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特開2023-81375新規な高分子材料及び該材料を得るための重合性組成物
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  • 特開-新規な高分子材料及び該材料を得るための重合性組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081375
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】新規な高分子材料及び該材料を得るための重合性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20230602BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
C08F290/06
C08G18/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192115
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2021194963
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 淳
(72)【発明者】
【氏名】宮田 敦史
(72)【発明者】
【氏名】大田 英生
(72)【発明者】
【氏名】中村 優
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】原田 明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 義徳
【テーマコード(参考)】
4J034
4J127
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB04
4J034DG04
4J034FA02
4J034FB01
4J034FC01
4J034FD01
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034JA21
4J034LA23
4J034MA18
4J034QB14
4J034QC03
4J034RA05
4J034RA08
4J034RA10
4J034RA15
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC131
4J127BD471
4J127BE241
4J127BE24Y
4J127BF191
4J127BF19X
4J127BF621
4J127BF62X
4J127BG281
4J127BG28X
4J127BG28Y
4J127BG28Z
4J127CB361
4J127CC121
4J127CC161
4J127CC181
4J127DA17
4J127EA12
4J127FA07
4J127FA14
4J127FA15
4J127FA48
(57)【要約】
【課題】 高い機械物性(例えば、高強度・高伸長)を有する新規なアクリル系重合体と、該アクリル系重合体を製造するための新規なアクリル系重合性組成物と、を提供すること。
【解決手段】 (メタ)アクリロイル基を特定の重合性成分(ポリウレタン又はウレタンオリゴマー、シクロデキストリン誘導体)に組み込むことで、上記課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成させたものである。即ち、本発明の一態様は、ポリウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体と、を含有する組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体と、を含有する組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタン(メタ)アクリレートが、ポリオールと、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体と、から合成されたものである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記シクロデキストリン誘導体が、シクロデキストリンが有する少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭化水素基、アシル基及び-CONHR(式中、Rは、メチル基又はエチル基である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で置換された構造を有する、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記アシル基が、アセチル基である、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項5】
前記シクロデキストリン誘導体において、シクロデキストリンが有する少なくとも1個の水酸基が、下記式:
[式1]
CH=C(R)-C(=O)-R
(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、NH、O又はNHCHOである)
で置換されたものである、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項6】
前記シクロデキストリン誘導体の環内に包接され包接化合物を形成可能なゲスト化合物を更に含有する、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項7】
前記ゲスト化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、アダマンチル誘導体又はフェニル誘導体である、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
(メタ)アクリレートモノマーを更に含有する、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項10】
前記シクロデキストリン誘導体の環内を前記ポリウレタン(メタ)アクリレートが貫通している、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項11】
請求項1又は2記載の組成物を重合させることにより得られた高分子材料。
【請求項12】
前記高分子材料が、エラストマーである、請求項11記載の高分子材料。
【請求項13】
請求項1又は2記載の組成物を重合する工程を含む、高分子材料の製造方法。
【請求項14】
前記工程が、前記組成物に対して光照射する工程を含む、請求項13に記載の高分子材料の製造方法。
【請求項15】
(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体と、前記シクロデキストリン誘導体の環内を貫通した、ポリウレタン(メタ)アクリレートと、を含むロタキサン。
【請求項16】
請求項15記載のロタキサンの製造方法であって、下記(1)~(3)のいずれかである方法:
(1)前記シクロデキストリン誘導体の環内にポリオールを貫通させ、ポリオール貫通シクロデキストリン誘導体を得る工程と、前記ポリオール貫通シクロデキストリンに、ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体とを添加し、両端に(メタ)アクリロイル基を有する、前記ポリウレタン(メタ)アクリレートを得る工程と、を含む方法;
(2)前記シクロデキストリン誘導体の環内に、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られた、両端にイソシアネート基を有するポリウレタンを貫通させ、ポリウレタン貫通シクロデキストリン誘導体を得る工程と、前記ポリウレタン貫通シクロデキストリンに、水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体を添加し、両端に(メタ)アクリルロイル基を有する、前記ポリウレタン(メタ)アクリレートを得る工程と、を含む方法;及び
(3)前記シクロデキストリン誘導体の環内に前記ポリウレタン(メタ)アクリレートを貫通させる工程を含む方法。
【請求項17】
(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体をホストとして、前記シクロデキストリン誘導体の環内に包接された、(メタ)アクリロイル基を有する化合物をゲストとする、包接化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な高分子材料及び該材料を得るための重合性組成物(例えば、エラストマー及びエラストマー組成物)に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来から、エネルギー重合性のアクリル系樹脂組成物を原料とした各種高分子材料が提案されている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2020/027103パンフレット
【特許文献2】特表2021-507086号公報
【特許文献3】特開2021-70796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高い機械物性(例えば、高強度・高伸長)を有する新規なアクリル系重合体と、該アクリル系重合体を製造するための新規なアクリル系重合性組成物と、を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、(メタ)アクリロイル基を特定の重合性成分(ポリウレタン又はウレタンオリゴマー、シクロデキストリン誘導体)に組み込むことで、上記課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成させたものである。即ち、本発明の一態様は、ポリウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体と、を含有する組成物である。また、本発明の一態様は、該組成物から得られる高分子材料である。具体的には、本発明は、下記発明(1)~(17)を含む。
本発明(1)は、ポリウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体と、を含有する組成物である。
本発明(2)は、前記ポリウレタン(メタ)アクリレートが、ポリオールと、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体と、から合成されたものである、前記発明(1)の組成物である。
本発明(3)は、前記シクロデキストリン誘導体が、シクロデキストリンが有する少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭化水素基、アシル基及び-CONHR(式中、Rは、メチル基又はエチル基である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で置換された構造を有する、前記発明(1)又は(2)の組成物である。
本発明(4)は、前記アシル基が、アセチル基である、前記発明(1)~(3)のいずれか一つの組成物である。
本発明(5)は、前記シクロデキストリン誘導体において、シクロデキストリンが有する少なくとも1個の水酸基が、下記式:
[式1]
CH=C(R)-C(=O)-R
(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、NH、O又はNHCHOである)
で置換されたものである、前記発明(1)~(4)のいずれか一つの組成物である。
本発明(6)は、前記シクロデキストリン誘導体の環内に包接され包接化合物を形成可能なゲスト化合物を更に含有する、前記発明(1)~(5)のいずれか一つの組成物である。
本発明(7)は、前記ゲスト化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物である、前記発明(6)の組成物である。
本発明(8)は、前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、アダマンチル誘導体又はフェニル誘導体である、前記発明(7)の組成物である。
本発明(9)は、(メタ)アクリレートモノマーを更に含有する、前記発明(1)~(8)のいずれか一つの組成物である。
本発明(10)は、前記シクロデキストリン誘導体の環内を前記ポリウレタン(メタ)アクリレートが貫通している、前記発明(1)~(9)のいずれか一つの組成物である。
本発明(11)は、前記発明(1)~(10)のいずれか一つの組成物を重合させることにより得られた高分子材料である。
本発明(12)は、前記高分子材料が、エラストマーである、前記発明(11)の高分子材料である。
本発明(13)は、前記発明(1)~(10)のいずれか一つの組成物を重合する工程を含む、高分子材料の製造方法である。
本発明(14)は、前記工程が、前記組成物に対して光照射する工程を含む、前記発明(13)の高分子材料の製造方法である。
本発明(15)は、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体と、前記シクロデキストリン誘導体の環内を貫通した、ポリウレタン(メタ)アクリレートと、を含むロタキサンである。
本発明(16)は、前記発明(15)のロタキサンの製造方法であって、下記(1)~(3)のいずれかである方法:
(1)前記シクロデキストリン誘導体の環内にポリオールを貫通させ、ポリオール貫通シクロデキストリン誘導体を得る工程と、前記ポリオール貫通シクロデキストリンに、ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体とを添加し、両端に(メタ)アクリロイル基を有する、前記ポリウレタン(メタ)アクリレートを得る工程と、を含む方法;
(2)前記シクロデキストリン誘導体の環内に、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られた、両端にイソシアネート基を有するポリウレタンを貫通させ、ポリウレタン貫通シクロデキストリン誘導体を得る工程と、前記ポリウレタン貫通シクロデキストリンに、水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体を添加し、両端に(メタ)アクリルロイル基を有する、前記ポリウレタン(メタ)アクリレートを得る工程と、を含む方法;及び
(3)前記シクロデキストリン誘導体の環内に前記ポリウレタン(メタ)アクリレートを貫通させる工程を含む方法である。
本発明(17)は、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体をホストとして、前記シクロデキストリン誘導体の環内に包接された、(メタ)アクリロイル基を有する化合物をゲストとする、包接化合物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高い機械物性(例えば、高強度・高伸長)を有する新規なアクリル系重合体と、該アクリル系重合体を製造するための新規なアクリル系重合性組成物と、を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施例での衝撃吸収率の評価で使用する落下型衝撃吸収試験機の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、所定の重合性組成物を重合させることにより得られた高分子材料である。以下、該高分子材料の原料である該組成物(成分、組成、物性)、該高分子材料の製造方法、該高分子材料(構造、物性)、該組成物の用途、を順に説明する。
【0009】
<<<重合性組成物>>>
本発明に係る重合性組成物は、好適には、ポリウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体と、を含有する。以下、各成分について詳述する。
【0010】
<<成分>>
<成分/ポリウレタン(メタ)アクリレート>
ポリウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオールと、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体と、を反応させて得られたものである。
【0011】
ここで、ポリウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量は、特に限定されないが、例えば、上限値は、30,000とすることができ、好ましくは、28,000、25,000、23,000、20,000、18,000、15,000とすることができ、例えば、下限値は、1,000とすることができ、好ましくは、2,000、3,000とすることができる。尚、数平均分子量の測定方法は、公知の方法で行うことができる。例えば、ゲルパーエミッションクロマトグラフィーを用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とし、示差屈折率を検出することで測定することができる。数平均分子量は、標準試料であるポリスチレンのGPC測定結果に基づいた検量線を作成し、測定試料の測定結果をポリスチレン換算値として算出する。
【0012】
(ロタキサンの一構成要素としてのポリウレタン(メタ)アクリレート)
尚、ポリウレタン(メタ)アクリレートは、後述するシクロデキストリン誘導体に貫通した形で存在していてもよい(即ち、ロタキサン)。即ち、該ロタキサンは、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体と、シクロデキストリン誘導体の環内を貫通した、ポリウレタン(メタ)アクリレートと、を含む構造を採る。ここで、シクロデキストリン誘導体は、好適には、シクロデキストリンが有する少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭化水素基、アシル基及び-CONHR(式中、Rは、メチル基又はエチル基である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で置換された構造を有する。但し、ポリウレタン(メタ)アクリレートは、前述したようなロタキサンの形で存在していても、ロタキサンではない形(即ち、シクロデキストリン誘導体に貫通していない形)で存在していても、両者が混在した形で存在していてもよい。
【0013】
ここで、前述したロタキサンの製造方法を説明する。該ロタキサンは、例えば、下記(1)~(3)のいずれかの方法にて製造し得る。
(1)シクロデキストリン誘導体の環内にポリオールを貫通させ、ポリオール貫通シクロデキストリン誘導体を得る工程と、ポリオール貫通シクロデキストリンに、ポリイソシアネートと(メタ)アクリレート誘導体とを添加し、両端に(メタ)アクリロイル基を有する、前記ポリウレタン(メタ)アクリレートを得る工程と、を含む方法;
(2)前記シクロデキストリン誘導体の環内に、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られた、両端にイソシアネート基を有するポリウレタンを貫通させ、ポリウレタン貫通シクロデキストリン誘導体を得る工程と、前記ポリウレタン貫通シクロデキストリンに、水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体を添加し、両端に(メタ)アクリルロイル基を有する、前記ポリウレタン(メタ)アクリレートを得る工程と、を含む方法;
(3)前記シクロデキストリン誘導体の環内に前記ポリウレタン(メタ)アクリレートを貫通させる工程を含む方法
【0014】
次に、ポリウレタン(メタ)アクリレートの好適な原料成分を順に説明する。
【0015】
(ポリオール)
ウレタン(メタ)アクリレートの一原料であるポリオールは、1つの分子に2個以上の水酸基を有する化合物であり、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。本発明において用いられるポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール等が挙げられる。前記ポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0016】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等、脂環族ジカルボン酸、例えばヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等、又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等、もしくは、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるポリプロピレングリコールなどのポリエステルポリオール;ε-カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリラクトンジオール等が挙げられる。
【0017】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの少なくとも1種と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるものが挙げられる。
【0018】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。
【0019】
ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等、脂環族ジカルボン酸、例えばヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等、又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、ジエチレングリコール、もしくはプロピレンオキシド付加物等のグリコール等、又は、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるものが挙げられる。
【0020】
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートは、1つの分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である限り、例えば、2官能のポリイソシアネートとしては、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、などの芳香族系のもの、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどのアルキレン系のもの、3官能以上のポリイソシアネートとしては、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナトメチルオクタン等及びこれら変性体、誘導体等が挙げられる。
【0021】
(水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体)
水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体は、(メタ)アクリロイル基と水酸基を有するものである限り特に限定されず、好ましくは、水酸基を一つ有する(メタ)アクリレート誘導体であり、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(ここで、アルキルの炭素数は、2~12が好ましい)、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができる。
【0022】
以上を踏まえ、好適なポリウレタンアクリレートは、下記構造を有する(式中、nは、好適には5~100であり、より好適には15~30である)。また、好適なポリウレタンメタアクリレートは、下記構造式中、末端のC=Cの、C=Oが結合している炭素にメチル基が結合した構造である。
[式2]
【0023】
<成分/シクロデキストリン誘導体>
本発明に係るシクロデキストリン誘導体は、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体である限り特に限定されない。ここで、シクロデキストリン誘導体は、α-シクロデキストリン誘導体、β-シクロデキストリン誘導体及びγ-シクロデキストリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。本明細書でいうシクロデキストリン誘導体とは、シクロデキストリン分子が他の有機基で置換された構造を有する分子をいう。尚、本明細書でのシクロデキストリンなる表記は、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン及びγ-シクロデキストリンからなる群より選ばれる少なくとも1種を意味する。
【0024】
好適なシクロデキストリン誘導体は、シクロデキストリンが有する少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭化水素基、アシル基及び-CONHR(式中、Rは、メチル基又はエチル基である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で置換された構造を有する。ここで、アシル基はアセチル基であることが好適である。なお、本明細書において、「炭化水素基、アシル基及び-CONHR(Rはメチル基又はエチル基)からなる群より選ばれる少なくとも1種の基」を便宜上、「炭化水素基等」と表記することがある。
【0025】
ここで、シクロデキストリン1分子が有する水酸基の全個数をNとした場合、α-シクロデキストリンはN=18、β-シクロデキストリンはN=21、γ-シクロデキストリンはN=24である。シクロデキストリン誘導体は、1分子中に存在する全水酸基数のうちの70%以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換された構造を有することが好ましく、前記シクロデキストリン誘導体1分子中に存在する全水酸基数のうちの80%以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換されていることがより好ましく、全水酸基数のうちの90%以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換されていることが特に好ましい。別の観点からは、α-シクロデキストリン誘導体の場合、1分子中に存在する全水酸基のうちの13個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換された構造を有することが好ましく、1分子中に存在する全水酸基のうちの15個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換されていることがより好ましく、全水酸基のうちの17個の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換されていることが特に好ましい。β-シクロデキストリン誘導体の場合、1分子中に存在する全水酸基のうちの15個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換された構造を有することが好ましく、1分子中に存在する全水酸基のうちの17個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換されていることがより好ましく、全水酸基のうちの19個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換されていることが特に好ましい。γ-シクロデキストリン誘導体の場合、1分子中に存在する全水酸基のうちの17個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換された構造を有することが好ましく、1分子中に存在する全水酸基のうちの19個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換されていることがより好ましく、全水酸基のうちの21個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換されていることが特に好ましい。
【0026】
炭化水素基の種類は特に限定されない。前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基を挙げることができる。前記炭化水素基の炭素数の数は特に限定されず、炭化水素基の炭素数は1~4個であることが好適である。炭素数が1~4個である炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を挙げることができる。炭化水素基がプロピル基及びブチル基である場合は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。炭化水素基は、置換基を有していてもよい。ここで、置換基としては、フッ素、塩素、ホウ素及びヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基及びエトキシ基等のアルコキシ基;カルボキシ基;ニトロ基;ベンゾイル基、から選択される一又は複数である。
【0027】
アシル基は、アセチル基、プロピオニル、ホルミル基等を例示することができる。アシル基は、更に置換基を有することもできる。ここで、置換基としては、フッ素、塩素、ホウ素及びヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基及びエトキシ基等のアルコキシ基;カルボキシ基;ニトロ基;ベンゾイル基、から選択される一又は複数である。アシル基は、アセチル基であることが好ましい。
【0028】
-CONHR(Rはメチル基又はエチル基)は、メチルカルバメート基又はエチルカルバメート基である。-CONHRは、エチルカルバメート基あることが好ましい。
【0029】
ここで、シクロデキストリン誘導体は、前述のように、(メタ)アクリロイル基を有する。好適な(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体は、シクロデキストリンが有する少なくとも1個の水酸基が、下記式:
[式3]
CH=C(R)-C(=O)-R
(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、NH、O又はNHCHOである)
で置換されたものである。ここで、シクロデキストリン誘導体は、好ましくは1個及び2個の(メタ)アクリロイル基を有し、より好ましくは1個の(メタ)アクリロイル基を有する。
【0030】
<成分/他の成分>
(ゲスト化合物)
近年、分子内又は分子間で可逆的なホスト-ゲスト相互作用を利用し、高分子材料の靭性及び強度を向上させる技術が提案されている。該技術を本発明に適用してもよい。具体的には、シクロデキストリン誘導体(ホスト)は、環内に包接され包接化合物を形成可能なゲスト化合物を更に含有してもよい。ここで、ゲスト化合物としては、前記ホストと包接錯体を形成することできる限り特に限定されず、例えば、1又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、1又は2個のアミノ基を有する化合物、1又は2個の水酸基を有する化合物、1又は2個のカルボキシ基を有する化合物、1又は2個のエポキシ基を有する化合物、1又は2個のイソシアネート基を有する化合物、1又は2個のチオール基を有する化合物、1又は2個のカルボン酸塩化物を有する化合物を挙げることができる。1又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、2―メチルアダマンタン-2-イル-アクリレート(CAS 249562-06-9)、2-メタクリロイルオキシ-2-メチルアダマンタン(CAS 177080-67-0)、2-エチル-2-アダマンチルアクリレート(CAS 303186-14-3)、2―エチル-2-メタクリロイルオキシアダマンタン(CAS 209982-56-9)、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート、2-(o-フェニルフェノキシ)エチルアクリレート、p-メトキシフェニルメタクリレート、p-tert-ブチルフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルエチルメタクリレートを挙げることができる。1又は2個のアミノ基を有する化合物としては、例えば、1-アダマンタンアミン、ベンジルアミン、tert-ブチルアミン、n-ブチルアミン、1-アミノピレン、アミノフェロセン、4-アミノアゾベンゼン、4-アミノスチルベン、シクロヘキシルアミン、ヘキシルアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、p-キシリレンジアミン、ジアミノフェロセン、4,4’-ジアミノアゾベンゼン、4,4’-ジアミノスチルベン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,6-ジアミノシクロヘキサン、α、ω-ジアミノポリエチレングルコール、α、ω-ジアミノポリプロピレングルコール、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン1,1-ビス(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、2、2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2、2-ビス(4-アミノフェニル)ブタン、ビス(4-アミノフェニル)ジフェニルメタン、2、2-ビス(3-メチル-4-アミノフェニル)プロパン、ビス(4-アミノフェニル)-2、2-ジクロロエチレン、1、1-ビス(4-アミノフェニル)エタン、2,2-ビス(4-アミノ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、1,3-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、ビス(4-アミノフェニル)スルホン、1,4-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-アミン]プロパン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。1又は2個の水酸基を有する化合物としては、例えば、1-ヒドロキシアダマンタン、ベンジルアルコール、tert-ブチルアルコール、n-ブチルアルコール、1-ヒドロキシピレン、1-ヒドロキシメチルフェロセン、4-ヒドロキシアゾベンゼン、4-ヒドロキシスチルベン、シクロヘキサノール、ヘキサノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4-ベンゼンジメタノール、1,1’-ジヒドロキシメチルフェロセン、4,4’-ジヒドロキシアゾベンゼン、4,4’-ジヒドロキシスチルベン、1,4-シクロヘキノール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングルコール、ポリプロピレングルコール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2、2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2、2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2、2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2、2-ジクロロエチレン、1、1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、1,4-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-ヒドロキシ]プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビスフェノールA等を挙げることができる。1又は2個のカルボキシ基を有する化合物としては、例えば、1-カルボキシアダマンタン、安息香酸、ピバル酸、ブタン酸、1-カルボキシピレン、1-カルボキシフェロセン、4-カルボキシアゾベンゼン、4-カルボキシスチルベン、シクロヘキサン酸、ヘキサン酸、4,4’-ジカルボキシジフェニルメタン、1,4-ベンゼンジカルボン酸、1,4-フェニレン二酢酸、1,1’-ジカルボキシフェロセン、4,4’-ジカルボキシアゾベンゼン、4,4’-ジカルボキシスチルベン、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,6-ヘキサンジカルボン酸、α、ω-ジカルボキシポリエチレングルコール、α、ω-ジカルボキシポリプロピレングルコール、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-カルボキシフェニル)-1-フェニルエタン、2、2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2、2-ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)ジフェニルメタン、2、2-ビス(3-メチル-4-カルボキシフェニル)プロパン、ビス(4-カルボキシフェニル)-2、2-ジクロロエチレン、1、1-ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-カルボキシ3-イソプロピルフェニル)プロパン、1,3-ビス(2-(4-カルボキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、ビス(4-カルボキシフェニル)スルホン、1,4-ビス(2-(4-カルボキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-カルボキシ]プロパン、1,1-ビス(4-カルボキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-カルボキシフェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。1又は2個のカルボン酸塩化物を有する化合物としては、例えば、1-アダマンタンカルボニルクロリド、テレフタロイルクロリド、トリメチルアセチルクロリド、ブチリルクロリド、1-ピレンカルボニルクロリド、1-フェロセンカルボニルクロリド、4-アゾベンゼンカルボニルクロリド、4-スチルベンカルボニルクロリド、シクロヘキサンカルボニルクロリド、ヘキシルクロリド、4,4’-ジフェニルメタンジカルボニルクロリド、1,4-ベンゼンジカルボンニルクロリド、1,4-フェニレンジカルボニルクロリド、1,1’-フェロセンジカルボニルクロリド、4,4’-アゾベンゼンジカルボニルクロリド、4,4’-スチルベンカルボニルクロリド、1,4-シクロヘキサンジカルボニルクロリド、1,6-ヘキサンジカルボニルクロリド、α、ω-ポリエチレングルコールジカルボニルクロリド、α、ω-ポリプロピレングルコールジカルボニルクロリド、2,2-ビス(4-フェニルカルボニルクロリド)プロパン、1,1-ビス(4-フェニルカルボニルクロリド)-1-フェニルエタン、2、2-ビス(4-フェニルカルボニルクロリド)ヘキサフルオロプロパン、2、2-ビス(4-フェニルカルボニルクロリド)ブタン、ビス(4-フェニルカルボニルクロリド)ジフェニルメタン、2、2-ビス(3-メチル-4-フェニルカルボニルクロリド)プロパン、ビス(4-フェニルカルボニルクロリド)-2、2-ジクロロエチレン、1、1-ビス(4-フェニルカルボニルクロリド)エタン、2,2-ビス(3-イソプロピルフェニル-4-カルボニルクロリド)プロパン、1,3-ビス(2-(4-フェニルカルボニルクロリド)-2-プロピル)ベンゼン、ビス(4-フェニルカルボニルクロリド)スルホン、1,4-ビス(2-(4-フェニルカルボニルクロリド)-2-プロピル)ベンゼン、5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-カルボニルクロリド]プロパン、1,1-ビス(4-フェニルカルボニルクロリド)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-フェニルカルボニルクロリド)シクロヘキサン等を挙げることができる。1又は2個のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、アダマンタンオキシド、スチレンオキシド、1,2-エポキシブタン、1-エポキシピレン、エポキシフェロセン、4-エポキシアゾベンゼン、4-エポキシスチルベン、シクロヘキシルオキシド、1,2-エポキシヘキサン、2,2’-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、p-ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルオキイシフェロセン、4,4’-ジグリシジルオキシアゾベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシフェロセン、1,4-ジグリシジルオキシシクロヘキサン、1,6-ジグリシジルオキシシクロヘキサン、α、ω-ジグリシジルオキシポリエチレングルコール、α、ω-ジグリシジルオキシポリプロピレングルコール、1,1-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)-1-フェニルエタン、2、2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2、2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)ブタン、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)ジフェニルメタン、2、2-ビス(3-メチル-4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)-2、2-ジクロロエチレン、1、1-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-グリシジルオキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、1,3-ビス(2-(4-グリシジルオキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)スルホン、1,4-ビス(2-(4-グリシジルオキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-グリシジルオキシ]プロパン、1,1-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
1又は2個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、1-アダマンタンイソシアネート、ベンジルイソシアネート、フェニルイソシアネート、tert-ブチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、1-ピレンイソシアネート、フェロセンイソシアネート、アゾベンゼン-4-イソシアネート、スチルベン-4-イソシアネート、シクロヘキサンイソシアネート、ヘキサンイソシアネート、4,4’-ジイソシアネートフェニルメタン、p-ベンゼンジイソシアネート、フェロセン-1,1’-ジイソシアネート、アゾベンゼン-4,4’-ジイソシアネート、スチルベン-4,4’-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,6-ジイソシアネート、ポリエチレングルコールジイソシアネート、ポリプロピレングルコールジイソシアネート、2,2-ビス(4-フェニルイソシアネート)プロパン、1,1-ビス(4-フェニルイソシアネート)-1-フェニルエタン、2、2-ビス(4-フェニルイソシアネート)ヘキサフルオロプロパン、2、2-ビス(4-フェニルイソシアネート)ブタン、ビス(4-フェニルイソシアネート)ジフェニルメタン、2、2-ビス(3-メチル-4-フェニルイソシアネート)プロパン、ビス(4-フェニルイソシアネート)-2、2-ジクロロエチレン、1、1-ビス(4-フェニルイソシアネート)エタン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-フェニルイソシアネート)プロパン、1,3-ビス(2-(4-フェニルイソシアネート-)-2-プロピル)ベンゼン、ビス(4-フェニルイソシアネート-)スルホン、1,4-ビス(2-(4-フェニルイソシアネート-)-2-プロピル)ベンゼン、5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-イソシアネート]プロパン、1,1-ビス(4-フェニルイソシアネート-)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-フェニルイソシアネート-)シクロヘキサン等を挙げることができる。1又は2個のチオール基を有する化合物としては、例えば、1-アダマンタンチオール、ベンジルチオール、tert-メルカプタン、ブタンチオール、1-チオールピレン、フェロセンチオール、4-チオアゾベンゼン、4-チオスチルベン、シクロヘキシルチオール、ヘキサンチオール、4,4’-ジチオフェニルメタン、p-ベンゼンジチオール、1,1’-ジチオフェロセン、4,4’-ジチオアゾベンゼン、4,4’-ジチオスチルベン、1,4-ジチオシクロヘキサン、1,6-ジチオシクロヘキサン、α、ω-ジチオポリエチレングルコール、α、ω-ジチオポリプロピレングルコール、1,1-ビス(4-チオフェニル)-1-フェニルエタン、2、2-ビス(4-チオフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2、2-ビス(4-チオフェニル)ブタン、ビス(4-チオフェニル)ジフェニルメタン、2、2-ビス(3-メチル-4-チオフェニル)プロパン、ビス(4-チオフェニル)-2、2-ジクロロエチレン、1、1-ビス(4-チオフェニル)エタン、2,2-ビス(4-チオ3-イソプロピルフェニル)プロパン、1,3-ビス(2-(4-チオフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、ビス(4-チオフェニル)スルホン、1,4-ビス(2-(4-チオフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-チオール]プロパン、1,1-ビス(4-チオフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-チオフェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0031】
上記の内、好適なゲスト化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。例えば、下記式に示す化合物である(下記例は、メチルアダマンチルメタクリレート)。
[式4]
【0032】
即ち、一好適な組成物は、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体をホストとして、前記シクロデキストリン誘導体の環内に包接された、(メタ)アクリロイル基を有する化合物をゲストとする、包接化合物を含む。ここで、ゲスト化合物である(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、アダマンチル誘導体又はフェニル誘導体であることが好適である。尚、該包接化合物は、例えばWO2019/168128に記載された方法に従って製造し得る。
【0033】
(重合性モノマー)
本発明に係る組成物は、重合性モノマー(例えば、不飽和炭素二重結合を有するモノマー)を含有していてもよく、(メタ)アクリレートモノマーを更に含有することが好適である。特に、好適には、粉体であるシクロデキストリン誘導体を溶解させる溶媒(希釈剤)としての役割を担い、且つ、自らも主鎖として導入されるものである。尚、重合性モノマーは、上述したゲスト化合物と同一であってもよい。例えば、下記式で示される化合物である。
[化5]
【0034】
(他の成分)
更に、本発明に係る組成物は、上述したポリウレタン(メタ)アクリレート及びシクロデキストリン誘導体以外にも、他の成分を含有していてもよい。例えば、光重合開始剤、脱泡剤、充填剤、可塑剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、光安定剤、安定剤、分散剤、粘着付与剤、触媒等が挙げられる。例えば、好適な光重合開始剤は、下記式のものである。
[式6]
【0035】
<<組成>>
次に、本発明に係る組成物の組成について説明する。
<ホストゲスト型エラストマー用組成物>
好適なホストゲスト型エラストマー用組成物は、該組成物の全質量を基準として、ポリウレタン(メタ)アクリレートを5~82.5wt%、シクロデキストリン誘導体を5~20wt%、ゲスト化合物を0.5~2wt%、重合性モノマーを10~85wt%含む。 また、シクロデキストリン誘導体:ポリウレタン(メタ)アクリレート(モル比)は、好適には1:20~0.1、より好適には1:10~0.5、特に好適には1:10~1である。更に、シクロデキストリン誘導体:ゲスト化合物(モル比)は、好適には1:20~0.1、より好適には1:10~0.5、特に好適には1:10~1である。
【0036】
<ロタキサン型エラストマー用組成物>
好適なロタキサン型エラストマー用組成物は、ポリウレタン(メタ)アクリレートを5~20wt%、シクロデキストリン誘導体を5~20wt%、重合性モノマーを60~80wt%含む。
【0037】
<<<高分子材料の製造方法>>>
本発明に係る高分子材料の製造方法は、前述した重合性組成物を重合させる工程を含む。具体的には、該重合性組成物中に存在する不飽和二重結合をラジカル重合させる工程である。ここで、該工程としては、該重合性組成物に対して光照射する工程であることが好適である。具体例としては、光照射は、光反応性官能基等が反応する特定の波長、又は、添加した光重合開始剤が作用する特定の波長の光を照射して行うことができる。光照射量は、原料組成物の配合や厚み、光重合開始剤の種類や添加量等によって設定することができ、例えば、600~1800mJ/cmとすることができる。また、例えば、イルガキュア1173(BASF社製)を光重合開始剤として用いた場合には、365nmの波長の光を照射して硬化させることができる。
【0038】
<<<高分子材料>>>
本発明に係る高分子材料は、前述した重合性組成物を重合させることにより得られた高分子材料である。以下、該高分子材料の化学構造及び物性等を詳述する。
【0039】
<<化学構造>>
まず、重合性組成物が前述したロタキサン{シクロデキストリン誘導体の環内にポリウレタン(メタ)アクリレートが貫通した化合物}を含有する場合における高分子材料の化学構造を説明する。該高分子材料は、好適には、前記ポリウレタン(メタ)アクリレートの一端及び他端に存在する(メタ)アクリレート基並びに前記シクロデキストリン誘導体に存在する(メタ)アクリレート基が、それぞれ高分子鎖と付加重合的に化学結合をした構造を有する。
【0040】
次に、重合性組成物が前述した包接化合物{(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン誘導体をホストとして、前記シクロデキストリン誘導体の環内に包接された、(メタ)アクリロイル基を有する化合物をゲストとする、包接化合物}を含有する場合における高分子材料の化学構造を説明する。該高分子材料は、好適には、シクロデキストリンの(メタ)アクリロイル基及び前記ゲスト化合物の(メタ)アクリロイル基が、それぞれ高分子鎖と付加重合的に化学結合した構造を有する。
【0041】
<<物性>>
本発明に係る高分子材料は、エラストマーであることが好適である。ここで、本明細書において「エラストマー」とは、常温付近でゴム弾性を示す全ての高分子物質の総称である。尚、好適な高分子材料は、常温付近でゴム弾性を示し、機械的強度、低温特性、耐摩耗性、耐屈折性、耐屈曲性、耐油性、耐薬品性、耐候性を有し、様々な形状に加工可能な全ての高分子材料を含む。また、本発明に係る高分子材料の硬さ(A硬度)は、好適には0~50であり、より好適には5~40であり、更に好適には10~30である。更に、本発明に係る高分子材料の引張強度は、好適には0.05~5.0MPaであり、より好適には0.5~5.0MPaであり、更に好適には1.0~5.0MPaである。また、本発明に係る高分子材料のヤング率は、好適には0.05~3.0MPaであり、より好適には0.5~3.0MPaであり、更に好適には1.0~3.0MPaである。更に、本発明に係る高分子材料の伸びは、好適には10~2000%であり、より好適には100~2000%であり、更に好適には300~2000%である。ここで、硬さ(A硬度)は、JIS K 6253-3(タイプAデュロメータ)に従って測定した(1mm厚のサンプルを重ねて、10mmにした)値である。また、また、引張強度及び伸びは、JIS K 6400-5に従って測定した(3号ダンベル、引張速度 100mm/min)値である。更に、ヤング率は、SSカーブの傾きより算出した{引張試験機にてサンプルを引き伸ばし(10%伸張)得られた変位と応力の結果からヤング率を算出した}値である。
【0042】
<<<用途>>>
本発明に係る高分子材料は、例えば、シール材、制振材、衝撃吸収材、緩衝材、粘着材、表面保護材に使用可能である。
【実施例0043】
≪ホストゲスト型エラストマー≫
<アクリロイル修飾シクロデキストリンの製造>
(N-H-TAcγCDAAmMeの製造)
γ-CDAAmMe20gをピリジン300mLに溶解し、無水酢酸170.133gを加え、55℃で12時間以上撹拌した。その後、メタノール50mLを加えクエンチし、内容量が200mLになるまでエバポレーターで濃縮した。得られた濃縮液を、水2000mLに滴下し、沈殿を回収した。沈殿をアセトン200mLに溶解し、水2000mLに滴下し、生成した沈殿物を回収し、これを減圧乾燥することにより目的物であるN-H―TAcγAAmMeを単離した。マススペクトル及びNMRスペクトルの結果から、目的のN-H―TAcγAAmMeが生成していることを確認した。N-H―TAcγAAmMeにおけるシクロデキストリン誘導体1分子中に存在していた全水酸基数のうちの100%がアセチル基に置換されていることを確認し、下記式:
[式7]
に示すホスト基含有重合性単量体であることを確認した。尚、式中、「Ac」はアセチル基である。
(N-H-TAcβCDAAmMeの製造)
前述したN-H-TAcγCDAAmMeの製造において、γ-CDAAmMeの代わりにβ-CDAAmMeを使用したこと以外は同様の方法を行い、下記式:
[式8]
で示されるホスト基含有重合性単量体(N-H-TAcβCDAAmMe)を得た。N-H-TAcβCDAAmMeのマススペクトル及びNMRスペクトルの結果から、目的のN-H-TAcβCDAAmMeが生成していることを確認した。N-H-TAcβCDAAmMeにおけるシクロデキストリン誘導体1分子中に存在していた全水酸基数のうちの100%がアセチル基に置換されていることを確認した。尚、式中、「Ac」はアセチル基である。
<プレポリマーA及びBの製造>
表1の組成に従い、プレポリマーA及びBを製造した。尚、プレポリマーBは、ゲスト含有組成物である。具体的には、容器内に添加されたポリプロピレングリコール(PPG)に、イソシアネート及びビスマスカルボキシレートを添加し、60℃にて3時間攪拌した。この時点にてNCO%を確認したところ、2.38%±0.1であった。その後、HEA/1-アダマンタノールを添加して反応させ、プレポリマーA組成物及びプレポリマーB組成物を得た。反応後のNCO%を確認したところ、0.1%以下であった。ここで、プレポリマーのNCO%(イソシアネート基含有率)は、JIS K1603-1:2007「プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法 第1部:イソシアネート基含有率の求め方」のA法(トルエン/ジブチルアミン、塩酸法)に準拠して測定することができる。尚、プレポリマーBの合成の場合、1-アダマンタノールもNCO末端のプレポリマーと反応する。したがって、得られたウレタンプレポリマーは、両末端がHEAのもの、片末端がHEAでもう片末端がアダマンタノールのもの、両末端がアダマンタノールのものの3種類である。
【表1】
<エラストマーの製造>
表2の組成に従い、合成したプレポリマー組成物に、ホストであるシクロデキストリン(N-H-TAcβCDAAmMe、N-H-TAcγCDAAmMe)及びゲスト化合物を添加し、室温下1時間反応させた。その後脱泡し、10cm角×t1mmの金型を使用して離型PETを被せた。その後、UV照射(400mJ)をし、実施例1~7に係るエラストマーを得た。また、比較例として、ホスト化合物及びゲスト化合物を添加しないエラストマーも得た。尚、下記表中、「β-CD」は上記のN-H-TAcβCDAAmMeであり、「γ-CD」は上記のN-H-TAcγCDAAmMeであり、「MDAMA」は2-メチル-2-アダマンチル-メタクリラートであり、「THF-A」はテトラヒドロフルフリルアクリレートである。評価結果を表2に示す。
【0044】
ここで、本実施例における評価は下記の通り実施した。
(ゲル分率)
サンプル重量の20倍量のTHFに浸漬させ、24h攪拌後に、溶解せずにTHF中に残った不溶分を取り出し、真空乾燥させてその重量を測定し、浸漬前のサンプルの重量で除して算出した。
(衝撃吸収率)
衝撃吸収率は、落下型衝撃吸収試験機(図1参照)を用いて、下記(式1)により算出した。測定は試料をφ50mm×2mmのサイズに加工したものを試料台に設置して行った。測定条件は、気温23℃、衝撃子の重さ31.9g、衝撃子を100mmの高さから落下、である。
面衝撃吸収率(%)={(fa0-fa1)/fa0}×100 (式1)
上記式(1)において、fa0は、試料を試料台に設置せず、厚さ5mmのアクリル板のみを設置して衝撃吸収試験を行った時の衝撃荷重であり、fa1は、試料を試料台に設置し、更に試料の衝撃子が接触する位置に厚さ5mmのアクリル板を設けて衝撃吸収試験を行った時の衝撃荷重である。落下の高さを100mmとして測定した。衝撃荷重は、試料台の設置したセンサーによって測定した。
(全光線透過率)
サンプル厚み 100μm、JIS K-7361に準じて測定した。
(繰り返し屈曲性試験)
ダブルジョイントクラムシェル型の2枚のプレートにサンプル(25mm×50mm厚み 0.6mm)を保持し、引張負荷を与えずに曲げ半径:R=2.0、曲げ速度 60rpmにて20万回屈曲した。前後で引張試験を行い、物性の変化を測定した。尚、表中の強度保持率は、未処理のサンプル引張強度/20万回処理後のサンプル引張強度である。
(繰り返し引張試験)
厚さ1mmのシートからダンベル3号試験片を打ち抜き、つかみ具間距離70mmで試験片をオートグラフにセットした(初期地点)。100mm/minの速度で、60mm引張り、60mmの地点で1分間静止した後、100mm/minの速度で初期地点までつかみ具を戻す。これを3回行った。表中の繰り返し引張特性の項目にて、「〇」が破断なしを意味し、「×」が破断ありを意味する。
【表2】
【0045】
≪ロタキサン型エラストマー≫
<CD(シクロデキストリン)貫通プレポリマーの製造>
表3の組成に従い、容器内に添加されたポリプロピレングリコール(PPG)に、イソシアネート及びビスマスカルボキシレートを添加した後、60℃にて3時間攪拌し、ウレタンプレポリマー組成物を得た。この時点にてNCO%を確認したところ、2.52%±0.1であった。該ウレタンプレポリマー組成物に、希釈モノマーで溶解させた前述のN-H-TAcβCDAAmMeを添加し、N条件下で72時間暗所静置した。その後、HEAを添加し、室温下で3時間反応させ、CD貫通プレポリマー(プレポリマーC)を得た。反応後のNCO%を確認したところ、0.1%以下であった。ここで、プレポリマーのNCO%(イソシアネート基含有率)は、JIS K1603-1:2007「プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法 第1部:イソシアネート基含有率の求め方」のA法(トルエン/ジブチルアミン、塩酸法)に準拠して測定することができる。
【表3】
【0046】
<エラストマーの製造>
UV硬化対象の組成物をプレポリマーCとした点を除き、実施例1~7と同様の手法にて、実施例8に係るエラストマーを得た。評価結果を表4に示す。
【表4】

図1