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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081572
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/14 20060101AFI20230606BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20230606BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20230606BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20230606BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
C11D1/14
C11D3/395
C11D3/04
C11D17/08
B08B3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195379
(22)【出願日】2021-12-01
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】吉村 美里
(72)【発明者】
【氏名】野口 博章
【テーマコード(参考)】
3B201
4H003
【Fターム(参考)】
3B201BB21
3B201BB96
4H003AB03
4H003AB14
4H003AB27
4H003AB31
4H003AC15
4H003BA12
4H003BA20
4H003DA05
4H003DA09
4H003DC02
4H003EA21
4H003ED02
4H003EE08
4H003FA04
4H003FA20
4H003FA23
(57)【要約】
【課題】洗浄性及びすすぎ性に優れる洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】アルキル硫酸エステル(塩)(A)及び/又はアルカンスルホン酸(塩)(B)と、次亜塩素酸(塩)(C)と、アルカリ剤(D)とを含むことを特徴とする洗浄剤組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル硫酸エステル(塩)(A)及び/又はアルカンスルホン酸(塩)(B)と、
次亜塩素酸(塩)(C)と、
アルカリ剤(D)とを含むことを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記アルキル硫酸エステル(塩)(A)を含む請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記アルキル硫酸エステル(塩)(A)は、分岐したアルキル基を有する請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記アルキル硫酸エステル(塩)(A)は、炭素数1~18のアルキル基を有する請求項1~3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記洗浄剤組成物中、前記アルキル硫酸エステル(塩)(A)と前記アルカンスルホン酸(塩)(B)の合計含有量は、0.1質量%以上である請求項1~4のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記洗浄剤組成物中、前記アルキル硫酸エステル(塩)(A)と前記アルカンスルホン酸(塩)(B)の合計含有量は、15質量%以下である請求項1~5のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記洗浄剤組成物中、前記次亜塩素酸(塩)(C)の含有量は、0.1~12質量%である請求項1~6のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
前記アルカリ剤(D)は、アルカリ金属水酸化物である請求項1~7のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
液体である請求項1~8のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項10】
硬質表面に用いられる請求項1~9のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項11】
発泡洗浄剤組成物である請求項1~10のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて洗浄する工程を含む洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品工場等では、食品加工機械、コンベヤライン、床、壁等に付着したタンパク質や油脂等の食品汚れを除去する方法として、発泡洗浄等の種々の洗浄方法が用いられている。なお、発泡洗浄とは、洗浄剤組成物を発泡させて洗浄対象物に吹き付けることにより汚れを除去する方法である。洗浄剤組成物が泡状で接触することで、洗浄対象物との接触時間が長くなり、洗浄効果の向上が期待できる。
【0003】
例えば発泡洗浄に用いられる発泡洗浄剤組成物には、泡状で噴射するための起泡力が求められる。このような用途に用いられる洗浄剤組成物は起泡力が高いため、すすぎ時に大量の水で希釈されたとしても、水の衝突等によって新たな泡が形成されるなどして、すすぎ性が悪いという問題があった。例えば、排水口付近に泡が溜まってしまった場合、泡の上部はすすぎ水と接触しないためにいつまでも泡が消えず、余分なすすぎ水や時間を要してしまうことがある。そのため、洗浄剤組成物、特に発泡洗浄剤組成物には、すすぎ性が良い(すすぎ時の泡切れ性が良い)ことが望まれている。
【0004】
このようなすすぎ性の良い洗浄剤組成物として、例えば、特許文献1には、(A)アミンオキサイド、(B)総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸又はその塩、及び水を含有する、硬質表面用液体洗浄剤組成物であって、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が、0.4以上55以下である、硬質表面用液体洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-203853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、節水・省エネルギーの観点から、発泡洗浄剤組成物等の洗浄剤組成物において、起泡性とともに泡の安定性を良好なものとし、洗浄対象物との接触時間をより長くし、洗浄性及び除菌性を向上し、かつすすぎ性にも優れることが求められている。
特許文献1に記載の洗浄剤組成物は、アミンオキサイドと分岐脂肪酸の併用で、泡安定性とすすぎ性を両立させる旨記載されている。
一方、更なる洗浄剤組成物を開発し、そのバリエーションを増やすことは、洗浄剤組成物を工業的に製造する場合にその選択の幅を拡げることになり、大きな技術的意義がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、洗浄性及びすすぎ性に優れる洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の洗浄剤組成物は、アルキル硫酸エステル(塩)(A)及び/又はアルカンスルホン酸(塩)(B)と、次亜塩素酸(塩)(C)と、アルカリ剤(D)とを含むことを特徴とする。
上記(A)、(B)は、高濃度では起泡性と泡の安定性(本明細書中、これらを総称して発泡性ともいう。)を発揮するため、洗浄剤組成物を例えば均一な泡状で吹き付けることができ、かつ吹き付けた泡を安定に保持できる。また、低濃度では破泡性を発揮するため、すすぎ水によって薄められるすすぎ時には速やかに消泡される。この働きによって、発泡性とすすぎ性とを両立することができる。一方、上記(C)は洗浄性及び除菌性に優れる。また、上記(D)は油汚れやタンパク質汚れの洗浄に適する。
従って、本発明の洗浄剤組成物では、上記(A)、(B)の発泡性によって洗浄剤組成物と洗浄対象物との接触時間が充分に確保されるため、上記(C)の洗浄性及び除菌性や上記(D)の油汚れやタンパク質汚れに対する洗浄性が充分に発揮されると考えられる。
なお、本明細書中、アルキル硫酸エステル(塩)は、アルキル硫酸エステル及び/又はアルキル硫酸エステル塩をいい、ROSO(Rは、アルキル基を表す。Mは、水素原子、金属原子、又は、アンモニウムを表す。)で表されるものである。アルカンスルホン酸(塩)は、アルカンスルホン酸及び/又はアルカンスルホン酸塩をいい、RSO(Rは、アルキル基を表す。Mは、水素原子、金属原子、又は、アンモニウムを表す。)で表されるものである。
次亜塩素酸(塩)は、次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸塩をいう。
【0009】
本発明の洗浄剤組成物は、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)を含むことが本発明における好ましい実施形態の1つである。
【0010】
本発明の洗浄剤組成物では、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)は、分岐したアルキル基を有することが好ましい。
また本発明の洗浄剤組成物では、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)は、炭素数1~18のアルキル基を有することが好ましい。
なお、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)が、炭素数19以上のアルキル基を有する場合に、当該アルキル基に炭素数1~18のアルキル基が含まれているからといって、炭素数1~18のアルキル基を有することにはならない。
上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)は、炭素数1~8のアルキル基を有することがより好ましい。
【0011】
本発明の洗浄剤組成物中、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)と上記アルカンスルホン酸(塩)(B)の合計含有量は、0.1質量%以上であることが好ましい。
本明細書中、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)と上記アルカンスルホン酸(塩)(B)の合計含有量は、本発明の洗浄剤組成物が上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)と上記アルカンスルホン酸(塩)(B)の一方のみを含む場合は、その一方のみの含有量である。
これにより、本発明の洗浄剤組成物のすすぎ性を充分に優れたものとしながら、発泡性がより顕著なものとなる。
【0012】
本発明の洗浄剤組成物中、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)と上記アルカンスルホン酸(塩)(B)の合計含有量は、15質量%以下であることが好ましい。
これにより、本発明の効果が飽和したり、組成物中に濁り・沈殿が生じたりすることをより一層防止できる。
【0013】
本発明の洗浄剤組成物中、上記次亜塩素酸(塩)(C)の含有量は、0.1~12質量%であることが好ましい。
これにより、洗浄性及び除菌性がより優れたものとなり、また、洗浄性及び除菌性の効果が飽和したり、濁り・沈殿が生じたりすることを防止できる。
【0014】
本発明の洗浄剤組成物では、上記アルカリ剤(D)は、アルカリ金属水酸化物であることが好ましい。
これにより、油汚れやタンパク質汚れに対する洗浄性がより優れたものとなる。
【0015】
本発明の洗浄剤組成物は、液体であることが好ましい。
これにより、本発明の洗浄剤組成物がより取り扱いしやすいものとなる。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物は、硬質表面に用いられることが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物が硬質表面に用いられると、本発明の効果がより顕著なものとなる。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物は、発泡洗浄剤組成物であることが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物が発泡洗浄剤組成物であると、洗浄対象物との接触時間をより長くし、洗浄性及び除菌性を向上することができるとともに、すすぎ性がより優れたものとなる。
【0018】
本発明は、本発明の洗浄剤組成物を用いて洗浄する工程を含む洗浄方法でもある。
上記洗浄する工程は、本発明の洗浄剤組成物の原液を用いるものであってもよく、本発明の洗浄剤組成物の溶解液又は希釈液を用いるものであってもよい。中でも、上記洗浄する工程は、本発明の洗浄剤組成物の原液、又は、その溶解液若しくは希釈液を泡状にして洗浄対象物と接触させるものであることが好ましい。
本発明の洗浄方法は、洗浄剤組成物が洗浄性に優れるため、作業者の洗浄作業に係る負担を軽減したり、洗浄剤組成物の使用量を低減したりすることができる。更に、本発明の洗浄方法は、洗浄剤組成物がすすぎ性に優れるため、すすぎ水の使用量を低減させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性及びすすぎ性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0021】
まず、本発明の洗浄剤組成物について説明する。
本発明の洗浄剤組成物は、アルキル硫酸エステル(塩)(A)及び/又はアルカンスルホン酸(塩)(B)と、次亜塩素酸(塩)(C)と、アルカリ剤(D)とを含むことを特徴とする。
【0022】
なお、上述したように、本発明の洗浄剤組成物が上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)を含むことが、本発明における好ましい実施形態の1つである。これにより、発泡性とすすぎ性のバランスがより良好となる傾向がある。
また本発明の洗浄剤組成物が上記アルカンスルホン酸(塩)(B)を含むこともまた、本発明における好ましい実施形態の1つである。これにより、すすぎ性がより優れる傾向がある。
更に、本発明の洗浄剤組成物が上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)及び上記アルカンスルホン酸(塩)(B)を含むこともまた、本発明における好ましい実施形態の1つである。これにより、上記性能を発揮しながら、発泡性がより優れる傾向がある。
【0023】
本発明の洗浄剤組成物において、(A)は、アルキル硫酸エステル(塩)である。
上述したように、アルキル硫酸エステル(塩)は、ROSO(Rは、アルキル基を表す。Mは、水素原子、金属原子、又は、アンモニウムを表す。)で表されるものである。
【0024】
上記Rは、アルキル基を表す。上述したように、該アルキル基は、炭素数が1~18であることが好ましく、3~10であることがより好ましく、6~8であることが更に好ましい。
上記アルキル基は、第一級アルキル基であってもよく、第二級アルキル基であってもよく、第三級アルキル基であってもよいが、第一級アルキル基又は第二級アルキル基であることが好ましく、第二級アルキル基であることがより好ましい。
【0025】
上記Mにおける金属原子は、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子等のアルカリ金属原子、マグネシウム原子、カルシウム原子等が挙げられる。上記金属原子は、例えば、アルカリ金属原子であることが好ましく、ナトリウム原子であることがより好ましい。
なお、上記Mにおけるアンモニウムは、NHである。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物が上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)を含む場合、洗浄剤組成物中、アルキル硫酸エステル(塩)(A)の含有量は、0.08質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましく、0.75質量%以上であることが更に好ましく、1.2質量%以上であることが特に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物中、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)の含有量は、12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、7.5質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以下であることが特に好ましい。
なお、アルキル硫酸エステル(塩)(A)が複数種類用いられている場合、アルキル硫酸エステル(塩)(A)の含有量は各アルキル硫酸エステル(塩)(A)の含有量の合計値として定める。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物において、(B)は、アルカンスルホン酸(塩)である。
上記アルカンスルホン酸(塩)は、上述したように、RSO(Rは、アルキル基を表す。Mは、水素原子、金属原子、又は、アンモニウムを表す。)で表されるものである。
【0028】
上記Rは、アルキル基を表す。該アルキル基は、炭素数が1~36であることが好ましく、6~36であることがより好ましく、12~36であることが更に好ましく、12~27であることが一層好ましく、12~18であることが特に好ましい。
また上記アルキル基の平均炭素数が、13.2~36の範囲内であることが好ましく、13.5~27の範囲内であることがより好ましく、14~18の範囲内であることが更に好ましい。
上記アルキル基は、第一級アルキル基であってもよく、第二級アルキル基であってもよく、第三級アルキル基であってもよいが、第一級アルキル基又は第二級アルキル基であることが好ましく、第二級アルキル基であることがより好ましい。
【0029】
上記Mは、水素原子、金属原子、又は、アンモニウムを表す。上記Mにおける金属原子は、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子等のアルカリ金属原子、マグネシウム原子、カルシウム原子等が挙げられる。上記金属原子は、例えば、アルカリ金属原子であることが好ましく、ナトリウム原子であることがより好ましい。
上記Mにおけるアンモニウムは、NHである。
【0030】
上記アルカンスルホン酸(塩)としては、例えば、アルキル基の炭素数が24~34の第二級アルカンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物が上記アルカンスルホン酸(塩)(B)を含む場合、洗浄剤組成物中、アルカンスルホン酸(塩)(B)の含有量は、0.08質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましく、0.75質量%以上であることが更に好ましく、1.2質量%以上であることが特に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物中、上記アルカンスルホン酸(塩)(B)の含有量は、12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、7.5質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以下であることが特に好ましい。
なお、アルカンスルホン酸(塩)が複数種類用いられている場合、アルカンスルホン酸(塩)の含有量は各アルカンスルホン酸(塩)の含有量の合計値として定める。
【0032】
本発明の洗浄剤組成物中、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)と上記アルカンスルホン酸(塩)(B)の合計含有量は、0.1質量%以上であることが好ましい。
上記合計含有量は、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、1.5質量%以上であることが特に好ましい。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物中、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)と上記アルカンスルホン酸(塩)(B)の合計含有量は、15質量%以下であることが好ましい。
上記合計含有量は、13質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、8質量%以下であることが特に好ましい。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物において、(C)は、次亜塩素酸(塩)である。
次亜塩素酸(塩)として、次亜塩素酸や、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸の金属塩等が挙げられ、これらの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
本発明の洗浄剤組成物中、上記次亜塩素酸(塩)(C)の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、1.5質量%以上であることが特に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物中、上記次亜塩素酸(塩)(C)の含有量は、塩素臭を抑制する観点からは、12質量%以下であることが好ましく、11質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、8質量%以下であることが特に好ましい。
次亜塩素酸(塩)が複数種類用いられている場合、次亜塩素酸(塩)の含有量は各次亜塩素酸(塩)の含有量の合計値として定める。
【0036】
本発明の洗浄剤組成物中、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)と上記アルカンスルホン酸(塩)(B)と上記次亜塩素酸(塩)(C)の合計含有量は、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることが更に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物中、上記合計含有量は、20質量%以下であることが好ましく、17質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物において、(D)は、アルカリ剤である。
アルカリ剤としては、例えば水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩を用いることができ、その種類は特に限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、これらの水和物等が好適なものとして挙げられ、これらの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましい。
【0038】
本発明の洗浄剤組成物中、上記アルカリ剤(D)の含有量は、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが一層好ましく、6質量%以上であることがより一層好ましく、8質量%以上であることが特に好ましい。
例えば、本発明の洗浄剤組成物中、アルカリ剤(D)(より好ましくは、アルカリ金属水酸化物)の含有量が4質量%以上で、かつ水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの含有量が3質量%以上であることが特に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物中、上記アルカリ剤(D)の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
アルカリ剤が複数種類用いられている場合、アルカリ剤の含有量は各アルカリ剤の含有量の合計値として定める。
【0039】
本発明の洗浄剤組成物中、上記アルカリ剤(D)の含有量に対する、上記アルキル硫酸エステル(塩)(A)と上記アルカンスルホン酸(塩)(B)の合計含有量の割合({(A)+(B)}/(D))は、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。
本発明の洗浄剤組成物中、上記割合({(A)+(B)}/(D))は、3以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1以下であることが更に好ましく、0.6以下であることが特に好ましい。
【0040】
本発明の洗浄剤組成物は、更に、上述した以外の界面活性剤、キレート剤、溶剤、分散剤、濡れ性向上剤、粘度調整剤、腐食防止剤、着色料、芳香剤、酸剤、安定化剤、消泡剤、除菌剤等の他の成分を含んでいてもよい。
【0041】
その他の界面活性剤としては、例えば、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0042】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、テトロニック型ブロックポリマー、リバーステトロニック型ブロックポリマー、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明の洗浄剤組成物がノニオン界面活性剤を含む場合、ノニオン界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、洗浄剤組成物中、0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~5質量%であることがより好ましい。
【0043】
両性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等のアミンオキサイド化合物、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン等のベタイン化合物、アルキルアミノ脂肪酸塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0044】
本発明の洗浄剤組成物が両性界面活性剤を含む場合、両性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、洗浄剤組成物中、0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~5質量%であることがより好ましい。
また本発明の洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物中、アミンオキサイド化合物の含有量が0.5質量%未満であることもまた本発明の好ましい実施形態の1つである。これにより、すすぎ時の泡切れをより優れたものとすることができる。
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物中、アミンオキサイド化合物の含有量が0.1質量%以下であることがより好ましい。また、本発明の洗浄剤組成物は、アミンオキサイド化合物を含まないことが更に好ましい。
【0045】
キレート剤としては、ホスホン酸系、リン酸系、エーテルカルボン酸塩系等が挙げられ、これらを併用してもよい。これらの中では、ホスホン酸系キレート剤が望ましい。
【0046】
ホスホン酸系のキレート剤としては、ヒドロキシエチリデンホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)等が挙げられる。
上記キレート剤はホスホン酸部分の少なくとも一部が塩になっていてもよい。
【0047】
リン酸系のキレート剤としては、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸塩等が挙げられる。
【0048】
上記キレート剤における塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等を挙げることができる。中でも、アルカリ金属塩が望ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより望ましい。
また、キレート剤とキレート剤の塩が液体洗浄剤組成物の中で混在していてもよく、キレート剤が液体洗浄剤組成物に含まれている場合にその後にナトリウムイオン等が加えられることによって塩となっていてもよい。
本発明の洗浄剤組成物がキレート剤を含む場合、キレート剤の含有量は特に限定されないが、洗浄剤組成物中、0.1~5質量%であることが好ましい。
【0049】
溶剤としては、脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
脂肪酸系溶剤としては、炭素数1~12の脂肪酸が好ましく、炭素数1~8の脂肪酸がより好ましい。該脂肪酸としては、オクタン酸等の直鎖脂肪酸、オクチル酸等の分岐脂肪酸が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
これらの中では、オクタン酸、オクチル酸等が望ましい。
溶剤を添加することにより、洗浄剤組成物における各主成分の分離、濁りを抑制することができる。
本発明の洗浄剤組成物が溶剤を含む場合、溶剤の含有量は特に限定されないが、洗浄剤組成物中、0.1~10質量%であることが好ましい。
【0050】
分散剤としては、例えば重量平均分子量3,000~300,000の高分子分散剤が挙げられる。
このような高分子分散剤としては、ポリアクリル酸、ポリアコニット酸、ポリイタコン酸、ポリシトラコン酸、ポリフマル酸、ポリマレイン酸、ポリメタコン酸、ポリ-α-ヒドロキシアクリル酸、ポリビニルホスホン酸、スルホン化ポリマレイン酸、オレフィン-マレイン酸共重合体、無水マレイン酸ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸スチレン共重合体、無水マレイン酸メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸エチレン共重合体、無水マレイン酸エチレンクロスリンク共重合体、無水マレイン酸アクリル酸共重合体、無水マレイン酸酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸アクリロニトリル共重合体、無水マレイン酸アクリル酸エステル共重合体、無水マレイン酸ブタジエン共重合体、無水マレイン酸イソプレン共重合体、無水マレイン酸と一酸化炭素から誘導されるポリ-β-ケトカルボン酸、イタコン酸、エチレン共重合体、イタコン酸アコニット酸共重合体、イタコン酸マレイン酸共重合体、イタコン酸アクリル酸共重合体、マロン酸メチレン共重合体、イタコン酸フマール酸共重合体、エチレングリコールエチレンテレフタレート共重合体、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、これらの金属塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
金属塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等を挙げることができる。中でも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
本発明の洗浄剤組成物が分散剤を含む場合、分散剤の含有量は特に限定されないが、洗浄剤組成物中、0.1~5質量%であることが好ましい。
【0051】
本発明の洗浄剤組成物は、更に、水を含有することが好ましい。
水は、上述した成分以外の残部として配合され、その含有量は特に限定されるものではない。水としては、特に限定されないが、例えば水道水、蒸留水、精製水、純水、イオン交換水等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明の洗浄剤組成物中、水の質量濃度は、1~97質量%であることが好ましく、3~95質量%であることがより好ましく、5~90質量%であることが更に好ましく、10~85質量%であることが特に好ましい。
【0052】
本発明の洗浄剤組成物は、液体であることが好ましい。
これにより、本発明の洗浄剤組成物がより取り扱いしやすいものとなる。
なお、液体である液体洗浄剤組成物は、水や溶剤の量を制御することにより適宜調製することができる。
【0053】
本発明の洗浄剤組成物では、25℃でのpHが10~13であることが好ましい。
25℃でのpHが10~13の洗浄剤組成物は、アルカリ性洗浄剤として油汚れやタンパク質汚れの除去に特に効果的である。
なお、pHは、アルカリ剤や酸剤の量を制御することにより調整することができる。
pHの測定は、市販のpHメーター等を用いて行えばよいが、例えば、25℃の温度条件下で、株式会社堀場製作所製、F-73型のpHメーターを用いて測定することができる。
【0054】
次に、本発明の洗浄剤組成物の用途を説明する。
本発明の洗浄剤組成物は、硬質表面に用いられることが好ましい。
硬質表面をもつ硬質材料としては、例えば、金属、セラミック、プラスチック等の樹脂、ガラス、表面処理した木材等が挙げられる。
硬質表面としては、例えば店舗、工場等の建築物の床、壁、天井、屋根の表面等が挙げられ、その他、食器、調理器具、調理装置、コンテナ、トレー等の物品の表面であってもよい。
なお、上述したように、本発明の洗浄剤組成物は、油汚れやタンパク質汚れの洗浄性に優れる。このような本発明の洗浄剤組成物は、例えば、食品を扱う店舗(ホテル、飲食店、食料品店等)及び/又は食品工場(食品加工施設、調理施設等)での洗浄に適しており、食品を扱う店舗及び/又は食品工場の床、壁、天井を洗浄するのに好適に使用できる。
【0055】
本発明は、本発明の洗浄剤組成物を用いて洗浄する工程を含む洗浄方法でもある。
上記洗浄する工程において、本発明の洗浄剤組成物は、必要に応じて水に溶解させたり、水で希釈(例えば、10~300倍)したりしてもよい。
上記洗浄する工程において、本発明の洗浄剤組成物、その溶解液、又は、その希釈液は、蓄圧式発泡洗浄機等の洗浄機で発泡洗浄してもよく、スプレーで泡状にして洗浄してもよい。なお、本発明の洗浄剤組成物、その溶解液、又は、その希釈液を自動洗浄機に投入して使用してもよいし、洗浄対象物に塗布し、しばらく静置した後、ブラシ、モップ、ポリッシャー等でこすり洗いを行い、洗浄後の液(汚水)をスクイジー等で回収してもよい。
【0056】
上記洗浄する工程は、発泡洗浄する工程であることが好ましい。例えば、上記洗浄する工程において、本発明の液体洗浄剤組成物又はその希釈液を、蓄圧式発泡洗浄機等の洗浄機で泡状にして発泡洗浄するものであることが本発明の洗浄方法における好ましい実施形態の1つである。
本発明の液体洗浄剤組成物は、充分な起泡力を有するとともにすすぎ性に優れるため、洗浄剤組成物を泡状にして洗浄対象物と接触させる発泡洗浄剤組成物として好適に使用できる。
また本発明の液体洗浄剤組成物が発泡洗浄剤組成物であると、取り扱いがしやすい簡便な態様で、油汚れやタンパク質汚れの洗浄性に優れる洗浄剤組成物を泡状にして洗浄対象物と充分に接触させることができ、すすぎも容易であるため、食品を扱う店舗及び/又は食品工場の床、壁、天井を洗浄するのに特に好適である。
【実施例0057】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」は「質量%」を意味する。
【0058】
表1~表4に記載の配合により実施例1~31及び比較例1~3に係る洗浄剤組成物を作製した。
なお、表1~表4における組成の数値は、洗浄剤組成物中の各成分の純分の割合(質量%)である。表1~表4における化合物の製造元等は以下の通りである。
【0059】
(アルキル硫酸エステル(塩)(A))
(A-1)C6AS:ヘキシル硫酸ナトリウム、富士フイルムワコーケミカル(株)製
(A-2)C8AS:タイポール2H:泰光油脂工業(株)製
(A-3)C12AS:シノリン90T-K、新日本理化(株)製
(A-4)C14AS:テトラデシル硫酸ナトリウム、富士フイルムワコーケミカル(株)製
(A-5)C16AS:ヘキサデシル硫酸ナトリウム、富士フイルムワコーケミカル(株)製
(A-6)C18AS:オクタデシル硫酸ナトリウム、富士フイルムワコーケミカル(株)製
【0060】
(アルカンスルホン酸(塩)(B))
(B-1)C8SAS:1-オクタンスルホン酸ナトリウム、東京化成工業(株)製
(B-2)C13~17(混合物)SAS:Hostapur SAS30、クラリアントジャパン(株)製
(B-3)C20SAS:イコサンスルホン酸ナトリウム、(株)ニイタカ製
【0061】
(その他成分)
C8AES:タイポール22HS、EO2個、泰光油脂工業(株)製
C14AO:ラウリルジメチルアミンオキシド、カデナックスDM14D-N、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製
【0062】
試験方法および評価基準
<発泡性>
本組成物を3%に希釈した水溶液をフォーマー(GLORIA蓄圧式泡フォーマーFM10)に投入し、直立させたステンレストレイ(30cm×30cm)への噴射時の形状を評価した。
評価基準は以下の通りである。結果を表1~表4に示す。
◎:水っぽく広がる泡
○:水っぽい泡
△:立体的な泡
×:泡にならない、もしくは噴射しない
△、○、◎を実用性があるものと判定した。
【0063】
<泡切れ性>
本組成物を3%に希釈した水溶液をフォーマー(GLORIA蓄圧式泡フォーマーFM10)に投入し、2Lビーカーに噴射した。
ビーカーに噴射した泡を、底から1cmの場所にφ4の穴をあけた500mLポリ容器に3g入れた。
泡を入れたポリ容器に、15秒かけて100mLの水を回し入れた。
穴からの排水が止まった時点で、液面に泡が残っている場合は再度100mLの水を回し入れた。
液面に泡が残らなくなるまでの水の投入回数で、泡切れ性を評価した。
評価基準は以下の通りである。結果を表1~表4に示す。
◎:1~5回
○:6~10回
△:11~20回
×:21回以上
△、○、◎を実用性があるものと判定した。
【0064】
<洗浄力>
豚ミンチ50g、水75g、薄力粉1gをミキサーで混ぜ、ステンレストレイ(13cm×19cm)に1g塗り広げた。
室温で1時間乾燥させた物を試験片とした。
本組成物を3%に希釈した水溶液をフォーマー(GLORIA蓄圧式泡フォーマーFM10)に投入し、試験片全体が濡れるようにまんべんなく噴射した。
15分放置後に水ですすぎ、汚れの残量を目視確認した。
評価基準は以下の通りである。結果を表1~表4に示す。
◎:汚れの残留面積が0%~20%以下
○:汚れの残留面積が20%超~50%以下
△:汚れの残留面積が50%超~70%以下
×:汚れの残留面積が70%超~100%以下
△、○、◎を実用性があるものと判定した。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
表1~表4より、実施例に係る洗浄剤組成物は優れた発泡性、泡切れ性、洗浄力を発揮できることが判明した。このような実施例に係る洗浄剤組成物は、洗浄性及びすすぎ性に優れるとともに、例えば発泡洗浄剤組成物として硬質表面等に好適に用いられるものである。
なお、実施例16と実施例31の比較から、アルキル硫酸エステル(塩)(A)のみを用いるよりも、アルキル硫酸エステル(塩)(A)及びアルカンスルホン酸(塩)(B)を併用することで、発泡性がより優れることが分かる。