(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081489
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】薬剤分配装置及び薬剤分配方法
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20230606BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20230606BHJP
B65B 37/08 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
B65B1/30 B
B65B37/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195238
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】野崎 知之
(72)【発明者】
【氏名】坂口 勝義
(72)【発明者】
【氏名】藤本 洋平
【テーマコード(参考)】
3E055
3E118
4C047
【Fターム(参考)】
3E055AA05
3E055BA10
3E055BB01
3E055DA03
3E055EA01
3E055EB08
3E055FA01
3E118AB04
3E118BA10
3E118BB13
3E118DA03
3E118EA05
4C047JJ03
4C047JJ13
4C047JJ22
4C047JJ25
4C047JJ31
4C047JJ33
4C047KK25
(57)【要約】
【課題】散薬の効率的な分配を実現する。
【解決手段】薬剤分包装置は、薬剤フィーダ21と、分配皿31と、薬剤取出部35と、包装部51と、を備える。薬剤フィーダ21は、1回につき1服用分の散薬を分配皿31に供給可能である。分配皿31は、薬剤フィーダ21によって供給された1服用分の散薬を搬送する。薬剤取出部35は、分配皿31によって搬送された1服用分の散薬を取り出す。包装部51は、薬剤取出部35によって取り出された散薬を包装する。薬剤フィーダ21から分配皿31への1服用分の散薬の供給と、薬剤フィーダ21から既に分配皿31へ供給されて分配皿31により搬送された1服用分の散薬の薬剤取出部35による取出しとが、並行で行われる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回につき1服用分の散薬を分配皿に供給可能な薬剤フィーダと、
前記薬剤フィーダによって供給された1服用分の散薬を搬送する分配皿と、
前記分配皿によって搬送された1服用分の散薬を取り出す薬剤取出部と、
前記薬剤取出部によって取り出された散薬を包装する包装部と、
を備え、
前記薬剤フィーダから前記分配皿への1服用分の散薬の供給と、前記薬剤フィーダから既に前記分配皿へ供給されて前記分配皿により搬送された1服用分の散薬の前記薬剤取出部による取出しとが、並行で行われることを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤分配装置であって、
前記分配皿を清掃する清掃装置を備え、
前記薬剤フィーダから前記分配皿への1服用分の散薬の供給と、前記薬剤フィーダから供給された後に既に前記薬剤取出部により取り出された1服用分の散薬が前記分配皿に堆積していた地点の前記清掃装置による清掃とが、並行で行われることを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬剤分配装置であって、
前記分配皿を清掃する清掃装置を備え、
前記薬剤フィーダから前記分配皿へ供給されて前記分配皿により搬送された1服用分の散薬の前記薬剤取出部による取出しと、既に前記薬剤取出部により取り出された1服用分の散薬が前記分配皿に堆積していた地点の前記清掃装置による清掃とが、並行で行われることを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の薬剤分配装置であって、
前記分配皿に供給された散薬を回収する回収装置と、
前記薬剤分配装置を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記薬剤フィーダから前記分配皿に供給された散薬の量が1服用分に一致しないと判定した場合に、当該散薬が前記薬剤取出部によって前記包装部に送られることなく前記回収装置により回収されるように制御することを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項5】
請求項4に記載の薬剤分配装置であって、
前記回収装置は、前記分配皿を清掃する清掃装置を兼ねていることを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の薬剤分配装置であって、
前記薬剤フィーダから前記分配皿に供給された散薬の重量を測定する計測部を備え、
前記包装部は、前記散薬を包装する包装体に対して印刷することが可能な印刷部を備え、
前記印刷部は、前記計測部によって測定された散薬の量を、当該散薬を包装する包装体に印刷することを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項7】
薬剤フィーダによって、1回につき1服用分の散薬を分配皿に供給し、
前記分配皿に供給された1服用分の散薬を、前記分配皿によって搬送し、
前記分配皿によって搬送された1服用分の散薬を、薬剤取出部により取り出して包装部に送り、
前記包装部において、1服用分の散薬を包装し、
前記薬剤フィーダから前記分配皿への1服用分の散薬の供給と、前記薬剤フィーダから既に前記分配皿へ供給されて前記分配皿により搬送された1服用分の散薬の前記薬剤取出部による取出しとが、並行で行われることを特徴とする薬剤分配方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散薬の分配に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、散薬と呼ばれる粉末状又は粒状の薬剤を1服用分ずつ分配して包装することが可能な薬剤分包装置が知られている。特許文献1は、この種の薬剤分包装置を開示する。
【0003】
特許文献1の薬剤払出し装置は、薬剤フィーダと、分配皿と、掻出装置と、薬剤包装装置と、を有する。薬剤フィーダは、散薬を、一服用分ずつ分配皿に供給することができる。この薬剤払出し装置は、分散配置モードでの運転が可能である。分散配置モードでは、薬剤フィーダから散薬を一服用分ずつ分配皿に供給し、その間分配皿を停止又は回転させることで、分配皿上に散薬が一服用分ずつ間隔をあけて配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成は、分散配置モードにおいて、分配皿に対して全服用分の散薬の供給が完了しない限り、分配皿からの散薬の掻出しを開始することができない。従って、作業の効率化の観点から改善の余地があった。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、散薬の効率的な分配を実現することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の薬剤分配装置が提供される。即ち、薬剤分配装置は、薬剤フィーダと、分配皿と、薬剤取出部と、包装部と、を備える。前記薬剤フィーダは、1回につき1服用分の散薬を前記分配皿に供給可能である。前記分配皿は、前記薬剤フィーダによって供給された1服用分の散薬を搬送する。前記薬剤取出部は、前記分配皿によって搬送された1服用分の散薬を取り出す。前記包装部は、前記薬剤取出部によって取り出された散薬を包装する。前記薬剤フィーダから前記分配皿への1服用分の散薬の供給と、前記薬剤フィーダから既に前記分配皿へ供給されて前記分配皿により搬送された1服用分の散薬の前記薬剤取出部による取出しとが、並行で行われる。
【0009】
これにより、分配作業の効率を、並列作業によって効果的に高めることができる。
【0010】
前記の薬剤分配装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、薬剤分配装置は、前記分配皿を清掃する清掃装置を備える。前記薬剤フィーダから前記分配皿への1服用分の散薬の供給と、前記薬剤フィーダから供給された後に既に前記薬剤取出部により取り出された1服用分の散薬が前記分配皿に堆積していた地点の前記清掃装置による清掃とが、並行で行われる。
【0011】
これにより、清掃まで含めた作業の効率を効果的に高めることができる。
【0012】
前記の薬剤分配装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、薬剤分配装置は、前記分配皿を清掃する清掃装置を備える。前記薬剤フィーダから前記分配皿へ供給されて前記分配皿により搬送された1服用分の散薬の前記薬剤取出部による取出しと、既に前記薬剤取出部により取り出された1服用分の散薬が前記分配皿に堆積していた地点の前記清掃装置による清掃とが、並行で行われる。
【0013】
これにより、清掃まで含めた作業の効率を効果的に高めることができる。
【0014】
前記の薬剤分配装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、薬剤分配装置は、回収装置と、制御部と、を備える。前記回収装置は、前記分配皿に供給された散薬を回収する。前記制御部は、前記薬剤取出部を制御する。前記制御部は、前記薬剤フィーダから前記分配皿に供給された散薬の量が1服用分に一致しないと判定した場合に、当該散薬が前記薬剤取出部によって前記包装部に送られることなく前記回収装置により回収されるように制御する。
【0015】
これにより、1服用分として正確でない量の散薬が包装部に送られることを防止できる。
【0016】
前記の薬剤分配装置においては、前記回収装置は、前記分配皿を清掃する清掃装置を兼ねていることが好ましい。
【0017】
これにより、装置の共用による簡素化を実現できる。
【0018】
前記の薬剤分配装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、薬剤分配装置は、前記薬剤フィーダから前記分配皿に供給された散薬の重量を測定する計測部を備える。前記包装部は、前記散薬を包装する包装体に対して印刷することが可能な印刷部を備える。前記印刷部は、前記計測部によって測定された散薬の量を、当該散薬を包装する包装体に印刷する。
【0019】
これにより、実際に包装された散薬の量を、包装体への印刷内容に基づいて容易に確認することができる。
【0020】
本発明の第2の観点によれば、以下の薬剤分配方法が提供される。即ち、薬剤フィーダによって、1回につき1服用分の散薬を分配皿に供給する。前記分配皿に供給された1服用分の散薬を、前記分配皿によって搬送する。前記分配皿によって搬送された1服用分の散薬を薬剤取出部により取り出して包装部に送る。前記包装部において、1服用分の散薬を包装する。前記薬剤フィーダから前記分配皿への1服用分の散薬の供給と、前記薬剤フィーダから既に前記分配皿へ供給されて前記分配皿により搬送された1服用分の散薬の前記薬剤取出部による取出しとが、並行で行われる。
【0021】
これにより、分配作業の効率を、並列作業によって効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置の全体的な構成を示す模式図。
【
図2】分散配置モードにおいて、薬剤フィーダが1服用分の散薬を分配皿に投入する様子を示す平面図。
【
図3】
図2で投入された散薬が薬剤取出部により取り出され、これと並行して、薬剤フィーダが1服用分の散薬を新たに分配皿に投入する様子を示す平面図。
【
図4】
図3で取り出された散薬の地点が清掃装置により清掃され、これと並行して、
図3で投入された散薬が薬剤取出部により取り出され、更に並行して、薬剤フィーダが1服用分の散薬を新たに分配皿に投入する様子を示す平面図。
【
図5】
図3において薬剤フィーダが投入した散薬の量が1服用分に対して超過している例を説明する平面図。
【
図6】
図5の例で投入された散薬の薬剤取出部による取出しがスキップされる様子を示す平面図。
【
図7】
図5において投入された散薬が清掃装置により回収される様子を示す平面図。
【
図8】分散配置モードでの動作を説明するチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置1の全体的な構成を示す模式図である。
【0024】
図1に示す薬剤分包装置(薬剤分配装置)1は、薬剤を収容した薬剤容器2を複数保管することができる。本実施形態において、薬剤は、散薬である。この薬剤分包装置1は、薬剤容器2内の散薬を用いた調剤処理を行い、1服用分ごとに分配して包装することができる。
【0025】
薬剤分包装置1は、容器保管部11と、容器搬送部15と、薬剤フィーダ21と、分配皿31と、薬剤取出部35と、清掃装置41と、制御装置(制御部)95と、を備える。
【0026】
薬剤分包装置1は、図示しない筐体を備える。この筐体には、容器保管部11、薬剤フィーダ21、分配皿31、薬剤取出部35、清掃装置41、及び包装部51等が収容される。
【0027】
容器保管部11は、複数の薬剤容器2を保管することができる。容器保管部11は、回転部材12と、容器配置部13と、を備える。
【0028】
回転部材12は、実質的に円柱状の部材であり、起立した姿勢で設けられている。回転部材12は、モータの駆動力により、上下方向の軸を中心として回転することができる。
【0029】
容器配置部13は、回転部材12の外周部に複数並べて設けられている。それぞれの容器配置部13には、薬剤容器2を配置することができる。容器配置部13は、例えば、薬剤容器2を収納可能な載置板とすることができる。容器配置部13は、回転部材12の回転に伴って、当該回転部材12と一体的に回転する。
【0030】
容器搬送部15は、容器保管部11と薬剤フィーダ21との間で薬剤容器2を搬送する。容器搬送部15の構成は任意であるが、例えば搬送ロボットとして構成することができる。
【0031】
容器搬送部15は、容器保管部11の容器配置部13の1つから薬剤容器2を取り出し、後述の薬剤フィーダ21へ搬送して装着することができる。容器搬送部15は、薬剤フィーダ21から薬剤容器2を取り外し、容器配置部13の1つへ搬送して戻すことができる。
【0032】
薬剤フィーダ21は、分配皿31の近傍に配置されている。薬剤フィーダ21には、薬剤容器2を着脱可能に取り付けることができる。薬剤フィーダ21は、当該薬剤フィーダ21にセットされた薬剤容器2の内部の散薬を、分配皿31へ投入することができる。
【0033】
薬剤フィーダ21は、振動装置22と、計測部23と、を備える。
【0034】
振動装置22は、薬剤フィーダ21にセットされた薬剤容器2を振動させる。薬剤容器2の排出口が開放された状態で、薬剤フィーダ21にセットされている薬剤容器2が振動すると、薬剤容器2内の散薬が振るい出される。排出口から出た散薬は、排出口の真下に位置する、分配皿31に形成された溝34に落下する。
【0035】
計測部23は、薬剤容器2の散薬の重量を計測することができる。計測部23は、電子天秤として構成されている。
【0036】
分配皿31は、薬剤フィーダ21の近傍に設けられている。分配皿31は、薬剤容器2から投入された散薬を受ける受け皿として機能する。
【0037】
分配皿31は、皿部32と、回転駆動部33と、を備える。
【0038】
皿部32は、水平な円板状に形成されている。皿部32は、上下方向の軸を中心として回転可能に支持されている。平面視において、皿部32の回転軸は、円形の皿部32の中心に位置する。
【0039】
皿部32の上面のうち外周側の端部には、リング状の溝34が形成されている。溝34の断面は円弧状である。この溝34に、薬剤フィーダ21によって散薬が投入される。
【0040】
回転駆動部33は、モータの駆動力によって皿部32を回転させることができる。これにより、皿部32に投入された散薬を、皿部32の周方向に搬送することができる。
【0041】
薬剤取出部35は、分配皿31の近傍に設けられている。薬剤取出部35は、薬剤フィーダ21に対して、皿部32の回転による散薬の搬送方向の下流側に配置されている。薬剤取出部35は、上下動可能な切替アーム36の先端に取り付けられている。
【0042】
薬剤取出部35は、寄せプレート37と、押し部材38と、取出駆動部39と、を備える。
【0043】
寄せプレート37は、切替アーム36の先端に回転可能に支持されている。
【0044】
寄せプレート37は円板状に形成されている。寄せプレート37の厚み方向は、実質的に水平に向けられている。寄せプレート37の回転軸は、円板の中心に配置されている。この回転軸の向きは、平面視でリング状に形成された溝34の接線方向と概ね平行である。
【0045】
寄せプレート37の外径は、円弧状に形成された溝34の断面の径と実質的に一致している。寄せプレート37の下部が溝34に入り、寄せプレート37の外縁が溝34の内底面に近接する状態で、皿部32が回転すると、溝34に入っている散薬が寄せプレート37に当たる。これにより、溝34内の散薬を皿部32に対して周方向に寄せることができる。
【0046】
押し部材38は、寄せプレート37の厚み方向一側の面に固定されている。寄せプレート37において押し部材38が固定される面は、溝34に入っている散薬が皿部32の回転によって寄せプレート37に当たる側の面と同じである。
【0047】
取出駆動部39は、寄せプレート37及び押し部材38を、前述の回転軸を中心として、モータの駆動力によって回転させることができる。
【0048】
取出駆動部39によって押し部材38が回転すると、押し部材38の端部は溝34の内底面に接触しながら通過する。従って、溝34の内部において寄せプレート37の近傍にある散薬を、押し部材38によって、皿部32の外周側へ押し出すことができる。押し出された散薬は、薬剤取出部35のすぐ外周側に配置された、後述のホッパ52の開口に落下する。ホッパ52に供給された散薬は、包装部51によって包装される。
【0049】
切替アーム36は、図示しない駆動部によって上下動することができる。駆動部は、例えばモータとすることができるが、これに限定されない。切替アーム36が上下動することにより、薬剤取出部35を、取出位置と退避位置との間で切り替えることができる。取出位置においては、寄せプレート37の下部が溝34に入っており、溝34内の散薬を押し部材38によって取り出すことができる。退避位置においては、寄せプレート37が皿部32に対して十分に高い位置にあり、溝34内の散薬に対して寄せプレート37及び押し部材38が接触することはない。
【0050】
清掃装置41は、分配皿31の近傍に設けられている。清掃装置41は、薬剤取出部35に対して、皿部32の回転による散薬の搬送方向の下流側に配置されている。
【0051】
清掃装置41は、清掃用アーム42と、清掃ブラシ43と、清掃駆動部44と、吸引部45と、を備える。
【0052】
清掃用アーム42は、皿部32の近傍に支持されている。清掃用アーム42は、図示しない駆動部によって上下動することができる。駆動部は、例えばモータとすることができるが、これに限定されない。
【0053】
清掃ブラシ43は、清掃用アーム42の先端に固定されている。清掃用アーム42が下降した状態では、清掃ブラシ43の先端は、溝34の内底面等に接触する。
【0054】
清掃駆動部44は、清掃用アーム42を、モータの駆動力によって回転させることができる。清掃用アーム42と一体的に回転する清掃ブラシ43が溝34の内底面に接触することで、薬剤取出部35により取り出しきれずに溝34等に残った散薬を掻き取ることができる。
【0055】
吸引部45は、清掃ブラシ43の近傍であって、溝34の近傍に配置されている。吸引部45は、公知の適宜の方法で吸引流を発生させることができる。吸引部45は、清掃ブラシ43によって掻き取られた散薬の残渣を、吸引流によって吸引することができる。吸引部45には図略のバルブが設けられており、吸引流の発生と停止を切り替えることができる。
【0056】
清掃用アーム42が前述のように上下動することにより、清掃ブラシ43を、清掃位置と退避位置との間で切り替えることができる。清掃位置においては、清掃ブラシ43の先端が溝34等に接触しており、皿部32の上面に付着している散薬の残渣を掻き取ることができる。退避位置においては、清掃ブラシ43が皿部32に接触することはない。
【0057】
包装部51は、散薬を包装することができる。包装部51は、ホッパ52を備える。薬剤取出部35が1服用分の散薬をホッパ52に投下すると、包装部51は、当該散薬を、分包紙(包装体)54によって包装する。包装された散薬は、薬剤分包装置1の外部に供与される。
【0058】
包装部51は、印刷部53を備える。印刷部53は、分包紙54に様々な情報を印刷することができる。この印刷部53の構成は任意であるが、例えば、公知のインクリボン式のプリンタとすることができる。
【0059】
薬剤分包装置1は、インタフェース部91を備える。インタフェース部91は、ユーザインタフェース機能を実現するものである。インタフェース部91は、例えば、調剤処理の状況やユーザの入力情報等を表示する表示装置と、ユーザが指示を入力するための操作装置と、を備える構成とすることができる。
【0060】
制御装置95は、CPU、ROM及びRAM等を備えるコンピュータである。ROMには、薬剤分包装置を動作させる制御プログラムが記憶される。容器保管部11、容器搬送部15、薬剤フィーダ21、分配皿31、薬剤取出部35、清掃装置41、包装部51、及びインタフェース部91の動作は、制御装置95によって制御される。
【0061】
制御装置95の制御により、薬剤分包装置1は、主として、以下の動作を行う。[1]入力された処方箋の情報に応じて、薬剤容器2が選択される。[2]容器搬送部15が、選択された薬剤容器2を容器保管部11から取り出して、薬剤フィーダ21に搬送して装着する。[3]薬剤フィーダ21にセットされた薬剤容器2から、所定量の散薬を分配皿31に投入する。[4]分配皿31に投入された散薬を、薬剤取出部35により分配して包装部51に送る。[5]分配された散薬を包装部51が1服用分ずつ包装する。[6]容器搬送部15が、分配皿31への散薬の投入が完了した薬剤容器2を薬剤フィーダ21から取り外し、容器保管部11へ搬送して戻す。
【0062】
薬剤分包装置1は、散薬を分配皿31の皿部32に投入する場合に、リング状の溝34に対して散薬を全周にわたって投入する全周配置モードと、溝34に対して散薬を点状に投入する分散配置モードと、を切り替えることができる。
【0063】
最初に、全周配置モードについて説明する。
【0064】
全周配置モードでは、薬剤フィーダ21にセットされた薬剤容器2に対し、振動装置22によって振動が加えられる。薬剤容器2から散薬が皿部32に投入される間、皿部32は適宜の速度で回転する。従って、皿部32へ投入された散薬は、溝34の全周にわたってリング状に配置される。このとき、薬剤取出部35は退避位置にある。また、清掃装置41は退避位置にあり、吸引部45の吸引流は停止している。
【0065】
皿部32への投入のために散薬が排出される間、薬剤容器2の重量が、計測部23によって監視される。散薬の排出量が全服用分の重量と等しくなったタイミングで、振動が停止し、その後に皿部32の回転が停止する。
【0066】
皿部32の回転が停止した後、切替アーム36が下方向に回転する。この結果、薬剤取出部35が取出位置まで下降する。この取出位置においては、分配皿31に形成されている溝34に寄せプレート37が入る。従って、リング状に配置された散薬が寄せプレート37により仕切られる。この状態で、分配皿31は、360°を分配個数で除算した角度だけ回転する。この結果、散薬が、寄せプレート37によって寄せ集められる。
【0067】
その後、寄せプレート37とともに押し部材38が回転する。この結果、散薬は押し部材38によって押し出されて、ホッパ52に落下する。ホッパ52に投下された散薬は、包装部51において包装される。上記の動作が、分配個数と等しい回数だけ反復される。
【0068】
皿部32からの散薬の取出しが全て完了すると、清掃装置41による溝34の清掃が行われる。清掃装置41は、清掃用アーム42を下方向に回転させることにより清掃ブラシ43を清掃位置まで下降させる。この結果、清掃ブラシ43が皿部32の上面に接触する。この状態で、清掃装置41により清掃ブラシ43を回転させつつ、皿部32が回転する。このとき、吸引部45は吸引流を発生させるように切り替えられる。清掃ブラシ43は皿部32の上面に接触した状態で回転し、溝34等の表面に付着した散薬の残渣を掻き落とす。清掃ブラシ43によって掻き取られた散薬の残渣は、吸引部45によって吸引され、廃棄される。
【0069】
次に、分散配置モードについて説明する。
【0070】
分散配置モードでは、薬剤フィーダ21にセットされた薬剤容器2から、振動装置22の振動によって散薬が皿部32に投入される際、皿部32は回転せず、静止した状態を継続する。従って、薬剤フィーダ21によって投入された散薬は、溝34の1点で小さな山を形成するように堆積する。
【0071】
散薬が排出される間、全周配置モードと同様に、薬剤容器2の重量が計測部23によって監視される。分散配置モードでは、散薬の排出量が1服用分の重量と等しくなったタイミングで、振動装置22の振動が停止する。
【0072】
1服用分の散薬の投入が開始されるのに伴い、切替アーム36が下方向へ回転する。この結果、薬剤取出部35が取出位置へ下降する。この取出位置では、寄せプレート37の下部が、分配皿31に形成されている溝34に入る。皿部32は、その後、小さな角度だけ回転し、停止する。回転角度は、例えば5°~30°程度とすることが考えられる。その結果、薬剤取出部35の最も近くに位置する点状の散薬の山が周方向に移動し、寄せプレート37の近傍に当たって寄せられる。また、皿部32の回転に伴って、薬剤フィーダ21にセットされている薬剤容器2の排出口の真下には、皿部32の溝34において散薬の山が堆積していない面が対面するようになる。
【0073】
皿部32が回転して停止した後、押し部材38が寄せプレート37とともに回転する。この結果、溝34の内部にある1服用分の散薬は、押し部材38によって取り出され、ホッパ52に投入される。ホッパ52に投入された散薬は、包装部51において包装される。
【0074】
上記の押し部材38の回転と並行して、振動装置22による薬剤容器2への振動の付与が再開される。この結果、1服用分の重量に相当する重量の散薬が、新たに溝34に排出される。このとき、皿部32の回転は停止している。従って、散薬は、前回の排出と同様に、溝34の1点で新しい小さな山を形成するように堆積する。
【0075】
1服用分の散薬の排出が完了した後、皿部32は、上記と同様に小さな角度だけ回転し、停止する。皿部32の回転の過程で、堆積した散薬の小さな山が周方向に移動し、薬剤取出部35に最も近くに位置する散薬の山が寄せプレート37によって寄せられる。また、皿部32の回転に伴って、薬剤フィーダ21にセットされている薬剤容器2の排出口の真下には、皿部32の溝34において散薬の山が堆積していない面が対面するようになる。
【0076】
皿部32が回転して停止した後、1服用分の散薬が、回転する押し部材38によって溝34から押し出されてホッパ52に投入される。包装部51は、投入された散薬を包装する。この押し部材38の回転と並行して、振動装置22による薬剤容器2への振動の付与が再開される。この結果、1服用分の重量に相当する重量の散薬が、新たに溝34に排出され、小さな山を形成するように堆積する。
【0077】
上記の動作が適宜の回数だけ繰り返される。これにより、皿部32の溝34において、1服用分の散薬に相当する山を、離散的に例えば3個形成し、それぞれの山の散薬を薬剤取出部35によって個別に取り出し、包装部51によって包装することができる。山の数は、分包の個数に対応する。
図2には、薬剤フィーダ21が1つ目の山5aを形成し、
図3には、薬剤フィーダ21が2つ目の山5bを形成し、
図4には、薬剤フィーダ21が3つ目の山5cを形成する例が示されている。堆積される山の数は任意であり、1個、2個、又は4個以上であっても良い。
【0078】
分散配置モードでは、全服用分に相当する散薬を皿部32に投入するより前に散薬の取出しが開始される。このため、皿部32に散薬を投入してから取り出すまでの時間を容易に短くすることができる。従って、散薬が皿部32にこびりつきにくい。また、皿部32に対し、2周以上にわたって散薬を投入することができる。このため、服用回数が多い散薬の分配にも対応することができる。また、本実施形態では、例えば
図3に示すように、散薬を皿部32から取り出す動作が、薬剤容器2から皿部32へ散薬を新たに投入する動作と同時並行的に行われる。このため、全服用分の散薬を分包するための時間を大幅に短縮することができる。
【0079】
分散配置モードでは、分配皿31から全服用分の散薬を排出し終える前に、溝34の清掃動作が行われる。即ち、分散配置モードの場合は、1服用分の散薬が皿部32から排出されたことを端緒として、散薬が堆積していた皿部32の面が清掃装置41によって清掃される。
【0080】
詳細に説明すると、本実施形態では、散薬の1つ分の山が薬剤取出部35によって分配皿31から取り出される毎に、清掃動作が実行される。具体的に説明すると、
図2に示すように、薬剤フィーダ21が散薬の1服用分の投入を行い、この結果、散薬の山5aが溝34に形成される。この散薬の山5aは、分配皿31の回転に伴って周方向に搬送され、
図3に示すように薬剤取出部35によって溝34から取り出される。溝34において当該山5aが存在していた地点が皿部32の回転によって周方向下流側へ移動し、
図4に示すように、この地点5axが清掃ブラシ43と吸引部45によって清掃される。
【0081】
図3に示すタイミングで、薬剤フィーダ21が散薬の1服用分の投入を行い、この結果、散薬の山5bが溝34に形成される。この散薬の山5bは、分配皿31の回転に伴って周方向に搬送され、
図4に示すように薬剤取出部35によって溝34から取り出される。図示は省略するが、
図3で説明した山5aの場合と同様に、溝34において当該山5bが存在していた地点が皿部32の回転によって周方向下流側へ移動し、この地点が清掃ブラシ43と吸引部45によって清掃される。
【0082】
図4に示すタイミングで、地点5axの清掃が行われるのと並行して、薬剤フィーダ21が散薬の1服用分の投入を行い、この結果、散薬の山5cが溝34に形成される。この散薬の山5cは、上述の山5aと同様に薬剤取出部35によって溝34から取り出され、その後、山5cが存在していた地点が清掃ブラシ43と吸引部45によって清掃される。
【0083】
必要な回数だけ上記の工程が繰り返され、1服用分の散薬の山が排出された地点のそれぞれが清掃される。
【0084】
分散配置モードでは、例えば
図4に示すように、清掃装置41の清掃動作が、薬剤フィーダ21によって散薬を皿部32へ投入する動作と同時並行的に行われる。言い換えると、全服用分に相当する散薬を皿部32に投入し終える前に清掃動作が開始される。そのため、清掃を含めた全体の動作時間が大幅に短縮される。
【0085】
本実施形態では、皿部32を回転させて、散薬の山5a,5b,5cが堆積していた地点を薬剤取出部35から周方向下流側へある程度移動させた後、当該地点に対する清掃が清掃装置41によって行われる。しかしながら、薬剤取出部35が清掃ブラシ及び吸引手段等の適宜の清掃機構を有するように構成し、皿部32から薬剤取出部35によって散薬が排出された直後に清掃が開始されても良い。これにより、全体の動作時間が更に短くなることが期待できる。
【0086】
服用分全ての散薬が分配皿31に排出されると、容器搬送部15によって、薬剤容器2が薬剤フィーダ21から容器保管部11へ戻される。この搬送動作は、薬剤取出部35による散薬の取出動作、及び、清掃装置41による清掃動作と並行的に行われる。
【0087】
上記の説明では、分散配置モードにおいて、1服用分の散薬の山が薬剤取出部35によって皿部32から取り出される毎に、それぞれの山の地点が清掃装置41によって局所的に清掃される。これに加えて、全ての散薬が分配皿31から取り出された後に、溝34の全周を対象とした清掃動作が行われても良い。また、2周以上に亘って散薬を皿部32に投入する場合には、1周分の散薬が分配皿31から取り出され、新たに散薬を皿部32に投入する前に溝34の全周を対象とした清掃動作が行われても良い。溝34の全周の清掃動作は、前述の全周配置モードにおける清掃動作と同様とすることができる。清掃はいったん行われているので、溝34の全周を対象とした清掃動作を、全周配置モードでの清掃動作よりも短時間で行ったり、簡略化した形で行ったりすることができる。これにより、動作時間の短縮に寄与できる。
【0088】
分包される1服用分の散薬のそれぞれは、異なる患者に投与されるものであっても良いし、種類及び量のうち少なくとも何れかが異なっていても良い。
【0089】
薬剤フィーダ21に加えて、図示しない粉体フィーダを設けることもできる。この粉体フィーダは、トラフと、電子天秤と、を備える。トラフの下方には、トラフを振動させるための振動体が設けられる。振動体としては、例えば圧電素子を用いることができるが、これに限定されない。作業者は、測り出した所定量の散薬を、図略の移動容器に入れて薬剤分包装置1にセットする。移動容器は粉体フィーダに搬送され、粉体フィーダによって、この移動容器の散薬が分配皿31に投入される。
【0090】
次に、分散配置モードにおける散薬の再排出について説明する。
【0091】
全周配置モードと比較した場合、分散配置モードでは、少量の散薬を薬剤容器2から排出することから、排出精度が安定しにくい傾向がある。
【0092】
具体的に説明すると、分散配置モードでは、薬剤容器2に振動を与えて薬剤容器2から散薬を排出させ、散薬を溝34へ投入する。薬剤容器2の重量の変化が監視され、排出された散薬の重量が1服用分に達すると、薬剤容器2からの散薬の排出が停止される。ところが、散薬の中には薬剤容器2内で塊状になり易いものがある。仮に散薬が塊状で排出されると、薬剤容器2から排出される散薬の量が1服用分を上回ってしまうことがある。また、薬剤容器2内の散薬の量が不足している場合、薬剤容器2から排出される散薬の量が1服用分を下回ってしまう。
【0093】
この点、本実施形態では、薬剤容器2から分配皿31への排出を再度行うように構成することができる。この場合、分配皿31に既に投入された(排出量が超過又は不足している)散薬については、包装部51による包装が行われず、回収される。
【0094】
薬剤容器2から排出された散薬の量が、1服用分に対して超過又は不足している場合、薬剤容器2に与える振動が停止される。散薬の量が不足していた場合は、薬剤容器2において散薬が空になっている、又は、薬剤容器2の出口に詰まりが生じていることが考えられる。薬剤分包装置1は適宜の方法で警告を発生し、作業者に、薬剤容器2に対する散薬の補充等の対応を促す。この警告は、例えば、インタフェース部91が備える表示装置によって行うことができる。
【0095】
図5には、薬剤フィーダ21の2回目の散薬投入による山5bに関して、薬剤容器2から排出された散薬の量が、1服用分に対して超過した例が示されている。
図5のタイミングで、制御装置95は、薬剤フィーダ21からの散薬の排出量が超過したことを、計測部23による重量計測結果を参照することで認識することができる。
【0096】
この場合、制御装置95は、分配皿31を小さな角度だけ回転させ、停止する。その結果、
図6に示すように、堆積した散薬の山5bが周方向に移動する。分配皿31が回転するとき、制御装置95は、薬剤取出部35が退避位置となるように制御する。従って、量が超過している散薬の山5bは、薬剤取出部35によって寄せ集められない。この散薬の山5bが
図6に示すように薬剤取出部35の近傍に移動しても、薬剤取出部35による取出動作は行われない。従って、この山5bに関し、包装部51による包装が行われることもない。
【0097】
上述の分配皿31の回転に伴って、薬剤容器2の真下には、分配皿31の溝において散薬の山が堆積していない面が対面するようになる。分配皿31の小さな角度の回転が完了して停止した後、薬剤容器2への振動の付与が再開される。この結果、
図6に示すように散薬が新しく排出され、山5cが形成される。
【0098】
上記の再排出の結果、散薬の1服用分だけの量を正確に薬剤容器2から排出できた場合、分配皿31は小さな角度だけ回転する。山5bが薬剤取出部35の下方を通過した後のタイミングで、薬剤取出部35が再び取出位置へ下降するように制御される。従って、再排出に基づく散薬の山5cは、
図7に示すように薬剤取出部35によって寄せ集められる。薬剤取出部35の動作によって散薬が取り出され、ホッパ52に投入される。ホッパ52に投入された散薬は、包装部51において包装される。
【0099】
量が超過している散薬の山5bは、
図7に示すように清掃装置41によって回収され、溝34から取り除かれる。
【0100】
図8には、以上に説明した動作がチャート形式で示されている。このグラフで示すように、薬剤フィーダ21によって複数個の山5a,5b,5c,5dが順番に形成される。複数個の山5a,5b,5c,5dは分配皿31によって下流へ搬送され、それぞれの山に対して、散薬の取出し及び清掃が流れ作業的に行われる。投入量が不正確である山5bに関しては、薬剤取出部35による散薬の取出しがスキップされる。それ以外の山5a,5c,5dに関しては、薬剤取出部35による散薬の取出しが通常どおり行われる。
【0101】
量が不正確である散薬の山5bは、清掃装置41の吸引部45によって廃棄する代わりに、薬剤回収用の容器へ投入して回収する構成とすることもできる。この場合、薬剤取出部35とは別の回収用取出部を薬剤分包装置1に設けることもできる。回収用取出部の構成は、薬剤取出部35と同様とすることができるが、これに限定されない。回収用取出部は、量が超過又は不足している散薬の山5bを分配皿31から取り出して、薬剤回収用の容器へ投入する。
【0102】
本実施形態では、排出量が超過又は不足している散薬については、包装部51による包装が行われず、回収される。しかしながら、排出量が超過又は不足している散薬についても包装部51により包装を行っても良い。この場合、まず、投入量が正確である散薬(山5a,5c,5d)の取出し及び包装が行われる。このとき、
図8のグラフで示すように、投入量が不正確である散薬(山5b)に関しては、散薬の取出しがスキップされる。続いて、投入量が不正確である散薬(山5b)の取出し及び包装が行われる。これにより、投入量が正確である散薬を収容する収容部が並ぶように散薬を包装することができる。従って、投入量が不正確である散薬を収容する収容部を見分けることが容易になる。なお、投入量が正確である散薬を収容する収容部と、投入量が不正確である散薬を収容する収容部との間に、散薬を収容しない空包を形成するように包装しても良い。
【0103】
上述の構成では、分散配置モードにおいて薬剤フィーダ21が薬剤容器2からの散薬を投入する場合に、皿部32の回転は停止している。この代わりに、皿部32を低速で回転させながら散薬を排出することもできる。この場合、点状の山でなく、円弧状に連続的に伸びる凸部が散薬によって形成される。これにより、薬剤フィーダ21によって投入される散薬の量が多い場合であっても、溝34に形成される散薬の山が崩れることを防ぐことができる。制御装置95は、薬剤フィーダ21によって投入される散薬の量が多い場合、皿部32を低速で回転させながら散薬を排出するように動作を切り替えるようにしても良い。
【0104】
包装部51が備える印刷部53は、分包紙54に、その分包紙54が収容する散薬の1服用分の重量の実測値を印刷することができる。この実測値は、薬剤容器2から排出された散薬の重量であって、計測部23により測定される。作業者である薬剤師は、分包紙54に印刷された1服用分の重量の実測値を確認することで、包装された散薬の監査を容易に行うことができる。
【0105】
印刷部53は、分包紙54に、実測値に加えて、その分包紙54が収容する散薬の1服用分の理論値を印刷することもできる。ここで、理論値とは、処方箋に示された散薬の重量を意味する。この場合、作業者である薬剤師は、監査の際に、散薬の重量を処方箋によって確認することなく、実測値と理論値を比較することができる。
【0106】
1服用分の重量の実測値及び理論値のうち少なくとも一方を、例えばジャーナル紙に印刷することで出力することもできる。また、1服用分の重量の実測値及び理論値のうち少なくとも一方を、制御装置95が備える表示装置に表示することで、情報の出力を実現することもできる。
【0107】
排出量が超過又は不足している散薬を包装部51により包装する場合、印刷部53は、分包紙54に、収容する散剤について排出量が超過又は不足している旨を印刷することもできる。この場合、薬剤師は、排出量が超過又は不足していることを容易に認識することができる。なお、分包紙54に印刷する情報は、排出量の過不足に関する情報に限らず、例えば、投薬禁止、投薬不要、回収薬、×印というような情報であっても良い。
【0108】
以上に説明したように、本実施形態の薬剤分包装置1は、薬剤フィーダ21と、分配皿31と、薬剤取出部35と、包装部51と、を備える。薬剤フィーダ21は、1回につき1服用分の散薬を分配皿31に供給可能である。分配皿31は、薬剤フィーダ21によって供給された1服用分の散薬を搬送する。薬剤取出部35は、分配皿31によって搬送された1服用分の散薬を取り出す。包装部51は、薬剤取出部35によって取り出された散薬を包装する。例えば
図3に示すように、薬剤フィーダ21から分配皿31への1服用分の散薬(山5b)の供給と、薬剤フィーダ21から既に分配皿31へ供給されて分配皿31により搬送された1服用分の散薬(山5a)の薬剤取出部35による取出しとが、並行で行われる。
【0109】
これにより、分包作業の効率を、並列作業によって効果的に高めることができる。
【0110】
本実施形態の薬剤分包装置1は、分配皿31を清掃する清掃装置41を備える。例えば
図4に示すように、薬剤フィーダ21から分配皿31への1服用分の散薬(山5c)の供給と、薬剤フィーダ21から供給された後に既に薬剤取出部35により取り出された1服用分の散薬(山5a)が分配皿31に堆積していた地点5axの清掃装置41による清掃とが、並行で行われる。
【0111】
これにより、清掃まで含めた作業の効率を効果的に高めることができる。
【0112】
本実施形態の薬剤分包装置1においては、例えば
図4に示すように、薬剤フィーダ21から分配皿31へ供給されて分配皿31により搬送された1服用分の散薬(山5b)の薬剤取出部35による取出しと、既に薬剤取出部35により取り出された1服用分の散薬(山5a)が分配皿31に堆積していた地点5axの清掃装置41による清掃とが、並行で行われる。
【0113】
これにより、清掃まで含めた作業の効率を効果的に高めることができる。
【0114】
本実施形態の薬剤分包装置1は、清掃装置41と、制御装置95と、を備える。清掃装置41は、分配皿31に供給された散薬を回収する。制御装置95は、薬剤取出部35を制御する。制御装置95は、薬剤フィーダ21から分配皿31に供給された散薬(
図5に示す山5b)の量が1服用分に一致しないと判定した場合に、当該散薬が薬剤取出部35により包装部51に送られることなく清掃装置41により回収されるように制御する。
【0115】
これにより、1服用分として正確でない量の散薬が包装部51に送られて包装されることを防止できる。
【0116】
本実施形態の薬剤分包装置1において、分配皿31を清掃する清掃装置41が、量が1服用分に一致しない散薬を回収する機能を有する。
【0117】
これにより、装置の共用による簡素化を実現できる。
【0118】
本実施形態の薬剤分包装置1は、薬剤フィーダ21から分配皿31に供給された散薬の重量を測定する計測部23を備える。包装部51は、散薬を包装する分包紙54に対して印刷することが可能な印刷部53を備える。印刷部53は、計測部23によって測定された散薬の量を、散薬を包装する分包紙54に印刷する。
【0119】
これにより、実際に包装された散薬の量を、分包紙54への印刷内容に基づいて容易に確認することができる。
【0120】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。変更は単独で行われても良いし、複数の変更が任意に組み合わせて行われても良い。
【0121】
分配皿31に配置される薬剤フィーダ21の数は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であっても良い。
【0122】
分散配置モードにおいて、薬剤フィーダ21による分配皿31への散薬の供給と、清掃装置41による清掃とが、必ずしも同時並行的に行われなくても良い。
【0123】
分散配置モードにおいて、薬剤取出部35による分配皿31からの散薬の取出しと、清掃装置41による清掃とが、必ずしも同時並行的に行われなくても良い。
【0124】
量が1服用分に一致しない散薬を分配皿31から回収する回収装置が、清掃装置41とは別に設けられても良い。
【0125】
包装部51において、印刷部53を省略することもできる。
【符号の説明】
【0126】
1 薬剤分包装置(薬剤分配装置)
21 薬剤フィーダ
23 計測部
31 分配皿
35 薬剤取出部
41 清掃装置
51 包装部
53 印刷部
54 分包紙(包装体)
95 制御装置(制御部)