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特開2023-81641ポリカーボネート系樹脂組成物、及びそれを含む成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081641
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ポリカーボネート系樹脂組成物、及びそれを含む成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20230606BHJP
   C08L 33/08 20060101ALI20230606BHJP
   C08L 55/02 20060101ALI20230606BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20230606BHJP
   C08K 5/3435 20060101ALI20230606BHJP
   C08K 5/3475 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
C08L69/00
C08L33/08
C08L55/02
C08L53/00
C08K5/3435
C08K5/3475
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195509
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】396001175
【氏名又は名称】住化ポリカーボネート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太白 啓介
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BN152
4J002BP033
4J002CG011
4J002EU076
4J002EU086
4J002EU177
4J002FD046
4J002FD057
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】ポリカーボネート樹脂組成物の衝撃強度を低下させることなく、高い耐光性と優れた初期外観をバランス良く兼備するポリカーボネート樹脂組成物、及びそれを含む成形品を提供できる。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)50~99質量%、およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(B)1~50質量%からなる樹脂成分100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロック(a)とメタクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロック(b)を含むアクリル系トリブロック共重合体(C)0.5~10質量部、ヒンダードアミン系光安定剤(D)0.01~1.0質量部を含有することを特徴とする、ポリカーボネート系樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂(A)50~99質量%、およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(B)1~50質量%からなる樹脂成分100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロック(a)とメタクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロック(b)を含むアクリル系トリブロック共重合体(C)0.5~10質量部、およびヒンダードアミン系光安定剤(D)0.01~1.0質量部を含有することを特徴とする、ポリカーボネート系樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が17000~30000である、請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
【請求項3】
前記アクリル系トリブロック共重合体(C)が、前記重合体ブロック(a)の両末端のそれぞれに前記重合体ブロック(b)の一末端が結合したトリブロック共重合体である、請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
【請求項4】
前記ヒンダードアミン系光安定剤(D)が、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
一般式(1):
【化1】
(一般式(1)中、ピペリジン骨格の窒素原子に結合するR1、R2は、水素原子またはヘテロ原子を含むことが出来る炭化水素置換基である)
【請求項5】
前記樹脂成分100質量部に対し、さらに紫外線吸収剤(E)0.1~1.0質量部を含有する、請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
【請求項6】
前記紫外線吸収剤(E)が、ベンゾトリアゾール構造を有することを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物を含む、成形品。
【請求項8】
前記成形品が、電子機器の筐体または車両用部品の筐体を含む、請求項7記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及び、それを含む成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックとして、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性等に優れた熱可塑性樹脂であり、その優れた特性から、電気・電子・ITE、機械、自動車などの分野で広く用いられている。
【0003】
しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、溶融粘度が高く、成型加工性に劣るという問題があり、成形品の薄肉化・大型化が進むに伴い、成形加工性(流動性)を改良することが強く求められている。
【0004】
上記問題を解決する手段として、ポリカーボネート樹脂にゴム変性スチレン系樹脂を配合した組成物が多く提案されている。ポリカーボネート樹脂の成形加工性の改良のために、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)をポリカーボネート樹脂に配合した組成物は、ポリマーアロイとして、その耐熱性、成形加工性から多くの成形分野に用いられてきている。
【0005】
ポリカーボネート樹脂にABS樹脂を配合したポリマーアロイの問題点としては、成形加工性(流動性)を向上するためにABS樹脂の配合比率を高くすると、紫外線を含んだ太陽光に暴露する環境下ではABS樹脂が変色し、成形品全体としての外観が損なわれてしまうという課題がある。
【0006】
ポリカーボネート樹脂とABS樹脂からなるポリマーアロイの耐光性を改良する方法として、ヒンダードアミン系光安定剤を使用する方法が広く知られている。しかしながら、塩基性であるヒンダードアミン系光安定剤はポリカーボネート樹脂のポリマー鎖を分解することが知られており、製品の衝撃強度が低下するという課題がある。
【0007】
また、ポリカーボネート樹脂にヒンダードアミン系光安定剤や紫外線吸収剤を添加することにより成形後の樹脂組成物を黄変させ成形品外観を著しく損なうという問題点もある。
【0008】
特許文献1ではヒンダードアミン系光安定剤によるポリカーボネート樹脂への影響を改良する方法として、特定の構造を有するヒンダードアミン系光安定剤にポリエーテル系ポリマーを添加する方法が提案されているが、ポリカーボネート樹脂の衝撃強度に関しては言及されていない。
【0009】
特許文献2では、ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物にヒンダードアミン系光安定剤添加する方法が提案されているが、初期の黄色度に関しては言及されていない。また、塩基性の性質を有するヒンダードアミン系光安定剤は、ポリカーボネート樹脂の分解を促進し、衝撃強度維持は難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4637980号公報
【特許文献2】特許第4880174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ポリカーボネート樹脂本来の特性である高い衝撃特性を維持し、かつ高い耐光性と優れた初期外観をバランス良く兼備するポリカーボネート樹脂組成物、及びそれを含む成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を行った結果、ポリカーボネート樹脂およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂からなる樹脂成分に対して、アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロックとメタクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロックとから構成されたアクリル系ブロック共重合体とヒンダードアミン系光安定剤を配合することにより、高い衝撃強度を維持し、かつ高い耐光性と優れた初期外観をバランス良く兼備できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)50~99質量%、およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(B)1~50質量%からなる樹脂成分100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロック(a)とメタクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロック(b)を含むアクリル系トリブロック共重合体(C)0.5~10質量部、ヒンダードアミン系光安定剤(D)0.01~1.0質量部を含有することを特徴とする、ポリカーボネート系樹脂組成物、及びそれを含む成形品を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高い衝撃強度を維持し、かつ高い耐光性と優れた初期外観をバランス良く兼備するポリカーボネート樹脂組成物、及びそれを含む成形品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のポリカーボネート組成物及び成形品は、高い衝撃強度と高い耐光性と優れた初期外観を有している。本発明のポリカーボネート組成物及び成形品、電気機器や電子機器、IT機器に適しており、特に太陽光に暴露される環境下での使用を目的としており、かつ成形品外観が重視されるメーターパネル筐体や、車両用機器の筐体に適している。
【0016】
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、ABS樹脂(B)、アクリル系トリブロック共重合体(C)、及びヒンダードアミン系光安定剤(D)を含有する。
【0017】
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0018】
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′-ジヒドロキシ-3,3′-ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′-ジヒドロキシ-3,3′-ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′-ジヒドロキシ-3,3′-ジメチルジフェニルスルホンのような、ジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
【0019】
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′-ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0020】
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプテン、2,4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプタン、1,3,5-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ベンゾール、1,1,1-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-エタン及び2,2-ビス-〔4,4-(4,4′-ジヒドロキシジフェニル)-シクロヘキシル〕-プロパンなどが挙げられる。
【0021】
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、強度面から17000~30000が好ましい。このような粘度平均分子量のポリカーボネート樹脂を用いることで、高い衝撃強度を備えるポリカーボネート樹脂組成物が得られる。成形加工性と強度面から、ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、19000~28000であることがより好ましい。粘度平均分子量が30000を超える場合は、加工性が悪くなる場合がある。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
【0022】
本発明にて使用されるアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下、ABS樹脂ともいう)の重合方法としては乳化重合、懸濁重合、塊状重合などの重合方法が挙げられるが、特にバルク重合法(連続塊状重合法)からなるABS樹脂が好適である。
【0023】
ABS樹脂(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)50~99質量部に対して、1~50質量部であることが好ましい。ABS樹脂(B)の配合量が1質量部未満の場合、成形加工性が不足する可能性があり、ABS樹脂(B)の配合量が50質量部を超える場合、耐熱性が低下する可能性があるため好ましくない。
【0024】
本発明にて使用されるアクリル系トリブロック共重合体(C)は、アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロック(a)と、メタクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロック(b)とから構成される。
【0025】
重合体ブロック(a)に含まれるアクリル酸エステル単量体単位の含有量は、該重合ブロック(a)100質量%に対して60質量%以上100質量%以下(すなわち主成分)であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。重合体ブロック(a)におけるアクリル酸エステル単量体単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ジメチルアミノエチルなどのモノマーから誘導される構成単位が挙げられ、これらのうち1種または2種以上が用いられる。
【0026】
この重合体ブロック(a)は、上記モノマーの重合反応によって得られ、重合体ブロック(a)の重量平均分子量としては、6,000以上1,000,000以下が望ましく、10,000以上800,000以下が更に望ましく、15,000以上500,000以下が特に望ましい。重合体ブロック(a)の重量平均分子量が上記範囲であると、耐衝撃性、流動性に優れたアクリル系トリブロック共重合体(C)が得られる観点から望ましい。
【0027】
また、重合体ブロック(a)には、アクリル酸エステル由来の構成単位以外にも、所望の効果を損なわない範囲で、その他の構成単位を含んでもよい。その他の構成単位としては、例えば、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、オレフィンなどの他モノマーが挙げられる。
【0028】
重合体ブロック(b)に含まれるメタクリル酸エステル単量体単位の含有量は、該重合ブロック(b)100質量%に対して60質量%以上100質量%以下(すなわち主成分)であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。重合体ブロック(b)における、メタクリル酸エステル単量体単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-n-オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどのモノマーから誘導される構成単位が挙げられ、これらのうち1種または2種以上が用いられる。
【0029】
この重合体ブロック(b)は、上記モノマーの重合反応によって得られ、重合体ブロック(b)の重量平均分子量は、1,000以上1,000,000以下が望ましく、2,000以上750,000以下が更に望ましく、3,000以上500,000以下が特に望ましい。重合体ブロック(b)の重量平均分子量が上記範囲内であると、マトリクス樹脂への分散性に優れたたアクリル系トリブロック共重合体(C)が得られる観点から望ましい。
【0030】
なお、重合体ブロック(b)には、メタクリル酸エステル由来の構成単位以外にも、所望の効果を損なわない範囲で、その他の構成単位を含んだ構成であってもよい。その他の構成単位としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、オレフィンなどの他モノマーが挙げられる。
【0031】
本発明において用いられるアクリル系トリブロック共重合体としては、重合体ブロック(a)の両末端のそれぞれに重合体ブロック(b)の一末端が結合した、(b)-(a)-(b)構造のトリブロック構造体を用いることが好ましい。上記(b)-(a)-(b)構造のトリブロック構造体を用いることにより、ポリカーボネート樹脂組成物の高い衝撃強度を維持しつつ成型加工性を向上させることができる。
【0032】
アクリル系トリブロック共重合体の製造方法としては、以下の方法が挙げられる。具体的には、各ブロックを構成するモノマーをリビング重合する方法が挙げられる。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの鉱酸塩存在下でアニオン重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法、有機希土類金属錯体を重合開始剤として重合する方法、α-ハロゲン化エステル化合物を開始剤として銅化合物の存在下、ラジカル重合する方法などが挙げられる。また、多価ラジカル重合開始剤や多価ラジカル連鎖移動剤を用いて、各ブロックを構成するモノマーを重合させ、本発明のアクリル系トリブロック共重合体を含有する混合物として製造する方法なども挙げられる。これらの方法中、ブロック共重合体が高純度で得られ、また分子量分布が狭い、つまり本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃強度、耐熱性を低下させる要因となるオリゴマーや、流動性を低下させる要因となる高分子量体を含まないことから、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、有機アルミニウム化合物の存在下で、アニオン重合する方法が好ましい。
【0033】
本発明におけるアクリル系トリブロック共重合体(C)の重量平均分子量は、耐衝撃性、流動性、分散性の向上の観点から、1,000以上1,000,000以下であることが望ましく、2,000以上500,000以下であることが更に望ましい。
【0034】
本発明におけるアクリル系トリブロック共重合体(C)としては、具体的には、ポリアクリル酸ブチルを単量体単位とする重合体ブロックと、ポリメタクリル酸メチルを単量体単位とする重合体ブロックとを含むトリブロック共重合体が好適に用いられる。
【0035】
また、アクリル系トリブロック共重合体(C)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合には、分子量の異なるブロック共重合体や、アクリル酸エステル単量体を含む重合体ブロック(a)及びメタクリル酸エステル由来の単量体単位(b)を含む重合体ブロックの含有量の異なるブロック共重合体を併用してもよい。
【0036】
なお、アクリル系トリブロック共重合体(C)としては、市販品を用いても良く、この市販品としては、(株)クラレ製「LA2149e(商品名)」、(株)クラレ製「LA2250(商品名)」、(株)クラレ製「LA4285(商品名)」、(株)クラレ製「LA1114(商品名)」(株)クラレ製「LA2140(商品名)」等が挙げられる。
【0037】
アクリル系トリブロック共重合体(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)及びABS樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.5~10質量部であることが好ましい。アクリル系トリブロック共重合体(C)の配合量がこの範囲を外れる場合、衝撃強度が低下する可能性があるため好ましくない。
【0038】
本発明にて使用されるヒンダードアミン系光安定剤(D)としては、以下の一般式(1)にて表されるものを使用できる。
一般式(1):
【化1】
(一般式(1)中、ピペリジン骨格の窒素原子に結合するR1、R2は、水素原子またはヘテロ原子を含むことが出来る炭化水素置換基である)
【0039】
一般式(1)で表されるヒンダードアミン系光安定剤としては、N-CH型ヒンダードアミン系光安定剤、N-H型ヒンダードアミン系光安定剤、N-R型ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。ここで、N-CH型ヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン骨格の窒素原子に結合した水素原子がメチル基で置換されたものであり、N-H型ヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン骨格の窒素原子に結合した水素原子がアルキル基で置換されていない(水素原子のままである)ものであり、N-R型ヒンダードアミン系光安定剤は、N-H型ヒンダードアミン系光安定剤、N-CH型ヒンダードアミン系光安定剤以外のものである。これらの中ではN-CH型ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
【0040】
N-CH型ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、アデカ社製のアデカスタブLA-52、アデカスタブLA-63P、アデカスタブLA-72、BASF社製のTINUVIN PA144、TINUVIN765等として入手可能である。
【0041】
N-R型ヒンダードアミン系光安定剤としては、アデカ社製のアデカスタブLA-81、三共化成製のサノール LS2626、BASF社製、TINUVIN622として入手可能である。
【0042】
ヒンダードアミン系光安定剤の好適な具体例としては、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-N,N’-ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合物、オレフィン(C20-24)・無水マレイン酸・4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン共重合物等が挙げられる。
【0043】
上記に記載したものの他にも、例えば、アデカスタブLA-77、アデカスタブLA-57、アデカスタブLA-62、アデカスタブLA-67、アデカスタブLA-68、アデカスタブLA-94、アデカスタブLA-82、アデカスタブLA-87、アデカスタブLA-502XP(以上、ADEKA社製)等の市販品を使用してもよい。
【0044】
ヒンダードアミン系光安定剤(D)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)及びABS樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.01~1.0質量部であることが好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤(D)の配合量が0.01質量部未満の場合、耐光性が不十分となるため好ましくない。また、ヒンダードアミン系光安定剤(D)の配合量が1.0質量部を超える場合、初期外観が悪化したり(着色が生じたり)、衝撃強度が低下したりする可能性があるため好ましくない。
【0045】
本発明にて使用される紫外線吸収剤(E)としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などが使用できるが、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
【0046】
本発明にて使用されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(E)としては、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-クミル-6-ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’-p-フェニレンビス(1,3-ベンゾオキサジン-4-オン)などが例示される。
【0047】
なかでも、特に、2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が好適であり、例えば、BASF社製のTINUVIN 329(TINUVINは登録商標)、シプロ化成(株)製のシーソーブ709、ケミプロ化成(株)製のケミソーブ79等が商業的に入手可能である。
【0048】
前記紫外線吸収剤(E)の配合量は、樹脂成分100質量部あたり0.1~1.0質量部が好ましい。配合量が0.1質量部未満では耐候性に劣り、また1.0質量部を超えると初期着色が生じるため好ましくない。紫外線吸収剤(E)の配合量のより好ましい範囲は0.1~0.6質量部、さらに好ましくは0.1~0.4質量部である。
【0049】
さらに、実施の形態に係るポリカーボネート樹脂組成物には、本発明における効果を損なわない範囲で、例えば、酸化防止剤(例:、2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-〔3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、住友化学(株)製のスミライザーGP(「スミライザー」は登録商標))、離型剤(例:脂肪酸エステル:グリセリンモノステアレート、理研ビタミン(株)製リケマールS-100A)、熱安定剤、着色剤、軟化剤、帯電防止剤、衝撃性改良剤等の各種添加剤、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、ABS樹脂(B)およびアクリル系トリブロック共重合体(C)以外のポリマー等が適宜配合されていてもよい。
【0050】
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、ABS樹脂(B)、アクリル系トリブロック共重合体(C)、及びヒンダードアミン系光安定剤(D)を混合し、必要に応じて、各種添加剤及び/または他のポリマー等を混合する製造方法を例示することができる。本発明が目的とするポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる限り、その製造方法は特に制限されることはなく、各成分の種類及び量を適宜調整することができる。成分の混合方法も特に制限されることはなく、例えば、タンブラー、及びリボンブレンダー等の公知の混合機にて混合する方法や、押出機にて溶融混練する方法を例示できる。これらの方法により、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを容易に得ることができる。
【0051】
本発明に係る成形品は、上記のポリカーボネート樹脂組成物を成形して得ることができる。
【0052】
本発明が目的とする成形品を得ることができる限り、成形品の製造方法は特に限定されることはなく、例えば、公知の射出成形法、圧縮成形法等によりポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法が挙げられる。
【0053】
本発明に係る成形品は、電気機器や電子機器、IT機器、車両用メーターパネルの筐体に適しており、特に、耐熱性の要求される車両用の周辺部品や筐体にも適している。
【0054】
以上のように、本発明の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本発明における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。
【実施例0055】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」及び「%」はそれぞれ質量基準である。
【0056】
原料として以下のものを使用した。
1、ポリカーボネート樹脂(A)
ビスフェノールAと塩化カルボニルとから合成されたポリカーボネート樹脂
1-1、住化ポリカーボネート社製SDポリカ200-3(商品名)(粘度平均分子量:28500):「SDポリカ」は住化ポリカーボネート(株)の登録商標、以下、「PC-1」と略称
1-2、住化ポリカーボネート社製SDポリカ200-13(商品名)(粘度平均分子量:21500):「SDポリカ」は住化ポリカーボネート(株)の登録商標、以下、「PC-2」と略称
1-3、住化ポリカーボネート社製SDポリカ200-30(商品名)(粘度平均分子量:17600):「SDポリカ」は住化ポリカーボネート(株)の登録商標、以下、「PC-3」と略称
【0057】
2.ABS樹脂(B)
2-1、トリンセオ社製MAGNUM A-156(商品名)
(バルク重合ABS樹脂):「MAGNUM」はトリンセオ(株)の登録商標、以下、「ABS-1」と略称
2-2、日本エイアンドエル社製サンタック AT05(商品名)
(バルク重合ABS樹脂):「サンタック」は日本エイアンドエル(株)の登録商標、以下、「ABS-2」と略称
2-3、日本エイアンドエル社製クララスチック SXH330(商品名)
(乳化重合ABS樹脂):「クララスチック」は日本エイアンドエル(株)の登録商標、以下、「ABS-3」と略称
【0058】
3.アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロック(a)とメタクリル酸エステル単量体単位を含む重合体ブロックとから構成されたアクリル系トリブロック共重合体(C)
3-1、クラレ社製クラリティLA2140(商品名)
(低分子量アクリル系トリブロック共重合体):「クラリティ」は(株)クラレの登録商標、以下、「MAM-1」と略称
3-2、クラレ社製クラリティLA2330(商品名)
(中分子量アクリル系トリブロック共重合体):「クラリティ」は(株)クラレの登録商標、以下、「MAM-2」と略称
3-3、クラレ社製クラリティLA3320(商品名)
(高分子量アクリル系トリブロック共重合体):「クラリティ」は(株)クラレの登録商標、以下、「MAM-3」と略称
【0059】
4.ヒンダードアミン系光安定剤(D)
4-1.アデカ社製アデカスタブLA-52(商品名)
(低分子量ヒンダードアミン):「アデカスタブ」は(株)アデカの登録商標、以下、「HALS-1」と略称
4-2.アデカ社製アデカスタブLA-63P(商品名)
(高分子量ヒンダードアミン):「アデカスタブ」は(株)アデカの登録商標、以下、「HALS-2」と略称
4-3.アデカ社製アデカスタブLA-81(商品名)
(低分子量ヒンダードアミン):「アデカスタブ」は(株)アデカの登録商標、以下、「HALS-3」と略称
4-4.三共化成社製サノールLS-2626(商品名)
(高分子量ヒンダードアミン):「サノール」は三共化成(株)の登録商標、以下、「HALS-4」と略称
【0060】
5.紫外線吸収剤(E)
5-1.ケミプロ社製ケミソーブ79(商品名)
(低分子量ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤):「ケミソーブ」はケミプロ化成(株)の登録商標、以下、「UVA-1」と略称
5-2.アデカ社製アデカスタブLA-31RG(商品名)
(高分子量ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤):「アデカスタブ」は(株)アデカの登録商標、以下、「UVA-2」と略称
5-3.アデカ社製アデカスタブLA-36(商品名)
(低分子量ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤):「アデカスタブ」は(株)アデカの登録商標、以下、「UVA-3」と略称
5-4.BASF社製チヌビンT-1577ED(商品名)
(トリアジン型紫外線吸収剤):「チヌビン」はBASF(株)の登録商標、以下、「UVA-4」と略称
【0061】
(実施例1~24及び比較例1~5)
前述の各種配合成分を表1~5に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製TEX30α)を用いて、溶融温度240℃にて混練し、樹脂組成物のペレットを得た。尚、樹脂組成物は、リン系酸化防止剤として樹脂成分100質量部に対し0.2質量部のスミライザーGPおよび離型剤として0.1質量部のS-100Aを含む。
【0062】
(ノッチ付きシャルピー衝撃強度の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ100℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(FANUC製ROBOSHOT S2000i100B)を用いて設定温度250℃にてISO試験法に準じた試験片を作成し、得られた試験片を用いてISO179-1、ISO75-2に準じノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。ノッチ付きシャルピー衝撃強度が90KJ/m以上を◎、80KJ/m以上90KJ/m未満を○、80KJ/m未満を×とした。
【0063】
(添加剤による初期着色の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ100℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(FANUC製ROBOSHOT S2000i100B)を用いて設定温度260℃にて、80mm×50mm×2mmの平板型試験片を作製した。次に分光測色計(村上色彩研究所製CMS-35SP)を用いてD65光源、視野角10°、反射法にて黄色度(YI(1))を測定した。
【0064】
さらにヒンダードアミン系光安定剤(D)、紫外線吸収剤(E)を含まないポリカーボネート樹脂組成物に関しても同様に平板型試験片を作製し、同様の方法で黄色度(YI(2))を測定した。
【0065】
測定した黄色度(YI(1))から黄色度(YI(2))を引いた差を計算し、その値を初期YIとした。初期YIは3.0未満を◎、3.0以上9.0未満を○、9.0以上を×とした。
【0066】
(耐光性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ100℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(FANUC製ROBOSHOT S2000i100B)を用いて設定温度250℃にて、80mm×50mm×2mmの平板型試験片を作製した。次に高促進耐候性試験機(スガ試験機株式会社製スーパーキセノンウェザーメーターSX75)を用いて、放射強度180W/m、BPT温度63℃、槽内湿度50%RHの条件下で300時間照射した。照射終了後、分光測色計(村上色彩研究所製CMS-35SP)を用いてD65光源、視野角10°、反射法にて黄色度(YI(3))を測定した。
【0067】
測定した黄色度(YI(3))から黄色度(YI(1))を引いた差を計算し、その値をΔYIとした。ΔYIは40未満を◎、40以上50未満を○、50以上を×とした。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
表1~表4のとおり、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を全て満足する場合(実施例1~24)にあっては、全ての評価項目にわたり良好な結果を示した。
【0074】
一方、表5で示したとおり、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足しない場合(比較例1~5)においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
【0075】
比較例1、2はアクリル系トリブロック共重合体の配合量が配合されていないことに加え、ヒンダードアミン系光安定剤が添加されていることにより、著しい衝撃強度の低下が見られた。
【0076】
比較例3は、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤の配合量が規定量より少ない場合で、促進耐候性試験後に著しい黄変が見られた。
【0077】
比較例4は、ヒンダードアミン系光安定剤の配合量が規定量より多い場合で、初期外観の黄変が見られた。
【0078】
比較例5は、ヒンダードアミン系光安定剤の配合量が規定量より多い場合で、アクリル系トリブロック共重合体を配合しているにも関わらず、著しい衝撃強度の低下が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のポリカーボネート組成物は、高い衝撃特性と高い耐光性と優れた初期外観をバランス良く兼備していることから、電気機器、電子機器、IT機器、車両用機器の筐体に適しており、特に太陽光に暴露される環境下での使用が考えられ、デザイン性も重視されるメーターパネル筐体や、車両用機器の筐体に適している。