(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081417
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】再生樹脂製造装置
(51)【国際特許分類】
B29B 17/00 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
B29B17/00 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195071
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000234122
【氏名又は名称】萩原工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植村 隆二
(72)【発明者】
【氏名】笹原 義博
(72)【発明者】
【氏名】貝原 祐一
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA28
4F401AC10
4F401AC11
4F401AC20
4F401AD07
4F401BA13
4F401CA25
4F401CA30
4F401CA59
4F401CA79
4F401CB18
4F401FA05X
4F401FA05Y
(57)【要約】
【課題】規格の違いや劣化の違い等から生じる廃棄プラスチックのMIのバラツキを整えることができる再生樹脂製造装置を提供する。
【解決手段】廃材樹脂を成形し、粒状の再生樹脂ペレットを得る再生樹脂製造装置1であって、廃材樹脂を溶融混錬する押出機2と、溶融状態の廃材樹脂の粘度を計測する粘度計測器9と、粘度が計測された廃材樹脂を固形の粒状体にする造粒ユニット3と、粘度計測器9の測定情報を基に、粒状体を所定の粘度範囲にある規格内ペレットと所定の粘度範囲から外れる規格外ペレットとに分別する分別機構11とを備えている。このことにより、再生樹脂ペレット製造過程で連続して、造粒ユニットで成形した粒状体の規格内外が判別でき、成形性の良好な再生樹脂ペレットを得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃材樹脂を成形し、粒状の再生樹脂ペレットを得る再生樹脂製造装置であって、
廃材樹脂を溶融混錬する押出機と、
溶融状態の廃材樹脂の粘度を計測する粘度計測器と、
粘度が計測された廃材樹脂を固形の粒状体にする造粒ユニットと、
前記粘度計測器の測定情報を基に、前記粒状体を所定の粘度範囲にある規格内ペレットと前記所定の粘度範囲から外れる規格外ペレットとに分別する分別機構とを備えること
を特徴する再生樹脂製造装置。
【請求項2】
前記押出機に廃材樹脂を投入するための廃材投入部と、前記分別機構により分別された規格外ペレットを、廃材樹脂として前記廃材投入部に再投入するための再投入路とを備える請求項1に記載の再生樹脂製造装置。
【請求項3】
廃材樹脂の粘度を調整する粘度調整材を投入する調整材投入部を備える請求項1又は2に記載の再生樹脂製造装置。
【請求項4】
溶融状態の廃材樹脂を一定量で吐出させるギアポンプを備え、前記ギアポンプの回転情報を基に前記粘度調整材の供給量を調整する請求項3に記載の再生樹脂製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃材樹脂を溶融混錬し、再生樹脂ペレットとして再資源化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、廃材となったプラスチックは分別回収され、再資源化されている。ペットボトルや食品トレイ等では一般消費者からその廃材を回収し、再生樹脂ペレットとして再資源化することが既に行われている。しかしながら、現状、再資源化されている樹脂製品は一部に留まり、多くの廃材樹脂が再資源化されず、焼却・埋立等により処分されている。プラスチックごみの削減や省資源化の観点では、様々なものが再資源化できることが求められる。
【0003】
再資源化が求められている樹脂製品の例として、ブルーシートやフレキシブルコンテナが挙げられる。ブルーシートは工事現場の仮覆いや台風により破損した屋根の応急処置などに使われており、工事が完了すれば廃棄されることも多い。フレキシブルコンテナは、樹脂原料や農作物等を入れる大型袋であり、ワンウエイ(使い捨て)のものが多い。
【0004】
ブルーシートやフレキシブルコンテナの多くには、共通してフラットヤーンと呼ばれる糸の織物が用いられている。フラットヤーンはフィルムを細幅にスリットし、長手方向に延伸した糸である。再生樹脂ペレットを使用した再生フラットヤーンの製造方法は、例えば、特許文献1に記載されており、MI(メルトインデックス)が異なる2種類の熱可塑性廃棄プラスチック材を混在させ、MI値が0.6g/10min~0.8g/10minとなる再生素材ペレットを形成することで、張力及び伸びを安定して製造できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
再資源化においては、廃棄物排出量の削減の観点から使用済みの廃材を元の製品に再生する水平リサイクルが理想といえ、目指すべきところである。ブルーシートやフレキシブルコンテナも、その廃材から再生フラットヤーンにすることが求められる。
【0007】
ところが、ブルーシートやフレキシブルコンテナの廃材は、使用期間、使用環境、又は設計仕様の違いが原因で劣化具合が個体ごとに大きく異なる。紫外線劣化が進んだ個体では樹脂に分子鎖が切断されることでMIは非常に高くなる。
【0008】
また、特にブルーシートや一部のフレキシブルコンテナでは防水性を得るために大抵、押出ラミネートによる樹脂層が積層されている。積層された樹脂層とフラットヤーンを強制的に分離することは非常に難しい。そのためフラットヤーンと樹脂層は無理に分離させず、混ぜ合わせる必要があるが、樹脂層のMIはフラットヤーンのMIよりも高いことが一般的であるため、混ぜ合わせると樹脂層の占める割合に応じてMIは高くなる。さらに、一般消費者から広く回収したものは当然メーカーや規格が不揃いであり、これによってもMIにバラツキが生じる。
【0009】
特許文献1のように再生フラットヤーンを製造するには、熱可塑性廃棄プラスチック材のMIが一定範囲にあるものを選り合わせて使用する必要がある。ブルーシートやフレキシブルコンテナの廃材を使う場合であれば、個別に異なるMIをまず特定する必要がある。しかしながら、ブルーシートやフレキシブルコンテナの重量は、それぞれ数kg以下であり、一枚、一枚個別にMIを実測するのは現実的ではない。そのため、特許文献1のように再生フラットヤーンを製造するには、単層フィルムの耳ロスなど、素性が明らかな工場スクラップを使用せざるを得なかった。
【0010】
本発明は前記のような問題を解決するものであり、規格の違いや劣化の違い等から生じる廃棄プラスチックのMIのバラツキを整えることができる再生樹脂製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記目的を達成するために、本発明の再生樹脂製造装置は、廃材樹脂を成形し、粒状の再生樹脂ペレットを得る再生樹脂製造装置であって、廃材樹脂を溶融混錬する押出機と、溶融状態の廃材樹脂の粘度を計測する粘度計測器と、粘度が計測された廃材樹脂を固形の粒状体にする造粒ユニットと、前記粘度計測器の測定情報を基に、前記粒状体を所定の粘度範囲にある規格内ペレットと前記所定の粘度範囲から外れる規格外ペレットとに分別する分別機構とを備えることを特徴する。
【0012】
この構成によれば、再生樹脂ペレット製造過程で、押出温度における粘度を基準に、造粒ユニットで成形した粒状体を規格内ペレットと規格外ペレットとに選り分けることができる。粘度は前記従来技術で用いるMIとは異なる指標であるが、MIは溶融状態の流動性を示す指標であり、MIと粘度は密接な関係がある。インライン計測しやすい粘度の情報を利用することで、再生樹脂ペレット製造過程で連続して、造粒ユニットで成形した粒状体の規格内外が判別でき、成形性の良好な再生樹脂ペレットを得ることができる。
【0013】
前記再生樹脂製造装置においては、前記押出機に廃材樹脂を投入するための廃材投入部と、前記分別機構により分別された規格外ペレットを、廃材樹脂として前記廃材投入部に再投入するための再投入路とを備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、規格外ペレットを再投入して規格内ペレットとして再生可能になるため規格内ペレットの収量を増やすことができる。
【0015】
また、前記再生樹脂製造装置は、廃材樹脂の粘度を調整する粘度調整材を投入する調整材投入部を備えることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、粘度調節が手軽に行えるため、規格内ペレットとして再生されやすくなる。
【0017】
前記再生樹脂製造装置は、溶融状態の廃材樹脂を一定量で吐出させるギアポンプを備え、前記ギアポンプの回転情報を基に前記粘度調整材の供給量を調整することもできる。
【0018】
この構成によれば、ギアポンプの回転情報を基に廃材樹脂の粘度調整を行うことが可能であり、規格内ペレットの収量をより一層増やすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の再生樹脂製造装置を用いることによって、粘度特性の安定した再生樹脂ペレットを得ることができる。粘度特性を満たさない規格外のペレットを分別することができる。規格外のペレットを再投入することで粘度調整を行うことができ、安定した粘度特性の再生樹脂ペレットを高い収量で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の再生樹脂製造装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で適宜変更することができる。
【0022】
本発明の再生樹脂製造装置1は、
図1に示すように廃材樹脂を溶融混錬する押出機2と、溶融混錬した廃材樹脂を固形の粒状体にする造粒ユニット3を備える。
【0023】
本発明の再生樹脂製造装置1で使用する廃材樹脂は、押出機2に投入可能な種類・形状のものであれば、特に制限されるものではないが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂であることが好ましく、その粉砕物や粉粒体であることが好ましい。
【0024】
図1において廃材樹脂は、経路Aから廃材投入部4に送られる。
図1の廃材投入部4では、経路Aの開口4aの他、ホッパー4b、計量器4c、フィーダー4d及び経路Eの開口4eを備え、経路Aから送られた廃材樹脂はホッパー4bに集められ、計量器4cで計量した後、フィーダー4dを通じて、押出機2に向かって送られていく。
【0025】
経路Aに廃材樹脂を送る機構は任意である。カッターコンパクター等の粉砕装置を使って樹脂製品を粉砕したものを廃材樹脂に用いる場合は、スクリューフィーダー等を介して経路Aとカッターコンパクターを連結して廃材投入部4内に送ってもよい。別の場所で粉砕しておき、空気輸送機構と経路Aを連結して送ってもよい。廃材投入部4へ廃材樹脂を送る作業は手動で行ってもよく、ホッパー4bの開口を経路Aとして、直接ホッパー4bに廃材樹脂を送ってもよい。
【0026】
図1の再生樹脂製造装置1は、廃材投入部4の他、調整材投入部5を備えている。調整材投入部5は、粘度調整材を供給するものである。本発明でいう粘度調整材は、廃材樹脂と混ぜることによりその粘度が調整できるものであって、増粘剤、レオロジー調整材、過酸化物等、一般に粘度調整効果が知られた添加材であってもよいが、低粘度の樹脂と高粘度の樹脂を混ぜ合わせることでも粘度調節は可能であり、廃材樹脂と異なる粘度の同系の樹脂も粘度調整材として利用できる。
【0027】
図1では経路Bから粘度調整材が調整材投入部5に送られる。
図1の調整材投入部5では、経路Bの開口5aの他、ホッパー5b、計量器5c、フィーダー5dを備え、経路Bから送られた粘度調整材は、ホッパー5bに貯めた後、計量し、フィーダー5dの制御に応じて、廃材樹脂の粘度を調整する上で必要な量が、押出機2に向かって送られる。
【0028】
経路Bに粘度調整材を送る方法は任意であり、空気輸送機構と経路Bを連結して送ってもよいし、ホッパー5bの開口を経路Bとして、直接ホッパー5bに粘度調整材を送ってもよい。
【0029】
図1では、廃材投入部4から送られた廃材樹脂と、調整材投入部5から送られた粘度調整材は、ミキサー6によりかき混ぜた後、押出機2内に送られる。押出機2では任意に設定された温度で、押出機2内に送られた樹脂を溶融し、混錬する。押出機2のスクリューやシリンダー構造は任意であり、廃材樹脂を考慮して適宜選択される。廃材樹脂を使用する観点では、押出機2はベント付きのものを選択することが好ましい。
【0030】
図1に示す再生樹脂製造装置1では、スクリーンチェンジャー7(7a、7b)、ギアポンプ8、粘度計測器9及びダイス10を備えている。
図1の装置では、押出機2により溶融状態になった廃材樹脂は、第1のスクリーンチェンジャー7a、ギアポンプ8、第2のスクリーンチェンジャー7b、粘度計測器9及びダイス10を通った後、造粒ユニット3により粒状体になる。
【0031】
図1のスクリーンチェンジャー7は、異物除去のためのメッシュフィルターを備えるものであり、廃材樹脂を使用する観点で、メッシュフィルターを交換しやすくするために備えられている。スクリーンチェンジャー7の設置は任意であるが、特にブルーシートなど屋外で使用された廃材の廃材樹脂を再生する場合、投入前の洗浄で異物が除去できているとは限らない。そのためメッシュフィルターが交換しやすい方が好ましく、スクリーンチェンジャー7を使用することが好ましい。特に、再生樹脂をフラットヤーンに用いる場合、フラットヤーンが細幅テープを高倍率に延伸するものであるために、異物を十分に除去しなければ、フラットヤーンの延伸中にテープが破断し、製造自体が困難になる。そこで
図1では、ギアポンプ8を挟んで第1のスクリーンチェンジャー7aと第2のスクリーンチェンジャー7bを設けている。第1のスクリーンチェンジャー7aのメッシュフィルターを通過した後、ギアポンプ8による吐出を利用し、十分な圧力をもって、第2のスクリーンチェンジャー7bのメッシュフィルターを通過させることで、1カ所のスクリーンチェンジャー7でメッシュフィルターの枚数を増やすよりも効率よく異物が除去できる。
【0032】
図1のギアポンプ8は、溶融状態にある廃材樹脂に圧力変化が生じた場合に、吐出を一定にし、安定させる目的で備えられている。ギアポンプ8の設置は任意であるが、廃材樹脂の圧力変化に伴い、ギアポンプ8のギア回転数が変化することから、回転変化の情報を調整材投入部5に伝えることで、粘度調整材の供給量を調整することができ、これにより廃材樹脂の粘度を調整することができる。ギアポンプ8は、押出機2で溶融状態になってすぐに通過させてもよいが、ギアポンプ8の前に少なくとも1台のスクリーンチェンジャー7が設置されていることが好ましく、これによりギアポンプ8の故障を防ぐこともできる。
【0033】
図1の粘度計測器9は、溶融状態になった廃材樹脂の粘度を計測するものである。この粘度は、パスカル秒やポアズで示されるものに限らず、押出機2の押出温度における粘性を数値化できるものであればよく、粘度だけでなく、MI(メルトインデックス)、MFR(メルトフローレイト)などを推定し、これに換算して運用してもよい。MIやMFRで運用する場合、パスカル秒やポアズで示す粘度では、粘り気が強くなると値が高くなるが、MIやMFRでは、粘り気が強くなると値が低くなる点に注意する必要がある。また、通常、MIやMFRを測定するときは所定の測定温度で押し出す必要があるが、この粘度計測は、再生樹脂製造装置1における押出温度における粘度を基準に粘度を揃える目的で行うものである。このため、本発明の再生樹脂製造装置1により製造された再生樹脂ペレットを加工する際は、再生樹脂製造装置1の押出温度を基準に押し出して成形する方が好ましい。これにより再生樹脂ペレットを加工する際、特に安定して成形することができる。粘度計測器9は、廃材樹脂が溶融状態になっている箇所に設置されていればよく、スクリーンチェンジャー7やギアポンプ8と設置場所が前後してもよい。ただし、なるべく異物除去された状態で計測する方が、粘度計測器9が故障しにくく、計測値も信頼できるため好ましく、粘度計測器9はスクリーンチェンジャー7の後に設置されることが好ましい。
【0034】
溶融状態の廃材樹脂はダイス10へと送られ、造粒ユニット3により、粒状体(ペレット)に加工される。
図1に示す造粒ユニット3は、孔から押し出された直後に回転刃でカットし、冷却して粒状体にするホットカット法によるものである。造粒方法はこれに限ることなく、細長いストランド状に押し出して冷却した後に、カットし、粒状体にするストランドカット法など、従来公知の方法が採用できる。
【0035】
得られた粒状体は、分別機構11に送られる。分別機構11は、粘度計測器9の測定情報を基に、得られた粒状体を、所定の粘度範囲にある規格内ペレットと所定の粘度範囲から外れる規格外ペレットとに分別する。
図1の分別機構11は粘度計測器9と連動させたダイーバーター式の空気輸送バルブを備えており、この分別機構11は、廃材樹脂が粘度計測器9を通過した後、固化して粒状体になる時間を予測し、粘度計測された廃材樹脂がこのバルブを通過するタイミングで、粘度計測結果を基に粒状体の経路を振り分けることができる。
図1では、粘度範囲が規格内にあるものを規格内ペレットとして経路Cへ送り、粘度範囲が規格外であれば、経路Dへと振り分ける機構になっている。
【0036】
図1では、規格内外で経路を2つに分けているが、経路をさらに増やし、規格外ペレットを複数区分に振り分けられるようにしてもよい。例えば、規格外ペレットをさらに高粘度、低粘度、超低粘度の3区分に分けてもよい。この場合、高粘度や低粘度の区分に振り分けられた規格外ペレットは、規格外ペレット同士を混ぜ合わせたり、廃材樹脂、又は粘度調整材と混ぜ合わせることで、粘度の調整が可能である。このため、規格外ペレットを廃材投入部4に廃材樹脂として再投入することで規格内ペレットに調整することができると考えられる。一方、超低粘度の区分に振り分けられた規格外ペレットは、劣化が進み過ぎている可能性があり、再生樹脂としての再利用が難しい場合がある。この場合は、再利用せず、廃棄する、又は別用途に転用することが望ましい。前記のようにペレットが、粘度特性に応じて規格内外に振り分けられたり、規格外ペレットが複数区分に振り分けられていれば、これらをその特性に合わせて使い分けることもできる。
【0037】
経路Dに振り分けられた規格外ペレットは、容器に貯めておき、廃材投入部4に手動で移してもよいが、
図1の再生樹脂製造装置1では、経路Dと経路Eがパイプ(図示せず)を通じてつながっており、再投入路になっている。経路Dに振り分けられた規格外ペレットは、再投入路を通じて経路Eから廃材投入部4に送られ、廃材樹脂として再投入することができる。
【0038】
図1の再生樹脂製造装置1では、調整材投入部5を備えていることで、これによる粘度の調整も可能であるが、規格外ペレットを廃材投入部4に再投入するにあたり、経路Dと経路Eの間で、粘度調整材を混ぜ合わせて粘度を調節した上で、廃材投入部4に再投入してもよい。このことにより、調整材投入部5による粘度の調整の前に、計測済の粘度情報を反映して規格外ペレットの粘度を調整できるため、その粘度をより確実に調節することができる。この再投入の方法としては、再投入路に第二の調整材投入部を設置し、粘度計測器9の粘度計測結果を基に規格外ペレットに振り分けられたタイミングで粘度調整材を投入する方法が挙げられる。
【0039】
本発明の再生樹脂製造装置1により得られた規格内ペレットは、再生樹脂ペレットとして、別工程により任意のプラスチック製品に加工することができる。この場合、規格内ペレットを単体で用いてもよく、その他の樹脂、又はその他の添加剤と混ぜ合わせて用いてもよい。
【実施例0040】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、これらは一例であり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
使用済みのブルーシートを回収し、洗浄及び粗粉砕等の処理を行った後、カッターコンパクターに投入し、ブルーシートの廃材の粉砕物を得た。回収されたブルーシートは、萩原工業株式会社製のターピーシート#3000、ターピーシート#4000、OSシート#2500の他、メーカー不明のブルーシートが多数回収されており、いずれも使用期間は不明であった。
【0042】
図1に示す再生樹脂製造装置1により、前記のようにして得られたブルーシートの廃材の粉砕物を経路Aから廃材投入部4に送った。廃材投入部4では、粉砕物がホッパー4bに集められ、計量器で計量した後、フィーダー4dにより、ミキサー6に送られた。また、粘度調整材として高密度ポリエチレン(密度:0.957kg/m
3、MFR:0.4g/10min)を用い、これを経路Bから調整材投入部5に送った。調整材投入部5では、粘度調整材が、ホッパー5bに貯められ、計量し、フィーダー5dの制御の基にミキサー6に送られた。調整材投入部5はギアポンプ8の回転に連動しており、ギアポンプ8の回転に応じ、ミキサー6に送られる粘度調整材の量が変わっていた。
【0043】
粉砕物と粘度調整材は、ミキサー6により攪拌した後、押出機2で溶融混錬された。このときの押出温度は220℃に設定した。押出機2は、まず第1のスクリーンチェンジャー7aに連結しており、そのメッシュフィルターを通過し、ギアポンプ8で吐出調整された後、第2のスクリーンチェンジャー7bのメッシュフィルターを通過した後、粘度計測器9(ダイニスコ製 オンラインレオメーター CMR4)により、粉砕物と粘度調整材の混合物の粘度を計測した後、ダイスに送られた。
【0044】
粉砕物と粘度調整材の混合物は溶融状態でダイス10から押し出され、ホットカット法の造粒ユニット3により粒状体となった。粒状体は乾燥後、ダイーバーター式の空気輸送バルブ11に送られ、これにより経路Cに分別された再生樹脂ペレットXと、経路Dに分別された再生樹脂ペレットX’を得た。ダイーバーター式の空気輸送バルブ11は、粘度計測器9の測定結果に連動するように調整した。測定された粘度はMFRを推定して表示される設定とし、粘度計測器9による測定値がMFR4未満を示すとき経路C、MFR4以上のとき経路Dに分別されるように設定した。
【0045】
(実施例2)
経路Dと廃材投入部4の経路Eとをチューブコンベアで連結し、再生樹脂ペレットX’を廃材投入部4に送った。これによりブルーシートの廃材の粉砕物と再生樹脂ペレットX’の混合物がミキサー6に送られること以外は、実施例1と同様にし、経路Cから再生樹脂ペレットYを得た。
【0046】
(比較例1)
図1に示す再生樹脂製造装置1から粘度計測器9、スクリーンチェンジャー7及びギアポンプ8を取り外し、押出機2とダイス10を直結させた装置を用い、実施例1同様、ブルーシートの廃材を投入し、再生樹脂ペレットZを得た。この装置ではギアポンプ8による調整材投入部5の動作制御はなく、粘度調整材は投入されない。粘度計測器9の測定結果を基にしたダイーバーター式の空気輸送バルブ11の動作制御もないため、造粒ユニット3により粒状体になったものは全て経路Cから排出される。
【0047】
実施例1で得られた再生樹脂ペレットX、実施例2で得られた再生樹脂ペレットY、比較例1の再生樹脂ペレットZについて、それぞれ高密度ポリエチレン(密度:0.949g/cm3、MFR:0.8g/10min)に対し、40重量%の比率で混ぜ合わせ、これを220℃に設定された押出機に投入した。続いて、丸ダイからチューブ状のフィルムに成形した後、これをテープ状にスリットし、熱板で延伸することでフラットヤーン(繊度1,000dt、テープ幅3mm)に加工した。
【0048】
実施例1の再生樹脂ペレットX及び実施例2の再生樹脂ペレットYを用いて得られたフラットヤーンは十分な強度物性を有し、製織して織物にすることも可能であった。一方、比較例1の再生樹脂ペレットZを用いた場合、フィルムがチューブ状に安定しにくく、延伸工程で糸切れしやすいことで、フラットヤーンを得ること自体が困難であった。