(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081595
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】距離測定装置及び距離測定方法
(51)【国際特許分類】
G01C 3/06 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
G01C3/06 110V
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195436
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】509162388
【氏名又は名称】エイチエスティ・ビジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 邦彦
【テーマコード(参考)】
2F112
【Fターム(参考)】
2F112AC03
2F112CA12
2F112DA04
(57)【要約】
【課題】調整や構成を複雑にすることなく、処理効率を向上して、被写体までの距離を測定する。
【解決手段】
距離測定装置1は、被写体100からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面11a及び第2入射面11bを有し、第1入射面11a及び第2入射面11bから第1光及び第2光を入射して出射するプリズム11と、プリズム11から第1光及び第2光を入射、集光して出射するレンズ12と、レンズ12の出射面12bに対向して並んで配置され、レンズ12からの第1光及び第2光をそれぞれ異なるフレーミングで撮像し、第1光を撮像して第1画像を生成する第1撮像素子13及び第2光を撮像して第2画像を生成する第2撮像素子14と、第1画像と第2画像とに基づいて、被写体100からの距離を算出する距離測定部25と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの距離を測定する距離測定装置であって、
前記被写体からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面及び第2入射面を有し、前記第1入射面から入射された第1光及び前記第2入射面から入射された第2光を出射するプリズムと、
前記プリズムから出射された前記第1光及び前記第2光を入射して、集光して出射するレンズと、
前記レンズの出射面に対向して並んで配置され、前記レンズから出射された前記第1光及び前記第2光をそれぞれ異なるフレーミングで撮像する第1撮像素子及び第2撮像素子と、
前記被写体からの前記距離を算出する距離測定部と、を備え、
前記第1撮像素子は、前記レンズから出射された前記第1光を撮像して第1画像を生成し、前記第2撮像素子は、前記レンズから出射された前記第2光を撮像して第2画像を生成し、
前記距離測定部は、前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記被写体からの前記距離を算出する
ことを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
被写体からの距離を測定する距離測定装置であって、
前記被写体からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面及び第2入射面を有し、前記第1入射面から入射された第1光及び前記第2入射面から入射された第2光を出射するプリズムと、
前記プリズムから出射された前記第1光及び前記第2光を入射して、集光して出射するレンズと、
前記レンズから出射された前記第1光を透過して出射する第1出射面及び前記レンズから出射された前記第2光を反射して出射する第2出射面を有するハーフミラーと、
前記第1出射面に対向して配置された第1撮像素子及び前記第2出射面に対向して配置された第2撮像素子と、
前記被写体からの前記距離を算出する距離測定部と、を備え、
前記第1撮像素子は、前記第1出射面から出射された前記第1光を撮像して第1画像を生成し、前記第2撮像素子は、前記第2出射面から出射された前記第2光を撮像して第2画像を生成し、
前記距離測定部は、前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記被写体からの前記距離を算出する
ことを特徴とする距離測定装置。
【請求項3】
被写体からの距離を測定する距離測定方法であって、
前記被写体からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面及び第2入射面を有するプリズムによって、前記第1入射面から入射された第1光及び前記第2入射面から入射された第2光を出射する第1工程と、
前記プリズムから出射された前記第1光及び前記第2光を入射するレンズによって、集光して出射する第2工程と、
前記レンズの出射面に対向して並んで配置された第1撮像素子及び第2撮像素子によって、前記レンズから出射された前記第1光及び前記第2光をそれぞれ異なるフレーミングで撮像し、前記第1撮像素子によって、前記レンズから出射された前記第1光を撮像して第1画像を生成すると共に、前記第2撮像素子によって、前記レンズから出射された前記第2光を撮像して第2画像を生成する第3工程と、
前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記被写体からの前記距離を算出する第4工程と、
を有することを特徴とする距離測定方法。
【請求項4】
被写体からの距離を測定する距離測定方法であって、
前記被写体からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面及び第2入射面を有するプリズムによって、前記第1入射面から入射された第1光及び前記第2入射面から入射された第2光を出射する第1工程と、
前記プリズムから出射された前記第1光及び前記第2光を入射するレンズによって、集光して出射する第2工程と、
第1出射面及び第2出射面を有するハーフミラーによって、前記レンズから出射された前記第1光を透過して前記第1出射面から出射すると共に、前記レンズから出射された前記第2光を反射して前記第2出射面から出射する第3工程と、
前記第1出射面に対向して配置された第1撮像素子によって、前記第1出射面から出射された前記第1光を撮像して第1画像を生成すると共に、前記第2出射面に対向して配置された第2撮像素子によって、前記第2出射面から出射された前記第2光を撮像して第2画像を生成する第4工程と、
前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記被写体からの前記距離を算出する第5工程と、
を有することを特徴とする距離測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離間した被写体を撮像した画像に基づいて被写体までの距離を測定する距離測定装置及び距離測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、距離測定装置には、離間した被写体を異なる2方向から撮像して2つの画像を生成し、2つの画像に基づいて自装置から被写体までの距離を測定するものがある。例えば、距離測定装置には、被写体に対して一の方向を光軸とする一のレンズ及び一の撮像素子を備えて一の方向から一の画像を生成すると共に、被写体に対して他の方向を光軸とする他のレンズ及び他の撮像素子を備えて他の方向から他の画像を生成するように構成されたものがある。
【0003】
また、特許文献1に記載の距離測定装置は、中心線を一致させて、この順に直線状に並んで配置されているプリズム、レンズ及び撮像素子と、撮像素子と接続された制御部とを備える。プリズムには、被写体からの光が異なる2方向から入射し、プリズムは、異なる2方向から入射した第1光及び第2光をそれぞれレンズに送る。レンズは、プリズムから送られる第1光及び第2光を、撮像素子の撮像面に結像させる。撮像面は、当該撮像面を等分した領域として、隣り合う右側領域と左側領域を含み、右側領域には、レンズから送られる第1光が結像され、左側領域には、レンズから送られる第2光が結像され、撮像素子は、第1光が結像された右側画像及び第2光が結像された左側画像を制御部に送る。制御部は、撮像素子から送られる右側画像及び左側画像に基づいて、被写体と当該距離測定装置との間の距離を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、距離測定装置では、2つの撮像素子のそれぞれに対応する2つのレンズを備えた場合、調整や構成が複雑となるおそれがある。また、距離測定装置では、プリズムの2つの入射面から入射された第1光及び第2光を1つの撮像素子で撮像した場合、生成される画像は1つであり、第1光に基づく画像と第2光に基づく画像とが合成されているので、それぞれに分割する必要がある。また、撮像素子にはプリズムの稜線を通過した光も結像されるため、撮像素子が撮像した1つの画像には、稜線の通過光により、視野画像で使用できない領域が中央部分に生じてしまう。そのため、画像処理が複雑となり、距離測定の処理効率が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は上記した課題を解決すべくなされたものであり、調整や構成を複雑にすることなく、処理効率を向上して、被写体までの距離を測定することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の距離測定装置は、被写体からの距離を測定する距離測定装置であって、前記被写体からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面及び第2入射面を有し、前記第1入射面から入射された第1光及び前記第2入射面から入射された第2光を出射するプリズムと、前記プリズムから出射された前記第1光及び前記第2光を入射して、集光して出射するレンズと、前記レンズの出射面に対向して並んで配置され、前記レンズから出射された前記第1光及び前記第2光をそれぞれ異なるフレーミングで撮像する第1撮像素子及び第2撮像素子と、前記被写体からの前記距離を算出する距離測定部と、を備え、前記第1撮像素子は、前記レンズから出射された前記第1光を撮像して第1画像を生成し、前記第2撮像素子は、前記レンズから出射された前記第2光を撮像して第2画像を生成し、前記距離測定部は、前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記被写体からの前記距離を算出することを特徴とする。
【0008】
あるいは、本発明の距離測定装置は、被写体からの距離を測定する距離測定装置であって、前記被写体からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面及び第2入射面を有し、前記第1入射面から入射された第1光及び前記第2入射面から入射された第2光を出射するプリズムと、前記プリズムから出射された前記第1光及び前記第2光を入射して、集光して出射するレンズと、前記レンズから出射された前記第1光を透過して出射する第1出射面及び前記レンズから出射された前記第2光を反射して出射する第2出射面を有するハーフミラーと、前記第1出射面に対向して配置された第1撮像素子及び前記第2出射面に対向して配置された第2撮像素子と、前記被写体からの前記距離を算出する距離測定部と、を備え、前記第1撮像素子は、前記第1出射面から出射された前記第1光を撮像して第1画像を生成し、前記第2撮像素子は、前記第2出射面から出射された前記第2光を撮像して第2画像を生成し、前記距離測定部は、前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記被写体からの前記距離を算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の距離測定方法は、被写体からの距離を測定する距離測定方法であって、前記被写体からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面及び第2入射面を有するプリズムによって、前記第1入射面から入射された第1光及び前記第2入射面から入射された第2光を出射する第1工程と、前記プリズムから出射された前記第1光及び前記第2光を入射するレンズによって、集光して出射する第2工程と、前記レンズの出射面に対向して並んで配置された第1撮像素子及び第2撮像素子によって、前記レンズから出射された前記第1光及び前記第2光をそれぞれ異なるフレーミングで撮像し、前記第1撮像素子によって、前記レンズから出射された前記第1光を撮像して第1画像を生成すると共に、前記第2撮像素子によって、前記レンズから出射された前記第2光を撮像して第2画像を生成する第3工程と、前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記被写体からの前記距離を算出する第4工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
あるいは、本発明の距離測定方法は、被写体からの距離を測定する距離測定方法であって、前記被写体からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面及び第2入射面を有するプリズムによって、前記第1入射面から入射された第1光及び前記第2入射面から入射された第2光を出射する第1工程と、前記プリズムから出射された前記第1光及び前記第2光を入射するレンズによって、集光して出射する第2工程と、第1出射面及び第2出射面を有するハーフミラーによって、前記レンズから出射された前記第1光を透過して前記第1出射面から出射すると共に、前記レンズから出射された前記第2光を反射して前記第2出射面から出射する第3工程と、前記第1出射面に対向して配置された第1撮像素子によって、前記第1出射面から出射された前記第1光を撮像して第1画像を生成すると共に、前記第2出射面に対向して配置された第2撮像素子によって、前記第2出射面から出射された前記第2光を撮像して第2画像を生成する第4工程と、前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記被写体からの前記距離を算出する第5工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、調整や構成を複雑にすることなく、処理効率を向上して、被写体までの距離を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る距離測定装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る距離測定装置における光学シミュレーションの例を示す説明図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る距離測定装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、第1実施形態の距離測定装置1は、撮像装置10と、制御装置20とを備えていて、距離測定装置1から被写体100までの距離を測定するように構成される。
【0014】
撮像装置10は、距離測定対象の被写体100の画像を異なる2方向から撮像するもので、プリズム11と、レンズ12と、2つの第1撮像素子13及び第2撮像素子14とを備える。
【0015】
プリズム11は、2つの第1入射面11a及び第2入射面11bと、1つの出射面11cとを有して、例えば、二等辺三角形状の断面を有する三角柱状の三角プリズムで構成される。プリズム11は、第1入射面11a及び第2入射面11bの間の稜線11dを被写体100に向けて配置される。第1入射面11a及び第2入射面11bは、被写体100からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する。また、出射面11cは、第1入射面11a及び第2入射面11bから入射されてプリズム11を通過した光を出射する。
【0016】
レンズ12は、円形の入射面12aと、円形の出射面12bとを有して、例えば、円筒状に形成され、入射面12aから入射した光を集光して出射面12bから出射する。レンズ12は、入射面12aをプリズム11の出射面11cに対向させて配置され、好ましくは、中心線がプリズム11と同じになるように配置される。入射面12aは、プリズム11の出射面11cから出射された光を入射する。また、出射面12bは、入射面12aから入射されてレンズ12を通過した光を出射する。
【0017】
第1撮像素子13及び第2撮像素子14は、CCDやCMOS等で構成され、それぞれの第1撮像面13a及び第2撮像面14aに結像された第1画像及び第2画像を撮像する。第1撮像素子13及び第2撮像素子14は、制御装置20と通信可能に接続されていて、被写体100を撮像した第1画像及び第2画像を制御装置20へと送信する。
【0018】
第1撮像素子13及び第2撮像素子14は、第1撮像面13a及び第2撮像面14aをレンズ12の出射面12bに向けて並んで配置され、第1撮像面13a及び第2撮像面14aは、出射面12bから出射された光をそれぞれ異なるフレーミングで撮像するように配置される。
【0019】
プリズム11の第1入射面11a及び第2入射面11bが並ぶ並列方向において、第1撮像素子13は、第1入射面11a側に配置され、第2撮像素子14は、第2入射面11b側に配置される。第1撮像素子13は、出射面12bから出射されて第1撮像面13aに結像された光を撮像し、また、第2撮像素子14は、出射面12bから出射されて第2撮像面14aに結像された光を撮像する。
【0020】
図2に示すように、プリズム11と、レンズ12と、第1撮像素子13とは、第1入射面11aから入射した第1光101が、プリズム11及びレンズ12を通過し、出射面12bを出射してから、上記並列方向において第1入射面11a側の第1結像領域51に結像され、また、第1結像領域51に第1撮像面13aが位置するように、それぞれ調整されて配置される。
【0021】
一方、プリズム11と、レンズ12と、第2撮像素子14とは、第2入射面11bから入射した第2光102が、プリズム11及びレンズ12を通過し、出射面12bを出射してから、上記並列方向において第2入射面11b側の第2結像領域52に結像され、また、第2結像領域52に第2撮像面14aが位置するように、それぞれ調整されて配置される。
【0022】
なお、プリズム11の稜線11dの影響を受けて入射する第3光は、プリズム11及びレンズ12を通過し、出射面12bを出射してから、上記並列方向において中央付近の第3結像領域53に結像されるところ、第1撮像素子13及び第2撮像素子14は、第3結像領域53を避けて第1撮像面13a及び第2撮像面14aが位置するように、それぞれ調整されて配置される。
【0023】
上記で調整される要素とは、被写体100とプリズム11との距離、プリズム11とレンズ12との距離、レンズ12と第1撮像素子13及び第2撮像素子14との距離、プリズム11の第1入射面11a及び第2入射面11bの間の角度、プリズム11の屈折率、レンズ12の屈折率等であり、光学シミュレーションの結果に基づいて調整可能である。
【0024】
制御装置20は、距離測定装置1から被写体100までの距離を測定するものである。制御装置20は、例えば、CPU等からなる制御部21と、ROMやRAM等からなる記憶部22とを備える。また、制御装置20は、距離測定等を操作するための操作部23と、距離測定結果を表示や送信等により出力するための出力部24とを備える。
【0025】
制御装置20は、撮像装置10と通信可能に接続されている。なお、制御装置20は、撮像装置10と一体的に構成されてもよく、あるいは別体で構成されていてもよい。
【0026】
記憶部22は、制御装置20の各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、制御部21が、記憶部22に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、各種機能を制御する。制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、被写体100までの距離を測定する距離測定部25として動作する。なお、距離測定部25は、記憶部22に記憶され、制御部21のコンピュータを、被写体100までの距離を測定する手段として機能させるためのプログラムで構成されてよい。
【0027】
距離測定部25は、ユーザーによる操作部23の距離測定操作に応じて、撮像装置10の第1撮像素子13及び第2撮像素子14に対して撮像指示を送信する。また、距離測定部25は、撮像指示に応答した第1撮像素子13及び第2撮像素子14から、被写体100を撮像した第1画像及び第2画像を受信する。
【0028】
距離測定部25は、撮像装置10の第1撮像素子13及び第2撮像素子14から第1画像及び第2画像を受信すると、第1画像及び第2画像に基づいて、距離測定装置1から被写体100までの距離を測定する。
【0029】
距離測定部25は、第1画像及び第2画像から、撮像された被写体100の特徴点を検出し、第1画像と第2画像とで対応する特徴点を検出して、第1画像の各特徴点の位置情報と第2画像の各特徴点の位置情報との各視差に基づいて、距離測定装置1から被写体100までの距離を算出する。なお、距離測定部25は、特徴点を検出する前に、第1画像及び第2画像に対して、シャープ化や二値化等の画像処理を施して、撮像された被写体100の特徴点が明瞭となるように加工してもよい。
【0030】
上記したように、第1実施形態に係る距離測定装置1は、被写体100からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面11a及び第2入射面11bを有し、第1入射面11aから入射された第1光101及び第2入射面11bから入射された第2光102を出射するプリズム11と、プリズム11から出射された第1光101及び第2光102を入射して、集光して出射するレンズ12と、レンズ12の出射面12bに対向して並んで配置され、レンズ12から出射された第1光101及び第2光102をそれぞれ異なるフレーミングで撮像する第1撮像素子13及び第2撮像素子14と、被写体100からの距離を算出する距離測定部25と、を備える。第1撮像素子13は、レンズ12から出射された第1光101を撮像して第1画像を生成し、第2撮像素子14は、レンズ12から出射された第2光102を撮像して第2画像を生成する。距離測定部25は、第1画像と第2画像とに基づいて、被写体100からの距離を算出する。
【0031】
換言すれば、第1実施形態による距離測定方法は、被写体100からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面11a及び第2入射面11bを有するプリズム11によって、第1入射面11aから入射された第1光101及び第2入射面11bから入射された第2光102を出射する第1工程と、プリズム11から出射された第1光101及び第2光102を入射するレンズ12によって、集光して出射する第2工程と、レンズ12の出射面12bに対向して並んで配置された第1撮像素子13及び第2撮像素子14によって、レンズ12から出射された第1光101及び第2光102をそれぞれ異なるフレーミングで撮像し、第1撮像素子13によって、レンズ12から出射された第1光101を撮像して第1画像を生成すると共に、第2撮像素子14によって、レンズ12から出射された第2光102を撮像して第2画像を生成する第3工程と、第1画像と第2画像とに基づいて、被写体100からの距離を算出する第4工程と、を有する。
【0032】
このような構成によれば、第1実施形態の距離測定装置1では、プリズム11を用いて被写体100を異なる2方向から撮像する場合でも、2つの第1撮像素子13及び第2撮像素子14は、プリズム11の第1入射面11a及び第2入射面11bの並列方向に並べて配置されているので、それぞれ異なる第1結像領域51及び第2結像領域52で撮像することができ、プリズム11の稜線11dの影響を受けることなく、2つの画像を生成することができる。即ち、稜線11dの影響を受ける画像に対する画像処理を回避することができる。また、2つの第1撮像素子13及び第2撮像素子14に対して、レンズ12を1つだけ備えているので、調整や構成を容易にすることができる。従って、距離測定装置1は、調整や構成を複雑にすることなく、処理効率を向上して、被写体100までの距離を測定することができる。
【0033】
なお、上記した第1実施形態では、距離測定装置1は、1つのレンズ12に対して2つの第1撮像素子13及び第2撮像素子14を備える構成として、レンズ12の出射面12bに対向して第1撮像素子13及び第2撮像素子14を並べて配置する例を説明したが、本発明は、この例に限定されない。
【0034】
例えば、第2実施形態の距離測定装置1では、
図3に示すように、撮像装置10がハーフミラー15を備えて構成される。なお、第2実施形態の距離測定装置1も、第1実施形態と同様に、制御装置20を備え、撮像装置10は、プリズム11と、レンズ12と、第1撮像素子13及び第2撮像素子14とを備える。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成は、説明を省略する。
【0035】
ハーフミラー15は、入射した光を透過して出射する第1出射面15aと、入射した光を反射して出射する第2出射面15bとを有する。第2実施形態では、ハーフミラー15が立方体状に形成される例を説明するが、他の例では、ハーフミラー15は、板状に形成されてもよい。
【0036】
ハーフミラー15は、レンズ12と、レンズ12の光軸方向に設けられた第1撮像素子13との間に配置される。ハーフミラー15は、プリズム11の第1入射面11a及び第2入射面11bが並ぶ並列方向を基準として、反射面15cがレンズ12の光軸方向に45度傾斜した状態で配置される。第1出射面15aは、レンズ12の光軸方向側に設けられ、第2出射面15bは、上記並列方向側に設けられる。
【0037】
第1撮像素子13は、ハーフミラー15の第1出射面15a側で、第1撮像面13aを第1出射面15aに向けて配置され、第2撮像素子14は、ハーフミラー15の第2出射面15b側で、第2撮像面14aを第2出射面15bに向けて配置される。
【0038】
プリズム11の第1入射面11a及び第2入射面11bが並ぶ並列方向において、第1撮像素子13は、第1入射面11a側に配置される。また、第2撮像素子14が配置されるハーフミラー15の第2出射面15bでは、上記並列方向の位置関係が反射面15cに反射されて投影されるところ、光軸方向側が上記並列方向の第2入射面11b側に対応するので、第2撮像素子14は、光軸方向側に配置される。第1撮像素子13は、第1出射面15aから出射されて第1撮像面13aに結像された光を撮像し、また、第2撮像素子14は、第2出射面15bから出射されて第2撮像面14aに結像された光を撮像する。
【0039】
プリズム11と、レンズ12と、第1撮像素子13と、ハーフミラー15とは、第1入射面11aから入射した第1光101が、プリズム11及びレンズ12を通過し、更に、ハーフミラー15を透過して、第1出射面15aを出射してから、上記並列方向において第1入射面11a側の第1結像領域61に結像され、また、第1結像領域61に第1撮像面13aが位置するように、それぞれ調整されて配置される。
【0040】
一方、プリズム11と、レンズ12と、第2撮像素子14と、ハーフミラー15とは、第2入射面11bから入射した第2光102が、プリズム11及びレンズ12を通過し、更に、ハーフミラー15で反射されて、第2出射面15bを出射してから、上記光軸方向側の第2結像領域62に結像され、また、第2結像領域62に第2撮像面14aが位置するように、それぞれ調整されて配置される。
【0041】
なお、プリズム11の稜線11dの影響を受けて入射する第3光は、プリズム11及びレンズ12を通過し、更に、ハーフミラー15を透過して、第1出射面15aを出射してから、上記並列方向において中央付近の第3結像領域63に結像されるところ、第1撮像素子13は、第3結像領域63を避けて第1撮像面13aが位置するように、それぞれ調整されて配置される。
【0042】
また、プリズム11の稜線11dの影響を受けて入射する第3光は、プリズム11及びレンズ12を通過し、更に、ハーフミラー15で反射されて、第2出射面15bを出射してから、光軸方向において中央付近の第4結像領域64に結像されるところ、第2撮像素子14は、第4結像領域64を避けて第2撮像面14aが位置するように、それぞれ調整されて配置される。
【0043】
上記で調整される要素とは、被写体100とプリズム11との距離、プリズム11とレンズ12との距離、レンズ12と第1撮像素子13及び第2撮像素子14との距離、プリズム11の第1入射面11a及び第2入射面11bの間の角度、プリズム11の屈折率、レンズ12の屈折率等であり、光学シミュレーションの結果に基づいて調整可能である。
【0044】
上記したように、第2実施形態に係る距離測定装置1は、被写体100からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面11a及び第2入射面11bを有し、第1入射面11aから入射された第1光101及び第2入射面11bから入射された第2光102を出射するプリズム11と、プリズム11から出射された第1光101及び第2光102を入射して、集光して出射するレンズ12と、レンズ12から出射された第1光101を透過して出射する第1出射面15a及びレンズ12から出射された第2光102を反射して出射する第2出射面15bを有するハーフミラー15と、第1出射面15aに対向して配置された第1撮像素子13及び第2出射面15bに対向して配置された第2撮像素子14と、被写体100からの距離を算出する距離測定部25と、を備える。第1撮像素子13は、第1出射面15aから出射された第1光101を撮像して第1画像を生成し、第2撮像素子14は、第2出射面15bから出射された第2光102を撮像して第2画像を生成する。距離測定部25は、第1画像と第2画像とに基づいて、被写体100からの距離を算出する。
【0045】
換言すれば、第2実施形態による距離測定方法は、被写体100からの光を異なる2方向からそれぞれ入射する第1入射面11a及び第2入射面11bを有するプリズム11によって、第1入射面11aから入射された第1光101及び第2入射面11bから入射された第2光102を出射する第1工程と、プリズム11から出射された第1光101及び第2光102を入射するレンズ12によって、集光して出射する第2工程と、第1出射面15a及び第2出射面15bを有するハーフミラー15によって、レンズ12から出射された第1光101を透過して第1出射面15aから出射すると共に、レンズ12から出射された第2光102を反射して第2出射面15bから出射する第3工程と、第1出射面15aに対向して配置された第1撮像素子13によって、第1出射面15aから出射された第1光101を撮像して第1画像を生成すると共に、第2出射面15bに対向して配置された第2撮像素子14によって、第2出射面15bから出射された第2光102を撮像して第2画像を生成する第4工程と、第1画像と第2画像とに基づいて、被写体100からの距離を算出する第5工程と、を有する。
【0046】
このような構成によれば、第2実施形態の距離測定装置1では、プリズム11を用いて被写体100を異なる2方向から撮像する場合でも、2つの第1撮像素子13及び第2撮像素子14は、レンズ12に後続するハーフミラー15に対して異なる位置に配置されているので、互いに影響を受けることなく配置、構成することができる。また、ハーフミラー15に対して異なる位置の第1撮像素子13及び第2撮像素子14は、それぞれ異なる第1結像領域61及び第2結像領域62で撮像するので、プリズム11の稜線11dの影響を受けることなく、2つの画像を生成することができる。即ち、稜線11dの影響を受ける画像に対する画像処理を回避することができる。また、2つの第1撮像素子13及び第2撮像素子14に対して、レンズ12を1つだけ備えているので、調整や構成を容易にすることができる。従って、距離測定装置1は、調整や構成を複雑にすることなく、処理効率を向上して、被写体100までの距離を測定することができる。
【0047】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う距離測定装置及び距離測定装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 距離測定装置
10 撮像装置
11 プリズム
12 レンズ
13 第1撮像素子
14 第2撮像素子
15 ハーフミラー
20 制御装置
21 制御部
25 距離測定部
100 被写体