(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081372
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】医用情報処理方法及び医用情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
A61B6/03 373
A61B6/03 360T
A61B6/03 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191660
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2021194761
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 博基
(72)【発明者】
【氏名】湊谷 洋平
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA37
4C093EA07
4C093EB12
4C093EB13
4C093FC11
4C093FD03
4C093FD09
4C093FD11
4C093FF09
(57)【要約】
【課題】撮影時と異なるX線のスペクトル情報に対応したX線CT画像の取得を可能とすること。
【解決手段】実施形態の医用情報処理方法は、X線CT画像と、当該X線CT画像の撮影時のスペクトル情報とを取得し、前記X線CT画像を物質ごとにセグメンテーションして当該X線CT画像における物質の分布データを取得し、前記スペクトル情報と物質ごとの減弱係数とに基づいて当該分布データについて順投影処理を行なって、前記物質ごとの複数の順投影データを取得し、前記複数の順投影データと前記X線CT画像の生成に用いた生データとに基づく機械学習により学習済みモデルを生成することを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線CT画像と、当該X線CT画像の撮影時のスペクトル情報とを取得し、前記X線CT画像を物質ごとにセグメンテーションして当該X線CT画像における物質の分布データを取得し、前記スペクトル情報と物質ごとの減弱係数とに基づいて当該分布データについて順投影処理を行なって、前記物質ごとの複数の順投影データを取得し、
前記複数の順投影データと前記X線CT画像の生成に用いた生データとに基づく機械学習により学習済みモデルを生成する
ことを含む、医用情報処理方法。
【請求項2】
前記複数の順投影データを入力側データとし、前記生データを出力側データとしてニューラルネットワークに入力し、
前記複数の順投影データの和と、前記生データとの間の誤差を最小化するように前記ニューラルネットワークを学習させることで、前記学習済みモデルを生成する、請求項1に記載の医用情報処理方法。
【請求項3】
前記学習済みモデルと、前記X線CT画像と異なる他のX線CT画像と、任意のスペクトル情報とを取得し、前記他のX線CT画像を物質ごとにセグメンテーションして当該他のX線CT画像における物質の分布データを取得し、前記任意のスペクトル情報と物質ごとの減弱係数とに基づいて当該分布データについて順投影処理を行なって、前記物質ごとの複数の順投影データを取得し、
前記他のX線CT画像に基づく複数の順投影データを前記学習済みモデルに入力することで、前記任意のスペクトル情報に対応した生データを取得することを更に含む、請求項2に記載の医用情報処理方法。
【請求項4】
前記任意のスペクトル情報は、ユーザが入力したX線エネルギーの値に基づいて設定される、請求項3に記載の医用情報処理方法。
【請求項5】
X線CT画像と、当該X線CT画像の撮影時のスペクトル情報とを取得し、前記X線CT画像を物質ごとにセグメンテーションして当該X線CT画像における物質の分布データを取得し、前記スペクトル情報と物質ごとの減弱係数とに基づいて当該分布データについて順投影処理を行なって、前記物質ごとの複数の順投影データを取得する取得部と、
前記複数の順投影データと前記X線CT画像の生成に用いた生データとに基づく機械学習により学習済みモデルを生成する学習部と
を備える、医用情報処理装置。
【請求項6】
医用情報処理方法であって、
第1のスペクトル情報に対応したCTスキャンを行なうことにより得られる被検体の第1のCT画像を得、前記第1のCT画像に対してコンピュータセグメンテーション処理を適用することにより複数の物質の分布データを得、
前記複数の物質の分布データに基づいて変換処理を行うことにより、第2のスペクトル情報に対応する第2のCT画像を得、
前記第2のCT画像を表示又は解析のために出力し、
前記コンピュータセグメンテーション処理または変換処理のいずれか一方は、機械学習による学習済みモデルに基づき実行される、医用情報処理方法。
【請求項7】
前記コンピュータセグメンテーション処理では、前記学習済みモデルに基づいて前記第1のCT画像から複数の物質の分布データを得る、請求項6に記載の医用情報処理方法。
【請求項8】
前記変換処理では、前記複数の物質の分布データのそれぞれについて第2のスペクトル情報に基づく順投影処理を行なうことにより複数の順投影データを得、
前記複数の順投影データに対して前記学習済みモデルを適用することにより、処理後の複数の順投影データを得、
当該処理後の複数の順投影データを合成することにより合成順投影データを得、
当該合成順投影データに基づいて、前記第2のCT画像を再構成する、請求項6に記載の医用情報処理方法。
【請求項9】
前記変換処理では、前記複数の物質の分布データのそれぞれに対して前記学習済みモデルを適用することにより、前記第2のスペクトル情報に対応する複数の物質の処理後分布データを得、
当該複数の物質の処理後分布データを合成することにより、前記第2のスペクトル情報に対応する前記第2のCT画像を得る、請求項6に記載の医用情報処理方法。
【請求項10】
前記変換処理では、前記複数の物質の分布データのそれぞれについて第2のスペクトル情報に基づく順投影処理を行なうことにより複数の順投影データを得、
前記複数の順投影データに対して前記学習済みモデルを適用することにより、第2のスペクトル情報に対応する生データを得、
当該生データに基づいて、前記第2のCT画像を再構成する、請求項6に記載の医用情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理方法及び医用情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)画像は臨床の場において広く使用されている。X線CT画像の撮影条件は、読影の目的に応じて適宜調整される。
【0003】
例えば、X線CT画像の撮影条件として、撮影に用いるX線のスペクトルを設定することができる。例えば、X線CT画像の撮影時においては、設定されたX線エネルギーの値に対応したスペクトルを有するX線が被検体に対して照射され、X線の検出結果に基づく投影データを再構成することで、X線CT画像を得ることができる。
【0004】
ここで、X線CT画像の取得後において、例えば医師等のユーザが、他のX線スペクトルで収集されたX線CT画像の参照を希望する場合がある。例えば、ユーザは、被検体の診断等を目的に、よりコントラストの強い画像や、よりノイズの少ない画像を参照することが好ましいと判断する場合がある。しかしながら、他のX線スペクトルでのX線CT画像の収集を再度行なうこととすれば、被検体の被ばく量が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-10727号公報
【特許文献2】特開2007-202700号公報
【特許文献3】特開2020-201244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、撮影時と異なるX線のスペクトル情報に対応したX線CT画像の取得を可能とすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の医用情報処理方法は、X線CT画像と、当該X線CT画像の撮影時のスペクトル情報とを取得し、前記X線CT画像を物質ごとにセグメンテーションして当該X線CT画像における物質の分布データを取得し、前記スペクトル情報と物質ごとの減弱係数とに基づいて当該分布データについて順投影処理を行なって、前記物質ごとの複数の順投影データを取得し、前記複数の順投影データと前記X線CT画像の生成に用いた生データとに基づく機械学習により学習済みモデルを生成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る医用情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る学習フェーズについて説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る利用フェーズについて説明するための図である。
【
図5A】
図5Aは、第1の実施形態に係る医用情報処理装置による学習フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【
図5B】
図5Bは、第1の実施形態に係る医用情報処理装置による学習フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置による利用フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る表示例である。
【
図8】
図8は、第3の実施形態に係る学習フェーズについて説明するための図である。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係る利用フェーズについて説明するための図である。
【
図10A】
図10Aは、第3の実施形態に係る医用情報処理装置による学習フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【
図10B】
図10Bは、第3の実施形態に係る医用情報処理装置による学習フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、第4の実施形態に係る学習フェーズについて説明するための図である。
【
図12】
図12は、第4の実施形態に係る学習データの取得方法の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第4の実施形態に係る利用フェーズについて説明するための図である。
【
図14A】
図14Aは、第4の実施形態に係る医用情報処理装置による学習フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【
図14B】
図14Bは、第4の実施形態に係る医用情報処理装置による学習フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【
図15】
図15は、第4の実施形態に係る医用情報処理装置による利用フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、医用情報処理方法及び医用情報処理装置の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、
図1に示す医用情報処理装置1について説明する。医用情報処理装置1は、後述する学習済みモデルM1を生成することで、撮影時と異なるX線のスペクトル情報に対応したX線CT画像の取得を可能とする。言い換えると、医用情報処理装置1は、他のX線エネルギー(kVp)への変換処理のための学習済みモデルM1を生成する。医用情報処理装置1は、例えば、処理回路11及びメモリ12を備える。
【0011】
処理回路11は、取得機能111及び学習機能112を実行することで、医用情報処理装置1全体の動作を制御する。取得機能111は、取得部の一例である。学習機能112は、学習部の一例である。
【0012】
例えば、処理回路11は、取得機能111に対応するプログラムをメモリ12から読み出して実行することにより、後述する各種の学習データを取得する。また、処理回路11は、学習機能112に対応するプログラムをメモリ12から読み出して実行することにより、取得機能111が取得した学習データを用いた機械学習を実行して、学習済みモデルM1を生成する。取得機能111及び学習機能112による処理の詳細は後述する。
【0013】
図1に示す医用情報処理装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ12へ記憶されている。処理回路11は、メモリ12からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路11は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0014】
なお、
図1においては単一の処理回路11にて、取得機能111及び学習機能112が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路11を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路11が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0015】
メモリ12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ12は、医用情報処理装置1に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。また、メモリ12は、後述する各種の学習データを記憶する。
【0016】
次に、
図2に示す医用情報処理システムについて説明する。医用情報処理システムは、例えば、X線CT装置2及び医用情報処理装置3を含む。医用情報処理装置3は、X線CT装置2によって撮影されたX線CT画像と、医用情報処理装置1によって生成された学習済みモデルM1とを用いて、X線CT装置2による撮影時と異なるX線のスペクトル情報に対応したX線CT画像を取得する。
【0017】
X線CT装置2は、例えば、被検体を挟んで対向する位置に、X線管とX線検出器とを備える。X線CT装置2は、X線管から照射され、被検体を透過したX線をX線検出器によって検出することにより、投影データ(生データ)を取得する。また、X線CT装置2は、X線照射角度(ビュー)ごとに取得した投影データについて再構成処理を行ない、X線CT画像を取得することができる。
【0018】
医用情報処理装置3は、例えば、メモリ31、ディスプレイ32、入力インタフェース33及び処理回路34を備える。
【0019】
メモリ31は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ31は、医用情報処理装置3に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。また、メモリ31は、医用情報処理装置1によって生成された学習済みモデルM1を記憶する。
【0020】
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、各種のX線CT画像を表示する。また、例えば、ディスプレイ32は、入力インタフェース33を介してユーザから各種の指示や設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ32は、デスクトップ型でもよいし、医用情報処理装置3本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0021】
入力インタフェース33は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路34に出力する。例えば、入力インタフェース33は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インタフェース33は、医用情報処理装置3本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インタフェース33は、モーションキャプチャによりユーザからの入力操作を受け付ける回路であっても構わない。一例を挙げると、入力インタフェース33は、トラッカーを介して取得した信号やユーザについて収集された画像を処理することにより、ユーザの体動や視線等を入力操作として受け付けることができる。また、入力インタフェース33は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用情報処理装置3とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路34へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース33の例に含まれる。
【0022】
処理回路34は、取得機能341、画像処理機能342及び表示制御機能343を実行することで、医用情報処理装置3全体の動作を制御する。
【0023】
例えば、処理回路34は、取得機能341に対応するプログラムをメモリ31から読み出して実行することにより、後述する複数の順投影データを取得する。また、処理回路34は、画像処理機能342に対応するプログラムをメモリ31から読み出して実行することにより、取得機能341が取得した複数の順投影データを学習済みモデルM1に入力することで、任意のスペクトル情報に対応したデータを取得する。また、処理回路34は、表示制御機能343に対応するプログラムをメモリ31から読み出して実行することにより、画像処理機能342が取得したデータに基づくX線CT画像をディスプレイ32に表示させる。取得機能341、画像処理機能342及び表示制御機能343による処理の詳細は後述する。
【0024】
図1に示す医用情報処理装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ31へ記憶されている。処理回路34は、メモリ31からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路34は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0025】
なお、
図1においては単一の処理回路34にて、取得機能341、画像処理機能342及び表示制御機能343が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路34を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路34が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0026】
なお、
図2に示す通り、X線CT装置2及び医用情報処理装置3は、ネットワークNWを介して相互に接続される。ネットワークNWは、施設内で閉じたローカルネットワークにより構成されてもよいし、インターネットを介したネットワークであってもよい。また、X線CT装置2と医用情報処理装置3との間の通信は、画像保管装置等の他の装置を介して行なわれてもよいし、他の装置を介さず直接的に行なわれてもよい。このような画像保管装置の例としては、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)のサーバが挙げられる。
【0027】
以上、医用情報処理装置1と、医用情報処理装置3を含んだ医用情報処理システムとについて説明した。かかる構成の下、医用情報処理装置1は、学習済みモデルM1を生成することにより、医用情報処理装置3において、撮影時と異なる任意のX線のスペクトル情報に対応したX線CT画像を取得することを可能とする。
【0028】
医用情報処理装置1による学習済みモデルM1の生成処理について、
図3を用いて説明する。
図3は、第1の実施形態に係る学習フェーズについて説明するための図である。
【0029】
まず、任意の被検体に対する撮影が実行され、生データR1が収集される。生データR1は、例えばサイノグラムである。生データR1は、
図2に示したX線CT装置2によって収集されてもよいし、他のX線CT装置によって収集されてもよい。次に、生データR1に基づく再構成処理が実行され、X線CT画像I1が生成される。取得機能111は、当該X線CT画像I1を取得する。
【0030】
X線CT画像I1の再構成処理は、取得機能111が行なってもよいし、他の装置において行なわれてもよい。例えば、X線CT装置2は、被検体を撮影して生データR1を収集するとともに、収集した生データR1からX線CT画像I1を再構成し、取得機能111は、X線CT装置2によって再構成されたX線CT画像I1を取得する。或いは、X線CT装置2は、被検体を撮影して生データR1を収集し、取得機能111は、X線CT装置2によって収集された生データR1から、X線CT画像I1を再構成する。
【0031】
X線CT画像I1を再構成する手法については特に限定されるものではないが、例としては、FBP(Filtered Back Projection)法、逐次近似再構成法、逐次近似応用再構成法等を例示することができる。或いは、X線CT画像I1は、機械学習の手法で再構成することとしてもよい。例えば、X線CT画像I1は、DLR(Deep Learning Reconstruction)法によって再構成することとしてもよい。
【0032】
次に、取得機能111は、取得したX線CT画像I1を物質ごとにセグメンテーションして、X線CT画像I1における物質の分布データを取得する。例えば、取得機能111は、X線CT画像I1を、臓器ごとにセグメンテーションする。
【0033】
セグメンテーションの手法については特に限定されるものではないが、例としては、CT値に基づく大津の二値化法、領域拡張法、スネーク法、グラフカット法、ミーンシフト法などを例示することができる。或いは、X線CT画像I1を表示させ、各臓器の範囲を指定する操作をユーザから受け付けることにより、マニュアルでのセグメンテーションを行なってもよい。
【0034】
或いは、取得機能111は、X線CT画像I1のセグメンテーションを機械学習の手法で行なってもよい。例えば、任意のX線CT画像を入力側データとし、当該X線CT画像について医師等がマニュアルでセグメンテーションした結果を出力側データとして機械学習を行なうことで、入力されたX線CT画像のセグメンテーションを行なうように機能付けられた学習済みモデルを生成することができる。取得機能111は、このような学習済みモデルに対してX線CT画像I1を入力することにより、X線CT画像I1における物質の分布データを取得することができる。
【0035】
なお、
図3においては、X線CT画像I1を物質ごとにセグメンテーションして3つの分布データ(分布データD11、分布データD12及び分布データD13)を取得する場合を示す。但し、
図3はあくまで一例であり、セグメンテーションによって取得する分布データの数については任意である。
【0036】
また、取得機能111は、X線CT画像I1の撮影時のスペクトル情報を取得する。例えば、取得機能111は、X線CT画像I1を撮影する際に、X線CT装置2が備えるX線管から照射されたX線のスペクトル情報を取得する。スペクトル情報は、例えば、波長(X線エネルギー)ごとにX線強度を対応付けた情報である。スペクトル情報は、X線CT画像I1に付帯情報として付加されてもよい。
【0037】
より具体的には、スペクトル情報は、X線CT画像I1の撮影時におけるX線エネルギーの設定に応じて、X線管ごとに決定することができる。例えば、X線エネルギーとして「120kVp」が設定された場合、「120kVp」以下の範囲にスペクトルの広がりを有するX線が照射される。
【0038】
また、スペクトルの形状についてはX線管ごとの個体差があるところ、各X線管についてキャリブレーションを行なっておくことにより、スペクトル情報をより精度良く特定することが可能となる。このようなキャリブレーションについては、例えば、分光検出器を用いて実行することができる。即ち、X線管ごと且つX線エネルギーの設定ごとに、分光検出器を用いてX線スペクトルを計測しておくことで、X線CT画像I1の撮影時のスペクトル情報をより精度良く特定することが可能となる。このような分光検出器としては、例えば、高純度ゲルマニウムを用いた検出器を用いることができる。
【0039】
なお、取得機能111は、X線CT画像やスペクトル情報といった各種のデータを、ネットワークNWを介して取得してもよいし、記憶媒体を介して取得してもよい。また、取得機能111は、取得したデータをメモリ12に記憶させる。
【0040】
次に、取得機能111は、X線CT画像I1の撮影時のスペクトル情報と、物質ごとの減弱係数とに基づいて、X線CT画像I1における物質の分布データについて順投影処理を行なって、物質ごとの複数の順投影データを取得する。例えば、
図3に示す場合、取得機能111は、分布データD11について順投影処理を行なって順投影データP11を取得し、分布データD12について順投影処理を行なって順投影データP12を取得し、分布データD13について順投影処理を行なって順投影データP13を取得する。
【0041】
即ち、特定の方向から順投影を行なった際、X線CT画像I1における物質の分布データによれば、順投影の経路上に、各物質がどの程度の長さだけ分布しているのかが明らかとなる。即ち、X線CT画像I1における物質の分布データに基づいて、物質ごとのパス長を求めることができる。そして、物質ごとのパス長と、物質ごとの減弱係数とを用いれば、X線吸収量を求め、順投影データを生成することができる。なお、物質ごとの減弱係数については、例えばNIST(National Institute of Standards and Technology)等の文献値を用いることができる。
【0042】
より具体的には、分布データはセグメンテーション処理により生成されたものであり、単一物質を仮定したデータとなるため、分布データごとに単一の減弱係数が割り当てられる。例えば、分布データD11に対しては減弱係数μ1が割り当てられ、分布データD12に対しては減弱係数μ2が割り当てられ、分布データD13に対しては減弱係数μ3が割り当てられる。但し、減弱係数はX線エネルギーに対する依存性があり、また、X線管からはスペクトルの広がりを有する多色のX線が放射される。従って、取得機能111は、減弱係数μ1をX線エネルギーの関数として積分するとともに、パス長を乗じることによって、順投影データを取得することができる。
【0043】
次に、学習機能112は、取得機能111が取得した各種のデータを学習データとして用いた機械学習を実行する。具体的には、学習機能112は、
図3に示した複数の順投影データと、X線CT画像I1の生成に用いた生データR1とに基づく機械学習により、他のX線エネルギー(kVp)への変換処理のための学習済みモデルM1を生成する。
【0044】
図3においては、学習済みモデルM1がニューラルネットワーク(Neural Network:NN)により構成されるものとして説明する。ニューラルネットワークは、層状に並べた隣接層間が結合した構造を有し、情報が入力層側から出力層側に伝播するネットワークである。ニューラルネットワークは、例えば、入力層と、複数の中間層(隠れ層)と、出力層とにより構成される。
【0045】
例えば、学習機能112は、X線CT画像I1に基づいて取得機能111が取得した複数の順投影データを、入力側データとしてニューラルネットワークに入力する。また、学習機能112は、X線CT画像I1の再構成に用いられた生データR1を、出力側データとしてニューラルネットワークに入力する。即ち、学習機能112は、X線CT画像I1の撮影時において実際に収集された生データR1を、正解データとしてニューラルネットワークに入力する。
【0046】
ここで、入力側データとして入力された複数の順投影データは物質ごとにセグメンテーションされた分布データを、スペクトル情報と物質ごとの減弱係数とに基づいて順投影処理したものである。そして、複数の順投影データの和は、元となった生データR1と同様、複数の物質の情報を含んだデータとなる。しかしながら、このような複数の順投影データの和と、生データR1との間には、誤差が生じる場合がある。例えば、順投影データの生成時においては、物質ごとの減弱係数を特定の値(文献値等)としたが、物質ごとの減弱係数には、被検体ごとに個人差がある場合がある。また、例えば、ある被検体の肝臓についての減弱係数を特定の値とした場合において、肝臓内の位置ごとに、減弱係数の値にばらつきが生じる場合もある。また、セグメンテーションの精度に起因した誤差も発生する。
【0047】
学習機能112は、入力側データとして入力された複数の順投影データの和と、出力側データとして入力された生データR1との間の誤差を最小化するようにニューラルネットワークを学習させることで、学習済みモデルM1を生成する。例えば、複数の順投影データの和と、生データR1との関係は、下記の式(1)によって表現することができる。下記の式(1)は、サイノグラム上の各点について設けることができる。即ち、式(1)は、順投影のRay(投影位置及び投影角度)ごとに設けることができる。
【0048】
【0049】
式(1)において、右辺の(Raw Data)は、生データR1上の一点における画素値を示す。また、左辺の「∫μ1(E)dE*L1’」は、順投影データP11のうち右辺の(Raw Data)に対応した一点における画素値を示す。また、左辺の「∫μ2(E)dE*L2’」は、順投影データP12のうち右辺の(Raw Data)に対応した一点における画素値を示す。また、左辺の「∫μ3(E)dE*L3’」は、順投影データP13のうち右辺の(Raw Data)に対応した一点における画素値を示す。
【0050】
より具体的には、「μ1」は順投影データP11に対応した単一物質の減弱係数であり、「μ2」は順投影データP12に対応した単一物質の減弱係数であり、「μ3」は順投影データP13に対応した単一物質の減弱係数である。上述した通り、これら減弱係数は、X線エネルギー「E」の関数として積分される。
【0051】
「L1’」は、分布データD11を用いて、単一物質を仮定して順投影した際に得られるパス長である。即ち、「L1’」は、分布データD11に基づいた既知の値である。同様に、「L2’」は、分布データD12を用いて、単一物質を仮定して順投影した際に得られるパス長であり、「L3’」は、分布データD13を用いて、単一物質を仮定して順投影した際に得られるパス長である。
【0052】
「c1」、「c2」及び「c3」は、式(1)における等号を成立させるため各項に対して乗じられる係数である。即ち、上述した通り、複数の順投影データの和と生データR1との間には、減弱係数の設定やセグメンテーション処理等に起因する誤差が生じる。式(1)においては、「c1」、「c2」、「c3」といった係数を乗じることで誤差を吸収し、等式を成立させる。言い換えると、式(1)は、下記の式(2)が成立する場合における仮想的なパス長「L1」、「L2」、「L3」を、それぞれ「L1’*c1」、「L2’*c2」、「L3’*c3」で書き換えたものである。
【0053】
【0054】
このため、例えば式(1)の左辺における「∫μ1(E)dE*L1’」、「∫μ2(E)dE*L2’」、「∫μ3(E)dE*L3’」の3項を入力側データ、右辺の(Raw Data)を出力側データとしてニューラルネットワークを学習させる場合、ニューラルネットワークは、「c1」、「c2」、「c3」といった係数を学習することができる。なお、式(1)は、サイノグラム上の点ごと多数設けることができる。通常、「c1」、「c2」、「c3」といった係数を一意に定まる解として解くことはできないため、ニューラルネットワークは、多数の式(1)において左辺と右辺との間の誤差を最小化するように、係数を学習することとなる。
【0055】
上述した機械学習を実行することで、学習機能112は、「c1」、「c2」、「c3」といった係数を学習した学習済みモデルM1を生成することができる。即ち、学習機能112は、複数の順投影データの和と生データR1との間の誤差を最小化するよう、各順投影データに対して乗じる係数をニューラルネットワークに学習させることで、学習済みモデルM1を生成する。学習機能112による学習済みモデルM1の生成処理については、オフラインで実行することができる。
【0056】
なお、式(1)においては、「∫μ1(E)dE*L1’」、「∫μ2(E)dE*L2’」、「∫μ3(E)dE*L3’」の各項に対し、「c1」、「c2」、「c3」といった係数を乗じることで、誤差を吸収させる場合について説明した。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではない。即ち、誤差を吸収させるための数学的処理は、係数の乗算に限定されるものではない。
【0057】
例えば、式(1)の左辺に示した各順投影データに対して係数を乗じる代わりに、指数を設定したり追加の項を加算したりしてもよい。このような任意の数学的処理、或いはそれらの組み合わせによって、複数の順投影データの和と生データR1との間の誤差を吸収させることが可能である。この場合、ニューラルネットワークは、誤差を最小化する数学的処理、或いはそれらの組み合わせを学習することとなる。
【0058】
次に、学習済みモデルM1の利用フェーズについて、
図4を用いて説明する。まず、任意の被検体に対する撮影が実行され、生データR2が収集される。生データR2は、生データR1と同じ被検体から収集されてもよいし、他の被検体から収集されてもよい。また、生データR2は、
図2に示したX線CT装置2によって収集されてもよいし、他のX線CT装置によって収集されてもよい。次に、生データR2に基づく再構成処理が実行され、X線CT画像I2が生成される。取得機能341は、当該X線CT画像I1を取得する。
【0059】
X線CT画像I2の再構成は、取得機能341が行なってもよいし、他の装置において行なわれてもよい。例えば、X線CT装置2は、被検体を撮影して投影データを収集するとともに、収集した投影データからX線CT画像I2を再構成し、取得機能341は、X線CT装置2によって再構成されたX線CT画像I2を取得する。また、X線CT装置2は、被検体を撮影して投影データを収集し、取得機能341は、X線CT装置2によって収集された投影データから、X線CT画像I2を再構成する。なお、X線CT画像I2を再構成する手法については特に限定されるものではない。
【0060】
次に、取得機能341は、取得したX線CT画像I2を物質ごとにセグメンテーションして、X線CT画像I2における物質の分布データを取得する。例えば、取得機能341は、X線CT画像I2を、臓器ごとにセグメンテーションする。セグメンテーションの手法については特に限定されるものではなく、機械学習の手法でセグメンテーションを行なってもよい。
図4においては、X線CT画像I2を物質ごとにセグメンテーションして3つの分布データ(分布データD21、分布データD22及び分布データD23)を取得する場合を示す。
【0061】
また、取得機能341は、任意のスペクトル情報と物質ごとの減弱係数とに基づいて、X線CT画像I2における物質の分布データについて順投影処理を行なって、物質ごとの複数の順投影データを取得する。例えば、
図4に示す場合、取得機能341は、分布データD21について順投影処理を行なって順投影データP21を取得し、分布データD22について順投影処理を行なって順投影データP22を取得し、分布データD23について順投影処理を行なって順投影データP23を取得する。
【0062】
ここで、任意のスペクトル情報は、X線CT画像I2の撮影時のスペクトル情報と異なっていてもよい。例えば、
図4において、X線CT画像I2は「120kVp」のX線を用いて撮影されている。これに対し、順投影データを取得するために設定される任意のスペクトル情報は、「135kVp」となっている。
【0063】
任意のスペクトル情報については、例えば、ユーザが入力したX線エネルギーの値に基づいて設定することができる。例えば、ユーザは、ディスプレイ32に表示されたGUIを操作し、所望するX線エネルギーの値を入力する。例えば、X線CT画像I2の撮影条件が「120kVp」であり、X線CT画像I2よりもコントラストの高い画像を参照したいと考えた場合、ユーザは、「120kVp」よりも低いX線エネルギーの値を入力することができる。また、X線CT画像I2よりもノイズの少ない画像を参照したいと考えた場合、ユーザは、「120kVp」よりも高いX線エネルギーの値を入力することができる。
【0064】
そして、画像処理機能342は、X線CT画像I2に基づく物質ごとの複数の順投影データを学習済みモデルM1に入力することで、生データR3を取得する。
図3に示す場合、生データR3は、任意のスペクトル情報「135kVp」に対応したものとなる。
【0065】
例えば、学習済みモデルM1においては、式(1)に示した係数「c1」、「c2」、「c3」が学習されている。これらの係数はパス長の係数として捉えられるものであり、X線エネルギー(kVp)への依存性は低い。このため、任意のスペクトル情報が入力された場合においても学習した係数「c1」、「c2」、「c3」を適用し、複数の順投影データから生データR3を生成することができる。即ち、学習済みモデルM1は、他のX線エネルギー(kVp)への変換処理を行なうことができる。
【0066】
更に、画像処理機能342は、任意のスペクトル情報に対応した生データR3に基づいて、当該任意のスペクトル情報に対応したX線CT画像を生成することもできる。表示制御機能343は、当該任意のスペクトル情報に対応したX線CT画像を、ディスプレイ32に表示させることができる。
【0067】
画像処理機能342は、学習済みモデルM1を用いて取得した、複数のスペクトル情報それぞれに対応した複数のX線CT画像を用いて、物質弁別処理を行なうこともできる。以下、学習済みモデルM1を用いて、高エネルギーに対応したX線CT画像と、低エネルギーに対応したX線CT画像とを取得した場合について説明する。例えば、画像処理機能342は、高エネルギーに対応したX線CT画像と、低エネルギーに対応したX線CT画像とを基準物質ごとに分解して、複数の基準物質それぞれの基準物質画像を生成することができる。更に、画像処理機能342は、生成した基準物質画像に基づいて、単色X線画像や密度画像、実効原子番号画像といった各種画像を更に生成することもできる。
【0068】
図3で説明した学習フェーズにおける医用情報処理装置1による一連の処理について、
図5A及び
図5Bを用いて説明する。
図5A及び
図5Bは、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1による学習フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【0069】
まず、取得機能111は、生データを取得し(ステップS111)、当該生データからX線CT画像を再構成する(ステップS112)。なお、取得機能111は、ステップS111及びステップS112に代えて、他の装置で再構成されたX線CT画像を取得することとしてもよい。次に、取得機能111は、取得したX線CT画像を物質ごとにセグメンテーションして、物質の分布データを取得する(ステップS113)。次に、取得機能111は、物質の分布データについて順投影処理を行ない、物質ごとの複数の順投影データを取得する(ステップS114)。そして、取得機能111は、ステップS111による生データと、ステップS114による複数の順投影データとを1セットの学習データとして関連付け、メモリ12に記憶させる(ステップS115)。例えば、取得機能111は、
図3に示した生データR1と、複数の順投影データ(順投影データP11、順投影データP12及び順投影データP13)とを1セットの学習データとして関連付け、メモリ12に記憶させる。
【0070】
取得機能111は、新たな生データが取得されるごとに、
図5Aに示した一連のステップを実行する。これにより、ステップS115による学習データがメモリ12に蓄積される。学習機能112は、メモリ12から、ステップS115による学習データを複数セット取得し(ステップS121)、当該複数セットの学習データを用いた機械学習を実行することで、学習済みモデルM1を生成する(ステップS122)。
【0071】
次に、
図4で説明した利用フェーズにおける医用情報処理装置3による一連の処理について、
図6を用いて説明する。
図6は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置3による利用フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【0072】
まず、取得機能341は、生データを取得し(ステップS211)、当該生データからX線CT画像を再構成する(ステップS212)。例えば、取得機能341は、ステップS212において、
図4に示した生データR2からX線CT画像I2を再構成する。なお、取得機能341は、ステップS211及びステップS212に代えて、他の装置で再構成されたX線CT画像I2を取得することとしてもよい。X線CT画像I2は、第1のスペクトル情報に対応したCTスキャンを行なうことにより得られる被検体の第1のCT画像の一例である。
【0073】
次に、取得機能341は、取得したX線CT画像(X線CT画像I2等の第1のCT画像)を物質ごとにセグメンテーションして、物質の分布データを取得する(ステップS213)。即ち、取得機能341は、第1のCT画像に対してコンピュータセグメンテーション処理を適用することにより、複数の物質の分布データを得る。
【0074】
次に、画像処理機能342は、任意のスペクトル情報と物質ごとの減弱係数とに基づいて、物質の分布データについて順投影処理を行ない、物質ごとの複数の順投影データを取得する(ステップS214)。例えば、画像処理機能342は、
図4に示したように、任意のスペクトル情報「135kVp」に基づいて、分布データD21について順投影処理を行なって順投影データP21を取得し、分布データD22について順投影処理を行なって順投影データP22を取得し、分布データD23について順投影処理を行なって順投影データP23を取得する。即ち、画像処理機能342は、複数の物質の分布データのそれぞれについて第2のスペクトル情報に基づく順投影処理を行なうことにより複数の順投影データを得ることができる。
【0075】
そして、画像処理機能342は、ステップS214による複数の順投影データを学習済みモデルM1に入力することで、任意のスペクトル情報に対応した生データを取得する(ステップS215)。例えば、画像処理機能342は、
図4に示した通り、順投影データP21、順投影データP22及び順投影データP23を学習済みモデルM1に入力することで、任意のスペクトル情報「135kVp」に対応した生データR3を取得する。即ち、画像処理機能342は、複数の順投影データに対して学習済みモデルM1を適用することにより、第2のスペクトル情報に対応する生データを得ることができる。
【0076】
更に、画像処理機能342は、ステップS215で取得した任意のスペクトル情報に対応した生データから、当該任意のスペクトル情報に対応したX線CT画像を生成する(ステップS216)。即ち、画像処理機能342は、ステップS215で取得した生データに基づいて、第2のスペクトル情報に対応する第2のCT画像を再構成する。当該任意のスペクトル情報に対応したX線CT画像については、表示又は解析のために出力されて、ユーザの利用に供される(ステップS217)。例えば、表示制御機能343は、当該任意のスペクトル情報に対応したX線CT画像をディスプレイ32に表示させる。また、例えば、当該任意のスペクトル情報に対応したX線CT画像は、ネットワークNWを介して任意の表示装置(図示せず)に送信され、当該表示装置において表示される。また、例えば、当該任意のスペクトル情報に対応したX線CT画像に基づく解析結果が、ディスプレイ32や任意の表示装置において表示される。このような解析結果の例としては、上述した基準物質画像や単色X線画像、密度画像、実効原子番号画像等を挙げることができる。
【0077】
図6のステップS213~S216の処理により、複数の物質の分布データに基づく変換処理が実行される。例えば、
図4の例では、「120kVp」に対応した分布データD21、分布データD22及び分布データD23に基づく変換処理が実行され、「135kVp」に対応する生データR3が生成され、更に当該分布データD21に基づいて「135kVp」に対応するX線CT画像が再構成される。即ち、医用情報処理装置3は、第1のスペクトル情報に対応したCTスキャンを行なうことにより得られる被検体の第1のCT画像を得、第1のCT画像に対してコンピュータセグメンテーション処理を適用することにより複数の物質の分布データを得、複数の物質の分布データに基づいて変換処理を行うことにより第2のスペクトル情報に対応する第2のCT画像を得ることができる。
【0078】
上述した学習済みモデルM1は、種々の条件ごとに生成されてもよい。例えば、学習に用いたX線CT画像I1における撮影対象部位、年齢や体格等の患者情報などの条件ごとに、学習済みモデルM1の生成を行なってもよい。例えば、取得機能111は、「頭部」の画像を用いて学習した学習済みモデルM1、「胸部」の画像を用いて学習した学習済みモデルM1、「腹部」の画像を用いて学習した学習済みモデルM1といった複数の学習済みモデルM1を生成してもよい。この場合、画像処理機能342は、X線CT画像I2における撮影対象部位に応じて取得された学習済みモデルM1を用いて、任意のスペクトル情報に対応した生データR3を取得する。これにより、学習済みモデルM1は、撮影対象部位や患者情報等の影響を考慮し、他のX線エネルギー(kVp)への変換処理をより精度良く行なうことができる。
【0079】
或いは、上述した学習済みモデルM1の生成処理において、撮影対象部位や患者情報等の情報を学習データとして更に用いることとしてもよい。この場合、画像処理機能342は、上述したX線CT画像I2に基づく複数の順投影データに加え、撮影対象部位や患者情報等の情報を学習済みモデルM1に対して更に入力する。これにより、学習済みモデルM1は、撮影対象部位や患者情報等の影響を考慮し、他のX線エネルギー(kVp)への変換処理をより精度良く行なうことができる。
【0080】
次に、
図7を用いて、ステップS217での表示例について説明する。なお、ステップS217での表示は、医用情報処理装置3と異なる他の表示装置において行なわれてもよいが、
図7では表示制御機能343がディスプレイ32に画像を表示させる例について説明する。また、ディスプレイ32に表示させる画像は、X線CT画像に限らず、当該X線CT画像に基づく解析結果(例えば、基準物質画像や単色X線画像、密度画像、実効原子番号画像等)であってもよいが、
図7ではX線CT画像の表示を行なう例について説明する。
【0081】
例えば、
図6のフローチャートによれば、ステップS212で再構成される第1のスペクトル情報に対応した第1のCT画像と、ステップS216で再構成される第2のスペクトル情報に対応した第2のCT画像とが得られ、表示制御機能343は、これら第1のCT画像と第2のCT画像とをディスプレイ32に表示させることができる。また、同一の被検体について過去に収集されたCT画像(以下、過去画像と記載する)がある場合、表示制御機能343は、第1のCT画像及び第2のCT画像に加えて、過去画像をディスプレイ32に表示させることもできる。
【0082】
図7では、第1のCT画像の一例としてCT画像I11を示し、過去画像の一例としてCT画像I12を示し、第2のCT画像の一例としてCT画像I13を示す。なお、レイアウトやUI(User Interface)等の具体的な表示態様については適宜の変更が可能である。例えば、
図7では、3つの表示領域を設けて、CT画像I11、CT画像I12及びCT画像I13を並べて表示しているが、例えば1つの表示領域において、CT画像I11、CT画像I12及びCT画像I13を切り替え表示してもよい。
【0083】
CT画像I11及びCT画像I12は、同一の被検体から異なる日時に収集されたCT画像である。例えば、全身外傷を受けた被検体について検査を行なう場合、広範囲のCTスキャンが実行された後、損傷のある部位を含む狭い範囲のCTスキャンが再度実行される場合がある。また、治療計画時や治療後の経過観察において、病変の進行度合いや治療効果を評価するため、当該病変を含む範囲に対するCTスキャンが繰り返し実行される場合がある。このように、同一の被検体に対して複数回のCTスキャンが実行された場合、表示制御機能343は、第1のCT画像であるCT画像I11に加えて、過去画像であるCT画像I12を取得し、ディスプレイ32に表示させることができる。
【0084】
CT画像I13は、「120kVp」に対応するCT画像I11に基づく変換処理によって生成された、「135kVp」に対応するCT画像である。表示制御機能343は、CT画像I11やCT画像I12のような変換処理を受けていないCT画像と、CT画像I13のような変換処理によるCT画像とを識別可能に表示させてもよい。例えば、表示制御機能343は、
図7に示すように、変換処理によるCT画像I13について「Converted」の表示を付すことができる。これにより、医師等のユーザは、CT画像I13が変換処理によるCT画像であることを認識した上での診断を行なうことができる。例えば、
図7では、CT画像I13と同じX線エネルギーに対応したCT画像I12が表示されており、最新ではあるものの変換処理を受けたCT画像I13と、過去画像ではあるものの変換処理を受けていないCT画像I12とを参酌した診断を行なうことができる。
【0085】
図4では、単一の学習済みモデルM1(ニューラルネットワークNN)を示したが、複数の学習済みモデルM1を用いて変換処理を行なうこととしてもよい。
【0086】
例えば、医用情報処理装置1は、物質ごとに学習済みモデルM1を生成する。例えば、医用情報処理装置1は、減弱係数μ1に対応した学習済みモデルM1と、減弱係数μ2に対応した学習済みモデルM1と、減弱係数μ3に対応した学習済みモデルM1とをそれぞれ生成する。この場合、変換処理では、複数の物質の分布データのそれぞれについて第2のスペクトル情報に基づく順投影処理を行なうことにより複数の順投影データを得、複数の順投影データに対して学習済みモデルを適用することにより、処理後の複数の順投影データを得、当該処理後の複数の投影データセットを合成することにより合成順投影データを得、当該合成順投影データに基づいて、第2のCT画像を再構成することができる。
【0087】
例えば、画像処理機能342は、
図4に示した分布データD21~D23のそれぞれについて第2のスペクトル情報に基づく順投影処理を行なうことにより、複数の順投影データP21~P23を取得する。次に、画像処理機能342は、順投影データP21に対して、減弱係数μ1に対応した学習済みモデルM1を適用することにより、処理後の順投影データP21を取得する。また、画像処理機能342は、順投影データP22に対して、減弱係数μ2に対応した学習済みモデルM1を適用することにより、処理後の順投影データP22を取得する。また、画像処理機能342は、順投影データP23に対して、減弱係数μ3に対応した学習済みモデルM1を適用することにより、処理後の順投影データP23を取得する。次に、画像処理機能342は、処理後の順投影データP21と処理後の順投影データP22と処理後の順投影データP23とを合成することにより合成順投影データを取得する。そして、画像処理機能342は、当該合成順投影データに基づいて、第2のCT画像を再構成する。
【0088】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、X線CT画像I1のX線エネルギー(kVp)に応じて、学習済みモデルM1の生成を行なう場合について説明する。
【0089】
例えば、取得機能111は、
図3に示した通り、「120kVp」で撮影されたX線CT画像I1を取得し、物質ごとの複数の順投影データを取得する。また、学習機能112は、当該複数の順投影データと、X線CT画像I1の生成に用いた生データR1とに基づく機械学習により、「120kVp」に対応した学習済みモデルM1を生成する。
【0090】
また、取得機能111は、「100kVp」で撮影されたX線CT画像I1を取得し、物質ごとの複数の順投影データを取得する。また、学習機能112は、当該複数の順投影データと、X線CT画像I1の生成に用いた生データR1とに基づく機械学習により、「100kVp」に対応した学習済みモデルM1を生成する。同様に、学習機能112は、様々なX線エネルギーに対応した学習済みモデルM1をそれぞれ生成する。
【0091】
そして、X線CT画像I2が取得された後、画像処理機能342は、X線CT画像I2の撮影時のスペクトル情報に応じて取得された学習済みモデルM1を用いて、任意のスペクトル情報に対応した生データR3を取得する。例えば、X線CT画像I2が「120kVp」で撮影されていた場合、画像処理機能342は、「120kVp」に対応した学習済みモデルM1を用いて、生データR3を取得する。
【0092】
上述した通り、学習済みモデルM1において学習される係数「c1」、「c2」、「c3」のX線エネルギー(kVp)への依存性は低いものの、X線エネルギーの影響を無視できないケースも想定される。これに対し、様々なX線エネルギーに対応した学習済みモデルM1をそれぞれ生成しておくことで、撮影時におけるX線エネルギーの影響を低減し、他のX線エネルギー(kVp)への変換処理をより精度良く行なうことができる。
【0093】
なお、様々なX線エネルギーに対応した学習済みモデルM1をそれぞれ生成することに代えて、X線CT画像I1の撮影時におけるX線エネルギーを学習データとして更に用いることとしてもよい。この場合、画像処理機能342は、上述したX線CT画像I2に基づく複数の順投影データに加え、X線CT画像I2の撮影時のX線エネルギーを、学習済みモデルM1に対して更に入力する。これにより、学習済みモデルM1は、撮影時におけるX線エネルギーの影響を考慮し、他のX線エネルギー(kVp)への変換処理をより精度良く行なうことができる。
【0094】
(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態では、物質ごとの複数の順投影データの入力を受け付けて生データを出力する学習済みモデルM1により、撮影時と異なるX線のスペクトル情報に対応したX線CT画像(第2のCT画像)の取得を実現する例について説明した。これに対し、第3の実施形態では、CT画像の入力を受け付けて物質ごとの分布データを出力する学習済みモデルM2により、第2のCT画像の取得を実現する例について説明する。言い換えると、第3の実施形態では、コンピュータセグメンテーション処理を実行する学習済みモデルM2により、第2のCT画像の取得を実現する例について説明する。以下では、上述の実施形態と異なる点について説明し、上述の実施形態と同様の構成の説明については同じ符号を付して説明を省略する。
【0095】
医用情報処理装置1による学習済みモデルM2の生成処理について、
図8を用いて説明する。
図8は、第3の実施形態に係る学習フェーズについて説明するための図である。
【0096】
まず、任意の被検体に対する撮影が実行され、生データR4が収集される。次に、生データR4に基づく再構成処理が実行され、X線CT画像I4が生成される。取得機能111は、当該X線CT画像I4を取得する。X線CT画像I4の再構成処理は、取得機能111が行なってもよいし、他の装置において行なわれてもよい。
【0097】
次に、取得機能111は、取得したX線CT画像I4を物質ごとにセグメンテーションして、X線CT画像I4における物質の分布データを取得する。例えば、取得機能111は、X線CT画像I4を、臓器ごとにセグメンテーションする。例えば、
図8では、取得機能111は、X線CT画像I4を物質ごとにセグメンテーションして、分布データD44、分布データD45及び分布データD46を取得する。
【0098】
ここで、取得機能111は、手動乃至は半手動の方法で、X線CT画像I4を精度良くセグメンテーションする。例えば、取得機能111は、X線CT画像I4を表示させ、X線CT画像I4を参照した医師等のユーザからの入力操作を受け付けることにより、X線CT画像I4における物質の分布データを取得する。また、例えば、取得機能111は、CT値に基づく大津の二値化法、領域拡張法、スネーク法、グラフカット法、ミーンシフト法などの任意の手法によってX線CT画像I4をセグメンテーションした後、セグメンテーションの結果をユーザに提示する。そして、取得機能111は、セグメンテーションの結果の修正をユーザから受け付けることにより、X線CT画像I4における物質の分布データを取得する。
【0099】
次に、学習機能112は、X線CT画像I4と、分布データD44、分布データD45及び分布データD46との組み合わせからなる学習データを用いた機械学習を実行することにより、学習済みモデルM2を生成する。
【0100】
図8においては、学習済みモデルM2の例として、ニューラルネットワークNN1、ニューラルネットワークNN2及びニューラルネットワークNN3を示している。これら複数の学習済みモデルM2は、物質ごとに生成される。具体的には、学習機能112は、X線CT画像I4と、X線CT画像I4から減弱係数μ1に対応した物質をセグメンテーションした分布データD44との組み合わせからなる学習データを用いた機械学習を実行することにより、ニューラルネットワークNN1を生成する。また、学習機能112は、X線CT画像I4と、X線CT画像I4から減弱係数μ2に対応した物質をセグメンテーションした分布データD45との組み合わせからなる学習データを用いた機械学習を実行することにより、ニューラルネットワークNN2を生成する。また、学習機能112は、X線CT画像I4と、X線CT画像I4から減弱係数μ3に対応した物質をセグメンテーションした分布データD46との組み合わせからなる学習データを用いた機械学習を実行することにより、ニューラルネットワークNN3を生成する。
【0101】
次に、学習済みモデルM2の利用フェーズについて、
図9を用いて説明する。まず、任意の被検体に対する撮影が実行され、生データR5が収集される。生データR5は、生データR4と同じ被検体から収集されてもよいし、他の被検体から収集されてもよい。また、生データR5は、
図2に示したX線CT装置2によって収集されてもよいし、他のX線CT装置によって収集されてもよい。次に、生データR5に基づく再構成処理が実行され、X線CT画像I5が生成される。取得機能341は、当該X線CT画像I5を取得する。X線CT画像I5の再構成は、取得機能341が行なってもよいし、他の装置において行なわれてもよい。
【0102】
次に、取得機能341は、学習済みモデルM2を用いて、取得したX線CT画像I5を物質ごとにセグメンテーションし、X線CT画像I5における物質の分布データを取得する。例えば、取得機能341は、ニューラルネットワークNN1に対してX線CT画像I4を入力することにより、減弱係数μ1に対応した物質の分布データD51を取得する。また、取得機能341は、ニューラルネットワークNN2に対してX線CT画像I4を入力することにより、減弱係数μ2に対応した物質の分布データD52を取得する。また、取得機能341は、ニューラルネットワークNN3に対してX線CT画像I4を入力することにより、減弱係数μ3に対応した物質の分布データD53を取得する。
【0103】
次に、画像処理機能342は、任意のスペクトル情報と物質ごとの減弱係数とに基づいて、分布データごとに順投影処理を行ない、物質ごとの複数の順投影データを取得する。例えば、
図9に示す場合、画像処理機能342は、分布データD51について順投影処理を行なって順投影データP51を取得し、分布データD52について順投影処理を行なって順投影データP52を取得し、分布データD53について順投影処理を行なって順投影データP53を取得する。
【0104】
ここで、任意のスペクトル情報は、X線CT画像I5の撮影時のスペクトル情報と異なっていてもよい。例えば、
図9において、X線CT画像I5は「120kVp」のX線を用いて撮影されている。これに対し、順投影データを取得するために設定される任意のスペクトル情報は、「135kVp」となっている。そして、画像処理機能342は、物質ごとの複数の順投影データを合成することで、生データR6を取得する。
図9に示す場合、生データR6は、任意のスペクトル情報「135kVp」に対応したものとなる。
【0105】
図9においては、撮影時のスペクトル情報「120kVp」に対応した各分布データから、任意のスペクトル情報「135kVp」に対応した順投影データを取得している。ここで、セグメンテーションしていない状態のX線CT画像I5について順投影処理を行ない、「135kVp」に対応した生データを取得することも考えられる。しかしながら、この場合、様々な物質が混在したX線CT画像I5を対象として順投影処理を行なうこととなるため、計算が複雑化する。
【0106】
これに対し、
図9の例では、物質ごとにセグメンテーションをした上で順投影処理を行なうことにより、計算を単純化するとともに、他のX線エネルギー(kVp)への変換処理の精度を向上させることができる。更に、
図9では、学習済みモデルM2によってセグメンテーションを精度良く行なうことで、セグメンテーションされた分布データは単一物質であるという前提条件を信頼あるものとし、変換処理の精度を更に向上させることができる。
【0107】
次に、
図8で説明した学習フェーズにおける医用情報処理装置1による一連の処理について、
図10A及び
図10Bを用いて説明する。
図10A及び
図10Bは、第3の実施形態に係る医用情報処理装置1による学習フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【0108】
まず、取得機能111は、生データを取得し(ステップS311)、当該生データからX線CT画像を再構成する(ステップS312)。なお、取得機能111は、ステップS311及びステップS312に代えて、他の装置で再構成されたX線CT画像を取得することとしてもよい。次に、取得機能111は、取得したX線CT画像を物質ごとにセグメンテーションして、物質ごとの分布データを取得する(ステップS313)。ここで、取得機能111は、手動乃至は半手動の方法で、X線CT画像を精度良くセグメンテーションする。そして、取得機能111は、ステップS312によるX線CT画像と、ステップS313による物質ごとの分布データとを1セットの学習データとして関連付け、メモリ12に記憶させる(ステップS314)。
【0109】
取得機能111は、新たな生データが取得されるごとに、
図10Aに示した一連のステップを実行する。これにより、ステップS314による学習データがメモリ12に蓄積される。学習機能112は、メモリ12から、ステップS314による学習データを複数セット取得し(ステップS321)、当該複数セットの学習データを用いた機械学習を実行することで、物質ごとに学習済みモデルM2を生成する(ステップS322)。
【0110】
次に、
図9で説明した利用フェーズにおける医用情報処理装置3による一連の処理について説明する。なお、第3の実施形態に係る利用フェーズは、フローチャートとしては、第1の実施形態に係る利用フェーズと同様である。そこで、第3の実施形態に係る利用フェーズについて、
図6を用いて説明する。
【0111】
まず、取得機能341は、生データを取得し(ステップS211)、当該生データからX線CT画像を再構成する(ステップS212)。例えば、取得機能341は、ステップS212において、
図4に示した生データR2からX線CT画像I2を再構成する。なお、取得機能341は、ステップS211及びステップS212に代えて、他の装置で再構成されたX線CT画像I2を取得することとしてもよい。
【0112】
次に、取得機能341は、取得したX線CT画像を物質ごとにセグメンテーションして、物質の分布データを取得する(ステップS213)。即ち、取得機能341は、第1のCT画像に対してコンピュータセグメンテーション処理を適用することにより、複数の物質の分布データを得る。ここで、取得機能341は、コンピュータセグメンテーション処理を、機械学習による学習済みモデルM2に基づき実行する。言い換えると、第3の実施形態に係るコンピュータセグメンテーション処理では、学習済みモデルM2に基づいて、第1のCT画像から複数の物質の分布データを得る。
【0113】
次に、画像処理機能342は、任意のスペクトル情報と物質ごとの減弱係数とに基づいて、物質の分布データについて順投影処理を行ない、物質ごとの複数の順投影データを取得する(ステップS214)。例えば、画像処理機能342は、
図9に示したように、任意のスペクトル情報「135kVp」に基づいて、分布データD51について順投影処理を行なって順投影データP51を取得し、分布データD52について順投影処理を行なって順投影データP52を取得し、分布データD53について順投影処理を行なって順投影データP53を取得する。
【0114】
そして、画像処理機能342は、ステップS214による複数の順投影データを合成することで、任意のスペクトル情報に対応した生データを取得する(ステップS215)。例えば、画像処理機能342は、
図9に示した通り、順投影データP51、順投影データP52及び順投影データP53を合成することで、任意のスペクトル情報「135kVp」に対応した生データR6を取得する。
【0115】
更に、画像処理機能342は、ステップS215で取得した任意のスペクトル情報に対応した生データから、当該任意のスペクトル情報に対応したX線CT画像を生成する(ステップS216)。当該任意のスペクトル情報に対応したX線CT画像については、表示又は解析のために出力されて、ユーザの利用に供される(ステップS217)。
【0116】
なお、学習済みモデルM1の場合と同様、撮影対象部位や患者情報といった種々の条件ごとに学習済みモデルM2を生成することとしてもよいし、学習済みモデルM2の生成処理において、撮影対象部位や患者情報等の情報を学習データとして更に用いることとしてもよい。また、上述の第2の実施形態を本実施形態と組み合わせて実現することも可能である。即ち、X線エネルギー(kVp)ごとに学習済みモデルM2を生成してもよいし、学習済みモデルM2の生成処理において、X線エネルギーを学習データとして更に用いることとしてもよい。
【0117】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、物質ごとの分布データの入力を受け付けて、任意のスペクトル情報に対応した分布データを出力する学習済みモデルM3により、撮影時と異なるX線のスペクトル情報に対応したX線CT画像(第2のCT画像)の取得を実現する例について説明する。以下では、上述の実施形態と異なる点について説明し、上述の実施形態と同様の構成の説明については同じ符号を付して説明を省略する。
【0118】
医用情報処理装置1による学習済みモデルM3の生成処理について、
図11を用いて説明する。
図11は、第4の実施形態に係る学習フェーズについて説明するための図である。
【0119】
まず、任意の被検体に対する撮影が実行され、生データR7が収集される。次に、生データR7に基づく再構成処理が実行され、X線CT画像I7が生成される。取得機能111は、当該X線CT画像I7を取得する。X線CT画像I7の再構成処理は、取得機能111が行なってもよいし、他の装置において行なわれてもよい。
【0120】
次に、取得機能111は、取得したX線CT画像I7を物質ごとにセグメンテーションして、X線CT画像I7における物質の分布データを取得する。例えば、
図11では、取得機能111は、X線CT画像I7を物質ごとにセグメンテーションして、分布データD71、分布データD72及び分布データD73を取得する。ここで、取得機能111は、手動乃至は半手動の方法でセグメンテーションを行なってもよいし、CT値に基づく大津の二値化法などの手法によって自動でセグメンテーションを行なってもよい。
【0121】
図11において、分布データD71~D73は、撮影時のX線エネルギー「120kVp」に対応したものである。学習機能112は、分布データD71~D73と、分布データD71~D73とは異なるX線エネルギー「135kVp」に対応した分布データD74~D76との組み合わせからなる学習データを用いた機械学習を実行することにより、学習済みモデルM3を生成する。
【0122】
図11では、学習済みモデルM3の例として、ニューラルネットワークNN4~NN6を示す。
図11に示す場合、ニューラルネットワークNN4は、X線エネルギー「120kVp」に対応し且つ減弱係数μ1に対応する物質の分布データの入力を受け付けて、X線エネルギー「135kVp」に対応する物質の分布データを出力するように機能付けられる。また、ニューラルネットワークNN5は、X線エネルギー「120kVp」に対応し且つ減弱係数μ2に対応する物質の分布データの入力を受け付けて、X線エネルギー「135kVp」に対応する物質の分布データを出力するように機能付けられる。また、ニューラルネットワークNN6は、X線エネルギー「120kVp」に対応し且つ減弱係数μ3に対応する物質の分布データの入力を受け付けて、X線エネルギー「135kVp」に対応する物質の分布データを出力するように機能付けられる。
【0123】
分布データD74~D76は、例えば、
図11のX線CT画像I7と同じ被検体からX線エネルギー「135kVp」に対応したCTスキャンにより収集されたX線CT画像をセグメンテーションすることにより、取得することができる。
【0124】
分布データD74~D76を取得する他の方法について
図12を用いて説明する。
図12は、第4の実施形態に係る学習データの取得方法の一例を示す図である。まず、取得機能111は、
図11でも説明した通り、X線CT画像I7を物質ごとにセグメンテーションして、撮影時のX線エネルギー「120kVp」に対応した分布データD71~D73を取得する。
【0125】
次に、取得機能111は、撮影時とは異なるスペクトル情報に基づいて順投影処理を行ない、順投影データP71~P73を取得する。例えば、
図12では、取得機能111は、撮影時とは異なるスペクトル情報「135kVp」に基づいて、分布データD71について順投影処理を行なって順投影データP71を取得し、分布データD72について順投影処理を行なって順投影データP72を取得し、分布データD73について順投影処理を行なって順投影データP73を取得する。
【0126】
そして、取得機能111は、順投影データP71~P73のそれぞれについて再構成処理を行ない、スペクトル情報「135kVp」に対応した分布データD74~D76を取得する。具体的には、
図12では、取得機能111は、順投影データP71に基づいて分布データD74を再構成し、順投影データP72に基づいて分布データD75を再構成し、順投影データP73に基づいて分布データD76を再構成する。なお、再構成方法について特に限定されるものではなく、取得機能111は、FBP法、逐次近似再構成法、逐次近似応用再構成法、DLR法等の任意の手法で分布データD74~D76を再構成することができる。
【0127】
次に、学習済みモデルM3の利用フェーズについて、
図13を用いて説明する。まず、任意の被検体に対する撮影が実行され、生データR8が収集される。生データR8は、生データR7と同じ被検体から収集されてもよいし、他の被検体から収集されてもよい。また、生データR8は、
図2に示したX線CT装置2によって収集されてもよいし、他のX線CT装置によって収集されてもよい。次に、生データR8に基づく再構成処理が実行され、X線CT画像I8が生成される。取得機能341は、当該X線CT画像I8を取得する。X線CT画像I8の再構成は、取得機能341が行なってもよいし、他の装置において行なわれてもよい。
【0128】
次に、取得機能341は、取得したX線CT画像I8を物質ごとにセグメンテーションし、X線CT画像I8における物質の分布データを取得する。例えば、取得機能341は、X線CT画像I8を物質ごとにセグメンテーションして、減弱係数μ1に対応した物質の分布データD81、減弱係数μ2に対応した物質の分布データD82及び減弱係数μ3に対応した物質の分布データD83を取得する。
【0129】
次に、画像処理機能342は、撮影時のX線エネルギー「120kVp」に対応する分布データD81~D83を、学習済みモデルM3に対して入力することで、撮影時と異なるX線エネルギー「135kVp」に対応する分布データD91~D93を取得する。具体的には、画像処理機能342は、分布データD81をニューラルネットワークNN4に入力することで、分布データD91を取得する。また、画像処理機能342は、分布データD82をニューラルネットワークNN5に入力することで、分布データD92を取得する。また、画像処理機能342は、分布データD83をニューラルネットワークNN6に入力することで、分布データD93を取得する。
【0130】
即ち、第4の実施形態に係る変換処理では、分布データD81~D83のそれぞれに対して学習済みモデルM3を適用することにより、分布データD91~D93を得ることができる。分布データD91~D93は、第2のスペクトル情報に対応する複数の物質の処理後分布データの一例である。
【0131】
更に、画像処理機能342は、分布データD91~D93を合成することで、撮影時と異なるX線エネルギー「135kVp」に対応するX線CT画像I9を取得する。即ち、複数の物質の処理後分布データを合成することにより、第2のスペクトル情報に対応する第2のCT画像を得ることができる。
【0132】
なお、X線エネルギーの異なるX線CT画像の組を学習データとして機械学習を行ない、X線エネルギー「120kVp」に対応するX線CT画像からX線エネルギー「135kVp」に対応するX線CT画像へ直接的に変換することも考えられる。しかしながら、この場合、様々な物質が混在したX線CT画像を対象として変換処理を行なうこととなるため、計算が複雑化する。これに対し、
図11~
図13の例では、物質ごとにセグメンテーションをした上で、学習フェーズ及び利用フェーズをそれぞれ行っている。これにより、計算を単純化するとともに、他のX線エネルギー(kVp)への変換処理の精度を向上させることができる。
【0133】
次に、
図11で説明した学習フェーズにおける医用情報処理装置1による一連の処理について、
図14A及び
図14Bを用いて説明する。
図14A及び
図14Bは、第4の実施形態に係る医用情報処理装置1による学習フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。なお、
図14A及び
図14Bでは、
図12に示した場合と同様、撮影時とは異なるスペクトル情報での順投影処理及び再構成処理を実行することで、1セットの学習データを取得する例について説明する。
【0134】
まず、取得機能111は、生データを取得し(ステップS411)、当該生データからX線CT画像を再構成する(ステップS412)。なお、取得機能111は、ステップS411及びステップS412に代えて、他の装置で再構成されたX線CT画像を取得することとしてもよい。次に、取得機能111は、取得したX線CT画像を物質ごとにセグメンテーションして、物質ごとの分布データを取得する(ステップS413)。次に、取得機能111は、ステップS413で取得した分布データについて、撮影時とは異なるスペクトル情報での順投影処理を行ない(ステップS414)、更に、取得した順投影データから、撮影時とは異なるスペクトル情報に対応した分布データを再構成する(ステップS415)。そして、取得機能111は、ステップS413による分布データと、ステップS415による分布データとを1セットの学習データとして関連付け、メモリ12に記憶させる(ステップS314)。
【0135】
取得機能111は、新たな生データが取得されるごとに、
図14Aに示した一連のステップを実行する。これにより、ステップS416による学習データがメモリ12に蓄積される。学習機能112は、メモリ12から、ステップS416による学習データを複数セット取得し(ステップS421)、当該複数セットの学習データを用いた機械学習を実行することで、X線エネルギー(kVp)の組み合わせごとに学習済みモデルM3を生成する(ステップS422)。
【0136】
次に、
図13で説明した利用フェーズにおける医用情報処理装置3による一連の処理について、
図15を用いて説明する。
図15は、第4の実施形態に係る医用情報処理装置3による利用フェーズの処理について説明するためのフローチャートである。
【0137】
まず、取得機能341は、生データを取得し(ステップS511)、当該生データからX線CT画像を再構成する(ステップS512)。例えば、取得機能341は、ステップS512において、
図13に示した生データR8からX線CT画像I8を再構成する。なお、取得機能341は、ステップS511及びステップS512に代えて、他の装置で再構成されたX線CT画像I8を取得することとしてもよい。次に、取得機能341は、取得したX線CT画像を物質ごとにセグメンテーションして、物質の分布データを取得する(ステップS513)。
【0138】
次に、画像処理機能342は、学習済みモデルM3を用いて、ステップS513で取得した分布データに対する変換処理を実行する(ステップS514)。例えば、画像処理機能342は、
図13に示した通り、ニューラルネットワークNN4~NN6を用いて、X線エネルギー「120kVp」に対応する分布データD81~D83を、X線エネルギー「135kVp」に対応する分布データD91~D93に変換する。
【0139】
そして、画像処理機能342は、ステップS514による複数の分布データを合成することで、撮影時と異なるX線エネルギーに対応したX線CT画像を取得する(ステップS515)。例えば、画像処理機能342は、
図13に示した通り、分布データD91~D93を合成して、撮影時と異なるX線エネルギー「135kVp」に対応するX線CT画像I9を取得する。
【0140】
なお、学習済みモデルM1の場合と同様、撮影対象部位や患者情報といった種々の条件ごとに学習済みモデルM3を生成することとしてもよいし、学習済みモデルM3の生成処理において、撮影対象部位や患者情報等の情報を学習データとして更に用いることとしてもよい。
【0141】
(他の実施形態)
図2においては、X線CT装置2と医用情報処理装置3とを別体として示したが、これらは統合することとしてもよい。例えば、X線CT装置2に含まれるコンソール装置が医用情報処理装置3として機能し、
図4に示した利用フェーズを実行することとしても構わない。
【0142】
また、
図1及び
図2においては、医用情報処理装置1が学習フェーズを実行し、医用情報処理装置3が利用フェーズを実行するものとして説明したが、学習フェーズ及び利用フェーズは同じ装置で実行されてもよい。即ち、医用情報処理装置3又はX線CT装置2が、
図3に示した学習フェーズを実行することとしても構わない。
【0143】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0144】
また、
図1においては、単一のメモリ12が処理回路11の各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。また、
図2においては、単一のメモリ31が処理回路34の各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数のメモリ12を分散して配置し、処理回路11は、個別のメモリ12から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。同様に、複数のメモリ31を分散して配置し、処理回路34は、個別のメモリ31から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリ12又はメモリ31にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0145】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0146】
また、上述した実施形態で説明した医用情報処理方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0147】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、撮影時と異なるX線のスペクトル情報に対応したX線CT画像の取得を可能とすることができる。
【0148】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0149】
1 医用情報処理装置
11 処理回路
111 取得機能
112 学習機能
12 メモリ
2 X線CT装置
3 医用情報処理装置
31 メモリ
32 ディスプレイ
33 入力インタフェース
34 処理回路
341 取得機能
342 画像処理機能
343 表示制御機能