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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081696
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】振動発電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
H02N2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195622
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】上野 敏幸
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA06
5H681BB08
5H681DD30
5H681EE10
5H681GG10
5H681GG42
(57)【要約】
【課題】高周波数の振動で大きな電圧を発生させることができる振動発電デバイスを提供する。
【解決手段】振動発電デバイス1は、加振によって変形する磁歪素子32を有する発電部30と、固定端部E2及び自由端部E1を有しかつ形状がU字状又はV字状を有するフレーム21であって、U字状又はV字状の屈曲部Bと自由端部E1との間に磁歪素子32が接合されるフレーム21と、フレーム21における屈曲部Bと固定端部E2との間に設けられる第1錘80と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加振によって変形する磁歪素子を有する発電部と、
固定端部及び自由端部を有しかつ形状がU字状又はV字状を有するフレームであって、前記U字状又は前記V字状の屈曲部と前記自由端部との間に前記磁歪素子が接合されるフレームと、
前記フレームにおける前記屈曲部と前記固定端部との間に設けられる第1錘と、を備える
振動発電デバイス。
【請求項2】
さらに、前記フレームと前記第1錘との間に設けられるスペーサを備える
請求項1に記載の振動発電デバイス。
【請求項3】
前記フレームには、前記第1錘を固定するためのネジが挿通される開口部が設けられている
請求項1又は2に記載の振動発電デバイス。
【請求項4】
前記フレームにおける前記第1錘が取り付けられる箇所と前記固定端部との間の領域を所定領域とした場合に、
さらに、前記所定領域の振動を抑制する周波数調整部材を備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の振動発電デバイス。
【請求項5】
前記第1錘と接続される第2錘をさらに備える
請求項1~4のいずれか1項に記載の振動発電デバイス。
【請求項6】
加振によって変形する磁歪素子を有する発電部と、
固定端部及び自由端部を有しかつ形状がU字状又はV字状を有するフレームであって、前記U字状又は前記V字状の屈曲部と前記自由端部との間に前記磁歪素子が接合されるフレームと、を備え、
前記フレームには、前記屈曲部と前記固定端部との間に、第1錘を固定するためのネジが挿通される開口部が設けられている
振動発電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身近な振動を電力に変換する技術の開発が盛んに行われている。その技術の1つとして圧電素子又は磁歪素子を用いた振動発電デバイスが知られている。振動発電デバイスが用いられる際には、振動発電デバイスの発電効率を高めるために、共振周波数の調整が行われる場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1では、圧電素子を有する板部の振動により発電を行う振動発電デバイスが開示されており、この振動発電デバイスは、上記の板部と、板部の共振周波数の調整が可能でありかつ板部の上に載置される錘とを備えている。この振動発電デバイスにおいては、発電効率を高めるために、錘の質量を変化させることで、板部のたわみの共振周波数の調整が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-204713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、振動発電デバイスが温度センサなどと共に生産機械又は工作機械などの機械装置などに取り付けられ、機械装置の異常(例えば高温状態)などを検知するために利用されることがある。この場合、振動発電デバイスは、機械装置などにより加振されることで発電するため、上記センサなどの電源として利用される。
【0006】
このような機械装置などの振動の周波数は50Hz~1000Hzと高周波数であり、振動発電デバイスはこのような高周波数において発電効率を高めることが求められる。このような高周波数で振動発電デバイスが発電するためには、一般的には、振動発電デバイスを小型化する必要があることが知られている。しかし、この小型化された振動発電デバイスでは、発電効率が低く、特に、発生する電圧が小さいという問題が発生する。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、高周波数の振動で大きな電圧を発生させることができる振動発電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る振動発電デバイスは、加振によって変形する磁歪素子を有する発電部と、固定端部及び自由端部を有しかつ形状がU字状又はV字状を有するフレームであって、前記U字状又は前記V字状の屈曲部と前記自由端部との間に前記磁歪素子が接合されるフレームと、前記フレームにおける前記屈曲部と前記固定端部との間に設けられる第1錘と、を備える。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る振動発電デバイスは、加振によって変形する磁歪素子を有する発電部と、固定端部及び自由端部を有しかつ形状がU字状又はV字状を有するフレームであって、前記U字状又は前記V字状の屈曲部と前記自由端部との間に前記磁歪素子が接合されるフレームと、を備え、前記フレームには、前記屈曲部と前記固定端部との間に、第1錘を固定するためのネジが挿通される開口部が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高周波数の振動で大きな電圧を発生させることができる振動発電デバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係る振動発電デバイスの平面図である。
図2図2は、実施の形態に係る振動発電デバイスの側面図である。
図3図3は、実施の形態に係るフレームの平面図である。
図4図4は、検討デバイスの側面図である。
図5図5は、検討デバイスの発電効率と検討デバイスが加振される周波数との関係性を説明する図である。
図6図6は、検討デバイスの第1共振モード形状の一例が示された側面図である。
図7図7は、検討デバイスの第1共振モード形状の他の一例が示された側面図である。
図8図8は、検討デバイスの第2共振モード形状の一例が示された側面図である。
図9図9は、検討デバイスの第2共振モード形状の他の一例が示された側面図である。
図10図10は、検討デバイスの第3共振モード形状の一例が示された側面図である。
図11図11は、検討デバイスの第3共振モード形状の他の一例が示された側面図である。
図12図12は、検討デバイスの第4共振モード形状の一例が示された側面図である。
図13図13は、検討デバイスの第4共振モード形状の他の一例が示された側面図である。
図14図14は、比較デバイス及び実施の形態に係る振動発電デバイスの発電効率と比較デバイス及び実施の形態に係る振動発電デバイスが加振される周波数との関係性を説明する図である。
図15図15は、比較デバイスが第1共振モード形状で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。
図16図16は、実施の形態に係る条件1の振動発電デバイスが第1共振モード形状で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。
図17図17は、実施の形態に係る条件2の振動発電デバイスが第1共振モード形状で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。
図18図18は、比較デバイスが第4共振モード形状で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。
図19図19は、実施の形態に係る条件1の振動発電デバイスが第4共振モード形状で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。
図20図20は、実施の形態に係る条件2の振動発電デバイスが第4共振モード形状で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。
図21図21は、変形例1に係る振動発電デバイスの側面図である。
図22図22は、変形例2に係る振動発電デバイスが備えるフレームの平面図である。
図23図23は、変形例3に係る振動発電デバイスの平面図である。
図24図24は、変形例3に係る振動発電デバイスの側面図である。
図25図25は、変形例4に係る振動発電デバイスの平面図である。
図26図26は、変形例4に係る振動発電デバイスの側面図である。
図27図27は、変形例5に係る振動発電デバイスの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0014】
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。なお、各図において、x軸方向及びy軸方向は互いに直交する方向であり、z軸方向は、x軸及びy軸に対し垂直な方向である。
【0015】
(実施の形態)
[振動発電デバイスの構成]
本実施の形態に係る振動発電デバイス1の構成例について用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る振動発電デバイス1の平面図である。図2は、本実施の形態に係る振動発電デバイス1の側面図である。
【0016】
本実施の形態に係る振動発電デバイス1は、背景技術で記載の通り、機械装置(以下、加振源装置2)に取り付けられている。振動発電デバイス1は、加振源装置2の振動によって電力を発生させ、温度センサなどの電源として利用される。
【0017】
振動発電デバイス1は、フレーム21と、発電部30と、連結部材22と、端部錘60とを備える。また、本実施の形態に係る振動発電デバイス1は、第1錘80も備えている。なお、発電部30は、コイル31と磁歪素子32と発電用磁石33とを有し、振動により発電する要素である。
【0018】
フレーム21は、自由端部E1及び固定端部E2を有する。また、フレーム21は、屈曲部Bを有する。フレーム21の形状はU字状を有する部材であり、より具体的には、フレーム21の形状は、側面視において、U字状を有する。また、フレーム21は、1枚の平板形状の部材がU字状を有するように、屈曲されて形成されている。なお、フレーム21の厚みdは例えば1mmであるが、これに限られない。また、フレーム21の全体にわたって厚みdは略均等である。
【0019】
なお、図示されないが、フレーム21の形状はV字状を有する部材であってもよく、この場合には、フレーム21の形状が、側面視において、V字状を有するとよい。また、フレーム21は、1枚の平板形状の部材がV字状を有するように、屈曲されて形成されている。
【0020】
フレーム21は、屈曲部Bを挟んで一方の端部が固定端部E2、他方の端部が自由端部E1になるような状態、いわゆる片持ち梁の状態で固定支持される。なお、振動発電デバイス1では、フレーム21が有する固定端部E2が加振源装置2に固定されて設置されている。
【0021】
自由端部E1が自由振動する場合には、自由端部E1が固定端部E2から離れる方向又は固定端部E2に近づく方向に動き、フレーム21自体も振動(変形)する。このとき、自由端部E1が固定端部E2から離れるように自由端部E1が動いた状態(開状態)、及び、自由端部E1が固定端部E2に近づくように自由端部E1が動いた状態(閉状態)が繰り返される。換言すると、自由端部E1と固定端部E2とのギャップが大きくなる状態(開状態)、及び、当該ギャップが小さくなる状態(閉状態)が繰り返される。
【0022】
フレーム21には発電部30が有する磁歪素子32及び発電用磁石33が設けられており、フレーム21は、これらの構成要素を支持する部材である。フレーム21を構成する材料は、特に限られないが、例えば、弾性を有する材料で構成されているとよい。また、フレーム21を構成する材料は、例えば、鉄を含む材料で構成されているとよい。フレーム21は、例えば、バネ鋼(ベーナイト鋼)、冷間圧延鋼帯(SPCC:Steel Plate Cold Commercial)などによって構成される。
【0023】
U字状を有するフレーム21は、図2が示すように、互いに向かい合う第1内側面211及び第2内側面212と、第1外側面213及び第2外側面214とを有している。
【0024】
続いて、発電部30について説明する。発電部30が有する磁歪素子32は、フレーム21に接合される部材である。ここでは、磁歪素子32は、屈曲部Bと自由端部E1との間の、第1外側面213に接合されている。
【0025】
磁歪素子32の形状は、特に限られないが平板形状であり、磁歪素子32の大きさは、例えば、4mm×0.5mm×16mm程度であるがこれに限られない。なお、本実施の形態においては、フレーム21に接合される磁歪素子32の平面であって、振動発電デバイス1が振動していない場合の当該平面と平行な面がxy平面である。
【0026】
磁歪素子32は、磁歪材料によって構成されている。磁歪材料は、一例として、鉄ガリウム合金であるが、これに限られず、例えば、鉄アルミ合金であってもよいし、その他の材料であってもよい。
【0027】
磁歪素子32は、加振によって変形する素子である。本実施の形態においては、磁歪素子32は、フレーム21に接合されているためフレーム21が振動すると、磁歪素子32は変形する。
【0028】
コイル31は、フレーム21が有する第1内側面211及び第1外側面213と磁歪素子32とに巻かれている。コイル31は、電磁誘導の法則により磁歪素子32を通る磁力線の時間的変化に比例して電圧を発生させる。
【0029】
コイル31の材質は、一例として、銅であるが、特に限定されない。また、コイル31の巻き数を変更することで、電圧の大きさを調整することができる。
【0030】
発電用磁石33は、フレーム21の第2内側面212に設けられている。発電用磁石33は、一例として、永久磁石であるが、これに限られず電磁石であってもよい。発電用磁石33からの磁力線が磁歪素子32を通過する。
【0031】
なお、図示されないが、振動発電デバイス1が磁石用台座を備え、第2内側面212に当該磁石用台座及び発電用磁石33が順に積み重ねられてもよい。当該磁石用台座が設けられることで、発電用磁石33を磁歪素子32に近づけることができる。
【0032】
例えば、加振源装置2が振動するとともに、フレーム21が振動する。このとき、フレーム21において開状態と閉状態とが繰り返されて振動する場合には、フレーム21に接合される磁歪素子32には引張応力と圧縮応力とが交互に発生し、磁歪素子32は伸長し又は収縮して変形する。
【0033】
このように、フレーム21が振動すると、磁歪素子32の磁力線は逆磁歪効果により増加又は減少し、コイル31を貫く磁束密度も増加又は減少する。この磁束密度の時間的変化により、コイル31に誘導電圧(又は誘導電流)が発生する。このように、発電部30は、フレーム21の振動により発電することができる。
【0034】
連結部材22は、フレーム21と端部錘60とを接続する部材である。連結部材22は、フレーム21の自由端部E1に取り付けられている部材である。また、連結部材22は、第1外側面213に取り付けられている部材でもある。連結部材22は、例えば、L字ブラケットであるが、これに限られず、端部錘60とフレーム21との位置関係を固定できればどのような部材であってもよい。
【0035】
端部錘60は、連結部材22に取り付けられる錘である。端部錘60は、フレーム21の自由端部E1に連結部材22を介して取り付けられる。端部錘60が取り付けられることで、振動発電デバイス1の共振周波数が変化する。
【0036】
本実施の形態においては、端部錘60は、L字ブラケットである連結部材22の固定端部E2方向(つまりz軸負方向)に延びる面に取り付けられているが、これに限られない。端部錘60は、フレーム21の自由端部E1側に連結部材22を介さずに取り付けられてもよい。また、端部錘60の質量及び大きさが変更可能に設けられているとよい。
【0037】
本実施の形態においては、連結部材22とフレーム21とは、接着材料などにより接着されている、又は、ネジなどにより螺合されている。同様に、連結部材22と端部錘60とは、接着材料などにより接着されている、又は、ネジなどにより螺合されている。
【0038】
第1錘80は、フレーム21における屈曲部Bと固定端部E2との間に設けられる錘である。第1錘80は、フレーム21の第2外側面214よりもz軸負側に設けられているが、これに限られず、フレーム21における屈曲部Bと固定端部E2との間であれば第2内側面212よりもz軸正側に設けられてもよい。つまり、第1錘80は、フレーム21における屈曲部Bと固定端部E2との間であれば第2内側面212よりもz軸正側かつ第1内側面211よりz軸負側に設けられてもよい。
【0039】
第1錘80の形状は平板形状であり、図1が示すように第1錘80はフレーム21よりy軸正方向及び負方向に延びている。つまり、振動発電デバイス1の平面視で、第1錘80は、フレーム21と重ならない領域を有する。しかし、第1錘80の形状は、これに限られない。また、振動発電デバイス1が振動しても第1錘80が加振源装置2に接触しない程度の大きさである。
【0040】
ここで、フレーム21と第1錘80との接続関係について図1図3を用いてより詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係るフレーム21の平面図である。なお、図3には、位置関係を示すために、コイル31が破線で示されている。
【0041】
図1図3が示すように、本実施の形態に係る振動発電デバイス1は2つのネジ71及び2つのスペーサ81をさらに備え、フレーム21には4つの開口部70が設けられている。2つのネジ71のそれぞれは第1錘80をフレーム21に固定するための部材である。4つの開口部70のうち2つの開口部70にはそれぞれ当該2つのネジ71が挿通される。つまり、本実施の形態に係るフレーム21には、屈曲部Bと固定端部E2との間に、第1錘80を固定するためのネジ71が挿通される開口部70(ここでは上記2つの開口部70)が設けられている。
【0042】
2つのネジ71によって、第1錘80はフレーム21に螺合して設けられている。なお、本実施の形態においては、4つの開口部70は、いずれも切り欠きであるが、これに限られずフレーム21を貫通する貫通孔であってもよい。
【0043】
また、2つのスペーサ81は、第1錘80とフレーム21とが直接接し難いように、第1錘80とフレーム21との間に隙間を設けるための部材である。2つのスペーサ81のそれぞれは、フレーム21と第1錘80との間に設けられており、第1錘80と同じく2つのネジ71のそれぞれによってフレーム21に螺合されている。2つのスペーサ81のそれぞれは、例えば、ワッシャである。
【0044】
[事前検討]
次に、発明者が本発明に至るまでに行われた事前検討について説明する。
【0045】
ここでは、事前検討のために検討デバイス1xが用いられた。図4は、検討デバイス1xの側面図である。検討デバイス1xは、第1錘80を備えていないこと、端部錘60が取り付けられる位置、及び、フレーム21の厚みが2mmであることを除いて、本実施の形態に係る振動発電デバイス1と同等の構成を有する。なお、検討デバイス1xにおいて、端部錘60は、L字ブラケットである連結部材22のz軸正側に延びる面に取り付けられている。
【0046】
このような検討デバイス1xの発電効率(周波数特性)について説明する。図5は、検討デバイス1xの発電効率と検討デバイス1xが加振される周波数との関係性を説明する図である。より具体的には、図5は、検討デバイス1xが0Hz以上200Hz以下の周波数で加振され、加振された周波数ごとの発電効率が測定された図である。
【0047】
このとき、検討デバイス1xは、ファンクションジェネレータで発生したホワイトノイズが与えられることで、加振される。なお、図5においては、縦軸が発電効率を示し、横軸が周波数を示している。発電効率として、検討デバイス1xに生じた電圧(V)を加振の加速度(m/s)で割った値が用いられている。
【0048】
図5が示すように、周波数f1a、f2a、f3a及びf4aのそれぞれにおいて、発電効率のピークが確認された。つまり、周波数f1a、f2a、f3a及びf4aで検討デバイス1xが加振されると、検討デバイス1xは、高い効率で電圧を発生させる。このような周波数f1a、f2a、f3a及びf4aは、検討デバイス1xにとって、感度の高い周波数である。
【0049】
周波数f1a、f2a、f3a及びf4aのそれぞれで加振された場合において、検討デバイス1xが共振する共振モード形状はそれぞれ異なる。有限要素法によって、周波数f1a、f2a、f3a及びf4aのそれぞれで加振された場合の、検討デバイス1xの共振モード形状が計算された結果について図6図13を用いて説明する。
【0050】
また、以下で説明される、周波数f1a、f2a、f3a及びf4aのそれぞれで検討デバイス1xが共振した共振モード形状を、第1共振モード形状F1、第2共振モード形状F2、第3共振モード形状F3及び第4共振モード形状F4とする。
【0051】
図6図13のそれぞれは、検討デバイス1xの共振モード形状が示された図である。なお、図6図13においては、振動する前の状態での検討デバイス1xが二点鎖線で示され、振動している状態での検討デバイス1xが実線で示されている。
【0052】
図6は、検討デバイス1xの第1共振モード形状F1の一例が示された側面図である。図7は、検討デバイス1xの第1共振モード形状F1の他の一例が示された側面図である。図6及び図7が示すように、検討デバイス1xが周波数f1aで共振した場合には、フレーム21の自由端部E1側が、他の部分に比べて大きく振動する。
【0053】
図8は、検討デバイス1xの第2共振モード形状F2の一例が示された側面図である。図9は、検討デバイス1xの第2共振モード形状F2の他の一例が示された側面図である。図8及び図9が示すように、検討デバイス1xが周波数f2aで共振した場合には、フレーム21の屈曲部Bが、他の部分に比べて大きく振動する。
【0054】
図10は、検討デバイス1xの第3共振モード形状F3の一例が示された側面図である。図11は、検討デバイス1xの第3共振モード形状F3の他の一例が示された側面図である。図10及び図11が示すように、検討デバイス1xが周波数f3aで共振した場合には、フレーム21の自由端部E1と屈曲部Bとの間の領域が、他の部分に比べて大きく振動する。
【0055】
図12は、検討デバイス1xの第4共振モード形状F4の一例が示された側面図である。図13は、検討デバイス1xの第4共振モード形状F4の他の一例が示された側面図である。図12及び図13が示すように、検討デバイス1xが周波数f4aで共振した場合には、フレーム21の自由端部E1と屈曲部Bとの間の領域、及び、フレーム21の固定端部E2と屈曲部Bとの間の領域が、他の部分に比べて大きく振動する。
【0056】
ここで、発明者は、図5において発電効率のピークを示す周波数のうち最も高い周波数である周波数f4aで検討デバイス1xが共振する第4共振モード形状F4に着目した。発明者は、高周波数の振動で大きな電圧を発生させることを目的として、第4共振モード形状F4における振動の腹点に錘を設ける着想に想到した。なお、当該腹点は固定端部E2と屈曲部Bとの間の領域であり、当該腹点に対応する節点は、固定端部E2及び屈曲部Bのそれぞれである。
【0057】
このような事前検討及び着想に基づいた、フレーム21の屈曲部Bと固定端部E2との間の領域(つまりは第4共振モード形状F4における振動の腹点)に第1錘80を備える振動発電デバイス1について、以下、さらに行われた検証について説明する。
【0058】
[周波数特性]
次に、本実施の形態に係る振動発電デバイス1が備える第1錘80の質量が変更された場合の周波数特性について、比較デバイスを用いて説明する。
【0059】
比較デバイスは、第1錘80を備えないことを除いて、振動発電デバイス1と同じ構成を備えるデバイスである。つまり、比較デバイスは、振動発電デバイス1の第1錘80が0gの場合のデバイスである。
【0060】
また、振動発電デバイス1においては、第1錘80の質量が114g及び171gである場合について説明する。なお、第1錘80の質量が114gである振動発電デバイス1を、条件1の振動発電デバイス1、第1錘80の質量が171gである振動発電デバイス1を、条件2の振動発電デバイス1と記載する場合がある。
【0061】
ここで、比較デバイス及び振動発電デバイス1について、発電効率(周波数特性)が計測された。図14は、比較デバイス及び本実施の形態に係る振動発電デバイス1の発電効率と比較デバイス及び本実施の形態に係る振動発電デバイス1が加振される周波数との関係性を説明する図である。より具体的には、図14は、比較デバイス及び振動発電デバイス1が0Hz以上200Hz以下の周波数で加振され、加振された周波数ごとの発電効率が測定された図である。
【0062】
図14において、周波数f1b、f2b、f3b及びf4bのそれぞれにおいて、発電効率のピークが確認された。つまり、周波数f1b、f2b、f3b及びf4bで比較デバイス及び振動発電デバイス1が加振されると、比較デバイス及び振動発電デバイス1は、高い効率で電圧を発生させる。
【0063】
周波数f1b、f2b、f3b及びf4bのそれぞれで比較デバイス及び振動発電デバイス1が共振した共振モード形状が、第1共振モード形状F1、第2共振モード形状F2、第3共振モード形状F3及び第4共振モード形状F4に相当する。
【0064】
なお例えば、図5が示す検討デバイス1xが第1共振モード形状F1で共振する周波数f1aと、図14が示す比較デバイス及び振動発電デバイス1が第1共振モード形状F1で共振する周波数f1bとは、値が異なる。つまり、同じ共振モード形状であっても、図5が示す周波数f1a、f2a、f3a及びf4aのそれぞれと、図14が示す周波数f1b、f2b、f3b及びf4bのそれぞれとの値が異なる。この理由は、図5が示す検討デバイス1xと図14が示す比較デバイス及び振動発電デバイス1とは、フレーム21の厚みdが異なるためである。
【0065】
また、より詳細には、周波数f4bは、周波数f41b、f42b及びf43bを含む。周波数f41bは、比較デバイスが第4共振モード形状F4で共振する場合の共振周波数である。周波数f42bは、条件1の振動発電デバイス1が第4共振モード形状F4で共振する場合の共振周波数である。周波数f43bは、条件2の振動発電デバイス1が第4共振モード形状F4で共振する場合の共振周波数である。
【0066】
ここで、図14が示す、比較デバイス及び振動発電デバイス1が第1~第3共振モード形状F1~F3で振動する場合について説明する。この場合には、第1錘80の質量に関わらず、周波数f1b~f3b及び発電効率は、一定である。
【0067】
さらに、比較デバイス及び振動発電デバイス1が第4共振モード形状F4で振動する場合について説明する。この場合には、第1錘80が重いほど、周波数f4bは低下する。つまり、周波数f41b、f42b及びf43bの値は、この順に低下する。また、この場合には、第1錘80が重いほど、発電効率は向上する。つまり、比較デバイス、条件1の振動発電デバイス1及び条件2の振動発電デバイス1の順に、発電効率が向上する。換言すると、比較デバイス、条件1の振動発電デバイス1及び条件2の振動発電デバイス1の順に、周波数f4bにおける感度が向上する。
【0068】
[電圧時間応答性]
さらに、比較デバイス及び本実施の形態に係る振動発電デバイス1の電圧の時間応答性について説明する。
【0069】
なお、比較デバイスの構成と、振動発電デバイス1の第1錘80の質量とについては、[周波数特性]で説明した通りである。ここでは、比較デバイス及び振動発電デバイス1が、第1及び第4共振モード形状F1及びF4のそれぞれで振動する場合の電圧の時間応答性が示される。さらに、比較デバイス及び振動発電デバイス1のそれぞれが加振される加速度が変化した場合の影響についても説明する。
【0070】
まずは、第1共振モード形状F1の場合について説明する。図15は、比較デバイスが第1共振モード形状F1で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。図16は、本実施の形態に係る条件1の振動発電デバイス1が第1共振モード形状F1で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。図17は、本実施の形態に係る条件2の振動発電デバイス1が第1共振モード形状F1で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。
【0071】
図15図17においては、縦軸が生じた電圧を示し、横軸が時間を示している。図15図17では、比較デバイス及び振動発電デバイス1が0.05G及び0.10Gの加速度で加振された場合の電圧の時間応答性が示されている。また、比較デバイス、条件1の振動発電デバイス1及び条件2の振動発電デバイス1が第1共振モード形状F1で共振する場合の周波数f1bはいずれも、6.9Hzである。
【0072】
図14、及び、図15図17が示すように、比較デバイス及び振動発電デバイス1が第1共振モード形状F1で振動する場合には、共振周波数は周波数f1bで一定である。また、図15図17が示すように、第1錘80の質量が変化した場合及び加速度が変化した場合のいずれにおいても、生じた電圧に大きな変化は確認されない。
【0073】
続いて、第4共振モード形状F4の場合について説明する。図18は、比較デバイスが第4共振モード形状F4で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。図19は、本実施の形態に係る条件1の振動発電デバイス1が第4共振モード形状F4で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。図20は、本実施の形態に係る条件2の振動発電デバイス1が第4共振モード形状F4で共振する場合の電圧の時間応答性を示す図である。
【0074】
図18図20では、比較デバイス及び振動発電デバイス1が0.05G、0.10G、0.20G及び0.30Gの加速度で加振された場合の電圧の時間応答性が示されている。また、比較デバイス、条件1の振動発電デバイス1及び条件2の振動発電デバイス1が第4共振モード形状F4で共振する場合の周波数f41b、f42b及びf43bはそれぞれ、112.2Hz、88.1Hz及び81.9Hzである。
【0075】
図18図20が示すように、比較デバイス及び振動発電デバイス1のそれぞれがいずれの加速度で加振された場合でも、比較デバイス、条件1の振動発電デバイス1及び条件2の振動発電デバイス1の順に、生じた電圧が大きくなる。つまり、第1錘80の質量が重くなると、電圧が大きくなる。
【0076】
また、図20が示すように、最も重い質量の第1錘80を備える条件2の振動発電デバイス1は、小さい加速度(0.05G)で加振された場合でも±3V程度の大きな電圧を発生させる。また、条件2の振動発電デバイス1は、大きな加速度(0.30G)で加振された場合では、±11V程度のさらに大きな電圧を発生させる。
【0077】
[実施の形態の変形例1]
以下、実施の形態の変形例1に係る振動発電デバイス1aの構成例について図21を用いて説明する。
【0078】
図21は、本変形例に係る振動発電デバイス1aの側面図である。
【0079】
本変形例に係る振動発電デバイス1aは、主に、以下の1点を除いては、実施の形態に係る振動発電デバイス1と同じ構成を有する。具体的に1点とは、振動発電デバイス1aは、さらに、周波数調整部材10を備える点である。つまり、本変形例に係る振動発電デバイス1aは、フレーム21と、発電部30と、連結部材22と、第1錘80と、端部錘60と、周波数調整部材10と、2つのネジ71と、2つのスペーサ81とを備える。
【0080】
周波数調整部材10は、加振源装置2とフレーム21との間に設けられる部材である。周波数調整部材10は、加振源装置2のz軸正側に固定して接続されている。なお、振動発電デバイス1aは、ネジ72をさらに備える。フレーム21に設けられた4つの開口部70のうちネジ71が挿通されていない開口部70に挿通されたネジ72によって、周波数調整部材10は、フレーム21と螺合されている。つまり、周波数調整部材10とフレーム21とは、固定して接続されている。
【0081】
また、本変形例においては、フレーム21における第1錘80が取り付けられる箇所と固定端部E2との間の領域を所定領域とする。所定領域は、例えば、ネジ72が挿通された開口部70が設けられている領域である。つまり、周波数調整部材10は、フレーム21の所定領域と固定して接続されている。
【0082】
このため、振動発電デバイス1aが加振により振動する場合に、フレーム21の所定領域は、振動しない。つまり、周波数調整部材10は、所定領域の振動を抑制するための部材でもある。
【0083】
ここで、実施の形態1に係る振動発電デバイス1と、本変形例に係る振動発電デバイス1aとを比較する。周波数調整部材10を備えない振動発電デバイス1が振動する場合には、固定端部E2から屈曲部Bまでの振動する領域の長さは、図21が示すように、長さL1である。一方で、周波数調整部材10を備える振動発電デバイス1aが振動する場合には、固定端部E2から屈曲部Bまでの振動する領域の長さは、図21が示すように、長さL2である。つまり、フレーム21の所定領域が周波数調整部材10によって固定されることで、固定端部E2から屈曲部Bまでの振動する領域の長さが長さL1から長さL2に短くなる。
【0084】
このように、振動する領域の長さが短くなることによって、振動発電デバイス1aが第4共振モード形状F4で共振する場合の周波数が、さらに高くなる。つまりは、より高周波数の振動で大きな電圧を発生させることができる振動発電デバイス1aが実現される。
【0085】
[実施の形態の変形例2]
以下、実施の形態の変形例2に係る振動発電デバイスの構成例について図22を用いて説明する。
【0086】
図22は、本変形例に係る振動発電デバイスが備えるフレーム21bの平面図である。
【0087】
本変形例に係る振動発電デバイスは、主に、以下の2点を除いては、実施の形態に係る振動発電デバイス1と同じ構成を有する。具体的に2点とは、実施の形態の変形例2に係る振動発電デバイスがフレーム21にかえてフレーム21bを備える点、及び、実施の形態の変形例2に係る振動発電デバイスが備える発電部が磁歪素子32にかえて磁歪素子32bを備える点である。
【0088】
図22が示すように、本変形例に係るフレーム21bは、固定端部E2と屈曲部Bとの間に、固定端部E2と屈曲部Bとの間のフレーム21bのy軸方向の幅が平面視で細くなるようにフレーム21bが湾曲する湾曲部C3及び湾曲部C4を有する。つまり、湾曲部C3及びC4が設けられることで、固定端部E2から屈曲部Bまでのフレーム21bにおいてy軸方向の長さが短い領域(つまりはくびれた領域)が生じている。
【0089】
また、本変形例に係るフレーム21bは、屈曲部Bと自由端部E1との間に、屈曲部Bと自由端部E1との間のフレーム21bのy軸方向の幅が平面視で細くなるようにフレーム21bが湾曲する湾曲部C5及び湾曲部C6を有する。つまり、湾曲部C5及びC6が設けられることで、屈曲部Bから自由端部E1までのフレーム21bにおいてy軸方向の長さが短い領域(つまりはくびれた領域)が生じている。なお、フレーム21bのy軸方向とは、フレーム21bの短手方向であるとも言える。つまりフレーム21bのx軸方向がフレーム21bの長手方向である。
【0090】
さらに、図22が示すように、本変形例に係る磁歪素子32bは、磁歪素子32bのy軸方向の幅が平面視で細くなるように磁歪素子32bが湾曲する湾曲部C1及び湾曲部C2を有する。湾曲部C1及びC2が設けられることで、磁歪素子32bにおいてy軸方向の長さが短い領域(つまりはくびれた領域)が生じている。
【0091】
図22が示すように、フレーム21bの屈曲部Bと自由端部E1との間の領域、及び、磁歪素子32bが重なるように、湾曲部C1~C4が設けられている。
【0092】
このようなくびれた領域が設けられることで、本変形例に係る振動発電デバイスが第4共振モード形状F4で共振する場合に、フレーム21b及び磁歪素子32bの変形が生じやすくなる。このため、本変形例に係る振動発電デバイスは、より大きな電圧を発生させることができる。
【0093】
なお、くびれた領域におけるy軸方向の幅は、短いほどフレーム21b及び磁歪素子32bの変形が生じやすくなり、長いほど振動発電デバイスが破壊され難くなる。
【0094】
[実施の形態の変形例3]
以下、実施の形態の変形例3に係る振動発電デバイス1cの構成例について図23及び図24を用いて説明する。
【0095】
図23は、本変形例に係る振動発電デバイス1cの平面図である。図24は、本変形例に係る振動発電デバイス1cの側面図である。
【0096】
本変形例に係る振動発電デバイス1cは、主に、以下の1点を除いては、実施の形態に係る振動発電デバイス1と同じ構成を有する。具体的に1点とは、振動発電デバイス1cは、さらに、第2錘90を備える点である。つまり、本変形例に係る振動発電デバイス1cは、フレーム21と、発電部30と、連結部材22と、第1錘80と、端部錘60と、2つのネジ71と、2つのスペーサ81と、2つの第2錘90とを備える。
【0097】
2つの第2錘90のそれぞれは、第1錘80と接続される錘である。2つの第2錘90のそれぞれは、平板形状である第1錘80のz軸正側に配置されている。図23が示すように、2つの第2錘90の一方はフレーム21よりもy軸正側に、2つの第2錘90の他方はフレーム21よりもy軸負側に配置されている。第2錘90は、追加の錘であるともいえる。
【0098】
上記実施の形態の図14及び図18図20で示したように、第1錘80の質量が重くなると、生じる電圧が大きくなる。このため、振動発電デバイス1cが追加の錘である第2錘90を備えることで、生じる電圧がより大きくなる。つまりは、高周波数の振動でより大きな電圧を発生させることができる振動発電デバイス1cが実現される。また、振動発電デバイス1cが追加の錘である第2錘90を備えることで、振動発電デバイス1cが第4共振モード形状F4で共振する周波数f4bを制御することができる。
【0099】
なお、本変形例においては、第2錘90は、第1錘80のz軸正側に配置されたがこれに限られず、第1錘80と接続されることができればどのような位置であってもよい。また、第2錘90の数は、2つに限られず、1つでもよく、3つ以上であってもよい。
【0100】
[実施の形態の変形例4]
以下、実施の形態の変形例4に係る振動発電デバイス1dの構成例について図25及び図26を用いて説明する。
【0101】
図25は、本変形例に係る振動発電デバイス1dの平面図である。図26は、本変形例に係る振動発電デバイス1dの側面図である。
【0102】
本変形例に係る振動発電デバイス1dは、主に、以下の1点を除いては、実施の形態の変形例3に係る振動発電デバイス1cと同じ構成を有する。具体的に1点とは、振動発電デバイス1dにおいては第2錘90dが磁性体材料によって構成されフレーム21を覆う形状を有する点である。つまり、本変形例に係る振動発電デバイス1dは、フレーム21と、発電部30と、連結部材22と、第1錘80と、端部錘60と、2つのネジ71と、2つのスペーサ81と、第2錘90dとを備える。
【0103】
第2錘90dは、第1錘80と接続される錘である。第2錘90dの形状は、x軸負側からx軸正側に見ると、U字状を有する。第1錘80と第2錘90dとによって、フレーム21及び発電部30が囲われている。
【0104】
また、第2錘90dは、磁性体材料によって構成されている。より具体的には、第2錘90dは、強磁性体材料を含むとよく、例えば、鉄、コバルト及びニッケルなどを含むとよい。
【0105】
このような第2錘90dが設けられることで、振動発電デバイス1dにおける磁束が第2錘90dを通る。つまり、第2錘90dは、磁路として利用される。
【0106】
振動発電デバイス1dが第2錘90dを備えることで、新たな磁路が形成されるため、振動発電デバイス1dはより大きな電圧を発生させることができる。また、第1錘80と第2錘90dとによってフレーム21及び発電部30が囲われていることから、フレーム21及び発電部30が保護される。つまり、振動発電デバイス1dが使用される場合に、フレーム21及び発電部30が破壊され難くなる。
【0107】
[実施の形態の変形例5]
以下、実施の形態の変形例5に係る振動発電デバイス1eの構成例について図27を用いて説明する。
【0108】
図27は、本変形例に係る振動発電デバイス1eの側面図である。
【0109】
本変形例に係る振動発電デバイス1eは、主に、以下の1点を除いては、実施の形態に係る振動発電デバイス1と同じ構成を有する。具体的に1点とは、振動発電デバイス1eは、連結部材22及び端部錘60を備えず、支持部材40を備える点である。つまり、本変形例に係る振動発電デバイス1eは、フレーム21と、発電部30と、第1錘80と、2つのネジ71と、2つのスペーサ81と、支持部材40とを備える。
【0110】
支持部材40は、フレーム21の自由端部E1と固定端部E2とを接続する部材であり、フレーム21の自由端部E1の振動を抑制するために、自由端部E1を支持する部材である。
【0111】
これにより、振動発電デバイス1eが第4共振モード形状F4で共振し易くなる。従って、振動発電デバイス1eは、高周波数の振動でより大きな電圧を発生させることができる。
【0112】
なお、本変形例においては、フレーム21の自由端部E1の振動が抑制されるため、振動発電デバイス1eが第1共振モード形状F1で共振し難くなる。
【0113】
[まとめなど]
以上まとめると、本実施の形態に係る振動発電デバイス1は、発電部30と、フレーム21と、第1錘80と、を備える。発電部30は、加振によって変形する磁歪素子32を有する。フレーム21は、固定端部E2及び自由端部E1を有しかつ形状がU字状又はV字状を有するフレーム21であって、U字状又はV字状の屈曲部Bと自由端部E1との間に磁歪素子32が接合される。第1錘80は、フレーム21における屈曲部Bと固定端部E2との間に設けられる。
【0114】
このように、本実施の形態に係る振動発電デバイス1は、振動発電デバイス1が高周波数で共振する第4共振モード形状F4における振動の腹点であるフレーム21の屈曲部Bと固定端部E2との間に、第1錘80を備えている。このため、図20が示すように、振動発電デバイス1は、周波数81.9Hzという高周波数の振動で、±3V~±11V程度の電圧を発生させることができる。つまりは、高周波数の振動で大きな電圧を発生させることができる振動発電デバイス1が実現されている。より具体的には、振動発電デバイス1を小型化することなく、振動発電デバイス1が第1錘80を備えることによって、より高周波数の振動で大きな電圧を発生させることができる。
【0115】
さらに、本実施の形態においては、第1錘80の質量が重いほど、電圧が向上し、感度も向上する。また、第1錘80の質量を変化させることで、振動発電デバイス1が第4共振モード形状F4で共振する周波数f4bを制御することができる。
【0116】
本実施の形態に係る振動発電デバイス1は、さらに、フレーム21と第1錘80との間に設けられるスペーサ81を備える。
【0117】
これにより、フレーム21と第1錘80との間に隙間が生じ、つまりは、フレーム21と第1錘80とが直接接し難くなる。よって、フレーム21の振動が起こった際に、第1錘80に接触してフレーム21の振動が弱められることが抑制される。このため、高周波数の振動でより大きな電圧を発生させることができる振動発電デバイス1が実現される。
【0118】
本実施の形態においては、フレーム21には、第1錘80を固定するためのネジ71が挿通される開口部70が設けられている。
【0119】
これにより、第1錘80がフレーム21に設けられることが容易に行われる。
【0120】
また、実施の形態の変形例1では、フレーム21における第1錘80が取り付けられる箇所と固定端部E2との間の領域を所定領域とする。実施の形態の変形例1に係る振動発電デバイス1aは、さらに、所定領域の振動を抑制する周波数調整部材10を備える。
【0121】
これにより、実施の形態の変形例1が示すように、振動する領域の長さが短くなることによって、振動発電デバイス1aが第4共振モード形状F4で共振する場合の周波数が、さらに高くなる。つまりは、より高周波数の振動で大きな電圧を発生させることができる振動発電デバイス1aが実現される。
【0122】
また、実施の形態の変形例3に係る振動発電デバイス1cは、第1錘80と接続される第2錘90をさらに備える。
【0123】
実施の形態の変形例3が示すように、振動発電デバイス1cが追加の錘である第2錘90を備えることで、生じる電圧がより大きくなる。つまりは、高周波数の振動でより大きな電圧を発生させることができる振動発電デバイス1cが実現される。
【0124】
また、本実施の形態に係る振動発電デバイス1は、発電部30と、フレーム21と、を備える。発電部30は、加振によって変形する磁歪素子32を有する。フレーム21は、固定端部E2及び自由端部E1を有しかつ形状がU字状又はV字状を有するフレーム21であって、U字状又はV字状の屈曲部Bと自由端部E1との間に磁歪素子32が接合される。フレーム21には、屈曲部Bと固定端部E2との間に、第1錘80を固定するためのネジ71が挿通される開口部70が設けられている。
【0125】
このような振動発電デバイス1が第1錘80を備える場合には、第1錘80は、フレーム21における屈曲部Bと固定端部E2との間に設けられることとなる。つまりは、振動発電デバイス1は、振動発電デバイス1が高周波数で共振する第4共振モード形状F4における振動の腹点であるフレーム21の屈曲部Bと固定端部E2との間に、第1錘80を備えていることとなる。このため、図20が示すように、振動発電デバイス1は、周波数81.9Hzという高周波数の振動で、±3V~±11V程度の電圧を発生させることができる。つまりは、高周波数の振動で大きな電圧を発生させることができる振動発電デバイス1が実現されている。より具体的には、振動発電デバイス1を小型化することなく、振動発電デバイス1が第1錘80を備えることによって、より高周波数の振動で大きな電圧を発生させることができる。
【0126】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係る振動発電デバイスについて、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、実施の形態及び変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲に含まれる。
【0127】
また、上記の実施の形態は、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、高電圧を発生させることができる振動発電デバイスとして、センサなどと共に機械装置などに取り付けられ、機械装置の異常などを検知するための電源として利用することができる。
【符号の説明】
【0129】
1、1a、1c、1d、1e 振動発電デバイス
1x 検討デバイス
2 加振源装置
10 周波数調整部材
21、21b フレーム
22 連結部材
30 発電部
31 コイル
32、32b 磁歪素子
33 発電用磁石
40 支持部材
60 端部錘
70 開口部
71、72 ネジ
80 第1錘
81 スペーサ
90、90d 第2錘
211 第1内側面
212 第2内側面
213 第1外側面
214 第2外側面
B 屈曲部
C1、C2、C3、C4、C5、C6 湾曲部
d 厚み
E1 自由端部
E2 固定端部
L1、L2 長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27