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特開2023-8164二多段式駐車装置の監視システム並びに二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法
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  • 特開-二多段式駐車装置の監視システム並びに二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008164
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】二多段式駐車装置の監視システム並びに二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/06 20060101AFI20230112BHJP
   E04H 6/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
E04H6/06 Z
E04H6/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111501
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】598174439
【氏名又は名称】株式会社ファム
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 可幸
(72)【発明者】
【氏名】村田 謙太郎
(72)【発明者】
【氏名】石山 悟
(72)【発明者】
【氏名】菅 淳
(57)【要約】
【課題】低コストで導入可能な二多段式駐車装置の監視システム並びに二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法を提供する。
【解決手段】車両を搭載し得る複数のパレットを昇降させる二多段式駐車装置の監視システムにおいて、前記パレットを昇降させる昇降モータと、前記昇降モータを、信号線を用いて制御するプリント基板と、前記信号線を分岐配線に分岐させる分岐コネクタと、前記分岐配線に接続され、前記分岐配線を介して前記信号線の動作信号を取得するPLC(Programmable Logic Controller)と、前記PLCが取得した前記動作信号が送信され、前記動作信号に基づいて前記二多段式駐車装置を監視する監視センターと、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を搭載し得る複数のパレットを昇降させる二多段式駐車装置の監視システムにおいて、
前記パレットを昇降させる昇降モータと、
前記昇降モータを、信号線を用いて制御するプリント基板と、
前記信号線を分岐配線に分岐させる分岐コネクタと、
前記分岐配線に接続され、前記分岐配線を介して前記信号線の動作信号を取得するPLC(Programmable Logic Controller)と、
前記PLCが取得した前記動作信号が送信され、前記動作信号に基づいて前記二多段式駐車装置を監視する監視センターと、を備える、
ことを特徴とする二多段式駐車装置の監視システム。
【請求項2】
前記昇降モータへの電流を切断又は接続可能なスイッチを更に備え、
前記信号線は、前記プリント基板と前記スイッチとを接続している、
ことを特徴とする請求項1に記載の二多段式駐車装置の監視システム。
【請求項3】
車両を搭載し得る複数のパレットを昇降させる二多段式駐車装置の監視システムにおいて、
前記パレットを昇降させる昇降モータと、
前記パレットが動作することに基づいて動作信号を出力する検知部と、
プリント基板と、
前記検知部からの前記動作信号を前記プリント基板に伝達する信号線と、
前記信号線を分岐配線に分岐させる分岐コネクタと、
前記分岐配線に接続され、前記分岐配線を介して前記信号線の前記動作信号を取得するPLC(Programmable Logic Controller)と、
前記PLCが取得した前記動作信号が送信され、前記動作信号に基づいて前記二多段式駐車装置を監視する監視センターと、を備える、
ことを特徴とする二多段式駐車装置の監視システム。
【請求項4】
前記検知部は、前記パレットの動作に基づいて前記動作信号を出力するリミットスイッチを有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の二多段式駐車装置の監視システム。
【請求項5】
前記PLCが取得した前記動作信号は、ルータを介して前記監視センターに伝送される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二多段式駐車装置の監視システム。
【請求項6】
前記分岐コネクタは、エレクトロタップである、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二多段式駐車装置の監視システム。
【請求項7】
車両を搭載し得る複数のパレットを、プリント基板が信号線を用いて昇降制御する二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法において、
前記信号線を分岐コネクタによって分岐配線に分岐させる分岐工程と、
前記分岐配線をPLC(Programmable Logic Controller)に接続する第1接続工程と、
前記PLCが前記分岐配線を介して取得した前記信号線の動作信号を監視センターに送信できるように、前記PLCをルータに接続する第2接続工程と、を備える、
ことを特徴とする二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法。
【請求項8】
車両を搭載し得る複数のパレットが動作することに基づいて動作信号を出力する検知部と、前記検知部からの前記動作信号をプリント基板に伝達する信号線と、を備える二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法において、
前記信号線を分岐コネクタによって分岐配線に分岐させる分岐工程と、
前記分岐配線をPLC(Programmable Logic Controller)に接続する第3接続工程と、
前記PLCが前記分岐配線を介して取得した前記信号線の前記動作信号を監視センターに送信できるように、前記PLCをルータに接続する第4接続工程と、を備える、
ことを特徴とする二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両を上下方向の各階に複数台積載し得る二多段式駐車装置の監視システム並びに二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マンションや高層ビルに備えられる駐車場の省スペース化の要請から、駐車場を多層化・立体化した機械式の駐車装置が知られている。機械式の駐車装置の主な種類としては、垂直循環式やエレベータ式の大規模な駐車装置や、マンション等に設けられる比較的小型な二多段式の駐車装置が知られている。
【0003】
従来、上下左右に複数列のパレットを備えた複数列多段式駐車装置が開示されている(特許文献1参照)。各パレットは、昇降駆動部によって駆動される昇降用チェーンによって昇降可能となっており、昇降駆動部は、操作盤の演算装置によって制御される。演算装置は、例えばプリント基板に実装されたCPU、RAM及びROMを有する。
【0004】
また、駐車装置の作動状態を監視し、監視した情報を管理センターに出力し、管理センターで保守が必要であると判断された場合に駐車装置の作動状態及び保守内容をサービスエンジニアに指示するエレベータ式駐車装置の遠隔監視システムが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-159008号公報
【特許文献2】特開2004-157828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、特許文献1に記載の多段式駐車装置において、特許文献2に記載のような遠隔監視システムを導入したいという要望がある。しかしながら、既設の駐車装置の駆動制御プログラムは、解析できないことも多く、その場合、既設の駐車装置の制御プログラム及び昇降装置等を遠隔監視可能なものに一新するのは、高コストであった。
【0007】
そこで、本発明は、低コストで導入可能な二多段式駐車装置の監視システム並びに二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両を搭載し得る複数のパレットを昇降させる二多段式駐車装置の監視システムにおいて、前記パレットを昇降させる昇降モータと、前記昇降モータを、信号線を用いて制御するプリント基板と、前記信号線を分岐配線に分岐させる分岐コネクタと、前記分岐配線に接続され、前記分岐配線を介して前記信号線の動作信号を取得するPLC(Programmable Logic Controller)と、前記PLCが取得した前記動作信号が送信され、前記動作信号に基づいて前記二多段式駐車装置を監視する監視センターと、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、車両を搭載し得る複数のパレットを昇降させる二多段式駐車装置の監視システムにおいて、前記パレットを昇降させる昇降モータと、前記パレットが動作することに基づいて動作信号を出力する検知部と、プリント基板と、前記検知部からの前記動作信号を前記プリント基板に伝達する信号線と、前記信号線を分岐配線に分岐させる分岐コネクタと、前記分岐配線に接続され、前記分岐配線を介して前記信号線の前記動作信号を取得するPLC(Programmable Logic Controller)と、前記PLCが取得した前記動作信号が送信され、前記動作信号に基づいて前記二多段式駐車装置を監視する監視センターと、を備える、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、車両を搭載し得る複数のパレットを、プリント基板が信号線を用いて昇降制御する二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法において、前記信号線を分岐コネクタによって分岐配線に分岐させる分岐工程と、前記分岐配線をPLC(Programmable Logic Controller)に接続する第1接続工程と、前記PLCが前記分岐配線を介して取得した前記信号線の動作信号を監視センターに送信できるように、前記PLCをルータに接続する第2接続工程と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、車両を搭載し得る複数のパレットが動作することに基づいて動作信号を出力する検知部と、前記検知部からの前記動作信号をプリント基板に伝達する信号線と、を備える二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法において、前記信号線を分岐コネクタによって分岐配線に分岐させる分岐工程と、前記分岐配線をPLC(Programmable Logic Controller)に接続する第3接続工程と、前記PLCが前記分岐配線を介して取得した前記信号線の前記動作信号を監視センターに送信できるように、前記PLCをルータに接続する第4接続工程と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、低コストで導入可能な二多段式駐車装置の監視システム並びに二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る二多段式の立体駐車装置を示す全体正面図。
図2】立体駐車装置を示す側面図。
図3】昇降装置を示す斜視図。
図4】制御盤を示す模式図。
図5】本実施の形態に係る監視システムを示す制御ブロック図。
図6】監視画面を示す画面図。
図7】本実施の形態に係る立体駐車装置の配線図。
図8】比較例に係る立体駐車装置の配線図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[全体構成]
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。立体駐車装置1は、図1及び図2に示すように、地上タイプ昇降横行(パズル)式、かつ二多段・機械式の駐車装置である。二多段式駐車装置としての立体駐車装置1は、地上4段の4列構造を有しており、具体的には、地上面Gに位置する地上段2と、最上位置の最上段3と、上記地上段2と最上段3との間に位置する中間段4,5を含む構造となっている。
【0015】
立体駐車装置1は、最上段3において車両Vを横並びにして4台駐車可能であり、地上段2及び中間段4,5において車両Vを横並びにして各3台駐車可能であって、合わせて、13台の車両Vを駐車することが可能となっている。地上段2には、開閉自在のゲートGTが配設されており、車両Vを出入庫する際には該ゲートGTが開くようになっている。
【0016】
立体駐車装置1は、地上面Gに立設される枠体6と、該枠体6に支持されて、車両Vを搭載し得る複数のパレット7と、パレット7を、枠体6に対して左右方向(車両Vが横並びに並ぶ方向)にスライドする不図示のスライド機構と、パレット7を、枠体6に対して上下方向(高さ方向)に昇降する後述する昇降装置9(図3参照)と、を備えている。なお、車両Vが出入庫する方向を前後方向とし、パレット7に対して、出入庫口側を前側、反対側を後側とする。
【0017】
本実施の形態の立体駐車装置1では、地上段2に位置する3つのパレット7は、昇降装置が無く、スライド機構によってスライド移動のみする。最上段3に位置する4つのパレット7は、スライド機構が無く、昇降装置によって昇降動作のみする。中間段4,5に位置する6つのパレットは、昇降装置及びスライド機構によって、昇降動作及びスライド移動する。以下では、中間段5の最も左に位置するパレットを例に、その周辺構成を説明する。
【0018】
パレット7は、平面視略長方形状に形成されており、左右方向両端縁に沿って上方に突出する凸部7a,7aが形成されて、これら凸部7a,7aの間の床部7bに車両Vが収容される。上記不図示のスライド機構は、例えば、パレット7が、左右方向に延在する横枠体6aにローラを介して支持されると共に、モータ駆動によって該ローラが回転されることで、横枠体6a上を摺動してスライドするように構成される。
【0019】
[昇降装置]
上記昇降装置9は、図3に示すように、パレット7の上方に配置され、パレット7と前後左右寸法が略々同様の固定枠10を有し、該固定枠10の後部には、左右方向に延在して、昇降駆動モータ11の動力により回転する回転軸12が回転可能に支持されている。該回転軸12の左右端には、2対の駆動スプロケット13a,13b、15a,15bが固定され、これら2対の駆動スプロケット13a,13b、15a,15bには、2対のローラチェーン16a,16b、17a,17bがそれぞれ巻き掛けられている。
【0020】
ローラチェーン16a,16b、17a,17bは、2枚のリンクプレートの両端部をピンにより連結したピンリンクと、2枚のリンクプレートの両端をブッシュにより連結すると共に該ブッシュにローラを遊嵌したローラリンクとを、ブッシュにピンを嵌挿することにより交互に連結してなり、多数の上記ピンリンク及びローラリンクにより屈曲自在となっており、その一端19a,19b、20a,20b側が、ガイドスプロケット21a,21b、22a,22bを介して垂下して、それぞれ上記パレット7の左右両端の前側と後側(4隅)に連結されている。すなわち、上記パレット7の4隅にその一端19a,19b、20a,20bが連結されるローラチェーン16a,16b、17a,17bは、昇降駆動モータ11の動力によって、同量だけ巻き上げ又は巻き下ろされて、上記パレット7が水平状態を保ったまま、昇降可能となっている。
【0021】
上記2対の駆動スプロケット13a,13b、15a,15bの下方には、上記パレット7上昇時に余剰となるローラチェーン16a,16b、17a,17bを収納するチェーンボックス23,25が配置される。上記昇降装置9は、パレット7毎に設けられているため、ローラチェーン16a,16b、17a,17bもパレット7毎に設けられている。
【0022】
[制御盤]
図1図2及び図4に示すように、立体駐車装置1の後側には、制御盤45が配置されている。制御盤45は、図4に示すように、プリント基板46と、ルータ47と、端子台48と、アンテナ49と、PLC(Programmable Logic Controller)80と、を有している。プリント基板46には、端子台48を介して、各種モータや各種センサの複数の配線98が接続されている。PLC80には、プリント基板46に接続される配線98から後述する分岐コネクタによって分岐された分岐配線99が接続されている。PLC80には、ルータ47が接続され、ルータ47には、アンテナ49が接続されている。ルータ47には、例えばM2Mルータが用いられる。なお、アンテナ49は、ルータ47と一体に構成されても、別体に構成されてもよい。
【0023】
[制御ブロック図]
図5は、本実施の形態に係る立体駐車装置1の監視システム100の制御ブロック図である。監視システム100は、プリント基板46及びPLC80を含む立体駐車装置1と、監視センター62と、を有している。プリント基板46は、CPU51と、ROM52と、RAM53と、I/Oインターフェース54と、カウンタ55と、タイマ56と、を有しており、CPU51は、ROM52に格納された各種プログラムを実行する。RAM53は、データを一時的に記憶することができ、CPU51の作業領域として使用される。CPU51は、I/Oインターフェース54を介して、外部の部品等とのデータや信号をやり取りする。
【0024】
プリント基板46の入力側には、傾斜センサ57と、温湿センサ58と、水位センサ59と、昇降リミットスイッチ73と、横行リミットスイッチ74と、落下防止装置75と、が接続されている。傾斜センサ57は、パレット7の水平面に対する傾斜を検知することができる。例えば、傾斜センサ57がパレット7の昇降中に強風等によってパレット7が大きく傾いたことを検知した場合、CPU51は、パレット7を緊急停止させる。温湿センサ58は、立体駐車装置1の周辺環境の温度と湿度を検知する。水位センサ59は、オプションとして設けられ、立体駐車装置1への取付位置に応じて水位レベルを検知することができる。例えば、台風や高潮等によって立体駐車装置1の水位レベルが危険水位となったことを水位センサ59が検知した場合、CPU51は、パレット7の動作を停止する。
【0025】
昇降リミットスイッチ73は、パレット7が昇降装置9によって昇降する際に、立体駐車装置1の各車室に対応する位置にパレット7を停止させるためのスイッチである。このため、昇降リミットスイッチ73は、立体駐車装置1の所定の位置に複数設けられている。例えば、パレット7は、第1の車室から第2の車室に昇降させられる際に、第2の車室に対応する昇降リミットスイッチ73がOFFからONになることに基づいて、停止される。なお、昇降リミットスイッチ73には、パレット7の上限位置又は下限位置を規定する上限リミットスイッチや下限リミットスイッチも含む。
【0026】
横行リミットスイッチ74は、パレット7がスライド機構によって左右方向にスライド移動する際に、立体駐車装置1の各車室に対応する位置にパレット7を停止させるためのスイッチである。このため、横行リミットスイッチ74は、立体駐車装置1の所定の位置に複数設けられている。例えば、パレット7は、第3の車室から第4の車室にスライド移動させられる際に、第4の車室に対応する横行リミットスイッチ74がOFFからONになることに基づいて、停止される。
【0027】
落下防止装置75は、例えばローラチェーン16a,16b、17a,17bの破断などが起こった場合に、パレット7を受け止めてパレット7の落下を防止するための装置である。落下防止装置75は、パレット7の四隅に対応して4つで1セットとなっており、立体駐車装置1の所定の位置に複数セット設けられている。各落下防止装置75は、パレット7を受け止める受け止め位置と、パレット7の昇降軌跡から退避した退避位置と、に移動可能なストッパと、ストッパを受け止め位置と退避位置との間で移動させるソレノイド等のアクチュエータと、パレット7によって押圧されることでONとなるリミットスイッチと、を有している。上記アクチュエータは、リミットスイッチがOFFからONとなることに基づいて駆動される。
【0028】
昇降リミットスイッチ73,横行リミットスイッチ74及び落下防止装置75のリミットスイッチのそれぞれは、パレット7が動作することに基づいて動作信号を出力する検知部を構成する。
【0029】
プリント基板46の出力側には、パレット7を昇降するための昇降モータとしての昇降駆動モータ11と、パレット7をスライド移動するための水平駆動モータ60と、ゲート駆動モータ76等が接続されている。ゲート駆動モータ76は、ゲートGTを開閉させる。また、プリント基板46に接続される配線は、分岐コネクタによってそれぞれ分岐され、それら分岐配線は、PLC80に接続されている。なお、図5においては、端子台48を省略している。
【0030】
具体的には、傾斜センサ57とプリント基板46とを接続する配線57aは、分岐コネクタ81によって分岐配線57bに分岐されており、分岐配線57bは、PLC80に接続されている。同様にして、温湿センサ58、水位センサ59、昇降駆動モータ11、水平駆動モータ60、昇降リミットスイッチ73、横行リミットスイッチ74、落下防止装置75及びゲート駆動モータ76と、プリント基板46と、をそれぞれ接続する配線は、分岐コネクタ82~85,87~90によってそれぞれ分岐され、PLC80に接続されている。本実施の形態では、分岐コネクタ81~85,87~90には、エレクトロタップが用いられている。
【0031】
PLC80は、ルータ47を介して、例えば閉域モバイル網86を利用することで遠隔地にある監視センター62の監視装置63と接続されている。なお、閉域モバイル網86に代えて、公衆電話回線やインターネット等の他のネットワークを利用してもよい。監視装置63は、パーソナルコンピュータやワークステーション等から構成されており、ハードディスク等の記憶装置64を有している。
【0032】
記憶装置64は、PLC80から伝送された動作データ65を記憶する。動作データ65には、PLC80が各分岐配線から取得した各パレット7の動作回数、最終動作時刻並びに各種センサの検知結果等が含まれる。なお、動作データ65には、その他に、各部品の耐久データ、交換履歴データ及び点検履歴データや、異常発生回数及び異常発生原因履歴等が含まれる。記憶装置64には、有線回線又は無線回線を介してPCやスマートフォン等のモニタ66を接続することができ、モニタ66によって動作データ65や、動作データ65に基づく監視画面等を閲覧することができる。また、例えば動作データ65を用いて、どのパレットが一番稼働したか等の報告書を作成し、立体駐車装置1のユーザに報告することができる。
【0033】
図6は、モニタ66に表示される監視画面70の一例である。監視画面70には、パレット毎にパレット状況71が表示される。例えばパレットNo.1のパレット状況71には、稼働状況表示領域72が表示され、稼働状況表示領域72には、このパレットをサービスマンが最後にメンテナンスした時刻と、パレットNo.1が最後に稼働した時刻と、が表示される。
【0034】
[配線図]
図7は、立体駐車装置1の配線図の一例である。まず、漏電ブレーカ91には、例えばAC200V三相三線式の動力線(電線)L1が接続される。そして、漏電ブレーカ91から出た三線の動力線L2は、電流を切断又は接続可能なスイッチとしての電磁接触器92a,92bを介して、昇降駆動モータ11や水平駆動モータ60(図5参照)等の各種モータに接続される。なお、電磁接触器92a,92bに代えて、電磁開閉器を用いてもよい。
【0035】
また、漏電ブレーカ91に入力された三線の動力線L1のうち、二線の電線L3がパワーサプライ93に接続される。パワーサプライ93によって、AC200VがDC24Vに変換され、プリント基板46に供給される。プリント基板46と電磁接触器92aは、信号線L41で接続され、信号線L41は、電磁接触器92aのコイルに直流電流を供給し、電磁接触器92aの主接点を切断又は接続させることができる。プリント基板46と電磁接触器92bは、信号線L42で接続され、信号線L42は、電磁接触器92bのコイルに直流電流を供給し、電磁接触器92bの主接点を切断又は接続させることができる。
【0036】
また、プリント基板46には、端子台48を介して、各種のスイッチ信号線及びセンサ信号線を含む信号線群L5が接続されている。信号線群L5には、例えば傾斜センサ57、温湿センサ58、水位センサ59、昇降リミットスイッチ73、横行リミットスイッチ74及び落下防止装置75へ接続される信号線が含まれる。例えば、信号線群L5には、昇降リミットスイッチ73、横行リミットスイッチ74及び落下防止装置75へ接続される信号線L47,L48,L49が含まれる。そして、例えば傾斜センサ57又は水位センサ59が異常値を示す信号を出力した場合には、プリント基板46は、電磁接触器92a,92bの接点が切れるように信号線L41,L42を介して動力制御し、例えば昇降駆動モータ11及び水平駆動モータ60を駆動停止させる。なお、信号線群L5には、制御盤45のキースイッチや非常停止スイッチ、他にもパレット7の動作回数を取得可能なスイッチの信号線を含んでもよい。
【0037】
ここで、図8に監視システムを備えていない比較例に係る立体駐車装置の配線図を示す。図8に示す立体駐車装置は、プリント基板46によって昇降駆動モータ11及び水平駆動モータ60等を駆動させる点で、本実施の形態に係る立体駐車装置1のパレット制御については同様である。昨今、このような図8に示す配線図を有する立体駐車装置に対して、監視システムを後付けしたいという要望がある。
【0038】
しかしながら、プリント基板46による立体駐車装置の制御プログラムは、解析が困難であり、後付けで監視システムを追加する場合には、通常、プリント基板46ごと他のものに換装する必要がある。立体駐車場の制御プログラムは、プログラムに応じた電源容量、各種モータ・スイッチ、配線等を用意しなければならず、その結果、監視システムをプリント基板46ごと換装しようとすると、多大なコストがかかってしまう。
【0039】
そこで、本実施の形態では、既設の立体駐車装置の制御システムを活かしつつ、低コストで監視システムを後付け可能な二多段式駐車装置の監視システム並びに二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法を提供している。
【0040】
具体的には、図7に示す配線図は、図8に示す配線図に対して、分岐コネクタ81~85,87~90によって配線(信号線)を分岐している。図7では、分岐配線は破線で示している。例えば、図5及び図7に示すように、分岐コネクタ81~85,87~90は、それぞれ傾斜センサ57、温湿センサ58、水位センサ59、昇降駆動モータ11、水平駆動モータ60、昇降リミットスイッチ73、横行リミットスイッチ74、落下防止装置75及びゲート駆動モータ76の動作信号(電気信号)を伝達する信号線を分岐配線に分岐しており、各分岐配線はPLC80に接続されている。PLC80は、LANケーブルによってルータ47に接続されている。そして、PLC80は、ルータ47(並びにアンテナ49(図4参照))を介して、PLC80が分岐配線を介して取得した各信号線の動作信号を監視センター62(図5参照)に送信する。
【0041】
言い換えれば、二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法においては、昇降駆動モータ11の動作信号を伝送する信号線L41を分岐コネクタ84によって分岐配線L84に分岐させる分岐工程と、分岐配線L84をPLC80に接続する第1接続工程と、PLC80が分岐配線L84を介して取得した信号線L41の動作信号を監視センター62に送信できるように、PLC80をルータ47に接続する第2接続工程と、を備えている。
【0042】
また、二多段式駐車装置の監視システム用の動作信号分岐方法においては、昇降リミットスイッチ73,横行リミットスイッチ74及び落下防止装置75のリミットスイッチから出力された動作信号を伝送する信号線L47,L48,L49を分岐コネクタ87~89によって分岐配線L87,L88,L89に分岐させる分岐工程と、分岐配線L87,L88,L89をPLC80に接続する第3接続工程と、PLC80が分岐配線L87,L88,L89を介して取得した信号線L47,L48,L49の動作信号を監視センター62に送信できるように、PLC80をルータ47に接続する第4接続工程と、を備えている。なお、上記分岐工程、第3接続工程及び第4接続工程においては、信号線L47,L48,L49の少なくともいずれか1つを分岐配線に分岐させ、該分岐配線によって動作信号を監視センター62に送信できればよい。
【0043】
これにより、昇降駆動モータ11、水平駆動モータ60、昇降リミットスイッチ73、横行リミットスイッチ74及び落下防止装置75のリミットスイッチの少なくともいずれか1つから得られるパレット7の動作情報を監視センター62によって遠隔監視することができ、効率的に立体駐車装置1を保守管理することができる。例えば、各パレット7の稼働率に応じて、適切なタイミングでサービスマンを立体駐車装置1に向かわせ、ローラチェーン16a,16b、17a,17bの給油やその他のメンテナンスを行うことができる。このため、効果的かつ予防的に立体駐車装置1の保守を行うことができ、保守費用や保守のための労力を低減することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、例えば傾斜センサ57や水位センサ59の信号線も分岐コネクタ81,83によって分岐しているので、パレット7が大きく傾いたり、立体駐車装置1の許容水位を越えたりした場合に、監視センター62においてそれらを把握することができ、サービスマンに当該立体駐車装置1へ緊急出向指示を行うことができる。また、例えばユーザからメンテナンスの問い合わせを受けた場合に、サービスマンに監視画面70を転送することで、立体駐車装置1の状況をサービスマンがリアルタイムかつ正確に把握することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、プリント基板46によってパレット7を昇降制御する既設の立体駐車装置1に対して、各種のモータやセンサ・スイッチの信号線を分岐することで、監視センター62において監視画面70を作成することができる。よって、既存の配線等の設備を活かして監視システムを後付けすることができ、低コストで二多段式駐車装置の監視システムを導入することができる。
【0046】
なお、本実施の形態の立体駐車装置1のように、複数列の機械式駐車装置では、列毎にパレット7を昇降制御するプリント基板を設ける場合がある。この場合、各列に設けられたプリント基板の信号線をそれぞれ分岐させると、配線が煩雑になってしまう。このような場合、CC-LINK(登録商標)のような信号集約機器を用いて配線を簡便化してもよい。例えば、各列の配線をそれぞれCC-LINK(登録商標)ユニットに接続し、これらCC-LINK(登録商標)ユニットの信号をイーサネット(登録商標)ケーブルに集約してPLC80に接続してもよい。
【0047】
また、本実施の形態では、分岐コネクタ81~85,87~90にエレクトロタップを用いたが、配線の分岐方法はこれに限定されない。例えば、分岐コネクタ81~85,87~90に、圧着接続端子、スプライス端子、ギボシ端子ダブル、Y型接続端子、分岐ターミナル又はハンダ付けを用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 立体駐車装置
7 パレット
11 昇降モータ(昇降駆動モータ)
46 プリント基板
47 ルータ
62 監視センター
73,74,75 検知部(昇降リミットスイッチ、横行リミットスイッチ、落下防止装置)
80 PLC
84,87,88,89,90 分岐コネクタ
92a スイッチ(電磁接触器)
100 監視システム
L41,L47,L48,L49 信号線
L84,L87,L88,L89 分岐配線
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8