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特開2023-81440空調ダクト通信システム、及び、空調ダクト通信システム設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081440
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】空調ダクト通信システム、及び、空調ダクト通信システム設置方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/15 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
H04B7/15
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195122
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】512033383
【氏名又は名称】テクノ矢崎株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 邦也
(72)【発明者】
【氏名】本山 慎也
(72)【発明者】
【氏名】田森 武昭
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 健二
(72)【発明者】
【氏名】佐野 一仁
【テーマコード(参考)】
5K072
【Fターム(参考)】
5K072AA29
5K072BB02
5K072DD15
5K072GG01
5K072GG12
5K072GG13
5K072GG14
5K072GG39
(57)【要約】
【課題】建物内において適正に通信を行うことができる空調ダクト通信システム、及び、空調ダクト通信システム設置方法を提供することを目的とする。
【解決手段】空調ダクト通信システムSys1は、空気調和機10から供給される空気SAを、建物Bの複数の階FLに渡って設けられた空調ダクト20の内部を介して当該建物Bの各階FLの室内INに循環させる空気調和設備ACと、空調ダクト20に設けられ、通信上位機器DE1との間で通信ケーブルC1を介して相互に通信信号を送受信可能であり、かつ、空調ダクト20の内部を介して通信電波を送受信可能である送受信アンテナ30と、空調ダクト20に設けられ、空調ダクト20の内部を介して通信電波を送受信可能であり、かつ、室内INの通信対象機器DE2との間で相互に通信電波を送受信可能である中継アンテナ40とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機から供給される空気を、建物の複数の階に渡って設けられた空調ダクトの内部を介して当該建物の各階の室内に循環させる空気調和設備と、
前記空調ダクトに設けられ、通信上位機器との間で通信ケーブルを介して相互に通信信号を送受信可能であり、かつ、前記空調ダクトの内部を介して通信電波を送受信可能である送受信アンテナと、
前記空調ダクトに設けられ、前記空調ダクトの内部を介して通信電波を送受信可能であり、かつ、前記室内の通信対象機器との間で相互に通信電波を送受信可能である中継アンテナとを備えることを特徴とする、
空調ダクト通信システム。
【請求項2】
前記通信上位機器と前記送受信アンテナとの間に介在し前記通信信号を中継する第1変換機器と、
前記第1変換機器と前記送受信アンテナとの間に介在し前記通信信号を中継する第2変換機器とを備え、
前記第1変換機器は、前記通信上位機器側から受信した複数の異なる周波数帯の前記通信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し統合通信信号に統合して前記第2変換機器側に送信する処理、及び、前記第2変換機器側から受信した前記統合通信信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し前記複数の異なる周波数帯の前記通信信号に分波して前記通信上位機器側に送信する処理を実行可能であり、
前記第2変換機器は、前記第1変換機器側から受信した前記統合通信信号をデジタル信号からアナログ信号に変換して前記送受信アンテナ側に送信する処理、及び、前記送受信アンテナ側から受信した前記統合通信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して前記第1変換機器側に送信する処理を実行可能である、
請求項1に記載の空調ダクト通信システム。
【請求項3】
前記空調ダクトは、前記空気調和機から供給する空気を前記室内に送り込む給気ダクト、及び、前記室内からの戻り空気を前記空気調和機に還流させる還気ダクトを含み、
前記送受信アンテナ、及び、前記中継アンテナは、前記給気ダクトに設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の空調ダクト通信システム。
【請求項4】
前記中継アンテナは、前記給気ダクトにおいて、前記室内に向けて空気を吹き出す吹出口、又は、当該吹出口からはずれた中間部位に設けられる、
請求項3に記載の空調ダクト通信システム。
【請求項5】
前記中継アンテナは、前記空調ダクトの内部に露出して設けられ無電源で前記送受信アンテナとの間で相互に通信電波を送受信可能であるダクトアンテナ、前記室内に面し当該室内側を向いて設けられ無電源で前記室内の通信対象機器との間で相互に通信電波を送受信可能である拡散アンテナ、及び、前記ダクトアンテナと前記拡散アンテナとを通信可能に接続する接続ケーブルを含む、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空調ダクト通信システム。
【請求項6】
前記拡散アンテナは、前記室内に位置する通信障害物を隔てて前記ダクトアンテナ側の空間から区画された空間に面して位置し、
前記接続ケーブルは、前記ダクトアンテナ側の空間から前記通信障害物を跨いで前記拡散アンテナ側の空間まで延在する、
請求項5に記載の空調ダクト通信システム。
【請求項7】
前記空調ダクトは、前記建物の複数の階に渡って鉛直方向に沿って延在する縦ダクト、及び、当該建物の各階において前記縦ダクトから水平方向に沿って延在する横ダクトを含み、
前記送受信アンテナは、前記建物の複数の階のうち予め定められた基準階の前記縦ダクトに設けられ、
前記中継アンテナは、前記建物の各階の前記横ダクトにそれぞれ設けられ、
前記送受信アンテナと前記中継アンテナとは、前記縦ダクトの内部、及び、前記横ダクトの内部を介して相互に通信電波を送受信可能である、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の空調ダクト通信システム。
【請求項8】
前記縦ダクトと前記横ダクトとの接続部位に設けられ、前記空調ダクトの内部において前記送受信アンテナと前記中継アンテナとの間に介在し通信電波を中継する補助アンテナを備える、
請求項7に記載の空調ダクト通信システム。
【請求項9】
前記空調ダクトは、前記建物の複数の階に渡って鉛直方向に沿って延在する縦ダクト、及び、当該建物の各階において前記縦ダクトから水平方向に沿って延在する横ダクトを含み、
前記送受信アンテナ、及び、前記中継アンテナは、ともに前記建物の各階の前記横ダクトにそれぞれ設けられ、
前記通信ケーブルは、前記建物の複数の階に渡って鉛直方向に沿って延在し前記建物の各階の前記送受信アンテナにそれぞれ接続される縦ケーブルを含み、
前記送受信アンテナと前記中継アンテナとは、前記建物の各階において前記横ダクトの内部を介して相互に通信電波を送受信可能である、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の空調ダクト通信システム。
【請求項10】
前記送受信アンテナは、前記横ダクトにおいて、当該横ダクトの内部に位置する通信障害物である防火ダンパーより前記中継アンテナ側に設けられる、
請求項9に記載の空調ダクト通信システム。
【請求項11】
前記空調ダクトの内部に位置する通信障害物を隔てて一方側に対して通信電波を送受信可能である第1アンテナ、当該通信障害物を隔てて他方側に対して通信電波を送受信可能である第2アンテナ、及び、前記通信障害物を跨いで前記第1アンテナと前記第2アンテナとを通信可能に接続するバイパスケーブルを含むバイパスアンテナを備える、
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の空調ダクト通信システム。
【請求項12】
空気調和機から供給される空気を、建物の複数の階に渡って設けられた空調ダクトの内部を介して当該建物の各階の室内に循環させる空気調和設備を備えた既設の前記建物において、送受信アンテナと通信上位機器とを通信ケーブルを介して相互に通信信号を送受信可能に接続する通信ケーブル敷設工程と、
前記送受信アンテナを、前記空調ダクトの内部を介して通信電波を送受信可能なように、当該送受信アンテナの一部を当該空調ダクトの内部に露出させて設置する送受信アンテナ設置工程と、
中継アンテナを、前記空調ダクトの内部を介して通信電波を送受信可能、かつ、前記室内の通信対象機器との間で相互に通信電波を送受信可能なように、当該中継アンテナの一部を当該空調ダクトの内部に露出させ、かつ、当該中継アンテナの他の一部を前記室内に面して設置する中継アンテナ設置工程とを含むことを特徴とする、
空調ダクト通信システム設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調ダクト通信システム、及び、空調ダクト通信システム設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に適用される従来の通信技術として、例えば、特許文献1には、屋内において無線通信網を形成する無線LANシステムが開示されている。この無線LANシステムは、導波路と、無線LAN親機と、無線LAN子機とを有する。導波路は、無線通信網を形成する区域内の上方に沿って設けられる。無線LAN親機は、この導波路に接続される。無線LAN子機は、区域内に配置される。そして、この無線LANシステムは、導波路が複数の分岐回路を有し、この分岐回路に区域内に向かう指向性を有する電磁波送受信用アンテナが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-204240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような通信技術は、例えば、近年のIoT(Internet of Things)や第5世代通信システム(5G:5th Generation)等の技術の進展の中、建物の複数の階に渡る通信の確立の点で更なる改善のニーズが高まっている。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、建物内において適正に通信を行うことができる空調ダクト通信システム、及び、空調ダクト通信システム設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る空調ダクト通信システムは、空気調和機から供給される空気を、建物の複数の階に渡って設けられた空調ダクトの内部を介して当該建物の各階の室内に循環させる空気調和設備と、前記空調ダクトに設けられ、通信上位機器との間で通信ケーブルを介して相互に通信信号を送受信可能であり、かつ、前記空調ダクトの内部を介して通信電波を送受信可能である送受信アンテナと、前記空調ダクトに設けられ、前記空調ダクトの内部を介して通信電波を送受信可能であり、かつ、前記室内の通信対象機器との間で相互に通信電波を送受信可能である中継アンテナとを備えることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る空調ダクト通信システム設置方法は、空気調和機から供給される空気を、建物の複数の階に渡って設けられた空調ダクトの内部を介して当該建物の各階の室内に循環させる空気調和設備を備えた既設の前記建物において、送受信アンテナと通信上位機器とを通信ケーブルを介して相互に通信信号を送受信可能に接続する通信ケーブル敷設工程と、前記送受信アンテナを、前記空調ダクトの内部を介して通信電波を送受信可能なように、当該送受信アンテナの一部を当該空調ダクトの内部に露出させて設置する送受信アンテナ設置工程と、中継アンテナを、前記空調ダクトの内部を介して通信電波を送受信可能、かつ、前記室内の通信対象機器との間で相互に通信電波を送受信可能なように、当該中継アンテナの一部を当該空調ダクトの内部に露出させ、かつ、当該中継アンテナの他の一部を前記室内に面して設置する中継アンテナ設置工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る空調ダクト通信システム、及び、空調ダクト通信システム設置方法は、建物内において適正に通信を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る空調ダクト通信システムが適用された建物の概略構成の一例を表す模式的なブロック図である。
図2図2は、実施形態1に係る空調ダクト通信システムの概略構成の一例を表す模式的なブロック図である。
図3図3は、実施形態1に係る空調ダクト通信システムの送受信アンテナの一例について説明する模式図である。
図4図4は、実施形態1に係る空調ダクト通信システムの中継アンテナの一例について説明する模式図である。
図5図5は、実施形態1に係る空調ダクト通信システムの接続ケーブルの一例について説明する模式的なブロック図である。
図6図6は、実施形態1に係る空調ダクト通信システム設置方法を表すフローチャートである。
図7図7は、変形例に係る空調ダクト通信システムのバイパスアンテナの一例について説明する模式図である。
図8図8は、変形例に係る空調ダクト通信システムが適用された建物の概略構成の一例を表す模式的なブロック図である。
図9図9は、実施形態2に係る空調ダクト通信システムが適用された建物の概略構成の一例を表す模式的なブロック図である。
図10図10は、実施形態2に係る空調ダクト通信システムの概略構成の一例を表す模式的なブロック図である。
図11図11は、実施形態2に係る空調ダクト通信システムの送受信アンテナの一例について説明する模式図である。
図12図12は、変形例に係る空調ダクト通信システムの概略構成の一例を表す模式的なブロック図である。
図13図13は、変形例に係る空調ダクト通信システムの中継機器の一例について説明する模式図である。
図14図14は、実施形態3に係る空調ダクト通信システムが適用された建物の概略構成の一例を表す模式的なブロック図である。
図15図15は、実施形態3に係る空調ダクト通信システムの送受信アンテナの一例について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
なお、以下の説明では、図1図8図9図14は、空調ダクト通信システムが適用された建物の鉛直方向に沿った概略構成の一例を表している。一方、図5は、空調ダクト通信システムが適用された建物の水平方向に沿った概略構成の一例を表している。
【0012】
[実施形態1]
図1図2に示す本実施形態に係る空調ダクト通信システムSys1は、建物Bの複数の階FLに渡って張り巡らされた空調ダクト20を活用して当該建物Bの複数の階FLに渡って通信を行うシステムである。
【0013】
本実施形態の空調ダクト通信システムSys1は、典型的には、建物Bにおいて、いわゆる第5世代通信(5G)対応の通信システムを構成するものである。ここで、この第5世代通信においては、相対的に高周波数帯の通信電波が用いられることで、当該通信電波が建物Bの構造体によって減衰し易い傾向にあり、このため、建物Bの各階FLの室内INにおいて通信環境を確立するためには通信電波の再放射を要する場合がある。
【0014】
本実施形態の空調ダクト通信システムSys1は、このような背景のもと、上記のように、建物Bにおいて、各階FLの室内INに空気を循環させるための空調ダクト20を活用して通信電波を伝搬することで各階FLの室内INの通信環境を適正に確立する。この構成により、本実施形態の空調ダクト通信システムSys1は、例えば、建物Bに新規で設置する新設の空調ダクト20に限らず、建物Bに既に設置されている既設の空調ダクト20も用いてより効率的に各階FLの室内INの通信環境の確立を実現可能とするものである。
【0015】
また、本実施形態の空調ダクト通信システムSys1は、典型的には、建物Bにおいて、複数の通信キャリア(携帯通信事業者)に対応した通信信号を統合した上で、上記のように空調ダクト20を活用した通信電波の伝搬を行うことで、複数の通信キャリアに対応した共通の通信インフラストラクチャーを構成する。この構成により、本実施形態の空調ダクト通信システムSys1は、より効率的に複数の通信キャリアの通信環境の確立を実現可能とするものでもある。
【0016】
以下、各図を参照して空調ダクト通信システムSys1の各構成について詳細に説明する。なお、以下では、本実施形態の空調ダクト通信システムSys1が適用される建物Bは、当該建物Bを構成する複数の階FLとして、地下1階B1、地上1階1F、地上2階2F、地上3階3Fの合計4つの階FLを含んで構成されるものを例示しているがこれに限らない。また、空調ダクト20を活用した通信の対象となる通信電波の周波数帯は、典型的には、第5世代通信対応した周波数帯であり、例えば、複数の通信キャリアのsub6周波数帯をカバーする3.6GHz~4.1GHz、4.5GHz~4.6GHz程度の周波数帯である。
【0017】
具体的には、図1図2に示す本実施形態の空調ダクト通信システムSys1は、例えば、オフィスビル、住居施設、商業施設、各種複合施設等の建物Bに適用される。そして、本実施形態の空調ダクト通信システムSys1は、図1図2に示すように、空気調和設備ACと、送受信アンテナ30と、中継アンテナ40とを備える。空気調和設備ACは、空気調和機10及び空調ダクト20を含んで構成される。そして、送受信アンテナ30、及び、中継アンテナ40は、共に空調ダクト20に設けられ、当該空調ダクト20の内部を介して通信電波の送受信を行う。
【0018】
空気調和設備ACは、建物Bに適用され、空気調和機10から供給される空気を、建物Bの複数の階FLに渡って設けられた空調ダクト20の内部を介して当該建物Bの各階FLの室内INに循環させるシステムである。
【0019】
空気調和機10は、建物Bの室内INに供給する空気SAを調和させる機器であり、ここでは、地下1階B1の空調機械室に据え付けられている。空気調和機10は、いずれの方式のものであってもよい。例えば、空気調和機10は、送風機、冷凍機、熱交換器、加湿器、エアフィルタ等を含んで構成され、これらが動作し空気の温度、湿度、清浄度等を調整することで、室内INの要求を満たした調和空気を生成する。空気調和機10は、空調ダクト通信システムSys1を建物Bに導入するにあたり、建物Bに新規で設置する新設のものであてもよいし、建物Bに既に設置されている既設のものであってもよい。
【0020】
空調ダクト20は、建物Bの各階FLの室内INに循環させる空気の流通経路を構成するものであり、建物Bの複数の階FLに渡って設けられている。空調ダクト20は、建物Bの複数の階FLに渡って延在し、かつ、当該複数の階FLにそれぞれ設けられる。空調ダクト20は、中空の筒状に形成され、空気調和の対象となる室内INと空気調和機10との間に介在し、内部を空気が流通可能である。空調ダクト20は、例えば、略矩形筒状(略矩形断面)、略円筒状(略円形断面)等、いずれの形状に形成されてもよい。また、空調ダクト20は、例えば、アルミ材やトタン材等の金属材料によって構成されてもよいし、樹脂材料によって構成されてもよい。空調ダクト20は、典型的には、各室を区画する天井面Ceの裏側の懐空間や壁面Waの裏側の空間に固定されているが、これに限らず、室内INに露出させて設けられてもよい。空調ダクト20は、空調ダクト通信システムSys1を建物Bに導入するにあたり、建物Bに新規で設置する新設のものであてもよいし、建物Bに既に設置されている既設のものであってもよい。なお、空調ダクト20は、その外周面に断熱材等 が巻き付けられて設けられることもある。また、空調ダクト20は、建物B内を複数の防火領域に区画する防火壁等を貫通して設けられる場合もある。
【0021】
より具体的には、空調ダクト20は、給気ダクト20SA、還気ダクト20RA、外気ダクト20OA、及び、排気ダクト20EAを含んで構成される。
【0022】
給気ダクト20SAは、空気調和機10から供給する空気(Supply Air)SAを室内INに送り込む流通経路を構成する。給気ダクト20SAは、空気調和機10と各階FLの空気調和の対象となる室内INとに渡って延在する。給気ダクト20SAは、空気調和機10と各室内INとの間で分岐し、各室内INに面して天井面Ce等に設けられた吹出口21から室内INに向けて空気SAを吹き出す。吹出口21は、室内INに空気SAが満遍なく行き渡るように天井面Ceに分散して複数配置されている。
【0023】
還気ダクト20RAは、室内INからの戻り空気(Return Air)RAを空気調和機10に還流させる流通経路を構成する。還気ダクト20RAは、各階FLの空気調和の対象となる室内INと空気調和機10とに渡って延在する。還気ダクト20RAは、各室内INに面して壁面Wa等に設けられた吸込口22から室内INの戻り空気RAを吸い込み、当該戻り空気RAを各室内INと空気調和機10との間で合流させ空気調和機10に戻す。
【0024】
外気ダクト20OAは、建物Bの外部の空気(Outside Air)OAを空気調和機10に取り込む流通経路を構成する。外気ダクト20OAは、建物Bの外部と空気調和機10とに渡って延在する。ここでは、還気ダクト20RAと外気ダクト20OAとは、空気調和機10側の部分が兼用されている。外気ダクト20OAは、建物Bの外部に面して外壁等に設けられた外気口23から外部の空気OAを吸い込み、当該外部の空気OAを空気調和機10に導入する。
【0025】
排気ダクト20EAは、室内INから排気する空気(Exhaust Air)EAを建物Bの外部に排出する流通経路を構成する。排気ダクト20EAは、各階FLの空気調和の対象となる室内INと建物Bの外部とに渡って延在する。ここでは、還気ダクト20RAと排気ダクト20EAとは、室内IN側の部分が兼用されている。排気ダクト20EAは、室内INから排気する空気EAを吸込口22から吸い込み、建物Bの外部に面して外壁等に設けられた排気口24から外部に吐き出す。
【0026】
そして、本実施形態の空調ダクト20は、縦ダクト20A、及び、横ダクト20Bを含んで構成される。縦ダクト20Aは、建物Bの複数の階FLに渡って鉛直方向に沿って延在するダクトである。縦ダクト20Aは、建物Bの複数の階FLを貫通し、各階FLの横ダクト20B同士を繋ぐ。一方、横ダクト20Bは、建物Bの各階FLにおいて縦ダクト20Aから水平方向に沿って延在するダクトである。横ダクト20Bは、各階FLの空気調和の対象となる室内INの上方に延在する(図5等も参照)。
【0027】
本実施形態の空調ダクト20は、これら縦ダクト20A、及び、横ダクト20Bが複数組み合わさることで、上記給気ダクト20SA、還気ダクト20RA、外気ダクト20OA、及び、排気ダクト20EAが構成される。例えば、給気ダクト20SAにおいては、横ダクト20Bは、各階FLの室内INに空気SAを行き渡らせるため、室内INの上方において分岐しており(図5等も参照)、その中腹部位や末端に上述の吹出口21が設けられる。そして、空調ダクト20は、これら縦ダクト20A、横ダクト20Bの各所の内部(空気の流通空間)に、空気の流量を調整する流量調整ダンパー25や防火区画を区画する防火ダンパー26等の機器が設けられている。
【0028】
そして、上記のように構成される空調ダクト20は、空気が流通する内部の中空部分が通信電波の伝送路としても利用される。つまり、空調ダクト20は、内部を通信電波が伝搬可能な中空導波管としても機能する。本実施形態の空調ダクト20は、上述したように、典型的には、第5世代通信対応した3.6GHz~4.1GHz、4.5GHz~4.6GHz程度の周波数帯の通信電波を伝搬する伝送路として機能する。空調ダクト20は、金属材料によって構成された場合には、通信電波が当該空調ダクト20を透過し漏洩し難くなり、内面で反射を繰り返することで減衰し難くすることができるので、より好適な通信を実現することができる。
【0029】
送受信アンテナ30は、空調ダクト20に設けられ、通信上位機器DE1との間で通信ケーブルC1を介して相互に通信信号を送受信可能であり、かつ、空調ダクト20の内部を介して通信電波を送受信可能なアンテナである。つまり、送受信アンテナ30は、通信上位機器DE1との間で通信ケーブルC1を介して有線通信可能であり、かつ、中継アンテナ40との間で空調ダクト20の内部を介して無線通信可能である。
【0030】
ここで、送受信アンテナ30に通信ケーブルC1を介して接続される通信上位機器DE1は、空調ダクト通信システムSys1が構成する通信システムにおいて、上位に位置する通信機器であり、例えば、通信キャリアごとに設けられる基地局機器である。通信上位機器DE1は、建物Bの内部にあってもよいし、建物Bの外部にあってもよい。ここでは一例として、送受信アンテナ30は、4つの通信キャリアに対応して4つの異なる通信上位機器DE1と接続される。送受信アンテナ30は、通信ケーブルC1を介して有線にてこれら複数の通信上位機器DE1と通信可能に接続される。
【0031】
本実施形態の空調ダクト通信システムSys1は、通信上位機器DE1と送受信アンテナ30とを接続する通信ケーブルC1上に、さらに、第1変換機器としての統合A/D変換機器50と、第2変換機器としてのD/A変換機器60とを備えている。統合A/D変換機器50、及び、D/A変換機器60は、通信ケーブルC1上において、通信上位機器DE1と送受信アンテナ30との間にこの順で介在している。すなわち、統合A/D変換機器50は、通信上位機器DE1とD/A変換機器60との間に介在し双方の間で通信信号を中継する。D/A変換機器60は、統合A/D変換機器50と送受信アンテナ30との間に介在し双方の間で通信信号を中継する。統合A/D変換機器50は、通信上位機器DE1と送受信アンテナ30との間の通信において、いわゆるMU(Muster Unit、親機)を構成するものである。D/A変換機器60は、通信上位機器DE1と送受信アンテナ30との間の通信において、いわゆるRU(Remote Unit、子機)を構成するものである。
【0032】
具体的には、統合A/D変換機器50は、通信ケーブルC1を介して複数の通信上位機器DE1に個別に通信可能に接続されている。そして、統合A/D変換機器50は、通信上位機器DE1側から受信した複数の異なる周波数帯の通信信号(各キャリア通信信号)をアナログ信号からデジタル信号に変換し統合通信信号に統合してD/A変換機器60側に送信する処理を実行可能である。また逆に、統合A/D変換機器50は、D/A変換機器60側から受信した統合通信信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し複数の異なる周波数帯の通信信号(各キャリア通信信号)に分波して通信上位機器DE1側に送信する処理を実行可能である。統合A/D変換機器50は、種々の公知の手法を用いて上記各処理を実行する。
【0033】
D/A変換機器60は、通信ケーブルC1を介して送受信アンテナ30に通信可能に接続されている。そして、D/A変換機器60は、統合A/D変換機器50側から受信した統合通信信号をデジタル信号からアナログ信号に変換して送受信アンテナ30側に送信する処理を実行可能である。また逆に、D/A変換機器60は、送受信アンテナ側から受信した統合通信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して統合A/D変換機器50側に送信する処理を実行可能である。D/A変換機器60は、種々の公知の手法を用いて上記各処理を実行する。
【0034】
なお、通信上位機器DE1、統合A/D変換機器50、D/A変換機器60、及び、送受信アンテナ30を相互に通信可能に接続する上記通信ケーブルC1は、適用される部位に応じて要求される性能を満たすものが適宜用いられればよい。例えば、統合A/D変換機器50とD/A変換機器60とを接続する通信ケーブルC1は、デジタル信号の伝送のため、光ケーブルを用いることが好ましい。また例えば、D/A変換機器60と送受信アンテナ30とを接続する通信ケーブルC1は、アナログ信号の伝送のため、同軸ケーブルを用いることが好ましい。通信ケーブルC1として同軸ケーブルを用いる場合、ケーブル長が長くなるほど信号の減衰が大きくなり易い傾向にあるため、D/A変換機器60と送受信アンテナ30とは、極力近接させて配置することが好ましい。一方、通信ケーブルC1として光ケーブルを用いる場合、ケーブル長が長くなっても信号の減衰が比較的に小さい傾向にあるため、統合A/D変換機器50と送受信アンテナ30とは、ある程度、離間させて配置しても差支えない。
【0035】
そして、送受信アンテナ30は、上述したように空調ダクト20に設けられ、中継アンテナ40との間で当該空調ダクト20の内部を介して相互に通信電波を送受信可能である。すなわち、送受信アンテナ30は、D/A変換機器60からアナログ信号(統合通信信号)を受信し、当該アナログ信号に基づいた通信電波を空調ダクト20の内部に送信する。これにより、送受信アンテナ30は、空調ダクト20の内部を介して中継アンテナ40に通信電波を送信することができる。また、送受信アンテナ30は、空調ダクト20の内部から通信電波を受信し、当該通信電波に基づいたアナログ信号(統合通信信号)をD/A変換機器60に送信する。これにより、送受信アンテナ30は、中継アンテナ40から空調ダクト20の内部を介して通信電波を受信することができる。
【0036】
この送受信アンテナ30は、中継アンテナ40と通信電波を介して通信可能な種々の形式のアンテナを用いることができる。本実施形態の送受信アンテナ30は、上述したように、典型的には、第5世代通信対応した3.6GHz~4.1GHz、4.5GHz~4.6GHz程度の周波数帯の通信電波を送受信可能なアンテナを用いる。送受信アンテナ30は、例えば、空調ダクト20の内部のような閉空間に対して限られた出力で効率よく通信電波を伝搬させることができるホーンアンテナを用いてもよいし、マイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)等の平面アンテナを用いてもよい。
【0037】
送受信アンテナ30は、空調ダクト20の内部の空気の流通を妨げないように当該空調ダクト20に設けられる。本実施形態の送受信アンテナ30は、空調ダクト20のうち給気ダクト20SAに設けられる。より具体的には、本実施形態の送受信アンテナ30は、建物Bの複数の階FLのうち予め定められた基準階、ここでは、空気調和機10が据え付けられる地下1階B1の給気ダクト20SAに設けられている。上述した統合A/D変換機器50、及び、D/A変換機器60も、送受信アンテナ30と共に基準階である地下1階B1に設けられている。なお、送受信アンテナ30は、基準階である地下1階B1において複数設けらていてもよい(図2参照)。この場合、通信ケーブルC1は、D/A変換機器60と各送受信アンテナ30との間で当該送受信アンテナ30の数に応じて複数に分岐する(図2参照)。
【0038】
本実施形態においては、送受信アンテナ30は、基準階である地下1階B1において、図3に示すように、縦ダクト20Aにおいて鉛直方向に向けて内部に露出するように設けられることが好ましい。この構成により、送受信アンテナ30は、当該縦ダクト20Aの内部を活用して通信電波を送受信することで、異なる階FLとの間で通信を確立することができ、その際、空調ダクト20の折れ曲がりよる通信電波の損失を極力抑制することができる。ただし、送受信アンテナ30は、基準階である地下1階B1において横ダクト20Bに設けられることを妨げるものではない。
【0039】
中継アンテナ40は、図1図2に示すように、空調ダクト20に設けられ、当該空調ダクト20の内部を介して通信電波を送受信可能であり、かつ、室内INの通信対象機器DE2との間で相互に通信電波を送受信可能なアンテナである。つまり、中継アンテナ40は、送受信アンテナ30との間で空調ダクト20の内部を介して無線通信可能であり、かつ、建物Bの各階FLの室内INに位置する通信対象機器DE2との間で室内INの空間を介して無線通信可能である。
【0040】
ここで、室内INに位置する通信対象機器DE2は、空調ダクト通信システムSys1が構成する通信システムにおいて、末端に位置する通信機器であり、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット、ウェアラブル機器、家電製品、移動体、ロボット等の様々なIoT機器である。中継アンテナ40は、通信電波を介して無線にてこれら室内INに位置する通信対象機器DE2と通信可能に接続される。
【0041】
中継アンテナ40は、上述したように空調ダクト20に設けられ、送受信アンテナ30との間で当該空調ダクト20の内部を介して相互に通信電波を送受信可能である。その上で、中継アンテナ40は、室内INに位置する通信対象機器DE2との間でも室内INの空間を介して相互に通信電波を送受信可能である。すなわち、中継アンテナ40は、空調ダクト20の内部から通信電波を受信し、受信した通信電波を中継して室内INの空間に送信する。これにより、中継アンテナ40は、空調ダクト20の内部を介して送受信アンテナ30から通信電波を受信し、受信した通信電波を中継して室内INの通信対象機器DE2に送信することができる。また、中継アンテナ40は、室内INの空間から通信電波を受信し、受信した通信電波を中継して空調ダクト20の内部に送信する。これにより、中継アンテナ40は、室内INの通信対象機器DE2から通信電波を受信し、受信した通信電波を中継して空調ダクト20の内部を介して送受信アンテナ30に送信することができる。
【0042】
この中継アンテナ40は、送受信アンテナ30、及び、通信対象機器DE2と通信電波を介して通信可能な種々の形式のアンテナを用いることができる。本実施形態の中継アンテナ40は、上述したように、典型的には、第5世代通信対応した3.6GHz~4.1GHz、4.5GHz~4.6GHz程度の周波数帯の通信電波を送受信可能なアンテナを用いる。
【0043】
本実施形態の中継アンテナ40は、一例として、図4に例示するように、無電源のダクトアンテナ41、42、無電源の拡散アンテナ43、及び、接続ケーブルC2を含んで構成される。中継アンテナ40は、これらダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とが接続ケーブルC2を介してユニット化された状態で建物Bに設置されてもよいし、ダクトアンテナ41、42、拡散アンテナ43が個別に建物Bに設置された後に、ダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とが接続ケーブルC2を介して接続されてもよい。この構成により、中継アンテナ40は、送受信アンテナ30、及び、通信対象機器DE2と通信電波を介して適正に通信可能な構成を実現している。
【0044】
ダクトアンテナ41、42は、空調ダクト20の内部に露出して設けられ無電源で送受信アンテナ30との間で相互に通信電波を送受信可能なアンテナである。拡散アンテナ43は、室内INに面し当該室内IN側を向いて設けられ無電源で室内INの通信対象機器DE2との間で相互に通信電波を送受信可能なアンテナである。ダクトアンテナ41、42、拡散アンテナ43は、送受信アンテナ30と同様に、典型的には、第5世代通信対応した3.6GHz~4.1GHz、4.5GHz~4.6GHz程度の周波数帯の通信電波を送受信可能な種々の形式のアンテナを用いることができる。接続ケーブルC2は、ダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とを通信可能に接続する。
【0045】
例えば、ダクトアンテナ41、42は、無電源のモノポールアンテナを用いることが好ましい。この場合、ダクトアンテナ41、42は、空調ダクト20の内部に露出するように一対で設けられ、一方が垂直偏波に対応し、他方が水平偏波に対応する。この構成により、ダクトアンテナ41、42は、空調ダクト20の内部のような閉空間において、無電源で効率的に通信電波を送受信することができる。
【0046】
一方、拡散アンテナ43は、例えば、指向性が相対的に高い無電源のマイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)等の平面アンテナを用いることが好ましい。この場合、拡散アンテナ43は、通信の対象となる室内INの上方に位置する天井面Ceや吹出口21に室内INに面して当該室内IN側を向いて貼り付けられるようにして設けられ、直交2偏波に対応する。この構成により、拡散アンテナ43は、室内INのような自由空間において、当該室内INの上方から無電源で効率的に通信電波を拡散し送受信することができる。
【0047】
そして、接続ケーブルC2は、アナログ信号の伝送のため、同軸ケーブルを用いることが好ましい。
【0048】
中継アンテナ40は、空調ダクト20の内部の空気の流通を妨げないように当該空調ダクト20に設けられる。本実施形態の中継アンテナ40は、空調ダクト20のうち給気ダクト20SAに設けられる。より具体的には、本実施形態の中継アンテナ40は、建物Bの各階FLの横ダクト20Bにそれぞれ設けられている。つまりこの場合、送受信アンテナ30と中継アンテナ40とは、建物Bの複数の階FLに渡って延在する縦ダクト20Aの内部、及び、建物Bの各階FLに張り巡らされた横ダクト20Bの内部を介して相互に通信電波を送受信可能となる。中継アンテナ40は、各階FLにおいて複数設けらていてもよい。ここでは、中継アンテナ40は、給気ダクト20SAを構成する横ダクト20Bにおいて、室内INに向けて空気SAを吹き出す吹出口21、又は、当該吹出口21からはずれた中間部位27に設けられる。中継アンテナ40は、例えば、吹出口21近傍の給気ダクト20SAが細くスペース的に設置が難しい場合等、吹出口21からはずれた中間部位27に設けられる場合には、例えば、天井面Ceに形成された設置孔Ceaを介して室内INに面して露出し、当該室内IN側を向くように設けられる。あるいはこの場合、中継アンテナ40は、拡散アンテナ43が天井面Ceに対して室内IN側から貼り付けられ、接続ケーブルC2が設置孔Ceaを通ってダクトアンテナ41、42まで延在するように設けられてもよい。この構成により、中継アンテナ40は、建物Bの各階FLにおいて、室内INの上方に満遍なく配置される傾向にある給気ダクト20SAの横ダクト20Bを活用して当該室内INを網羅的にカバーして室内INの通信対象機器DE2との間で通信を確立することができる。
【0049】
また、上記のように構成される中継アンテナ40は、ダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とが接続ケーブルC2によって接続される構成が採用されることで、ダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とをある程度、離間して配置することもできる。つまり、中継アンテナ40は、ダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とが互いの位置に拘束されずに任意に設置でき、設置自由度を高めることができる。
【0050】
例えば、拡散アンテナ43は、図5に例示するように、室内INに位置する通信障害物CO1を隔ててダクトアンテナ41、42側の空間S1から区画された空間S2に面して位置してもよい。通信障害物CO1は、室内INにおいて通信電波の伝搬を遮断する構造物であり、例えば、室内INに配置された間仕切り壁や鉛直方向に沿った高さが相対的に高い家具等がその一例である。この場合、接続ケーブルC2は、ダクトアンテナ41、42側の空間S1から当該通信障害物CO1を跨いで拡散アンテナ43側の空間S2まで延在し、ダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とを相互に接続する。この構成により、中継アンテナ40は、図5に示すように、空調ダクト20の周囲に拡散アンテナ43を配置するだけでは、室内INの全域の通信環境を充分に確立できないような場合であっても、空調ダクト20から通信障害物CO1を跨いで離間した位置に拡散アンテナ43を配置し、室内INの全域の通信環境を適正に確立することができる。
【0051】
ただし、中継アンテナ40、ダクトアンテナ41、42、拡散アンテナ43は、上記の以外の形式のアンテナを用いることを妨げるものではない。例えば、中継アンテナ40は、天井面Ceがなく、空調ダクト20が室内INに露出している場合には、接続ケーブルC2を廃し、基板の一方の主面にダクトアンテナ41、42が設けられ、基板の一方の主面に拡散アンテナ43が設けられたものによって構成されてもよい。この場合、中継アンテナ40は、例えば、全体が直接的に空調ダクト20に組み付けられた上で、ダクトアンテナ41、42が空調ダクト20の内部に露出して設けられ、拡散アンテナ43が室内INに面し当該室内IN側を向いて設けられればよい。
【0052】
次に、図6を参照して、上記のように構成される空調ダクト通信システムSys1の設置方法(空調ダクト通信システム設置方法)について説明する。以下の説明では、図6のフローチャートを基に説明しつつ、適宜他図を参照する。以下で説明する空調ダクト通信システムSys1の設置方法は、作業員が種々の装置、機器、治具等を用いて手作業で行ってもよいし、種々の装置によって一部が自動で行われるものであってもよい。ここでは一例として、空調ダクト通信システムSys1の設置方法は、空気調和設備ACを備えた既設の建物Bに、空調ダクト通信システムSys1を敷設する場合を例に挙げて説明する。
【0053】
本実施形態の空調ダクト通信システムSys1の設置方法は、通信ケーブル敷設工程(ステップS1)と、送受信アンテナ設置工程(ステップS2)と、中継アンテナ設置工程(ステップS3)とを含む。通信ケーブル敷設工程(ステップS1)は、送受信アンテナ30と通信上位機器DE1とを接続する工程である。送受信アンテナ設置工程(ステップS2)は、空気調和設備ACを備えた既設の建物Bの空調ダクト20に送受信アンテナ30を設ける工程である。中継アンテナ設置工程(ステップS3)は、空気調和設備ACを備えた既設の建物Bの空調ダクト20に中継アンテナ40を設ける工程である。ここでは、この空調ダクト通信システムSys1の設置方法は、作業員によって手作業で行われるものとして説明する。またここでは、この空調ダクト通信システムSys1の設置方法は、通信ケーブル敷設工程(ステップS1)、送受信アンテナ設置工程(ステップS2)、中継アンテナ設置工程(ステップS3)の順で各工程が実行されるものとして説明するがこれに限らず、これらの順序と異なっていてもよい。
【0054】
まず、作業員は、通信ケーブル敷設工程として、空気調和設備ACを備えた既設の建物Bにおいて、送受信アンテナ30と通信上位機器DE1とを通信ケーブルC1を介して相互に通信信号を送受信可能に接続する(ステップS1)。このとき、作業員は、必要に応じて、通信上位機器DE1と送受信アンテナ30とを接続する通信ケーブルC1上に、統合A/D変換機器50やD/A変換機器60も設置する。
【0055】
次に、作業員は、送受信アンテナ設置工程として、送受信アンテナ30を、空調ダクト20の内部を介して通信電波を送受信可能なように、当該送受信アンテナ30の一部(アンテナ要素)を当該空調ダクト20の内部に露出させて設置する(ステップS2)。ここでは、作業員は、建物Bの複数の階FLのうち地下1階B1の給気ダクト20SAに送受信アンテナ30を設置する。この場合、作業員は、地下1階B1において、給気ダクト20SAを構成する縦ダクト20Aの内部に送受信アンテナ30の一部(アンテナ要素)を露出させるようにして、送受信アンテナ30を鉛直方向上側に向けて縦ダクト20Aに設置する。
【0056】
次に、作業員は、中継アンテナ設置工程として、中継アンテナ40を、空調ダクト20の内部を介して通信電波を送受信可能、かつ、室内INの通信対象機器DE2との間で相互に通信電波を送受信可能なように、当該中継アンテナ40の一部(ダクトアンテナ41、42のアンテナ要素)を当該空調ダクト20の内部に露出させ、かつ、当該中継アンテナ40の他の一部(拡散アンテナ43)を室内INに面して設置し(ステップS3)、この空調ダクト通信システムSys1の設置方法を終了する。ここでは、作業員は、建物Bの複数の階FLのうち通信の対象となる階FLの給気ダクト20SAの横ダクト20Bに中継アンテナ40を設置する。この場合、作業員は、例えば、ダクトアンテナ41、42のアンテナ要素を横ダクト20Bの内方に向けて突出するように配置し固定することで、ダクトアンテナ41、42を当該横ダクト20Bに設置する。そして、作業員は、接続ケーブルC2の通信端子をダクトアンテナ41、42のアンテナ要素の通信端子と接続する。その後、作業員は、拡散アンテナ43を室内IN側から天井面Ceに設置した後、ダクトアンテナ41、42から延びる接続ケーブルC2を天井裏から拡散アンテナ43へ向かって配索し、当該拡散アンテナ43と接続する。なお、作業員は、当初からダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とが接続ケーブルC2を介してユニット化された状態のものを空調ダクト20、天井面Ceの各部に設置するようにすることもできる。
【0057】
以上で説明した空調ダクト通信システムSys1は、空気調和設備ACが設けられた建物Bにおいて、各階FLの室内INに空気を循環させるために複数の階FLに渡って設けられた空調ダクト20を活用して送受信アンテナ30と中継アンテナ40との間で通信電波を送受信することができる。この結果、空調ダクト通信システムSys1は、各階FLの室内INにおける通信環境を整えることができ、通信上位機器DE1と室内INの通信対象機器DE2との間の通信を適正に確立することができる。また、この空調ダクト通信システムSys1は、一例として、以上で説明した設置方法によって、建物Bに導入することができる。
【0058】
この場合、空調ダクト通信システムSys1は、例えば、建物Bの構造体によって減衰し易い傾向にある第5世代通信対応の相対的に高い周波数帯の通信電波が用いられる場合であっても、上記のように空調ダクト20を活用することで、建物B内の各室内INにおいて当該第5世代通信対応の通信環境を適正に確立することができる。
【0059】
また、空調ダクト通信システムSys1は、例えば、建物Bに新規で設置する新設の空調ダクト20に限らず、建物Bに既に設置されている既設の空調ダクト20も用いてより効率的に各階FLの室内INの通信環境の確立を実現することができる。言い換えれば、空調ダクト通信システムSys1は、建物Bの既存の空気調和設備ACを活かして当該建物Bに新たな付加価値を生み出すことができる。またこれにより、空調ダクト通信システムSys1は、例えば、別途導波管等の通信用の設備を設置したり通信用の配線を敷設したりする工程を必要最小限に抑えることができるので、建物Bへの導入に際して工期や導入費用を抑制することができる。
【0060】
以上のように、本実施形態の空調ダクト通信システムSys1は、建物B内において適正に通信を行うことができる。また、以上で説明した空調ダクト通信システムSys1の設置方法によれば、このように建物B内において適正に通信を行うことができる当該空調ダクト通信システムSys1を建物Bに効率的に導入することができる。
【0061】
ここでは、以上で説明した空調ダクト通信システムSys1は、送受信アンテナ30が基準階である地下1階B1の縦ダクト20Aに設けられ、中継アンテナ40が建物Bの各階FLの横ダクト20Bにそれぞれ設けられる。その上で、空調ダクト通信システムSys1は、送受信アンテナ30と中継アンテナ40とが縦ダクト20Aの内部、及び、横ダクト20Bの内部を介して相互に通信電波を送受信可能に構成される。この構成により、空調ダクト通信システムSys1は、建物Bにおいて、異なる階FLに渡って通信環境を確立するための構造として、縦ダクト20Aの内部を活用することができ、すなわち、縦ダクト20Aの内部を、異なる階FLに渡って通信電波を伝送する伝送路として機能させることができる。つまり、空調ダクト通信システムSys1は、建物Bの複数の階FLに渡って延在する縦ダクト20Aの内部、及び、建物Bの各階FLに張り巡らされた横ダクト20Bの内部を介して、送受信アンテナ30と中継アンテナ40とが相互に通信電波を送受信し、室内INの通信対象機器DE2との通信を確立することができる。これにより、空調ダクト通信システムSys1は、各階FLに渡って敷設される配線を極力省略することができるので、この点でも建物Bへの導入に際して工期や導入費用を抑制することができる。
【0062】
また、以上で説明した空調ダクト通信システムSys1は、通信上位機器DE1と送受信アンテナ30との間に統合A/D変換機器50、及び、D/A変換機器60が介在することで、複数の異なる周波数帯の通信信号を統合した上で、上記のように空調ダクト20を活用した通信電波の送受信を行うことができる。これにより、空調ダクト通信システムSys1は、例えば、建物Bにおいて、複数の通信キャリアに対応した共通の通信インフラストラクチャーを構成することができるので、より効率的に複数の通信キャリアの通信環境の確立を実現することができる。このため、空調ダクト通信システムSys1は、複数の通信キャリアに対応して個別の通信システムを必要としないので、この点でも建物Bへの導入に際して工期や導入費用を大幅に抑制することができる。また、空調ダクト通信システムSys1は、上記のように複数の通信キャリアに対応した共通の通信インフラストラクチャーを構成することで、建物Bにおいて各通信キャリアに対して当該空調ダクト通信システムSys1を、部分的に、あるいは、全体的に貸し出すいわゆるインフラシェアリングサービスを実装することも可能である。
【0063】
また、以上で説明した空調ダクト通信システムSys1は、送受信アンテナ30、及び、中継アンテナ40が空調ダクト20のうち給気ダクト20SAに設けられる。これにより、空調ダクト通信システムSys1は、建物Bの各階FLにおいて、室内INの上方に満遍なく配置される傾向にある給気ダクト20SAを活用して当該室内INを網羅的にカバーして室内INの通信環境を確立し易くすることができる。
【0064】
ここでは、以上で説明した空調ダクト通信システムSys1は、中継アンテナ40が給気ダクト20SAにおいて、室内INに向けて空気SAを吹き出す吹出口21、又は、当該吹出口21からはずれた中間部位27に設けられる。この場合、空調ダクト通信システムSys1は、吹出口21に加えて、吹出口21近傍に設置スペースがない場合にも吹出口21からはずれた中間部位27に中継アンテナ40が設けられることで、この点でも当該室内INを網羅的にカバーして室内INの通信環境を確立し易くすることができる。
【0065】
また、以上で説明した空調ダクト通信システムSys1は、ダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とを接続ケーブルC2によって接続することで中継アンテナ40を構成している。この構成により、空調ダクト通信システムSys1は、ダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とをそれぞれの設置環境(閉空間である空調ダクト20の内部や自由空間である室内IN)に適したアンテナ形式とした上で、接続ケーブルC2によって通信可能に接続することができる。この結果、空調ダクト通信システムSys1は、中継アンテナ40において適正な通信性能を確保した上で当該中継アンテナ40の設置容易性を向上することができる。つまり、空調ダクト通信システムSys1は、中継アンテナ40において、ダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とが接続ケーブルC2によって接続される構成が採用されることで、ダクトアンテナ41、42と拡散アンテナ43とが互いの位置に拘束されずに任意に設置でき、設置自由度を高めることができる。
【0066】
この場合、以上で説明した空調ダクト通信システムSys1は、例えば、室内INに位置する通信障害物CO1を隔ててダクトアンテナ41、42側の空間S1から区画された空間S2に面して拡散アンテナ43を配置し、接続ケーブルをダクトアンテナ41、42側の空間S1から通信障害物CO1を跨いで拡散アンテナ43側の空間S2まで延在させてもよい。この場合、空調ダクト通信システムSys1は、空調ダクト20の周囲に拡散アンテナ43を配置するだけでは、室内INの全域の通信環境を充分に確立できないような場合であっても、当該室内INの全域の通信環境を適正に確立することができる。なお、拡散アンテナ43は、さらに、必要に応じて室内INの壁面Waに配置されていてもよい。
【0067】
なお、以上で説明した空調ダクト通信システムSys1は、図7に示すように、空調ダクト20の内部に位置する通信障害物CO2における通信電波の減衰が相対的に大きい場合には、さらに、バイパスアンテナ70を備えていてもよい。通信障害物CO2は、空調ダクト20の内部において通信電波の伝搬を遮断する構造物であり、例えば、空調ダクト20の内部に設けられた流量調整ダンパー25や防火ダンパー26がその一例である。空調ダクト20は、流量調整ダンパー25や防火ダンパー26によって内部の空気流路が閉塞された状態となると、この部分を通過する通信電波の減衰が相対的に大きくなる傾向にある。このため、空調ダクト通信システムSys1は、これら流量調整ダンパー25、防火ダンパー26等の通信障害物CO2における通信電波の減衰が相対的に大きい場合には、この部分にバイパスアンテナ70を設けてもよい。
【0068】
バイパスアンテナ70は、空調ダクト20の内部の空気の流通を妨げないように当該空調ダクト20に設けられる。バイパスアンテナ70は、第1アンテナ71、第2アンテナ72、及び、バイパスケーブルC3を含んで構成される。バイパスアンテナ70は、これら第1アンテナ71と第2アンテナ72とがバイパスケーブルC3を介してユニット化された状態で建物Bに設置されてもよいし、第1アンテナ71、第2アンテナ72が個別に建物Bに設置された後に、第1アンテナ71と第2アンテナ72とがバイパスケーブルC3を介して接続されてもよい。第1アンテナ71は、空調ダクト20の内部に位置する通信障害物CO2を隔てて一方側に対して通信電波を送受信可能なアンテナである。第2アンテナ72は、空調ダクト20の内部に位置する通信障害物CO2を隔てて他方側に対して通信電波を送受信可能なアンテナである。バイパスケーブルC3は、通信障害物CO2を跨いで第1アンテナ71と第2アンテナ72とを通信可能に接続する。
【0069】
この場合、上述した空調ダクト通信システムSys1の設置方法においては、空調ダクト20の内部に位置する通信障害物CO2を隔てて一方側に第1アンテナ71を設置し、通信障害物CO2を隔てて他方側に第2アンテナ72を設置し、通信障害物CO2を跨いで第1アンテナ71と第2アンテナ72とをバイパスケーブルC3を介して通信可能に接続するバイパスアンテナ設置工程を含んでいてもよい。
【0070】
第1アンテナ71、第2アンテナ72は、送受信アンテナ30、中継アンテナ40と同様に、典型的には、第5世代通信対応した3.6GHz~4.1GHz、4.5GHz~4.6GHz程度の周波数帯の通信電波を送受信可能な種々の形式のアンテナを用いることができる。第1アンテナ71、第2アンテナ72は、例えば、ホーンアンテナ、モノポールアンテナ、マイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)等を用いることができる。そして、バイパスケーブルC3は、アナログ信号の伝送のため、同軸ケーブルを用いることが好ましい。
【0071】
この場合、空調ダクト通信システムSys1は、空調ダクト20の内部に位置する通信障害物CO2における通信電波の減衰が相対的に大きい場合には、バイパスアンテナ70によって当該通信障害物CO2をバイパスさせて通信障害物CO2の両側に通信電波を送受信することができる。すなわち、バイパスアンテナ70は、空調ダクト20の内部の通信障害物CO2の一方側において、第1アンテナ71によって通信電波を受信し、バイパスケーブルC3を介して通信障害物CO2をバイパスさせ、第2アンテナ72によって通信障害物CO2の他方側に向けて通信電波を送信することができる。またこれとは逆に、バイパスアンテナ70は、空調ダクト20の内部の通信障害物CO2の他方側において、第2アンテナ72によって通信電波を受信し、バイパスケーブルC3を介して通信障害物CO2をバイパスさせ、第1アンテナ71によって通信障害物CO2の一方側に向けて通信電波を送信することができる。
【0072】
この結果、空調ダクト通信システムSys1は、空調ダクト20の内部において、流量調整ダンパー25や防火ダンパー26等、通信電波の伝搬を遮断する通信障害物CO2が存在していても、バイパスアンテナ70を介して通信電波を適正に伝搬させることができる。これにより、空調ダクト通信システムSys1は、送受信アンテナ30と中継アンテナ40との間で、空調ダクト20の内部を介して送受信される通信電波の減衰を抑制することができる。したがって、空調ダクト通信システムSys1は、空調ダクト20の内部を介した通信電波の送受信をより適正に行うことができ、各階FLの室内INにおける通信環境をより適正に確立することができる。
【0073】
また、以上で説明した空調ダクト通信システムSys1は、送受信アンテナ30と中継アンテナ40との間で、縦ダクト20Aの内部、及び、横ダクト20Bの内部を介して送受信される通信電波の減衰が相対的に大きい場合には、図8に示すように、さらに、補助アンテナ80を備えていてもよい。
【0074】
補助アンテナ80は、縦ダクト20Aと横ダクト20Bとの接続部位28に設けられ、空調ダクト20の内部において送受信アンテナ30と中継アンテナ40との間に介在し通信電波を中継するアンテナである。補助アンテナ80は、空調ダクト20の内部の空気の流通を妨げないように当該接続部位28に設けられる。
【0075】
この場合、上述した空調ダクト通信システムSys1の設置方法においては、縦ダクト20Aと横ダクト20Bとの接続部位28に補助アンテナ80を設置する補助アンテナ設置工程を含んでいてもよい。
【0076】
補助アンテナ80は、送受信アンテナ30、中継アンテナ40と同様に、典型的には、第5世代通信対応した3.6GHz~4.1GHz、4.5GHz~4.6GHz程度の周波数帯の通信電波を送受信可能な種々の形式のアンテナを用いることができる。補助アンテナ80は、例えば、ホーンアンテナ、モノポールアンテナ、マイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)等、あるいはこれらの組み合わせを用いることができる。補助アンテナ80は、例えば、受信した通信電波を増幅して送信(再放射)するものであってもよい。また、補助アンテナ80は、例えば、縦ダクト20Aと横ダクト20Bとで通信電波の伝搬方向(指向方向)をかえて当該通信電波を送信するものであってもよい。この場合、空調ダクト通信システムSys1は、縦ダクト20Aの内部、及び、横ダクト20Bの内部を活用して通信電波を送受信することで異なる階FLとの間で通信を確立することができ、その際、空調ダクト20の折れ曲がりよる通信電波の損失を極力抑制することができる。
【0077】
この結果、空調ダクト通信システムSys1は、縦ダクト20Aと横ダクト20Bとの接続部位28で空調ダクト20の内部が折れ曲がっていても、補助アンテナ80によって通信電波を中継することで、当該折れ曲がり部分においても通信電波を適正に伝搬させることができる。これにより、空調ダクト通信システムSys1は、送受信アンテナ30と中継アンテナ40との間で、空調ダクト20の内部を介して送受信される通信電波の減衰を抑制することができる。したがって、空調ダクト通信システムSys1は、空調ダクト20の内部を介した通信電波の送受信をより適正に行うことができ、各階FLの室内INにおける通信環境をより適正に確立することができる。
【0078】
[実施形態2]
実施形態2に係る空調ダクト通信システム、空調ダクト通信システム設置方法は、送受信アンテナの配置が実施形態1とは異なる。以下では、上述した実施形態と同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する(以下同様。)。
【0079】
図9図10図11に示す本実施形態の空調ダクト通信システムSys2は、送受信アンテナ30の配置が上述した空調ダクト通信システムSys1と異なる。空調ダクト通信システムSys2のその他の構成は、上述の空調ダクト通信システムSys1と略同様の構成である。
【0080】
本実施形態の空調ダクト通信システムSys2は、典型的には、建物Bにおいて、いわゆる第5世代通信(5G)対応の分散型アンテナシステム(DAS:Distributed Antenna System)を構成するものである。この分散型アンテナシステムとは、共通の通信上位機器DE1に接続された複数の送受信アンテナ30を建物Bの各階FLに分散して配置し、通信上位機器DE1から届く電波を通信ケーブルC1によって各送受信アンテナ30に分配することで、建物Bにおいて通信可能なエリアを拡張するシステムである。
【0081】
本実施形態の送受信アンテナ30、及び、中継アンテナ40は、ともに建物Bの各階FLの横ダクト20Bにそれぞれ設けられる。ここでは、送受信アンテナ30、及び、中継アンテナ40は、ともに各階FLの給気ダクト20SAの横ダクト20Bにそれぞれ設けられる。この場合、送受信アンテナ30は、各階FLにおいて、横ダクト20Bの内部の空気の流通を妨げないように当該横ダクト20Bに設けられる。ここでは、各送受信アンテナ30は、各階FLの給気ダクト20SAの横ダクト20Bにおいて、防火ダンパー26を隔てて中継アンテナ40側とは反対側に位置する。この防火ダンパー26は、上述したように、空調ダクト20の内部に設けられたダンパーであり、例えば、火災時に空調ダクト20の内部を閉鎖し、防火区画を閉鎖するものである。
【0082】
そして、本実施形態の通信ケーブルC1は、建物Bの複数の階FLに渡って鉛直方向に沿って延在し建物Bの各階FLの送受信アンテナ30にそれぞれ接続される縦ケーブルC1Aを含んで構成される。縦ケーブルC1Aは、建物Bの複数の階FLを貫通して敷設される。またこの場合、上述した統合A/D変換機器50は、基準階である地下1階B1に設けられる一方、D/A変換機器60は、各階FLの送受信アンテナ30に近接させて当該各階FLにそれぞれ設けられる。ここでは、通信ケーブルC1は、統合A/D変換機器50から各階FLの送受信アンテナ30に対してそれぞれ個別に設けられており、それぞれ縦ケーブルC1Aを介して統合A/D変換機器50と各階FLのD/A変換機器60とを接続する。統合A/D変換機器50と各D/A変換機器60とを接続する縦ケーブルC1Aは、デジタル信号の伝送のため、光ケーブルを用いることが好ましい。なお、送受信アンテナ30は、各階FLにおいて複数設けらていてもよい(図10参照)。この場合、通信ケーブルC1は、各階FLのD/A変換機器60と各送受信アンテナ30との間で当該送受信アンテナ30の数に応じて複数に分岐する(図10参照)。またここでは、各送受信アンテナ30、及び、各送受信アンテナ30に近接して設置されるD/A変換機器60は、典型的には、防火区画の境界(図11中に点線で図示)を挟んで、中継アンテナ40側とは反対側の空間に設けられる。
【0083】
上記の構成の結果、送受信アンテナ30と中継アンテナ40とは、建物Bの各階FLにおいて、当該各階FLに張り巡らされた横ダクト20Bの内部を介して相互に通信電波を送受信可能となる。このとき、空調ダクト通信システムSys2は、通信上位機器DE1と各階FLの送受信アンテナ30とを縦ケーブルC1Aを介して通信可能に接続することで異なる階FLとの間で通信を確立することができ、その際、空調ダクト20の折れ曲がりよる通信電波の損失を極力抑制することができる。
【0084】
この場合、上述の通信ケーブル敷設工程(ステップS1)においては、作業員は、通信ケーブルC1として、縦ケーブルC1Aを建物Bの複数の階FLに渡って鉛直方向に沿って配索し、各階FLの送受信アンテナ30と通信上位機器DE1とを相互に通信信号を送受信可能に接続する。このとき、作業員は、必要に応じて、通信上位機器DE1と各送受信アンテナ30とを接続する通信ケーブルC1上に、統合A/D変換機器50やD/A変換機器60も必要な数設置する。また、作業員は、送受信アンテナ設置工程(ステップS2)において、建物Bの複数の階FLのうち通信の対象となる各階FLの給気ダクト20SAの横ダクト20Bにそれぞれ送受信アンテナ30を設置する。
【0085】
以上で説明した空調ダクト通信システムSys2は、上述した空調ダクト通信システムSys1と同様に、建物B内において適正に通信を行うことができる。また、以上で説明した空調ダクト通信システムSys2の設置方法によれば、このように建物B内において適正に通信を行うことができる当該空調ダクト通信システムSys2を建物Bに効率的に導入することができる。
【0086】
ここでは、以上で説明した空調ダクト通信システムSys2は、送受信アンテナ30が中継アンテナ40と共に建物Bの各階FLの横ダクト20Bにそれぞれ設けられる。その上で、空調ダクト通信システムSys2は、建物Bの複数の階FLに渡って鉛直方向に沿って延在する縦ケーブルC1Aが各階FLの送受信アンテナ30にそれぞれ接続されると共に、送受信アンテナ30と中継アンテナ40とが建物Bの各階FLにおいて横ダクト20Bの内部を介して相互に通信電波を送受信可能に構成される。この構成により、空調ダクト通信システムSys2は、建物Bにおいて、異なる階FLに渡って通信環境を確立するための構造として、通信ケーブルC1を構成する縦ケーブルC1Aを活用することができ、すなわち、縦ケーブルC1Aを、異なる階FLに渡って通信信号を伝送する伝送路として機能させることができる。その上で、空調ダクト通信システムSys2は、建物Bの各階FLにおいて、当該各階FLに張り巡らされた横ダクト20Bの内部を介して、送受信アンテナ30と中継アンテナ40とが相互に通信電波を送受信し、室内INの通信対象機器DE2との通信を確立することができる。これにより、空調ダクト通信システムSys2は、空調ダクト20の内部の送受信アンテナ30と中継アンテナ40との間の通信電波の伝送路において、縦ダクト20Aと横ダクト20Bとの接続部位28等の折れ曲がり部分のように通信電波が減衰し易い部位を少なくすることができる。この結果、空調ダクト通信システムSys2は、送受信アンテナ30と中継アンテナ40との間で、空調ダクト20の内部を介して送受信される通信電波の減衰を抑制することができ、各階FLの室内INにおける通信環境をより適正に確立することができる。
【0087】
なお、以上の説明では、通信ケーブルC1は、統合A/D変換機器50から各階FLの送受信アンテナ30に対してそれぞれ個別に設けられるものとして説明したが、これに限らない。空調ダクト通信システムSys2は、図12図13に示すように、縦ケーブルC1A上に各階FLに対応して設けれた複数の中継機器(HUB)90を備え、通信ケーブルC1の縦ケーブルC1Aを各階FLの送受信アンテナ30に対して共通のものとした上で、各階FLの当該中継機器(HUB)90において各送受信アンテナ30に向けて分岐させてもよい。この場合、作業員は、上述の通信ケーブル敷設工程(ステップS1)において、当該中継機器(HUB)90を必要な数設置する。これにより、空調ダクト通信システムSys2は、各階FLに渡って敷設される縦ケーブルC1Aの数を抑制することができるので、建物Bへの導入に際して工期や導入費用を抑制することができる。なお、送受信アンテナ30、及び、D/A変換機器60は、各階FLにおいて複数設けらていてもよい。この場合、通信ケーブルC1は、図13に示すように、各階FLの中継機器(HUB)90からD/A変換機器60の数に応じて複数に分岐する。
【0088】
[実施形態3]
実施形態3に係る空調ダクト通信システム、空調ダクト通信システム設置方法は、送受信アンテナの配置が実施形態2とは異なる。
【0089】
図14図15に示す本実施形態の空調ダクト通信システムSys3は、送受信アンテナ30の配置が上述した空調ダクト通信システムSys2と異なる。空調ダクト通信システムSys3のその他の構成は、上述の空調ダクト通信システムSys2と略同様の構成である。
【0090】
本実施形態の各送受信アンテナ30は、各階FLの給気ダクト20SAの横ダクト20Bにおいて、当該横ダクト20Bの内部に位置する通信障害物CO2である防火ダンパー26より中継アンテナ40側に設けられる。この場合、各送受信アンテナ30は、典型的には、防火区画の境界(図15中に点線で図示)を基準として、中継アンテナ40が設けられた側の空間に設けられる。一方、各送受信アンテナ30に近接して設置されるD/A変換機器60は、典型的には、防火区画の境界を挟んで、送受信アンテナ30側とは反対側の空間に設けられる。送受信アンテナ30とD/A変換機器60とを接続する通信ケーブル(典型的には同軸ケーブル)C1は、防火区画を形成する防火壁体等に設けられた貫通孔を介して防火区画の境界の一方側と他方側に渡って敷設される。この場合、作業員は、上記と同様に、送受信アンテナ設置工程(ステップS2)において、建物Bの複数の階FLのうち通信の対象となる各階FLの給気ダクト20SAの横ダクト20Bにそれぞれ送受信アンテナ30を設置する。なお、上記に限らず、各送受信アンテナ30、及び、各送受信アンテナ30に近接して設置されるD/A変換機器60は、双方が防火区画の境界を基準として、中継アンテナ40が設けられた側の空間に設けられてもよい。
【0091】
上記の構成の結果、送受信アンテナ30と中継アンテナ40とは、建物Bの各階FLにおいて、当該各階FLに張り巡らされた横ダクト20Bの内部を介して相互に通信電波を送受信可能となる。このとき、空調ダクト通信システムSys3は、通信上位機器DE1と各階FLの送受信アンテナ30とを縦ケーブルC1Aを介して通信可能に接続することで異なる階FLとの間で通信を確立することができ、その際、空調ダクト20の折れ曲がりよる通信電波の損失を極力抑制することができる。
【0092】
以上で説明した空調ダクト通信システムSys3は、上述した空調ダクト通信システムSys2と同様に、建物B内において適正に通信を行うことができる。また、以上で説明した空調ダクト通信システムSys3の設置方法によれば、このように建物B内において適正に通信を行うことができる当該空調ダクト通信システムSys3を建物Bに効率的に導入することができる。
【0093】
また、以上で説明した空調ダクト通信システムSys3は、横ダクト20Bの内部に位置する通信障害物CO2である防火ダンパー26より中継アンテナ40側に送受信アンテナ30が設けられる。この構成により、空調ダクト通信システムSys3は、空調ダクト20の内部の送受信アンテナ30と中継アンテナ40との間の通信電波の伝送路において、通信電波が減衰し易い防火ダンパー26を介在させずに両者間で通信を行うことができる。これにより、空調ダクト通信システムSys3は、送受信アンテナ30と中継アンテナ40との間で、空調ダクト20の内部を介して送受信される通信電波の減衰を抑制することができる。また、空調ダクト通信システムSys3は、防火ダンパー26が作動し空調ダクト20の内部の空気流路が閉塞された状態となっても、これにはかかわらず、送受信アンテナ30と中継アンテナ40との通信を維持することができる。したがって、空調ダクト通信システムSys3は、空調ダクト20の内部を介した通信電波の送受信をより適正に行うことができ、各階FLの室内INにおける通信環境をより適正に確立することができる。
【0094】
なお、上述した本発明の実施形態に係る空調ダクト通信システム、及び、空調ダクト通信システム設置方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0095】
以上の説明では、送受信アンテナ30、及び、中継アンテナ40は、空調ダクト20のうち給気ダクト20SAに設けられるものとして説明したがこれに限らず、還気ダクト20RA、外気ダクト20OA、排気ダクト20EAに設けられてもよい。
【0096】
以上の説明では、空調ダクト通信システムSys1、Sys2、Sys3は、典型的には、建物Bにおいて、いわゆる第5世代通信(5G)対応の通信システムを構成するものとしてが、これに限らず、通信の対象となる周波数帯域は、第5世代通信に対応した周波数帯域に限らない。つまり、空調ダクト20を活用した通信の対象となる通信電波の周波数帯は、典型的には、第5世代通信対応した周波数帯であり、例えば、複数の通信キャリアのsub6周波数帯をカバーする3.6GHz~4.1GHz、4.5GHz~4.6GHz程度の周波数帯であるものとして説明したがこれに限らない。
【0097】
以上の説明では、空調ダクト通信システムSys1、Sys2、Sys3は、建物Bにおいて、複数の通信キャリアに対応した通信信号を統合した上で、空調ダクト20を活用した通信電波の伝搬を行うことで、複数の通信キャリアに対応した共通の通信インフラストラクチャーを構成するものとして説明したがこれに限らない。つまり、第1変換機器は、通信上位機器DE1側から受信した複数の異なる周波数帯の通信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し統合通信信号に統合する処理を実行する統合A/D変換機器50であるものとして説明したが、通信信号の統合を行わず、単にアナログ信号からデジタル信号に変換する処理を実行するものであってもよい。例えば、空調ダクト通信システムSys1、Sys2、Sys3は、1つの通信キャリアのみに対応するものであってもよいし、複数の通信キャリアに対応するものであったとしても、送受信アンテナ30、中継アンテナ40等の機器が各通信キャリアに対して個別に別系統として設けられたものであってもよい。また、以上で説明した空調ダクト通信システムSys1、Sys2、Sys3は、統合A/D変換機器50(第1変換機器)、D/A変換機器60(第2変換機器)自体を備えないものであってもよい。
【0098】
以上の説明では、空調ダクト通信システムSys1、Sys1、Sys2、Sys3の設置方法は、空気調和設備ACを備えた既設の建物Bに、空調ダクト通信システムSys1、Sys1、Sys2、Sys3を敷設する場合を例に挙げて説明したがこれに限らない。空調ダクト通信システムSys1、Sys1、Sys2、Sys3は、建物Bを新築する際に、空気調和設備ACを合わせて新設されてもよい。
【0099】
本実施形態に係る空調ダクト通信システム、及び、空調ダクト通信システム設置方法は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 空気調和機
20 空調ダクト
20A 縦ダクト
20B 横ダクト
20EA 排気ダクト
20OA 外気ダクト
20RA 還気ダクト
20SA 給気ダクト
21 吹出口
22 吸込口
23 外気口
24 排気口
25 流量調整ダンパー
26 防火ダンパー
27 中間部位
28 接続部位
30 送受信アンテナ
40 中継アンテナ
41、42 ダクトアンテナ
43 拡散アンテナ
50 統合A/D変換機器(第1変換機器)
60 D/A変換機器(第2変換機器)
70 バイパスアンテナ
71 第1アンテナ
72 第2アンテナ
80 補助アンテナ
AC 空気調和設備
B 建物
C1 通信ケーブル
C1A 縦ケーブル
C2 接続ケーブル
C3 バイパスケーブル
CO1、CO2 通信障害物
DE1 通信上位機器
DE2 通信対象機器
FL 階
IN 室内
EA、OA、RA、SA 空気
S1、S2 空間
Sys1、Sys2、Sys3 空調ダクト通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15