(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081655
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】トリガー装置、システム、及び、方法
(51)【国際特許分類】
G01H 17/00 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195538
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】中山 由美子
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
(57)【要約】
【課題】容易に、2つのデータを同期可能とすること。
【解決手段】トリガー装置1は、光を発生する発光素子3と、振動を発生する加振器4と、を備える。発光素子3による光の発生と、加振器4による振動の発生とは、同期している。発光素子3は、入力される同期信号に従って光を発生する。加振器4は、発光素子3に入力される同期信号と同一である、入力される同期信号に従って振動を発生する。発光素子3は、筐体2内の上部に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発生する発光部と、
振動を発生する振動部と、を備え、
前記発光部による光の発生と、前記振動部による振動の発生とは、同期していることを特徴とするトリガー装置。
【請求項2】
前記発光部は、入力される同期信号に従って光を発生し、
前記振動部は、前記発光部に入力される同期信号と同一である、入力される同期信号に従って振動を発生することを特徴とする請求項1に記載のトリガー装置。
【請求項3】
前記発光部と前記振動部とは、同一筐体に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトリガー装置。
【請求項4】
前記発光部と前記振動部とは、別筐体に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトリガー装置。
【請求項5】
前記発光部が設けられた筐体と、前記振動部が設けられた筐体とは、ケーブルで接続されていることを特徴とする請求項4に記載のトリガー装置。
【請求項6】
前記発光部は、前記筐体内の上部に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のトリガー装置。
【請求項7】
前記振動部は、前記筐体内の下部であって、自装置の設置面に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のトリガー装置。
【請求項8】
前記振動部は、加振器であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のトリガー装置。
【請求項9】
前記同期信号は、前記振動部による振動時間、及び、前記発光部による発光時間が、撮影装置のフレームレートの倍数となる信号であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のトリガー装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のトリガー装置と、
振動センサーと、
撮影装置と、
前記振動センサーによる振動データと、前記撮影装置による撮影データと、を同期させる同期装置と、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記同期装置は、前記振動センサーよる振動データにおける、前記振動部による振動と、前記撮影装置による撮影データにおける、前記発光部による発光と、を同期させることで、前記振動センサーによる振動データと、前記撮影装置による撮影データと、を同期させることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
振動データと撮影データとを同期させる方法であって、
振動が含まれる振動データと、振動に同期した発光が撮影された撮影データと、において、振動と発光とを同期させることで、振動データと撮影データとを同期させることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのデータを同期させるためのトリガー装置、2つのデータを同期させるシステム、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、振動センサーによって検出された振動データに基づいて、移動体(例えば、車両)の移動を検出し、検出した移動体の数を計数(カウント)するシステムに係る発明を出願している(特願2020-117429)。移動を検出した車両を、例えば、大型車、小型車等に分類(車種判別)する場合、予め、特徴量と特徴量に対応する正解データとを与え、特徴量から分類可能な状態にする必要がある。この場合、正解データとして、移動する車両を撮影し、撮影した映像から、いつ、どのような車種が通過したかを示すラベリングデータを作成する必要がある。
【0003】
ラベリングデータの作成に関し、例えば、移動する車両を撮影したビデオデータに対して、動画認識を用いて、車両の通行時間を認識し、車両の通行時間を記録したラベリングデータを作成する。そのうえで、オーディオデータから抽出した振動ピークに対して、上記したラベリングデータを基に、ラベル付けを行うことが考えられる。
【0004】
上述したようなラベル付けを行う場合、ラベリングデータとオーディオデータとを同期させる必要がある。例えば、交通量カウントにおいて、機械学習時、振動センサーによる振動データと、ビデオカメラによるビデオデータと、を同期させ、ビデオカメラから得られた映像により、振動データから得られた正解データに対して、正解ラベルを付与することが行われる。しかしながら、振動センサー、一般消費者向けのビデオカメラには、同期信号の入力がないため、同様な同期をとることができない。また、同期信号入力の業務用ビデオカメラも存在するが、高価である。また、振動センサーに対しては、同期信号を記録する入力がないため、振動データとの同期が困難となっていた。振動センサーには、録音(測定)スタートボタン、ビデオカメラには録画スタートボタンが、ぞれぞれ、設けられており、スタートでは同期ができないため、工夫が必要である。
【0005】
オーディオ機器の分野では、異なるオーディオ機器を同期させるために、マスタークロックジェネレーターが使用されている。市販されているマスタークロックジェネレーターとしては、例えば、TASCAM CG-1000(https://tascam.jp/jp/product/cg-1000/top)がある。特許文献1には、マスタークロックジェネレーターに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、例えば、振動センサーによるデータと、ビデオカメラによるデータと、のように、異なる手段によるデータを同期させることが困難である等の問題がある。
【0008】
本発明の目的は、容易に、2つのデータを同期可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明のトリガー装置は、光を発生する発光部と、振動を発生する振動部と、を備え、前記発光部による光の発生と、前記振動部による振動の発生とは、同期していることを特徴とする。
【0010】
本発明では、発光部による光の発生と、振動部による振動の発生とは、同期している。これにより、例えば、振動センサーによる録音(振動)データと、ビデオカメラによる録画データとを、同期しようとする場合、録音データに振動が記録されているときに、録画データに光が記録されることになるため、容易に、録音データと録画データとを同期させることができる。すなわち、本発明によれば、2つのデータを容易に同期させることができる。
【0011】
第2の発明のトリガー装置は、第1の発明のトリガー装置において、前記発光部は、入力される同期信号に従って光を発生し、前記振動部は、前記発光部に入力される同期信号と同一である、入力される同期信号に従って振動を発生することを特徴とする。
【0012】
第3の発明のトリガー装置は、第1又は第2の発明のトリガー装置において、前記発光部と前記振動部とは、同一筐体に設けられていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明のトリガー装置は、第1又は第2の発明のトリガー装置において、前記発光部と前記振動部とは、別筐体に設けられていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明のトリガー装置は、第4の発明のトリガー装置において、前記発光部が設けられた筐体と、前記振動部が設けられた筐体とは、ケーブルで接続されていることを特徴とする。
【0015】
第6の発明のトリガー装置は、第1~第3のいずれかの発明のトリガー装置において、前記発光部は、前記筐体内の上部に設けられていることを特徴とする。
【0016】
第7の発明のトリガー装置は、第1~第6のいずれかの発明のトリガー装置において、前記振動部は、前記筐体内の下部であって、自装置の設置面に対向するように設けられていることを特徴とする。
【0017】
第8の発明のトリガー装置は、第1~第7のいずれかの発明のトリガー装置において、前記振動部は、加振器であることを特徴とする。
【0018】
第9の発明のトリガー装置は、第1~第8のいずれかの発明のトリガー装置において、前記同期信号は、前記振動部による振動時間、及び、前記発光部による発光時間が、撮影装置のフレームレートの倍数となる信号であることを特徴とする。
【0019】
第10の発明のシステムは、第1~第9のいずれかの発明のトリガー装置と、振動センサーと、撮影装置と、前記振動センサーによる振動データと、前記撮影装置による撮影データと、を同期させる同期装置と、を備えることを特徴とする。
【0020】
第11の発明のシステムは、第10の発明のシステムにおいて、前記同期装置は、前記振動センサーよる振動データにおける、前記振動部による振動と、前記撮影装置による撮影データにおける、前記発光部による発光と、を同期させることで、前記振動センサーによる振動データと、前記撮影装置による撮影データと、を同期させることを特徴とする。
【0021】
第12の発明の方法は、振動データと撮影データとを同期させる方法であって、振動が含まれる振動データと、振動に同期した発光が撮影された撮影データと、において、振動と発光とを同期させることで、振動データと撮影データとを同期させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、2つのデータを容易に同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るトリガー装置を示す模式図である。
【
図2】発光素子、及び、加振器に入力される同期信号の一例を示す図である。
【
図3】トリガー装置が設置された状態をビデオカメラで撮影した状態を示す図である。
【
図4】(a)は、カメラのコマとタイミングとが一致している場合を示す図である。(b)は、カメラのコマと発光タイミングとにずれがある場合を示す図である。
【
図5】(a)は、本発明の第2実施形態に係るトリガー装置を示す模式図である。(b)は、発光素子付近の拡大図である。
【
図6】第2実施形態に係るトリガー装置の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、振動センサーによって検出された振動データに基づいて、移動体(例えば、車両)の移動を検出し、検出した移動体の数を計数(カウント)するシステムに後述するトリガー装置が用いられる場合について説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るトリガー装置1を示す模式図である。トリガー装置1は、内部に種々の部品等を収納するための筐体2を備える。なお、
図1に示す筐体2は、一例である。筐体2に、発光素子3(発光部)と、加振器4(振動部)と、が設けられている。発光素子3は、光を発生する。発光素子3は、筐体2内の上部に設けられている。筐体2における発光素子3が位置する部分は、例えば、透明になっており、発光素子3による光が、外部から視認できるようになっている。加振器4は、振動を発生する。加振器4は、筐体2内の下部であって、トリガー装置1の設置面に対向するように設けられている。このため、加振器4の振動が、トリガー装置1が設置された道路などに伝わり、道路などを振動させることができる。
【0026】
発光素子3は、入力される同期信号に従って光を発生する。加振器4は、入力される同期信号に従って振動を発生する。発光素子3と加振器4とに入力される同期信号は、同一である。従って、発光素子3による発光と、加振器4による振動とは、同期している。
図2は、発光素子3、及び、加振器4に入力される同期信号の一例を示す図である。発光時間、及び、振動時間は、
図2に示すように、1/60×30秒、1/60×15秒である。
【0027】
トリガー装置1は、測定対象である道路の上に設置される。
図3は、トリガー装置1が設置された状態をビデオカメラで撮影した状態を示す図である。本実施形態では、トリガー装置1は、車両の計数(車両の種類(大型車、小型車)の判別を含む)を行うために使用される。このため、
図3に示すように、道路上を走行する車両の様子が撮影されている。また、
図3の右下隅には、時間が表示されている。さらに、
図3の左側には、基準線が示されている。例えば、撮影されたビデオ(撮影、録画)データに基づいて、車両が基準線(基準位置)を通過した時間を含むラベリングデータが作成される。トリガー装置1は、画面上の右下端に位置している。すなわち、トリガー装置1は、道路上のカメラの画角内に設置される。
【0028】
上述したように、同期信号は、発光時間、及び、振動時間が、1/60×30秒、1/60×15秒となるような、信号となっている。ここで、トリガー装置1は、ビデオカメラにより撮影されるため、発光素子3による発光も、ビデオカメラで収録される。そして、振動センサーによる振動データと、ビデオカメラによるビデオデータとは、例えば、ビデオ編集ソフトにより同期される。このとき、ビデオデータに含まれる発光が、一定周期の単調なものであると、視認性が悪く、見つけにくい。そのため、
図2に示されている同期信号にて、振動と発光とを行わせる。同期信号による振動、及び、発光の停止・起動時間は、1/60で割り切れる区間の信号とする。言い換えれば、同期信号は、発光素子3による発光時間、及び、加振器4による振動時間が、1/60秒の倍数となる信号である。
【0029】
ビデオカメラは、通常、1/60秒(撮影装置のフレームレート)で撮影をしている。このため、発光時間、及び、振動時間を、1/60秒の倍数とすることにより、編集ソフトのコマ送り時の誤差を最小限にすることができる。
図4(a)は、カメラのコマと発光タイミングとが一致している場合を示している。
図4(b)に示すように、カメラのコマと発光タイミングとにずれがあっても、一致しているときに比べて、ずれを最小限の1コマにすることができる。なお、ビデオカメラのフレームレートの例示として、1/60秒を記載したが、例えば、1/60秒に近似する1/59.94秒である場合もある。また、例えば、フレームレートは、早い場合、1/120秒、遅い場合、1/29.97である場合もある。
【0030】
本実施形態では、トリガー装置1と、振動センサーと、ビデオカメラ(撮影装置)と、振動センサーによる振動データと、ビデオカメラ(撮影装置)によるビデオ(撮影)データと、を同期させる、編集ソフトがインストールされたPC(同期装置)と、によって、振動データとビデオデータとを同期させるシステムが構成される。PCは、振動センサーよる振動データにおける、加振器4による振動と、ビデオカメラによるビデオデータにおける、発光素子3による発光と、を同期させることで、振動センサーによる振動データと、ビデオカメラによるビデオデータと、を同期させる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態では、発光素子3発光部による光の発生と、加振器4(振動部)による振動の発生とは、同期している。これにより、例えば、振動センサーによる録音(振動)データと、ビデオカメラによるビデオ(撮影、録画)データとを、同期しようとする場合、録音データに振動が記録されているときに、ビデオデータに光が記録されることになるため、容易に、録音データとビデオデータとを同期させることができる。すなわち、本実施形態によれば、2つのデータを容易に同期させることができる。
【0032】
(第2実施形態)
図5(a)は、本発明の第2実施形態に係るトリガー装置101を示す模式図である。
図5(b)は、発光素子103付近の拡大図である。第1実施形態においては、発光素子3と加振器4とが、同一の筐体2に設けられている。これに対し、第2実施形態では、発光素子103と、加振器104とは、別の筐体102、105に設けられている。筐体102と筐体105とは、光ケーブル106により接続されている。
【0033】
図6は、トリガー装置101の使用例を示す図である。発光素子103は、光ケーブル106によって、ビデオカメラ201のカメラレンズ前に設置される。振動を検出するための振動センサー202は、ビデオカメラ201の下に設置される。発光信号は、光ケーブル106を通じて、カメラレンズ前に導かれ、カメラレンズ前で発光する。このため、発光がビデオカメラに映り、これと同時に、加振器104による信号が、振動センサーによって、振動(録音)データに含まれる。
【0034】
光ケーブル106を用いることで、夜間の測定時の光害を配することができ、また、弱い光でビデオカメラの同期信号として利用できるという利点がある。また、第1実施形態のように、トリガー装置1が画面に映るように設置されなくても、例えば、ビデオカメラの三脚の真下に設置できるという利点がある。さらに、狭い歩道で測定を行うことも可能である。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、2つのデータを同期させるためのトリガー装置、2つのデータを同期させるシステム、及び、方法に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0037】
1、101 トリガー
2、102 筐体
3、103 発光素子(発光部)
4、104 加振器(振動部)
105 筐体
106 光ケーブル