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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081733
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】融雪剤施工用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/26 20060101AFI20230606BHJP
   E01H 5/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
E01C19/26
E01H5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195680
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】390002185
【氏名又は名称】大成ロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 信之
(72)【発明者】
【氏名】青木 政樹
(72)【発明者】
【氏名】チャンタン ニャット
(72)【発明者】
【氏名】丸山 博和
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA05
2D052AB01
2D052AC01
2D052AD11
2D052BA20
2D052BB03
(57)【要約】
【課題】融雪剤を路面上に長時間保持することが出来て、除雪作業効率を向上させることができる道路の舗装に用いて好適な融雪剤施工用アタッチメントを提供する。
【解決手段】融雪剤施工用アタッチメント10は、タンデムローラ1の後側転動輪4の外周面4cに、後側転動輪4の回転軸5方向と平行に装着される長尺状のプレート本体11と、プレート本体11の両端部11a,11aに設けられ、後側転動輪4の両側縁4a,4aに対してそれぞれ着脱可能に固定される固定部12,12と、後側転動輪4の回転軸5方向に互いに離間してプレート本体11の表面11bに配置される複数の凸部20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の転動輪の外周面に、前記転動輪の回転軸方向と平行に装着される長尺状のプレート本体と、
前記プレート本体の両端部に設けられ、前記転動輪の両側縁に対してそれぞれ着脱可能に固定される固定部と、
前記転動輪の回転軸方向に互いに離間して前記プレート本体に配置される複数の凸部と、を備えることを特徴とする融雪剤施工用アタッチメント。
【請求項2】
前記凸部は、前記プレート本体の表面から所定の高さまで突設された頂部を有する円錐体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の融雪剤施工用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融雪剤施工用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、敷設されたアスファルトの表面に融雪剤(凍結抑制剤)を散布して路面の凍結を抑制する凍結防止方法が知られている。
また、路面を舗装する際に道路を横断する方向に凹溝を形成して注意喚起用の走行音を発生させる施工方法が知られている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-248794
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、道路には排水性を向上させるため中央から側縁に向けて下降する横断勾配が設けられている。このため、路面および凹溝を伝う雨水と共に融雪剤が流れてしまう虞があった。
また、直線状に形成された凹溝の深さによっては、厚みの薄い部分が道路を横断する方向に形成されて舗装層の強度が低下する虞もあった。
したがって、融雪剤の散布の間隔が短くならないように融雪剤を所望の位置に長時間保持して凍結抑制効果を発揮させ続けるには、さらなる改善が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、融雪剤を路面上に長時間保持することが出来て、除雪作業効率を向上させることができる道路の舗装に用いて好適な融雪剤施工用アタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の融雪剤施工用アタッチメントは、移動体の転動輪の外周面に、転動輪の回転軸方向と平行に装着される長尺状のプレート本体と、プレート本体の両端部に設けられ、転動輪の両側縁に対してそれぞれ着脱可能に固定される固定部と、転動輪の回転軸方向に互いに離間してプレート本体に配置される複数の凸部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、融雪剤を路面上に長時間保持することが出来て、除雪作業性を向上させることができる道路の舗装に用いて好適な融雪剤施工用アタッチメントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の融雪剤施工用アタッチメントで、移動体を車両後方から見て後側転動輪に融雪剤施工用アタッチメントのプレート本体を装着した様子を示す斜視図である。
図2】実施形態の融雪剤施工用アタッチメントでプレート本体全体の構成を説明する斜視図である。
図3】実施形態の融雪剤施工用アタッチメントで、図1中III-III線に沿った位置での転動輪の断面図である。
図4】実施形態の融雪剤施工用アタッチメントで、図3中プレート本体の突部の構成を説明する拡大断面図である。
図5】実施形態の融雪剤施工用アタッチメントを装着した移動体を用いて路面に凹穴を形成する様子を模式的に示す側面図である。
図6】凹穴を設けた道路の表面を雨水が覆う様子を示す断面図である。
図7】密度の異なるアスファルトごとの施工試験の転圧条件を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。方向を説明する際には、特に示さない限り、基本的に図1に示す移動体としてのタンデムローラ1の前後,左右あるいは上下に基づいて説明する。また、「車幅方向」は「左右方向」と同義である。
本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10は、タンデムローラ1の車体2前後に転動可能に設けられた円筒状の前側転動輪3または後側転動輪4のうち少なくとも何れか一方に設けられる。
【0010】
図1に示すように本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10は、後側転動輪4に装着される複数の長尺板状のプレート本体11を有している。プレート本体11は、所定の厚みの長尺状の金属板により形成されている。さらにプレート本体11は、長さ方向と直交する幅方向に所定の寸法w1(図4参照)を有している。また、プレート本体11は、後側転動輪4の全幅とほぼ同じ長さ方向の寸法を有している。そして、本実施形態のプレート本体11は、四本一組で後側転動輪4の外周面4cに装着されている。
【0011】
図2に示すように、融雪剤施工用アタッチメント10は、それぞれのプレート本体11の両端部に一対の固定部12,12を有している。さらに融雪剤施工用アタッチメント10の表面11bには、複数の凸部20…が後側転動輪4の回転軸5方向に直線状に配置されている。回転軸5方向に隣接配置される凸部20,20の間には、互いに所定寸法の間隔が設けられている。
【0012】
図3に示すように、各プレート本体11は、後側転動輪4の回転軸5方向と平行でかつ外周面4cの周方向にそれぞれ所定の間隔、例えば約90°毎に装着される。ただしアタッチメント10の間隔は90度に限定されず、所望の間隔で設置すればよい。
各プレート本体11を外周面4cに装着する固定部12は、プレート本体11の両端部11a,11aにそれぞれ設けられている。本実施形態の固定部12は、複数のボルト部材12a(図1参照)と、ボルト部材12aを螺合させる雌ネジ部が形成された板状の固定片12b(図2参照)とを有している。
【0013】
固定部12では、ボルト部材12aを雌ネジ部に螺合させると、後側転動輪4の各側縁4aがプレート本体11の各端部11aaおよび固定片12b間に挟み込まれる。これにより、プレート本体11の両端部11a,11aはそれぞれ後側転動輪4の外周面4c,4cに固定される。
また、固定部12は、ボルト部材12aの雌ネジ部への螺合を緩める。これにより端部11aおよび固定片12b間に挟み込まれていた側縁4aが開放されてプレート本体11を後側転動輪4の外周面4cから取り外すことができる。
【0014】
図4に示すように本実施形態のプレート本体11の表面11bに設けられた各凸部20は、表面11bに略円形を呈して接続される底面の径方向の大きさを寸法d1としている。また、各凸部20は、底面から凸設される頂部21までの高さを寸法h1として円錐体形状に形成されている。
また、凸部20の径方向の寸法d1は、プレート本体11の幅方向の寸法w1より小さく(d1<w1)に設定されている。さらに、径方向の寸法d1は、高さ方向の寸法h1よりも大きく(d1>h1)設定されている。これにより例えば凸部20に路面から外力が加わってもプレート本体11から凸部20が離脱あるいは凸部20が破損または変形する虞が少ない。
【0015】
そして、隣接配置される凸部20,20の間には、互いに所定寸法の間隔が設けられている。本実施形態では、凸部20の径方向の寸法d1と比べて等倍から数倍以上となるように空けられて凸部20,20の間隔が設定されている。これにより、道路30に形成された凹穴32,32同士は、隣接して配置されていても連結してしまう虞が少ない。したがって、それぞれの凹穴32の独立が維持されて収容された融雪剤の流れ出しが抑制される。また、凹穴32,32が連続した溝形状とならない。このため、厚みが薄く強度が低下する部分が舗装層に形成されにくい。
【0016】
次に、本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10の作用効果について説明する。
図1に示すように本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10は、合計四本のプレート本体11をタンデムローラ1の後側転動輪4の外周面4cにほぼ等間隔で装着して用いられる。
【0017】
すなわち、本実施形態のプレート本体11は、それぞれの固定部12の端部11aに形成された雌ネジ部に固定片12bに挿通されたボルト部材12aを螺合させる。そして、固定部12は、端部11aと固定片12bとの間に後側転動輪4の側縁4aを挟持する。
これにより、施工者は、舗装の準備段階で図3に示すように合計四本のプレート本体11を後側転動輪4の外周面4cに90°毎のほぼ等間隔に容易に装着できる。プレート本体11の表面11bには複数の凸部20が所定の間隔を置いて固定されている(図2参照)。このため、プレート本体11の装着によりそれぞれの凸部20は、回転軸方向および周方向にそれぞれ離間した状態で配置されて、各頂部21を外周面4cから外方へ凸設する。
【0018】
また、本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10は、固定部12のボルト部材12aによる螺合を解除して、端部11aと固定片12bとの間の挟持を開放して側縁4aから離脱させることができる。これにより後側転動輪4の外周面4cから容易にプレート本体11を取り外すことができる。したがって、汎用のタンデムローラ1等、転動輪を有する移動体であれば多くの施工車両に適用することが出来、現場での汎用性が高く施工効率が良好である。
【0019】
道路30の舗装作業は、図5に示すタンデムローラ1の他に複数の施工車両が用いられる。例えば施工者は、図示しないアスファルトフィニッシャ、一次転圧を行うマカダムローラに続いて、融雪剤施工用アタッチメント10を装着するタンデムローラ1(図1参照)を走行させる。そして、タンデムローラ1の走行後、二次転圧を行うタイヤローラ(図示せず)を走行させて仕上げが行われる。なお、各施工車両の種類、走行順序等については特に本実施形態の施工車両および走行順序に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態のローラアタッチメントを用いた道路30の舗装作業は、まず図示しないアスファルトフィニッシャの走行によりアスファルト混合物が道路30の表面に敷き均らされる。次に、マカダムローラの走行によりアスファルトが踏み固められて一次転圧が行われる。
そして、施工者は一次転圧が行われたアスファルト混合物の上を図5に示す前,後側転動輪3,4によって押圧しながらタンデムローラ50を走行させる。
【0021】
タンデムローラ50の後側転動輪4の表面には、プレート本体11に固定された複数の凸部20が所定の間隔を置いて凸設されている。
このため、タンデムローラ50が走行した後の道路30の上面には、複数の円錐状の凹穴32が所定の間隔を置いて形成される。凹穴32の大きさは、径方向の寸法d1=2.5~3.5cmさらに好ましくは3cm程度、上下方向深さ寸法h1=1.0~2.0cmさらに好ましくは、1.5cm程度となる。
この際、タンデムローラ50は、前,後方向に往復走行してさらに複数の凹穴32を形成してもよい。凹穴32の周囲は、プレート本体11によって踏み固められて強度が向上する。
【0022】
タンデムローラ50は、後進により後側転動輪4のプレート本体11によって形成された踏み跡を前側転動輪3により均して消すことができる。
タンデムローラ50に続いて図示しないタイヤローラを走行させると二次転圧が行われる。タイヤローラは、二次転圧を行う際、プレート本体11により形成された残りの踏み跡を確実に消すことができる。このため、プレート本体11により周囲が踏み固められた凹穴32のみがさらに二次転圧で踏み固められて道路30の表面に残される。
このようにタンデムローラ50の走行により道路30の表面には複数の凹穴32が形成される。このため、融雪剤を含んだ溶液が散布されると、散布された溶液はそれぞれの凹穴32内に滞留して流下が抑制される。
【0023】
本実施形態の各凸部20は、回転軸5にそれぞれ沿う四本の独立したプレート本体11に離間して配列されている。このため、道路30の上面が施工車両によって踏み固められると、道路30にはタンデムローラ1の進行方向と直交する方向に所定の間隔で離間している状態で多数の凹穴32が凹設される。
また、各凸部20は、図3に示すように後側転動輪4の外周面に所定の間隔で装着されるプレート本体11に設けられている。このため、タンデムローラ1が進行する前,後方向にほぼ所定の間隔で凹穴32が凹設される。
したがって、融雪剤が散布されると融雪剤は、個別に独立した凹穴32内に保持されて、道路30の横断勾配によって雨水や溶けた雪水とともに道路30の外へ融雪剤が流れて落ちてしまう虞が減少する。
よって次の降雨または降雪の際に融雪剤を凹穴32内から再度適量溶出させることができる。このため、本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10によって施工された道路30は、表面の凍結を従来と比較して長期間にわたり防止することができる。
このように融雪剤施工用アタッチメント10を道路30の舗装施工に用いると一回の融雪剤の散布で発揮できる融雪剤の効果の時間が延長される。よって、融雪剤の散布の間隔を延長して、除雪に関する作業を減少させることができる。
【0024】
さらに、隣接して形成された複数の凹穴32,32は、道路30の横断方向に所定の間隔で離間して独立した状態で凹設形成される。よって、従来のように道路30を横断する方向に連続した舗装層の厚みの薄い凹溝が形成されない。
また、本実施形態では、タンデムローラ1が進行する前,後方向に凹設される凹穴32,32が所定の間隔を有して形成される。このため、従来のように道路30面に直線状の層厚の薄い部分が形成されることがない。したがって舗装層の強度の低下を抑制することができる。
【0025】
そして、本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10は、所定の厚みを有するプレート本体11が凸部20の周囲に配置されている。このため、後側転動輪4の転動により路面に形成される凹穴32の周囲には、プレート本体11によって押圧されて高い圧力で圧縮された部分が形成される。さらに、プレート本体11の踏み跡は、前側転動輪3または後続の施工車両によって複数回、踏み固められて消される。したがって、プレート本体11を用いることなく単に路面から掘り下げられた凹穴と比べて、充分な強度および耐候性が与えられる。よって、凹穴32は長期間に渡ってすり鉢形状を維持でき、融雪剤の保持性が良好である。
【0026】
本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10は、融雪剤の保持性が良好で散布間隔を延ばすことにより除雪作業性を向上させる道路の舗装に用いて好適である。
また、凸部20に形成された円錐体の頂部21によって道路30の表面にすり鉢状に凹む凹穴32が形成される。凹穴32は、散布された融雪剤を保持して、路面の雨水等によって流れ出さないように留めることができる。よって次の降雨または降雪の際に凹穴32内に保持されている融雪剤を再度溶出さて路面の凍結を防止できる。
このため、融雪剤の散布の間隔を延ばすことが出来て、除雪作業効率を向上させることができる。
【0027】
また、本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10は、融雪剤を保持する凹穴32を施工した後、それぞれの固定部12による装着を解除して各プレート本体11を後側転動輪4から取外すことができる。
このため、タンデムローラ1を整地等他の施工作業に用いることができる。また、プレート本体11が取外されていると凹穴32やプレート本体11の踏み跡が形成されない。このため、タンデムローラ1は、そのまま走行して別の場所に移動可能で、運搬車に積載する際にも容易に積み下ろし可能となり運搬性が良好である。このように融雪剤施工用アタッチメント10は、既存の作業車両を用いることが出来、融雪剤の散布間隔を延ばすことにより除雪作業性を向上させる道路の舗装に用いて好適である。
【0028】
[施工試験]
敷均した砂をローラで締固めて路面の表面を平坦に仕上げ、その砂上で融雪剤施工用アタッチメント10を後側転動輪4に装着してタンデムローラ1を前後進させる。後側転動輪4の転動によりプレート本体11に固定された凸部20が路面を押圧する。路面に凹設された凹穴32を目視で確認した後、後進により前側転動輪3で転圧する。これによりニーディング作用でプレート本体11の踏み跡が消えていることを確認した。
次に、密度の異なる二種類のアスファルトを用いて有効な凹穴32が形成されるかについて試験を行った。
(1)使用したアスファルト混合物
i) 密粒20T改質II型(表層用混合物1:密粒系、例えば国土交通省東北地方整備局管内の国道の表層用混合物)
ii)高機能舗装II型混合物(表層用混合物2:粗粒系、例えばNEXCOの表層用混合物。)
表層用混合物2は、表層用混合物1と比べて表面に隙間が多く、排水機能を有し、内部は隙間が少なく水密性を有する混合物を用いた。
(2)アタッチメント
本実施例1では、図4に示すように円錐体形状の凸部20の径方向の寸法d1=3cm、高さ方向の寸法h1をh1=1.5cmとしたもの(アタッチメントA)とd1=2cm、h1=1cmのもの(アタッチメントB)に加えて三角錐形状の凸部を有するもの(アタッチメントC)を用意した。
(3)施工順序
i) アスファルトフィニッシャ(W45)でアスファルト混合物を敷き均らす。
ii) マカダムローラ(10t)で一次転圧を行う。
iii)一次転圧完了後に速やかに型押し用タンデムローラ1(1.5t:凸部20の型押し用)で一回転圧を行う。
iv)タイヤローラ(8t)で二次転圧を行う。
(4)転圧条件
図7は、転圧が行なわれる際の温度条件および回数の施工条件を示している。表層用混合物2(粗粒系)は、表層用混合物1(密粒系)に比べて転圧時の骨材の流動が大きい。このため、表層用混合物2は、表層用混合物1よりも一次転圧回数を多く設定しても、二次転圧回数を比較的少なく設定する。これにより、凹穴32が残るように調整することができる。
たとえば、表層用混合物1の転圧条件を一次転圧目標温度165±5°C、二次転圧目標温度110°C以上、一次転圧回数6回、型押しローラ転圧回数1回、二次転圧回数8回とすると、表層用混合物2の転圧条件は、一次転圧目標温度155±5°C、二次転圧目標温度110°C以上、一次転圧回数8回、型押しローラ転圧回数1回、二次転圧回数4回が好適であることがわかった。
【0029】
(5)試験結果
表層用混合物1(密粒系)で凹穴32の形成が確認できた。表層用混合物2(粗粒系)は、表層用混合物1に比べて転圧時の骨材の動きが大きい。このため、表層用混合物2は、凹穴32が形成された後に小さくなる傾向にある。また、三角錐形状の凸部を有するアタッチメントCは、アタッチメントA,Bに比較して凹穴に与えるニーディングの影響を受けやすかった。
したがって、ある一定の大きさ、例えば径方向の寸法d1=2.5~3.5cm好ましくは3cm程度、高さ寸法h1=1.0~2.0cm好ましくは、1.5cm程度の円錐体の凸部20を有するアタッチメントA等を用いて密粒系のアスファルト混合物が敷き詰められた道路30の表面に凹穴32を形成することが好ましい。
【0030】
上述してきたように、本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10は、融雪剤を路面上に長時間保持することが出来て、除雪作業性を向上させることができる道路の舗装に用いて好適な融雪剤施工用アタッチメントを提供することができる。
【0031】
融雪剤施工用アタッチメント10は、図1に示すタンデムローラ1の後側転動輪4の外周面4cに、後側転動輪4の回転軸5方向と平行に装着される長尺状のプレート本体11(図2参照)を備えている。融雪剤施工用アタッチメント10は、プレート本体11の両端部11a,11aに設けられ、後側転動輪4の両側縁4a,4aに対してそれぞれ着脱可能に固定される固定部12と、後側転動輪4の回転軸5方向に互いに離間してプレート本体11に配置される複数の凸部20と、を備えている。
このように構成された融雪剤施工用アタッチメント10は、融雪剤の散布の間隔を延ばすことが出来て、除雪作業効率を向上させることができ、道路の舗装に用いて好適である。
【0032】
また、凸部20は、図4に示すようにプレート本体11の表面11bから所定の高さh1まで突設された頂部21を有する円錐体に形成されている。
このため、融雪剤施工用アタッチメント10が装着された後側転動輪4が回転して、凸部20に形成された円錐体の頂部21が道路30の表面を押圧して鉢状に凹む凹穴32を形成する。凹穴32は、頂部21によって押圧形成された深い凹設箇所に散布された融雪剤を保持する。これにより、道路30の路面を流下する雨水等とともに流れ出ないように凹穴32内に融雪剤を留めることができる。
したがって、さらに融雪剤の散布の間隔を延ばすことが出来て、除雪作業効率を向上させることができる、といった実用上有益な作用効果を発揮する。
【0033】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、たとえば以下のようなものである。
【0034】
本実施形態では、本実施形態の融雪剤施工用アタッチメント10は、タンデムローラ1の後側転動輪4にプレート本体11を装着したものを示して説明してきたが特にこれに限らない。たとえば他のローラ車等の転圧を行う移動体に設けられていてもよい。また、前側転動輪3,後側転動輪4の両方もしくは、少なくとも一方にプレート本体11を設けていればよい。例えば、一つの転動輪に装着されるプレート本体11の本数も四本に限らず一つの転動輪に何本のプレート本体11が装着されていてもよい。例えば1~3本または5本以上の複数本が異なる間隔で転動輪に装着されていてもよい。
【0035】
さらに、長尺板状のプレート本体11に固定される凸部20の個数および配列は特に本実施形態に限定されるものではない。例えば、凸部20の配列を複数列とする等、転動輪の回転軸5方向に互いに離間してプレート本体11に配置されるものであればどのような配置および数量で固定されていてもよい。
【0036】
また、凸部20は、プレート本体11の表面11bから所定の高さ寸法h1まで突設された頂部21を有している。しかしながら、特にこれに限らず表面11bから頂部21までの高さ寸法が他の値を採用してもよく、それぞれの凸部20毎に異なる寸法を有するものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 タンデムローラ(移動体)
4 後側転動輪(転動輪)
4a 側縁
4c 外周面
5 回転軸
10 融雪剤施工用アタッチメント
11 プレート本体
11a 端部
12 固定部
20 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7