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  • 特開-洗浄装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081452
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20230606BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B08B3/02 C
B08B5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195143
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】507157285
【氏名又は名称】株式会社ショウワ
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】藤村 俊秀
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA26
3B116AB14
3B116BB22
3B116BB62
3B116BB82
3B116CC03
3B116CD22
3B201AA26
3B201AB14
3B201BB22
3B201BB77
3B201BB82
3B201BB92
3B201CB11
3B201CC11
3B201CD22
(57)【要約】
【課題】熱エネルギーコストを低減させることができる洗浄装置を提供する。
【解決手段】パレットPを洗浄する洗浄液Wsが貯留されている洗浄液タンク3と、
パレットPに付着した洗浄液Wsを洗い流すリンス水Wrが貯留されているリンスタンク4と、
リンスタンク4内に貯留されているリンス水Wrを40℃程度に昇温させるヒートポンプ5と、
ヒートポンプ5にて40℃程度に昇温されたリンス水Wrを、60℃程度に昇温させる電気ヒータ6と、
電気ヒータ6にて60℃程度に昇温されたリンス水Wrを、パレットPに噴射させるノズル配管N2の多数のノズルと、を有し、
洗浄液タンク3内に貯留されている洗浄液Wsは、加温されず常温で使用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を洗浄する洗浄液が貯留されている洗浄液タンクと、
前記被洗浄物に付着した前記洗浄液を洗い流すリンス水が貯留されているリンスタンクと、
前記リンスタンク内に貯留されている前記リンス水を第1温度に昇温させる第1昇温手段と、
前記第1昇温手段にて第1温度に昇温されたリンス水を、該第1温度から第2温度に昇温させる第2昇温手段と、
前記第2昇温手段にて第2温度に昇温されたリンス水を、前記被洗浄物に噴射させる噴射手段と、を有し、
前記洗浄液タンク内に貯留されている前記洗浄液は、加温されず常温で使用されてなる洗浄装置。
【請求項2】
前記第1昇温手段は、前記リンス水を、前記第1温度に保つようにするため、ヒートポンプからなり、
前記第2昇温手段は、ヒータからなる請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄液を、前記リンスタンク内に供給する供給手段をさらに有し、
前記供給手段にて、前記洗浄液を、前記リンスタンク内に供給するにあたって、該洗浄液の異物を除去するフィルタを介して供給されてなる請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット等の被洗浄物を洗浄することができる洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、洗浄装置は、通常60℃前後に加温した状態で使用されている。このような洗浄装置として、例えば、特許文献1に記載のようなものが知られている。この特許文献1に記載の洗浄装置は、洗浄液を60℃前後に加温させるため、加温用熱源としてボイラーより供給される高温(通常150℃程度)の過熱水蒸気を用い、これを洗浄液タンクの液中に直接に導入するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-152676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような洗浄装置は、洗浄液やリンス水等洗浄に関する部分を全て60℃前後に加温させているため、熱エネルギーコストが増大するという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題に鑑み、熱エネルギーコストを低減させることができる洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に係る洗浄装置は、被洗浄物(例えば、パレットP)を洗浄する洗浄液(Ws)が貯留されている洗浄液タンク(3)と、
前記被洗浄物(例えば、パレットP)に付着した前記洗浄液(Ws)を洗い流すリンス水(Wr)が貯留されているリンスタンク(4)と、
前記リンスタンク(4)内に貯留されている前記リンス水(Wr)を第1温度(例えば、40℃程度)に昇温させる第1昇温手段(ヒートポンプ5)と、
前記第1昇温手段(ヒートポンプ5)にて第1温度(例えば、40℃程度)に昇温されたリンス水(Wr)を、該第1温度(例えば、40℃程度)から第2温度(例えば、60℃程度)に昇温させる第2昇温手段(電気ヒータ6)と、
前記第2昇温手段(電気ヒータ6)にて第2温度(例えば、60℃程度)に昇温されたリンス水(Wr)を、前記被洗浄物(例えば、パレットP)に噴射させる噴射手段(ノズル配管N2の多数のノズル)と、を有し、
前記洗浄液タンク(3)内に貯留されている前記洗浄液(Ws)は、加温されず常温で使用されてなることを特徴としている。
【0008】
請求項2に係る洗浄装置は、上記請求項1に記載の洗浄装置(1)において、前記第1昇温手段は、前記リンス水(Wr)を、前記第1温度(例えば、40℃程度)に保つようにするため、ヒートポンプ(5)からなり、
前記第2昇温手段は、ヒータ(電気ヒータ6)からなることを特徴としている。
【0009】
請求項3に係る洗浄装置は、上記請求項1又は2に記載の洗浄装置(1)において、前記洗浄液(Ws)を、前記リンスタンク(4)内に供給する供給手段(循環ポンプP3、循環供給管路L5)をさらに有し、
前記供給手段(循環ポンプP3、循環供給管路L5)にて、前記洗浄液(Ws)を、前記リンスタンク(4)内に供給するにあたって、該洗浄液(Ws)の異物を除去するフィルタ(7)を介して供給されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、洗浄液(Ws)やリンス水(Wr)を全て加温させるのではなく、洗浄液(Ws)は、加温せず、常温で使用し、リンス水(Wr)は、第1昇温手段(ヒートポンプ5)にて第1温度(例えば、40℃程度)に昇温させた後、第2昇温手段(電気ヒータ6)によって第1温度(例えば、40℃程度)から第2温度(例えば、60℃程度)に昇温させることによって使用している。これにより、加温させる必要がないものまで無駄に加温させる必要がなくなり、もって、熱エネルギーを無駄に浪費するという事態を防止することができる。また、リンス水(Wr)を一度に昇温させるのではなく、2段階で昇温させることにより熱エネルギーを無駄に浪費せずとも、効率的に昇温させることができる。
【0012】
しかして、本発明によれば、熱エネルギーコストを低減させることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、ヒートポンプ(5)を用いて、リンス水(Wr)を第1温度(例えば、40℃程度)に昇温させ、その温度を保つことにより、リンス水(Wr)を使用する際、昇温させたものの元の温度に降下しているという事態を低減させることができる。そのため、ヒータ(電気ヒータ6)によって、リンス水(Wr)の温度を無駄に昇温させる必要がなくなり、もって、熱エネルギーコストを低減させることができるばかりか、ヒータ(電気ヒータ6)を無駄に大型化する必要がなくなり小型化することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、リンスタンク(4)内に、汚れなどの異物が混入される事態を低減させることができるため、第1昇温手段(ヒートポンプ5)に異物が詰まって、昇温できなくなってしまうという事態を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の洗浄装置の一実施形態を示す模式構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の洗浄装置の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
<洗浄装置の説明>
図1に示す、洗浄装置1は、図示しないアンスタッカー(図示せず)から供給された被洗浄物であるパレットPを洗浄し、洗浄したパレットPをコンベアCによって、図示しない乾燥装置に搬送するものである。具体的には、洗浄装置1は、図1に示すように、洗浄部2と、洗浄液Wsが貯留されている洗浄液タンク3と、リンス水Wrが貯留されているリンスタンク4と、で主に構成されている。以下、各構成について詳しく説明することとする。
【0018】
<洗浄部の説明>
洗浄部2は、図1に示すように、横長の処理チャンバーをなす筐体20を備えており、この筐体20の近傍に、洗浄液タンク3と、リンスタンク4とが配置されている。そして、この筐体20内には、図1に示すように、図示しないアンスタッカー(図示せず)から供給された被洗浄物であるパレットPが配置され、さらに、洗浄したパレットPを図示しない乾燥装置に搬送するコンベアCが配置されている。そしてさらに、この筐体20内には、図1に示すように、パレットPを洗浄する洗浄液WsをパレットPに噴射させるノズル配管N1が配置され、さらに、このパレットPに付着した洗浄液Wsを洗い流すリンス水WrをパレットPに噴射させるノズル配管N2が配置されている。なお、パレットPに噴射された洗浄液Wsやリンス水Wrは、図1に示すように、筐体20の底部20aに形成されている内外を貫通する貫通孔からなる排出孔20a1から排出され、もって、洗浄液タンク3内に排出されることとなる。
【0019】
<洗浄液タンクの説明>
洗浄液タンク3には、図1に示すように、洗浄液Wsが貯留されている。この洗浄液Wsは、図1に示すように、ポンプP1によって洗浄液供給管路L1を通って、筐体20内に供給され、もって、ノズル配管N1の多数のノズルからパレットPに向けて噴射されることとなる。これにより、パレットPは、洗浄液Wsによって洗浄されることとなる。なお、この洗浄液Wsは、排出孔20a1から排出され、排出管路L2を通って、洗浄液タンク3内に排出されることとなる。
【0020】
ところで、この洗浄液Wsは、加温されず、常温(例えば、30℃~35℃)で使用されるようになっている。なお、洗浄液タンク3には、図示はしないが、洗浄液Wsを外部に排出する排出管路が設けられている。
【0021】
<リンスタンクの説明>
リンスタンク4には、図1に示すように、リンス水Wrが貯留されている。このリンス水Wrは、リンスタンク4とヒートポンプ5との間で、循環管路L3a,L3bを通して循環させ、常温(例えば、30℃~35℃)から、40℃程度に昇温させ、昇温させた温度を保つようにしている。そして、昇温されたリンス水Wrは、図1に示すように、ポンプP2によってリンス水供給管路L4を通って、筐体20内に供給されることとなる。この際、リンス水供給管路L4には、図1に示すように、電気ヒータ6が配置されており、この電気ヒータ6によって、40℃程度に昇温されたリンス水Wrは、さらに昇温され60℃程度に昇温されることとなる。しかして、この電気ヒータ6によって、60℃程度に昇温されたリンス水Wrが、リンス水供給管路L4を通って、筐体20内に供給され、もって、ノズル配管N2の多数のノズルからパレットPに向けて噴射されることとなる。これにより、パレットPに付着した洗浄液Wsが洗い流されることとなる。しかして、このように、60℃程度に昇温されたリンス水Wrによって、パレットPに付着した洗浄液Wsを洗い流すことにより、パレットPの熱量が高くなる。そのため、図示しない乾燥装置にてパレットPを乾燥させる際、乾きやすくなるという効果がある。なお、このリンス水Wrは、排出孔20a1から排出され、排出管路L2を通って、洗浄液タンク3内に排出されることとなる。
【0022】
ところで、洗浄液タンク3には、図1に示すように、循環ポンプP3が設けられており、洗浄液タンク3内に排出されたリンス水Wrは、洗浄液Wsを含んだ状態で、循環ポンプP3によって、循環供給管路L5を通って、リンスタンク4に供給される。この際、リンスタンク4内に、汚れなどの異物が混入されないように、循環供給管路L5には、図1に示すように、汚れなどの異物を除去するフィルタ7が配置されている。これにより、リンスタンク4内に、汚れなどの異物が混入される事態を低減させることができるため、ヒートポンプ5によって、40℃程度に昇温させたリンス水Wrの温度を保つ際、ヒートポンプ5に異物が詰まって、昇温及び/又は温度が保てなくなってしまうという事態を低減させることができる。
【0023】
ところで、リンスタンク4には、図1に示すように、オーバーフロー管路L6が設けられており、リンスタンク4内の水位が一定量以上になると、一定量を超えたリンス水Wrが、オーバーフロー管路L6を通って、洗浄液タンク3内に排出されるようになっている。なお、リンスタンク4には、図示はしないが、リンス水Wrを外部に排出する排出管路が設けられている。
【0024】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、洗浄液Wsやリンス水Wrを全て加温させるのではなく、洗浄液Wsは、加温せず、常温で使用し、リンス水Wrは、ヒートポンプ5で昇温させた後、電気ヒータ6によってさらに昇温させることによって使用している。これにより、加温させる必要がないものまで無駄に加温させる必要がなくなり、もって、熱エネルギーを無駄に浪費するという事態を防止することができる。また、リンス水Wrを一度に昇温させるのではなく、2段階で昇温させることにより熱エネルギーを無駄に浪費せずとも、効率的に昇温させることができる。
【0025】
しかして、本実施形態によれば、熱エネルギーコストを低減させることができる。
【0026】
なお、本実施形態にて例示した内容は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、リンス水Wrを昇温させるにあたって、ヒートポンプ5と、電気ヒータ6を用いる例を示したが、それに限らず、2段階で昇温させることができるものであれば、どのようなものを用いても良い。しかしながら、本実施形態に示すように、ヒートポンプ5によって、40℃程度に昇温させたリンス水Wrの温度を保ち、リンス水Wrを使用する際、電気ヒータ6によって、60℃程度に昇温させるのが好ましい。40℃程度に昇温させたリンス水Wrの温度を保つことにより、リンス水Wrを使用する際、昇温させたものの元の温度に降下しているという事態を低減させることができる。そのため、電気ヒータ6によって、リンス水Wrの温度を無駄に昇温させる必要がなくなり、もって、熱エネルギーコストを低減させることができるばかりか、電気ヒータ6を無駄に大型化する必要がなくなり小型化することができる。それゆえ、本実施形態に示すように、ヒートポンプ5によって、40℃程度に昇温させたリンス水Wrの温度を保ち、リンス水Wrを使用する際、電気ヒータ6によって、60℃程度に昇温させるのが好ましい。
【0027】
また、本実施形態においては、被洗浄物として、パレットPを例示したが、それに限らず、コンテナやトレー、或いは、食器類等、どのようなものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 洗浄装置
3 洗浄液タンク
4 リンスタンク
5 ヒートポンプ(第1昇温手段)
6 電気ヒータ(第2昇温手段、ヒータ)
7 フィルタ
Ws 洗浄液
Wr リンス水
P パレット(被洗浄物)
P3 循環ポンプ(供給手段)
L5 循環供給管路(供給手段)
N2 ノズル配管
図1