(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081493
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】輻射スペクトル制御用の複合膜とその製造方法およびその複合膜を備えた輻射スペクトル制御デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20230606BHJP
C23C 14/58 20060101ALI20230606BHJP
C23C 14/06 20060101ALI20230606BHJP
C23C 14/34 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
G02B5/28
C23C14/58 A
C23C14/06 N
C23C14/34 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195248
(22)【出願日】2021-12-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、防衛装備庁、「安全保障技術研究推進制度/ナノ構造デザインによる赤外輻射スペクトル制御」委託研究、産業技術力強化法第17条第1項の規定の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000173522
【氏名又は名称】一般財団法人ファインセラミックスセンター
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥原 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】黒山 友宏
【テーマコード(参考)】
2H148
4K029
【Fターム(参考)】
2H148GA03
2H148GA07
2H148GA11
4K029AA06
4K029AA24
4K029BA04
4K029BA09
4K029BA16
4K029BA26
4K029BA35
4K029BA58
4K029BB02
4K029BC07
4K029BD00
4K029CA05
4K029DC03
4K029DC04
4K029DC16
4K029GA01
(57)【要約】
【課題】新たな材料の組み合わせと製造方法によって輻射スペクトル制御に有効な膜を得る。
【解決手段】一つの実施形態は輻射スペクトル制御用複合膜であって、β-FeSi
2を主として含むマトリックスと、前記マトリックスに分散されたAgナノ粒子とを含む。別の実施形態は輻射スペクトル制御用複合膜を製造する方法であって、基材にβ-FeSi
2をスパッタリングして第1マトリックス層を形成し、前記第1マトリックス層にAgをスパッタリングしてAg層を形成し、前記Ag層にβ-FeSi
2をスパッタリングして第2マトリックス層を形成し、アニーリングにより前記Ag層を離散化して前記第1マトリックス層と前記第2マトリックス層に分散したAgナノ粒子を形成する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輻射スペクトル制御用複合膜であって、
β-FeSi2を主として含むマトリックスと、
前記マトリックスに分散されたAgナノ粒子とを含む輻射スペクトル制御用複合膜。
【請求項2】
請求項1に記載の輻射スペクトル制御用複合膜であって、
前記Agナノ粒子の平均直径が10 nm以上であり、
前記マトリックスに対する前記Agナノ粒子の体積比が26%以下である輻射スペクトル制御用複合膜。
【請求項3】
請求項1または2に記載の輻射スペクトル制御用複合膜であって、
前記Agナノ粒子の平均直径が100 nm以下である輻射スペクトル制御用複合膜。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の輻射スペクトル制御用複合膜であって、
前記Agナノ粒子の平均直径が50 nm以下である輻射スペクトル制御用複合膜。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の輻射スペクトル制御用複合膜であって、
赤外域での屈折率が5以上である輻射スペクトル制御用複合膜。
【請求項6】
輻射スペクトル制御用複合膜を製造する方法であって、
基材にβ-FeSi2をスパッタリングして第1マトリックス層を形成し、
前記第1マトリックス層にAgをスパッタリングしてAg層を形成し、
前記Ag層にβ-FeSi2をスパッタリングして第2マトリックス層を形成し、
アニーリングにより前記Ag層を離散化して前記第1マトリックス層と前記第2マトリックス層に分散したAgナノ粒子を形成する方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記第2マトリックス層にAgをスパッタリングしてAgナノ粒子を含んだ第2Ag層を形成し、
前記第2Ag層にβ-FeSi2をスパッタリングして第3マトリックス層を形成し、
その後に前記アニーリングを行って前記Ag層と前記第2Ag層を離散化して前記第1マトリックス層、前記第2マトリックス層、前記第3マトリックス層に分散したAgナノ粒子を形成する方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の方法であって、
前記Agナノ粒子の平均直径が10 nm以上であり、
請求項6における前記第1マトリックス層と前記第2マトリックス層または請求項7における前記第1マトリックス層と前記第2マトリックス層と前記第3マトリックス層に対する前記Agナノ粒子の体積比が26%以下である方法。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか一つに記載の輻射スペクトル制御用複合膜を備える輻射スペクトル制御デバイスであって、
金属層の上に少なくとも一つの低屈折率層と少なくとも一つの高屈折率層とが交互に積層され、各低屈折率層の赤外域における屈折率が隣り合う前記高屈折率層の赤外域における屈折率より小さくなっており、
前記高屈折率層の少なくとも一つが請求項1から5のいずれか一つに記載の輻射スペクトル制御用複合膜からなる輻射スペクトル制御デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の輻射スペクトル制御デバイスであって、
前記高屈折率層の少なくとも一つの外側に隣接して、その高屈折率層の表面からのAgの蒸発または昇華を抑えるための蒸発抑制層が積層されている輻射スペクトル制御デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の輻射スペクトル制御デバイスであって、
前記蒸発抑制層がTaN層である輻射スペクトル制御デバイス。
【請求項12】
請求項10に記載の輻射スペクトル制御デバイスであって、
前記蒸発抑制層の屈折率が6以下、消衰係数が10以下である輻射スペクトル制御デバイス。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか一項に記載の輻射スペクトル制御デバイスであって、
前記金属層と前記輻射スペクトル制御用複合膜からなる第1の前記高屈折率層との間に第1の前記低屈折率層が積層され、前記第1の前記高屈折率層の外側に第2の前記低屈折率層が積層されている輻射スペクトル制御デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の輻射スペクトル制御デバイスであって、
前記第2の低屈折率層の外側に、別の前記輻射スペクトル制御用複合膜からなる第2の前記高屈折率層と、第3の低屈折率層とが順に積層されている輻射スペクトル制御デバイス。
【請求項15】
請求項13に記載の輻射スペクトル制御デバイスであって、
前記金属層と前記第1の低屈折率層との間に、別の前記輻射スペクトル制御用複合膜からなる第2の前記高屈折率層が積層されている輻射スペクトル制御デバイス。
【請求項16】
請求項1から5のいずれか一つに記載の輻射スペクトル制御用複合膜を備える輻射スペクトル制御デバイスであって、
金属層と前記輻射スペクトル制御用複合膜からなる高屈折率層とが積層されている輻射スペクトル制御デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射スペクトル制御用の複合膜、その複合膜の製造方法、およびその複合膜を備えた輻射スペクトル制御デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体マトリックス中に金属粒子を分散させることによりプラズモン共鳴現象による特異な光物性がもたらされることが知られている。この現象に関して、例えば特開2014‐085099号公報は特定の半導体と金属粒子とを組み合わせた膜により近赤外域の消衰係数に新たな共鳴吸収ピークを発現できることに着目し、そのような膜の太陽熱用途での利用を想定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の公報では、他の低屈折率層や金属層などと積層して用いることにより赤外域の特定の波長帯のみに選択的な輻射ピークを発生させることのできる膜については言及されていない。このような輻射スペクトルの制御においては赤外域において屈折率(n)が高く消衰係数(k)が低い材料を使用することが有利である。金属も一般に赤外域の屈折率が高いが、それと同時に消衰係数も高いため、従来輻射制御には使用できなかった。そこで、新たな材料の組み合わせと製造方法によって輻射スペクトル制御に有効な膜を得ることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ひとつの態様は輻射スペクトル制御用複合膜であって、β-FeSi2を主として含むマトリックスと、前記マトリックスに分散されたAgナノ粒子とを含む。
【0006】
実施形態によっては、前記Agナノ粒子の平均直径が10 nm以上であり、前記マトリックスに対する前記Agナノ粒子の体積比が26%以下である。
【0007】
実施形態によっては、前記Agナノ粒子の平均直径が100 nm以下である。
【0008】
実施形態によっては、前記Agナノ粒子の平均直径が50 nm以下である。
【0009】
実施形態によっては、赤外域での屈折率が5以上である。
【0010】
別の態様は輻射スペクトル制御用複合膜を製造する方法であって、基材にβ-FeSi2をスパッタリングして第1マトリックス層を形成し、前記第1マトリックス層にAgをスパッタリングしてAg層を形成し、前記Ag層にβ-FeSi2をスパッタリングして第2マトリックス層を形成し、アニーリングにより前記Ag層を離散化して前記第1マトリックス層と前記第2マトリックス層に分散したAgナノ粒子を形成する。
【0011】
実施形態によっては、前記第2マトリックス層にAgをスパッタリングしてAgナノ粒子を含んだ第2Ag層を形成し、前記第2Ag層にβ-FeSi2をスパッタリングして第3マトリックス層を形成し、その後に前記アニーリングを行って前記Ag層と前記第2Ag層を離散化して前記第1マトリックス層、前記第2マトリックス層、前記第3マトリックス層に分散したAgナノ粒子を形成する。
【0012】
実施形態によっては、前記Agナノ粒子の平均直径が10 nm以上であり、マトリックス層に対する前記Agナノ粒子の体積比が26%以下である。
【0013】
さらに別の態様は上述の輻射スペクトル制御用複合膜を備える輻射スペクトル制御デバイスであって、金属層の上に少なくとも一つの低屈折率層と少なくとも一つの高屈折率層とが交互に積層され、各低屈折率層の赤外域における屈折率が隣り合う前記高屈折率層の赤外域における屈折率より小さくなっており、前記高屈折率層の少なくとも一つが請求項1から5のいずれか一つに記載の輻射スペクトル制御用複合膜からなる。
【0014】
実施形態によっては、前記高屈折率層の少なくとも一つの外側に隣接して、その高屈折率層の表面からのAgの蒸発または昇華を抑えるための蒸発抑制層が積層されている。
【0015】
実施形態によっては、前記蒸発抑制層がTaN層である。
【0016】
実施形態によっては、前記蒸発抑制層の屈折率が6以下、消衰係数が10以下である。
【0017】
実施形態によっては、前記金属層と前記輻射スペクトル制御用複合膜からなる第1の前記高屈折率層との間に第1の前記低屈折率層が積層され、前記第1の前記高屈折率層の外側に第2の前記低屈折率層が積層されている。
【0018】
実施形態によっては、前記第2の低屈折率層の外側に、別の前記輻射スペクトル制御用複合膜からなる第2の前記高屈折率層と、第3の低屈折率層とが順に積層されている。
【0019】
実施形態によっては、前記金属層と前記第1の低屈折率層との間に、別の前記輻射スペクトル制御用複合膜からなる第2の前記高屈折率層が積層されている。
【0020】
実施形態によっては、金属層と前記輻射スペクトル制御用複合膜からなる高屈折率層とが積層されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】複合膜を成膜するための一つの実施形態としての平行平板型スパッタリング装置の構成図である。
【
図2】別の実施形態としてのカルーセル型スパッタリング装置の構成図である。
【
図3】β-FeSi
2マトリックスと分散Agナノ粒子を含む複合膜を用いた一つの実施形態としての選択的輻射積層体を示す模式図である。
【
図4】別の実施形態としての選択的輻射積層体を示す模式図である。
【
図5】一つの実施形態としての選択的輻射積層体の用途を説明する模式図である。
【
図6】β-FeSi
2/Ag(2 nm)/β-FeSi
2複合膜のナノ構造組織を示すSEM画像であり、左側は断面像、右側は表面像である(以下同様)。
【
図7】(a)β-FeSi
2単層膜と(b)
図6の複合膜(右)の光学定数スペクトルを示す図である。
【
図8】β-FeSi
2/Ag(4 nm)/β-FeSi
2複合膜のナノ構造組織を示すSEM画像である。
【
図9】
図8の複合膜の光学定数スペクトルを示す図である。
【
図10】β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2複合膜のナノ構造組織を示すSEM画像である。
【
図11】(b)
図10の複合膜の光学定数スペクトルを(a)
図6の複合膜の光学定数スペクトルと比較して示す図である。
【
図12】TaN層でキャッピングしたTaN/β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2複合膜の光学定数スペクトルとナノ構造組織を示すSEM画像である。
【
図13】(b)
図12の複合膜の光学定数スペクトルを(a)
図10の複合膜の光学定数スペクトルと比較して示す図である。
【
図14】β-FeSi
2単層膜と
図6、
図10、
図12の複合膜の赤外域(波長10 μm)での屈折率を比較したグラフである。
【
図15】β-FeSi
2単層膜と
図6、
図10、
図12の複合膜の赤外域(波長10 μm)での消衰係数を比較したグラフである。
【
図16】カルーセル型スパッタリング装置で得られたβ-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2複合膜(TaNキャッピング有りと無し)の光学定数スペクトルを示す図である。
【
図17】カルーセル型スパッタリング装置で得られた複合膜の室温と高温in-situにおける屈折率スペクトルを示す図である。
【
図18】カルーセル型スパッタリング装置で得られた複合膜の室温と高温in-situにおける消衰係数スペクトルを示す図である。
【
図19】β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
25層構造の複合膜を用いて作製した
図4に示す積層膜の輻射率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の様々な実施形態について図面を参照しながら説明する。説明中の同じ参照番号は、重複する説明をしないが、同じ機能を有する同じ要素を意味する。
【0023】
[複合膜]
一つの態様である複合膜は、β-FeSi2を含むマトリックス(以下β-FeSi2マトリックス)と分散Agナノ粒子とを含んだ複合膜である。この複合膜は特に輻射スペクトル制御用途に用いることができる。
【0024】
複合膜のAgナノ粒子の形状は任意であるが、一つの実施形態として、ほぼ球状であることが好ましい。Agナノ粒子の平均直径は10 nm以上、好ましくは20 nm以上とすることができる。また平均直径は100 nm以下、好ましくは50 nm以下とすることができる。平均直径とは例えば顕微鏡画像で最も多く観察された平均的な粒子の直径である。膜の厚さ方向と面内方向とでAgナノ粒子の直径に差がある場合は面内方向の直径を採用することができる。
【0025】
Agナノ粒子はβ-FeSi2マトリックスの中で離散性を保っていることが好ましい。したがって、β-FeSi2マトリックスに対するAgナノ粒子の体積比は粒子が離散性を保つことのできる上限値以下とすることができるが、例えば36%以下、好ましくは26%以下とすることができる。
【0026】
複合膜の形態は任意であり、平面状に限らない。複合膜の厚さは用途に合わせて任意の厚さとすることができるが、例えば1 nm以上、好ましくは30nm以上とすることができる。また、厚さは10 μm以下、好ましくは200 nm以下とすることができる。
【0027】
実施形態によっては、複合膜はβ-FeSi2とAgナノ粒子以外の材料を任意の形態で含んだ複合膜とすることができる。複合膜の最表層にはキャッピング層を積層することができる。キャッピング層は例えばTaN層とすることができる。
【0028】
一つの実施形態として、複合膜は赤外域での屈折率が5以上である。赤外域での屈折率は例えば波長10 μmでの値である。
【0029】
[製造方法]
別の態様としての方法は上記の輻射スペクトル制御用複合膜を製造する方法は、基材にβ-FeSi2をスパッタリングして第1マトリックス層を形成し、この第1マトリックス層にAgをスパッタリングしてAg層を形成し、このAg層にβ-FeSi2をスパッタリングして第2マトリックス層を形成する工程を含む。上記方法はさらに、第2マトリックス層にAgをスパッタリングしてAgナノ粒子を含んだ追加のAg層を形成し、この追加のAg層にβ-FeSi2をスパッタリングして追加のマトリックス層を形成する工程を必要なだけ含むこともできる。上述の各マトリックス層とAg層は例えばスパッタリング、真空蒸着などの物理蒸着(PVD)など、任意の方法によって成膜することができる。スパッタリングによるβ-FeSi2層の成膜にはβ-FeSi2ターゲットを使用することもできるが、別の実施形態として各構成元素のターゲットを用いた同時スパッタリングで成膜することもできる。
【0030】
上記方法はさらに、アニーリングによりAg層を離散化して(Agをナノ粒子形態に凝集させて)マトリックス層に分散したAgナノ粒子を形成する工程を含む。アニーリングは真空中で行うことができる。アニーリング温度は好ましくは400°以上、好ましくは600°C以上とすることができる。また温度は900°C以下とすることができる。特定の実施形態として、例えば700°Cでアニーリングを行うことができる。このアニーリングによる熱処理プロセスにてβ-FeSi2マトリックスの結晶成長とAgのナノ粒子形態への凝集が生じる。
【0031】
β-FeSi
2マトリックス層とAg層の成膜は例えば
図1に示すような通常の平行平板型のスパッタリング装置で行うことができる。この装置は、チャンバー10内に各層に対応するターゲットホルダー12、14を基板ホルダー16に対向させて配置したものである。
【0032】
別の実施形態として、
図2に示すカルーセル型のスパッタリング装置を用いることも可能である。このカルーセル型装置は、チャンバー20内に回転可能に支持されたドラム22の外周面上に基板ホルダー24が設けられ、ドラムの周囲にはドラムに対向するように複数(例えば2つ)のターゲットホルダー26、28が配置されている。この構成により、ドラム22を回転させることで基板ホルダー24に保持された基板をいずれのターゲットに対面させることもできるようになっている。したがって、一つのターゲットを用いた成膜が終わるたびにドラム22を回転させることで各ターゲットに対応する層を交互に積層することができる。この装置を用いればターゲットシャッターの手動切り替えを省くことができる。
【0033】
[輻射スペクトル制御デバイス]
他の態様である輻射スペクトル制御デバイスは、上述の輻射スペクトル制御用複合膜を赤外高屈折率層として含んだ選択的輻射積層体である。一つの実施形態として、金属層の上に少なくとも一つの赤外低屈折率層と少なくとも一つの赤外高屈折率層とが交互に積層され、各低屈折率層の赤外域における屈折率が隣り合う高屈折率層の赤外域における屈折率より小さくなっており、高屈折率層の少なくとも一つが上述の輻射スペクトル制御用複合膜からなる積層体とすることができる。これにより赤外輻射スペクトルを制御することが可能となる。例えば、金属層と上述の複合膜からなる第1の高屈折率層との間に第1の低屈折率層が積層され、第1の高屈折率層の外側に第2の低屈折率層が積層された積層体とすることができる。実施形態によっては、第2の低屈折率層の外側に、別の複合膜からなる第2の高屈折率層と、第3の低屈折率層とが順に積層された積層体とすることもできる。こうすることで輻射スペクトルの波長選択性を高めることもできる。また実施形態によっては、金属層と第1の低屈折率層との間に、別の複合膜からなる第2の高屈折率層が積層された積層体とすることもできる。このような積層体によっても赤外輻射スペクトルを制御することができる。
【0034】
別の実施形態としては、金属層と輻射スペクトル制御用複合膜からなる高屈折率層とが積層されている積層体である。このような積層体によっても赤外輻射スペクトルを制御することができる。
【0035】
第1の赤外低屈折率層や第2の赤外低屈折率層は例えばSiO2層、Si3N4層、MgF層などとすることができる。赤外低屈折率層の厚さは任意であるが、例えば10~500 nmとすることができる。第1の赤外低屈折率層や第2の赤外低屈折率層に例えばSiO2層やSi3N4層を用いた場合、それら材料の固有フォノン吸収によってある波長域に高い消衰係数となり、その高い消衰係数を活用してその波長域のみ輻射率を高める輻射スペクトル設計も可能となる。一方、第1の赤外低屈折率層や第2の赤外低屈折率層に例えばMgF層を用いる場合、材料固有のフォノン吸収が赤外域に存在しないため、任意の波長域にて輻射率を高める輻射スペクトル設計が可能となる。
【0036】
実施形態によっては、上記の赤外高屈折率膜の少なくとも一つの外側に隣接して、その赤外高屈折率膜の表面からのAgの蒸発や昇華を抑えるための蒸発抑制層を積層することもできる。この蒸発抑制層は赤外高屈折率膜である複合膜を成膜する際のキャッピング層である。蒸発抑制層は例えばTaN層とすることができる。あるいは、この蒸発抑制層は屈折率が6以下、消衰係数が10以下の材料からなる層とすることができる。金属層がAg層である場合にはこのAg層の外側に隣接して同様の蒸発抑制層を設けることもできる。
【0037】
複合膜の厚さは任意であるが、例えば1 nm~10 μmとすることができ、30~200 nmであることが好ましい。
【0038】
実施形態によっては、輻射スペクトル制御デバイスは上述の複合膜以外の膜を別の赤外高屈折率層として含んでいてもよい。以上に述べた各層は、例えばスパッタリング、真空蒸着などの物理蒸着(PVD)など、任意の方法で積層することができる。
【0039】
金属層の金属は特に限定されないが、例えば銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)とすることができる。また、シリサイドなどの金属的な性質の化合物・合金とすることもできる。金属層の厚さは任意であるが、例えば少なくとも100 nm以上とすることができる。
【0040】
図3、
図4にそれぞれ一つの具体的な実施形態としての選択的輻射積層体の構成を示す。
【0041】
様々な実施形態として、輻射スペクトル制御デバイスは熱伝達デバイス、発光デバイスとすることができる。また、様々な実施形態として、
図5に示すように、輻射スペクトル制御デバイス30は、上述の積層体の他に高温物質や排熱源などの発熱体32を含んだものとしたり、そのような発熱体32と組み合わせて用いたりすることができる。これにより、特定の波長域の赤外線を選択的に輻射34させることができる。
【0042】
以上に種々の具体的な実施形態を説明したが、本発明の目的を逸脱せずに様々な置換、改良、変更が可能であることは当業者であれば明らかである。したがって本発明の形態は、添付した請求項の趣旨と目的を逸脱しない全ての置換、改良、変更を含む。
【実施例0043】
[実験1:分散ナノ粒子の形態解析とプラズモン共鳴現象の相関性評価]
β-FeSi2マトリックスにAgナノ粒子を分散させてなる複合膜を、スパッタリング成膜方式や条件を変えて作製した。その膜組織の走査電子顕微鏡(SEM)画像を観察することにより、作製方法がAgナノ粒子の分散態様に及ぼす影響を調べた。また、その複合膜の赤外域における屈折率nと消衰係数kのスペクトル(以下「光学定数スペクトル」)を分光エリプソメータで実測・評価し、赤外屈折率を増加させるAgナノ粒子形態を調べた。
【0044】
[作製例1]
図1に示すスパッタリング装置(平行平板型)を用い、マトリックス(母材)となるβ-FeSi
2のターゲットと分散ナノ粒子となるAgのターゲットとを超高真空チャンバー内にセットした。そしてArガス中にてプラズマを生成してSi基板上へ成膜した。なお、成膜プロセスは、Agナノ粒子の形態制御性を重視して、β-FeSi
2とAgを同時に基板上へ供給するのではなく、β-FeSi
2層とAg層を交互に積層成膜する方法を採用した。なお、実際のβ-FeSi
2層のスパッタリングでは若干のSi欠損を補うためSiターゲットからのSi供給も加えた。
【0045】
このスパッタリングによる成膜後、β-FeSi2相の結晶化のために膜サンプルに対し真空中700°Cでアニーリングを施した。この熱処理プロセスにてβ-FeSi2マトリックスの結晶成長とAgナノ粒子の凝集が生じ、分散粒子の形態はこれらに依存して決まると考えられる。
【0046】
図7(a)に示した光学定数スペクトルからわかるように、β-FeSi
2単層膜の消衰係数は半導体特有のバンドギャップ(0.85 eV以上)を反映して波長1450 nm以下の近赤外域で高吸収となり、一方の屈折率は赤外領域にて約4.8となった。これに対して、
図7(b)に示すように、β-FeSi
2層の中間にAg層を導入したβ-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2膜においては、消衰係数は近赤外域にて若干増加するものの赤外域にかけてゼロに収束し、一方で屈折率は約5.3にまで向上して赤外波長の全域にわたってその高い値を維持した。これら両者の全膜厚は35~40 nmでほぼ同一であって膜構造の主な違いはAgナノ粒子の分散のみであることから、この近赤外域における消衰係数の上昇と赤外全域における屈折率の上昇は、分散Agナノ粒子のプラズモン共鳴による効果が現れはじめていることを反映しているものと考えられる。
【0047】
この中間層のAg層の成膜においては、プラズマを保持できる最低限のスパッタリング電力(DC 3 W)としてその成膜時間によって厚さを制御し、その膜厚がおよそ2 nmとなる成膜時間(60秒)とした。スパッタリング法により金属膜を成膜する場合、島状の分散構造から連続膜へ移り変わる境界がこの2 nm付近にあると考えられる。しかし、
図6のSEM像からわかるように、このAg層は成膜後のアニーリングによって離散化し、700°Cにおいて20 nm以下のほぼ球形のナノ粒子として安定化された。
図6に示す断面と表面のSEM像で、重い元素であるAgは明るい斑点として観察され、厚さ方向と面内方向それぞれの画像中にて直径20 nm以下の同程度のサイズとして観察されることから、ほぼ球形のナノ粒子として捉えることができる。また、Agナノ粒子は厚さ方向には中央付近に位置しており面内方向ではほぼ均一に分散している。
【0048】
また、表面SEM像では暗い斑点も確認できた。この暗い斑点はβ-FeSi2膜の粒界に偏析した粒子径の大きいAgナノ粒子がアニーリング中に蒸発して形成された空隙であると考えられる。Agナノ粒子が粒界に偏析する際に直径100 nm以上に成長することで複合膜全体の厚さよりもサイズが大きくなり、β-FeSi2相の粒成長過程にて界面での元素移動が活発となることもあり偏析するAgは表面に露出することとなり、700°Cの高温下にて膜表面から蒸発(昇華)したと解釈できる。
【0049】
[作製例2]
次に、Ag層の成膜時間を2倍の120秒として成膜時の厚さを4 nmに増加させたβ-FeSi2/Ag/β-FeSi2膜を形成した。
【0050】
図8の左側に示した断面SEM像からわかるように、積層成膜時のAg層の厚さを4 nmとすることで、アニーリング後のAgナノ粒子は、厚さ方向は20 nm以下であり、
図6の場合と同程度である。一方、表面SEM像からわかるように、面内方向は60 nm前後の平板状の粒子形態となっており、Agナノ粒子の一部では粒子同士が連結して数百ナノメートルの長さをもつ領域も観察される。
【0051】
図9に示すように、この平板状の大きなAgナノ粒子の場合、赤外域における屈折率スペクトルは7に近づき非常に高い値となったものの、消衰係数スペクトルが赤外域にてゼロに収束せずに2以上への増加しようとするいわゆる「金属的」な光学定数スペクトルの挙動を示した。これは、Agナノ粒子の面内サイズが大きくなることによって金属膜としての光学特性が顕在化した結果であると考えられる。一般に、分散金属粒子の平均直径が大きいほどそのプラズモン共鳴効果が高まると理解されているが、上記の結果から、赤外域の高い屈折率と低い消衰係数とを両立させるには、分散Agナノ粒子同士の離散性を確保しつつ粒子径を増大させる必要があることがわかった。
【0052】
[作製例3:5層構造]
次に、Ag層の厚さを2 nmとしたときのAgナノ粒子の粒子径と離散性を維持したままAgの体積割合を増大させるために、3層のβ-FeSi2/Ag/β-FeSi2構造に代えて5層のβ-FeSi2/Ag/β-FeSi2/Ag/β-FeSi2構造とし、各Ag層の成膜時の厚さを2 nmに維持したまま層数を2倍にすることを試みた。層数の増加にあたり、3つのβ-FeSi2層それぞれの厚さを小さくして全膜厚を35 nm付近に維持した。
【0053】
その光学定数スペクトルを実測した結果、
図11(b)に示すように、赤外域にて消衰係数がほぼゼロに収束し、屈折率が3層構造での5.3(
図11(a))から5層構造では5.7にまで増大した。
【0054】
図10の左側に示すように、その断面SEM像からは明確な5層構造としては観察されないものの、分散Agナノ粒子は平均直径がおよそ20 nm以下と良好な離散性を維持しつつその体積割合を増大できていることがわかる。また
図10の右側に示すように、表面SEM像においても分散Agナノ粒子の平均直径は20 nm以下に抑えられており、Ag層の厚さを4 nmとしたときのような100 nmを大きく超えるAg粒子への成長は現れていない。その結果、金属的な光学特性(赤外域における消衰係数の急増)を抑制しつつ屈折率を増大させることができ、Agナノ粒子の直径を抑えたまま体積割合を増大させることでプラズモン共鳴の効果を高めることできたものと考えられる。
【0055】
表面SEM像において20 nm以下の細かいAgナノ粒子のコントラストに注目すると、明暗に別れており、明るい領域はAgナノ粒子である一方、暗い領域はそのAgナノ粒子が蒸発した領域である可能性がある。5層構造の最表面にあたるβ-FeSi2膜の厚さが小さいために最表面近くに露出したAgナノ粒子が700°Cのアニーリングによって蒸発(昇華)して空隙を形成したと考えられる。
【0056】
[作製例4:TaNキャッピング]
次に、Agナノ粒子の蒸発を抑制することでさらにAgナノ粒子の体積割合を高めるために、上記の5層構造膜の最表面をTaN層でキャッピングした膜を作製した。
【0057】
図12に示した表面SEM像をTaN層のない場合の
図10と比較すると良くわかるように、TaNのキャッピングによって明らかに暗い斑点状の領域は激減し、明るく観察されるAgナノ粒子の体積割合を高いレベルに留めることができている。また、TaN層をもつ5層構造(
図12)ではAgナノ粒子の体積割合が高いだけではなく直径50 nm前後というサイズの大きいAgナノ粒子が多くみられ、TaN層のない場合の
図10を見直すと暗い領域の空隙サイズは明るいAgナノ粒子よりもサイズが大きかった。つまり、TaN層がない場合には比較的大きいAgナノ粒子が最表面に露出して蒸発しやすく、TaN層のキャッピングによってその約50 nm径のAgナノ粒子を保持することができていることになる。
【0058】
図13(b)に示すように、このTaN層キャッピングしたβ-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2膜の光学定数スペクトル(TaN層を分離してから分光エリプソメータで解析)では、赤外域の屈折率を約5.7(
図13(a))から6.7へと大幅に増大でき、その増加幅はこれまでの作製例の中でも最も大きかった。かつ消衰係数についても金属的な挙動とはならずゼロに収束した。つまり、TaN層でのキャッピングによって単に分散Agナノ粒子の体積割合を高めるだけでなく、そのAgナノ粒子の直径を50 nm以下程度へと大きくできたことが赤外屈折率を高める上で効果的であったことを示唆している。
【0059】
以上に述べた複合膜(β-FeSi
2マトリックス+Agナノ粒子)の構造と光学特性(赤外域の光学定数スペクトル)の関連性を
図14、
図15にまとめた。β-FeSi
2マトリックスにAgナノ粒子を分散させることにより赤外域での屈折率は5を超え、消衰係数は1以下に抑えられたままである。また、β-FeSi
2層とAg層の積層数を増やすほど赤外屈折率が向上する傾向が見て取れる。
【0060】
また、Agナノ粒子の平均直径20 nm以下にてプラズモン共鳴が発現すること、そして離散性を確保しつつ50 nmまでの粒子径拡大によってプラズモン共鳴の効果が増長することも確認した。一方、数百ナノメートル以上のサイズの粒子連続性が存在すると金属的な光学定数スペクトルが顕在化したが、ナノ複合膜の膜厚を大きくしていけば離散性を確保した上で分散粒子のサイズをさらに拡大することができると考えられる。
【0061】
[作製例5:カルーセル型スパッタリング装置による成膜]
以上の作製例では
図1に示した平行平板型スパッタリング装置を用いた。次に、多層化に有効な成膜プロセスとして
図2に示したカルーセル型のスパッタリング装置を用いて上述と同様の構成を有する複合膜を作製した。
【0062】
まず、β-FeSi
2膜とAg膜の5層構成(β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2)を作製して光学定数スペクトルを実測した。その結果、
図16の左側に示すように、5層構成での赤外屈折率は5.7となり、平行平板型成膜装置で作製した場合と同じ値を得ることができた。
【0063】
また、
図16の右側に示すように、5層構成(β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2)の膜にTaN層のキャッピングを施した膜も同じ装置で作製した。Agの蒸発を抑制して体積割合を高めることで屈折率6.3まで増大し、平行平板型スパッタリング装置を用いた場合の
図15と同じ傾向を得ることができた。また、図示しないが、カルーセル型スパッタリング装置を用いても前述と同様のナノ組織が得られることも確かめられた。
【0064】
[実験2:ナノ粒子分散の耐熱性確保および高温光物性の評価]
以上の実験例における複合膜の光学定数スペクトルは全て室温にて測定した結果である。そこで、これらの複合膜を高温での輻射スペクトルの制御に活用する場合を想定して、β-FeSi2マトリックスと分散Agナノ粒子からなる複合膜の高温in-situでの光学定数スペクトルを測定することよりプラズモン共鳴の高温下での発現を検証した。具体的には、高温ヒータユニットを備えた紫外~赤外分光エリプソメータ(SemiLab社製GES5-E)により、室温だけでなく高温(700°C)下における複合膜の光学定数スペクトルを実測した。なお、評価に用いた複合膜は、上記作製例1と同様のβ-FeSi2/Ag/β-FeSi2膜であるが、カルーセル型スパッタリング装置を用いて作製したものである。
【0065】
マトリックスであるβ-FeSi
2の吸収係数(α)スペクトルの温度依存性については、室温より低温側(77~300 K)についてはアインシュタインモデルによってバンドギャップの大きさが温度とともに狭くなること、すなわち吸収係数スペクトルは長波長側にシフトすることが知られている。また、室温よりも高温側での光学定数(n、k)スペクトルの温度依存性を実測した結果、温度上昇に伴うバンドギャップの低下は700°Cまで続いた。しかしながら、β-FeSi
2マトリックス中のAgナノ粒子分散によるプラズモン共鳴について高温下での挙動を評価した報告例は見つからなかった。
図18に示す消衰係数スペクトルにおいて、波長1500 nm付近にみられるプラズモン共鳴によると思われるショルダー(極大点)は、700°Cの高温下において維持されるだけでなく、若干消衰係数が増大する傾向を示した。さらに、
図17に示す屈折率スペクトルにおいても赤外域の屈折率は室温での約5.8に対して700°Cでは約5.9へ僅かではあるものの増加している。この結果より、700°Cの高温in-situでもβ-FeSi
2マトリックス中のAgナノ粒子分散によるプラズモン共鳴は維持されるだけでなく、むしろ僅かではあるものの高温ほどその効果が強調されることがわかった。
【0066】
[実験3:複合膜を用いた選択輻射積層膜の作製と輻射スペクトルの評価]
β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
2/Ag/β-FeSi
25層構造の複合膜の光学定数スペクトルをもとに、ベースとなる赤外低輻射層なども含めた積層構造の各層における光学定数スペクトルのバランスや膜厚を調整し、高いピーク輻射率を有する波長選択的な輻射スペクトルをもたらす積層膜を光学設計した。その積層膜の構成は
図4に示した通りのものである。この設計をもとに積層膜を実際に作製し、吸収スペクトルの測定を通じてその波長選択性(輻射スペクトルのピーク輻射率)を評価した。
図19に示した通り、作製した積層膜はピーク輻射率90%以上を達成した。