(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081412
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】荷物受入装置及び荷物受入構造物
(51)【国際特許分類】
A47G 29/24 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
A47G29/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195056
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】594115289
【氏名又は名称】岡村 智之
(71)【出願人】
【識別番号】319006391
【氏名又は名称】岡村 光大
(74)【代理人】
【識別番号】100216736
【弁理士】
【氏名又は名称】竹井 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100202706
【弁理士】
【氏名又は名称】長野 克彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】長野 光宏
(72)【発明者】
【氏名】岡村 智之
(72)【発明者】
【氏名】岡村 光大
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA02
3K100CA15
3K100CA45
3K100CA48
3K100CC02
3K100CD03
3K100CD05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】食品などの品質維持のための温度管理が必要となる荷物を受け入れることができる荷物受入装置及び荷物受入構造物を提供する。
【解決手段】荷物の受け入れを可能とする荷物受入装置1は、開閉可能な第1扉部材D1と、前記第1扉部材と接続する壁状部材と、を備え、前記第1扉部材と前記壁状部材とで箱体が構成されており、前記第1扉部材及び前記壁状部材は断熱部材である。荷物受入構造物10は、荷物受入装置1及び壁状体9を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の受け入れを可能とする荷物受入装置であって、
開閉可能な第1扉部材と、
前記第1扉部材と接続する壁状部材と、を備え、
前記第1扉部材と前記壁状部材とで箱体が構成されており、
前記第1扉部材及び前記壁状部材は断熱部材である、
荷物受入装置。
【請求項2】
空間を区画する壁状体に貫通して設けられ、荷物の受け入れを可能とする荷物受入装置であって、
開閉可能な第1扉部材と、
前記第1扉部材と略対向して位置する、開閉可能な第2扉部材と、
前記第1扉部材と前記第2扉部材とを接続する壁状部材と、を備え、
前記第1扉部材と前記第2扉部材と前記壁状部材とで箱体が構成されており、
前記第1扉部材、前記第2扉部材、及び前記壁状部材は断熱部材である、
荷物受入装置。
【請求項3】
前記断熱部材は、
基体と、
基体の表面に設けられた断熱層と、を有する、
請求項1又は2に記載の荷物受入装置。
【請求項4】
前記箱体内部には、
前記荷物を載置する荷物受入部と、
保冷剤又は保温材を載置可能な温度調節部と、を有する、
請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載の荷物受入装置。
【請求項5】
前記温度調節部が前記荷物受入部の上方又は下方に設けられることが可能である、
請求項4に記載の荷物受入装置。
【請求項6】
空間を区画する壁状体と、
前記壁状体に貫通して設けられた請求項2又は請求項2を引用する請求項3乃至請求項5に記載の前記荷物受入装置と、を備える荷物受入構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物受入装置及び荷物受入構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特許第6933418号公報(特許文献1)がある。この公報には、「荷物受入装置、荷物の受け入れ取り出し方法及び荷物の受け入れ方法に係り、特に、使用勝手を向上させた荷物受入装置、荷物の受け入れ取り出し方法及び荷物の受け入れ方法」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公報 特許第6933418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食品などの、品質維持のための温度管理が必要となる荷物は受け入れることができないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
荷物の受け入れを可能とする荷物受入装置であって、
開閉可能な第1扉部材と、
前記第1扉部材と接続する壁状部材と、を備え、
前記第1扉部材と前記壁状部材とで箱体が構成されており、
前記第1扉部材及び前記壁状部材は断熱部材である、
荷物受入装置。
【0006】
空間を区画する壁状体に貫通して設けられ、荷物の受け入れを可能とする荷物受入装置であって、
開閉可能な第1扉部材と、
前記第1扉部材と略対向して位置する、開閉可能な第2扉部材と、
前記第1扉部材と前記第2扉部材とを接続する壁状部材と、を備え、
前記第1扉部材と前記第2扉部材と前記壁状部材とで箱体が構成されており、
前記第1扉部材、前記第2扉部材、及び前記壁状部材は断熱部材である、
荷物受入装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、食品などの、品質維持のための温度管理が必要となる荷物を受け入れることができる荷物受入装置及び荷物受入構造物を提供できる。
上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1により荷物受入構造物10の一例(実施形態)を説明する。
図1乃至
図5により荷物受入装置1の一例(第1実施形態)を説明する。
荷物受入装置1は、荷物の受け入れを可能とする装置である。
荷物受入装置1は、主に、食品などの、品質維持のための温度管理が必要となる荷物を受け入れることに適しているが、温度管理が必要ではない荷物であっても受け入れ可能である。
荷物受入構造物10は、荷物受入装置1を備える構造物である。
【0010】
荷物受入構造物10は、荷物受入装置1及び壁状体9を備える。
荷物受入装置1は、
図1で示すように、壁状体9に貫通して設けられる。
壁状体9は、空間を区画する、所定の厚みを有する壁状の構造物である。
壁状体9は、本実施形態においては、屋外に設置される塀であるが、建物を構築する壁、ドア、又はサッシ(例えば、ドア近傍のサッシ)であってもよい。
壁状体9は、区画する空間のうちの、一方側(以下、外側とする場合がある。)を臨む外側表面、及び他方側(以下、内側とする場合がある。)を臨む内側表面を有する。
【0011】
荷物受入装置1は、第1扉部材D1、第2扉部材D2、及び壁状部材2(2U、2E及び2B)を備える。
第1扉部材D1と、第2扉部材D2と、壁状部材2とで箱体(直方体)が構成されている。言い換えれば、第1扉部材D1と、第2扉部材D2と、壁状部材2とで閉された空間(以下、内部空間Sとする場合がある。)が形成されている。荷物受入装置1の内部空間Sに、荷物を受け入れる(荷物が載置される)ことができる。
【0012】
第1扉部材D1は開閉可能な部材である。
第1扉部材D1が開かれることで内部空間Sにアクセス可能となる。
荷物受入構造物10における第1扉部材D1は外側を臨んで設けられている(利用者は外側から第1扉部材D1を開閉できる。)。
【0013】
第2扉部材D2は開閉可能な部材である。
第2扉部材D2が開かれることで内部空間Sにアクセス可能となる。
第2扉部材D2は第1扉部材D1と略対向して位置している。
荷物受入構造物10における第2扉部材D2は内側を臨んで設けられている(利用者は内側から第2扉部材D2を開閉できる。)。
【0014】
図1、
図2及び
図5は、第1扉部材D1を正面から視認できる方向(外側)から見た荷物受入構造物10又は荷物受入装置1である。
図3及び
図4は、第2扉部材D2を正面から視認できる方向(内側)から見た荷物受入装置1である。
【0015】
第1扉部材D1は鍵D1Kを有している。
第1扉部材D1の鍵D1Kは、第1扉部材D1の開閉を阻止するための機構を有していればどのような構成でもよいが、本実施形態においては、暗証番号式の鍵である。
【0016】
第2扉部材D2は鍵D2Kを有している。
第2扉部材D2の鍵D2Kは、第2扉部材D2の開閉を阻止するための機構を有していればどのような構成でもよいが、本実施形態においては、第2扉部材D2に設けられた係止部を有する鍵本体と、第2扉部材D2と隣り合う壁状部材2に設けられた係止部と係止する被係止部を有する鍵受けと、を有する鍵D2Kである。なお、
図3及び
図4で図示する鍵D2Kは鍵受けである。
【0017】
壁状部材2は、第1扉部材D1と第2扉部材D2とを接続している、壁状(板状)の部材である。
壁状部材2は、上壁部材2U、2つの側壁部材2E、及び底壁部材2Bを有する。
4つの壁状部材2、第1扉部材D1、及び第2扉部材D2とで箱体(直方体)が構成されている。
【0018】
荷物受入構造物10における壁状体9は荷物受入装置1が貫通可能な貫通孔を有している。
荷物受入装置1が壁状体9に貫通して設けられた状態(
図1で示す状態)において、荷物受入装置1の第1扉部材D1と壁状体9の外側表面とは略面一である。
本実施形態においては、壁状部材2により形成される荷物受入装置1の奥行(
図1乃至
図5におけるz軸方向)の長さは、壁状体9の厚み(
図1乃至
図5におけるz軸方向)より大きいため、荷物受入装置1の第2扉部材D2は壁状体9の内側表面から突出して位置する。
【0019】
荷物受入構造物10の外側から当該荷物受入構造物10を利用する外側利用者(例えば、荷物配達員)は、予め知らされた暗証番号を入力することで鍵D1Kを開錠し、第1扉部材D1を開けることで、荷物受入装置1の内部空間Sに荷物を載置することができる。一方、荷物受入構造物10の内側から当該荷物受入構造物10を利用する内側利用者(例えば、内側に居住する居住者)は、鍵D2Kを開錠し、第2扉部材D2を開けることで、荷物受入装置1の内部空間Sから荷物を取り出すことができる。
【0020】
ところで、従来の荷物受入装置は、食品などの、品質維持のための温度管理が必要となる荷物は受け入れることできないおそれがあった。
そこで、本実施形態における、荷物受入装置1の第1扉部材D1、第2扉部材D2、及び壁状部材2は断熱部材である。
当該構成により、品質維持のための温度管理が必要となる荷物を受け入れることができる。
【0021】
断熱部材とは、熱伝導率が30.0W/m・K以下、好ましくは27.0W/m・K以下であるステンレス鋼などの断熱材料、を含む材料から構成された部材である。
更に好ましくは、断熱部材とは、0.5W/m・K以下、より好ましくは0.2W/m・K以下である樹脂や木材やセラミックなどの断熱材料、を含む材料から構成された部材であってもよい。
断熱部材は、断熱材料を含む材料によって、断熱二重構造が形成されていてもよい。
【0022】
断熱部材は、基体の表面により高い断熱性を有する断熱材料で構成される断熱層が設けられた部材であってもよい。基体は、断熱材料を含まない材料から構成されていてもよく、断熱材料を含む材料から構成されていてもよい。断熱層は、熱伝導率が0.1W/m・K以下である、シリコーン樹脂塗料に対してセラミックビーズの微小粒体を添加混入してなるものである。
本実施形態における、断熱部材は、ステンレス鋼である基体の表面に断熱層が設けられた部材で構成されている。
当該構成の断熱部材は、高い断熱性及び耐久性を有する。
【0023】
なお、断熱部材である第1扉部材D1、第2扉部材D2、及び壁状部材2は、内部空間S側を臨む基体の内表面、及び内部空間側と反対側を臨む基体の外表面のいずれの表面にも断面層が設けられているが、一方のみの表面に断面層が設けられていてもよい。
【0024】
荷物受入装置1が壁状体9に貫通して設けられた状態(
図1で示す状態)においては、荷物受入装置1の上壁部材2U、2つの側壁部材2E、及び底壁部材2Bの外表面と、壁状体9の(貫通孔を囲む)厚み部と、が当接している状態である。なお、荷物受入装置1と壁状体9とは、接着剤により固定されていてもよく、固定具により固定されていてもよい。
本実施形態においては、壁状体9の厚み部と当接する壁状部材2の外表面の断熱層(以下、当接部断熱層とする場合がある。)の厚みは、その他の領域の断熱層の厚みより大きくなっていてもよい。さらに、当接部断熱層は、その他の領域の断熱層と比較して、シリコーン樹脂塗料の比率が高くなっていてもよい(セラミックビーズの比率が低くなっていてもよい)。
【0025】
箱体内部である内部空間Sは、荷物を受け入れる(載置する)荷物受入部S1、及び保冷剤又は保温材を載置可能な温度調節部S2を有する。温度調節部S2は荷物受入部S1より狭い空間である。
本実施形態における、温度調節部S2は、荷物受入部S1の上方又は下方に設けられることが可能である。
温度調節部S2は、仕切板S21を係止部S22に係止させることで設けることが可能である。
【0026】
本実施形態における係止部S22は、仕切板S21の厚みの形状に対応した、両側の側壁部材2Eの上方及び下方に設けられた溝S22である。
本実施形態における溝S22は、両側の側壁部材2Eの基体に設けられた溝であり、当該溝の表面(内側)にも断熱層(以下、溝内断熱層とする場合がある。)が設けられている。溝内断熱層の厚みはその他の領域の断熱層の厚みより大きくなっていてもよい。
【0027】
係止部S22は、両側の側壁部材2Eから内部空間に向けて突出した突出部であってもよい。当該突出部は断熱材料により構成されていてもよい。また、当該突出部が基体と同様の材料で構成されている場合には、当該突出部は断熱層により覆われていてもよく、当該突出部を覆う断熱層の厚みは、他の領域の断熱層の厚みより大きくなっていてもよい。
【0028】
本実施形態における仕切板S21は、温度調節部S2内に載置された保冷剤又は保温材の冷気又は熱気を荷物受入部S1に伝達するため、熱伝導率が高い材料(例えば、アルミニウムなどの金属)により構成された部材であるが、熱伝導率が低い材料(例えば、木材)であって幾つかの隙間部が形成されている部材でもよい。
【0029】
図2及び
図3で示す荷物受入装置1は、下方の溝S22に仕切板S21が係止されており、仕切板S21より下方の内部空間Sが温度調節部S2であり、仕切板S21より上方の内部空間Sが荷物受入部S1である。
下方に位置する温度調節部S2(底壁部材2B)に、保温材を載置することで、温度分布の均一化を図りつつ、荷物受入部S1の温度を高く保つことができる。
【0030】
図4で示す荷物受入装置1は、上方の溝S22に仕切板S21が係止されており、仕切板S21より上方の内部空間Sが温度調節部S2であり、仕切板S21より下方の内部空間Sが荷物受入部S1である。
上方に位置する温度調節部S2(仕切板S21)に、保冷材を載置することで、温度分布の均一化を図りつつ、荷物受入部S1の温度を低く保つことができる。
【0031】
変形例として、
図5で示すように、荷物受入装置1は、断面コ状である(脚部を有する)仕切板S21´が内部空間Sの下方に載置されることで形成可能な温度調節部S2を有していてもよい。
【0032】
荷物受入装置の他の例(第2実施形態)として、
図1乃至
図5で示す第1実施形態における荷物受入装置1の第2扉部材D2が開閉しない壁状部材であってもよい。すなわち、第1扉部材、上壁部材、2つの側壁部材、底壁部材、及び第1扉部材と対向する(第2扉部材に代替する)壁部材により箱体(直方体)が構成された荷物受入装置であってもよい。
当該第2実施形態における荷物受入装置は、空間を区画する所定の厚みを有する壁状の構造物である壁状体に貫通して固定されていてもよく、若しくは壁状体に貫通せずに固定されていてもよく、又は壁状体等の構造部に固定されることなく自立可能に構成されていてもよい。
【0033】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 :荷物受入構造物
1 :荷物受入装置
D1 :第1扉部材
D2 :第2扉部材
2 :壁状部材
2B :底壁部材
2E :側壁部材
2U :上壁部材
S :内部空間
S1 :荷物受入部
S2 :温度調節部
9 :壁状体