(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081370
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】モータ用ロータ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20230602BHJP
H02K 1/2783 20220101ALI20230602BHJP
【FI】
H02K15/02 K
H02K1/2783
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022191272
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】2117310.9
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2217803.2
(32)【優先日】2022-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】522252637
【氏名又は名称】イーティーエー グリーンパワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ETA Green Power Limited
【住所又は居所原語表記】Hethel Engineering Centre Chapman Way Hethel NR14 8FB United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】リアム ボウマン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド モーガン
【テーマコード(参考)】
5H615
5H622
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615PP02
5H615SS03
5H615TT13
5H622PP03
(57)【要約】
【課題】電気モータの効率を向上させること。
【解決手段】製造方法は、熱間成形ステップ及び機械加工ステップを含む。ロータ本体は、回転軸102を有し、第1直径を有する第1円筒部104と、第1直径よりも大きい第2直径を有する第2円筒部106と、第2直径よりも小さい第3直径を有する第3円筒部108とを備えている。第3円筒部は、ロータ本体100の第2端に位置する。第1エンドキャップ110は、第1及び第2円筒部を一緒に結合し、第2エンドキャップ112は、第1及び第3円筒部分を一緒に結合する。第1、第2及び第3円筒部は、すべて、第2円筒部108と第1及び第2エンドキャップとが一体となってロータ本体100内に中空キャビティ114を画定するように、ロータ本体100の回転軸102と同軸に配置される。ロータ本体100は、ハルバッハアレイを備えてもよい。
【選択図】
図2D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットレス電気モータに使用するロータを製造する方法であって、
第1端部及び第2端部と、第1端部と第2端部との間の中央部と、を有する中空チューブを提供するステップと、
熱間成形を用いて前記中空チューブを変形させ、前記第1端部に第1狭窄部及び前記第2端部に第2狭窄部を形成するステップと、
を備え、
前記中空チューブは、変形中に回転され、
前記第1狭窄部を形成するための前記中空チューブの熱間成形中に前記第1端部が加熱され、前記第2狭窄部を形成するための前記中空チューブの熱間成形中に前記第2端部が加熱されることにより、前記中央部が前記第1狭窄部及び前記第2狭窄部の間に位置する中空キャビティを取り囲むロータを提供し、
前記中央部は、前記第1狭窄部及び前記第2狭窄部よりも大きな直径を有し、第1エンドキャップ及び第2エンドキャップにより前記第1端部及び前記第2端部にそれぞれ結合されている、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
熱間成形は、誘導加熱を用いて前記中空チューブを加熱するステップを含む、
方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記ロータの回転対称性を改善し、
前記第1狭窄部及び前記第2狭窄部の一方又は両方に取り付け形態又は他のコネクタを設け、
及び/又は前記ロータを軽量化するための、
前記ロータを機械加工するステップを備えている、
方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1端部を変形させて前記第1狭窄部を形成するステップと、
その後に前記第2端部を変形させて前記第2狭窄部を形成するステップと、
を備えている、
方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記第1端部を変形させた後、前記第2端部を変形させる前に、
前記中央部の内部、前記第1端部の内面、及び/又は前記第1エンドキャップの内面を機械加工するステップを適用することを含む、
方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法において、
前記中央部の内部、前記第1端部の内面、及び/又は前記第1エンドキャップの内面に、冷却特性及び/又は磁気特性を提供する1又は複数の要素を統合するステップを含む、
方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法において、
成形開始時に提供される前記中空チューブは、前記中空チューブの長さに沿って一定の内径を有している、
方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法において、
成形開始時に提供される前記中空チューブは、前記中空チューブの長さ方向に変化する外径を有している、
方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法において、
成形開始時に提供される前記中空チューブは、前記第1端部と前記第2端部との間の前記中央部の肉厚が、前記第1端部及び前記第2端部のそれぞれの肉厚よりも厚い、
方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれ1項に記載の方法において、
前記中央部の外面に磁化要素を取り付けるステップをさらに備えている、
方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれ1項に記載の方法において、
前記中央部の外面に磁化可能要素を取り付けるステップをさらに備えている、
方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記磁化可能要素を磁化して磁化要素を形成するステップをさらに備えている、
方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の方法において、
前記中央部の領域を磁化して磁化要素を形成するステップをさらに備えている、
方法。
【請求項14】
請求項10、12、13のいずれか1項に記載の方法において、
前記磁化要素がハルバッハアレイに配置され、前記ハルバッハアレイの強磁束側が前記ロータの外側に向けられている、
方法。
【請求項15】
請求項10、11、請求項10又は11に従属する請求項のいずれか1項に記載の方法において、
前記磁化要素又は前記磁化可能要素は、接着層を用いて取り付けられている、
方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記磁化要素又は前記磁化可能要素は、前記接着層内に結合されている、
方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の方法において、
前記接着層は、エポキシ樹脂である、
方法。
【請求項18】
請求項10から17のいずれか1項に記載の方法において、
前記磁化要素又は前記磁化可能要素の周囲に保護スリーブを装着するステップをさらに備え、
前記保護スリーブは、前記磁化要素又は前記磁化可能分に隣接して、外側に配置される、
方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の方法において、
前記中空チューブは、鉄又は鋼のような鉄合金から形成されている、
方法。
【請求項20】
円筒形キャビティを形成するスロットレスステータ巻線の外層と、
前記円筒形キャビティ内に配置されたロータと、
を備え、
前記ロータは、中空であり、前記ロータが回転対称となる回転軸を有し、
前記ロータは、
第1直径を有し前記ロータの第1端に位置する第1端部と、
前記第1直径より大きい第2直径を有する中央部と、
前記第2直径よりも小さい第3直径を有する第2端部と、を備え、
前記第1端部及び前記第2端部は、前記中央部に対して対向する端部に位置し、
前記第1端部は、第1エンドキャップにより前記中央部に結合され、前記第2端部は、第2エンドキャップにより前記中央部に結合され、
前記中央部、前記第1エンドキャップ及び前記第2エンドキャップは、一体となって前記ロータ内の中空キャビティを画定し、
前記中央部に磁化要素が設けられ、
前記中央部の非磁化要素と前記中央部の前記磁化要素との半径方向の厚さの比が1未満である、
スロットレス電気モータ。
【請求項21】
請求項20に記載のモータにおいて、
前記ロータは、単一ピースとして形成されている、
モータ。
【請求項22】
請求項20又は21に記載のモータにおいて、
前記ロータは、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法により提供される、
モータ。
【請求項23】
請求項20から22のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記磁化要素は、前記中央部に取り付けられた別個の要素である、
モータ。
【請求項24】
請求項20から22のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記磁化要素は、前記中央部の磁化された領域である、
モータ。
【請求項25】
請求項20から24のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記磁化要素は、ハルバッハアレイに配置され、前記ハルバッハアレイの強磁束側が前記ロータの外側に向けられている、
モータ。
【請求項26】
請求項20から25のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記ロータは、鉄又は鋼のような鉄合金から形成されている、
モータ。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか1項に記載の方法又はモータにおいて、
前記ロータの長さは、少なくとも100mmであり、
前記中央部の直径は、少なくとも75mmであり、
及び/又は前記ロータの重量は、1kg以下である、
方法又はモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電気モータ用ロータに関し、特に軽量化を目指したロータに関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の使用から脱却し、電動社会への移行が進む中、電動ソリューションの効率化がますます重要視されている。自動車産業や、電気モータ等の電動の動力を利用する分野は、電化が進んでいる大きな分野である。このため、電気モータの効率を向上させることが求められている。
【0003】
本願は、電気モータの設計に関して、上記で設定された課題を対象とするものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で開示されるのは、スロットレス電気モータで使用するロータを製造する方法である。この方法は、第1端部及び第2端部と、第1端部と第2端部との間の中央部と、を有する中空チューブを提供するステップと、熱間成形を用いて中空チューブを変形させ、第1端部に第1狭窄部及び第2端部に第2狭窄部を形成するステップと、を備えている。中空チューブは、変形中に回転され、第1狭窄部を形成するための中空チューブの熱間成形中に第1端部が加熱され、第2狭窄部を形成するための中空チューブの熱間成形中に第2端部が加熱されることにより、中央部が第1狭窄部及び第2狭窄部の間に位置する中空キャビティを取り囲むロータを提供する。中央部は、第1狭窄部及び第2狭窄部よりも大きな直径を有し、第1エンドキャップ及び第2エンドキャップにより第1端部及び第2端部にそれぞれ結合されている。
【0005】
この方法が完了するまでに、第1端部及び第2端部が狭くなり、これらの点にそれぞれ第1直径と第2直径が提供される。したがって、狭窄プロセスにより、第1及び第2直径のそれぞれは、中央部における直径よりも狭く、中央部は、未変形チューブにおける直径のままである。
【0006】
変形中の回転は、ほぼチューブの軸についてである。すなわち、チューブは(中空中央キャビティを通る)長手軸について回転対称性を有し、変形中にこの長手軸を中心に回転される。このとき、熱間成形工具を使用することで、端部を所望の寸法に成形することを補助し、回転と組み合わせることで、得られるロータができるだけ大きな回転対称性を有するようにすることができる。
【0007】
この方法では、中央部は加熱や変形を必要としないので、チューブを適切に選択することで所望の寸法や材料特性に設定することができる。特に、中央部(すなわち最も幅の広い部分)の回転対称性は、成形を開始する前に固定することができる(特定の特徴を含む場合は、熱間成形の前にチューブを機械加工することを含む)。中央部の回転対称性は、最も幅の広い部分であるため、ロータの単位長さあたりの質量が一定であれば慣性モーメントが大きくなり、回転対称性からの偏差がこの部分に大きな影響を与えるため、考慮が必要である。また、加熱や変形によって材料特性が損なわれることがあるため、中央部の変形や加熱が不要であることは、元のチューブの材料特性を制御して保持することができる。
【0008】
熱間成形により、ロータは薄肉円筒からスタートする。スタートする前に、可能かつ望ましい場合には機械加工を施し、軽量化し、内外面に望ましい表面特性を持たせることができる。この薄肉軽量化技術は、あらゆるモータ設計、例えばスロットモータ等の既存技術に利用することができる。しかし、スロットモータ等の従来のモータでは、薄壁は、材料における渦損失の増加、背面鋼における磁場の不足による磁気強度の低下、及び/又は機械的サポートの不足につながる可能性があり、このような磁場をサポートするために厚いバッキング材が望まれるようになる。中空ロータの他の方法としては、チューブの外径に磁石を取り付けただけのものがある。この場合も、機械的な固定(ネジ穴など)をサポートするために厚みを持たせるか、シャフトの外径に固定された磁石を損傷しないように、シャフトの圧入をサポートする機械的な厚みを持たせる必要がある。先行するすべての解決策は、性能と機械的要件に対応する望ましい解決策を達成するために、厚い背鋼を必要とした。これに対して、本発明では、薄肉配置の利点をフルに活用することができる。
【0009】
任意に、誘導加熱を熱間成形プロセスで使用することができる。加熱(誘導によって提供されるか否かにかかわらず)は、変形されるべきチューブの部分(例えば、第1端部、第1エンドキャップ、第2エンドキャップ、第2端部)にのみ適用することができる。
【0010】
この方法は、ロータの回転対称性を改善し、狭窄部の一方又は両方に取り付け形態又は他のコネクタを設け、及び/又は前記ロータを軽量化するために、ロータを機械加工することをさらに含んでもよい。これらの機械加工ステップは、ロータを所定の用途に最適化するために使用することができる。
【0011】
第1端部は、第2端部の変形とは別に変形させてもよく、例えば、第1端部を変形させて第1狭窄部を形成し、及びその後に第2端部を変形させて第2狭窄部を形成することを含んでもよい。
【0012】
具体的には、第1端部を変形させた後、第2端部を変形させる前に、中央部の内部、第1端部の内面、及び/又は第1エンドキャップの内面に機械加工ステップを施すことを含んでもよい。
【0013】
さらに、又は代替的に、本方法は、中央部の内部、第1端部の内面、及び/又は第1エンドキャップの内面に、冷却特性及び/又は磁気特性を与えるための1又は複数の要素を統合することを含んでもよい。この順序で方法ステップを配置する(すなわち、一方の端部を狭くし、次に要素を機械加工又は追加し、次に第2端部を狭くする)ことにより、他の方法では不可能なロータの内部の部分へのアクセスが可能になり、これにより、製造プロセスに汎用性を持たせることで、最終的な仕上がりを向上させている。
【0014】
オプションとして、本方法の開始時に提供されるチューブは、チューブの長さに沿って一定の内径を有する。同様に、本方法の開始時に提供されるチューブは、チューブの長さに沿って変化する外径を有することができる。すなわち、方法の開始時に提供されるチューブは、変化する壁厚を有してもよく、例えば、第1及び第2端部のそれぞれにおける壁厚よりも、第1及び第2端部の間の中央部において厚い壁厚を有してもよい。一定の内径は、変形していないチューブのすべての領域へ容易にアクセスでき、実施される製造プロセス中の処理ステップに対して予測可能な特性を有することを保証する。チューブの長さに沿って肉厚が変化することを許容することは、所望の特性の最終製品を形成することをアシストすることができる。
【0015】
特に、中央部は変形しないので、想定される用途で要求されるあらゆる肉厚を選択することが可能である。この部分は変形しないので、製造前にこの厚さの公差を厳しく管理することができ、この部分の回転対称性を高い精度で確保することができる。さらに、この特殊な製造プロセスにより、肉厚を他の設計よりも大幅に薄くすることができる。最後に、端部が変形して両端が細くなるため、チューブの端部を構成する材料は、この方法が完了するまでに、より小さな直径に分配される。この直径の減少により、これらの領域の肉厚が厚くなる(狭窄プロセスでその部分の直径が減少すると、一定量の材料がより小さな断面積に分配されるようになるため)。これに対抗するために、プロセスの初期段階で提供されるチューブの肉厚は、各端部でより薄くすることができ、特定の厚さは、プロセスの終了時に狭められた端部で所望の最終肉厚を提供するように選ばれる。
【0016】
本明細書で開示する熱間成形方法は、ストレートチューブである場合もあるが、機械的処理によって作られた形状である場合もある管状デバイスから開始する。例えば、管状デバイスの壁を薄くすることは、低重量のロータを実現するために後で除去する必要のある材料(ロータがキャビティを囲むように形成された後は、いずれにしても困難または不可能である場合がある)を少なくすることを意味する場合がある。ロータが軽量化されることにより、電気モータの効率が向上するため、構造手順が複雑化することは正当化される。
【0017】
最初のチューブは、多くの開始形態を有することができることは明らかであろう。例えば、内径外径が一定の直円筒形チューブの一部、熱間成形プロセスを開始するために予め最適化された肉厚を得るために材料を除去しながらチューブを旋削して作成した機械加工チューブ状デバイス、又は別の変形方法(鍛造、プレス、鋳造)によって作成したチューブ状デバイス等である。
【0018】
磁化部分又は磁化可能部分は、中央部の外面にさらに取り付けられてもよい。磁化可能部分は、その後(取り付け後)磁化されて、磁化部分を形成することができる。さらに、又は代替的に、この方法は、磁化部分を形成するための中央部の領域を含むことができる。
【0019】
すなわち、磁化部分の一部又は全部は、中央部に取り付けられた別個の要素であってもよい。同様に、磁化可能部分の一部又は全部は、その後の磁化のために中央部分に取り付けられた別個の要素であってもよい。さらなる例では、磁化部分又は磁化可能部分の一部又は全部が、中央部の磁化領域である。いくつかの例では、磁化は、一部が中央部に取り付けられた別個の要素として提供され、一部が中央部の磁化部分として提供されてもよい。例えば、中央部には、別個の磁化要素を受け入れるための一連の軸方向の溝があり、軸方向の溝の間に位置する中央部の領域は磁化可能で、中央部の周りに(角度によって異なる方向ではあるが)連続した磁化を可能にすることができる。これにより、電気的に制御可能なステータコイルの適切なセット内で使用できるロータが得られ、モータを形成することができる。
【0020】
オプションとして、磁化部分はハルバッハアレイに配置され、ハルバッハアレイの強磁束側はロータから外側に向けられる。これにより、磁束はロータの外側で最も強く、アレイの中空内部では低いか、あるいはゼロに近づくことが保証される。中空ロータとハルバッハアレイとの組み合わせは、中空ロータとハルバッハアレイとの相乗効果により、特に有益である。簡単に言うと、ハルバッハアレイは磁化部分の磁束のほとんどまたはすべてを外側に向けるように配置されており、ロータの中空内部の磁束は小さいか無視できる程度であることを意味している。このことは、ロータが特定の方法で磁束を導くように配置する必要がないことを意味し、したがって高効率を維持しながら中空にすることができる。
【0021】
磁化部分または磁化可能部分は、接着層を用いて取り付けられてもよく、例えば、それらは接着層内で結合されてもよい。好適な接着剤はエポキシ樹脂であり、これは強力で耐久性のある取り付けを提供する。
【0022】
本方法は、磁化部分又は磁化可能部分の周囲に保護スリーブを装着することを含んでもよく、保護スリーブは、磁化部分又は磁化可能部分に隣接し、その外側に配置される。これにより、磁化部分を所望の位置に維持することができる。
【0023】
中空チューブは、鉄又は鋼などの鉄合金から形成されてもよい。本明細書に記載のロータ本体を形成するための適切な出発材料の例は、規格EN10305-1:2016に示されるようなシームレス冷間引抜鋼管である。本明細書に記載のロータ本体を形成するためのチューブのより具体的な例は、規格EN10305-1:2016E355+Cに準拠するものである。このクラスの材料は、所望の強度特性と適切な磁気特性とを兼ね備えている。
【0024】
また、本明細書では、円筒形キャビティを規定するスロットレスステータ巻線の外層と、円筒形キャビティ内に配置されたロータと、を備えるスロットレス電気モータを開示する。ロータは、中空であり、ロータが回転対称となる回転軸を有する。ロータは、第1直径を有しロータの第1端に位置する第1端部と、第1直径より大きい第2直径を有する中央部と、第2直径よりも小さい第3直径を有する第2端部と、を備えている。第1端部及び第2端部は、中央部に対して対向する端部に位置し、第1端部は、第1エンドキャップにより中央部に結合され、第2端部は、第2エンドキャップにより中央部に結合され、中央部、第1エンドキャップ及び第2エンドキャップは、一体となってロータ内の中空キャビティを画定し、中央部に磁化要素が設けられ、中央部の非磁化要素と中央部の磁化要素との半径方向の厚さの比が1未満である。
【0025】
スロットレスステータ巻線の外層は、必ずしもモータの最外層であると解釈する必要はない。この外側には、さらに、ハウジング、支持構造、制御およびパワーエレクトロニクス、及び当業者に周知の他の構成要素が存在し得ることが理解されるであろう。
【0026】
中央部分の磁化部分に対する中央部の非磁化部分の半径方向の厚さの比率は、できるだけ低く、例えば0.75未満、0.5未満、あるいは0.25未満であることが好まい。中央部自体が選択的に磁化されている場合、壁自体が磁化部分であり、すなわち専用の支持材料がないため、比率はゼロまで低くなるかもしれない。
【0027】
従来のロータ設計では、機械的強度や磁気性能に悪影響を及ぼすため、ロータの軽量化(例えば、中心部の非磁化部分と磁化部分の径方向の厚さの比率をできるだけ小さくする)に苦心してきた。
【0028】
オプションとして、磁化部分はハルバッハアレイに配置され、ハルバッハアレイの強磁束側は外側に面している。
【0029】
(薄肉化が可能な)熱間成形ロータとオプションのハルバッハアレイとを組み合わせたスロットレスモータは、磁気性能を維持したまま、設計の機械的要件に応じた重量削減を実現し、極めて軽量なソリューションとなります。ステータ巻線のスロットレストポロジーとの相乗効果により、薄肉設計が可能である。ロータにハルバッハアレイを含めることで、さらに相乗効果を高めている。これらの特徴は、既知の装置にはない組み合わせであり、業界にとって真の飛躍を意味する。
【0030】
ハルバッハアレイの磁気特性により、バッキング材には低磁場しか発生しないため、この薄肉は、電気モータの機械的要件だけに最適化することができます。つまり、ロータは、使用目的(サイズ、トルク、回転数など)に応じた最低限の構造(機械的強度)要件を満たすことに注力し、磁束を導くためにこれ以上の厚みを必要としないように設計することができる。このスロットレストポロジーを持つ先進的なロータをモータに使用することで、薄肉設計の適用性がさらに向上している。従来の(スロット付き)モータでは、スロットレスモータと比較して磁気ギャップが非常に小さいため、ステータの歯からの磁界の磁束が大きくなる。例えば、スロットモータの磁気ギャップは0.3mm~1mmであるが、スロットレスモータの磁気ギャップは約2mm~8mmとなる。このように発生する磁場が小さくなることで、ステータの転流時にロータのバッキング材(磁化された材料を機械的に支持するもの)に発生する磁場強度が低くなる。この高磁場発生を克服する方法としては、通常、磁石を取り付ける積層鋼板を追加すること、及び/又はより厚い材料を提供して損失を減らし、渦損失による発熱を抑え磁石の熱による減磁を減らすことが含まれる。このため、スロットレス配置にすることで、ロータ壁の厚みをより薄くすることができる。
【0031】
スロットレスモータとハルバッハアレイとの組み合わせにより、ロータのトルク負荷、疲労、応力といった機械的要件を満たすところまでロータから材料を除去することができる。これは、既存のどのようなソリューションでも達成できないことである。他の方法でこれを実現しようとすると、十分な材料を除去するために熱特性、磁気特性、効率を犠牲にしなければならないが、本発明はそのような選択をする必要性を回避することができる。
【0032】
ロータは、単一ピースとして形成されてもよい。例えば、ロータは、上記に示した方法に従って、又は実際に本明細書に記載された他の方法に従って形成することができる。
【0033】
この方法でロータを形成すると、別の方法で形成されたロータと区別するために、物理的特性に顕著な違いがあるロータが得られることが理解されるであろう。これは、この方法が、単一部品の変形から形成されたロータを提供するため、溶接による弱点が無く、熱間成形されているため、冷間加工部品よりも歪みが少ないことを意味する。特に、磁化された部品が加えられる中心部分となる中央部は、加熱されたり変形されたりすることがないので、当初のままであり、この部分はこれらのプロセスを受けないため、加熱及び/又は変形プロセスによるこれらの特性の変化を危険にさらすことなく、形成手順の前に必要に応じてこの領域を機械加工、磁化等を行うことができることを意味している。
【0034】
他で述べたように、磁化部分は、中央部に取り付けられた別の要素であってもよいし、中央部の磁化領域であってもよい。ロータ自体は、鉄又は鋼のような鉄合金から形成されてもよい。
【0035】
ロータは、少なくとも100mmの長さであってもよく、中央部の直径は少なくとも75mmであってもよく、及び/又はロータは1kg以下の重さであってもよい。実際、モータの重量に対する出力の比率は、20kW/kg、25kW/kg、さらには30kW/kgであってもよい。
【0036】
本明細書で開示されるのは、モータ用の中空ロータ本体である。ロータ本体は、回転軸を有する。ロータ本体は、第1直径を有しロータ本体の第1端に位置する第1円筒部と、第1直径よりも大きい第2直径を有する第2円筒部と、第2直径よりも小さい第3直径を有し第1端部と反対の第2端に位置する第3円筒部と、第1円筒部と第2円筒部とを結合しロータ本体の第1端に向かう位置にある第1エンドキャップと、第2円筒部と第3円筒部とを結合しロータ本体の第2端に向かう位置にある第2エンドキャップとを備えている。第2円筒部は第1円筒部と第3円筒部との間に位置し、第1、第2及び第3円筒部は、すべて、ロータ本体の回転軸と同軸に配置されており、第2円筒部と第1及び第2エンドキャップとは、一体となってロータ本体の中空キャビティを画定する。この配置は、中空のロータ本体が、より軽く、より低い慣性モーメントを有するため、回転を開始するため及び/又は所定の回転速度を維持するために必要なエネルギーがより少ないため、効率の利点をもたらす。オプションとして、第3直径は、第1直径と同じである。
【0037】
オプションとして、ロータ本体は、単一ピースとして形成される。例えば、ロータ本体は、中空チューブから熱間成形することができる。単一部品から形成することにより、得られるロータ本体の材料特性は、例えば、複数部品の溶接配置や冷間成形部品とは異なる(これらのオプションは部品を製造する代替方法を提供するが)。単一部品の材料特性は、弱点となりうる接合部がないため、異なるものとなる。さらに、単一ピースのロータ本体は、製造プロセスから接合部を有するロータ本体よりも、より均質な磁気応答を提供することができる。さらに、熱間成形では、所望の形状に変形する際の応力やひずみが、冷間成形プロセスのように蓄積されないようにすることができる。
【0038】
一例として、単一部品の中空チューブをチューブの所望の部分で誘導加熱し、チューブの端部を圧縮することによって、及び/又はチューブを回転させることによってチューブを変形させ、加熱部分を外側に反らせることができる。外部の整形ツール(例えば円形断面の整形ローラ)と組み合わせて、加熱部分の最終直径を所望の値に慎重に制御することができる。さらに、ロータ本体を加熱・成形しながら回転させることで、すべての角度方向で一貫した直径を持つ部品を形成することができる(すなわち、拡張部は完全な円筒形に非常に近い状態である)。必要に応じて、ロータ本体の回転対称性を向上させるために、フライス加工などの追加のプロセスを適用することができる。機械加工ステージの一部として、ネジ山、取り付け形態、コネクタ等の形態を導入することも可能である。
【0039】
別の配置では、例えば、一対のゴブレット形状の部品を形成し(例えば、熱間又は冷間成形によって)、2つのゴブレット形状の部品をその縁で接合することによって、複数の部品からなるロータ本体を形成することができる。他の例では、例えば左アクスル、右アクスル及び中央中空ロータ部分のように、3つの部品を組み立てることができる。いずれの場合も、ロータ本体の回転時に接合部に掛かる負担を最小限にするために、接合部の位置を選択することができる。これにより、製造プロセスを簡略化することができる。
【0040】
オプションとして、ロータ本体は、第2円筒に磁化部分又は磁化可能部分を更に備える。磁化部分の一部又は全部は、第2円筒部に取り付けられた別個の要素であってもよい。同様に、磁化可能部分の一部又は全部は、その後の磁化のために第2円筒部に取り付けられた別の要素であってもよい。さらなる例では、磁化された部分又は磁化可能な部分の一部又は全部は、第2円筒部分の磁化された領域である。いくつかの例では、磁化は、一部が第2円筒部に取り付けられた別個の要素として、一部が第2円筒部の磁化部分として提供されてもよい。例えば、第2円筒部は、別個の磁化された要素を受け入れるための一連の軸方向の溝を有し、軸方向の溝の間に位置する第2円筒部の領域は、第2円筒部の周りに(角度によって異なる方向ではあるが)連続的に磁化することができるように磁化することができる。これにより、電気的に制御可能なステータコイルの適切なセット内で使用できるロータが得られ、モータを形成することができる。
【0041】
もちろん、現在開示されている設計の効率的な利点は、部分的にはロータ本体の軽量化に起因するものであり、所望の特定の用途に応じて特定の磁気配置が後で構成可能な、一般的にこの軽いロータ本体を供給する利点がある。磁化部分又は磁化可能部分が別個の要素として取り付けられる場合、これにより、ロータ本体がその意図する役割を果たすことができるように特に選択された第1材料、例えば、十分な機械的強度を有する材料及び/又は磁束を望ましい方法で導くことができる材料で形成することができる。同様に、取り付け可能な部分は、それ自身の役割を果たすために特別に選択することができる。例えば、大きな磁束を提供し、それによってロータ本体と相互作用する外部のステータコイルによって発生するトルクを増加させるために、強く磁化された及び/又は磁化可能な材料を使用する。ネオジム系磁性合金は、磁化部分又は磁化可能部分に適した材料の一例である。さらに具体的には、NdFeBを使用することができ、例えば、NdFeB N42Hが挙げられる。
【0042】
磁化部分が取り付けられる場合、磁化部分は、接着剤を用いて取り付けられてもよく、好ましくは、接着剤はエポキシ樹脂である。例えば、磁化部分は、エポキシ樹脂の中に埋め込まれていてもよい。これにより、強固で耐久性のある取り付けが可能となる。
【0043】
磁化部分は、アレイの強磁束側が外側に向くように、ハルバッハアレイに配置してもよい。これにより、ロータ本体の外側では磁束が最も強く、アレイの中空内部では磁束が低いか、あるいはゼロに近づいていることが保証される。中空ロータ本体とハルバッハアレイとの組み合わせは、中空ロータ本体とハルバッハアレイの相乗効果を利用するため、特に有益であることに留意されたい。簡単に言うと、ハルバッハアレイは磁化部分の磁束のほとんど又はすべてを外側に向けるように配置されており、ロータ本体の中空内部の磁束は小さいか無視できる程度であることを意味している。このことは、ロータ本体が特定の方法で磁束を導くように配置される必要がないことを意味し、したがって、高効率を維持しながら中空にすることができる。
【0044】
オプションとして、ロータ本体は、磁化部分に隣接し、その外側に位置する保護スリーブをさらに備えている。これは、磁化部分をその所望の位置に維持するのに役立つことができる。
【0045】
中空チューブは、鉄又は鋼などの鉄合金から形成されてもよい。本明細書に記載のロータ本体を形成するための適切な出発材料の例は、規格EN10305-1:2016に示されるようなシームレス冷間引抜鋼管である。本明細書に記載のロータ本体を形成するためのチューブのより具体的な例は、規格EN10305-1:2016E355+Cに準拠するものである。このクラスの材料は、所望の強度特性と適切な磁気特性とを兼ね備えている。
【0046】
オプションとして、ロータ本体は少なくとも100mmの長さである。オプションとして、第2円筒部の直径は、少なくとも75mmである。オプションとして、ロータ本体は、1kg以下の重量である。一般に、本明細書に記載のタイプのロータ本体の電力:重量比は、少なくとも18kW/kgであってよく、より大きなロータ本体は、より高い電力:重量比を提供することができる。場合によっては、20kW/kg、25kW/kg、あるいは30kW/kg又はそれ以上の出力:重量比が達成可能である。
【0047】
本明細書に記載のロータ本体は、電気モータを形成するために、適切な外部電気制御ステータコイルと共に使用されることが意図されている。したがって、本明細書の開示は、上述のロータ本体を含む電気モータにも及ぶ。
【0048】
また、本明細書では、モータ用の一体型ロータ本体を形成する方法であって、第1直径、第1端部及び第2端部を有する中空チューブを提供するステップと、チューブを変形させて、第1端部と第2端部との間に位置し、第1直径よりも大きい一定の第2直径を有する中空キャビティを囲む拡張部を形成するステップとを含む方法を説明する。
【0049】
あるいは、本開示は、モータ用のロータ本体の少なくとも一部を形成する方法に及び、この方法は、第1直径、第1端部及び第2端部を有する中空チューブを提供するステップ、チューブを変形させて拡張部を形成するステップを備えている。拡張部は、第1直径よりも大きい一定の第2直径を有する。オプションとして、拡張部は、第1端部と第2端部の少なくとも一方から間隔を空けて配置される。拡張部が一方の端部からだけ離間して配置される(したがって、他方の端部に配置される)場合、第2直径に等しい一定の直径を有する拡張部を有する第2ロータ本体部を形成してもよい。次に、これら2つのロータ本体部は、これらの拡張部で互いに接合され(例えば、溶接または他の任意の適切な方法によって)、それにより、中空ロータ本体が形成されてもよい。オプションとして、拡張部は、第1端部及び第2端部の両方から間隔を空けて配置される。つまり、拡張部は中空キャビティを囲み、非拡張部とエンドキャップで接合されている。オプションとして、拡張部は、第1端及び第2端の両方に位置し、中空のロータピースにつながる。軸部等の追加部分は、その後、例えば溶接又は他の適切な手段によって、中空ロータ部に接合してもよい。
【0050】
オプションとして、中空チューブは方法の一部として加熱され、変形は熱間成形によって行われる。ロータ本体が単一ピースから形成される場合、得られるロータ本体の材料特性は、例えば、複数ピースの溶接配置や冷間成形部品(これらは部品を製造する代替方法であるが)とは異なるものである。単一ピースの材料特性は、弱点となりうる接合部がないため、異なるものとなる。さらに、単一ピースのロータ本体は、製造プロセスによる接合部を有するロータ本体よりも、より均質な磁気応答を提供することができる。さらに、ロータ本体が熱間成形される場合、熱間成形により、所望の形状に変形する際の応力や歪みが、冷間成形プロセスのように蓄積されないようにすることができる。
【0051】
一例として、単一部品又は複数部品の中空チューブ設計は、チューブの所望の部位に適用される誘導加熱を含むことができ、一旦高温になったチューブは、チューブの端部を圧縮することによって、及び/又はチューブを回転させることによって、及び/又はチューブを成形するためにローラ等の外部ツールを使用してチューブを成形して、加熱した部分が外側に曲がるように変形させる。
【0052】
さらに、ロータ本体を加熱・成形しながら回転させることで、すべての角度方向で一貫した直径を持つ部品を形成することができる(すなわち、広がった部分は完全な円筒形に非常に近い)。必要に応じて、ロータ本体の回転対称性を向上させるために、フライス加工などの追加のプロセスを適用することができる。機械加工ステージの一部として、ネジ山、取り付け形態、コネクタ等の形態を導入することも可能である。加熱(例えば誘導加熱)は、中空チューブの一部に沿って、第1端と第2端との間にのみ適用することができる。
【0053】
オプションとして、本方法は、磁化部分又は磁化可能部分を拡張部の外面に取り付けることをさらに含む。磁化可能部分が拡張部の外面に取り付けられる場合、この方法は、磁化可能部分を磁化して磁化部分を形成することをさらに含む。さらに別の例では、この方法は、磁化部分を形成するために、拡張部の領域を磁化することをさらに含んでもよい。すなわち、磁化部分の一部又は全部は、拡張部に取り付けられた別個の要素であってもよい。同様に、磁化可能部分の一部又は全部は、その後の磁化のために拡張部に取り付けられた別の要素であってもよい。さらなる例では、磁化部分又は磁化可能部分の一部又は全部が、拡張部の磁化された領域である。いくつかの例では、磁化は、一部が拡張部に取り付けられた別個の要素として、一部が拡張部の磁化された部分として提供されてもよい。例えば、拡張部には、別個の磁化された要素を受け入れるための一連の軸方向の溝があり、軸方向の溝の間に位置する拡張部の領域は磁化可能で、拡張部の周囲に(角度によって異なる方向ではあるが)連続した磁化を可能にすることができる。これにより、電気的に制御可能なステータコイルの適切なセット内で使用できるロータ本体が得られ、モータを形成することができる。
【0054】
もちろん、現在開示されている設計の効率的な利点は、部分的にはロータ本体の軽量化に起因するものであり、所望の特定の用途に合わせて、特定の磁気配置が後から構成可能である、一般的にこのように軽いロータ本体を製造することには利点がある。磁化部分磁化可能部分が別個の要素として取り付けられる場合、これにより、ロータ本体がその意図する役割を果たすことができるように特に選択された第1材料、例えば、十分な機械的強度を有する材料及び/又は所望の方法で磁束を導くことができる材料でロータ本体を形成することができる。同様に、取り付け可能な部分は、それ自身の役割を果たすために特別に選択することができる。例えば、大きな磁束を提供し、それによってロータ本体と相互作用する外部のステータコイルによって発生するトルクを増加させるために、強く磁化された及び/又は磁化できる材料を使用する。ネオジム系磁性合金は、磁化部分又は磁化可能部分に適した材料の一例である。さらに具体的には、NdFeBを使用することができ、例えば、NdFeB N42Hが挙げられる。
【0055】
磁化部分は、ハルバッハアレイに配置することができ、ハルバッハアレイの強磁束側は、ロータ本体から外側に配向される。これにより、磁束はロータ本体の外側で最も強く、アレイの中空内部では低いか、ゼロに近づくことさえあることが保証される。中空ロータ本体とハルバッハアレイとの組み合わせは、中空ロータ本体とハルバッハアレイとの相乗効果を利用するため、特に有益であることに留意されたい。簡単に言うと、ハルバッハアレイは磁化部分の磁束のほとんど又はすべてを外側に向けるように配置されており、ロータ本体の中空内部の磁束は小さいか無視できる程度であることを意味している。このことは、ロータ本体が特定の方法で磁束を導くように配置される必要がないことを意味し、したがって高効率を維持しながら中空にすることができる。
【0056】
オプションとして、本方法は、ロータ本体の周囲に保護スリーブを装着し、保護スリーブが磁化部分に隣接し、磁化部分の外側に配置されるようにすることを更に含む。これにより、磁化部分をその所望の位置に維持することができる。
【0057】
磁化部分が取り付けられる場合、磁化部分は、接着剤を用いて取り付けられてもよく、好ましくは、接着剤はエポキシ樹脂である。例えば、磁化部分は、エポキシ樹脂の中に埋め込まれていてもよい。これにより、強固で耐久性のある取り付けが可能となる。
【0058】
ロータ本体は、鉄又は鋼等の鉄合金から形成されてもよい。本明細書に記載のロータ本体を形成するための適切な出発材料の例は、規格EN10305-1:2016に示されるようなシームレス冷間引抜鋼管である。本明細書に記載のロータ本体を形成するためのチューブのより具体的な例は、規格EN10305-1:2016E355+Cに準拠するものである。このクラスの材料は、所望の強度特性と適切な磁気特性とを兼ね備えている。
【0059】
オプションとして、本方法により形成されたロータ本体の長さは、少なくとも100mmである。オプションとして、拡張部の直径は、少なくとも75mmである。オプションとして、ロータ本体は、1kg以下の重量である。一般に、本明細書に記載の方法によって形成されるロータ本体の電力:重量比は、少なくとも18kW/kgであってよく、より大きなロータ本体は、より高い電力:重量比を提供することができる。場合によっては、20kW/kg、25kW/kg、あるいは30kW/kg又はそれ以上の出力:重量比が達成可能である。
【0060】
上記の技術は、熱間成形とサブトラクティブマニュファクチャリングによる再形成との組み合わせであり、その結果、コスト、重量、安定性、中心性の比率を最適化することができる。既存のスロット付き機械では、このようなロータは効率が悪いかもしれないが、この設計では、スロットレスステータやブラシレス整流エンジンと組み合わせた使用例で、効率及び重量を大幅に改善することができる。チューブの両端を熱間成形し、熱間成形の後、あるいはその前や間に再成形することは、最適化を図る上で有益である。
【0061】
この全体的な手順によって提供される利点は、(既存の設計と比較して)以下のとおりである。
・回転熱間成形による安定性と回転対称性の大幅な改善、半径方向縮小工具の使用、変形の前、中、後の任意の機械加工手順。
・ロータ壁の厚さがその磁石の厚さよりも小さく、また巻線の半径方向の厚さよりも小さい薄肉ロータは、別の場所で詳細に説明した様々な特徴の相乗効果により可能である。
・形成中にロータを熱間成形して再形成することは、ハルバッハアレイに見られるように、ロータの外側にフィールド密度の大部分を持つ電気モータに特に有益である。
・薄肉であるにもかかわらず、このように形成された軽量ロータは、それにもかかわらず、十分に機械的に強く、有効な磁気特性を提供する。
・磁化可能な材料である必要はないが、熱間成形に鋼鉄を使用する場合、ほとんどの場合、直接磁化されるか、アレイの磁石によって磁化されることがある。ロータは、もちろん非磁性合金で作ることもできるが、磁性金属や合金を使うことで、磁気応答が向上する可能性がある。
・好ましい実施形態では、シャフトの半径(2つの端部の半径)に関連する拡張された中央部の半径の特定の関係を使用し、ロータに沿った壁の厚さの特定の比率をもたらす。
・エンドキャップは、過渡的な壁厚を有してもよい。熱間成形によって生じる増加した肉厚は、移行部におけるシャフト部分(端部)の安定化のために使用される。これにより、すべての部品における肉厚を慎重に制御して、ロータの特定の機械的ニーズを満たすことができる。
・逆に、エンドキャップの他の部分は、重量を最適化するために、熱間成形後に再形成されてもよい。例えば、外側又は内側からの薄肉化、及び/又は半径方向のスポークを設計に組み込む等の材料の選択的除去が挙げられる。
・重量を最適化した実施形態では、管状構造は回転対称であってもよいが、実際の円筒ではなく、質量が減少した区画の一部に変換される領域に薄い壁が構成されてもよい。
・さらに、旋削又はフライス加工の手順を適用して、エンドキャップ区画内のロータの質量を減らし、サイズを再形成することができる。
・いくつかの実施形態の例では、熱間成形後に適切な外径を得るために、内径と外径が最適化された管状体からスタートし、旋削やフライス加工による複合加工を行うことで、一部の材料を取り除くが、この廃棄材料を可能な限り削減する。
【0062】
本明細書に記載の熱間成形ロータは、好ましくは薄肉であり、マグネットアレイの背後の材料が少なく、マグネットアレイは、ロータの内部で外向き拘束磁界強度と内向き拘束磁界強度との間に一定の関係を持つ外向き拘束磁界を構成する。すなわち、熱間成形ロータは、スロットレスモータに使用するためのものであり、スロットレスステータ巻線の半径方向の厚さよりも実質的に小さい半径方向の壁厚を有する。ロータドラム(すなわち最も広い中央部)の半径方向の厚さは、マグネットアレイの半径方向の厚さの範囲内であるか、それよりも小さい。
【0063】
熱間成形された薄肉のロータと円筒形のハルバッハマグネットアレイとの組み合わせには相乗効果がある。ハルバッハアレイは、プッシャーマグネットが磁場を外側に押し出すため、インサイドロータの内部容積の磁場強度は平均よりかなり小さくなる。その結果、ロータの外側では、機能的な磁気ギャップや電気機械の巻線にある電界強度が実質的に高くなる。
【0064】
したがって、比較的薄い金属層で磁石を搭載することができる。これが、熱間成形後に中央部で外側の部分を取ることができる理由である。もう一つの利点は、熱間成形によって有益な磁気特性を持つ軟鉄ができることである。しかし、これは他の配列タイプにも有効である。また、熱間成形ロータは、ハルバッハアレイではない磁石アレイにも使用でき、ハルバッハプッシャーマグネットが無くても動作する可能性がある。
【0065】
纏めると、これにより、低コストで、変形した材料をスムーズに流すことができ、加工中に酸化や破片がほとんど発生しない形成プロセスを実現することができる。出来上がったロータは、機械的強度及び安定性が向上し、肉厚及び回転対称性が一貫して優れている。このプロセスでは、材料の投入が最小限に抑えられ、廃棄物もほとんど発生しない。さらに、1つの部品で形成するプロセスは、溶接接続や圧入接続、その他の接続(ボルト、ネジ等)が不要であることを意味する。
【0066】
他の金属成形プロセスと比較した場合、熱間成形が特に適している。高圧膨張法では、コストが高くなり、材料の分布が均一でなくなり、ロータの安定性が低下する。熱間成形では、チューブやロータに他の材料や液体(空気や保護ガスを除く)を接触させない。
【0067】
深堀り鍛造は、高精度だが高コストな生産技術として知られている。一般的には、2つの部品を成形して溶接する。熱間成形では、上記のような管状装置の両面熱間成形後に、複数のロータ部品を溶接する必要がない。熱間成形と材料取り出しとを組み合わせた後の機械的安定性は、深鍛造及び溶接の後よりもさらに高くなる可能性がある。熱間成形ロータのコストは、実質的に低い。熱間成形プロセスは、実質的に高速である。
【0068】
本明細書で説明するように、肉厚を最適化した熱間成形プロセスの場合、必要な材料の取り出しを大幅に削減することができる。その結果、材料とコストの効率が最適化され、製造時の二酸化炭素排出量も削減される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1A】成形ステップ後のロータ本体の一例を軸方向から見た図である。
【
図3A】外側に向けられたN極を有する、
図2Aから
図2Dのロータ本体に取り付ける例示的な磁化要素を示す図である。
【
図3B】左方向に向けられたN極を有する、
図2Aから
図2Dのロータ本体に取り付ける磁化要素の例を示す図である。
【
図3C】右方向に向けられたN極を有する、
図2Aから
図2Dのロータ本体に取り付ける磁化要素の例を示す図である。
【
図3D】内側に向けられたN極を有する、
図2Aから
図2Dのロータ本体に取り付ける例示的な磁化要素を示す図である。
【
図6A】ロータの一例を形成するためにチューブを変形させるプロセスのステージを示す図である。
【
図6B】ロータの一例を形成するためにチューブを変形させるプロセスのステージを示す図である。
【
図6C】ロータの一例を形成するためにチューブを変形させるプロセスのステージを示す図である。
【
図7A】ロータの一例を形成するためにチューブを変形させる他のプロセスのステージを示す図である。
【
図7B】ロータの一例を形成するためにチューブを変形させる他のプロセスのステージを示す図である。
【
図7C】ロータの一例を形成するためにチューブを変形させる他のプロセスのステージを示す図である。
【
図7D】ロータの一例を形成するためにチューブを変形させる他のプロセスのステージを示す図である。
【
図7E】ロータの一例を形成するためにチューブを変形させる他のプロセスのステージを示す図である。
【
図8A】ロータのさらに別の例を形成するためにチューブを変形させるさらに別のプロセスのステージを示す図である。
【
図8B】ロータのさらに別の例を形成するためにチューブを変形させるさらに別のプロセスのステージを示す図である。
【
図8C】ロータのさらに別の例を形成するためにチューブを変形させるさらに別のプロセスのステージを示す図である。
【
図9】ロータを形成するプロセスのステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1A及び
図1Bでは、中空ロータ本体100が、それぞれ軸方向断面図及び側断面図で示されている。中空ロータ本体100は、均一な直径を有する単一のチューブからの変形によって形成されている。このチューブは、当初、回転軸と中空中心を有している。変形後、得られた中空ロータ本体100は、ロータ本体100が実質的に回転対称である回転軸102を保持し、この回転軸を中心として回転する。中空ロータ本体を形成するために使用される初期チューブの均一な直径は、中空ロータ本体100の大部分又は完全に変形していない部分に見ることができる-
図1Bの左端及び右端にそれぞれ位置する第1の狭い円筒部104及び第3の狭い円筒部108のように。これら2つの狭い円筒部104、108は、同じ直径を有するものとして示されているが、場合によっては、例えば、それらの一方又は両方を変形させることによって、又はフライスのような後続の成形ステップを適用することによって、互いに異なる直径を有してもよい。
【0071】
いずれにしても、第1円筒部104は、第3円筒部108から第2円筒部106(拡張円筒部106と称することもある)によって間隔をあけて配置されている。言い換えれば、第2の(拡張された)円筒部106は、第1の(狭い)円筒部104と第3の(狭い)円筒部108との間に位置している。第1円筒部104及び第3円筒部108は、それぞれ第2円筒部106より幅が狭い。第1円筒部104、第2円筒部106及び第3円筒部108は、その中心軸が中空ロータ本体100の回転軸102に沿って横たわり、互いに同軸に配置されている。
【0072】
第2円筒部106は、第1エンドキャップ110によって第1円筒部分104に接続される。同様に、第2円筒部106は、第2エンドキャップ112によって第3円筒部108に接続される。第1エンドキャップ110及び第2エンドキャップ112も、初期チューブの変形から形成される。一般に、
図1A及び
図1Bに示す形状は、例えば、チューブの中央部分(例えば、エンドキャップ110、112及び拡張円筒部106となる部分)を加熱し、チューブを回転させ及び/又はチューブを軸方向に圧縮することを含む変形により形成することができる。これにより、チューブの中央部分が外側に反って、広がった第2円筒部106を形成する。チューブは、変形プロセス中に成形部品又は整形部品(例えばローラー)の中に入れて、拡張円筒部106の幅に対する制御を提供し、及び/又は製造プロセスの一貫性に対する制御を提供することができる。
【0073】
一例として、中空ロータ本体100は、チューブの所望の部分に適用される誘導加熱によって形成されてもよく、すなわち、加熱は、チューブ全体ではなく、中空チューブの一部、第1及び第2端部の間に沿ってのみ適用されてもよい。これは、必要なエネルギーが少なく、変形をチューブの加熱された部分に限定できることを意味する。チューブは、所望の位置でいったん熱くなった後、上述のように変形させることができる。外部の整形ツール(例えば、円形断面の整形ローラ)と組み合わせて、加熱部分の最終的な直径を所望のサイズに注意深く制御することができる。さらに、ロータが加熱され成形される際にロータを回転させることにより、すべての角度方向において一貫した直径を有する部品を形成することができる(すなわち、拡張円筒部106は完全な円筒形に非常に近い)。必要であれば、ロータに追加のプロセス、例えばフライス加工を施して、回転対称性を向上させることができる‐
図2A~
図2Dを参照。
図1Bで述べたように、上述の形成プロセスは、回転軸102に近いエンドキャップ110、112の内部が内側に弓なりになる内部プロファイル形状をもたらす。
【0074】
なお、上述した連続的な変形により、エンドキャップ110、112は、第1円筒部104、第2円筒部106及び第3円筒部108の円筒部分と一体的に形成されることにもなる。これにより、中空キャビティ114を囲む、一体型の中空ロータ本体100が形成される。他の例では(例えば
図5A及び
図5Bを参照)、中空ロータ本体100は複数の部品から形成されてもよい。このように形成された中空ロータ本体100は、中空ロータが中実ロータよりも軽量であり(かつ慣性モーメントが低く)、したがって、回転を開始するのに必要なエネルギーが少なくて済むため、使用時に効率の利点を提供するロータをもたらす。
【0075】
単一ピースから形成することにより、得られるロータ本体100の材料特性は、例えば複数パーツ溶接配置のものとは異なるが、複数パーツロータ本体200、300は以下に説明される。単一ピース部品の材料特性は、弱点を形成する可能性のある接合部がないため、異なるものとなる。さらに、単一ピースのロータ本体100は、製造プロセス中に導入された接合部を有するロータよりも、より均質な磁気応答を提供することができる。
【0076】
上記の例は、ロータ本体100を熱間成形することに関するものである。しかしながら、所望により冷間成形も使用することができる。熱間成形は、所望の形状への変形による応力や歪みが冷間成形プロセスにおけるように蓄積されないようにするのに役立つが、場合によっては冷間成形がより効率的な手順となり得る。
【0077】
ロータ本体100は、鉄又は鋼等の鉄合金から形成されてもよい。本明細書に記載のロータ本体100を形成するための適切な出発材料の例は、規格EN10305-1:2016に示されるようなシームレス冷間引抜鋼管である。本明細書に記載のロータ本体を形成するためのチューブのより具体的な例は、規格EN10305-1:2016E355+Cに準拠するものである。このクラスの材料は、所望の強度特性と適切な磁気特性とを兼ね備えている。
【0078】
ここで、
図2Aから
図2Dを参照すると、
図1A及び
図1Bのロータ本体100の機械加工ステップ、例えばフライス加工後の状態が示されている。機械加工されたロータ本体100は、
図2Aから
図2Dにそれぞれ軸方向図、等角斜視図、側面立面図、及び側断面図に示されている。これらの図から、機械加工ステップが、ねじ山、取り付け形態、コネクタなどの様々な追加形態を適用していることが分かる。
【0079】
さらに、加工ステップによって、ロータ本体100の各部分の肉厚が薄くなっている。例えば、第1円筒部104、第2円筒部106及び第3円筒部108の円筒部分の肉厚が薄くされ、
図1A及び
図1Bのものよりも慣性モーメントが低く、さらに軽いロータ本体100をもたらす。第1エンドキャップ110及び第2エンドキャップ112も薄くされ、より規則的にされているが、これは、エンドキャップ110、112を中空ロータ本体の外側から機械加工することによって達成するのがはるかに容易であることに留意されたい。このため、これらの部品の大きな内部欠陥をその後のフライス加工によって修正することは非常に困難であるか不可能である可能性があるので、変形ステップでは、少なくとも内部(中空キャビティ114の内部)において、エンドキャップ110、112ができるだけ回転対称及び軸対称であるように細心の注意が払われる。また、拡張円筒部106は、平滑な規則的な円筒面を形成するためにフライス加工されている。これは、
図3A~
図3Dで説明したように、磁気要素又は磁化可能な要素を取り付けるための表面を提供するものである。他の場合、フライス加工または機械加工ステージは、第2円筒部106の領域の直接的な選択的磁化を導くための区切りを提供することができる。
【0080】
図3Aから
図3Dでは、第2円筒部106の外面に取り付けるための磁化部分116a、116b、117a、117b(磁化要素と呼ばれることもある)の様々な例を示し、それによって、磁化部分116a、116b、117a、117bを適切な配置で取り付けることによって達成できる所望の任意の磁化パターンで永久磁化ロータを形成する。磁化部分のそれぞれは、軸方向図における断面形状を強調して示している。図示されたそれぞれの形状は、軸方向において、第2円筒部106の長さ(回転軸102に平行な方向で測定される、すなわち軸方向の長さ)にほぼ等しい範囲を有する。言い換えれば、磁化部分116a、116b、117a、117bはそれぞれ、細長い形状又は略長方形の形状を有する。
【0081】
また、各磁化部分116a、116b、117a、117bは、上面(外向き面)に曲率を備え、さらに内面(内向き面)にも曲率を備えていることがわかる。内向き面は、磁化部分116a、116b、117a、117bが第2円筒部106の外周にちょうど収まるように、第2円筒部106の外周と同じ曲率になっている。外側に向く表面の曲率は、磁化部分116a、116b、117a、117bがすべて第2円筒部106の外面に取り付けられたとき、磁化部分116a、116b、117a、117bの外面も単一の円上にあるように選択される。このアライメントは、円筒対称性を保持するのに役立ち、それによってロータ本体100が、ぐらつき又は他の望ましくない振動を導入することなく高速で回転することを可能にする。場合によっては、磁化部分は、ロータ本体100の回転軸102に正確に平行に横たわるのではなく、ロータ本体100に沿って、かつその周りに延びるらせん形状の一部を形成することによって配置されてもよい。
【0082】
磁化部分116a、116b、117a、117bは、それらの磁気モーメントが矢印で示された状態で示される。見て分かるように、
図3Aは、外側に向くN極を有する外向き部分116aを示し、
図3Bは、左側に向くN極を有する左向き部分117aを示し、
図3Cは、右側に向くN極を有する右向き部分117bを示し、
図3Dは、内側に向くN極を有する内向き部分116bを示す。左向き及び右向きの部分117は、部品の対称性により、図の垂直軸を中心に要素を180°回転させることによって交換可能であることに留意されたい。このことは、3種類の磁化部分(外向き、内向き、及び必要に応じて左又は右に向けることができる一般的な横向きの変形)のみを供給する必要があることを意味し得る。
【0083】
外側に向けられたN極を内側に向けられたN極に変換するために必要な回転は、磁化部分116を同じく内側に向けられた拡張円筒部106に取り付けるための正しい曲率をもたらさないため、これは、内側及び外側に向けられた部分116には当てはまらない。磁化部分116a、116b、117a、117bに曲率がかかっていない場合には(例えば、代わりに磁化部分116a、116b、117a、117bを接着剤で拡張円筒部106に慎重に取り付けることに頼っている)、要素116a、116bは直線形要素として形成することができ、それらを反転することによって交換可能であろう。
【0084】
磁化部分116a、116b、117a、117bには、2つの広い形状があることがわかる。第1形状は、
図3A及び
図3Dに示され、一般に符号116を用いて言及される。第2形状は、
図3B及び
図3Cに示され、一般に符号117を用いて言及される。これにより、永久磁化を有しないが、磁化可能部分116、117として供給することができる(磁化可能部分又は要素と称することもある)。ロータ本体100に取り付けられると、磁化されていない部分をその場で磁化することができる。いずれにせよ、これにより、ロータ本体100を(機械的強度、耐久性、密度、磁気特性等の点で)モータ本体の要件に特有の材料から形成することができ、一方、磁化は、その磁化特性について特に選択した材料から形成された別の要素116、117によって提供することができる。例えば、強い磁化材料及び/又は磁化可能材料を使用して大きな磁束を与え、それによってロータ本体100と相互作用する外部ステータコイルによって発生するトルクを増加させることができる。もちろん、現在開示されている設計の効率的な利点は、ロータ本体100の重量の減少に一部起因しており、所望の特定の用途に応じて後で特定の磁気配置を構成可能な、一般的に、より軽いロータ本体100を供給することには利点がある。
【0085】
磁化部分116a、116b、117a、117b、又は磁化可能部分が作られ得る例示的な材料は、NdFeB、例えばN42Hクラスのようなネオジム系磁性合金である。この材料の例示的な磁気特性は、以下の通りである。
【0086】
【0087】
図3A~
図3Dに示した磁化要素又は磁化可能要素116、117に加えて、磁化要素又は磁化可能要素116、117の周りに保護スリーブ118を装着することができる。このような保護スリーブ118は、
図3Eに示されている。その名が示すように、このスリーブ118は、磁化要素又は磁化可能要素116、117を損傷、水、空気等から保護する。さらに、材料は、磁化要素又は磁化可能要素116、117の磁場と所望の方法で相互作用するように選択することができ、例えば、磁場の不均一性を滑らかにする、昇圧効果を与える等である。
【0088】
いくつかの例では、ロータ本体100のための磁化は、第2円筒部106に直接適用されてもよく、これにより、ロータ本体100の重量をさらに低減できる可能性がある。
【0089】
ロータ本体100は、
図4Aから
図4Eにおいて、磁化要素又は磁化可能要素116、117及び保護スリーブ118が装着された状態で示されている。
図4Aはロータ100を側面立面図で示し、
図4Bはロータ100を軸方向立面図で示し、磁化可能要素の配置を示す。
図4Cは、
図4Aに示す立面図の断面図である。
図4Dは、ハルバッハアレイを形成するための磁化要素又は磁化可能要素116、117の配置の詳細を示し、
図4Eは、
図4Aに示される位置(1)(半径方向)、位置(2)(半径方向)、位置(3)(軸方向)で測定される、(8重対称を有する)ロータ100の1/4回転の磁界強度120をプロットしている。
【0090】
磁化部分又は磁化可能部分116、117は、任意の適切な手段を用いて取り付けられる。本発明者らは、エポキシ樹脂が好適な手段であることを見出し、例えば、磁化部分又は磁化可能部分116、117は、エポキシ樹脂に埋め込まれてもよい。これにより、強固で耐久性のある取り付けが得られ、また、湿気からの保護が得られる可能性がある。保護スリーブ118は、磁化部分又は磁化可能部分116、117を囲んでいるのがわかる。保護スリーブ118は、一貫した取付け媒体を提供するために、例えば、単一の組立ステップで適用される同じ樹脂であるエポキシ樹脂で所定の位置に保持することもできる。
【0091】
磁化部分116、117は、アレイの強い磁束側が外側に向くように、ハルバッハアレイに配置された状態で示されている。ハルバッハアレイとは、磁束がある方向に強く集束し、反対方向には弱くなるように磁束を導く磁化要素の配列のことである。平面ハルバッハアレイでは、横向きと内向き/外向きの交互の磁化のシーケンスで構成されている。より具体的には、左から右に移動して、右向き、外向き、左向き、内向き、そして再び右向きから始まる繰り返しの磁化の順序となる。もちろん、アレイの開始と終了は、この順序のどの時点でもよく、完全なサイクルがいくつかある限りは、この順序で行われる。このアレイは、磁束を外側に集中させ、内側に向ける磁束はほとんど無い。外側の磁束は強いN極と強いS極との間で交互に変化し、内向きと外向きの磁化要素(それ自体、横向きの要素が散在している)を反映している。
【0092】
側方に向けられた磁化要素は、磁束を強く外側に向け、最小限の磁束が内側に向けられるように、磁束を導くのに役立つ。本願のハルバッハアレイでは、平面アレイを円筒形に湾曲させ、配置がロータ本体100の外側に磁束を向くようにし、ロータ本体100の内部114にほとんど磁束を残さないようにして、ロータのコンテキストに適合させる。中空ロータをハルバッハアレイと組み合わせて使用することは、中空のロータ本体100とハルバッハアレイとの間の相乗効果を利用するため、特に有益であることに留意されたい。簡単に言うと、ハルバッハアレイは磁化部分の磁束のほとんど又はすべてを外側に向けるように配置されており、ロータの中空内部での磁束は無視できるほど小さいということである。このことは、ロータ本体が特定の方法で磁束を導くように配置される必要がないことを意味し、したがって、高効率を維持しながら中空にすることができる。
【0093】
ほとんどのロータ用途では、ロータ本体100の内部磁束は、それ自体にはほとんど関心がない。しかしながら、内部磁束は、外側に向けられた磁束と相互作用する可能性があるため、考慮が必要である。このため、従来のロータの内部は、最終的なロータ出力が意図した通りになるように、内部磁束を所望の方向に向けるように配置された材料で満たされていることが多い。ハルバッハアレイを使用する場合、これは深刻な問題ではないだけでなく、ロータ本体100の外側に向かって磁束を集中させることは、与えられた重量の磁気素子からより強い磁場を発生させることを意味する。これは、本明細書に記載された技術を使用せずに可能であろうよりも低い重量で所定の磁場を可能にすることによって、本明細書に記載されたロータ本体100の効率をさらに向上させる。さらに注目すべきは、磁気素子は通常、回転軸102からできるだけ離れて取り付けられ(モータのステータ素子にできるだけ近づけるため)、所定の磁場を生成するために必要な磁石の重量を減らすので、この領域での重量削減の効果は、ロータ本体100の慣性モーメントを低下させ、それによって効率およびパワー/重量比を改善するのに大きな効果があることである。
【0094】
ハルバッハアレイを詳細に示す
図4Dについて考える。ここでは、磁化部分116a、116b、117a、117bが、上述のハルバッハアレイに従って配置されていることが示されている。具体的には、図の左側に内側に向いた磁化部分116bが配置されている。この磁化部分116bの右側に隣接して、右向きの磁化部分117bがある。右方向に向けられた磁化部分117bの右側に隣接して、外方向に向けられた磁化部分116aがある。外側に向けられた磁化部分116aに隣接して、左側に向けられた磁化部分117aがある。この磁化部分117aの右隣には、別の内向きの磁化部分116bがあり、このパターンが再び繰り返されることを示している。磁化部分116a、116b、117a、117bの内面曲線の一体的効果により、磁化部分116a、116b、117a、117bが一体的に円筒形のシェルを形成することがわかる。磁化部分116a、116b、117a、117bの数、幅及び曲率は、この円筒形のシェルが、上述の「右から左へ」のハルバッハパターンの整数回の繰り返しを構成できるように選択されていることが理解されよう。
【0095】
本願の実施例では、ロータ100は、
図4Bに明確に示されるように、8重の対称性を有する。左下の象限の第2オプション(「非磁化」)は、形状のみが異なる2種類の要素又は磁化可能要素116、117のみを有するが(適切な構成で後に磁化されるため)、左上の象限の第1オプション(「磁化」)は、ハルバッハパターンに配置された4種類の磁化可能要素116a、116b、117a、117bを備える。第1オプション及び第2オプションのそれぞれにおいて示されたパターンは、ロータ本体100の円周上で整数回又は反復して繰り返される。ここで、2つの隣接する内向き又は外向き磁化素子116の間の角度間隔は22.5°であり、これは、非磁化のロータ100がその回転軸102に関して16倍の回転対称性を有することを意味する。しかしながら、内向き又は外向きの磁化素子116のそれぞれ隣接する対は反対の極性を有するので(
図4Dを参照)、磁化されたロータ100の回転対称性は、磁化されていない他の例の半分である。言い換えれば、
図4A~
図4Dに示す磁化されたロータ100は、その回転軸102について8倍の回転対称性を有する。
【0096】
また、
図4D(
図3A~
図3Dも同様)で見えるのは、横向き磁化要素117が内向き磁化部分及び外向き磁化部分116よりも幅が狭いということである。これにより、ロータ本体100の外側に、より滑らかで強い半径方向の磁界が得られる。しかし、横向き磁化要素117の幅が狭すぎると、ハルバッハ効果が低下し、内部のキャビティ114内の磁束が増加するので、ここでバランスを取る必要がある。本願で見られるように、約2:1の幅の比率は、許容できるバランスを提供し、内向き及び外向きの要素116は、横向きの要素117の約2倍の幅である。この比率の変形は、もちろん可能である。例えば、比率は4:1と1:1との間であればどこでもよい。
【0097】
図4Cでは、1つの単一の磁化要素又は磁化可能要素116、117の全長が、側面立面図で示されている。その結果、この図では、磁化要素又は磁化可能要素116、117に接合部は見えない。これにより、磁化要素又は磁化可能要素116、117の細長い性質が強調される。
【0098】
ハルバッハアレイの効果を調べるために、ロータ本体100の外側の点で測定が行われることがある。3つの点が選ばれ、
図4Aでは点(1)、(2)、(3)として示されている。ロータ角度(すなわち回転軸周りの角度)の関数としてのこれらの位置の磁場強度を、
図4Eのプロット120に示す。ここで、
図4Aから
図4Dに示すハルバッハアレイについて、点(1)、(2)で測定される半径方向の磁束は、第2円筒形要素106の長さに沿って一貫していることが分かる。さらに、外向きのモーメントと内向きのモーメントとの間の遷移は、鋭く、単調である。さらに、磁場強度は、約±400mTの最大値まで迅速に上昇し、大きな角度範囲において一貫してこの値である。対照的に、ロータ100の内部114の磁束を示す点(3)の軸方向磁場は、同様の形状を有するが、顕著に低く(約±150mTでピーク)、ロータ100の外側に向かって、そして内側から離れるように磁束が良好に集束することを示している。
【0099】
示されたデザインは、ロータ100の出力対重量比の改善につながる。例えば、ロータ本体100は、少なくとも100mmの長さであってよく、第2円筒部106の直径は少なくとも75mmであり、第2円筒部の軸方向の長さは少なくとも50mmの長さである。それにもかかわらず、ロータ本体の重量は1kg以下であってもよい。特に、本明細書に記載されるタイプのロータ本体の電力:重量比は、少なくとも18kW/kgであってよく、より大きなロータは、より高い電力:重量比を提供することができる。場合によっては、20kW/kg、25kW/kg、あるいは30kW/kg以上の電力:重量比が達成可能である。
【0100】
最後に、
図5A及び
図5Bに目を向けると、ロータ本体100の代替配置が示されており、この場合、ロータ本体は複数部品である。具体的には、
図5Aは、一連の符号「2xx」が上記で使用された「1xx」シリーズを置き換える2部品のロータ本体200を示し、「xx」は、
図5Aにおいて上述したものと同様の部品を指す2桁の数字である。同様に、
図5Bは、一連の符号「3xx」が上記で使用された「1xx」シリーズを置き換える3部品のロータ本体300を示し、「xx」は、
図5Bにおける同様の部品を上記で説明したものと同様に参照する2桁の数字である。繰り返しを避けるために、これらの類似の特徴の説明は、ここでは詳細に繰り返さない。
【0101】
図5Aにおいて、2部品のロータ200は、2つの部品を図示の形状に成形(例えば、熱間成形又は冷間成形)することによって形成されている。例えば、2つの管状部分を一端で加熱し変形させて、一端に拡張部206を有し、反対端に(任意に変形しない)狭小部分204、208を有する2つの「ゴブレット形状」部分を形成してもよい。上記のように、形成は、紡績又は別個の整形要素を利用することができる。このロータ本体200は2つの部分から形成されるので、キャビティ214の内部を形成することが可能であり、それによって最終的なロータ本体200における全体の重量及び質量の分布に対してより大きな制御が可能であることに留意されたい。2つのゴブレット形状部分が製造されると(そして任意に機械加工されると)、ロータ本体200は、2つのゴブレット形状部分をそれらのリムで接合することによって組み立てられる。このようにして、各部品のゴブレット形状の広い部分が第2円筒部206となる。なお、2部品のロータ本体200は、2つのゴブレット形状のリムが互いに接合された円周上に位置する接合リング222を有する。これは、例えば、溶接された接合であってもよいし、適切な強度を有する他の接合であってもよい。接合部は、ここに示すように第2円筒部206の中央に位置する必要はなく、所望であればロータ本体200の軸方向の長さに沿ってどこにでもあってよいことに留意されたい。
【0102】
図5Bの例では、3つの部分のロータ本体300が提供される。これは、例えば、左軸部分304、310、右軸部分308、312、及び中央の中空ロータ部分306を含み得る。上記のように、この形成は、必要に応じて、紡績又は別個の整形要素を利用することができる。このロータ本体300は3つの部分から形成されるので、キャビティ314の内部を成形することが可能であり、それによって最終的なロータ本体300における全体の重量および質量の分布に対してより大きな制御が可能であることに留意されたい。3つの部分が製造されると(そして任意に機械加工されると)、ロータ本体300は、
図5Bに示すように3つの部分を一緒に接合することによって組み立てられ、ここで2つの周方向接合部322は、その場所で接合部が作られることを示す。これは、例えば、溶接された接合であってもよいし、適切な強度を有する他の接合であってもよい。接合部は、ここに示すように第2円筒部306の端部に位置する必要はなく、所望であればロータ本体300の軸方向の長さに沿ってどこにでもあってよいことに留意されたい。
【0103】
もちろん、場合によっては3つ以上の部品が使用されてもよく、上記の2部品のロータ本体200及び3部品のロータ本体300は単なる例であることが理解されよう。それぞれの場合において、複数部品の中空ロータ200、300は、スタート時のチューブ(複数可)の所望の部分(又はすべて)に適用される誘導加熱を含むことができ、一旦熱くなったチューブは、チューブの端部を圧縮することによって、及び/又はチューブを回転させることによって、及び/又はチューブを成形するローラなどの外部のツールを用いてチューブを成形することによって変形し、加熱部分が外側に反るようにすることができる。外部の整形ツール(例えば、円形断面の整形ローラ)を併用することで、加熱部の最終直径を所望のサイズに慎重に制御することができる。さらに、ロータが加熱され成形される際にロータを回転させることで、すべての角度方向で一貫した直径を持つ部品を形成することができる(すなわち、広がった部分は完全な円筒形に非常に近い)。必要に応じて、ロータに追加のプロセス、例えばフライス加工を施して回転対称性を向上させ、いずれかの部品を接合する前及び/又は後に、ロータに加工を施すことができる。加工ステージの一部として、ネジ山、取り付け部、コネクタ等の形態を導入することも可能である。
【0104】
それぞれの場合において、接合部222、322の位置は、ロータ本体200、300の回転中に接合部に掛かる歪みを最小化するように選択することができる。ここから、例えば
図1A及び
図1Bに関して上述したロータ本体100とほぼ同じ形状であってもよい中空のロータ本体200、300が形成される。これにより、磁化部分又は磁化可能部分116、117を取り付けることができ、もちろん、上で論じた他のさらなる発展のアイデアも可能になる。
【0105】
ここで、ロータ400を形成するプロセスの3つのステップを示す
図6Aから
図6Cについて考える。
図6Aは、加熱後に変形する可能性のある材料で作られたチューブ状の未加工デバイス400を示している。熱間成形プロセスの目的は、電気機械用のロータを製造することである。材料は、金属、好ましくは鋼又は鉄であってよい。チューブ状のデバイスは、同じ材料から作られる(通常は単一部品として提供される)少なくとも5つの部分又は区画を有する。この5つの領域は、第1端部404、第1移行領域410(プロセス中に第1エンドキャップ410となる)、中央部406、第2移行領域412(プロセス中に第2エンドキャップ412となる)、及び第2端部408である。
【0106】
分かるように、
図6Aのチューブ400は、チューブ400の長さに沿って一定の内径を有している。同様に、チューブ400は一定の外径を有し、言い換えれば、チューブ400は円筒形である。プロセスのこの段階(
図6A)で、チューブ400は、機械的成形、表面仕上げの適用、チューブ400の内面424及び/又は外面426への磁化部品、冷却部品又はヒートシンク部品等の取り付け等、様々な処理が適用されてもよい。
【0107】
図6Bでは、チューブは、第1端部404と第2端部408の両方で変形している。この変形は、各端部404、408から中心軸402に向かって材料が押し出され、それにより、2つのエンドキャップ410、412と中央部406との間にキャビティ114が囲まれる。これにより、第1移行領域410及び第2移行領域412が、第1エンドキャップ410及び第2エンドキャップ412に形成される。この変形を達成するため、第1端部404及び第2端部408は、材料の塑性変形及び加熱された区画の形状の変形を可能にする変形温度まで加熱される。直径の減少により、2つの端部領域404、406で壁が厚くなることに留意されたい。図示されていないが、このタイプの変形は、通常、チューブ400をその長手方向軸402を中心に回転させながら、チューブ400をその所望の最終形状に変形させるために使用する外部整形工具を用いて行われる。これは、最終結果が依然として回転対称性を有することを保証するのに役立ち得る。
【0108】
チューブ400は、このプロセスの間、中央部406でクランプされてもよい。中央部406は、通常、端部及び移行部分404、408、410、412が加熱されるほどには加熱されず、それにより、処理の間、その材料特性を維持する。任意のクランプは、また、中央部406の加熱を低減するためのヒートシンク効果を提供することができる。したがって、中央部406にはほとんど変形がなく、この部分は変形前とほぼ同じ形状を保持する。
【0109】
エンドキャップ410、412は、増加する壁厚と緩やかに湾曲した移行部を示す。結果として生じる断面形状は、熱間成形縮小ツールの機能的形状、変形された区画の材料特性、詳細な熱的及び機械的プロセスの結果であるが、熱間成形技術及びパラメータを慎重に制御する場合には、良好な程度の制御が可能である。
【0110】
この方法は、所望によりこのステージで終了してもよい。しかしながら、
図6Cは、変形後に機械的処理が施された本実施例の最終状態を示す。特に、変形されたデバイス400の旋削加工と穴あけ加工が示されている。第1端部428a及び第2端部428cの内面は、変形後に穴が開けられてもよい。同様に、2つの端部430a、430c、中央部430b、及び2つのエンドキャップの外面も、必要に応じてフライス加工又はその他の機械的処理を施すことができ、また、最適化された設計を実現するために追加の部品を取り付けてもよい。しかしながら、中央領域の内面428b及びエンドキャップ410、412の内面は、容易かつ確実にアクセスできないため、この段階では通常、機械加工されない。これが、プロセスの開始時に、これらの領域が意図された形式で提供されることを保証する理由である。
【0111】
中央部406は、(例えば
図4Dのように)磁性、磁化又は磁化可能な部分がそこに取り付けられるように設計されている部分的に平らな領域を含んでもよい。中央部406のこの領域の壁厚は、機械的安定性を生じさせることなく、可能な限り多くの材料を除去することによって最適化される場合がある。動的及び/又は静的な回転バランスは、中央部406及び/又はエンドキャップ410、412のいくつかの部分でより多くの材料を取り除くこと、及び/又は他の部分領域でより少ない材料を取り除くことによって達成され得る。
【0112】
熱間成形プロセスにより、ロータ400を薄肉円筒400として開始することができる。開始前に、可能かつ望ましい場合には機械加工を施し、内面424、428及び外面426、430の両表面に軽量化及び/又は望ましい表面特性を提供することができる。この薄肉軽量化技術は、全てのモータ設計、例えばスロットモータ等の既存技術に使用することができる。しかしながら、スロットモータ等の従来のモータでは、薄肉406は、材料における渦損失の増加、背鋼406における場の不足による磁気強度の低下、及び/又は機械的支持の不足につながり、そのような場を支持するために厚いバッキング材が望ましいという方向に導くことができる。中空ロータの他の方法は、磁石がチューブの外径に取り付けられた、ただのチューブを含む。この場合も、機械的な固定(ネジ穴等)をサポートするために厚みを持たせるか、シャフトの外径に固定された磁石を損傷しないように、シャフトの圧入をサポートする機械的な厚みを持たせなければならない。先行するすべての解決策は、性能と機械的要件に対応する望ましい解決策を達成するために、厚い背鋼を必要とした。これに対して、本発明では、薄肉配置の利点をフルに活用することができる。
【0113】
同様のプロセスは、
図7A~
図7E及び
図8A~
図8Cに記載されている。ここで、各方法に示されたデバイスの類似部分には、同様の符号が付されている。具体的には、符号「4xx」(xxは2桁の数字を表す)を有する
図6A~
図6Cの所定の部品について、
図7A~
図7Eにおける同等の部品は「5xx」で表され、
図8A~
図8Cでは「6xx」で表される。これらの同等の部品の具体的な内容は、詳細、使用方法等が
図6A~
図6Cと大まかに同じである場合には、再度詳細に説明しないこととする。
【0114】
図7A~
図7Eでは、ロータ500を形成するための異なるプロセスであり、この方法は5つの異なるステージを含む。注目すべき最初の違いは、出発時のチューブ500の形状の違いである。ここでは、端部504、508における管壁の厚さは、中央部506における壁の厚さよりも薄い。移行領域510、512(エンドキャップ510、512となる)は、それぞれの端部504、508に隣接して位置する薄い端部から先細りになり、中央部506の近くで最も厚くなり、中央部506で最も厚い部分を有する滑らかな曲線プロファイルを形成する。もちろん、このチューブ形状及びその他の変形は、本明細書で説明する他の形成方法に適用することができる。このチューブ形状は、例えば、熱間成形プロセスを開始する前にチューブ500を機械加工する等の、任意の適切なプロセスによって提供することができる。
【0115】
変形のためのプロセスは、上記の
図6A~
図6Cに関して説明したものと同様の方法で進行し、これらのステップは詳細に説明されず、相違点が現在の議論の焦点になる。相違点は、第1端部504が第2端部508の変形とは別に変形されることであることが分かるであろう。すなわち、端部の一方が変形され、他方の端部がその後に変形される。本実施例では、第1端部504が最初に変形され、第2端部508が2番目に変形されるが、もちろん他の実施例では順序を逆にすることができる。
【0116】
図示の例では、
図7Bの中間ステップは、第1端部504の部分的な変形と、第1移行領域510の第1エンドキャップ510への変形の開始とを示す。熱間成形工具(図示せず)を用いて、第1端部504の外面530aを長手方向軸502に向けて押圧する。この手順の間にチューブ500を掴むのに適した場所は中央部506であり、この場合も中央部506を熱及び機械的損傷から保護するのに役立ち得る。第2端部508及び第2移行領域512は、この段階では変形されないままである。
【0117】
図7Cは、第1端部504を変形させるプロセスの終わりを示す。ここでは、第1端部504とそれに対応する第1移行部分510の最終形状が示されている。第1端部504の熱間成形工程後の壁厚は、
図6Bの第1端部404における壁厚に比べて減少しているが、これは、管状のデバイス500の壁厚が、変形プロセスの前に第1の端部504で減少し、
図7Cの第1端部504の材料が少なくなるためである。
【0118】
この方法の残りの部分では、第1端部504のさらなる熱間成形は起こらないが、チューブの内部のキャビティ514にアクセスでき、さらなる機械加工作業が起こり得ることが分かる。中央部506及び第2端部508の内面524に依然としてアクセスすることができるだけでなく、第1端部504の内面528a、さらには第1移行領域510にもアクセスすることができる。したがって、第1端部504を変形させた後、この方法を継続する前に、中央部の内面524、第1端部の内面528a、及び/又は第1エンドキャップの内面528aに機械加工ステップを適用することができる。さらに、チューブ500の内面524、528及び/又は外面526、530への、表面仕上げの適用、磁気部品、冷却部品又はヒートシンク部品の取り付け等、他の処理をこの段階で適用することもできる。ロータ500が部分的に形成されるまでこれらの工程を延期することにより、熱間成形及び変形中にこれらの形態を損傷するリスクが低減される。
【0119】
プロセスは、
図7D及び
図7Eに示すように、第2端部508に同様の変形を加えるために継続される。これは、第1端部504の変形とほぼ同じ方法で進行し、特に、第2端部508におけるスタート時のチューブ500がより薄いということは、この領域の材料がより少ないことを意味するので、相当する部分(
図6Bの第2端部408)において見られたより薄い肉厚をもたらすこととなる。
【0120】
図7Eは、この熱間成形手順の最終段階を示す。ここで、両端部504、508は、減少した外径でより厚い肉厚に変形される。管状デバイス500の長さは、端部504、508の熱間成形処理に応じて減少させることができる。熱間成形時の長さの減少がなければ、エンドキャップ510、512における肉厚は、図示よりも薄くなる。エンドキャップ510、512における所望の壁厚を達成するために、外径の縮小と組み合わせた軸圧を使用することができる。この結果、ロータ500がエンドキャップ510、512と中央部506との間にキャビティ514を囲むという点で、本明細書の他のロータの例と同じ一般的な形状になる。
【0121】
熱間成形によるロータ500のこの形状への塑性変形後、ロータ500は、よく設計された又は最適化されたロータ500であるように設計された最終形状及び構造を達成するために、例えば機械加工、及び/又は旋削、及び/又は穴開け、及び/又は他の技術による処理といった、さらなる成形手順を受けることができる。このステージでは、成形は、任意の外面又は2つの端部504、508の内面528a、528cに(例えばドリルで)最も簡単に適用される。一般に、このプロセスで変形させる2つの端部504、508のうちの最初の端部は、最初の熱間成形プロセスの後に再形成することがはるかに簡単であることが分かるであろう。したがって、この方法で最も多くの後処理を必要とすると予想される端部を最初に変形させることが有益である。
【0122】
ここで、チューブ600をロータ600に成形するためのプロセスのさらに別の例を示す
図8A~
図8Cについて検討する。ここで再び、チューブ600は異なる形状を有するようになる。ここでは、第1端部604における管壁の厚さは、中央部606の厚さと一致するが、第2端部608における壁の厚さは、中央部606における壁の厚さよりも薄い。第1移行領域610も中央部606と同じ壁厚を有するが、第2移行領域612は、第2端部608に隣接して位置する薄い端部から先細りになり、中央部606の近くで最も厚くなり、中央部606と第1端部604で最も厚い部分を有する滑らかな曲線プロファイルを形成する。もちろん、このチューブ形状およびその他の変形は、本明細書に記載された他の成形方法に適用することができる。このチューブ形状は、例えば、熱間成形工程を開始する前にチューブ600を機械加工するなど、任意の適切な工程によって提供することができる。
【0123】
図7A~
図7Cの方法と同様に、第1端部604は最初に変形される。
図8Bは、変形した第1端部604と、第1エンドキャップ610になり始めるための移行領域610の変形と、に至る熱間成形の第1ステップの結果を示す。中央領域606は、熱間成形または機械的変形のいずれによっても変形されないままである。
【0124】
図8Cにおいて、第1端部604は、材料を長手方向軸602に近づけることによって完全に変形している。さらに、材料は第1端部604から取り除かれている。機械的工具又はレーザ工具のような取出し工具へのアクセスは、要素600の第2端部608の広い開口部を通して提供される。第1端部604の熱間成形変形の後、キャビティ614の内部、第1エンドキャップ610の内壁及び第1端部604において、材料の付加又は材料の減算を生じさせるために、追加の処理及び手順を適用することができる。これにより、第1端部604を回転軸として機能する適切な形状にすることができる。この処理の後、第2端部は、
図7D及び
図7Eに示すのとほぼ同様に変形させることができる。上記のように、第1端部604の内部を成形することに加えて、中央部の内面624、第1端部の内面628a、及び/又は第1エンドキャップの内面628aに適用されるさらなる機械加工ステップ等の追加ステップが取られてもよい。さらに、チューブ600の内面624、628、及び/又は外面626、630への、表面仕上げの適用、磁気備品、冷却部品又はヒートシンク部品の取り付け等、他の処理がこのステージで適用されてもよい。ロータ600が部分的に形成されるまでこれらの工程を延期することにより、熱間成形及び変形中にこれらの形態を損傷する危険性が低減される。
【0125】
他の実施例と同様に、中央部606はいかなる変形も受けないので、想定される用途によって要求される任意の肉厚を有するように選択することができる。これは、変形しないので、この厚さの公差を製造前に厳しく制御することができ、この部分の回転対称性を高い精度で保証することができる。さらに、この特定の製造工程により、肉厚を他の設計よりも実質的に薄くするように選択することができる。最後に、端部604、608は、各端部において狭められた部分となるように変形されるので、チューブの端部を構成する材料は、この方法が完了するまでに、より小さい直径部分に分布される。この直径の減少により、それらの領域の肉厚は厚くなる(狭窄工程でその部分の直径が減少すると、一定量の材料がより小さな断面積に分布するようになるため)。これに対抗するため、プロセスの初期段階で提供されるチューブの壁厚は、端部604、608のいずれか又はそれぞれでより薄くすることができ、特定の厚さは、プロセスの終了時に狭められた端部で所望の最終壁厚を提供するように選択される。
【0126】
一般に、熱間成形工程は、加熱を伴う場合がある。加熱は(誘導によって提供されるか否かにかかわらず)、変形されるべきチューブの部分(例えば、第1端部、第1エンドキャップ、第2エンドキャップ、第2端部)にのみ適用され得る。
【0127】
上述した熱間成形方法は、直管であってもよいが、機械的処理によって形成された形状であってもよい管状デバイスから始まる。例えば、管状デバイスの壁を薄くすることは、低重量のロータを実現するために後で除去する必要のある材料(ロータがキャビティを囲むように形成された後は、いずれにしても困難または不可能である場合がある)を少なくすることを意味する場合がある。構造手順が複雑になることは、ロータが軽くなることによる電気モータの効率向上によって正当化される。
【0128】
初期状態のチューブは、多くの開始形態を有することができることは明らかであろう。例えば、内径と外径が一定の直円筒チューブの一部であったり、熱間成形工程を開始するために予め最適化された肉厚を得るために、一部の材料を取り除きながらチューブを旋削して作成した機械加工管状装置であったり、異なる変形方法(鍛造、プレス、鋳造)によって作成した管状デバイスであったりする。
【0129】
磁化された部分又は磁化可能な部分は、上述したのとほぼ同じ方法で、中央部の外面にさらに取り付けられてもよい。磁化可能部分は、その後(取り付け後)に磁化されて、磁化部分を形成することができる。さらに、又は代替的に、この方法は、磁化部分を形成するための中央部分の領域を含んでもよい。
【0130】
従来のロータ設計では、機械的強度や磁気性能に悪影響を及ぼすため、ロータの軽量化(例えば、中心部の非磁性体部分と磁性体部分の半径方向の厚さの比率をできる限り低くする)に苦労してきた。
【0131】
この方法でロータを形成すると、別の方法で形成されたロータと区別するために、物理的特性に顕著な違いがあるロータが得られることが理解されるであろう。これは、この方法が、単一部品の変形から形成されたロータを提供するため、溶接による弱点がなく、熱間成形されているため、冷間加工部品よりも歪みが少ないことを意味する。特に、磁化部品が加えられる中心部となる中央部は、加熱されたり変形されたりすることがないので、元の状態のままである、つまり、この部分は、それらのプロセスを経ないため、加熱及び/又は変形プロセスによるこれらの特性の変化のリスク無しで、形成手順の前に必要に応じて機械加工、磁化等を行うことができる。
【0132】
図9は、プロセスの側面を強調するフローチャート700の形で、本明細書で規定されるロータの形成原理の一部を要約したもので、複合熱間形成技術を使用してロータを製造する方法700を示す。
【0133】
ステップ710では、管状要素が中央部でグリップされる。グリップは、高精度の熱間成形を可能にするために、通常、機械的安定性と中心性の高いものが選ばれる。
【0134】
ステップ720では、管状デバイスは、端部の少なくとも1つが加熱されながら、その長手方向軸の周りに回転される。回転速度及び加熱は、チューブの材料及びロータの所望の変形特性を提供するように選択される。端部だけでなく、移行領域も加熱して、移行領域がエンドキャップに変形するようにしてもよい。
【0135】
ステップ730では、熱間成形工具を使用して、一方又は両方の端部を変形させ、一方の端部又はそれぞれの端部の直径を小さくし、第1移行領域を成形し、少なくとも1つのエンドキャップを提供する。これにより、肉厚が増加し、軸方向の長さが短縮されてもよい。ステップ730に続いて、後続のステップは、代替ルート735を介してバイパスされてもよく、例えば、両端がステップ730で変形される場合、方法は、以下のステップ780にスキップして進んでもよい。
【0136】
ステップ740では、第2端部(ステップ730で変形されていない端部)の広い開口部を通して取り出しツール用のアクセスを使用することにより、デバイスの内側から材料が取り除かれる。これにより、重量が減少し、回転安定性及びバランスが生まれる。取り出しは、機械的強度に過度な影響を与えることなく、材料を除去するためのファン又はポンピング要素又はスポーク等のような機能的構造を作り出すことができる場合がある。いくつかの実施例は、このステップを実行することを必要とせず、ステップ740は、代わりにルート745を取ることによってバイパスされてもよい。
【0137】
ステップ750では、冷却、磁気、又はヒートシンクを目的とする要素が中央部に組み込まれる。これらの挿入物は、中央部及びエンドキャップ内部の構造と相互作用する可能性がある。挿入物は、例えば、ロータの冷却、磁気又は内蔵センサーの供給等の機能を追加することができる。いくつかの実施例は、このステップを実行することを必要とせず、ステップ750は、代わりにルート755を取ることによってバイパスされてもよい。
【0138】
ステップ760では、いくつかの例では、中央部のグリップを取り直したり、再配置したりしてもよく、まだ変形していない端部がある場合は、その端部(及び移行領域)が加熱される。あるいは、同じグリップを保持し、それによってステップ760を効果的にバイパスすることもできる。いずれの場合も、目標は、熱間成形手順の第2部分のために最適化された中心性を維持又は再達成することである。いくつかの例では、上述したように、第1及び第2端部は同時に変形することができ、その結果、この方法は、第1熱間成形ステップ730又は機械加工ステップ740又は追加コンポーネントの統合ステップ750の完了から、最終機械加工ステップ780、790、又はプロセスの終了までスキップできる。
【0139】
ステップ770では、熱間成形用縮小工具が、第2端部の直径を縮小し、第2移行領域を形成するために使用される。第2縮小ツールの形状及び機能は、例えば、これらの領域が異なる役割、異なる外径等を有することを意図しているため、ステップ730で使用される第1縮小ツールとは異なる場合がある。
【0140】
ステップ780では、中央領域の外面から材料が除去され、ロータは磁石の固定及び/又は磁化のために準備される。改良された磁石固定のための準備は、磁石固定のために設計された線状又は平坦又は部分的に中空な領域のフライス加工を含んでもよい。いくつかの実施例は、このステップを実行することを必要とせず、ステップ780は、代わりにルート785を取ることによってバイパスされてもよい。
【0141】
ステップ790では、エンドキャップからさらなる材料が除去されて、重量が減り、及び/又は回転対称性が形成され、及び/又はエンドキャップから材料が取り除かれ、重量が減り、及び/又は機械的インターフェースが形成される。いくつかの実施例は、このステップを実行することを必要とせず、ステップ790は、代わりにルート795を取ることによってバイパスされてもよい。
【0142】
方法700は、このステージで完了してもよい。あるいは、磁石を(例えばハルバッハアレイ配列で)装着する等のさらなるステージが実行されてもよい。これは、他で議論されたように、接着剤(例えばエポキシ樹脂)を使用してもよい。他のステップは、磁石の周りに保護スリーブを貼り付けること、ロータをモータに組み立てること等を含んでもよい。
【0143】
本明細書に記載のロータ本体100、200、300、400、500、600は、電気モータを形成するために、適切な外部電気制御ステータコイルとともに使用されることを意図している。したがって、本明細書の開示は、上述したロータ本体を含む電気モータにも及ぶ。特に、電気モータは、スロットレス電気モータであってよい。スロットレスステータ巻線の外層は、円筒形のキャビティを画定してもよく、本明細書に記載のロータは、そのキャビティ内に位置するロータとして使用されてもよい。
【0144】
ロータ上の磁石又は磁化された部分のハルバッハアレイと組み合わせて、中央部(又は拡張部)106、206、306、406、506、606の壁は、既知のモータよりも実質的に薄くすることができる。例えば、中央部の磁化部分に対する中央部の非磁化部分の半径方向の厚さの比は、1未満、0.75未満、0.5未満、あるいは0.25未満にすることができる。
【0145】
熱間成形ローター(薄肉化可能)とハルバッハアレイとを組み合わせたスロットレスモータは、磁気性能を維持したまま、設計の機械的要件に応じた軽量化を実現することが可能である。これらの特徴の相乗効果は、既知の装置にはないものであり、業界にとって真の飛躍を意味する。
【0146】
ハルバッハアレイの磁気特性により、この薄肉は、バッキング材に発生する低磁場により、電気モータの機械的要件だけに最適化することができる。つまり、ロータは、使用目的(サイズ、トルク、回転数等)に応じた最低限の構造(機械的強度)要件を満たすことに注力し、磁束を導くためにそれ以上の厚みを必要としないように設計することができる。このスロットレストポロジーを持つ先進的なロータをモータに使用することで、薄肉設計の適用性がさらに向上した。従来の(スロット付き)モータでは、スロットレスモータと比較して磁気ギャップが非常に小さいため、ステータの歯からの磁界は磁束が大きくなる。例えば、スロットモータの磁気ギャップは0.3mm~1mmであるが、スロットレスモータの磁気ギャップは約2mm~8mmである。この発生磁界の減少により、ステータの転流時にロータのバッキング材(磁化された材料の機械的支持体)に発生する磁界強度が低くなる。この高磁場発生を克服する方法としては、通常、磁石を取り付ける積層鋼板を追加すること、及び/又はより厚い材料を提供して損失を減らし、渦損失による発熱を抑え磁石の熱による減磁を減らすことが含まれる。そのため、スロットレス配置にすることで、ロータ壁の厚みをより薄くすることができる。
【外国語明細書】