IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

<>
  • 特開-車両用灯具 図1
  • 特開-車両用灯具 図2
  • 特開-車両用灯具 図3
  • 特開-車両用灯具 図4
  • 特開-車両用灯具 図5
  • 特開-車両用灯具 図6
  • 特開-車両用灯具 図7
  • 特開-車両用灯具 図8
  • 特開-車両用灯具 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081531
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/60 20180101AFI20230606BHJP
   F21S 41/29 20180101ALI20230606BHJP
   F21S 41/275 20180101ALI20230606BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20230606BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230606BHJP
   F21S 41/141 20180101ALI20230606BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20230606BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20230606BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230606BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20230606BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230606BHJP
【FI】
F21S45/60
F21S41/29
F21S41/275
F21V23/04 130
F21V23/00 117
F21S41/141
F21S41/16
F21W102:13
F21Y115:10
F21Y115:20
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195302
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】近江 武史
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014GA05
(57)【要約】
【課題】容易に配置可能な温度センサを有する融雪機構を備えた車両用灯具を提供する。
【解決手段】
前方が開口したランプボディと、ランプボディの開口部に取付けられて灯室を形成するランプカバーと、ランプカバーの内側に敷設され、給電されることにより発熱する発熱部材と、ランプカバーの内側に発熱部材の末端として所定の面積を持って設けられる電気的接点と、前記ランプボディに直接的または間接的に取付けられる基板と、弾性変形可能に構成され、基板に装着され前記電気的接点に向かって付勢されて電気的接点に当接して電気的に接続される端子と、基板に装着され、ランプカバーに向かって突出して設けられる温度センサとを備えた車両用灯具を提供する。温度センサがランプボディに取付けられる基板に装着されるため、配置が容易で、ランプカバーに近接して設けるため、高精度にランプカバーの温度を検知できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方が開口したランプボディと、
透光性樹脂で構成され、前記ランプボディの開口部に取付けられて灯室を形成するランプカバーと、
前記ランプカバーの内側に敷設され、給電されることにより発熱する発熱部材と、
前記ランプカバーの内側に、前記発熱部材の末端に設けられる電気的接点と、
前記ランプボディに直接的または間接的に取付けられる基板と、
前記基板に装着され、前記電気的接点に向かって付勢されて前記電気的接点に当接して電気的に接続される端子と、
前記基板に装着され、前記ランプカバーに向かって突出して設けられる温度センサと、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記基板は、該基板に取付けられるハウジングを有し、
前記端子および前記温度センサは、前記ハウジングを介して前記基板に装着される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記基板には、一対の前記端子が装着され、
前記温度センサは、一対の前記端子の間に装着される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記温度センサは、脚部と、前記脚部の先端に設けられる温度センサ本体を有し、
前記温度センサは、前記脚部で前記基板に装着される、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかの請求項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記温度センサは、前記端子の最大押し下げ位置よりも、前記ランプカバーから離れて設けられる、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかの請求項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記電気的接点は、導電性接着剤で取付けられた、金属製の円形の受け部材を有する、
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかの請求項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、温度センサを有する融雪機構を備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具のランプカバーに付着した雪は、適切な光の照射の妨げとなる。このため、給電により発熱する発熱部材をランプカバーに敷設し、発熱部材の発する熱で融雪させる融雪機構を備えた車両用灯具がある。融雪機構には温度センサが設けられる場合がある(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-205234号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の温度センサは、ランプカバーにインサート成形されているため、成形が難しく、またコスト高という問題がある。
【0005】
本発明は、これを鑑みてなされたものであり、容易に配置可能な温度センサを有する融雪機構を備えた車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するため、本開示の車両用灯具のある態様においては、前方が開口したランプボディと、透光性樹脂で構成され、前記ランプボディの開口部に取付けられて灯室を形成するランプカバーと、前記ランプカバーの内側に敷設され、給電されることにより発熱する発熱部材と、前記ランプカバーの内側に、前記発熱部材の末端に設けられる電気的接点と、前記ランプボディに直接的または間接的に取付けられる基板と、弾性変形可能に構成され、前記基板に装着され、前記電気的接点に向かって付勢されて前記電気的接点に当接して電気的に接続される端子と、前記基板に装着され、前記ランプカバーに向かって突出して設けられる温度センサと、を備えるように構成した。
【0007】
この態様によれば、温度センサは、基板に装着されるため、配置が容易である。温度センサが突出してランプカバーに近づいて設けられているため、ランプカバーの温度をより高精度に検知できる。
【0008】
また、ある態様では、前記基板は、該基板に取付けられるハウジングを有し、前記端子および前記温度センサは、前記ハウジングを介して前記基板に装着されるように構成した。この態様によれば、温度センサがハウジングを介して配置されることで、安定して突出して配置され得る。
【0009】
また、ある態様では、前記基板には、一対の前記端子が装着され、前記温度センサは、一対の前記端子の間に装着されるように構成した。温度センサが、金属製の端子の近傍に配置される。金属製の端子は、熱伝達率が高いため、温度変化しやすく、温度センサは、異常温度上昇をいち早く検知でき、フェールセーフの一部としての役割を果たすことができる。
【0010】
また、ある態様では、前記温度センサは、脚部と、前記脚の先端に設けられる温度センサ本体を有し、前記温度センサは、前記脚部で前記基板に装着されるように構成した。温度センサを脚部により所望の突出長で配置できる。
【0011】
また、ある態様では、前記温度センサは、前記端子の最大押し下げ位置よりも、前記ランプカバーから離れて設けた。温度センサとランプカバーの干渉を回避でき、干渉による不具合の発生を抑制した。
【0012】
また、ある態様では、前記電気的接点は、導電性接着剤で取付けられた、金属製の円形の受け部材を有するものとした。受け部材により、端子のズレに広範囲で対応でき、導通の信頼性も高められる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、容易に配置可能な温度センサを有する融雪機構を備えた車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る車両用灯具の斜視図である。
図2】同車両用灯具の概略構成を説明する正面図である。
図3】ランプカバーを取りはずした状態(ランプカバーとランプボディを開いた状態)の車両用灯具である。内部構成要素は省略した。
図4図2のIV-IV線に沿った端面図である。主として、電気的な接続構成を示す。
図5】給電機構の斜視図である。電気的接点も分離して示す。
図6】給電機構の平面図である。
図7】電気的接点の拡大正面図である。
図8】第2の実施形態に係る車両用灯具の主要部を示す端面図である。図4に対応する。
図9】第2の実施形態に係る車両用灯具の主要部を示す斜視図である。図5に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。また、以下の実施形態および変形例の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。なお、各図においては、寸法や比率は実際の数値を反映したものではなく、構成を模式的に表して、特徴を分かりやすく示している。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車両用灯具1の斜視図である。図2は、車両用灯具1の概略構成を示す正面図である。
【0017】
図1および図2に示すように、車両用灯具1は前照灯であり、車両の前部の左右両側に左右一対としてそれぞれ装着される。車両用灯具1は、ランプボディ2と、ランプカバー4を備える。
【0018】
ランプボディ2は、前方が開口した筐体であり、開口部にランプカバー4が取付けられることで、内側に灯室Sが形成される。ランプカバー4は、いわゆるアウターカバーであり、例えばポリカーボネイトなどの透光性樹脂で形成された、ほぼ素通しのレンズである。
【0019】
画成された灯室S内には、ハイビーム用のランプユニットHi、およびロービーム用のランプユニットLoが収容されている。ハイビーム用のランプユニットHiおよびロービーム用のランプユニットLoは、光源からの出射光を前方に照射して、車両前方にハイビーム配光/ロービーム配光を形成するよう構成された光学ユニットである。各ランプユニットHi,Loには、従来周知の構成、例えば反射型、プロジェクタ型などの灯具ユニットが用いられており、その種類は問わない。各ランプユニットLo,Hiに用いられる光源には、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、EL(Electro Luminescence)素子などの発熱を伴わない発光素子が用いられる。
【0020】
ランプカバー4の内表面には、給電されることで熱線回路パターンが発熱する発熱部材21が敷設されている。発熱部材21は線状に構成され、所定の布線パターンで、ランプカバー4の内表面のほぼ全面に設けられている。発熱部材21の発生する熱により、ランプカバー4の外表面に付着した雪や氷が融かされ、また内外に生じた曇りが解消され、ランプユニットHi,Loの適切な配光が確保される。発熱部材21により、車両用灯具1の融雪機能が実装される。
【0021】
発熱部材21には、例えば、抵抗熱線が用いられ、所望の回路パターンがランプカバー4の内表面に布設されている。また、布設のために粘着剤または接着剤を用いる場合には、熱硬化型や紫外線硬化型でもよく、光透過性を有するものが好ましい。抵抗熱線は、導電性ペーストや導電性インクを用いて、転写やスクリーン印刷によって布線されてもよい。抵抗熱線は、タングステン、モリブデン、ニッケルクロムなどの比較的導電率の低い部材を含んで構成される。抵抗熱線への給電により抵抗熱線が抵抗加熱され、これによって、抵抗熱線が融雪可能な温度まで上昇する。発熱部材21の線径は極小であるために目立たず、ランプカバー4の透過性減少は許容範囲内に抑えられる。
【0022】
また、発熱部材21には透明フィルムヒーターを用いてもよい。透明フィルムヒーターは、透光性を有する薄膜の発熱体であり、透明PETフィルムなどの透明部材の上に、視認できないほどの極細の金属線をメッシュ状に配置したもの、あるいは微粒子状の金属を蒸着させたものである。フィルム状の透明部材の表面に、金属が極薄く配置されており、光の透過率が高い。あるいは、ITO膜(酸化インジウムスズ膜)による透明な発熱膜を用いてもよい。透明フィルムに導電性インクを用いたFPC(Flexible printed circuits)でもよい。透明フィルムヒーターは、ランプカバー4の内表面に、前述の粘着剤または接着剤により接着される。ランプカバー4の内表面に透明フィルムヒーターがダイレクト成膜されてもよい。
【0023】
ランプカバー4の外表面には、揮発性を有する膜(撥水コート)をコーティングしてもよく、これによりランプカバー4の外表面に付着した雪や氷が、ランプカバー4との界面の溶融により、速やかに除去される。
【0024】
発熱部材21の末端部には、電気的接点22が設けられており、発熱部材21は電気的接点22を介して接続された車両用バッテリーから給電される。本実施形態においては、線状の発熱部材21は、左右方向にジグザグに蛇行しながらほぼ平行に連続する布線パターンで敷設され、発熱部材21の始点/終点となる末端部に、電気的接点22,22が形成されている。電気的接点22,22は、配光を邪魔しない位置として、ランプカバー4の裏面側の中央下部に、近接して設けられている。発熱部材21の布線パターンはこれに限られず、ランプユニットいHi,Loの前方を主として、ランプカバー4の通光部に網羅的に敷設されればよい。
【0025】
(給電機構30)
車両用灯具1は、発熱部材21に給電するためのランプボディ2側の機構として、電気的接点22と電気的に接続される給電機構30を備える。
【0026】
図3は、ランプカバー4を取り外した状態(ランプカバー4とランプボディ2を開いた状態)の車両用灯具1である。主として発熱部材21への給電機構30を示し、ランプユニットHi,Loなどのその他の機構は省略している。図4は、図2のIV-IV線に沿った端面図であり、主として給電機構30の概略構成を示す。図5は、給電機構30の斜視図を示す。図6は給電機構30の平面図を示す。
【0027】
図3に示すように、電気的接点22,22はランプカバー4の内表面に設けられる。給電機構30は、電気的接点22,22の位置に対応したランプボディ2の開口部近傍の中央下部に設けられる。
【0028】
給電機構30は、ポゴピン31、ハウジング32、温度センサ33、コネクタ34、およびこれらが装着される基板39を含んで構成される。
【0029】
基板39は表面39aをランプボディ2の開口部に向け、直接的または間接的にランプカバー4の内壁に取付けられる。
【0030】
ハウジング32はコネクタハウジングであり、基板39の表面39aに取付けられる。ハウジング32のランプカバー4との対向面に、ポゴピン31および温度センサ33が設けられている。
【0031】
ポゴピン31は、バネなどの弾性部材(不図示)により付勢された突没可能な棒状端子である。全体に金メッキが施され、先端部は半球状となっている。ポゴピン31はハウジング32を介して基板39に取付けられる。基板39の表面39aに装着されたハウジング32から、一対のポゴピン31,31が前方のランプカバー4に向けて付勢されて突出している。
【0032】
基板39の裏面39bには、コネクタ34が取付けられている。コネクタ34には図示しない車両バッテリーに接続されたリード線端子が装着されている。この端子はさらにポゴピン31とも電気的に結合している。
【0033】
温度センサ33は、温度を検知するセンサであり、導電部となる一対の脚部33aと、脚部33aの先端に設けられる温度センサ本体33bとを有する。温度センサ33は、ハウジング32の二つのポゴピン31,31の間に設けられている。温度センサ本体33bはハウジングの表面に露出する。脚部33aはハウジング32内を貫通して、基板39に装着される。本実施形態では、ハウジング32は基板39の表面にランプカバー4に対向して装着されており、温度センサ33は、ハウジング32を介してランプカバー4に向かって突出して設けられる。
【0034】
ポゴピン31,31は電気的接点22,22の対向位置に配置され、ポゴピン31,31は付勢されて電気的接点22,22に当接して、電気的接点22,22と電気的に接続される。
【0035】
電気的接点22は、ポゴピン31の受け部材として、ポゴピン31が当接する受け部材23を有する。受け部材23は金メッキが施された金属製の円形薄板であり、導電性接着剤により、ランプカバー4の内表面に直接固定される。
【0036】
図7は、受け部材23の正面図である。受け部材23は、伝導率の高い金属、例えば銅合金で構成されると好ましく、表面には金メッキが施されるとより好ましい。受け部材23は、板厚が0.5mm~2.0mm程で、半径Rが2mm~10mm程の円形の外形で、コイン形状となっている。受け部材23の外径は、ポゴピン31の外径よりも大きく、ポゴピン31が当接可能な面積を広くして、ポゴピン31の配置ズレ、および振動による位置ズレに対応している。
【0037】
受け部材23は樹脂ハウジングを持たず、発熱部材21の末端部に、直接に設けられる。ハウジングを省略することで、受け部材23をより大きく設定することができ、ポゴピン31の位置ズレに、より広範囲に対応できるものとなっている。即ち、ポゴピン31が当接する正位置を受け部材23の中央Oとして、設置時の位置ズレや、振動による位置ズレは、受け部材23の半径Rの範囲(±半径mm)で対応できる。ここで、仮に受け部材が、一辺が受け部材23の直径と同じ矩形状であるとすると、四隅の領域AR(図7のハッチング領域)がほぼデッドスペースとなるうえ、受け部材の接着剤のはみだしを吸収するスペースがない。受け部材23の外形を円形状とすることで、実質的に矩形状と同等の位置ズレに対応できるうえ、四隅の領域ARを接着剤のはみだし代として設けることができる。はみだし代により、接着剤を取り付け面からはみだして取付けるとことができ、接着剤を領域ARにはみだして取付けることで、接着剤が受け部材23の接着面をカバーしていることを目視で確認することが可能となっている。
【0038】
また、電気的接点22が、受け部材23のない、例えば銀ペーストなどの導電性の金属ペーストがランプカバー4の内表面に塗布されて形成される形態の場合、硫化しやすいという問題がある。受け部材23を用いることで、硫化を防止し、ポゴピン31との電気的な接続の信頼性を高めている。
【0039】
車両用灯具1を組立の際には、まずランプカバー4とランプボディ2との溶着の前工程にて、給電機構30がランプボディ2に取付けられる。同様に、溶着の前工程にて、発熱部材21がランプカバー4の内表面に設けられ、受け部材23が電気的接点22として接着剤で発熱部材21の末端部に取付けられる。ついで、ランプカバー4とランプボディ2との溶着工程として、ランプカバー4がランプボディ2のフランジ部に合わせられる。これにより、ポゴピン31は受け部材23に付勢された状態で当接して保持され、両者が電気的に結合される。車両バッテリーから供給される電流は、コネクタ34に装着された図示しないリード線端子、ポゴピン31、電気的接点22と順に通って、発熱部材21に供給される。
【0040】
溶着工程にて、ランプボディ2とランプカバー4が対向配置されることで、ポゴピン31の図示しない弾性部材による受け部材23への付勢力により、両者が自然に電気的に結合されるため、電気的な結合が不要で組み付けが容易である。加えて、ポゴピン31が付勢された状態で受け部材23と電気的に結合されるため、電気的な結合が安定する。
【0041】
温度センサ33は、周囲の温度を計測するセンサであり、主として、ランプカバー4の温度を検知するために使用される。発熱部材21への給電は、温度センサ33によって検知された温度に基づいて制御され得る。例えば、温度センサ33による計測値が閾値以下になると、発熱部材21への給電を開始し、閾値を超えると、発熱部材21への給電を停止するように、給電を制御できる。
【0042】
温度センサ33は、ハウジング32を介して装着される基板39からランプカバー4に向かって突出して設けられており、温度センサ本体33bが、計測対象物であるランプカバー4に近接して配置され、ランプカバー4の温度が、精度よく計測される。
【0043】
温度センサ33は、ポゴピン31の最大押し下げ位置よりも、ランプカバー4から離れて配置されており、ランプカバー4に近接配置されるが、ランプカバー4と接触することがない。車両用灯具1が振動しても、温度センサ33がランプカバー4とは干渉することはなく、干渉による温度センサ33の故障を回避できる。
【0044】
また、温度センサ33は、異常高温へのフェールセーフとしての役割を有する。これは、運転者が発熱部材21への給電のスイッチを切り忘れた、もしくは制御エラーなど、何らかの理由で外気温が高いままに発熱部材21へ給電されると、ランプカバー4が高温で溶けてしまう、もしくは発熱部材21が焼き切れてしまうことがある。このような故障や不具合の発生を回避するため、温度センサ33が異常高温を検知すると、発熱部材21への給電を停止するように制御を行うことができる。熱伝導率が高く、温度の上がりやすい金属製のポゴピン31,31の近傍に温度センサ33が配置されることで、温度センサ33は異常高温をいち早く検知することができ、上記の温度上昇によるフェールセーフをいち早く実施することができる。温度センサ33は、給電機構30の基板39に装着されるため、容易に配置可能で、被検知対象物であるランプカバー4の近傍に配置されるため、温度上昇も比較的精度よく検知できる。
【0045】
加えて、温度センサ33が一対で設けられるポゴピン31,31の間に配置されることで、集約配置により基板39をより小さいものとすることができる。給電機構30は、その役割から、透光性樹脂で構成されるランプカバー4に近接して配置されるため、外部から視認されやすい。基板39、ひいては給電機構30を小さく構成することで、存在感を小さくすることができ、目隠し部材を配置する場合にはその目隠し部材も小さいものとすることができ、意匠性の低下を抑制することができる。また灯室S内の省スペース、および車両用灯具1の軽量化を図ることができる。
【0046】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る車両用灯具101の端面図である。図9は、車両用灯具1の斜視図である。車両用灯具101は、給電機構130を有する。図8および図9は、主として、給電機構130の形態を示す。図8図4に、図9図5に、それぞれ対応する。
【0047】
図8に示すように、給電機構130は、基板39と、基板39に装着される板バネ端子131,131、温度センサ133、およびコネクタ34を備える。
【0048】
給電機構130は、ハウジングは備えず、板バネ端子131および温度センサ133は、基板39の表面39aに直接に装着される。
【0049】
板バネ端子131は、薄い金属板を略S字型に形成して弾性変形可能に構成した板バネ状の端子である。一対の板バネ端子131,131は、電気的接点22,22に対向配置され、弾性変形可能方向を、電気的接点22へ向かう方向(図9の白矢印参照)として、基板39に装着される。板バネ端子131は、設置状態で、受け部材23に付勢されて当接し、受け部材23と電気的に結合されている。
【0050】
コネクタ34には図示しない車両バッテリーに接続されたリード線端子が装着されており、この端子はさらに板バネ端子131とも電気的に結合している。
【0051】
温度センサ133は、導電部となる脚部133aと脚部133aの先端部に設けられる温度センサ本体133bを有する。温度センサ133は、脚部133aにより基板39からランプカバー4へ向かって突出して、基板39に設けられている。
【0052】
本実施形態のように、基板39にハウジングが備えられていない場合でも、温度センサ133を、基板39から脚部133aにより、基板39から突出させて装着させることで、脚部133a分だけ、温度センサ本体133bをランプカバー4に近づけて配置させることができる。また、温度センサ133は、板バネ端子131,131の間に設けられている。温度センサ133は金属製の板バネ端子131の近傍に配置されており、温度変化もいち早く検知できる。
【0053】
温度センサ133には、市販のディスクリート部品を使用することができ、安価に、かつ容易に、基板39に突出させて装着させることができる。
【0054】
板バネ端子131の形状は上記形状に限られない。給電機構30に備えられる電気的接点22との接続端子も、バネ端子やポゴピンに限られず、基板39から弾性変形可能に突出して、基板39に装着されるならば、スプリングターミナルなど、他の構成を用いてもよい。
【0055】
本開示の構成は、前照灯に限らず、寒冷地仕様として融雪機能を備えた標識灯や、リアランプなどにも好適である。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 :車両用灯具
2 :ランプボディ
4 :ランプカバー
21 :発熱部材
22 :電気的接点
23 :受け部材
31 :ポゴピン
32 :ハウジング
33 :温度センサ
33a :脚部
33b :温度センサ本体
39 :基板
S :灯室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9