(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008151
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】回転電機のケーブル保持構造
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20230112BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20230112BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H02K5/22
H05K7/00 F
H02G3/30
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111483
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】松本 昌明
(72)【発明者】
【氏名】荒木 貴志
(72)【発明者】
【氏名】望月 資康
【テーマコード(参考)】
4E352
5G363
5H605
【Fターム(参考)】
4E352AA16
4E352BB03
4E352BB06
4E352CC01
4E352CC33
4E352CC52
4E352DD11
4E352DR02
4E352DR25
4E352DR40
4E352GG17
5G363AA05
5G363AA09
5G363AA16
5G363BA01
5G363DA12
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC08
5G363DC10
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605CC06
5H605CC08
5H605EC01
5H605EC04
5H605EC05
5H605GG04
(57)【要約】
【課題】回転電機のケーブルを容易に所定の配線経路に配線することができるケーブル保持構造を提供する。
【解決手段】実施形態のケーブルの保持構造は、回転電機1のケーブルを保持するためのものであって、回転電機1を収容するフレーム8に取り付けられ、ケーブルを保持する保持部材30を備え、フレーム8には、保持部材30を取り付けるための取付穴27が、ケーブルの配線経路に沿って少なくとも1つ以上形成されている。そして、保持部材30は、ケーブルが通る貫通孔31が設けられている頭部32と頭部32から延びている軸部33とを有しており、軸部33を取付穴27に挿入することでフレーム8に取り付けられ、ケーブルをフレーム8側に保持する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機のケーブルを保持するためのケーブル保持構造であって、
前記回転電機を収容するフレームに取り付けられ、前記ケーブルを保持する保持部材を備え、
前記フレームには、前記保持部材を取り付けるための取付穴が、前記ケーブルの配線経路に沿って少なくとも1つ以上形成されており、
前記保持部材は、前記ケーブルが通る貫通孔が設けられている頭部と前記頭部から延びている軸部とを有しており、前記軸部を前記取付穴に挿入することで前記フレームに取り付けられ、前記ケーブルを前記フレーム側で保持する回転電機のケーブル保持構造。
【請求項2】
前記保持部材は、前記頭部と前記軸部との間に当該軸部から径方向外側に広がるフランジ部を有しており、前記フレームとの間に所定の距離を保った状態で前記ケーブルを保持する請求項1記載の回転電機のケーブル保持構造。
【請求項3】
前記ケーブルは、少なくとも一部が前記フレーム内に配線されており、
前記保持部材は、前記ケーブルの前記フレーム内に配線されている部位を前記フレーム側で保持する請求項1または2記載の回転電機のケーブル保持構造。
【請求項4】
前記フレームには、外部接続用のコネクタが複数設けられており、
前記保持部材は、前記コネクタ間を接続するものであって前記コネクタへの嵌合を検出する嵌合検出用の前記ケーブルを保持する請求項1から3のいずれか一項記載の回転電機のケーブル保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機に配線されるケーブルを保持するためのケーブル保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転電機を組み立てる際において、取り回しを容易にするためにケーブルを固定しておく手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回転電機には、電力を供給する電力用のケーブル以外にも例えば車載用の回転電機であれば制御用の信号を伝送する信号用のケーブルが配線されることがある。そして、そのような信号用のケーブルは、例えばノイズや熱の影響を抑制するために、所定の配線経に保持されることが必要になるとともに、ケーブルの保持や配線などの作業を容易に行うことができることも求められる。
【0005】
そこで、回転電機のケーブルを容易に所定の配線経路に配線することができるケーブル保持構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の回転電機のケーブル保持構造は、回転電機のケーブルを保持するためのものであって、回転電機を収容するフレームに取り付けられ、ケーブルを保持する保持部材を備え、フレームには、保持部材を取り付けるための取付穴が、ケーブルの配線経路に沿って少なくとも1つ以上形成されており、保持部材は、ケーブルが通る貫通孔が設けられている頭部と頭部から延びている軸部とを有しており、軸部を取付穴に挿入することでフレームに取り付けられ、ケーブルをフレーム側で保持する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態による回転電機の構成例を模式的に示す図
【
図4】ケーブルの配線経路と回転電機の組み立て工程とを模式的に示す図
【
図6】ケーブルの配線状態および保持状態の一例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、回転電機1は、固定子2、回転子3およびシャフト4を有している。本実施形態では、回転電機1として車両に搭載される車載用のものを想定している。この回転電機1は、周知のように固定子2の内周側に例えば三相のコイル5が装着されており、そのコイル5は固定子2の軸方向の両端で環状に成型されてコイルエンド6を形成する。
【0009】
そして、そのコイルエンド6から各相のコイル5の端部が引き出し線7として引き出され、電力が供給される。なお、
図1では1つの引き出し線7を示しているが、三相の場合には、
図2に示すように3本の電力供給用の引き出し線7a、引き出し線7b、引き出し線7cが引き出される。
【0010】
この回転電機1は、フレーム8に収容されている。このフレーム8は、概ね有底筒状に形成されていて、一方の端部が開口している本体部8aと、その本体部8aの開口を塞ぐ態様で取り付けられるカバー8bとによって構成されている。以下、本体部8aとカバー8bとによって囲まれた空間をフレーム8の内部と称し、本体部8aおよびカバー8bの内部側の面を内面と称し、外側の面を表面とも称する。
【0011】
本体部8aは、回転電機1の概ね全体をその内部に収容可能な大きさに形成されているとともに、図示左方側の底部の中央にシャフト4を回転可能に支持する軸受け8cが設けられている。また、カバー8bの中心部分にも軸受け8cが設けられている。そして、回転電機1は、固定子2が本体部8aの内面に固定され、回転子3がシャフト4の両端で軸受け8cに支持された状態で固定子2の内周側に配置された状態で、フレーム8に収容されている。
【0012】
また、シャフト4のカバー8b側の端部にはレゾルバ9が取り付けられている。このレゾルバ9は、いわゆる回転角センサであり、回転電機1の回転状態を検出して電気信号として出力する。また、レゾルバ9は、カバー8bの表面側の配置空間10内に位置している。この配置空間10は、シャフト4の端部が位置しており、組み立てが完了すると蓋部材10aによって閉鎖される。以下、シャフト4が伸びている向きを軸方向と称し、軸方向に垂直な向きを径方向と称し、軸方向周りの向きを周方向と称する。
【0013】
この回転電機1には、外部の電源装置11や制御装置12が接続される。そのため、フレーム8には、電源装置11や制御装置12と接続するための外部接続用のコネクタが設けられている。本実施形態の場合、フレーム8には、電源装置11と接続するための強電側コネクタ13と、制御装置12と接続するための弱電側コネクタ14の2つが設けられている。ただし、接続されるコネクタの数は一例であり、2つ以上接続されていてもよい。なお、強電および弱電は相対的な意味で用いている。
【0014】
強電側コネクタ13には、
図2に示すように例えばU相、V相、W相の三相交流電源が電源装置11から供給される。この強電側コネクタ13は、フレーム8側ここではカバー8bの表面に取り付けられている強電側端子台13aと、強電側プラグ13bとにより構成されている。強電側プラグ13bは、電力ケーブル15によって電源装置11と接続されている。
【0015】
強電側端子台13aには、回転電機1に電力を供給するための電力用端子16と、後述するように嵌合を検出するための嵌合検出用端子17とが設けられている。電力用端子16は、本実施形態ではU相電力用端子16a、V相電力用端子16bおよびW相電力用端子16cの3本が設けられている。各電力用端子16は、カバー8bの表面側から理面側まで貫通した状態で設けられており、フレーム8の内部において各相の引き出し線7とそれぞれ接続される。
【0016】
引き出し線7の先端には圧着端子18が装着されており、例えばねじ止めによって各相の電力用端子16にそれぞれ接続される。本実施形態では、カバー8bを本体に組付けた状態でねじ止めすることができるように、カバー8bには、
図1に示すようにその表面からねじ止め位置まで連通しているアクセス空間19が設けられている。このアクセス空間19は、ねじ止め作業が完了すると閉鎖部材19aによって閉鎖される。
【0017】
嵌合検出用端子17は、
図2に示すように、カバー8bを貫通する状態で設けられており、フレーム8の内部で嵌合検出線21が接続されている。なお、詳細は後述するが、この嵌合検出線21は、本実施形態において保持対象になっているケーブルである。この嵌合検出用端子17と接触する強電側プラグ13b側は、その内部配線22が折り返されている。
【0018】
このため、強電側プラグ13bを強電側端子台13aに差し込んだ場合には、正しく差し込まれていれば嵌合検出線21の2本の検出線21aと検出線21bとの間が短絡されることになる。これにより、強電側コネクタ13の嵌合状態の判定、つまりは、強電側コネクタ13が正しく接続されている状態であるか否かの判定を、後述するように嵌合検出線21が接続される制御装置12側で行うことができる。
【0019】
弱電側コネクタ14は、フレーム8側ここではカバー8bの表面に取り付けられている弱電側端子台14aと、制御装置12と制御ケーブル23によって接続されているとともに弱電側端子台14aに差し込まれる弱電側プラグ14bとにより構成されている。
【0020】
本実施形態の場合、弱電側端子台14aには、コイルエンド6に埋め込まれているサーミスタ24に繋がっているサーミスタ線24a、嵌合検出線21、およびレゾルバ9に接続されている例えば6本のレゾルバ線9aが接続される。本実施形態の場合、弱電側端子台14aは、レゾルバ9が配置されている配置空間10を閉鎖する蓋部材10aの表面側から蓋部材10aを貫通する状態で取り付けられている。
【0021】
このように、回転電機1には、電力用のケーブルとしての引き出し線7の他に、回転電機1とコネクタとを接続するケーブルであるサーミスタ線24a、コネクタ間を接続するケーブルである嵌合検出線21、回転電機1とコネクタとの間を接続するケーブルであるレゾルバ線9aなど、回転電機1の制御に用いられる信号用のケーブルが配線されている。
【0022】
次に、上記した構成の作用について説明する。
上記したように、例えば車載用の回転電機1の場合には信号用のケーブルが配線されることがあり、そのような信号用のケーブルは、例えばノイズや熱の影響を抑制するために、所定の配線経に保持されることが必要になるとともに、ケーブルの保持や配線などの作業を容易に行うことができることも求められる。そこで、以下のようにしてケーブルを容易に所定の配線経路に配線することができるようにしている。
【0023】
まず、後述するケーブル保持構造の作用効果を理解し易くするために、保持対象となる嵌合検出線21の配線経路および回転電機1の組み立て順について説明する。本実施形態の嵌合検出線21は、フレーム8ここではカバー8bの表面側に取り付けられている強電側コネクタ13と弱電側コネクタ14との間を接続する。このとき、嵌合検出線21は、破線にて示すようにアクセス空間19からカバー8bの裏面側に引き出され、カバー8bの裏面側を周方向に概ね1/4周した後、配置空間10に繋がる開口からカバー8bの表面側に引き出される配線経路で配線される。つまり、嵌合検出線21は、その配線経路において少なくとも一部がフレーム8の内部に配線されている。
【0024】
そして、嵌合検出線21は、
図4に端部結線工程として示すようにまず強電側コネクタ13の嵌合検出用端子17に一端が接続され、内部配線工程として示すように他端側が配置空間10に出るように配線される。そして、回転子3組付け工程として示すように図示しない回転子3がカバー8bに組付けられ、レゾルバ9が取り付けられる。なお、回転子3組付け工程と内部配線工程とは順不同である。
【0025】
続いて、本体組付け工程として示すようにカバー8bを本体に組み付けることで、本体に固定されている固定子2から本体に組み付けることで、引き出し線7の端部がアクセス空間19に位置するとともに、サーミスタ線24aが配置空間10に引き出される。本実施形態の場合、サーミスタ線24aは、引き出し線7から周方向に概ね1/4周した位置でコイルエンド6から引き出されている。そのため、カバー8bを本体に装着する際には、サーミスタ線24aの引き出し位置が概ね配置空間10への開口と一致することになり、基本的にはコイルエンド6からまっすぐ引き出すことで配置空間10まで配線することができる。
【0026】
そして、接続工程として示すように、コイルエンド6からの引き出し線7が強電側端子台13aに接続されるとともに、嵌合検出線21、サーミスタ線24aおよびレゾルバ線9aが、蓋部材10aが装着された状態で弱電側端子台14aと接続された後、取り付け工程として示すように弱電側端子台14aがカバー8bの表面に固定される。
【0027】
このような配線経路および組み立て順の場合、嵌合検出線21は、端部接続工程から接続工程までの間において、強電側端子台13aとは逆側の他端が、フリーの状態になっている。そして、嵌合検出線21は、その一部が外部からの目視が困難なフレーム8の内部に配線される。そのため、嵌合検出線21は、各工程においてその位置が変化しないように、また、例えば本体組付け工程において固定子2や本体部8aに挟まれたりしないように所定の配線経路で保持することが必要になる。
【0028】
このとき、嵌合検出線21は、信号用のケーブルであることから、コイルエンド6からのノイズや熱の影響をできるだけ受けないように配線されることが望ましい。さらに、組み立て作業を効率化するためには、嵌合検出線21を容易に保持できることが求められるとともに、製造コストの観点からすると、保持構造が複雑化することは望ましくない。
【0029】
そこで、本実施形態では、
図3に示すように、カバー8bの裏面側に、嵌合検出線21の配線経路に沿って少なくとも1つ以上の取付穴27を設けている。この取付穴27は、カバー8bを貫通しない深さで単純な柱状に形成されている。この取付穴27は、カバー8bの裏面に形成されているため、例えばドリルなどで容易に形成することができる。すなわち、保持構造に必要とされる取付穴27を非常に容易に形成することができる。なお、取付穴27はねじ穴のように内面に凹凸を有する形状に形成することもできるが、その場合であっても、カバー8bの裏面側から容易に形成することができる。
【0030】
そして、この取付穴27には、
図5に示す保持部材30が取り付けられる。この保持部材30は、耐熱性を有する例えば樹脂材料で形成されており、ケーブルが通る貫通孔31が設けられているブロック状の頭部32と、頭部32から延びている柱状の軸部33と、頭部32と軸部33との間に設けられ、軸部33から径方向外側に広がるフランジ部34とを有している。この保持部材30の軸部33には、径方向外側に広がっており、取り付け状態として示すように取付穴27に挿入された際に弾性変形しつつ取付穴27の内面と密に接触し、弾性変形した際の復元力と摩擦力とによって抜け防止機構として機能する複数の傘部35が設けられている。
【0031】
このような形状の保持部材30としては、耐熱性や耐久性を考慮した上で、産業用途向けに市販されている結束用部材を利用することができる。ここで、結束用部材とは、一般的には貫通孔31を有するマウンタと貫通孔31に通される結線バンドとにより構成されており、マウンタの上部にケーブルを渡して結束バンドで結束するものを想定している。
【0032】
そして、本実施形態では、結束用部材のマウンタを保持部材30として利用しており、その貫通孔31に嵌合検出線21を通すことで、嵌合検出線21を保持している。つまり、本実施形態の保持部材30は、特殊な形状のものを新たに用意する必要はなく、市販品を流用することで実現できる。
【0033】
また、保持部材30は、軸部33を取付穴27に挿入あるいは圧入することでフレーム8の内面に取り付けることができるため、保持部材30の取り付け作業が容易になる。さらに、予め形成されている貫通孔31に嵌合検出線21を通すことで保持することができるため、保持ケーブルを容易に保持することができ、ケーブルの配線作業も容易となる。なお、保持部材30としては、例えばファーツリーマウント付きタイ(登録商標)のマウントを用いることができる。
【0034】
具体的には、
図3のVI領域を拡大した態様の
図6に取り付け状態として示すように、破線にて示す嵌合検出線21の配線経路に沿って設けられている取付穴27に保持部材30の軸部33を挿入し、保持部材30を配線経路に沿って1つ以上、本実施形態であれば2つ取り付ける。このとき、保持部材30は、軸部33を挿入した状態で頭部32を回すことにより、保持部材30の側方に付した矢印にて示すように、貫通孔31の貫通方向が配線経路に沿った状態となるように任意に向きを変更することができる。なお、貫通孔31に予め嵌合検出線21を通した状態で保持部材30を取り付けることもできる。
【0035】
これにより、保持状態として示すように、嵌合検出線21は、無理に曲げられたりすることなく、その配線経路に沿うように配線することが可能となる。また、頭部32と軸部33との間にフランジ部34を設けていることから、嵌合検出線21は、フレーム8の内面との間に所定の距離を介した状態で、且つ、フレーム8の内部においてフレーム8に近い側に保持される。なお、フレーム8に近いとは、コイルエンドまでの距離に比べてフレームまでの距離が短い状態を意味している。
【0036】
なお、
図6では嵌合検出線21の検出線21aと検出線21bとを図示しているが、検出線21aと検出線21bとを例えば耐熱性シースに収容し、見かけ上は1本のケーブルを保持するために保持部材30を用いたり、貫通孔31の大きさにもよるものの3本以上のケーブルを保持するために保持部材30を用いたりすることもできる。
【0037】
以上説明した保持構造によれば次のような効果を得ることができる。
実施形態のケーブルの保持構造は、回転電機1のケーブルを保持するためのものであって、回転電機1を収容するフレーム8に取り付けられ、ケーブルを保持する保持部材30を備え、フレーム8には、保持部材30を取り付けるための取付穴27が、ケーブルの配線経路に沿って少なくとも1つ以上形成されている。そして、保持部材30は、ケーブルが通る貫通孔31が設けられている頭部32と頭部32から延びている軸部33とを有しており、軸部33を取付穴27に挿入することでフレーム8に取り付けられ、ケーブルをフレーム8側に保持する。
【0038】
このような構成とすることにより、まず、ケーブルを保持するための保持部材30を容易に回転電機1のフレーム8に取り付けることができる。そして、保持部材30が取り付けられるフレーム8は、単純形状の取付穴27を設ければよいことから、保持部材30を取り付けるための構造を簡略化することができる。
【0039】
そして、ケーブルは、貫通孔31に通されることにより、フレーム8に取り付けられている保持部材30によってフレーム8側、つまりは、フレーム8の内部において固定子2やコイルエンド6から離間した側で保持される。したがって、ケーブルの取り回しが容易になり、ノイズや熱の影響を抑制しつつ、回転電機1のケーブルを容易に所定の配線経路に配線することができる。
【0040】
このとき、保持部材30は、軸部33を取付穴27に挿入することでフレーム8に取り付けられるため、貫通孔31の貫通方向を配線経路に沿った向きとすることにより、ケーブルを無理に曲げたりすることなく、所定の配線経路に沿って配線することができる。
【0041】
また、保持部材30は、頭部32と軸部33との間に当該軸部33から径方向外側に広がるフランジ部34を有しており、フレーム8との間に所定の距離を保った状態でケーブルをフレーム8側に保持する。これにより、ケーブルをフレーム8の内面との間に所定の距離を介した状態で、且つ、フレーム8側の位置で保持することができ、沿面距離を確保することができる。
【0042】
また、ケーブルは少なくとも一部がフレーム8内に配線されており、保持部材30は、ケーブルのフレーム8内に配線されている部位をフレーム8側に保持する。これにより、外からの目視が困難な場合であっても、ケーブルを所定の配線経路に沿った状態、且つ、フレーム8から離間しない状態に保持することができ、ケーブルが意図しない位置に配線されたり、ケーブルが撓んで他の部材に挟まれたりするおそれを低減することができる。
【0043】
また、フレーム8には外部接続用のコネクタが複数設けられており、保持部材30は、コネクタ間を接続するものであってコネクタの嵌合を検出する嵌合検出用のケーブルを保持する。これにより、回転電機1とは繋がっていないケーブルを配線する必要がある場合において、そのケーブルが回転電機1の組み立て作業、例えば固定子2や回転子3をフレーム8に取り付けたり本実施形態であれば本体部8aとカバー8bとを組み立てたりする作業時において位置が変わったりすることを防止でき、作業性が悪化することを抑制できる。
【0044】
また、
図7に示すように、軸部33が断面視にて十字形状になっている保持部材30を用いることもできる。この場合、軸部33を取付穴27に挿入した際、十字の外縁が弾性変形しつつ取付穴27と密に接触することにより、容易に取り付けることができる。この場合、実施形態のものも同様であるが、振動等により抜けてしまうおそれをさらに低減するために、取付穴27に耐熱性の接着剤を充填することもできる。また、フランジ部34を設けない構成とすることもできる。
【0045】
実施形態では嵌合検出線21を保持対象のケーブルとする例を示したが、レゾルバ線9aやサーミスタ線24aを保持対象のケーブルとすることができる。また、回転電機1に配線される他のケーブル類であっても、保持対象とすることができる。例えば、回転電機1の複数個所に温度センサを設けたり、振動センサを設けたりする構成において、それらに繋がるケーブルを保持対象とすることができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
図面中、1は回転電機、8はフレーム、8aは本体部(フレーム)、8bはカバー(フレーム)、9aはレゾルバ線(ケーブル)、13は強電側コネクタ(コネクタ)、14は弱電側コネクタ(コネクタ)、21は嵌合検出線(ケーブル)、24aはサーミスタ線(ケーブル)、27は取付穴、30は保持部材、31は貫通孔、32は頭部、33は軸部、34はフランジ部を示す。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機のケーブルを保持するためのケーブル保持構造であって、
前記回転電機を収容するフレームに取り付けられ、前記ケーブルを保持する保持部材を備え、
前記ケーブルは、少なくとも一部が前記フレーム内に配線されており、
前記フレームの内面には、前記保持部材を取り付けるための取付穴が、前記ケーブルの配線経路に沿って少なくとも1つ以上形成されており、
前記保持部材は、前記ケーブルが通る貫通孔が設けられている頭部と前記頭部から延びている軸部とを有しており、前記軸部を前記取付穴に挿入することで前記フレームに取り付けられ、前記ケーブルの前記フレーム内に配線されている部位を前記フレームの内面側に保持する回転電機のケーブル保持構造。
【請求項2】
前記保持部材は、前記頭部と前記軸部との間に当該軸部から径方向外側に広がるフランジ部を有しており、前記フレームの内面との間に所定の距離を保った状態で前記ケーブルを保持する請求項1記載の回転電機のケーブル保持構造。
【請求項3】
前記フレームには、外部接続用のコネクタが複数設けられており、
前記保持部材は、前記コネクタ間を接続するものであって前記コネクタへの嵌合を検出する嵌合検出用の前記ケーブルを保持する請求項1または2記載の回転電機のケーブル保持構造。