された状態で、前記ELDC制御信号が第1のコード値に設定された第1のELDデジタル出力較正信号と、前記ELDC制御信号が第2のコード値に設定された第2のELDデジタル出力較正信号とを決定することと、
前記第1のELDデジタル出力較正信号及び前記第2のELDデジタル出力較正信号に基づいて、チャージポンプ制御コードを決定することであって、前記チャージポンプ制御コードが、前記チャージポンプの前記キャパシタンスをプログラムする、ことと、を行うようにスイッチ動作を制御するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記チャージポンプを前記第1のセットのコンデンサに接続するステップを含み、
前記プログラム可能なキャパシタンスが、前記SAR DACのゲインを調整する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
入力でアナログ入力信号を受信し、デジタル出力信号を生成するためのデルタ-シグマ・アナログ-デジタル変換器(ADC)回路であって、
前記アナログ入力信号及びデジタル-アナログ変換器回路の出力を受信して組み合わせるように構成された入力加算ノードと、
組み合わされた前記アナログ入力信号及び前記デジタル-アナログ変換器回路の出力の表現を受信する逐次比較型レジスタ(SAR)ADCであって、前記SAR ADCが、
サンプリングスイッチに接続されたSARデジタル-アナログ変換器(DAC)であって、前記SAR DACが、SAR制御信号によって制御される第1のセットのコンデンサを含む、SAR DACと、
加算ノードによって前記SAR DACに接続された過剰ループ遅延補償(ELDC)回路であって、前記ELDC回路が、
ELDC制御信号によって制御される第2のセットのコンデンサを含む、ELDC DACと、
前記第1のセットのコンデンサ又は前記第2のセットのコンデンサのいずれかに接続されたチャージポンプであって、前記チャージポンプが、ゲインを調整するようにプログラム可能なキャパシタンスを有する、チャージポンプと、を含む、ELDC回路と、
論理回路であって、
前記SAR制御信号及び前記ELDC制御信号を生成することと、
前記デジタル出力信号を生成することと、を行うための論理回路と、を備えるデルタ-シグマADC。
【請求項16】
前記チャージポンプが、前記第2のセットのコンデンサに接続され、
前記プログラム可能なキャパシタンスが、前記ELDC DACのゲインを調整する、請求項15に記載のデルタ-シグマADC。
【請求項17】
前記論理回路が、スイッチ動作を制御して、
前記チャージポンプの電荷を前記第2のセットのコンデンサの電荷と組み合わせて、前記第2のセットのコンデンサの前記電荷を減衰させるように構成されている、請求項16に記載のデルタ-シグマADC。
【請求項18】
前記論理回路が、変換段階の間、スイッチ動作を制御して、
サンプリングされたアナログ入力信号を表す前記第1のセットのコンデンサの電荷を、前記チャージポンプの組み合わせた前記電荷及び前記第2のセットのコンデンサの電荷と組み合わせて、後続の電荷の組み合わせを生成し、
前記SAR DAC及び前記ELDC DACを制御して、前記後続の電荷の組み合わせでの変換のいくつかのビットトライアルを実行するように構成されている、請求項17に記載のデルタ-シグマADC。
【請求項19】
前記論理回路が、較正信号を受信し、前記較正信号に応答して、スイッチ動作を制御して、
前記アナログ入力信号が基準電圧に設定された状態で、前記ELDC制御信号が第1のコード値に設定された第1のELDデジタル出力較正信号と、前記ELDC制御信号が第2のコード値に設定された第2のELDデジタル出力較正信号とを決定し、
前記第1のELDデジタル出力較正信号及び前記第2のELDデジタル出力較正信号に基づいて、チャージポンプ制御コードを決定し、前記チャージポンプ制御コードが、前記チャージポンプの前記キャパシタンスをプログラムする、請求項15に記載のデルタ-シグマADC。
【請求項20】
前記チャージポンプが、前記第1のセットのコンデンサに接続され、
前記プログラム可能なキャパシタンスが、前記SAR DACのゲインを調整する、請求項15に記載のデルタ-シグマADC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、限定するものではないが、一般に、デジタルからアナログへの変換、より具体的には、デルタ-シグマ変換器回路に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ-デジタル変換器(ADC)回路を使用して、アナログ信号をデジタル信号に変換することができ、そのデジタル信号を次いで、デジタル領域で更に処理又は使用することができる。連続時間(CT)デルタ-シグマ(DS)ADCは、精度及び低電力用途に優れており、逐次比較型レジスタ(successive approximation register、SAR)ADCを量子化器として使用して、電力を削減することができる。
【0003】
SAR ADC回路は、アナログ信号の一部を基準電圧と比較して、アナログ信号の特定のサンプルを表すデジタルワードのデジタルビット値を決定するためにビットトライアルを実行することができる。SAR ADCは、デジタルワードのそれぞれのデジタルビット値を決定するためのビットトライアルを実行するために、デジタル-アナログ変換器(DAC)のコンデンサアレイを使用することができる。
【0004】
SAR ADCは低電力を必要とするため、望ましい可能性がある。しかしながら、変換の逐次的な性質は、変換が比較的遅くなり得ることを意味し、SAR ADCがDS ADCで量子化器として使用されるときにSAR変換によって導入される遅延を補償するために、SAR ADCのDACに加えて、過剰ループ遅延補償(ELDC)DACが一般的に使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、連続時間デルタ-シグマADCにおける逐次比較型レジスタ(SAR)ベースの量子化器と共に使用するための過剰ループ遅延補償(ELDC)技術を対象とする。これらの技術は、ELD補償SAR量子化器におけるELDゲインを効率的にプログラム及び較正することができる。本開示の様々な技術を使用して、ELDC回路は、ELDCデジタル-アナログ変換器(DAC)のゲイン又はSAR DACのゲインなどのゲインを調整するためのデジタルにプログラム可能なキャパシタンスを有するチャージポンプを含むことができる。
【0006】
いくつかの態様では、本開示は、アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するための逐次比較型レジスタ(SAR)アナログ-デジタル変換器(ADC)を対象とし、SAR ADCは、アナログ入力信号を受信するための入力に接続されたサンプリングスイッチと、サンプリングスイッチに接続されたSARデジタル-アナログ変換器(DAC)であって、SAR制御信号によって制御される第1のセットのコンデンサを含むSAR DACと、加算ノードによってSAR DACに接続された過剰ループ遅延補償(ELDC)回路であって、ELDC制御信号によって制御される第2のセットのコンデンサを含むELDC DACを含む、ELDC回路と、第1のセットのコンデンサ又は第2のセットのコンデンサのいずれかに接続されたチャージポンプであって、ゲインを調整するようにプログラム可能なキャパシタンスを有するチャージポンプと、SAR制御信号及びELDC制御信号を生成し、デジタル出力信号を生成するための論理回路と、を備える。
【0007】
いくつかの態様では、本開示は、受信されたアナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するための逐次比較型レジスタ(SAR)アナログ-デジタル変換器(ADC)を動作させる方法を対象とし、本方法は、過剰ループ遅延補償(ELDC)回路のチャージポンプを、SARデジタル-アナログ変換器(DAC)の第1のセットのコンデンサ又はELDC回路のELDC DACの第2のセットのコンデンサのいずれかに接続するステップであって、ELDC回路が、加算ノードによってSAR DACに接続され、チャージポンプが、ゲインを調整するようにプログラム可能なキャパシタンスを有する、ステップと、SAR制御信号及びELDC制御信号を生成して、第1のセットのコンデンサ及び第2のセットのコンデンサをそれぞれ制御するステップと、デジタル出力信号を生成するステップと、を含む。
【0008】
いくつかの態様では、本開示は、入力でアナログ入力信号を受信し、デジタル出力信号を生成するためのデルタ-シグマ・アナログ-デジタル変換器(ADC)回路を対象とし、デルタ-シグマADC回路は、アナログ入力信号及びデジタル-アナログ変換器回路の出力を受信して組み合わせるように構成された入力加算ノードと、組み合わせられたアナログ入力信号及びデジタル-アナログ変換器回路の出力の表現を受信するための逐次比較型レジスタ(SAR)ADCと、を備え、SAR ADCは、サンプリングスイッチに接続されたSARデジタル-アナログ変換器(DAC)であって、SAR制御信号によって制御される第1のセットのコンデンサを含むSAR DACと、加算ノードによってSAR DACに接続された過剰ループ遅延補償(ELDC)回路であって、ELDC制御信号によって制御される第2のセットのコンデンサと、第1のセットのコンデンサ又は第2のセットのコンデンサのいずれかに接続されたチャージポンプであって、ゲインを調整するためのプログラム可能なキャパシタンスを有するチャージポンプとを含むELDC回路と、SAR制御信号及びELDC制御信号を生成し、デジタル出力信号を生成するための論理回路と、を備える。
【0009】
この要約は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図している。本発明の排他的又は網羅的な説明を提供することを意図するものではない。発明を実施するための形態は、本特許出願に関する更なる情報を提供するために含まれている。
【0010】
図面において、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていないが、同様の数字は、異なる図面において同様の構成要素を説明する場合がある。異なる文字の添字を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なる実例を表す場合がある。図面は、限定ではなく、例として、本文書に記述された様々な実施形態を一般的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】デルタ-シグマ変調器を実装することができるデータ取得システムの例の概略ブロック図である。
図2】逐次比較型レジスタ(SAR)ADC回路を含む連続時間デルタ-シグマ・アナログ-デジタル変換器(ADC)の例の機能ブロック図である。
図3】本開示の様々な技術を実装することができる、SAR ADCの例の機能ブロック図である。
図4】本開示の様々な技術による、SAR DACと、ELDC DAC及びチャージポンプを含むELDC回路と、を含むSAR ADCのための容量性デジタル-アナログ変換器(DAC)構造の例を示す。
図5】本開示の様々な技術による、サンプリング段階における図4の容量性DAC構造の例を示す。
図6】本開示の様々な技術による、減衰段階における図4の容量性DAC構造の例を示す。
図7】本開示の様々な技術による、変換段階における図4の容量性DAC構造の例を示す。
図8】本開示の様々な技術による、図4の容量性DAC構造を動作させるために使用することができるタイミング図の例である。
図9図4のチャージポンプの例をより詳細に示す。
図10図3のSAR ADC回路の較正技術の例を示す。
図11図3のSAR ADC回路の較正技術の別の例を示す。
図12】本開示の様々な技術を実装することができるSAR ADCの別の例の機能ブロック図である。
図13】受信されたアナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するために、逐次比較型レジスタ(SAR)アナログ-デジタル変換器(ADC)を動作させる方法の例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
連続時間(CT)デルタ-シグマ(DS)アナログ-デジタル変換器(ADC)は、精度及び低電力用途に優れており、更なる電力削減のために量子化器としてSAR ADCを使用することができる。上記の背景で指摘されているように、逐次比較型レジスタ(SAR)ADCは、低電力を必要とするため、CTDS ADCにおける量子化器として望ましい可能性がある。しかしながら、SAR変換の逐次的な性質は、変換が比較的遅くなり得ることを意味する。その結果、SAR ADCがCTDS ADCの量子化器として使用され、SAR変換によって生じた遅延を補償する場合、SAR ADCのDACに加えて、過剰ループ遅延補償(ELDC)デジタル-アナログ変換器(DAC)が一般的に使用される。
【0013】
本開示は、連続時間デルタ-シグマADCにおける逐次比較型レジスタ(SAR)ベースの量子化器と共に使用するための過剰ループ遅延補償(ELDC)技術を説明する。これらの技術は、ELD補償SAR量子化器におけるELDゲインを効率的にプログラム及び較正することができる。本開示の様々な技術を使用して、ELDC回路は、ELDCデジタル-アナログ変換器(DAC)のゲイン又はSAR DACのゲインなどのゲインを調整するためのデジタルにプログラム可能なキャパシタンスを有するチャージポンプを含むことができる。
【0014】
図1は、デルタ-シグマ変調器を実装することができる、データ取得システム100の例の概略ブロック図である。データ取得システム100は、信号(アナログ信号など)を使用可能な形態に変換するように構成された電子デバイス(電子回路及び/又は1つ以上の構成要素を含む)であり得る。様々な実装形態では、データ取得システム100は、物理的条件をデジタル形態に変換することができ、これは記憶及び/又は分析することができる。図1は、明確にするために簡略化されている。追加の特徴をデータ取得システム100に追加することができ、説明された特徴のいくつかを、データ取得システム100の他の実施形態で置き換える、又は排除することができる。
【0015】
図1では、データ取得システム100は、温度、圧力、音、速度、流量、位置、他の物理的状態、又はそれらの組み合わせなど(これらに限定されないが)の物理的状態を表す入力信号102を含み得る。センサ回路104は、入力信号102を受信し、物理的状態(入力信号102によって表される)を、アナログ信号106などの電気信号に変換することができる。アナログ信号106は、物理的状態(入力信号102によって表される)を表す電圧又は電流であり得る。
【0016】
信号調整回路108は、アナログ-デジタル変換器(ADC)の許容範囲内でアナログ信号106を受信して調整し、調整されたアナログ信号110を提供することができる。調整されたアナログ信号110は、ADC回路112に提供され、したがって、信号調整回路108は、センサ回路104とADC回路112との間のインターフェースとして機能することができ、ADC回路112がアナログ信号をデジタル化する前に、調整アナログ信号106(したがって、調整されたアナログ信号110を提供することができる)。信号調整回路108は、アナログ信号106に対して、増幅、減衰、フィルタリング、及び/又は他の調整機能を実行することができる。ADC回路112は、調整されたアナログ信号110を受信し、デジタル形態に変換して、デジタル信号114を提供することができる。デジタル信号114は、入力信号102を介してセンサによって受信された物理量を表すことができる。デジタル信号プロセッサ(DSP)回路116は、デジタル信号114を受信して処理することができる。
【0017】
ADC回路112は、フィードバック技術を使用してデジタル信号を生成するデルタ-シグマADCを含むことができ、ここで、デルタ-シグマADCは、その入力信号(ここでは、調整されたアナログ信号110)をオーバーサンプリングし、高解像度のデジタル信号(ここでは、デジタル信号114)を達成するためにノイズシェーピングを実行することができる。デルタ-シグマADCは、デルタ-シグマ変調器118及びデジタルフィルタ/デシメータ120を含むことができる。デルタ-シグマ変調器118は、オーバーサンプリング(例えば、ナイキストレートを上回るサンプリングレート)及びフィルタリングを使用して、デルタ-シグマADCによって受信された入力信号(調整されたアナログ信号110など)を表すデジタル信号を生成することができる。
【0018】
様々な実装形態では、デルタ-シグマADCフィードバックループにより、変調器の出力が、対象の帯域幅で入力信号を適切に表現する。デジタルフィルタ/デシメータ120は、デジタル信号のノイズを減衰させ、及び/又はそのデータレートを(例えば、ナイキストサンプリングレートまで)遅くして、デジタル信号114を提供することができる。デジタルフィルタ/デシメータ120は、デジタルフィルタ、デシメータ、又はその両方を含むことができる。デジタルフィルタは、デルタ-シグマ変調器118から受信したデジタル信号を減衰させることができ、デシメータは、デルタ-シグマ変調器118から受信されたデジタル信号のサンプリングレートを減少させることができる。
【0019】
図2は、SAR ADC回路202を含むCTDS ADC200の例の機能ブロック図である。CTDS ADC200は、図1のデルタ-シグマ変調器118の例であり得る。CTDS ADC200は、アナログ入力信号Vin(t)をデジタル出力信号dout(n)に変換することができ、デジタル出力信号doutは、サンプリングクロック周波数によって決定されたレートで、1及び0の連続したシリアルストリームを含み得る。いくつかの実装形態では、離散時間(DT)デルタ-シグマ(DS)ADCも使用できることが理解されよう。
【0020】
SAR ADC回路202は、連続的なアナログ波形を、各変換についての出力上で収束する前に、様々な可能な量子化レベルを通してバイナリ検索を介して離散的なデジタル表現に変換するADCの一種である。SAR ADC回路202は、入力電圧を取得するためのサンプル及びホールド回路を含むことができる。アナログ電圧比較器は、入力電圧をSAR ADCのDACの出力と比較し、比較の結果を、SAR ADCのDACに近似デジタル基準コードを供給するサブ回路を有するSAR論理回路に出力することができる。SAR ADCのDACは、デジタル基準コードを電圧基準に変換し、SAR ADCによって出力されたデジタル基準コードに等しいアナログ電圧を比較器に供給することができる。
【0021】
動作中、SAR ADCは、最上位ビット(MSB)がリセット又は中心値に等しくなるように初期化することができ、それは、SAR ADCのDACに供給され、DACは次いで、このデジタルコード(0)のアナログ同等物を、サンプリングされた入力電圧と比較するために比較器回路に供給する。このアナログ電圧が入力電圧を超える場合、比較器はSAR ADCにこのビットをリセットさせ、そうでない場合、ビットは1のままである。次のビットは1に設定され、同じテストが行われる。このバイナリ検索は、SARの全てのビットがテストされるまで続く。結果として得られるコードは、+/-Vrefの入力フルスケール範囲に対するサンプリングされた入力電圧のデジタル近似値であり、変換の終了時にSARによって出力される。SAR ADCの詳細な説明は、同一出願人によるBandyopadhyayらの米国特許第10,886,937号に提供され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
図2に示すように、入力アナログ電圧Vin(t)は、ループフィルタ回路206の入力に接続された入力加算ノード204に適用される。ループフィルタ回路206は、デルタ-シグマ変調器の特徴的なノイズ成形を生成するような、フィルタリングなどのCTDS ADCに典型的な動作を実行することができる。ループフィルタ回路206は、設計要件に応じて、1つ以上の積分回路段を含み得る。入力加算ノード204は、ループフィルタ回路206の積分器のOPアンプなどの演算アンプ(OPアンプ)の加算ノードとして実装され得る。
【0023】
ループフィルタ回路206の1つ以上の積分器は、入力加算ノード204の出力を積分することができる。ループフィルタ回路206の出力は、SAR ADC回路202の入力に接続された加算ノード208に適用され得る。SAR ADC回路202(及びCTDS ADC200)のデジタル出力信号dout(n)は、図1のデジタルフィルタ/デシメータ120などのデジタルフィルタ及びデシメータに適用することができ、このデジタルフィルタ/デシメータは、Mサイクルごとに平均し、ここで、Mは、1より大きい正の整数である。デシメータは、出力時の有効サンプリングレートを低減する。
【0024】
CTDS ADC200は、フィードバック経路に提供されるDAC210を更に含むことができる。DAC210は、入力加算ノード204に適用することができる、デジタル出力信号dout(n)を表すアナログ信号を生成することができる。入力加算ノード204は、アナログ入力信号vin(t)とDAC210の出力との差分を表すアナログ信号を出力することができ、これはループフィルタ回路206に入力され得る。
【0025】
SAR ADC回路202によって導入された変換遅延誤差を補償するために、ELDC回路212は、加算ノード208でループフィルタ回路206の出力に追加するために、SAR ADC回路202の出力の遅延バージョンをフィードバックするために提供され得る。特に、ELDC回路212は、ループ安定性のために、SAR ADC回路202の以前の出力コードの増幅又は減衰バージョンをフィードバックするように機能することができる。
【0026】
ELD補償は、基本的に、量子化器遅延によって引き起こされたループ応答誤差を補償するために、DACと量子化器の周りの加算器とを備えた高速フィードバック経路であり、ノイズ伝達関数(NTF)と変調器の安定性に影響を与える可能性があるため、CTDS ADCにおける重要な設計考慮事項であり得る。SAR ADCベースの量子化器は、技術と供給による電力効率とスケーラビリティのため、CTDS ADCにおける対応するFlash ADCの量子化器よりもますます人気が高まっている。また、SAR ADC量子化器に容量性DAC(C-DAC)が存在するため、ELD DACをSAR C-DACに便利に埋め込むことができ、C-DACでの電荷再分配によって追加を完了できるため、アナログ加算器を節約できる。
【0027】
このSAR量子化器とELD補償の統合により、電力と面積を大幅に節約できる。しかしながら、C-DACの構成単位コンデンサは、通常、高い電力及び面積効率の理由であるサブフェムトファラド(fF)又はfFスケールであるため、ELDC-DACユニットとSAR C-DACユニットのキャパシタンス比又は(CSAR/CELD)によって決定されるELD経路のゲインをプログラミングすることが困難になる可能性がある。しかしながら、PVT変動に起因する誤差からのシリコン加工後又はNTF復元は、ELDゲインの変更に柔軟性を必要とする。
【0028】
明示的なELD DAC及び加算器を用いるいくつかのアプローチでは、ELDゲインは、DACゲイン(例えば、現在のDAC実装形態における単位電流)又はELD経路の加算器係数を変更することによってプログラムすることができる。以下でより詳細に説明されるように、本開示は、図2のCTDS ADC200などのCTDS ADCにおけるSARベースの定量器と共に使用するための過剰ループ遅延補償(ELDC)技術を説明する。これらの技術は、ELD補償SAR量子化器におけるELDゲインを効率的にプログラム及び較正することができる。様々な技術を使用して、ELDC回路は、ELDCデジタル-アナログ変換器(DAC)のゲイン又はSAR DACのゲインなどのゲインを調整するためにデジタルにプログラム可能なキャパシタンスを有するチャージポンプを含むことができる。
【0029】
以下に説明するように、キャパシタンスCXを有するチャージポンプを使用して、サンプリング段階中にELD C-DACでサンプリングされた電荷、CELDを共有することができる。変換段階中、チャージポンプはELD C-DACから切り離され、総ELD電荷の一部を奪い、ELD C-DAC上の残りの電荷は、次いで、量子化のためにSAR C-DAC上の電荷と共に電荷再分配に参加することができる。キャパシタンスCXは、各電荷共有動作の前にリセットすることができるため、ELD C-DAC上の残りの電荷は、CELD/(CELD+CX)に比例する。したがって、スイッチ及びコンデンサを介してキャパシタンスCXを変更することにより、ELD経路のゲインを便利にプログラミングすることができる。
【0030】
また、変化範囲と精度は、それぞれCXの範囲とステップサイズによって決まる可能性がある。6ビットSARを非限定的な例として、CELD=63CELD単位コンデンサを用いて、CXを0から63までのCELD単位コンデンサに変更することにより、約2%未満のステップで、ELDゲイン範囲を50%変更することができる。また、ELDゲインをデジタルに制御することができるため、これらの技術は、ELDゲインがサイクルごとに変化するアプリケーションケースをサポートすることができる。更に、任意のCX設定のELDゲインは、既存のSAR量子化器を使用して自己較正することができる。これは、量子化器入力を切り離し、ELDフィードバックを中断し、ELD入力(デジタル)をフルスケールに設定し、SARで減衰されたELD信号を量子化することによって行うことができる。ELDゲインは、ELD入力に対する量子化器出力の比率によって求めることができる。
【0031】
図3は、本開示の様々な技術を実装することができる、逐次比較型レジスタ(SAR)アナログ-デジタル変換器(ADC)の例の機能ブロック図である。SAR ADC回路300は、図2のSAR ADC回路202の例であり、アナログ入力信号VINをデジタル出力信号doutに変換することができる。
【0032】
SAR ADC回路300は、入力304に接続されたサンプリングスイッチ302を含むことができ、ここで、入力304は、アナログ入力信号VINを受信するように構成される。SAR ADC回路300は、サンプリングスイッチ302に接続されたSAR DAC306を含むことができる。SAR DACは、SAR及びELD論理回路310によって生成されたSAR制御信号(「SAR」)308によって制御されるコンデンサのセット(図4に以下に示される)を含むことができる。
【0033】
SAR ADC回路300は、加算ノード314によってSAR DAC306に接続された過剰ループ遅延補償(ELDC)ELDC回路312を更に含むことができる。ELDC回路312は、ELDC制御信号(「ELD」)318によって制御されるコンデンサのセット(図4に示す)を有するELDC DAC316を含むことができる。更に、ELDC回路312は、ELDC DAC316のキャパシタのセットに接続され、ELDC DAC316のゲインを調整するようにプログラム可能なキャパシタンスを有するチャージポンプ320を含むことができる。いくつかの例では、ELDC回路312は、SAR ADC回路300に埋め込むことができる。すなわち、ELDC回路312は、例えば、量子化のために両方とも同じ加算ノードに電荷を印加できるように、SAR ADC回路300と密接に統合され得る。
【0034】
ELDC DAC316からの電荷は、加算ノード314におけるSAR DAC306からの電荷と組み合わせ、比較器回路322の入力に対する電圧として提供されることができる。比較器回路322は、加算ノード314によって供給されたアナログ電圧を、ビットトライアル中のデジタルコードのアナログ同等物と比較することができる。デジタルコードのアナログ同等物が、加算ノード314によって供給されたアナログ電圧を超える場合、比較器回路322は、SAR ADCにこのビットをリセットさせることができ、そうでない場合、ビットは1のままである。次のビットは1に設定され、同じテストが繰り返される。比較器回路322の出力は、SAR及びELD論理回路310に適用される。SAR及びELD論理回路310は、SAR制御信号308及びELDC制御信号318を生成することができ、デジタル出力信号doutを生成することができる。
【0035】
図4は、本開示の様々な技術による、SAR DAC並びにELDC DAC及びチャージポンプを含むELDC回路を含む、SAR ADC400のための容量性DAC構造の例を示す。図4に示す例は、例示の目的のための3ビットの例であるが、本開示の技術は、3ビットに限定されない。
【0036】
SAR DAC402は、コンデンサ404~408、例えば、4C、2C、及びCの重みを有するような、バイナリ加重コンデンサのセットを含むことができる。いくつかの例では、コンデンサ404~408のそれぞれは、特定の空間的配向を参照することなく、対応する「上部プレート」及び「下部プレート」を含むことができる。
【0037】
SAR DAC402は、図3のSAR制御信号308などのSAR制御信号によって制御することができる。図4に示すように、SAR制御信号の例は、SAR[2]、SAR[1]、及びSAR[0]の3ビット制御信号を含み、コンデンサ404~408に接続されたスイッチを制御することができ、これは、コンデンサ404~408の対応する下部プレートを、ゼロ[0]のビット値を表す第1の基準電圧又は1[1]のビット値を表す第2の基準電圧のいずれかに接続することができる。コンデンサ404~408の上部プレートは、ノード409で一緒に接続される。
【0038】
示されるSAR ADC400の部分は、入力「in」に接続されたサンプリングスイッチ410(「サンプ」)を含み得、ここで、入力は、アナログ入力信号を受信することができる。SAR DAC402は、サンプリングスイッチ410に接続され得る。更に、SAR DAC402は、短絡スイッチ414(「ショート」)などによって、ELDC回路412に接続され得る。
【0039】
図3のELDC回路312の例であるELDC回路412は、SAR ADCの以前のサンプルを表す電荷であるELDCサンプリングされた電荷を記憶するために、コンデンサ416~420、例えば、8C、4C、及び2Cの重みを有するような、バイナリ加重コンデンサのセットを含むELDC DAC415を含むことができる。いくつかの例では、コンデンサ416~420のそれぞれは、特定の空間的配向を参照することなく、対応する「上部プレート」及び「下部プレート」を含むことができる。
【0040】
ELDC DAC415は、ELDCサンプリングスイッチ417(「サンプ2」)が閉じられているときに、ELDCサンプリングされた電荷を記憶することができる。ELDC DAC415は、図3のELDC制御信号318などのELDC制御信号によって制御することができる。図4に示すように、ELDC制御信号の例は、ELD[2]、ELD[1]、及びELD[0]の3ビット制御信号を含み、コンデンサ416~420に接続されたスイッチを制御することができ、これは、コンデンサ416~420の対応する下部プレートを、ゼロ[0]のビット値を表す第1の基準電圧又は1[1]のビット値を表す第2の基準電圧のいずれかに接続することができる。コンデンサ416~420の上部プレートは、ノード422で互いに接続されることができる。
【0041】
ELDC回路412は、ELDC DAC415のコンデンサ416~420のセットに接続されたチャージポンプ424を含むことができる。ELDCゲインプログラマビリティは、チャージポンプ424によって実装され得る。すなわち、チャージポンプ424は、ELDC DAC415のゲインを調整するために、CXのキャパシタンスを有するとして図4に表されるプログラム可能なキャパシタンス426を含むことができる。チャージポンプ424は、リセットスイッチ428(「リセット」)及び電荷共有スイッチ430(「シェア」)を更に含むことができる。チャージポンプ424の例は、図9により詳細に示される。
【0042】
チャージポンプキャパシタンスCXは、サンプリングされたELDC電荷にプログラム可能な減衰係数を提供することができる。次いで、残りのELDC電荷は、SAR DACと共に電荷再分配に参加することができ、それによって、比較器回路322などの比較器回路の入力に接続された容量性DAC出力432で過剰なループ遅延補償を提供する。チャージポンプキャパシタンスCXがデジタルに制御され、複数の単位コンデンサで構成されている場合、NビットSARのチューニング分解能は1/2N未満となる。いくつかの例では、チャージポンプキャパシタンスCXは、シミュレーション及び/又はシリコン性能などの設計目標に基づいて一度設定することができ、通常の動作中に受信されたELDC制御信号コードに基づいて変化しない。
【0043】
図4に示す非限定的な例において、ELDC DAC415は、2.0倍の最大ELDCゲインを提供するために、SAR DAC402(CELD=2.0CSAR)のキャパシタンスCSAR(7C)の2倍のキャパシタンスCELD(14C)を有する。他の実装形態では、最大ELDCゲインは2.0倍以上又は2.0倍未満であり得る。
【0044】
図4の容量性DAC構造は、サンプリング段階及び変換段階を含むSARクロックサイクルを使用して動作させることができる。サンプリング段階又は変換段階は、減衰段階を含むことができる。図4の容量性DAC構造を図5のサンプリング段階に示し、減衰段階を図6に示し、変換段階を図8に示し、対応するタイミング図を図8に示す。
【0045】
図5は、本開示の様々な技術による、サンプリング段階における図4の容量性DAC構造の例を示す。サンプリング段階500では、図3のSAR及びELD論理回路310などのSAR及びELD論理回路は、様々なスイッチの動作を制御することができる。サンプリングスイッチ410は閉じられ、SAR DAC402は、量子化器入力を追跡することができる。更に、チャージポンプ424のリセットスイッチ428は閉じられ、これは、示されている例では接地など、チャージポンプ424の電圧をDC電圧にリセットする。ELDCサンプリングスイッチ417は、ELDC DAC415がELD制御信号ELD[2:0]を使用してELDC電荷をサンプリングするように閉じられている。サンプリング段階500では、短絡スイッチ414と電荷共有スイッチ430の両方が開いている。
【0046】
図6は、本開示の様々な技術による、減衰段階における図4の容量性DAC構造の例を示す。減衰段階は、サンプリング段階又は変換段階のいずれかの一部であり得る。減衰段階がサンプリング段階の一部である場合、図6に示すような構成を使用することができる。図6に示す減衰段階600では、SAR及びELD論理回路は、様々なスイッチの動作を制御することができる。
【0047】
サンプリングスイッチ410は、SAR DAC402が量子化器入力を追跡し、サンプリングすることができるように、閉じたままであり得る。SAR及びELD論理回路は、ELDCサンプリングスイッチ417を開くように制御することができ、ELDC DAC316のコンデンサ416~420のセットの下部プレートに接続されたスイッチを制御して、図示の例の接地のような、DC電圧に接続し、ノード422に接続されるコンデンサ416~420のセットの上部プレートのELDC電圧を復元することができる。
【0048】
更に、チャージポンプ424のリセットスイッチ428が開かれ、充電共有スイッチ430が閉じられる。このようにして、ELDC DAC415のコンデンサ416~420のセットは、ノード422のELDC電荷をチャージポンプキャパシタンスCXと共有するので、ELDC DAC415のコンデンサ416~420のセットの電荷は減衰される。すなわち、SAR及びELD論理回路310は、チャージポンプ424の電荷をELDC DAC415のコンデンサ416~420のセットの電荷と組み合わせて、コンデンサ416~420のセットの電荷を減衰させるようにスイッチ動作を制御することができる。いくつかの例では、論理回路は、チャージポンプ424の電荷をコンデンサ416~420のセットの上部プレートの電荷と組み合わせて、コンデンサ416~420のセットの電荷を減衰させるようにスイッチ動作を制御することができる。
【0049】
図6に示す減衰段階の非限定的な例では、(14C)x(ELD制御信号ELD[2:0])の電圧が、ELDC DAC415のコンデンサ416~420のセットの上部プレート上に、又はノード422に存在する。チャージポンプキャパシタンスCXは、電荷共有スイッチ430が閉じられる前にリセットされたため、減衰段階中にいかなる電荷も取らない。CX=2Cの場合、非限定的な例として、実際のゲインは、減衰段階後に2×(ELD制御信号ELD[2:0])×(14/16)であり、2×ゲイン係数は、CELD=2.0CSARという仮定に基づく。
【0050】
図7は、本開示の様々な技術による、変換段階における図4の容量性DAC構造の例を示す。変換段階700は、図5のサンプリング段階500に従う。図7に示す変換段階700では、SAR及びELD論理回路は、様々なスイッチの動作を制御することができる。SAR及びELD論理回路がサンプリングスイッチを開くとき、アナログ入力信号は、コンデンサ404~408のセット上にサンプリングされる。変換段階では、サンプリングスイッチ410と電荷共有スイッチ430の両方が開いている。
【0051】
変換段階700では、チャージポンプ424がELDC電荷の一部分を取り除いており、次いで、電荷共有スイッチ430を開くことによってELDC DAC415から切り離される。更に、SAR及びELD論理回路は、短絡スイッチ414を閉じるように制御することができ、これは、SAR DAC402のコンデンサ404~408のセットをELDC DAC415のコンデンサ416~420のセットと接続し、それによって、サンプリングされたアナログ入力信号を表すコンデンサ404~408のセットの電荷を、チャージポンプ424の以前に組み合わせられた電荷及びELDC DAC415のコンデンサ416~420のセットの電荷と組み合わせて、後続の電荷の組み合わせを生成する。SAR及びELD論理回路は、SAR DAC及びELDC DACを制御して、後続の電荷の組み合わせでの変換のいくつかのビットトライアルを実行することができる。このようにして、ELDC DAC415のコンデンサ416~420からの電荷を、SAR DAC402のコンデンサ404~408のセットからの電荷と融合させて、SARバイナリ検索及び電荷再分配に参加させることができる。
【0052】
図6に示す非限定的な例では、アナログ入力信号は、SAR DAC402のコンデンサ404~418のセットの7Cキャパシタンスを使用してサンプリングされ得る。ゲイン制御されるELD制御信号は、ELD DAC415のコンデンサ416~420のセットの14Cキャパシタンスを使用して適用することができる。変換段階では、(7C)x(サンプリングされたアナログ信号)の電圧を(14C)x(ELD制御信号)で加算し、これはチャージポンプによって変更された電荷である。このようにして、サンプリングされたアナログ信号を1/3倍減衰させ、ELD制御信号を2/3倍減衰させる。
【0053】
図8は、本開示の様々な技術による、図4の容量性DAC構造を動作させるために使用することができるタイミング図の例である。タイミング図800は、サンプリングスイッチ410(「サンプ」)、ELDCサンプリングスイッチ417(「サンプ2」)、電荷共有スイッチ430(「シェア」)、及び短絡スイッチ414(「ショート」)の動作を示す。タイミング図800は更に、図3のELD制御信号318などのELD制御信号(「ELD」)と、図3のSAR制御信号308などのSAR制御信号(「SAR」)とを示す。
【0054】
SARクロックサイクル802は、サンプリング段階804及び変換段階806を含むことができる。サンプリング段階804は、ELDサンプリング部分808と、ELDリセット及び電荷共有部分810との2つの部分を含むことができる。ELDリセット及び電荷共有部分810は、図6に関して上記に示され説明される減衰段階とも称される。
【0055】
図9は、図4のチャージポンプの例をより詳細に示す。示される例では、チャージポンプ424は、様々なコンデンサ、例えば、単位コンデンサの下部プレートに接続されたスイッチを制御することができる5ビットのチャージポンプコードCcsh[4:0]を受信することができる。5ビットのチャージポンプコードCcsh[4:0]は、それぞれコンデンサ900~908を制御することができる。図示の例では、コンデンサ900~908は、8C、4C、2C、C、及びC/2のキャパシタンスを有することができる。
【0056】
上記のように、いくつかの例では、チャージポンプキャパシタンスCXは、シミュレーション及び/又はシリコン性能などの設計目標に基づいて一度設定することができ、通常の動作中に受信されたELDC制御信号コードに基づいて変化しない。チャージポンプキャパシタンスCX、したがって、図9の5ビットのチャージポンプコードCcsh[4:0]のような、チャージポンプコードを決定するために、SAR ADC回路は、図10及び図11に示すような、較正技術を実行することができる。
【0057】
図10は、図3のSAR ADC回路の較正技術の例を示す。図10において、単一点較正方法を示す。まず、較正有効信号(「en_cal」)をSAR及びELD論理回路310に適用することができる。これに応答して、例えば、SAR及びELD論理回路310を使用してサンプリングスイッチ302を閉じ、入力304を接地へと短絡させることによって、量子化器入力を短絡させることができる。更に、スイッチを開くなどして、ELDフィードバックループ1000を中断することができる。次に、SAR及びELD論理回路310は、最大コード[1,1,1,1,…,1]を有するELDC制御信号318を適用することができ、これに応答して、SAR ADC回路1002は正常に動作を開始することができる。
【0058】
SAR ADC回路1002の入力が0である(入力が接地される)ため、SAR ADC回路1002の出力信号(「deld」)は、ELDC電荷のスケールされたデジタル表現であり、これは、以下の式1を使用して表すことができる。
【0059】
【数1】
【0060】
式中、GELDは、ELDC DAC316のゲインを表し、Nは、SAR ADC回路1002のビット数である。図9の制御コードCcsh[4:0]のようなチャージポンプキャパシタンス制御コードは、所望のELDCゲインGELDが達成されるまで調整することができる。その後、決定されたコードを通常動作モードで適用することができる。
【0061】
図11は、図3のSAR ADC回路の較正技術の別の例を示す。2点較正方法を図11に示す。まず、較正有効信号(「en_cal」)をSAR及びELD論理回路310に適用することができる。これに応答して、例えば、SAR及びELD論理回路310を使用してサンプリングスイッチ302を閉じることなどによって、0Vを含むSAR ADC回路入力範囲内の入力基準電圧V1を量子化器入力に適用することができる。更に、スイッチを開くなどして、ELDフィードバックループ1100を中断することができる。
【0062】
次に、SAR及びELD論理回路310は、第1のコードを有するELDC制御信号318を適用することができ、これに応答して、SAR ADC回路1002は通常動作を開始することができる。SAR及びELD論理回路310は、出力信号(「deld」)をSARコードd1(又は「第1のELDデジタル出力較正信号」)として記憶することができる。
【0063】
SAR及びELD論理回路310は、第2のコードを有するELDC制御信号318を適用することができ、これに応答して、SAR ADC回路1002は、通常動作を開始することができる。SAR及びELD論理回路310は、出力信号(「deld」)をSARコードd2(又は「第2のELDデジタル出力較正信号」)として記憶することができる。
【0064】
SAR ADC回路1102の入力は依然として基準電圧V1にあるため、SAR ADC回路1002のSARコードd2は、ELDC電荷に入力基準電圧V1を加えたスケール化されたデジタル表現であり、これは、以下の式2を使用して表すことができる。
【0065】
【数2】
【0066】
ここで、GELDは、ELDC DAC316のゲインであり、Nは、SAR ADC回路1102のビット数であり、SARコードd1は、第1のコードを有するELDC制御信号318を使用するSAR ADC回路の出力であり、SARコードd2は、第2のコードを有するELDC制御信号318を使用するSAR ADC回路の出力である。
【0067】
図9の制御コードCcsh[4:0]のようなチャージポンプキャパシタンス制御コードは、所望のELDCゲインGELDが達成されるまで調整することができる。その後、決定されたコードを通常動作モードで適用することができる。いくつかの例では、第1のコードは、最小コード[0,0,0,0,…,0]であり得、第2のコードは、最大コード[1,1,1,1,…,1]であり得るが、図11の技術は、任意の2つの点に適用可能であり、最小及び最大の使用に限定されない。
【0068】
図11の技術を使用して、SAR及びELD論理回路310は、較正信号を受信することができ、これに応答して、基準電圧、例えば基準電圧V1に設定されたアナログ入力信号を用いて、ELD制御信号が第1のコード値に設定された第1のELDデジタル出力較正信号、例えばSARコードd1、及びELD制御信号が第2のコード値に設定された第2のELDデジタル出力較正信号、例えばSARコードd2を決定するためにスイッチ動作を制御することができる。次いで、SAR及びELD論理回路310は、第1のELDデジタル出力較正信号、例えば、SARコードd1、及び第2のELDデジタル出力較正信号、例えば、SARコードd2に基づいて、チャージポンプ制御コード、例えば、図9のCcsh[4:0]を決定することができ、ここで、チャージポンプ制御コードは、チャージポンプのキャパシタンスをプログラムする。
【0069】
図3に示す例では、ELDC回路312は、ELDC DAC316のコンデンサのセットに接続されたチャージポンプ320を含むことができる。図12に示されるような他の例では、チャージポンプは、SAR DAC306のコンデンサのセットに接続され得る。
【0070】
図12は、本開示の様々な技術を実装することができる、SAR ADCの別の例の機能ブロック図である。SAR ADC回路1200は、図2のSAR ADC回路202の例であり、アナログ入力信号VINをデジタル出力信号doutに変換することができる。図12の態様の多くは、図3に示されるものと同様であり、したがって、簡潔にするために、再度詳細に説明しない。
【0071】
図3のように、SAR DAC306は、コンデンサ1202のセットを含むことができ、ELDC DAC316は、コンデンサ1204のセットを含むことができる。図3とは対照的に、図12のSAR ADC回路1200のチャージポンプ320は、ELDC DAC316内のコンデンサ1204のセットではなく、SAR DAC306内のコンデンサ1202のセットに接続されている。チャージポンプ320は、SAR DAC306のゲインを調整するためのプログラム可能なキャパシタンスを有する。SAR及びELD論理回路310は、SAR制御信号及びELDC制御信号を生成することができ、SAR及びELD論理回路310は、デジタル出力信号を生成することができる。
【0072】
本開示の技術は、幅広い調整範囲及び高精度の両方を提供する。ELDゲイン計算GELDは、以下の式3に示される:
【0073】
【数3】
【0074】
式中、CELDは、図4のELD DAC415などのELD DACのキャパシタンスであり、ここで、CSARは、図4のSAR DAC402などのSAR DACのキャパシタンスであり、Cは、図4のチャージポンプ424などのチャージポンプのキャパシタンスである。式3において、項
【数4】
は、ELDとSARキャパシタンスとの間のゲインを表し、項
【数5】
は、チャージポンプのキャパシタンスCに起因して追加された減衰を表す。キャパシタンスCがCELDに比べて増加すると、項C/CELDが増加し、項
【数6】
が減少する。このようにして、本技法は、プログラム可能なキャパシタンスC.の値に基づいて減衰のための広い調整範囲を提供することができる。
【0075】
図9の5ビットのチャージポンプコードCcsh[4:0]などのマルチビットチャージポンプコードを使用することによって、本開示の技術によって高ELDゲイン精度を達成することができる。他の実装形態は、5ビットを超える、又は5ビット未満のチャージポンプコードを含むことができる。チャージポンプコード内のビット数を増加させることで、調整範囲内のステップ数を増加させ、ステップサイズを減少させ、それによって精度を上げることができる。
【0076】
図13は、受信したアナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するために、逐次比較型レジスタ(SAR)アナログ-デジタル変換器(ADC)を動作させる方法1300の例のフロー図である。ブロック1302において、方法は、過剰ループ遅延補償(ELDC)回路のチャージポンプを、SARデジタル-アナログ変換器(DAC)の第1のセットのコンデンサ又はELDC回路のELDC DACの第2のセットのコンデンサのいずれかに接続することを含み得、ここで、ELDC回路は、加算ノードによってSAR DACに接続され、チャージポンプは、ゲインを調整するためにプログラム可能なキャパシタンスを有する。例えば、図3のSAR ADC回路300は、図4のコンデンサ416~420などの、ELDC DAC316のコンデンサのセットに接続されたチャージポンプ320を有するELDC回路312を含む。別の例として、図12のSAR ADC回路300は、SAR DAC306内のコンデンサ1202のセットに接続されたチャージポンプ320を有するELDC回路312を含む。
【0077】
ブロック1304において、方法は、それぞれ、第1のセットのコンデンサ及び第2のセットのコンデンサを制御するために、SAR制御信号及びELDC制御信号を生成することを含むことができる。例えば、図3のSAR及びELD論理回路310は、図4のコンデンサ416~420を制御するためのSAR制御信号308及び図4のコンデンサ416~420を制御するためのELDC制御信号318を生成することができる。
【0078】
ブロック1306において、方法は、図3のデジタル出力信号doutなどのデジタル出力信号を生成することを含むことができる。
【0079】
いくつかの例では、方法は、チャージポンプを第2のセットのコンデンサに接続することを含み得、プログラム可能なキャパシタンスはELDC DACのゲインを調整する。いくつかの例では、方法は、チャージポンプの電荷を第2のセットのコンデンサの電荷と組み合わせて、第2のセットのコンデンサの電荷を減衰させるようにスイッチ動作を制御することを含むことができる。
【0080】
いくつかの例では、第1のセットのコンデンサのうちのコンデンサは、対応する上部プレート及び下部プレートを有し、第2のセットのコンデンサのうちのコンデンサは、対応する上部プレート及び下部プレートを有し、方法は、チャージポンプの電荷を第2のセットのコンデンサの上部プレートの電荷と組み合わせて、第2のセットのコンデンサの電荷を減衰させるようにスイッチ動作を制御することを含むことができる。
【0081】
いくつかの例では、方法は、サンプリングされたアナログ入力信号を表す第1のセットのコンデンサの電荷と、チャージポンプの前に組み合わされたチャージ及び第2のセットのコンデンサの電荷とを組み合わせて、電荷の後続の組み合わせを生成するように変換段階中にスイッチ動作を制御することと、電荷の後続の組み合わせで変換のいくつかのビットトライアルを実行するようにSAR DAC及びELDC DACを制御することと、を含むことができる。
【0082】
いくつかの例では、方法は、較正信号を受信することと、これに応答して、アナログ入力信号を基準電圧に設定して、ELDC制御信号が第1のコード値に設定される第1のELDデジタル出力較正信号と、ELDC制御信号が第2のコード値に設定される第2のELDデジタル出力較正信号とを決定するように、及び
第1のELDデジタル出力較正信号及び第2のELDデジタル出力較正信号に基づいて、チャージポンプ制御コードを決定するようにスイッチ動作を制御することと、を含み得、チャージポンプ制御コードが、チャージポンプのキャパシタンスをプログラムする。
【0083】
いくつかの例では、方法は、チャージポンプを第1のセットのコンデンサに接続することを含み得、プログラム可能なキャパシタンスは、SAR DACのゲインを調整する。
【0084】
備考
本明細書に記載されている非限定的な態様又は例の各々は、それ自体で成り立つ場合もあれば、又は他の例のうちの1つ以上との様々な順列若しくは組み合わせで組み合わされる場合もある。
【0085】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面への参照を含む。図面は、実例として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ばれる。そのような例は、図示又は記載されたものに加えて要素を含むことができる。しかし、本発明者らは、図示又は記載された要素のみが提供される例も企図する。更に、本発明者らはまた、特定の例(又はその1つ以上の態様)に関して、又は本明細書に図示又は記載された他の例(又はその1つ以上の態様)のいずれかに関して、図示又は記載されたそれらの要素(又はその1つ以上の態様)の任意の組合せ又は順列を使用する例も企図する。
【0086】
本文書と参照により組み込まれる任意の文書との間で使用法に矛盾がある場合には、本文書における使用法を調節する。
【0087】
本文書では、「a」又は「an」という用語は、特許文書で一般的であるように、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」の任意の他の実例又は使用法とは関係なく、1つ又は1つ以上を含むように使用される。本文書では、「又は」という用語は、特に指定のない限り、「A又はB」が「BでなくてA」、「AでなくてB」、並びに「A及びB」を含むように、非排他的な「又は」を指すために使用される。本文書では、「含む(including)」及び「それにおいて(in which)」という用語は、「備える(comprising)」及び「それにおいて(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の同等語として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む」及び「備える」という用語は制限のないものであり、すなわち、請求項でそのような用語の後に列挙されたものに加えて、要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又はプロセスは、依然としてその請求項の範囲内にあると考えられる。更に、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、及び「第3」などの用語は単にラベルとして使用され、その対象に数値的な要件を課すことを意図するものではない。
【0088】
本明細書に記載される方法の例は、少なくとも部分的に機械又はコンピュータに実装されてもよい。いくつかの例は、上記の例に記載されたような方法を実行するために電子デバイスを構成するように動作可能な命令でコード化されたコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含んでもよい。そのような方法の実装形態は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含んでもよい。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含んでもよい。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成してもよい。更に、一例では、コードは、実行中又は他の時点などで、1つ以上の揮発性、非一時的、又は不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形に記憶されてもよい。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)などを含み得るが、これらに限定されない。
【0089】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではないことが意図される。例えば、上記の例(又はその1つ以上の態様)を互いに組み合わせて使用してもよい。当業者などによって、上記の説明を検討することにより、他の実施形態を使用してもよい。要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために、37C.F.R§1.72(b)に準拠して提供される。要約は、特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないということを理解した上で提出される。また、上記の発明を実施するための形態では、開示を簡素化するために、さまざまな特徴をグループ化してまとめることができるこれは、特許請求されていない開示された特徴がいずれかの請求項に不可欠であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴にない場合がある。したがって、以下の特許請求の範囲は、これにより、例又は実施形態として発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態としてそれ自体で成り立ち、かつそのような実施形態は、様々な組み合わせ又は順列で互いに組み合わせてもよいことが企図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
【符号の説明】
【0090】
100 データ取得システム
102 入力信号
104 センサ回路
106 アナログ信号
108 信号調整回路
110 調整されたアナログ信号
112 アナログ-デジタル変換器(ADC)回路
114 デジタル信号
116 デジタル信号プロセッサ(DSP)回路
118 デルタ-シグマ変調器
120 デジタルフィルタ/デシメータ
200 連続時間(CT)デルタ-シグマ(DS)ADC
202 逐次比較型レジスタ(SAR)ADC回路
204 入力加算ノード
206 ループフィルタ回路
208 加算ノード
210 デジタル-アナログ変換器(DAC)
212 過剰ループ遅延補償(ELDC)回路
300 SAR ADC回路
302 サンプリングスイッチ
304 入力
306 SAR DAC
308 SAR制御信号
310 SAR及びELD論理回路
312 ELDC回路
314 加算ノード
316 ELDC DAC
318 ELDC制御信号
320 チャージポンプ
322 比較器回路
400 SAR ADC
402 SAR DAC
404,406,408 コンデンサ
409 ノード
410 サンプリングスイッチ
412 ELDC回路
414 短絡スイッチ
415 ELDC DAC
416,418,420 コンデンサ
417 ELDCサンプリングスイッチ
422 ノード
424 チャージポンプ
426 キャパシタンス
428 リセットスイッチ
430 電荷共有スイッチ
432 容量性DAC出力
900,902,904,906,908 コンデンサ
1000 ELDフィードバックループ
1002 SAR ADC回路
1100 ELDフィードバックループ
1200 SAR ADC回路
1202,1204 コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】