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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081683
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/04 20210101AFI20230606BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20230606BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
G03B11/04 B
H05K7/12 A
G06F1/16 312E
G06F1/16 312G
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195597
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 紀幸
【テーマコード(参考)】
2H083
4E353
【Fターム(参考)】
2H083CC01
2H083CC23
2H083CC36
4E353AA02
4E353AA18
4E353AA19
4E353BB02
4E353CC02
4E353CC32
4E353DD05
4E353DD15
4E353DR12
4E353DR36
4E353GG09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シャッターを第1位置および第2位置で安定して保持する電子機器を得ること。
【解決手段】電子機器は、表示部の周囲を囲う枠体と、枠体に配置されるカメラと、枠体に配置されてカメラのレンズを覆う第1位置とレンズを露出する第2位置との間をスライド移動可能なシャッターと、を備える。シャッターは、枠体に開口した孔部を表示部の厚み方向に貫通して該枠体と係合する爪部と、爪部から枠体に向けて厚み方向に突出する突起とを備える。枠体は、孔部の縁に厚み方向に突出し、シャッターの移動に際し、突起が乗り越えて該シャッターを第1位置または第2位置に位置決めする一対の突部を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部の周囲を囲う枠体と、
前記枠体に配置されるカメラと、
前記枠体に配置されて前記カメラのレンズを覆う第1位置と前記レンズを露出する第2位置との間をスライド移動可能なシャッターと、を備え、
前記シャッターは、前記枠体に開口した孔部を前記表示部の厚み方向に貫通して該枠体と係合する爪部と、前記爪部から前記枠体に向けて前記厚み方向に突出する突起とを有し、
前記枠体は、前記孔部の縁に前記厚み方向に突出し、前記シャッターの移動に際し、前記突起が乗り越えて該シャッターを前記第1位置または前記第2位置に位置決めする一対の突部を備える電子機器。
【請求項2】
前記枠体は、一対の前記突部の間に、該突部よりも前記厚み方向の突出量が小さい低部を有し、前記低部と一対の前記突部との間を傾斜面で接続した請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記爪部は、前記シャッターにおける前記レンズとの対向面から前記厚み方向に延在し、先端が鉤状に屈曲している請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記突起は、前記爪部と一体に形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体に収容されたカメラと、筐体の外部を撮影するカメラのレンズを覆う第1位置と該レンズを露出させる第2位置とにスライド移動可能なシャッターと、を備えた電子機器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-28157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の電子機器では、シャッターは人手によって第1位置と第2位置との間でスライド操作されるが、このシャッターが重力や振動などで不用意に動くことがないように、第1位置および第2位置で保持されることが望ましく、この点で更なる改善の余地があった。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、シャッターを第1位置および第2位置で安定して保持することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる電子機器は、表示部の周囲を囲う枠体と、前記枠体に配置されるカメラと、前記枠体に配置されて前記カメラのレンズを覆う第1位置と前記レンズを露出する第2位置との間をスライド移動可能なシャッターと、を備え、前記シャッターは、前記枠体に開口した孔部を前記表示部の厚み方向に貫通して該枠体と係合する爪部と、前記爪部から前記枠体に向けて前記厚み方向に突出する突起とを有し、前記枠体は、前記孔部の縁に前記厚み方向に突出して形成され、前記シャッターの移動に際し、前記突起が乗り越えて該シャッターを前記第1位置または前記第2位置に位置決めする一対の突部を備える。
【0007】
前記枠体は、例えば、一対の前記突部の間に、該突部よりも前記厚み方向の突出量が小さい低部を有し、前記低部と一対の前記突部との間を傾斜面で接続している。
【0008】
前記爪部は、例えば、前記シャッターにおける前記レンズとの対向面から前記厚み方向に延在し、先端が鉤状に屈曲している。
【0009】
前記突起は、前記爪部と一体に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、シャッターを第1位置および第2位置で安定して保持する電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態の電子機器の正面側からの例示的な斜視図であって、第2のモジュールが展開位置に位置された状態の図である。
図2図2は、フロントカバーにおける上枠の例示的な拡大正面図であり、シャッターが第1位置にある状態を示す図である。
図3図3は、フロントカバーにおける上枠の例示的な拡大正面図であり、シャッターが第2位置にある状態を示す図である。
図4図4は、第2のモジュールの上端部の例示的な斜視図であって、フロントカバーからシャッターが取りはずれた状態の図である。
図5図5は、シャッターの背面側の例示的は斜視図である。
図6図6は、フロントカバーの上枠の背面側の例示的な斜視図である。
図7図7は、図2のA-A断面図である。
図8図8は、シャッターの爪部がフロントカバーの上枠における第1位置と第2位置の間に位置した状態を示す図である。
図9図9は、シャッターの爪部がフロントカバーの上枠における第1位置に位置決めされた状態を示す図である。
図10図10は、シャッターの爪部がフロントカバーの上枠における第2位置に位置決めされた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0013】
図1は、実施形態の電子機器1の正面側からの例示的な斜視図であって、第2のモジュール3が展開位置に位置された状態の図である。図1に示すように、電子機器1は、例えば、ノートブック型(クラムシェル型)のパーソナルコンピュータとして構成され、第1のモジュール2と第2のモジュール3とを備えている。第1のモジュール2は、例えば机や、台、棚等の載置部に載置される。第2のモジュール3は、第1のモジュール2に対して回転中心軸C回りに回転可能に第1のモジュール2に支持され、展開位置(図1)と閉じ位置(不図示)との間を移動可能である。具体的には、第2のモジュール3は、ヒンジ5を介して第1のモジュール2に連結されている。
【0014】
なお、本実施形態では、便宜上、第2のモジュール3を展開位置(図1)に開いた電子機器1を基準として方向が定義されている。X1方向は、第2のモジュール3の前後方向の前方と同じである。X2方向は、X1方向の反対方向であって、第2のモジュール3の前後方向の後方と同じである。このため、本実施形態では、X1方向およびX2方向は、第2のモジュール3が備える後述のディスプレイユニット(表示部)22の厚み方向に沿う方向となる。Y1方向は、第2のモジュール3の幅方向(左右方向)に沿う方向である。Y2方向は、Y1方向の反対方向である。Y1方向は左方、Y2は右方とも称される。Z1方向は、第2のモジュール3の高さ方向(上下方向)上方と同じである。Z2方向は、Z1方向の反対方向であって、第2のモジュール3の高さ方向の下方と同じである。X1方向、Y1方向、およびZ1方向は、互いに直交している。また、X2方向、Y2方向、およびZ2方向は、互いに直交している。
【0015】
第1のモジュール2は、第1の筐体11と、第1の筐体11に支持されたキーボード12と、を有している。キーボード12は、上方から操作可能な状態に第1の筐体11に支持されている。また、第1の筐体11内には、基板(不図示)が収容されている。基板には、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の複数の電子部品(不図示)が実装されている。基板に設けられた配線と基板に実装された複数の電子部品とによって、電子機器1の電子回路の少なくとも一部が構成されている。
【0016】
第2のモジュール3は、第2の筐体21と、ディスプレイユニット22と、カバーガラス25と、カメラ27とを有している。ディスプレイユニット22は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置であり、表示画面22aが前方から視認可能な状態に、第2の筐体21に支持されている。また、カバーガラス25は、矩形状の透明部材であり、ディスプレイユニット22の表示画面22aを覆った状態で第2の筐体21に支持されている。カバーガラス25は、タッチパネルに対応したものでもよい。また、カメラ27は、表示画面22aの上部中央に配置され、前方を撮影可能な光学デバイスである。カメラ27は第2の筐体21に支持されている。
【0017】
第2の筐体21は、図1の例では扁平な略直方体に形成され、フロントカバー(枠体)23とリヤカバー24とを含む複数の部材の組み合わせによって構成されている。フロントカバー23は、ディスプレイユニット22の周囲を覆う矩形枠体状に形成され、第2のモジュール3の前面21aを構成する。また、リヤカバー24は、第2のモジュール3の少なくとも後面21bを構成する。フロントカバー23とリヤカバー24とは、爪やねじ等によって互いに結合されている。
【0018】
図2は、フロントカバーにおける上枠の例示的な拡大正面図であり、シャッターが第1位置にある状態を示す図である。図3は、フロントカバーにおける上枠の例示的な拡大正面図であり、シャッターが第2位置にある状態を示す図である。図4は、フロントカバーにおける上枠の例示的な斜視図であり、シャッターが上枠から取り外された状態を示す図である。図5は、シャッターの背面側の例示的は斜視図である。図6は、フロントカバーの上枠の背面側の例示的な拡大斜視図である。図7は、図2のA-A断面図である。
【0019】
図2および図3に示すように、フロントカバー23の上枠23aの中央部には、レンズ27aを有するカメラ27と、このカメラ27に対して、Y1(右)方向またはY2(左)方向に沿ってスライド移動可能なシャッター30とが配置されている。図2に示すように、シャッター30が右寄りの第1位置(閉位置ともいう)にあるときには、シャッター30がカメラ27のレンズ27aの前方を覆う。シャッター30は光を透過させない材料で形成されている。シャッター30がレンズ27aの前方を覆うことにより、カメラ27によりユーザの意図に反した撮影が行われることが防止され、ユーザに安心感を与えることができる。
【0020】
また、図3に示すように、シャッター30が左寄りの第2位置(開位置ともいう)に移動すると、レンズ27aの前方にシャッター30の露呈孔32bが位置して該レンズ27aが露呈する。これにより、カメラ27による撮像が可能となる。
【0021】
シャッター30は、図2図5に示すように、ガイドアーム31と、シャッター本体32と、操作ノブ33とを備える。シャッター30は、例えば合成樹脂により一体に成形されている。ガイドアーム31は、シャッター30の移動方向(Y1、Y2方向)に沿ってそれぞれ延在する。ガイドアーム31には、背面(後面ともいう;X2方向)側の上縁部及び下縁部にそれぞれ移動方向に延在するレール部31aが形成されており、フロントカバー23との接触抵抗を減じている。
【0022】
シャッター本体32は、一対のガイドアーム31に対してZ2(下)方向に設けられる。シャッター本体32は板状に形成され、背面側の下縁部には上記した移動方向に延在するレール部32aを有する。また、シャッター30は、移動方向におけるY2(右)側に露呈孔32bが開口し、Y1(左)側が閉塞した形状となっている。
【0023】
操作ノブ33は、一対のガイドアーム31に対して、シャッター本体32と反対側であるZ1(上)方向に設けられる。操作ノブ33は、シャッター30を移動方向にスライド操作するための部位である。操作ノブ33は、前面に形成された複数の凹凸を有し、指や爪によって操作がしやすくなっている。
【0024】
一方、フロントカバー23の上枠23aには、図2図4に示すように、シャッター30をスライド移動可能に支持するシャッター支持部40が形成されている。シャッター支持部40は、上枠23aの前面側から後方(X2方向)に凹んだ形状となっており、ガイドアーム支持部41と、シャッター本体支持部42と、操作ノブ支持部43とを備える。
【0025】
ガイドアーム支持部41は、上枠23aの幅方向(Y1、Y2方向)に延在して、ガイドアーム31のレール部31aを摺動可能に支持する溝部である。このガイドアーム支持部41の幅方向の中央部には、該幅方向に長く開口した長孔(孔部)44が設けられている。シャッター本体支持部42は、ガイドアーム支持部41に対してZ2(下)方向に設けられる。シャッター本体支持部42は、シャッター本体32を摺動可能に支持する凹部である。シャッター本体支持部42には、シャッター本体32のレール部32aを案内するガイド溝42aと、カメラ27を露呈するためのカメラ孔42bとが設けられている。
【0026】
また、本実施形態では、シャッター本体支持部42は、シャッター30の移動を規制する機能を有する。具体的には、図2に示すように、シャッター本体支持部42の右側縁部42cは、シャッター30が右方向(Y2方向)に第1位置まで移動した際にシャッター本体32の右側縁32cと当接する。これにより、シャッター30が第1位置よりも更に右方向へ移動することを規制することができる。また、図3に示すように、シャッター本体支持部42の左側縁部42dは、シャッター30が左方向(Y1方向)に第2位置まで移動した際にシャッター本体32の左側縁32dと当接する。これにより、シャッター30が第2位置よりも更に左方向へ移動することを規制することができる。
【0027】
操作ノブ支持部43は、ガイドアーム支持部41に対して、シャッター本体支持部42と反対側であるZ1(上)方向に設けられ、操作ノブ33を摺動可能に支持する凹部である。
【0028】
さて、上記した構成では、図2及び図3に示すように、フロントカバー23の上枠23aに形成されたシャッター支持部40にシャッター30を配置することにより、カメラ27のレンズ27aを覆う第1位置とレンズ27aを露出する第2位置との間を、シャッター30がスライド移動させることが可能となる。
【0029】
しかしながら、シャッターをフロントカバーに単純に配置した構成では、シャッターが重力や振動などで、第1位置または第2位置から不用意に動くこと想定される。このため、シャッターを第1位置および第2位置で保持する構造とすることが望ましい。また、例えば、電子機器の装置組み立ての際、フロントカバーに配置されたシャッターがフロントカバーの移動や振動等で該フロントカバーから離脱して作業をやり直す等の不具合が想定される。
【0030】
このため、本実施形態では、シャッター30は、図5に示すように、シャッター30の前面30Aと反対側の背面30Bに立設する爪部34を備える。この爪部34は、シャッター30をシャッター支持部40に配置した場合に、該シャッター30の背面(レンズ27aとの対向面)30Bからシャッター支持部40に向けて後方(X2方向)に突出する。すなわち、爪部34は、第2のモジュール3が備えるディスプレイユニット22の厚み方向に延在している。また、爪部34は、先端がL字状(鉤状)に屈曲している。このため、爪部34は、図7に示すように、シャッター支持部40の上記長孔44を貫通した後、先端が長孔44の縁に引っかかることにより、シャッター30とシャッター支持部40(フロントカバー23)とを係合する。
【0031】
また、シャッター30は、L字状(鉤状)に屈曲した爪部34の先端に該爪部34と一体に形成された突起35を備える。この突起35は、シャッター30をシャッター支持部40に配置した場合に、長孔44を貫通した爪部34の先端から、フロントカバー23(シャッター支持部40)の背面23A1に向けて前方(X1方向)に突出している。
【0032】
一方、フロントカバー23の背面23A1には、図6に示すように、上記した長孔44の長手方向(Y1、Y2方向)に沿って、シャッター30の突起35と係合してシャッター30を位置決めするロック部45が形成されている。このロック部45は、フロントカバー23と一体に成形され、該フロントカバー23の背面23A1から後方(X2方向)に突出する一対の突部としての第1突部45a及び第2突部45bを備える。これら第1突部45a及び第2突部45bは、それぞれ長孔44の縁にシャッター30の移動方向に沿って設けられ、シャッター30が第1位置と第2位置に移動する際に、突起35がそれぞれ乗り越えてシャッター30の位置決めをする。本実施形態では、第1突部45aは突起35(シャッター30)を第1位置に位置決めし、また、第2突部45bは突起35(シャッター30)を第2位置に位置決めする。
【0033】
また、ロック部45(フロントカバー23)は、上記した移動方向(Y1、Y2方向)における第1突部45aと第2突部45bとの間に、これら第1突部45a及び第2突部45bよりも後方(X2方向)の突出量が小さい低部45cを有し、この低部45cと第1突部45a及び第2突部45bとをそれぞれスロープ(傾斜面)45dで接続している。この低部45cは、突起35と接触しないため、シャッター30を自由にスライド移動させることができる。また、低部45cと第1突部45a及び第2突部45bとをスロープ(傾斜面)45dで接続しているため、低部45cから第1突部45a及び第2突部45bまで突起35(シャッター30)をスムーズに移動させることができる。
【0034】
次に、シャッター30をスライド移動させた場合の突起35とロック部45との係合状態について説明する。図8は、シャッターの爪部がフロントカバーの上枠における第1位置と第2位置の間に位置した状態を示す図である。図9は、シャッターの爪部がフロントカバーの上枠における第1位置に位置決めされた状態を示す図である。図10は、シャッターの爪部がフロントカバーの上枠における第2位置に位置決めされた状態を示す図である。
【0035】
まず、シャッター30がフロントカバー23の上枠23aにおけるシャッター支持部40に配置されると、図7に示すように、シャッター30の爪部34がシャッター支持部40の長孔44を貫通するとともに、この爪部34の先端が長孔44の縁に引っかかって、シャッター30とシャッター支持部40とを係合する。
【0036】
次に、図8に示すように、爪部34の先端に設けた突起35が長孔44の縁に形成されたロック部45の低部45cに位置する場合、この低部45cは突起35と接触しないため、突起35を有するシャッター30は位置決めされておらず、移動方向(Y1、Y2方向)に自由に移動可能である。
【0037】
ここで、ユーザが操作ノブ33(図7)を後方(X2方向)に押し込みながら、図8の状態から、例えば右方向(Y2方向)にシャッター30をスライド移動させると、図9に示すように、爪部34が弾性変形により後方に沈み込み、突起35がスロープ45dに案内されつつ第1突部45aを乗り越える。そして、ユーザが操作ノブ33から手を離すと爪部34が元の形状に戻り、突起35と第1突部45aとの係合により、シャッター30は、左方向(Y1方向)への移動が規制される。この場合、シャッター30は、図2に示すように、第1位置まで移動した際に、シャッター本体32の右側縁32cとシャッター本体支持部42の右側縁部42cとが当接し、これ以上右方向へ移動することが規制される。これにより、シャッター30が不用意に移動することを防止することができ、該シャッター30を安定して第1位置にロック(位置決め)することができる。また、ユーザが操作ノブ33を後方に押し込みながら、左方向(Y1方向)にシャッター30をスライド移動させると、突起35が第1突部45aを乗り越えて簡単にロックが解除される。このように、シャッター30を操作するときは、操作ノブ33を押し込む(押し付ける)方向に力が作用するため、各部品同士が公差の影響を受けづらく、安定したロック感を生じることができる。
【0038】
一方、ユーザが操作ノブ33(図7)を後方(X2方向)に押し込みながら、図8の状態から、例えば左方向(Y1方向)にシャッター30をスライド移動させると、図10に示すように、爪部34が弾性変形により後方に沈み込み、突起35がスロープ45dに案内されつつ第2突部45bを乗り越える。そして、ユーザが操作ノブ33から手を離すと爪部34が元の形状に戻り、突起35と第2突部45bとの係合により、シャッター30は、右方向(Y2方向)への移動が規制される。この場合、シャッター30は、図3に示すように、第2位置まで移動した際に、シャッター本体32の左側縁32dとシャッター本体支持部42の左側縁部42dとが当接し、これ以上左方向へ移動することが規制される。これにより、シャッター30が不用意に移動することを防止することができ、該シャッター30を安定して第2位置に位置決めすることができる。また、ユーザが操作ノブ33を後方に押し込みながら、右方向(Y2方向)にシャッター30をスライド移動させると、突起35が第2突部45bを乗り越えて簡単にロックが解除される。
【0039】
以上のように、本実施形態の電子機器1は、ディスプレイユニット(表示部)22の周囲を囲うフロントカバー(枠体)23と、フロントカバー23に配置されるカメラ27と、フロントカバー23に配置されてカメラ27のレンズ27aを覆う第1位置とレンズ27aを露出する第2位置との間をスライド移動可能なシャッター30と、を備え、シャッター30は、フロントカバー23に開口した長孔(孔部)44を後方(X2方向)に貫通して該フロントカバー23と係合する爪部34と、爪部34からフロントカバー23に向けて前方(X1方向)に突出する突起35と、を有し、フロントカバー23は、長孔44の縁に後方(X2方向)に突出し、シャッター30の移動に際し、突起35が乗り越えて該シャッター30を第1位置または第2位置に位置決めする第1突部45a、第2突部45bを備える。
【0040】
この構成によれば、シャッター30は、フロントカバー23に開口した長孔44を貫通して該フロントカバー23と係合する爪部34を備えることにより、シャッター30がフロントカバー23から離脱することを防止できる。このため、例えば、装置の組み立ての際、シャッター30がフロントカバー23の移動や振動等で該フロントカバー23から離脱して作業をやり直す必要がなくなる。
【0041】
また、この構成によれば、突起35が第1突部45a及び第2突部45bをそれぞれ乗り越えて、該第1突部45a及び第2突部45bと係合することで、シャッター30を第1位置および第2位置で安定して保持することができる。
【0042】
また、この構成によれば、突起35と第1突部45a及び第2突部45bとが前後方向(厚み方向)となるため、各部品の寸法公差のばらつきを低減でき、位置決め(ロック)時のがたつきを抑えて安定したロック感を生じることができる。
【0043】
また、電子機器1では、例えば、フロントカバー23は、第1突部45a及び第2突部45bの間に、該第1突部45a及び第2突部45bよりも前後方向(厚み方向)の突出量が小さい低部45cを有し、低部45cと第1突部45a及び第2突部45bとの間をそれぞれスロープ45dで接続している。
【0044】
この構成によれば、シャッター30をスライド移動させる際に、突起35がスロープ45dに案内されて第1突部45a及び第2突部45bを乗り越えるため、シャッター30をスムーズにスライド操作することができる。
【0045】
また、電子機器1では、例えば、爪部34は、シャッター30の背面30Bから前後方向(厚み方向)に延在し、先端が鉤状に屈曲している。
【0046】
この構成によれば、鉤状に屈曲した爪部34の先端がフロントカバー23の長孔44の縁に引っ掛かりやすくなるため、シャッター30とシャッター支持部40(フロントカバー23)とを強く係合することができる。
【0047】
また、電子機器1では、例えば、突起35は、爪部34と一体に形成されている。
【0048】
この構成によれば、シャッター30の部品構成を簡素化することができる。また、この構成によれば、突起35と第1突部45a及び第2突部45bとのロック位置を操作位置の近くに設けることができ、位置決め(ロック)時のがたつきを抑えて安定したロック感を生じることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0050】
なお、電子機器1は、上記例には限定されず、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータや、スレート型(タブレット型)のパーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、映像表示装置、テレビジョン受像機、ゲーム機等であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…電子機器、21…第2の筐体、22…ディスプレイユニット(表示部)、23…フロントカバー(枠体)、23a…上枠、27…カメラ、27a…レンズ、30…シャッター、34…爪部、35…突起、40…シャッター支持部、44…長孔(孔部)、45…ロック部、45a…第1突部、45b…第2突部、45c…低部、45d…スロープ(傾斜面)。
図1
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図10