(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081427
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】車載装置、車両管理システムおよび情報管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230606BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230606BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230606BHJP
G16Y 20/10 20200101ALI20230606BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20230606BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/00 A
G16Y10/40
G16Y20/10
G16Y40/20
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195098
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】山根 元太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181EE02
5H181FF04
5H181FF10
5H181LL06
5H181MC15
5H181MC16
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】車両の安全性をより高める。
【解決手段】車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記車両の外部における外部装置へ送信する通信制御部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得する取得部と、
前記取得部により取得された、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記車両の外部における外部装置へ送信する通信制御部とを備える、車載装置。
【請求項2】
前記自然環境情報以外の車両関連情報には、前記車両の走行状態に関する走行情報、および前記車両における監視結果を示す監視情報の少なくともいずれか一方が含まれる、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、送信した前記車両関連情報に基づく、前記自然環境に起因する前記車両の状況の判断結果を前記外部装置から受信し、受信した前記判断結果に基づいて、所定の処理を行う、請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記所定の処理として、前記判断結果の内容に応じて、前記車両関連情報の前記外部装置への送信頻度を変更する、請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、前記自然環境に起因する前記車両の状況、の種類ごとに対応する内容の、前記自然環境情報、および前記自然環境情報以外の前記車両関連情報を選択する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記状況は、太陽光の眩しさによる視界不良であり、
前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、現在日時を示す情報、前記車両の進行方向を示す情報、および前記車両の走行予定経路を示す情報を選択する、請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記状況は、低μ路における前記車両の滑りであり、
前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、外気温を示す情報、ABS(Anti-lock Braking System)の作動状況を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報を選択する、請求項5または請求項6に記載の車載装置。
【請求項8】
前記状況は、雪道かつ登り勾配を有する道路における前記車両の立ち往生であり、
前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、外気温を示す情報、前記車両の走行予定経路の勾配を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報を選択する、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項9】
前記状況は、アンダーパスにおける冠水であり、
前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、前記車両の走行予定経路の勾配を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択する、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項10】
前記状況は、急斜面の側道における崖崩れへの前記車両の巻き込みであり、
前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、前記車両の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択する、請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項11】
前記状況は、河川の水位上昇による、橋の上に位置する前記車両の水没であり、
前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、前記車両の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択する、請求項5から請求項10のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項12】
車両に搭載される車載装置と、
前記車両の外部における外部装置とを備え、
前記車載装置は、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得し、取得した、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記外部装置へ送信し、
前記外部装置は、前記車載装置から受信した前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断し、判断結果を前記車載装置へ送信する、車両管理システム。
【請求項13】
車両に搭載される車載装置における情報管理方法であって、
前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得するステップと、
取得した、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記車両の外部における外部装置へ送信するステップとを含む、情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、車両管理システムおよび情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の安全性を高めるための技術が開発されている。たとえば、特開2005-313658号公報(特許文献1)には、以下のような車両事故防止システムが開示されている。すなわち、車両事故防止システムは、事故査定情報を事故査定情報入力部から入力し、事故情報分析部で事故状況を分析して、事故当時の車両の進行方向を含む分析結果を事故データベースにデータベース化する。そして、車両事故防止システムは、車両の現在位置と進行方向から何れの事故発生地点に接近しているかを検知し、該当する事故発生地点において進行方向が同じで、類似の車両による事故発生履歴を検索し、該当する事故があった場合は、それに基づいて運転者に注意を促す警報を出し、実際の道路状況に即した注意を運転者に与えることで、事故の発生を未然に防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような特許文献1に記載の技術を超えて、車両の安全性をより高めることのできる技術が求められる。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車両の安全性をより高めることのできる車載装置、車両管理システムおよび情報管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記車両の外部における外部装置へ送信する通信制御部とを備える。
【0007】
本開示の車両管理システムは、車両に搭載される車載装置と、前記車両の外部における外部装置とを備え、前記車載装置は、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得し、取得した、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記外部装置へ送信し、前記外部装置は、前記車載装置から受信した前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断し、判断結果を前記車載装置へ送信する。
【0008】
本開示の情報管理方法は、車両に搭載される車載装置における情報管理方法であって、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得するステップと、取得した、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記車両の外部における外部装置へ送信するステップとを含む。
【0009】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車両の安全性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る車両管理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る車載装置を備える車載通信システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る車載装置における通信制御部により選択される車両関連情報の具体例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係る車載装置における通信制御部によるデータセットの送信頻度の変更を説明するためのシーケンス図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態に係る管理サーバにより車両状況判断が行われる際の動作手順の一例を定めたシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記車両の外部における外部装置へ送信する通信制御部とを備える。
【0013】
このような構成により、たとえば、外部装置において、車両のおかれる現在の自然環境、および当該車両のその他の関連情報をリアルタイムに把握して、自然環境に起因する現在または近い将来の当該車両の状況を判断することができる。したがって、車両の安全性をより高めることができる。
【0014】
(2)前記自然環境情報以外の車両関連情報には、前記車両の走行状態に関する走行情報、および前記車両における監視結果を示す監視情報の少なくともいずれか一方が含まれてもよい。
【0015】
このような構成により、たとえば、外部装置において、車両の現在の状況をより的確に把握することができるため、自然環境に起因する現在または近い将来の当該車両の状況をより正確に判断することができる。
【0016】
(3)前記通信制御部は、送信した前記車両関連情報に基づく、前記自然環境に起因する前記車両の状況の判断結果を前記外部装置から受信し、受信した前記判断結果に基づいて、所定の処理を行ってもよい。
【0017】
このような構成により、外部装置からの判断結果に基づいて、たとえば、車両に生じ得る状況を運転者に事前に通知したり、車両の走行を制御したりすることにより、事故の発生を事前に防ぐことができる。
【0018】
(4)前記通信制御部は、前記所定の処理として、前記判断結果の内容に応じて、前記車両関連情報の前記外部装置への送信頻度を変更してもよい。
【0019】
このような構成により、たとえば、車両の走行に不都合な状況が生じる可能性が高いほど、車両関連情報の送信頻度を上げることにより、外部装置による当該状況に関する判断結果を短い周期で取得することができ、一方、当該状況が生じる可能性が低いほど、車両関連情報の送信頻度を下げて、通信量の増加および通信帯域の逼迫等を防ぐことができる。
【0020】
(5)前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、前記自然環境に起因する前記車両の状況、の種類ごとに対応する内容の、前記自然環境情報、および前記自然環境情報以外の前記車両関連情報を選択してもよい。
【0021】
このような構成により、外部装置による車両の状況の判断に用いられない車両関連情報の送信を避けて、通信量の増加および通信帯域の逼迫等を防ぐことができる。
【0022】
また、上記のような構成であり、かつ外部装置による車両の状況の判断結果に応じて、車両関連情報の送信頻度を変更する構成である場合、たとえば、車両のある状況の種類に対応する車両関連情報の組に関しては送信頻度を上げて、当該車両の他の状況の種類に対応する車両関連情報の組に関しては通常の送信頻度で送信を行うことにより、通信量の増加および通信帯域の逼迫等をより適切に防ぐことができる。特に、外部装置へ送信する車両関連情報の種類が多い場合、または外部装置へ車両関連情報を送信する車両の台数が多い場合において、効果が大きい。
【0023】
(6)前記状況は、太陽光の眩しさによる視界不良であり、前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、現在日時を示す情報、前記車両の進行方向を示す情報、および前記車両の走行予定経路を示す情報を選択してもよい。
【0024】
このような構成により、たとえば、外部装置において、車載装置からの車両関連情報に基づいて、車両の運転者において太陽光の眩しさによる視界不良が生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0025】
(7)前記状況は、低μ路における前記車両の滑りであり、前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、外気温を示す情報、ABS(Anti-lock Braking System)の作動状況を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報を選択してもよい。
【0026】
このような構成により、たとえば、外部装置において、車載装置からの車両関連情報に基づいて、低μ路における車両の滑りが生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0027】
(8)前記状況は、雪道かつ登り勾配を有する道路における前記車両の立ち往生であり、前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、外気温を示す情報、前記車両の走行予定経路の勾配を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報を選択してもよい。
【0028】
このような構成により、たとえば、外部装置において、車載装置からの車両関連情報に基づいて、雪道かつ登り勾配を有する道路における車両の立ち往生が生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0029】
(9)前記状況は、アンダーパスにおける冠水であり、前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、前記車両の走行予定経路の勾配を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択してもよい。
【0030】
このような構成により、たとえば、外部装置において、車載装置からの車両関連情報に基づいて、アンダーパスにおける冠水が生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0031】
(10)前記状況は、急斜面の側道における崖崩れへの前記車両の巻き込みであり、前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、前記車両の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択してもよい。
【0032】
このような構成により、たとえば、外部装置において、車載装置からの車両関連情報に基づいて、急斜面の側道における崖崩れへの車両の巻き込みが生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0033】
(11)前記状況は、河川の水位上昇による、橋の上に位置する前記車両の水没であり、前記通信制御部は、前記外部装置へ送信する前記車両関連情報として、前記車両の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択してもよい。
【0034】
このような構成により、たとえば、外部装置において、車載装置からの車両関連情報に基づいて、河川の水位上昇による、橋の上に位置する車両の水没が生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0035】
(12)本開示の実施の形態に係る車両管理システムは、車両に搭載される車載装置と、前記車両の外部における外部装置とを備え、前記車載装置は、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得し、取得した、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記外部装置へ送信し、前記外部装置は、前記車載装置から受信した前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断し、判断結果を前記車載装置へ送信する。
【0036】
このような構成により、外部装置において、車両のおかれる現在の自然環境、および当該車両のその他の関連情報をリアルタイムに把握して、自然環境に起因する現在または近い将来の当該車両の状況を判断することができる。したがって、車両の安全性をより高めることができる。
【0037】
(13)本開示の実施の形態に係る情報管理方法は、車両に搭載される車載装置における情報管理方法であって、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得するステップと、取得した、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記車両の外部における外部装置へ送信するステップとを含む。
【0038】
このような方法により、たとえば、外部装置において、車両のおかれる現在の自然環境、および当該車両のその他の関連情報をリアルタイムに把握して、自然環境に起因する現在または近い将来の当該車両の状況を判断することができる。したがって、車両の安全性をより高めることができる。
【0039】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0040】
<構成および基本動作>
[全体構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る車両管理システムの構成を示す図である。
図1を参照して、車両管理システム301は、1または複数の車載装置101と、外部装置の一例である管理サーバ151とを備える。車載装置101は、車両10に搭載される。
【0041】
車載装置101は、車両10の現在の状況に関連する車両関連情報を取得する。車両関連情報は、車両10のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報、車両10の走行状態に関する走行情報、または車両10における監視結果を示す監視情報である。
【0042】
自然環境情報は、たとえば、現在日時、車両10の周辺の外気温、および車両10の走行予定経路の地形などを示す。走行情報は、たとえば、車両10の現在位置、進行方向および走行予定経路などを示す。監視情報は、たとえば、車両10のワイパーの作動状況、ABS(Anti-lock Braking System)の作動状況、加速度センサの計測値、およびタイヤのスリップ量などを示す。
【0043】
より詳細には、車載装置101は、自然環境情報と自然環境情報以外の車両関連情報とを取得し、取得したこれらの車両関連情報を外部ネットワーク161経由で管理サーバ151へ送信する。
【0044】
管理サーバ151は、車載装置101から送信された自然環境情報を含む複数の車両関連情報を受信し、これら複数の車両関連情報に基づいて、当該車載装置101に対応する車両10のおかれる自然環境に起因する、現在または近い将来の車両10の状況を判断する車両状況判断を行う。そして、管理サーバ151は、車両状況判断の判断結果を示す判断結果情報を外部ネットワーク161経由で当該車載装置101へ送信する。
【0045】
たとえば、管理サーバ151は、自然環境情報の示す現在日時、および走行情報の示す車両10の走行予定経路に基づいて、車両10の運転者において太陽光の眩しさによる視界不良が生じる可能性を判断し、判断結果を示す判断結果情報を外部ネットワーク161経由で当該車載装置101へ送信する。
【0046】
車載装置101は、管理サーバ151から送信された判断結果情報を外部ネットワーク161経由で受信すると、当該判断結果情報に基づいて所定の処理を行う。
【0047】
たとえば、車載装置101は、太陽光の眩しさによる視界不良が生じる可能性がある旨の判断結果情報を受信した場合、車両10に搭載されたモニタ等に当該判断結果情報の内容を表示したり、走行予定経路を変更したりする処理を行う。
【0048】
[車載通信システム]
(車両関連情報の取得)
図2は、本開示の実施の形態に係る車載装置を備える車載通信システムの構成を示す図である。
図2を参照して、車載通信システム201は、車両10に搭載され、車載装置101と、車外通信装置102と、複数の機器103とを備える。
【0049】
機器103は、センサ、アクチュエータ、カメラ、ナビゲーション装置、自動運転処理ECU(Electronic Control Unit)、ADAS(Advanced Driving Assistant System)ECU、ワイパー制御デバイス、エンジン制御デバイス、AT(Automatic Transmission)制御デバイス、HEV(Hybrid Electric Vehicle)制御デバイス、ブレーキ制御デバイス、シャーシ制御デバイス、ステアリング制御デバイスおよび計器表示制御デバイス等である。
【0050】
また、機器103は、たとえば、定期的または不定期に、自己の機器103の動作状況、または車両10に関する計測結果などを示す車両関連情報を車載装置101へ送信する。機器103から送信される車両関連情報は、上述した、自然環境情報、走行情報および監視情報の3種類のうちのいずれか1つに相当する。
【0051】
機器103は、車両関連情報の送信において、たとえば、当該車両関連情報と、当該車両関連情報の内容に応じたID(Identification)との組を車載装置101へ送信する。
【0052】
具体的には、ナビゲーション装置である機器103は、たとえば、車両10の進行方向を示す情報と進行方向に対応するIDとの組、車両10の走行予定経路を示す情報と走行予定経路に対応するIDとの組、および当該走行予定経路の地形を示す情報と地形に対応するIDとの組を車載装置101へ送信する。進行方向を示す情報および走行予定経路を示す情報の各々は、走行情報に相当する。また、走行予定経路の地形を示す情報は、自然環境情報に相当する。
【0053】
また、車速センサである機器103は、たとえば、車速を計測し、計測結果を示す情報と車速に対応するIDとの組を車載装置101へ送信する。車速を示す情報は、走行情報に相当する。
【0054】
車載装置101は、複数の機器103と接続されており、各機器103と通信を行うことが可能である。車載装置101は、たとえば、各機器103の動作を制御する統合ECU、またはゲートウェイ装置である。
【0055】
車載装置101は、複数の車内通信部(取得部)11と、記憶部12と、通信制御部13と、車外入出力部14とを備える。車内通信部11、通信制御部13および車外入出力部14は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサにより実現される。記憶部12は、たとえば不揮発性メモリである。
【0056】
複数の車内通信部11は、複数の機器103にそれぞれ対応し、各車内通信部11は、対応する機器103との間で通信を行う。
【0057】
また、車内通信部11は、対応する機器103から送信された車両関連情報を取得する。より詳細には、車内通信部11は、対応する機器103からの車両関連情報とIDとの組を受信し、受信した組を通信制御部13へ出力する。
【0058】
通信制御部13は、車内通信部11から出力された車両関連情報とIDとの組を受けると、当該組を記憶部12に保存する。このとき、通信制御部13は、新たに受けた組に含まれるIDと同一のIDを含む組が記憶部12に保存済である場合、保存済である組の車両関連情報を更新する。
【0059】
(車両関連情報の送信)
通信制御部13は、記憶部12に保存されている複数の車両関連情報のうち、自然環境情報と自然環境情報以外の車両関連情報とを管理サーバ151へ送信する。
【0060】
より詳細には、通信制御部13は、たとえば、管理サーバ151へ送信する車両関連情報として、自然環境に起因する車両10の状況の種類ごとに対応する内容の、1または複数の自然環境情報、および自然環境情報以外の1または複数の車両関連情報を選択する。そして、通信制御部13は、選択した、1または複数の自然環境情報、および自然環境情報以外の1または複数の車両関連情報を1つのデータセットとしてまとめて車外入出力部14へ出力する。
【0061】
図3は、本開示の実施の形態に係る車載装置における通信制御部により選択される車両関連情報の具体例を示す図である。
図3を参照して、たとえば、記憶部12には、複数のデータセットと、データセットに基づいて管理サーバ151により判断される車両10の状況の種類と、データセットを構成する車両関連情報の内容と、各内容に対応するIDとの対応関係を示す対応テーブルTが保存されている。
【0062】
具体的には、データセット「1」は、車両関連情報として、現在日時を示す情報、車両10の進行方向を示す情報、および車両10の走行予定経路を示す情報を含む。現在日時を示す情報、進行方向を示す情報、および走行予定経路を示す情報は、それぞれ、ID「1」~「3」に対応する。
【0063】
データセット「2」は、車両関連情報として、外気温を示す情報、ABSの作動状況を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報を含む。外気温を示す情報、ABSの作動状況を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報は、それぞれ、ID「4」~「7」に対応する。
【0064】
データセット「3」は、車両関連情報として、外気温を示す情報、車両10の走行予定経路の勾配を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報が含まれる。外気温を示す情報、走行予定経路の勾配を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報は、それぞれ、ID「4」「8」「6」「7」に対応する。
【0065】
データセット「4」は、車両関連情報として、車両10の走行予定経路の勾配を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報が含まれる。走行予定経路の勾配を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報は、それぞれ、ID「8」「9」に対応する。
【0066】
データセット「5」は、車両関連情報として、車両10の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報が含まれる。走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報は、それぞれ、ID「10」「9」に対応する。
【0067】
データセット「6」は、車両関連情報として、車両10の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報が含まれる。走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報は、それぞれ、ID「10」「9」に対応する。
【0068】
なお、対応テーブルTは、上述したデータセット「1」~「6」以外のデータセットを含む構成であってもよいし、上述したデータセット「1」~「6」の一部を含まない構成であってもよい。
【0069】
また、対応テーブルTは、管理サーバ151により判断される車両10の状況の種類を含まない構成であってもよい。
【0070】
通信制御部13は、記憶部12に保存されている各車両関連情報に対応するIDを参照して、データセットごとに、当該データセットを構成する複数の車両関連情報を選択し、選択したデータセットを車外入出力部14へ出力する。
【0071】
また、通信制御部13は、データセットの出力を、たとえば定期的に行う。データセットの出力周期は、異なるデータセット間において同一であってもよいし、互いに異なる周期であってもよい。
【0072】
また、通信制御部13は、出力周期が同一である複数のデータセットを、同一のタイミングで出力してもよいし、互いに異なるタイミングで出力してもよい。
【0073】
再び
図2を参照して、車外入出力部14は、通信制御部13から出力されたデータセットを受けると、当該データセットを車外通信装置102へ送信する。
【0074】
車外通信装置102は、WiFi(登録商標)またはLTE(登録商標)(Long Term Evolution)などの通信方式に従って、図示しない無線基地局と無線通信を行うことにより、
図1に示す外部ネットワーク161経由で管理サーバ151と通信を行う。
【0075】
たとえば、車外通信装置102は、車載装置101から送信されたデータセットを受信すると、当該データセットを外部ネットワーク161経由で管理サーバ151へ送信する。
【0076】
管理サーバ151は、車外通信装置102から送信されたデータセットを外部ネットワーク161経由で受信し、当該データセットに基づいて、当該車外通信装置102に対応する車両10の車両状況判断を行う。そして、管理サーバ151は、判断結果を示す判断結果情報を外部ネットワーク161経由で当該車両10へ送信する。
【0077】
車両10における車外通信装置102は、管理サーバ151から送信された判断結果情報を外部ネットワーク161経由で受信すると、当該判断結果情報を車載装置101へ送信する。
【0078】
車載装置101における車外入出力部14は、車外通信装置102から送信された判断結果情報を受信すると、当該判断結果情報を通信制御部13へ出力する。
【0079】
通信制御部13は、車外入出力部14から出力された判断結果情報を受けると、当該判断結果情報に基づいて所定の処理を行う。通信制御部13による所定の処理の具体例については後述する。
【0080】
[管理サーバによる車両状況判断の具体例]
再び
図3を参照して、管理サーバ151は、車載装置101からのデータセット「1」を受信したとする。この場合、管理サーバ151は、たとえば、データセット「1」に含まれる現在日時を示す情報に基づいて、太陽の位置および高度を推定する。また、管理サーバ151は、データセット「1」に含まれる、進行方向を示す情報、および走行予定経路を示す情報と、推定した太陽の位置および高度とに基づいて、車両10の運転者において太陽光の眩しさによる視界不良が生じる可能性について判断する。
【0081】
また、管理サーバ151は、車載装置101からのデータセット「2」を受信したとする。この場合、管理サーバ151は、データセット「2」に含まれる、外気温を示す情報、ABSの作動状況を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報に基づいて、低μ路による車両滑りが生じる可能性について判断する。
【0082】
また、管理サーバ151は、車載装置101からのデータセット「3」を受信したとする。この場合、管理サーバ151は、データセット「3」に含まれる、外気温を示す情報、走行予定経路の勾配を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報に基づいて、雪道かつ登り勾配を有する道路における車両10の立ち往生が生じる可能性について判断する。
【0083】
また、管理サーバ151は、車載装置101からのデータセット「4」を受信したとする。この場合、管理サーバ151は、データセット「4」に含まれる、走行予定経路の勾配を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報に基づいて、アンダーパスにおける冠水が生じる可能性について判断する。
【0084】
また、管理サーバ151は、車載装置101からのデータセット「5」を受信したとする。この場合、管理サーバ151は、データセット「5」に含まれる、走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報に基づいて、急斜面の側道における崖崩れへの車両10の巻き込みが生じる可能性について判断する。
【0085】
また、管理サーバ151は、車載装置101からのデータセット「6」を受信したとする。この場合、管理サーバ151は、データセット「6」に含まれる、走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報に基づいて、河川の水位上昇による、橋の上に位置する車両10の水没が生じる可能性について判断する。
【0086】
管理サーバ151は、上述した各種類の車両10の状況について、たとえば、当該状況が生じる可能性を複数の段階に分けて判断する。具体的には、管理サーバ151は、当該状況が生じる確率が閾値Th1未満である場合は危険の度合いが「低」であると判断し、当該確率が閾値Th1以上かつ閾値Th2(>Th1)未満である場合は危険の度合いが「中」であると判断し、当該確率が閾値Th2以上である場合は危険の度合いが「高」であると判断する。
【0087】
そして、管理サーバ151は、たとえば、判断した車両10の状況、および当該状況が生じる可能性、すなわち危険の度合いを示す判断結果情報を外部ネットワーク161経由で車両10へ送信する。
【0088】
なお、管理サーバ151は、2つの閾値Th1,Th2を用いて3段階の危険の度合いを判断する構成に限らず、2または4以上の段階に分けて危険の度合いを判断してもよい。
【0089】
また、管理サーバ151は、自然環境に起因する車両10の状況および危険の度合いに加えて、さらに、当該状況が生じ得るエリア、タイミング、および当該状況への対処法などのうちの少なくともいずれか1つを判断結果情報に含めて送信してもよい。
【0090】
[車載装置による所定の処理の具体例]
(運転者への通知)
車載装置101における通信制御部13は、たとえば、判断結果情報の示す危険の度合いが「中」または「高」である場合に所定の処理を行い、当該危険の度合いが「低」である場合は所定の処理を行わない。
【0091】
また、通信制御部13は、たとえば、管理サーバ151からの判断結果情報の示す危険の度合いに応じて、所定の処理として、異なる内容の処理を行う。
【0092】
具体的には、通信制御部13は、判断結果情報の示す危険の度合いが「中」である場合、たとえば、当該判断結果情報の内容が車両10におけるモニタに表示されるように、ナビゲーション装置である機器103に対応する車内通信部11へ制御情報を出力する。
【0093】
また、通信制御部13は、判断結果情報の示す危険の度合いが「高」である場合、たとえば、当該判断結果情報の内容が車両10におけるモニタに表示され、かつ当該内容が音声により出力されるように、ナビゲーション装置である機器103に対応する車内通信部11へ制御情報を出力する。
【0094】
車内通信部11は、通信制御部13から出力された制御情報を受けると、当該制御情報を自己に対応する機器103、すなわちナビゲーション装置へ送信する。
【0095】
ナビゲーション装置である機器103は、車載装置101から送信された制御情報を受信すると、当該制御情報に従い、判断結果情報の内容をモニタに表示したり、音声出力を行ったりする。
【0096】
(走行予定経路の変更)
通信制御部13は、たとえば、判断結果情報の示す危険の度合いが「高」である場合、所定の処理として、当該判断結果情報の示す状況が生じ得るエリアを迂回するように、車両10の走行予定経路を変更させるための制御情報を、ナビゲーション装置である機器103に対応する車内通信部11へ出力してもよい。
【0097】
車内通信部11は、通信制御部13から出力された制御情報を受けると、当該制御情報を自己に対応する機器103、すなわちナビゲーション装置へ送信する。
【0098】
ナビゲーション装置である機器103は、たとえば、車載装置101から送信された制御情報を受信すると、当該制御情報に従って車両10の走行推奨経路の変更を行う。
【0099】
(データセットの送信頻度の変更)
図4は、本開示の実施の形態に係る車載装置における通信制御部によるデータセットの送信頻度の変更を説明するためのシーケンス図である。
図4を参照して、通信制御部13は、所定の処理として、管理サーバ151からの判断結果情報の内容に応じて、管理サーバ151へ送信する車両関連情報の送信頻度を変更してもよい。
【0100】
具体的には、まず、車載装置101は、データセット「1」を管理サーバ151へ送信したとする(ステップS11)。
【0101】
次に、管理サーバ151は、車載装置101からのデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「低」であることを示す判断結果情報を車載装置101へ送信したとする(ステップS12)。
【0102】
次に、車載装置101は、ステップS11においてデータセット「1」を送信したタイミングから第1の所定時間後に、最新のデータセット「1」を管理サーバ151へ送信する。ここでは、第1の所定時間は1秒であるとする(ステップS13)。
【0103】
次に、管理サーバ151は、車載装置101からのデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「低」であることを示す判断結果情報を車載装置101へ送信したとする(ステップS14)。
【0104】
次に、車載装置101は、ステップS13においてデータセット「1」を送信したタイミングから第1の所定時間後に、最新のデータセット「1」を管理サーバ151へ送信する(ステップS15)。
【0105】
次に、管理サーバ151は、車載装置101からのデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「中」であることを示す判断結果情報を車載装置101へ送信したとする(ステップS16)。
【0106】
この場合、車載装置101における通信制御部13は、データセット「1」の送信間隔を変更し、たとえば、ステップS15においてデータセット「1」を送信したタイミングから第2の所定時間後に、最新のデータセット「1」を管理サーバ151へ送信する(ステップS17)。ここでは、第2の所定時間は0.5秒であるとする(ステップS17)。
【0107】
ステップS18およびステップS19の動作、ならびにステップS20およびステップS21の動作は、ステップS16およびステップS17の動作と同様である。
【0108】
次に、管理サーバ151は、車載装置101からのデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「高」であることを示す判断結果情報を車載装置101へ送信したとする(ステップS22)。
【0109】
この場合、車載装置101における通信制御部13は、たとえば、上述したように、判断結果情報の示す状況が生じ得るエリアを迂回するように、車両10の走行予定経路を変更させるための制御情報をナビゲーション装置に対応する車内通信部11へ出力するなど、当該状況への対処法を実行する(ステップS23)。
【0110】
なお、通信制御部13は、データセットごとに車両関連情報を管理サーバ151へ送信する構成に限らず、たとえば、定期的または不定期に、記憶部12に保存されているすべての車両関連情報をまとめて管理サーバ151へ送信してもよい。この場合、管理サーバ151は、たとえば、受信した複数の車両関連情報を複数のデータセットに分けて、各データセットを用いた車両状況判断を行う。
【0111】
また、管理サーバ151以外の外部装置が、車両10からの車両関連情報を受信し、受信した車両関連情報に基づいて、当該車両10の車両状況判断を行ってもよい。たとえば、車両関連情報の送信元である車両10とは異なる他の車両におけるECUなどが、当該車両10の車両状況判断を行ってもよい。
【0112】
<動作の流れ>
次に、車両管理システム301における各装置の動作の流れについて図面を用いて説明する。
【0113】
車両管理システム301における各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態でまたは通信回線を介して流通する。
【0114】
ここでは、車載装置101が、
図3に示すデータセット「1」を管理サーバ151へ送信し、管理サーバ151が車載装置101からのデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行う場合について説明する。車載装置101および管理サーバ151の動作の流れは、データセット「1」以外の他のデータセットについても同様である。
【0115】
図5は、本開示の実施の形態に係る管理サーバにより車両状況判断が行われる際の動作手順の一例を定めたシーケンス図である。
図5を参照して、まず、車載装置101は、各機器103から送信された車両関連情報とIDとの組を受信すると、当該組を保存する。車両関連情報の受信および保存は、定期的または不定期に行われる(ステップS101)。
【0116】
次に、車載装置101は、保存している各車両関連情報に対応するIDを参照して、データセット「1」を構成する複数の車両関連情報を選択し(ステップS102)、選択した複数の車両関連情報、すなわちデータセット「1」を外部ネットワーク161経由で管理サーバ151へ送信する(ステップS103)。
【0117】
次に、管理サーバ151は、車載装置101から送信されたデータセット「1」を外部ネットワーク161経由で受信し、受信したデータセット「1」に基づいて、当該車載装置101を搭載する車両10の車両状況判断を行う(ステップS104)。
【0118】
次に、管理サーバ151は、車両状況判断の判断結果として、たとえば、判断した車両10の状況および危険の度合いを示す判断結果情報を外部ネットワーク161経由で車載装置101へ送信する(ステップS105)。
【0119】
次に、車載装置101は、管理サーバ151から送信された判断結果情報を外部ネットワーク161経由で受信し、たとえば、当該判断結果情報の示す危険の度合いが「低」であるか否かを確認する(ステップS106)。
【0120】
次に、車載装置101は、危険の度合いが「低」である場合(ステップS106において「YES」)、前回のデータセット「1」を送信したタイミングから送信周期の時間が経過したか否かを確認する。後述するような、データセット「1」の送信周期の変更が1度も行われていない状況においては、データセット「1」の送信周期は、たとえば1秒であるとする(ステップS107)。
【0121】
ここで、車載装置101は、後述するように、データセット「1」の送信周期を0.5秒に変更した後、新たに受信した判断結果情報の示す危険の度合いが「低」である場合には、当該送信周期を1秒に戻す。
【0122】
そして、車載装置101は、データセット「1」を送信したタイミングから送信周期の時間が経過していない場合(ステップS107において「NO」)、当該タイミングから送信周期の時間が経過するまで待機する。
【0123】
一方、車載装置101は、データセット「1」を送信したタイミングから送信周期の時間が経過した場合(ステップS107において「YES」)、データセット「1」を構成する複数の車両関連情報の選択(ステップS102)を再び行う。
【0124】
また、車載装置101は、管理サーバ151からの判断結果情報の示す危険の度合いが「低」ではない場合(ステップS106において「NO」)、当該判断結果情報の示す危険の度合いが「中」であるか否かを確認する(ステップS108)。
【0125】
次に、車載装置101は、危険の度合いが「中」である場合(ステップS108において「YES」)、たとえば、当該判断結果情報の内容を車両10におけるモニタに表示し、さらに、データセット「1」の送信周期を変更する等の所定の処理を行う。たとえば、車載装置101は、データセット「1」の送信周期を1秒から0.5秒へ変更する(ステップS109)。
【0126】
ここで、車載装置101は、データセット「1」の送信周期が0.5秒に変更済である場合には、当該送信周期の変更は行わない。
【0127】
そして、車載装置101は、上述したとおり、前回のデータセット「1」を送信したタイミングから送信周期の時間が経過したか否かを確認する(ステップS107)。
【0128】
また、車載装置101は、管理サーバ151からの判断結果情報の示す危険の度合いが「中」ではない場合、すなわち危険の度合いが「高」である場合(ステップS108において「NO」)、たとえば、当該判断結果情報の内容を車両10におけるモニタに表示し、かつ当該内容を音声により出力し、さらに、車両の走行推奨経路を変更する等の所定の処理を行う(ステップS110)。
【0129】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0130】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
車両に搭載される車載装置であって、
前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の現在の車両の状況に関連する車両関連情報とを取得する取得部と、
前記取得部により取得された、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記車両の外部における外部装置へ送信する通信制御部と、
複数のデータセットと、前記データセットを構成する前記車両関連情報との対応関係を示す対応情報を保存する記憶部とを備え、
前記通信制御部は、前記記憶部に保存されている前記対応情報を参照して、前記取得部により取得された複数の前記車両関連情報のうち、前記データセットごとに、前記データセットを構成する複数の前記車両関連情報を選択し、選択した複数の前記車両関連情報を前記外部装置へ送信し、
前記通信制御部は、前記データセットごとに、前記外部装置への送信頻度を変更可能である、車載装置。
【0131】
[付記2]
車両に搭載される車載装置と、
前記車両の外部における外部装置とを備え、
前記車載装置は、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の現在の車両の状況に関連する車両関連情報とを取得し、取得した、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とを前記外部装置へ送信し、
前記外部装置は、前記車載装置から受信した前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する、現在または近い将来の前記車両の状況を判断し、前記状況および危険の度合いを示す判断結果を前記車載装置へ送信し、
前記車載装置は、前記外部装置から受信した前記判断結果の示す前記危険の度合いに応じて、異なる内容の所定の処理を行う、車両管理システム。
【符号の説明】
【0132】
10 車両
11 車内通信部
12 記憶部
13 通信制御部
14 車外入出力部
101 車載装置
102 車外通信装置
103 機器
151 管理サーバ
161 外部ネットワーク
201 車載通信システム
301 車両管理システム