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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081739
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/08 20060101AFI20230606BHJP
   A63H 29/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A63H33/08 H
A63H29/00 E
A63H29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195689
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】519277520
【氏名又は名称】株式会社リビングロボット
(74)【代理人】
【識別番号】100186510
【弁理士】
【氏名又は名称】豊村 祐士
(72)【発明者】
【氏名】川内 康裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 珠幾
(72)【発明者】
【氏名】遠山 理
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】徳永 浩二
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA06
2C150BA27
2C150BA37
2C150BA41
2C150CA08
2C150DA02
2C150DF03
2C150DF33
2C150DG01
2C150EB01
2C150EB44
2C150EF24
2C150FB47
(57)【要約】
【課題】利用者が特定のパーツ同士を組み合させたことや、パーツ同士が相対的に特定の位置関係となるように組み合わせたことを検出し、適切にコミュニケーションを図ることで、利用者の知的好奇心等を育むことが可能な玩具を提供する。
【解決手段】第1の磁石1b、磁気センサ1st及び第1の制御部1nを備える本体ユニット1と、複数の第2の磁石2bが配置され本体ユニット1に着脱可能に構成された種別の異なる複数のパーツユニット20と、を備え、第2の磁石2bは、吸着用磁石(2bv,3bv)と検出用磁石bdとで構成され、パーツユニット20は、吸着用磁石が第1の磁石1bに吸引されることで本体ユニット1に装着され、第1の制御部は、磁気センサ1stが検出用磁石bdの磁力を検出した際の出力に基づいて、本体ユニット1に対するパーツユニット20の着脱とパーツユニット20の種別とを判定する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁石、磁気センサ及び第1の制御部を備える本体ユニットと、
複数の第2の磁石が配置され前記本体ユニットに着脱可能に構成された種別の異なる複数のパーツユニットと、を備え、
前記第2の磁石は、吸着用磁石と検出用磁石とで構成され、
前記パーツユニットは、前記吸着用磁石が前記第1の磁石に吸引されることで前記本体ユニットに装着され、
前記第1の制御部は、前記磁気センサが前記検出用磁石の磁力を検出した際の出力に基づいて、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの着脱と前記パーツユニットの種別とを判定することを特徴とする玩具。
【請求項2】
前記本体ユニットは、更に駆動源と、前記駆動源に接続されるとともに前記第1の磁石が配置された第1の駆動力伝達部とを備え、
前記パーツユニットは、前記吸着用磁石と前記検出用磁石とで構成される前記第2の磁石が配置された第2の駆動力伝達部を備え、
前記第1の磁石と前記吸着用磁石とを介して前記第1の駆動力伝達部から前記第2の駆動力伝達部に非接触で駆動力が伝達されるとともに、
前記第1の制御部は、前記第2の駆動力伝達部の変位に伴って前記磁気センサが間欠的に検出する前記検出用磁石の磁力に基づいて、前記パーツユニットの着脱を判定することを特徴とする請求項1に記載の玩具。
【請求項3】
前記吸着用磁石と前記検出用磁石とで、前記磁気センサと向き合う側の磁極を異ならせたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の玩具。
【請求項4】
前記第1の磁石の少なくとも一部を、前記第1の磁石に代えて強磁性体で構成したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の玩具。
【請求項5】
前記吸着用磁石の少なくとも一部を、前記吸着用磁石に代えて強磁性体で構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の玩具。
【請求項6】
前記磁気センサは複数であって、
前記検出用磁石は前記パーツユニットの種別に応じて互いに異なる個数とされ、
前記第1の制御部は、複数の前記磁気センサで前記検出用磁石の磁力を検出した数に基づいて前記パーツユニットの種別を判定することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の玩具。
【請求項7】
前記磁気センサは単一であって、
前記検出用磁石は前記パーツユニットの種別に応じて異なる磁力に設定され、
前記第1の制御部は、単一の前記磁気センサで前記検出用磁石の磁力の強度を検出した結果に基づいて前記パーツユニットの種別を判定することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の玩具。
【請求項8】
前記本体ユニットは、所定のスイッチ部材を備え、
前記第1の制御部は、前記磁気センサの出力に代えて前記スイッチ部材の出力に基づいて、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの着脱と前記パーツユニットの種別との少なくとも一方を判定することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の玩具。
【請求項9】
前記パーツユニットは、複数の前記検出用磁石を備え、
更に、複数の前記検出用磁石は互いに磁力の強度が異なるようにされ、
前記第1の制御部は、前記磁気センサの出力に基づいて、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの相対的な姿勢を判定することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の玩具。
【請求項10】
前記本体ユニットは、更に第1の加速度センサ及び第1のデータ受信部を備え、
前記パーツユニットは、更に第2の加速度センサ及び第2のデータ送信部を備え、
前記第1の制御部は、前記第1の加速度センサの出力と、前記第2のデータ送信部及び前記第1のデータ受信部を介して取得した前記第2の加速度センサの出力とに基づき、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの相対的な姿勢を判定することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の玩具。
【請求項11】
前記本体ユニットは、音、光、振動の少なくとも一つを出力する第1の出力デバイスを備え、
前記第1の制御部は、前記本体ユニットに前記パーツユニットが装着されたと判定したとき、装着された前記パーツユニットの種別に応じて、前記第1の出力デバイスの出力内容を異ならせることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の玩具。
【請求項12】
前記本体ユニットは、音、光、振動の少なくとも一つを出力する第1の出力デバイスを備え、
前記第1の制御部は、前記本体ユニットに前記パーツユニットが装着されたと判定したとき、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの相対的な姿勢に応じて、前記第1の出力デバイスの出力内容を異ならせることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の玩具。
【請求項13】
前記本体ユニットは、第1のデータ送信部を備え、
前記パーツユニットは、第2の制御部と、第2のデータ受信部と、音、光、振動の少なくとも一つを出力する第2の出力デバイスとを備え、
前記第1の制御部は、前記本体ユニットに前記パーツユニットが装着されたと判定したとき、装着された前記パーツユニットの種別に関する情報を前記第1のデータ送信部を介して送信し、
前記第2の制御部は、前記第2のデータ受信部を介して受信した前記パーツユニットの種別に関する情報に基づいて、前記第2の出力デバイスの出力内容を異ならせることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の玩具。
【請求項14】
前記本体ユニットは、第1のデータ送信部を備え、
前記パーツユニットは、第2の制御部と、第2のデータ受信部と、音、光、振動の少なくとも一つを出力する第2の出力デバイスを備え、
前記第1の制御部は、前記本体ユニットに前記パーツユニットが装着されたと判定したとき、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの相対的な姿勢に関する情報を前記第1のデータ送信部を介して送信し、
前記第2の制御部は、前記第2のデータ受信部を介して受信した前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの相対的な姿勢に関する情報に基づいて、前記第2の出力デバイスの出力内容を異ならせることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具、特に乳幼児や児童の感性や知性を発達させるための知育玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般社団法人日本知育玩具協会によれば、知育玩具とは「長く遊べる良質な玩具であって、遊びを通して自然の法則を学び、生涯必要となる集中力、意欲、社会性、創造力、やり抜く力を身につける、文化的価値のある玩具のことをいう。」とされている。
【0003】
知育玩具を使用する対象者は0~5歳の乳幼児とされることから、知育玩具は、楽しめ、面白く、丈夫で、安全で、心身の成長に役立つものでなければならない。この基準は低学年の児童向けの玩具に対しても遵守されるべき内容となっている。
【0004】
更に知育玩具が、駆動源を内蔵する本体ユニットと、駆動源によって駆動される駆動対象とを備える「動く玩具」である場合、本体ユニットから駆動対象に駆動力を伝達する駆動力伝達機構には、乳幼児や児童が多少乱暴に扱っても損傷することのない構造が求められる。
【0005】
また、2020年度から小学校でのプログラミング教育が必修化された。プログラミング教育ではプログラマーの養成のみならず「プログラミング的思考」、言い換えると「論理的なものの考え方」という基礎的な学力の習得に重きが置かれている。このような状況において、知育玩具にはプログラミング教育に繋がる要素が求められている、と言っても過言ではない。
【0006】
更に、昨今の高齢者社会においては、高齢者の生活を豊かにし、リハビリや介護予防にもつながる、大人が遊んで楽しい玩具が重要視されつつあり、高齢者が知育玩具を利用するケースも考えられるようになっている。
【0007】
さて、空間における形態構成要素となる光透過性の筐体を有し、この筐体の内部には、光源が配置されるとともに、前記筐体自体の動き、あるいは他の物体との相対的位置関係の変化に応じて可動して前記光源からの光による発光色あるいは明るさを変化させる色可変体が設けられている玩具が知られている。(特許文献1)
【0008】
特許文献1によれば、筐体自体の動き、あるいは他の物体との相対的位置関係の変化に応じて色可変体が可動して発光色や明るさが変化するので、利用者に対して視覚を積極的に刺激することができるとされている。また、利用者は、発光式形態構成玩具同士、あるいは発光式形態構成玩具とその他の物体とを組み合わせて空間的に配置する際には、相互の位置関係だけでなく、相互の色の配置関係を考慮しながら色の調整を図る必要が生じるので、空間的配置や順序の思考要素の難易度が高くなるとともに、遊びの楽しみも増すことになり、従来よりも一層、感性及び知性の発達向上を図る上で有効だとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007-29317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された技術によれば、筐体を設置する向きを変えると、各色可変体の各フィルタは、その重みと重力の作用とによって可動して光源を覆う被覆位置から非被覆位置までの範囲を自由に動き、光源からの光の色が様々に変化する。更に特許文献1では、磁力の作用によってフィルタが変位するようにされ、同一形態の玩具(パーツ)を隣接させることで、パーツの発光色を変化させることができる。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、利用者の行為に対する玩具のレスポンスは限定的であって、例えば玩具が複数のパーツを備える場合に、利用者が特定のパーツ同士を組み合させたときや、パーツ同士が相対的に特定の位置関係となるように組み合わせたときに、玩具が利用者に対して適切なコミュニケーションを図ることは困難である。
【0012】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するべく案出されたものであり、利用者が特定のパーツ同士を組み合させたことや、パーツ同士が相対的に特定の位置関係となるように組み合わせたことを検出するとともに、これらを検出したときに利用者に対して適切にコミュニケーションを図ることで利用者の知的好奇心等を育むことが可能な玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するためになされた本発明は、第1の磁石、磁気センサ及び第1の制御部を備える本体ユニットと、複数の第2の磁石が配置され前記本体ユニットに着脱可能に構成された種別の異なる複数のパーツユニットと、を備え、前記第2の磁石は、吸着用磁石と検出用磁石とで構成され、前記パーツユニットは、前記吸着用磁石が前記第1の磁石に吸引されることで前記本体ユニットに装着され、前記第1の制御部は、前記磁気センサが前記検出用磁石の磁力を検出した際の出力に基づいて、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの着脱と前記パーツユニットの種別とを判定する玩具である。
【0014】
これによって、簡易な構成で、利用者が本体ユニットにパーツユニットを装着したこと、及び本体ユニットに装着されたパーツユニットの種別を判定することが可能となる。
【0015】
また、本発明は、前記本体ユニットは、更に駆動源と、前記駆動源に接続されるとともに前記第1の磁石が配置された第1の駆動力伝達部と、を備え、前記パーツユニットは、前記吸着用磁石と前記検出用磁石とで構成される前記第2の磁石が配置された第2の駆動力伝達部を備え、前記第1の磁石と前記吸着用磁石とを介して前記第1の駆動力伝達部から前記第2の駆動力伝達部に非接触で駆動力が伝達されるとともに、前記第1の制御部は、前記第2の駆動力伝達部の変位に伴って前記磁気センサが間欠的に検出する前記検出用磁石の磁力に基づいて、前記パーツユニットの着脱を判定するようにしたものである。
【0016】
これによって、玩具が動作している際に、本体ユニットからパーツユニットが脱落したことを検出することができる。
【0017】
また、本発明は、前記吸着用磁石と前記検出用磁石とで、前記磁気センサと向き合う側の磁極を異ならせたものである。
【0018】
これによって、磁気センサは、吸着用磁石と検出用磁石とで異なる磁極の磁気を検出することとなり、誤検出が防止される。
【0019】
また、本発明は、前記第1の磁石の少なくとも一部を、前記第1の磁石に代えて強磁性体で構成したものである。
【0020】
これによって、強磁性体として鉄板等を用いることで低コスト化に寄与することが可能となる。
【0021】
また、本発明は、前記吸着用磁石の少なくとも一部を、前記吸着用磁石に代えて強磁性体で構成したものである。
【0022】
これによって、強磁性体として鉄板等を用いることで低コスト化に寄与することが可能となる。
【0023】
また、本発明は、前記磁気センサは複数であって、前記検出用磁石は前記パーツユニットの種別に応じて互いに異なる個数とされ、前記第1の制御部は、複数の前記磁気センサで前記検出用磁石の磁力を検出した数に基づいて前記パーツユニットの種別を判定するようにしたものである。
【0024】
これによって、種別の異なるパーツユニットのそれぞれについて、検出用磁石の個数を異ならせるといった簡易な構成で、本体ユニットに装着されたパーツユニットの種別を判定することが可能となる。
【0025】
また、本発明は、前記磁気センサは単一であって、前記検出用磁石は前記パーツユニットの種別に応じて異なる磁力に設定され、前記第1の制御部は、単一の前記磁気センサで前記検出用磁石の磁力の強度を検出した結果に基づいて前記パーツユニットの種別を判定するようにしたものである。
【0026】
これによって、種別の異なるパーツユニットのそれぞれについて、検出用磁石が発生する磁力の強度を異ならせるといった簡易な構成で、本体ユニットに装着されたパーツユニットの種別を判定することが可能となる。
【0027】
また、本発明は、前記本体ユニットは、所定のスイッチ部材を備え、前記第1の制御部は、前記磁気センサの出力に代えて前記スイッチ部材の出力に基づいて、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの着脱と前記パーツユニットの種別との少なくとも一方を判定するようにしたものである。
【0028】
これによって、本体ユニットにパーツユニットを装着した際に、磁気センサと検出用磁石が直接的に向き合う位置関係になくとも、パーツユニットの着脱を判定することが可能となり、更にパーツユニットが装着されたことに応じて、磁気センサと検出用磁石との相対的な位置関係を変化させてパーツユニットの種別を判定することが可能となる。
【0029】
また、本発明は、前記パーツユニットは、複数の前記検出用磁石を備え、更に、複数の前記検出用磁石は互いに磁力の強度が異なるようにされ、前記第1の制御部は、前記磁気センサの出力に基づいて、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの相対的な姿勢を判定するようにしたものである。
【0030】
これによって、種別の異なるパーツユニットのそれぞれについて、複数の検出用磁石が発生する磁力の強度をそれぞれ異ならせるといった簡易な構成で、本体ユニットに装着されたパーツユニットの姿勢を判定することが可能となる。
【0031】
また、本発明は、前記本体ユニットは、更に第1の加速度センサ及び第1のデータ受信部を備え、前記パーツユニットは、更に第2の加速度センサ及び第2のデータ送信部を備え、前記第1の制御部は、前記第1の加速度センサの出力と、前記第2のデータ送信部及び前記第1のデータ受信部を介して取得した前記第2の加速度センサの出力とに基づき、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの相対的な姿勢を判定するようにしたものである。
【0032】
これによって、本体ユニットに装着されたパーツユニットの姿勢を詳細に判定することが可能となる。
【0033】
また、本発明は、前記本体ユニットは、音、光、振動の少なくとも一つを出力する第1の出力デバイスを備え、前記第1の制御部は、前記本体ユニットに前記パーツユニットが装着されたと判定したとき、装着された前記パーツユニットの種別に応じて、前記第1の出力デバイスの出力内容を異ならせるようにしたものである。
【0034】
これによって、玩具(本体ユニット)と利用者との間でコミュニケーションが図られ、利用者の知的好奇心等を喚起させることが可能となる。
【0035】
また、本発明は、前記本体ユニットは、音、光、振動の少なくとも一つを出力する第1の出力デバイスを備え、前記第1の制御部は、前記本体ユニットに前記パーツユニットが装着されたと判定したとき、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの相対的な姿勢に応じて、前記第1の出力デバイスの出力内容を異ならせるようにしたものである。
【0036】
これによって、玩具(本体ユニット)と利用者との間でコミュニケーションが図られ、利用者の知的好奇心等を喚起させることが可能となる。
【0037】
また、本発明は、前記本体ユニットは、第1のデータ送信部を備え、前記パーツユニットは、第2の制御部と、第2のデータ受信部と、音、光、振動の少なくとも一つを出力する第2の出力デバイスとを備え、前記第1の制御部は、前記本体ユニットに前記パーツユニットが装着されたと判定したとき、装着された前記パーツユニットの種別に関する情報を前記第1のデータ送信部を介して送信し、前記第2の制御部は、前記第2のデータ受信部を介して受信した前記パーツユニットの種別に関する情報に基づいて、前記第2の出力デバイスの出力内容を異ならせるようにしたものである。
【0038】
これによって、玩具(パーツユニット)と利用者との間でコミュニケーションが図られ、利用者の知的好奇心等を喚起させることが可能となる。
【0039】
また、本発明は、前記本体ユニットは、第1のデータ送信部を備え、前記パーツユニットは、第2の制御部と、第2のデータ受信部と、音、光、振動の少なくとも一つを出力する第2の出力デバイスを備え、前記第1の制御部は、前記本体ユニットに前記パーツユニットが装着されたと判定したとき、前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの相対的な姿勢に関する情報を前記第1のデータ送信部を介して送信し、前記第2の制御部は、前記第2のデータ受信部を介して受信した前記本体ユニットに対する前記パーツユニットの相対的な姿勢に関する情報に基づいて、前記第2の出力デバイスの出力内容を異ならせるようにしたものである。
【0040】
これによって、玩具(パーツユニット)と利用者との間でコミュニケーションが図られ、利用者の知的好奇心等を喚起させることが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
このように本発明によれば、利用者が特定のパーツ同士を組み合させたことや、パーツ同士が相対的に特定の位置関係となるように組み合わせたことを検出するとともに、これらを検出したときに利用者に対して適切にコミュニケーションを図ることで利用者の知的好奇心等を育むことが可能な玩具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の第1実施形態に係る玩具TOY1の全体構成を示す斜視図
図2】玩具TOY1の本体ユニット1と、本体ユニット1に装着されるパーツユニット20としての脚部2及び車輪3を示す説明図
図3】(a),(b)は、玩具TOY1の動作状態を説明する側面図
図4】(a)は、脚部2が本体ユニット1に装着された状態を示す断面図、同(b)は、車輪3が本体ユニット1に装着された状態を示す断面図
図5】(a)は、脚部2の分解図、同(b)は、同(a)に示す第2の駆動力伝達部2cの表裏を反転させた説明図
図6】(a)は、第2の駆動力伝達部2cを同(b)に示す状態から方向D1に回動させた際の、脚部2の状態を示す説明図、同(b)は、第2の駆動力伝達部2cを同(a)に示す状態から方向D2に回動させた際の、脚部2の状態を示す説明図
図7】(a)は、車輪3の分解図、同(b)は、同(a)に示す第3の駆動力伝達部3cの表裏を反転させた説明図
図8】(a),(b)は、本発明の第1実施形態に係る駆動力伝達機構の周辺構成を説明する説明図
図9】本体ユニット1に対するパーツユニット20の装着態様を判定するフローチャート
図10】玩具TOY1のハードウェア構成を示すブロック図
図11】本体ユニット1とパーツユニット20との間における通信内容を説明する説明図
図12】第1実施形態の変形例における本体ユニット1に対するパーツユニット20の装着態様を判定するフローチャート
図13】(a),(b)は、本発明の第2実施形態に係る駆動力伝達機構の周辺構成を説明する説明図
図14】(a),(b)は、本発明の第3実施形態に係る駆動力伝達機構の周辺構成を説明する説明図
図15】(a),(b)は、本発明の第4実施形態に係る駆動力伝達機構の周辺構成を説明する説明図
図16】(a),(b)は、本発明の第5実施形態に係る駆動力伝達機構の周辺構成を説明する説明図
図17】(a)は、パーツユニット20としての脚部2に施された脚マーカ2qを説明する説明図、同(b)は、パーツユニット20としての車輪3に施された車輪マーカ3qを説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0043】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る玩具TOY1の全体構成を示す斜視図である。
【0044】
玩具TOY1は、乳幼児や低年齢の児童(以下、「利用者」と称することがある。)がこれを用いて遊ぶことが想定された知育玩具である。詳細には玩具TOY1は、利用者が組み立てて遊ぶ「積み木」の一種であり、素材として主に木材を用いた、いわゆる木育玩具である。具体的には、本体ユニット1(特に本体ユニット1の外装としての筐体1p(図4参照))、脚部2、車輪3、従動後輪4は主に木材で構成されている。
【0045】
ここで木育玩具とは、日本デザイン学会研究発表大会概要集66(0),40,2019によれば、「素材に木を使い子どもの知育や成長を促す効果のある玩具」と定義され、心理面や環境意識に関する効果が認められると記述されている。また、保育関連のインターネットサイト(ほいくらいふ:木育って知ってる?木を保育に活かして子どもの豊かな心を育てよう!(https://hoiku-me.com/activities/environment/10021/))には、木育によって心身を健やかに保ち、思いやり・優しさが育つ効果、感性や社会性を高め環境に対する認識を高める効果、遊び・体験・学習等を通じて想像力・創造性が養われる等の効果が紹介されている。
【0046】
更に、玩具TOY1は、電動する駆動源1c(図4参照)を内蔵し、この駆動源1cが発生する駆動力によって床面を移動する「動くおもちゃ」でもある。図1に示すように、玩具TOY1は、本体ユニット1と、本体ユニット1の前方左右に装着されたパーツユニット20としての左脚部2L,右脚部2Rと、本体ユニット1の後方左右に装着された補助ユニットとしての従動後輪4とで構成される。なお、図1では本体ユニット1に脚部2が装着された状態を図示しているが、後述するように本体ユニット1には脚部2に替えて車輪3(右車輪3Rと左車輪3Lとで構成される。共に図示せず。)が装着可能とされている。
【0047】
なお、以降の説明において、原則として玩具TOY1が移動する(進行する)方向を前、その逆方向を後、進行方向右手を右、その逆方向を左、仮に人が玩具TOY1に搭乗したとするとき、頭の方向を上、その逆方向を下と称する。また、右脚部2Rと左脚部2Lとを区別しないときは脚部2と称し、同様に右車輪3Rと左車輪3Lとを区別しないときは車輪3と称する。
【0048】
図2は、玩具TOY1の本体ユニット1と、本体ユニット1に装着されるパーツユニット20としての脚部2及び車輪3を示す説明図である。本体ユニット1の前方左側面には円柱形状のパーツ支持部1aLが設けられている。そしてパーツ支持部1aLに対応して、左脚部2L(詳細には、第2の駆動力伝達部2c(後述する))には脚凹部2aが、左車輪3L(詳細には、第3の駆動力伝達部3c(後述する))には車輪凹部3aが設けられている。もちろん、本体ユニット1側のパーツ支持部1aLを凹部とし、パーツユニット20側に凸部を設ける構成としても構わない。
【0049】
脚凹部2aとパーツ支持部1aLとが緩く嵌合することで、左脚部2Lが本体ユニット1に装着される。パーツ支持部1aLの直径(外径)は脚凹部2aの直径(内径)よりも0.1~0.2mm程度小さく構成されている。即ち、左脚部2Lはパーツ支持部1aLにスラスト方向に着脱可能で、更に左脚部2Lがパーツ支持部1aLに装着された状態において、左脚部2Lはラジアル方向に位置(変位)が規制され、かつパーツ支持部1aLの周方向に回動自在に支持される。
【0050】
同様に、車輪凹部3aとパーツ支持部1aLとが緩く嵌合することで、左車輪3Lが本体ユニット1に装着される。パーツ支持部1aLの直径(外径)は車輪凹部3aの直径(内径)よりも小さく構成されており、左脚部2Lと同様に、左車輪3Lはパーツ支持部1aLに、スラスト方向に着脱可能で、ラジアル方向に位置(変位)が規制され、かつパーツ支持部1aLの周方向に回動自在な状態で支持される。
【0051】
即ち、第1実施形態においては、パーツユニット20としての脚部2及び車輪3が駆動対象である。なお、本体ユニット1のパーツ支持部1aLの先端部はR面取り(C面取りでもよい)が施されている。面取りを施すことによって、互いに接触するパーツ支持部1aLの先端面と脚凹部2a及び車輪凹部3aの底面との間の接触面積を小さくすることで、摺動抵抗が小さくされている。もちろん、パーツ支持部1aLの先端面、脚凹部2aの底面あるいは車輪凹部3aの底面に、フッ素樹脂等をコーティングしたシート等を貼付することで、更に摺動抵抗を低減してもよい。
【0052】
右脚部2R、右車輪3Rについても左脚部2L、左車輪3Lと同様に本体ユニット1の右側面に支持される。このように、本体ユニット1には、脚部2または車輪3のいずれかが選択的に装着される。なお、利用者が玩具TOY1で遊ぶ際、通常は本体ユニット1の左右に設けられたパーツ支持部1aLのいずれについても脚部2を装着する、あるいは車輪3を装着するものと考えられるが、パーツ支持部1aLの一方(例えば右側面)に脚部2を装着し、他方(例えば左側面)に車輪3を装着することも許容されている。
【0053】
図3(a),(b)は、玩具TOY1の動作状態を説明する側面図である。図3(a)は本体ユニット1に脚部2が装着された場合、図3(b)は本体ユニット1に車輪3が装着された場合の動作状態を示している。
【0054】
まず、本体ユニット1に脚部2が装着された場合の動作について説明する。左脚部2Lは、側面視で略円弧状に形成された脚底部2tの外周の中央が最下方に位置する基準位置P0から方向Dfに角度θだけ回動して前方位置P1に到達する。前方位置P1に到達した左脚部2Lは、その後方向Drに回動を開始し、基準位置P0を通過して更に基準位置P0から角度θだけ回動して後方位置P2に到達する。なお、角度θについては、後述する駆動源1c(図4等を参照)の制御パラメータを適宜設定することで調整可能であり、脚部2が回動する方向Dfと方向Drとに応じて個別に設定してもよく、方向Drについては脚部2が後方に振れ過ぎて車輪3と干渉しない限り任意に定めることができる。
【0055】
ここで、上述した左脚部2Lの回動に対応して、右脚部2R(図示せず)は、左脚部2Lが前方位置P1にあるときは後方位置P2に位置し、逆に左脚部2Lが後方位置P2にあるときは前方位置P1に位置するように、その回動方向と位置とが制御される。このように左脚部2Lと右脚部2Rとは、それぞれが互い違いに前後方向に振れる「振子様の動作」を行う。ここで、角度θは、玩具TOY1を方向Dpに移動(正確には、左右の脚部2は交互に推進力を生むため、ジグザク様に移動)させる観点で、左脚部2Lと右脚部2Rとで同一に設定されているが、それぞれについて角度θを異ならせてもよい。左脚部2Lと右脚部2Rとで角度θを変えることで、玩具TOY1は床面に対して略円弧を描いて移動する。
【0056】
次に、本体ユニット1に車輪3が装着された場合の動作について説明する。駆動源1cを制御して車輪3を方向Dxに回転させることで玩具TOY1は方向Dpに移動(前進)する。もちろん駆動源1cの駆動パラメータを調整することで、逆方向に移動(後進)させることや、右車輪3Rと左車輪3Lとで回転速度を異ならせることも可能である。
【0057】
ここで、従動後輪4は、脚部2または車輪3とともに本体ユニット1を中空に支持するものの、駆動力が付与されておらず、脚部2が振子様の動作をして(あるいは車輪3が方向Dxに回転して)本体ユニット1が方向Dpに移動するのに伴って、方向Dxに回転(連れ回り)する。即ち、従動後輪4は駆動されずに、移動に関しては補助ユニットとして機能する。なお、従動後輪4は本体ユニット1に対して着脱可能とされてもよく、常に装着された構成としてもよい。
【0058】
図4(a)は、脚部2が本体ユニット1に装着された状態を示す断面図、同(b)は、車輪3が本体ユニット1に装着された状態を示す断面図である。なお図4(a)は脚部2が本体ユニット1に装着された際の図1に示すA-A断面、図(b)は、同様に車輪3が本体ユニット1に装着されたとしたときのA-A断面の概略を示している。
【0059】
図4(a),(b)に示すように、本体ユニット1の筐体1p内には、駆動源1cと、駆動源1cの駆動軸と接続された略円板形状を成す第1の駆動力伝達部1d(駆動円板)と、第1の駆動力伝達部1dに配置された複数の第1の磁石1bと、反射型フォトセンサ等で構成されて第1の駆動力伝達部1dの周方向における位置を検出する駆動円板位置検出部1eと、ホール素子等で構成されパーツユニット20(脚部2及び車輪3)の着脱及び種別を検出する第1の磁気センサ1s及び第2の磁気センサ1t(以降、第1の磁気センサ1sと第2の磁気センサ1tとを区別しないときは、単に磁気センサ1stと称することがある。)と、メカニカルスイッチや反射型フォトセンサ等で構成されたパーツ装着検出部1fとが設けられている。
【0060】
なお、図4(a),(b)では、左脚部2L、左車輪3Lの周辺機構を示しているが、右脚部2R、右車輪3R及びその周辺機構については、図4に対して左右対称に現れる。即ち、駆動源1c、第1の駆動力伝達部1d等は左右一対設けられている(図10参照)。
【0061】
ここで駆動源1cとしては例えばDCサーボモータが好適に用いられるが、ステッピングモータ等を用いてもよく、更にギヤードモータとしてもよい。駆動源1cを駆動することで、第1の磁石1bを搭載した第1の駆動力伝達部1dが回動する。ここで第1の駆動力伝達部1dと筐体1pの内面(内壁)との間には隙間が設けられ、第1の駆動力伝達部1dが回動する際に筐体1pと摺動しないようにされている。
【0062】
略円板形状を成す第1の駆動力伝達部1dの外周近傍には、周方向に複数(ここでは2個)の第1の磁石1bが配置されている。第1の磁石1bとしては例えばネオジム磁石を好適に用いることができ、アルニコ磁石、サマリウムコバルト磁石等を用いてもよい(磁石の種類に関しては、後述する第2の磁石2b、第3の磁石3bも同様)。第1の駆動力伝達部1dには図示しない基準マーカが施されており、当該基準マーカを、駆動円板位置検出部1eで検出することで第1の駆動力伝達部1dのホームポジションが検出される。
【0063】
図示しない起動スイッチ等が操作されて本体ユニット1に電源が投入されると、第1の制御部1n(図10参照)は駆動源1cを制御し、必要に応じて第1の駆動力伝達部1dを回動させてホームポジション(左右の脚部2を本体ユニット1に装着すると、左右両方の脚部2(正確には、外周方向における脚底部2tの中央)が上述した基準位置P0となる位置(図3を参照))に復帰させる。
【0064】
第1の駆動力伝達部1dがホームポジションに復帰することで、複数の第1の磁石1bの周方向における位置も一意に決定される。なお、少なくとも本体ユニット1にパーツユニット20が装着される前の段階においては、第1の制御部1nは、第1の駆動力伝達部1dがホームポジションを維持するように、駆動源1cを制御するのが望ましい。
【0065】
ここで、第1の磁石1bとともに回動する第1の駆動力伝達部1dは、本体ユニット1の筐体1pによって全方位を囲まれ、外部に露出しておらず、利用者は回動する第1の駆動力伝達部1dに触れることができない。これによって利用者の安全が確保される。また、このような構成を備えることで、利用者が多少乱暴に扱っても、本体ユニット1に脚部2を装着する際、あるいは脚部2を取り外す(誤って脱落させたような場合も含む)際に、駆動源1cを搭載した本体ユニット1、駆動対象である脚部2や車輪3、及び第1の駆動力伝達部1dや第2の駆動力伝達部2c等で構成される駆動力伝達機構が損傷するようなことはない。
【0066】
図4(a)に示すように、脚部2は、従動体としての第2の駆動力伝達部2cと、第2の駆動力伝達部2cに搭載された複数の第2の磁石2bとを含んでいる。本体ユニット1の第1の磁石1bと脚部2の第2の磁石2bとが、少なくとも本体ユニット1の筐体1pを挟んで対向する状態で、脚部2が本体ユニット1に装着される。
【0067】
そして駆動源1cを駆動すると、その駆動力は、筐体1pを挟んで非接触の状態で対向する本体ユニット1の第1の駆動力伝達部1dと脚部2の第2の駆動力伝達部2cとの間で伝達され、いわゆる外周駆動によって脚部2は上述した「振子様の動作」を行う。
【0068】
図4(b)に示すように、車輪3は、従動体としての第3の駆動力伝達部3cと、第3の駆動力伝達部3cに搭載された複数の第3の磁石3bとを含んでいる。本体ユニット1の第1の磁石1bと車輪3の第3の磁石3bとが、少なくとも本体ユニット1の筐体1pを挟んで対向する状態で、車輪3が本体ユニット1に装着される。
【0069】
車輪3は、第3の駆動力伝達部3cと車輪本体3dとが第3の磁石3bを挟んで固定されており、パーツ支持部1aLに支持された第3の駆動力伝達部3cが回動すると、車輪本体3dも回動する。従って駆動源1cに接続された第1の駆動力伝達部1dが回動すると、その駆動力は磁石を介して前輪を方向Dx(図3参照)に回動させる。従動後輪4については上述したように、本体ユニット1が方向Dp(図3参照)に前進するのに伴って連れ回りする。
【0070】
このように構成された玩具TOY1では、パーツユニット20としての脚部2及び車輪3は磁力によって本体ユニット1に対して着脱可能に保持される。更に本体ユニット1に設けられた第1の磁石1b、脚部2に設けられた第2の磁石2b、車輪3に設けられた第3の磁石3bの磁力を適宜調整することで、脚部2あるいは車輪3に、これらを本体ユニット1から引き離す方向に所定の荷重が加わったとき、脚部2や車輪3を本体ユニット1から脱落させることが可能である。なお、装着に磁力を用いる観点において、本発明で用いられる磁石(特に第1の磁石1b)は、永久磁石のみならず電磁石を採用することも可能である。
【0071】
このような構成を採用することで、利用者は、パーツユニット20が本体ユニット1から駆動力を伝達されているか否かにかかわらず、パーツユニット20を本体ユニット1から脱落させる(取り外す)ことができる。これによって、例えば利用者がパーツユニット20を把持して持ち上げたようなケースやパーツユニット20の回動を妨げたようなケース、即ち第1の磁石1bと第2の磁石2b(あるいは第3の磁石3b)とが互いに保持できない負荷が加わった状況において、パーツユニット20は本体ユニット1から容易に脱落し、パーツユニット20に駆動力が伝達し続けて利用者が怪我をするような事態を確実に回避できる。
【0072】
図5(a)は、脚部2の分解図、同(b)は、同(a)に示す第2の駆動力伝達部2cの表裏を反転させた説明図である。以下、図5(a),(b)を用いて脚部2の構成を詳細に説明する。パーツユニット20としての脚部2は、第2の駆動力伝達部2cと、複数の第2の磁石2bと、脚部本体2dと、リンク部材2iと、脚部蓋体2eとで構成される。なお、第1実施形態ではこれらの構成要素を木製としているが、一部をプラスティックやアルミニウム等常磁性体の金属で構成してもよい。
【0073】
第2の駆動力伝達部2c(従動体)は、その表面中央部に脚凹部2aが設けられ、その裏面の外周に従動体突出部2gが設けられた略円板形状の部材である。そして脚凹部2aが設けられた面には、従動体突出部2gと対向する部位に金属製の第1シャフト2kが設けられている。更に従動体突出部2gが設けられた面の外周には第1の磁石ホルダ2sが周方向に90°,90°,180°の間隔で3つ設けられている。第1の磁石ホルダ2sには第2の磁石2bが固定されている。第2の磁石2bは接着剤を用いても固定してもよく、第1の磁石ホルダ2sの内径と第2の磁石2bの外径とが実質的に同寸となるように調整して、第2の磁石2bを第1の磁石ホルダ2sに押し込んで保持してもよい。
【0074】
ここで第2の磁石2bのうち二つは脚部吸着用磁石2bvを構成し、一つは脚部検出用磁石2bdを構成する。第2の駆動力伝達部2cの中心部には金属製の第2シャフト2jが脚部本体2dの方向に突出するように設けられている。脚部吸着用磁石2bvは、第2の駆動力伝達部2cの外周に沿って互いに180゜離間する位置に設けられ、二つの脚部吸着用磁石2bvを結ぶ線分上に第2シャフト2jが位置する位置関係(即ち、第2の駆動力伝達部2cの直径方向において対称)とされている。また脚部検出用磁石2bdは、第2の駆動力伝達部2cの外周において二つの脚部吸着用磁石2bvと90°離間する位置に設けられている。なお、後述するように第2の磁石2bの個数は3個に限定されるものではない。
【0075】
脚部本体2dには、厚み方向(軸Ax1が延伸する方向)に凹形状とされた変位機構収納部2pが設けられ、変位機構収納部2pの一部は突出部収納部2hとリンク収納部2wとを構成している。変位機構収納部2pのうち突出部収納部2h及びリンク収納部2w以外の部分は略円形状に第1の平坦凹部2uが形成され、更に第1の平坦凹部2uに形成された凹部の略中心には、脚部本体2dの回動半径方向(図(5)では上下方向に相当)にガイド溝2fが延伸されている。変位機構収納部2pには、第1の平坦凹部2uと第2の磁石2bの露出面とが向き合うように第2の駆動力伝達部2cが収納され、更に第2の駆動力伝達部2cの一部をなす従動体突出部2gが突出部収納部2hに収納される。
【0076】
ここで第2の駆動力伝達部2cの中心部に設けられた第2シャフト2jは、軸Ax1として示すようにガイド溝2fに収納される。第2シャフト2jがガイド溝2fに収納されることで、第2の駆動力伝達部2cには、変位機構収納部2pの内部において、第1の平坦凹部2uに沿ってガイド溝2fが延伸する範囲での上下移動(回動半径方向への移動)、及び回動が許容されている(ただし後述するように、第2の駆動力伝達部2cが回動する角度は規制される)。
【0077】
リンク収納部2wは、変位機構収納部2pのうち第2の駆動力伝達部2cが収納される領域(第1の平坦凹部2u)から更に脚底部2tの方向に延伸して形成された凹部領域であって、リンク部材2iが変位する空間を備えている。更にリンク収納部2wのうち最も脚底部2tに近い領域には金属製の第3シャフト2mが突出するように設けられている。
【0078】
第2の磁石2bを配した第2の駆動力伝達部2cが変位機構収納部2pに収納された状態で、第1シャフト2kがリンク部材2iの長手方向の一端に設けられた第1連結孔2i1に挿入され、第3シャフト2mがリンク部材2iの他端に設けられた第2連結孔2i2に挿入される。ここで、リンク機構の観点において、リンク部材2iのうち第1連結孔2i1が設けられた端部は自由端として、他方、第2連結孔2i2が設けられた端部は固定端として機能する。
【0079】
本体ユニット1に設けられた第1の駆動力伝達部1d(図4(a)参照)を回動させると、第1の磁石1bと第2の磁石2b(脚部吸着用磁石2bv)とを介して駆動力が伝達され、第2の駆動力伝達部2cが第2シャフト2jを中心として回動する。そして、第2の駆動力伝達部2cが回動すると、リンク部材2iによって連結された脚部本体2dが回動する。
【0080】
脚部蓋体2eは、脚部本体2dに第2の駆動力伝達部2c、リンク部材2i等が収納された状態で脚部本体2dに取り付けられる。脚部蓋体2eが脚部本体2dに取り付けられることで、第2の駆動力伝達部2cの外周部及びリンク部材2iのうち第2連結孔2i2が設けられた側は脚部蓋体2eで覆われ、これらの構成要素が変位機構収納部2pから脱落しないように保持される。
【0081】
なお図示するように、第2の駆動力伝達部2cの外周部分において、第1シャフト2kの周囲にはリンク部材2iの第1連結孔2i1の側を収納する空間が構成され、またリンク収納部2wの第3シャフト2mの周囲にもリンク部材2iの第2連結孔2i2の側を収納する空間が構成されている。リンク部材2iの両端部はこれらの空間(リンク部材2iの変位を規制する空間)に収納される。リンク部材2iの両端部がこれらの空間から脱落しない限りにおいて、脚部本体2dと第2の駆動力伝達部2cの外周とが、リンク部材2iによって連結されていることに変わりはない。
【0082】
即ち、リンク機構が適切に作用するとの観点において、リンク部材2iの支持軸としての第1シャフト2k及び第3シャフト2mは必須の構成要素ではない。また、同様にリンク部材2iに設けられた第1連結孔2i1及び第2連結孔2i2も必須の構成要素ではない。このように金属製のシャフトを構成要素から除外することで、安全性を更に高めることが可能となる。
【0083】
図6(a)は、第2の駆動力伝達部2cを同(b)に示す状態から方向D1に回動させた際の、脚部2の状態を示す説明図、同(b)は、第2の駆動力伝達部2cを同(a)に示す状態から方向D2に回動させた際の、脚部2の状態を示す説明図である。なお、図6においては、説明を容易にするため、脚部2から脚部蓋体2e(図5(a)参照)が除去された状態を示している。以下、図5を併用して説明を続ける。
【0084】
図6(a),(b)に示すように、第2の駆動力伝達部2cを図6(b)に示す状態から方向D1に回動させると、リンク部材2iは第2の駆動力伝達部2cの回動に伴って第3シャフト2m(第2連結孔2i2)を固定端として反時計回りに回動する。しかしながらリンク部材2iは、リンク収納部2wの前方の外縁である第1壁部2n1に当接すると、それ以上回動することができない(図6(a)の状態)。
【0085】
即ち、第1壁部2n1は、第2の駆動力伝達部2cを方向D1に回動させたときのリンク部材2iの回動変位を規制する。なおこのとき、従動体突出部2gの回動変位が同様に規制されてもよい。この状態で更に第2の駆動力伝達部2cを方向D1に回動させると、第2の駆動力伝達部2cの駆動力はリンク部材2i(及び従動体突出部2g)を介して脚部本体2dに伝達され、脚部本体2dが第2シャフト2jを中心として方向Dfに回動する(以降、この動作を「脚部2が前方に振れる(振れた)」と称することがある。)。
【0086】
このとき、第2の駆動力伝達部2cの外周とリンク部材2iとを連結する第1シャフト2kの位置(自由端)は、第2の駆動力伝達部2cの回動中心に設けられた第2シャフト2jとリンク収納部2wの脚底部2t側に設けられた第3シャフト2m(固定端)とを結ぶ線分L0から外れ、前方に位置している。即ち、第2の駆動力伝達部2cの回動中心である第2シャフト2jの位置と、第2の駆動力伝達部2cの外周に位置する第1シャフト2kの位置と、脚底部2tの近傍に設けられた第3シャフト2mの位置とを、この順序で結ぶと、略「く」の字形状となる。このとき図6(a)に示すように、変位機構収納部2pの上方(脚頂部2vの側)には、第2の駆動力伝達部2cとの間で空隙が生じている。
【0087】
一方、第2の駆動力伝達部2cを図6(a)に示す状態から方向D2に回動させると、リンク部材2iは第2の駆動力伝達部2cの回動に伴って第3シャフト2m(第2連結孔2i2)を固定端として時計回りに回動する。しかしながらリンク部材2iは、リンク収納部2wの後方の外縁である第2壁部2n2に当接すると、それ以上回動することができない(図6(b)の状態)。
【0088】
即ち、第2壁部2n2は、第2の駆動力伝達部2cを方向D2に回動させたときのリンク部材2iの回動変位を規制する。なおこのとき、従動体突出部2gの回動変位が同様に規制されてもよい。この状態で更に第2の駆動力伝達部2cを方向D2に回動させると、第2の駆動力伝達部2cの駆動力はリンク部材2i(及び従動体突出部2g)を介して脚部本体2dに伝達され、脚部本体2dが第2シャフト2jを中心として方向Drに回動する(以降、この動作を「脚部2が後方に振れる(振れた)」と称することがある。)。
【0089】
このとき、第1シャフト2k(自由端)は、第2シャフト2jの位置と第3シャフト2mの位置(固定端)とを結ぶ線分L0の上に位置する。即ち、第2の駆動力伝達部2cの回動中心である第2シャフト2jの位置と、第2の駆動力伝達部2cの外周に設けられた第1シャフト2kの位置と、脚底部2tの近傍に設けられた第3シャフト2mの位置とを、この順序で結ぶと略直線状となる。このとき図6(b)に示すように、変位機構収納部2pの下方(脚底部2tの側)には、第2の駆動力伝達部2cとの間で空隙が生じている。
【0090】
図6(a)と図6(b)とを比較すると、図6(a)に示すように脚部2が前方に振れる過程では、第2の駆動力伝達部2cは脚部本体2dに対して相対的に下方(脚底部2t側)に変位し、図6(b)に示すように脚部2が後方に振れる過程では、第2の駆動力伝達部2cは脚部本体2dに対して相対的に上方(脚頂部2v側)に変位することが分かる。なお、この相対的な変位(脚部2の回動半径方向の変位)は、第2の駆動力伝達部2cの第2シャフト2jが脚部本体2dに設けられたガイド溝2fに案内されることで実現される。
【0091】
さて、脚部2が本体ユニット1に装着されたとき、第2の駆動力伝達部2cの脚凹部2aはパーツ支持部1aLによって支持されている。即ち、第2の駆動力伝達部2cはパーツ支持部1aLによってラジアル方向の変位が制限され(図4(a)参照)、第2の駆動力伝達部2cの中央に配置された第2シャフト2jも上下方向の変位が制限される。従って、脚部2が振子様の動作をするとき、基準位置P0(図3参照)においては、図6(b)に示す脚部2が後方に振れたときの回動半径R(第2シャフト2jを中心とする回動半径)=Rrは、図6(a)に示す脚部2が前方に振れたときの回動半径R(Rf)より大きくなる。
【0092】
これを言い換えると、脚部2が前方に振れる際は(図6(a))、脚部本体2d内部で回動する第2の駆動力伝達部2cの外周と脚部本体2dとを連結するリンク部材2iが、第2の駆動力伝達部2cの回動に伴って脚部本体2dの長手方向と非平行となることで、第2の駆動力伝達部2cと脚底部2tとの距離が短くなり、第2の駆動力伝達部2cの中心に設けられた第2シャフト2jを回動軸とする脚部2の回動半径Rが小さくなる。
【0093】
他方、脚部2が後方に振れる際は(図6(b))、リンク部材2iが、脚部本体2dの長手方向と略平行となることで、第2の駆動力伝達部2cと脚底部2tとの距離が長くなり、第2シャフト2jを回動軸とする脚部2の回動半径Rが大きくなる。
【0094】
上述した動作によって、脚部2が前方に振れるときは、回動半径Rが小さくなって(Rf)脚底部2tは床面に接さず、逆に脚部2が後方に振れるときは、その回動半径Rが大きくなって(Rr)脚底部2tが床面に接する。即ち、脚部2が前方から後方に振れるときのみ脚底部2tが床面に接し推進力が生じる。これによって玩具TOY1が方向Dp(図3参照)に移動する。この推進力は右脚部2Rと左脚部2Lとのそれぞれで交互に発生する。これによって、脚部2を前後に振る「振子様の動作」を行うことによって、推進力を得ることが可能となる。
【0095】
以降、図3(a)を併用して説明を続ける。図3(a)に示すように、本体ユニット1の重心G0は、前後方向における本体ユニット1の中心Cenよりも、後方(従動後輪4の回動中心(支持軸)に近い側)となるようにされている。即ち、玩具TOY1は、パーツユニット20としての脚部2とともに本体ユニット1を中空に支持する補助ユニットとしての従動後輪4を備え、本体ユニット1の重心G0を、パーツユニット20(脚部2)と補助ユニット(従動後輪4)との間で、かつパーツユニット20よりも補助ユニットの支持軸に近い位置としている。
【0096】
さて、振子様の運動においては、例えば右脚部2Rが前方に振れた状態から方向Drに回動して基準位置P0に達したとき、反対の左脚部2Lは後方に振れた状態から方向Dfに回動して同様に基準位置P0に到達するように制御される。上述したように、このとき右脚部2Rの回動半径R(Rr)は、左脚部2Lの回動半径R(Rf)よりも大きくなっており、右脚部2Rの脚底部2tのみが床面に接する。そして、このとき左右の従動後輪4(図1参照)はいずれも床面に接して、いわゆる三点支持の状態となることで、玩具TOY1は前進するための推進力を得ることができる。このことは、振子様の運動において、左脚部2Lの脚底部2tが床面に接する際についても同様である。
【0097】
ここで、仮に本体ユニット1の重心G0が従動後輪4よりも脚部2に近い側に設けられているとすると、左右の脚部2が基準位置P0ですれ違うとき本体ユニット1の前部が左右いずれかに傾斜し、左右の脚底部2tが共に床面に接するとともに、左右の車輪3のいずれかが床面から浮く(離間する)状態となることがある。このときは右脚部2Rと左脚部2Lとで逆方向の推進力が発生し、玩具TOY1は前進することができなくなる。これを回避するため、本体ユニット1の重心G0は脚部2よりも車輪3に近い位置とされている。
【0098】
図7(a)は、車輪3の分解図、同(b)は、同(a)に示す第3の駆動力伝達部3cの表裏を反転させた説明図である。以下、図7(a),(b)を用いて車輪3の構成を詳細に説明する。パーツユニット20としての車輪3は、第3の駆動力伝達部3cと、複数の第3の磁石3bと、車輪本体3dと、車輪蓋体3eとで構成される。なお、第1実施形態ではこれらの構成要素を木製としているが、一部をプラスティックややアルミニウム等常磁性体の金属で構成してもよい。
【0099】
第3の駆動力伝達部3c(従動体)は、その表面中央部に車輪凹部3aが設けられた略円板形状の部材である。そして車輪凹部3aが設けられた面と逆の面の外周には第2の磁石ホルダ3sが周方向に90°間隔で4つ設けられている。第2の磁石ホルダ3sには第3の磁石3bが固定されている。なお、固定方法は脚部2と同様である。
【0100】
ここで第3の磁石3bのうち二つは車輪吸着用磁石3bvを構成し、他の二つは車輪検出用磁石3bdを構成する。略円板形状の第3の駆動力伝達部3cの中心部には木製の第4シャフト3jが車輪本体3dの方向に突出するように設けられている。車輪吸着用磁石3bvは、第3の駆動力伝達部3cの外周に互いに180゜離間する位置に設けられ、二つの車輪吸着用磁石3bvを結ぶ線分上に第4シャフト3jが位置する位置関係(即ち、第3の駆動力伝達部3cの直径方向において対称)とされている。
【0101】
また車輪検出用磁石3bdは、第3の駆動力伝達部3cの外周において二つの車輪吸着用磁石3bvと90°離間する位置に設けられ、二つの車輪吸着用磁石3bvを結ぶ線分上に第4シャフト3jが位置する位置関係とされている。なお、後述するように第3の磁石3bの個数は4個に限定されるものではない。
【0102】
車輪本体3dには、厚み方向(軸Ax2が延伸する方向)に凹形状とされた従動体収納部3pが設けられている。従動体収納部3pには第2の平坦凹部3uが形成され、更に第2の平坦凹部3uの中央には固定凹部3fが形成されている。第4シャフト3jが固定凹部3fに挿入・固定されることで、第2の平坦凹部3uと第3の磁石3bの露出面とが向き合うように第3の駆動力伝達部3cが収納される。
【0103】
本体ユニット1に設けられた第1の駆動力伝達部1d(図4(b)参照)を回動させると、第1の磁石1bと第3の磁石3b(車輪吸着用磁石3bv)とを介して駆動力が伝達され、第3の駆動力伝達部3cがパーツ支持部1aL(図2参照)に支持された状態で回動する。
【0104】
車輪蓋体3eは、車輪本体3dに第3の駆動力伝達部3cと第3の磁石3bとが収納された状態で車輪本体3dに取り付けられる。車輪蓋体3eが車輪本体3dに取り付けられることで、第3の駆動力伝達部3cの外周部は車輪蓋体3eで覆われ、第3の駆動力伝達部3cが従動体収納部3pから脱落しないように保持される。
【0105】
図8は、本発明の第1実施形態に係る駆動力伝達機構の周辺構成を説明する説明図である。より詳細には、図8(a)は、第1の駆動力伝達部1d及び第2の駆動力伝達部2cの磁極配置、並びに及び脚部2の装着等を検出する構成を説明する説明図、同(b)は、第1の駆動力伝達部1d及び第3の駆動力伝達部3cの磁極配置、並びに車輪3の装着等を検出する構成を説明する説明図である。
【0106】
図8(a),(b)に示すように、駆動力伝達機構としての第1の駆動力伝達部1d及び第2の駆動力伝達部2c(あるいは第3の駆動力伝達部3c)の周辺においては、磁気センサ1stと第2の駆動力伝達部2c(あるいは第3の駆動力伝達部3c)との間に第1の駆動力伝達部1dが重畳して配置される構成となっている。この構成は、後述する第2実施形態~第5実施形態についても同様である。
【0107】
なお、図8に示す上下左右の方向は、説明を容易にするためのものであり、他の図面に記載された方向とは一致していないことがある。また、図8では第1の磁石1bと第2の磁石2bとが直接的に向き合うように記載しているが、実際は第2の磁石2bは第2の駆動力伝達部2cによって隠れる部位に配置され(図4(a)参照)、第3の磁石3bは第3の駆動力伝達部3cによって隠れる部位に配置されている(図4(b)参照)。また、図8においては、第1の磁石ホルダ2s、第2の磁石ホルダ3s等は省略されている。なおこれらも、第2実施形態~第5実施形態(図13図16)において同様である。
【0108】
以降、図8(a)に図4を併用して説明を続ける。上述したように本体ユニット1に設けられた略円板形状の第1の駆動力伝達部1dの外周近傍には複数(ここでは2個)の第1の磁石1bが外周方向180°毎(第1の駆動力伝達部1dの直径方向において対称となる位置)に設けられている。また、脚部2に設けられた略円板形状の第2の駆動力伝達部2cには、第1の磁石1bと対応する位置に複数(ここでは2個)の第2の磁石2bが設けられ、これらの磁石が脚部吸着用磁石2bvを構成する。そして第2の磁石2bのうち脚部吸着用磁石2bv以外の磁石(ここでは1個)が脚部検出用磁石2bdを構成する。上述したように、脚部検出用磁石2bdは、第2の駆動力伝達部2cの周方向において脚部吸着用磁石2bvとは90°だけ離間して配置されており、第2の駆動力伝達部2cの直径方向において非対称に配置されている。
【0109】
ここで、磁気センサ1stは、第1の駆動力伝達部1dが構成する面のうち、第2の駆動力伝達部2c(あるいは第3の駆動力伝達部3c)と向き合う面の裏面側に、第1の駆動力伝達部1dと非接触の状態で配置されている(図4(a)参照)。
【0110】
なお、磁気センサ1stは、第1の駆動力伝達部1dがホームポジションに復帰した状態において、第1の磁石1bと脚部吸着用磁石2bv(あるいは車輪吸着用磁石3bv)とが吸引しあって、脚部2(あるいは車輪3)が本体ユニット1に装着されたとき、脚部検出用磁石2bd(あるいは車輪検出用磁石3bd)と向き合う位置に設けられている。
【0111】
脚部検出用磁石2bd(第2の磁石2b)が発生する磁気は、より正確には第2の駆動力伝達部2c、本体ユニット1の筐体1p、第1の駆動力伝達部1dを透過して第1の磁気センサ1sで検出される(図4(a)参照)。
【0112】
ここで第1の駆動力伝達部1dの、第2の駆動力伝達部2cと向き合う面において、第1の磁石1bの露出している側の磁極はN極とされている(従って、第1の磁石1bにおいて、磁気センサ1stと向き合う側の磁極はS極である)。そして脚部吸着用磁石2bvにおいて、第1の磁石1bと向き合う側の磁極はS極とされている。一方、脚部検出用磁石2bdにおいて、第1の磁気センサ1sと向き合う側の磁極はN極とされている。
【0113】
従って、第1の磁石1b(ここではN極)と脚部吸着用磁石2bv(ここではS極)との間には吸引力が作用して本体ユニット1に脚部2が装着されるが、他方、第1の磁石1bと脚部検出用磁石2bd(ここではN極)との間には斥力が作用するため、第1の磁石1bと脚部検出用磁石2bdとが直接的に向き合う位置で、本体ユニット1に脚部2が装着されることはない。
【0114】
第1の磁石1bと脚部吸着用磁石2bvとの間で磁力による吸引力が作用することで、第1の駆動力伝達部1dと第2の駆動力伝達部2cとの間において、非接触で動力が伝達される。即ち、脚部2に関しては、第1の駆動力伝達部1dと第2の駆動力伝達部2cとが駆動力伝達機構を構成している。
【0115】
以降、図8(b)に図4を併用して説明を続ける。図8(b)は本体ユニット1に脚部2に替えて車輪3が装着された状態を示している。車輪3に設けられた略円板形状の第3の駆動力伝達部3cには、第1の駆動力伝達部1dに設けられた第1の磁石1bと対応する位置に複数(2個)の第3の磁石3bが設けられ、これらの磁石が車輪吸着用磁石3bvを構成する。そして第3の磁石3bのうち車輪吸着用磁石3bv以外の磁石(ここでは2個)が車輪検出用磁石3bdを構成する。上述したように、車輪検出用磁石3bdは、第3の駆動力伝達部3cの外周方向において二つの車輪吸着用磁石3bvと90°離間する位置に配置されており、第3の駆動力伝達部3cの直径方向において対称に配置されている。
【0116】
車輪検出用磁石3bd(第3の磁石3b)が発生する磁気は、より正確には第3の駆動力伝達部3c、本体ユニット1の筐体1p、第1の駆動力伝達部1dを透過して第1の磁気センサ1sと第2の磁気センサ1tとで検出される(図4(b)参照)。
【0117】
ここで車輪吸着用磁石3bvにおいて、第1の磁石1bと向き合う側の磁極はS極とされている。一方、車輪検出用磁石3bdにおいて、第1の磁気センサ1s及び第2の磁気センサ1tと向き合う側の磁極はいずれもN極とされている。
【0118】
従って、第1の磁石1b(ここではN極)と車輪吸着用磁石3bv(ここではS極)との間には吸引力が作用して本体ユニット1に車輪3が装着されるが、他方、第1の磁石1bと車輪検出用磁石3bd(ここではN極)との間には斥力が作用するため、第1の磁石1bと車輪検出用磁石3bdとが直接的に向き合う位置で、本体ユニット1に車輪3が装着されることはない。
【0119】
第1の磁石1bと車輪吸着用磁石3bvとの間で磁力による吸引力が作用することで、第1の駆動力伝達部1dと第3の駆動力伝達部3cとの間において、非接触で動力が伝達される。即ち、車輪3に関しては、第1の駆動力伝達部1dと第3の駆動力伝達部3cとが駆動力伝達機構を構成している。
【0120】
以下、利用者が本体ユニット1にパーツユニット20を装着した際の、パーツユニット20の装着態様の判定内容について説明する。なお、ここで「装着態様」とは、パーツユニット20の着脱、パーツユニット20の種別、パーツユニット20の姿勢のうち少なくとも一つをいう。
【0121】
ここで図8(a),(b)は、駆動円板位置検出部1eによる第1の駆動力伝達部1dの周方向における位置検出結果に基づいて、第1の駆動力伝達部1dの周方向の位置がホームポジションに復帰した状態(即ち、第1の駆動力伝達部1dが周方向において位置決めされた状態)を示している。上述したように、第1の駆動力伝達部1dがホームポジションに復帰することで、複数の第1の磁石1bの周方向における位置も一意に決定される。
【0122】
従って、第1の磁石1bと脚部吸着用磁石2bvあるいは車輪吸着用磁石3bvとが吸引しあって脚部2あるいは車輪3が本体ユニット1に装着されたとき、これらパーツユニット20の姿勢は制限を受けることとなる。更に、パーツユニット20の姿勢が制限を受けることに伴って、パーツユニット20に搭載された第2の駆動力伝達部2c及び第3の駆動力伝達部3cの周方向の位置、即ち脚部検出用磁石2bd及び車輪検出用磁石3bdの位置も制限を受ける。
【0123】
脚部2が本体ユニット1に装着されたとき、図8(a)に示すように、脚部検出用磁石2bdが発生する磁力(ここではN極)は、第1の磁気センサ1sで検出される。もっとも、第2の駆動力伝達部2cと向き合う側において、二つの第1の磁石1bの磁極は同極(ここではN極)であり、他方、第1の駆動力伝達部1dと向き合う側において、二つの脚部吸着用磁石2bvの磁極は同極(ここではS極)とされているから、第2の駆動力伝達部2cは上下反転した状態で第1の駆動力伝達部1dに吸引されうる。玩具TOY1を正常に動作させる観点において、装着するに際して上下が区別される脚部2の姿勢は一意に決定されるべきであるが、利用者の遊びのバリエーションを増やすべく、脚部2は上下反転して本体ユニット1に装着することが許容される。
【0124】
ここで脚部2が上下反転して本体ユニット1で装着されたときは、脚部検出用磁石2bdが発生する磁力(ここではN極)は、第2の磁気センサ1tで検出される。即ち、第2の駆動力伝達部2cの直径方向に非対称に設けられた(単一の)脚部検出用磁石2bdは、脚部2の姿勢を判定するマーカとして機能する。なお、以降の説明において、磁力によって本体ユニット1に脚部2(あるいは車輪3)が吸着・装着されうる際の、第1の駆動力伝達部1dと第2の駆動力伝達部2c(あるいは第3の駆動力伝達部3c)との位置関係を「吸着ポジション」と称することがある。
【0125】
車輪3が本体ユニット1に装着されたとき、図8(b)に示すように、車輪検出用磁石3bdが発生する磁力(ここではN極)は、第1の磁気センサ1s及び第2の磁気センサ1tの両方で検出される。もっとも、脚部2の場合と同様に、第3の駆動力伝達部3cは上下反転した状態で第1の駆動力伝達部1dに吸引されうる。即ち、車輪3は上下反転して本体ユニット1で装着されうる。しかしながら車輪3は上下の区別がないことから、車輪検出用磁石3bdが発生する磁力は、第1の磁気センサ1s及び第2の磁気センサ1tで検出されることには変わりない。
【0126】
なお、図8では第2の駆動力伝達部2cと向き合う側の第1の磁石1bの磁極をN極とし、第1の磁石1bと向き合う側の脚部吸着用磁石2bv(車輪吸着用磁石3bv)の磁極をS極とし、磁気センサ1stと向き合う側の脚部検出用磁石2bd及び車輪検出用磁石3bdの磁極をN極としているが、もちろんこれらのN極をS極に替え、S極をN極に替える構成としてもよい。なお、以降の説明において、脚部検出用磁石2bd及び車輪検出用磁石3bdを区別することなく、検出用磁石bdと称することがある。
【0127】
図9は、本体ユニット1に対するパーツユニット20の装着態様を判定するフローチャートである。なお、装着態様の判定は後述する第1の制御部1n(図10参照)によって実行される。以下、図8を併用して説明を続ける。
【0128】
第1の制御部1nは、第1の磁気センサ1sが、検出用磁石bdが発生する磁気(ここではN極)を検出したか否かをチェックする(ST901)。磁気が検出された場合(ST901でYes.)、第2の磁気センサ1tが、検出用磁石bdが発生する磁気(ここではN極)を検出したか否かをチェックする(ST902)。磁気が検出された場合(ST902でYes.)、本体ユニット1に装着されたのは車輪3であると判定する(ST903)。そして第1の制御部1nは、第1の出力デバイス1r(図10参照)を介して利用者に車輪3が装着された旨を報知する(ST908)。
【0129】
第2の磁気センサ1tで磁気が検出されなかった場合(ST902でNo.)、本体ユニット1に装着されたのは脚部2であり、脚部2の向きは正常(玩具TOY1を動作させることが可能)であると判定する(ST904)。第1の制御部1nは、第1の出力デバイス1rを介して利用者に脚部2が正常に装着された旨を報知する(ST908)。
【0130】
第1の磁気センサ1sで磁気が検出されなかった場合(ST901でNo.)、第2の磁気センサ1tが、検出用磁石bdが発生する磁気(ここではN極)を検出したか否かをチェックする(ST905)。磁気が検出された場合(ST905でYes.)、本体ユニット1に装着されたのは脚部2であり、脚部2の向きは上下反転していると判定する(ST906)。そして第1の制御部1nは、第1の出力デバイス1rを介して利用者に脚部2が上下反転して装着された旨を報知する(ST908)。
【0131】
第2の磁気センサ1tで磁気が検出されなかった場合(ST905でNo.)、本体ユニット1にはパーツユニット20が装着されていないと判定し、処理をST901に戻す。
【0132】
このように、第1実施形態では、磁気センサ1stは複数であって、検出用磁石bdはパーツユニット20の種別に応じて互いに異なる個数とされ(ここでは脚部2は1個で、車輪3は2個)、第1の制御部1nは、複数の磁気センサ1stで検出用磁石bdの磁力を検出した数に基づいてパーツユニット20の種別を判定している。更に、装着に際して姿勢(方向)が区別されるパーツユニット20(脚部2)については、その姿勢(方向)も判定している。
【0133】
さて、ST908で実行される報知は、利用者とのコミュニケーションを的確に図る観点で音声を利用することが好ましいが、発光素子を所定のパターンで発光させてもよく、また振動素子を所定のパターンで振動させてもよい。更にこれらを組み合わせてもよい。これによって利用者の知的好奇心等を喚起させることが可能となる。
【0134】
更に第1実施形態では、本体ユニット1は、音、光、振動の少なくとも一つを出力する第1の出力デバイス1rを備え、第1の制御部1nは、本体ユニット1にパーツユニット20が装着されたと判定したとき、装着されたパーツユニット20の種別(ここでは脚部2または車輪3)に応じて、第1の出力デバイス1rの出力内容を異ならせる。更に第1の制御部1nは、本体ユニット1にパーツユニット20が装着されたと判定したとき、本体ユニット1に対するパーツユニット20の相対的な姿勢(脚部2が正常に装着されたか、あるいは上下反転して装着されたか)に応じて、第1の出力デバイス1rの出力内容を異ならせる。
【0135】
具体的には、例えば脚部2が正常に装着されたとき(図9のST904)や、車輪3が装着されたとき(同ST903)は、例えば金属や木材等がぶつかる音(「ガシャン」、「カチャ」、「コツン」等)を模した擬音語(オノマトペ)を出力してもよく、脚部2が装着されたときは「これで歩けるぞ」、また車輪3が装着されたときは「さぁ、走るぞ」のように各パーツユニット20の属性に対応した音声を出力してもよい。他方、脚部2が上下反転して装着されたとき(同ST906)は、例えば「これじゃ動けないよ」のように利用者に装着態様の修正を促す音声を出力してもよい。
【0136】
なお本体ユニット1に対して、一方は脚部2が正常に装着され、他方は車輪3が装着されたような場合は、「動けるけど、なんか変だな」のように玩具TOY1として動作は可能であるが、正常な動作とはならないことを示唆し、利用者に是正を促す。このように、玩具TOY1が状況に応じた的確なレスポンスを行うことによって、利用者の知的好奇心が喚起される。もっとも、左右に異なるパーツユニット20が装着され正常な動作とはならない場合であっても、利用者の知的好奇心を満たすため第1の制御部1nは、利用者の動作指示に基づいて、左右の駆動源1c(図4参照)を個別に制御し玩具TOY1を前進等させる。
【0137】
なお、報知はパーツユニット20に搭載された第2の出力デバイス5r(後述する。図11参照)で行ってもよい。更に、当該報知は、第1の出力デバイス1rと第2の出力デバイス5rとが連携して行ってもよく、例えばあたかも本体ユニット1とパーツユニット20とが会話しているような内容(例えば、第1の出力デバイス1rで「誰が来たの?」と出力した後、第2の出力デバイス5rで「脚だよ」または「タイヤだよ」と出力する)を報知してもよい。また、例えば第1の出力デバイス1rで音声を出力し、第2の出力デバイス5rで音声とは異なる方法(光あるいは振動)で報知を行って、機能分担を図ってもよい。
【0138】
このように、第1実施形態の玩具TOY1は、第1の磁石1b、磁気センサ1st及び第1の制御部1nを備える本体ユニット1と、複数の第2の磁石2bが配置され本体ユニット1に着脱可能に構成された種別の異なる複数のパーツユニット20と、を備え、第2の磁石2bは、吸着用磁石(脚部吸着用磁石2bv及び車輪吸着用磁石3bv)と検出用磁石bdとで構成され、パーツユニット20は、吸着用磁石が第1の磁石1bに吸引されることで本体ユニット1に装着され、第1の制御部1nは、磁気センサ1stが検出用磁石bdの磁力を検出した際の出力に基づいて、本体ユニット1に対するパーツユニット20の着脱とパーツユニット20の種別とを判定する。
【0139】
更に第1実施形態では、本体ユニット1に対するパーツユニット20(ここでは脚部2)の相対的な姿勢も判定される。即ち、本体ユニット1に設けられた第1の駆動力伝達部1dを周方向に位置決め(ホームポジションに復帰)することで、本体ユニット1に装着されるパーツユニット20に設けられた第2の駆動力伝達部2cの周方向の位置を制限し、その制限の下で第2の駆動力伝達部2cに設けられた検出用磁石bdを磁気センサstと向き合わせ、磁気センサ1stで検出用磁石bdが発生する磁力を検出することで、本体ユニット1に対するパーツユニット20の装着態様(着脱状態、種別、姿勢)を判定している。
【0140】
さて、本体ユニット1にパーツユニット20が装着された後、利用者は所定の動作指示を行って、玩具TOY1を動作させる。動作指示の態様としては、例えば、玩具TOY1が音声認識部を有するか、外部のサーバ等が備える音声認識機能を利用できる場合は、利用者の発する音声に基づく指示が可能であり、またはスマートフォンやリモコン等を用いた指示も可能である。
【0141】
以下、玩具TOY1が動作している状態において、本体ユニット1からパーツユニット20が脱落した状態を検出する過程について説明する。第1実施形態では、第2の駆動力伝達部2c(あるいは第3の駆動力伝達部3c)に搭載された検出用磁石bdが発生する磁力を、磁気センサ1stが検出しなくなったことに基づき、本体ユニット1からパーツユニット20が脱落したと判定する。
【0142】
玩具TOY1の動作中においては、本体ユニット1に脚部2が装着されている場合、脚部2が前後に往復移動する毎に、第1の磁気センサ1sは周期的(間欠的)に脚部検出用磁石2bdが発生する磁力を検出する。従って、所定の期間内に脚部検出用磁石2bdが発生する磁力を検出できなかった場合は、本体ユニット1から脚部2が脱落したと判定できる。逆に周期的に磁力が検出された場合は、脚部2が装着されていると判定できる。
【0143】
他方、本体ユニット1に車輪3が装着されている場合、車輪3の回転に伴って、磁気センサ1stは車輪検出用磁石3bdが発生する磁力を周期的(間欠的)に検出するため、所定の期間内に車輪検出用磁石3bdが発生する磁力を検出できなかった場合は、本体ユニット1から車輪3が脱落したと判定できる。逆に周期的に磁力が検出された場合は、車輪3が装着されていると判定できる。
【0144】
このように、第1実施形態の玩具TOY1は、本体ユニット1は、更に駆動源1cと、駆動源1cに接続されるとともに第1の磁石1bが配置された第1の駆動力伝達部1dとを備え、パーツユニット20は、吸着用磁石(脚部吸着用磁石2bv及び車輪吸着用磁石3bv)と検出用磁石bdとで構成される第2の磁石2bが配置された第2の駆動力伝達部2cを備え、第1の磁石1bと吸着用磁石とを介して第1の駆動力伝達部1dから第2の駆動力伝達部2cに非接触で駆動力が伝達されるとともに、第1の制御部1nは、第2の駆動力伝達部2cの変位に伴って磁気センサ1stが間欠的に検出する検出用磁石bdの磁力に基づいて、パーツユニット20の着脱を判定する。
【0145】
ところで、パーツユニット20が装着されている場合、第1の駆動力伝達部1dの回転に伴い、磁気センサ1stは、第1の駆動力伝達部1dに配置された第1の磁石1bが発生する磁力も周期的に検出することとなる(図8(b)参照)。
【0146】
第1実施形態では、磁気センサ1stと向き合う側の検出用磁石bdの磁極(ここではN極)と、磁気センサ1stと向き合う側の第1の磁石1bの磁極(ここではS極。なお、図8では磁気センサ1stと向き合わない面をN極として描いている)とを互いに異なる磁極(異極)としていることから、磁気センサ1stは検出用磁石bdが発生する磁気を精度よく(脚部吸着用磁石2bvあるいは車輪吸着用磁石3bvと誤検出することなく)検出することができる。これによって、本体ユニット1から車輪3が脱落したこと(即ち、着脱)を精度よく判定できる。
【0147】
図10は、玩具TOY1のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、以降の説明において、これまで説明した構成要素については詳細な説明は省略する。なお図10においては、本体ユニット1に脚部2が装着された状態を示している。
【0148】
本体ユニット1は、既に説明した左右一対に配置された駆動源1c、第1の磁石1bを搭載した第1の駆動力伝達部1d等の他に、第1の制御部1nと、ドライバ1qと、本体側通信部1jと、本体受電部1kと、駆動円板位置検出部1eと、磁気センサ1stと、パーツ装着検出部1fと、第1の出力デバイス1rと、第1の加速度センサ1uとを備えている。またパーツユニット20(ここでは脚部2)は、既に説明した第2の磁石2bを搭載した第2の駆動力伝達部2c等の他に、機能モジュール5を備える。なお、パーツ装着検出部1fは、後に説明する変形例において使用される。
【0149】
第1の制御部1nは、ROM1i(Read Only Memory)やRAM1h(Random access memory)等で構成される記憶部と、例えばCPU(Central Processing Unit)等で構成される演算部1gとを備える。演算部1gは、記憶部に記憶されたプログラムやデータに基づき、本体ユニット1の各構成要素を制御する。また記憶部には、駆動源1cを制御する際の駆動速度、駆動方向、駆動時間等の制御パラメータを記述した駆動プロファイルや、ST908(図9参照)における処理で説明した報知に関するデータ等が予め格納されている。第1の制御部1nを構成するROM1i、RAM1h、演算部1gはバスで結合されている。第1の制御部1nは、同様にバスで結合された他の構成要素を制御する。
【0150】
ドライバ1qは駆動源1cを駆動するモータドライバである。第1の制御部1nはROM1iに記憶された駆動プロファイルに基づいてドライバ1qに制御指令を出力する。制御パラメータには上述した脚部2の振子様の動作に関するデータ及び車輪3を回動させる際に用いられるデータが含まれる。
【0151】
本体側通信部1jは、例えば近距離無線規格である「Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)」規格に準拠した通信モジュールを含み、外部との間で所定のデータを送受信する。データを送受信する対象としては、例えばスマートフォンやタブレットPCといった情報端末、後述するパーツユニット20に設けられた機能モジュール5が挙げられる。本体側通信部1jは、利用者の保護者等が所有する情報端末(図示せず)との間で双方向に通信を行うことが可能である。
【0152】
これによって、例えば情報端末を用いて、玩具TOY1に上述した動作指示を与えることが可能である。更に、例えば利用者が玩具TOY1で遊んだ時間を演算部1gに内蔵されたタイマで計測し、その結果を情報端末に通知することが可能となる。逆に、情報端末で動作するアプリケーションソフトウェアを用いて、上述した制御パラメータや駆動プロファイルを変更することも可能である。
【0153】
また、本体側通信部1jは例えばWiFi(Wireless Fidelity)規格に準拠するモジュールを含んでいてもよく、これによって第1の制御部1nが別途設置されたWiFiルータ等を介してネットワークに接続可能なように構成してもよい。この場合、第1の制御部1nは、マイクロフォン等(図示せず)で取得してディジタル化された音声データを、ネットワークを介して所定のサーバ(図示せず)に送信し、サーバで音声認識を行うことができる。例えば、上述した動作指示が音声で行われた場合、サーバは音声認識の結果に基づき、本体側通信部1jに例えば駆動源1cを駆動するためのコマンドを送信し、第1の制御部1nは当該コマンドに基づいて、本体ユニット1の各構成要素を制御する。
【0154】
玩具TOY1は所定のワイヤレス給電規格に対応している。本体受電部1kは受電用コイル、ワイヤレス給電受信回路(ともに図示せず)等で構成され、外部磁界の変化を電流(電力)に変換し、当該電力は図示しないバッテリに蓄電されるとともに、各構成要素に給電される。また、玩具TOY1には図示しないスイッチが設けられており、利用者等が当該スイッチを操作することで玩具TOY1が起動/停止する。ただし駆動源1cに関しては、パーツユニット20が装着されていない状態では停止状態に制御される。
【0155】
第1の出力デバイス1rは、例えば音を出力するスピーカ、光を出力するLED(Light Emitting Diode)や有機EL(Electro Luminescence)といった発光素子、振動を発生する例えば圧電素子といった振動素子、の少なくとも一つで構成される。第1の制御部1nは、本体ユニット1にパーツユニット20が装着されたと判定した場合、予め記憶部(ここではROM1i)に格納された音声データや発光パターンのデータを取り出し、これらのデータに基づいて第1の出力デバイス1rを駆動する。
【0156】
図11は、本体ユニット1とパーツユニット20との間における通信内容を説明する説明図である。以降、図10を併用して説明を続ける。既に説明したように本体ユニット1は、第1の制御部1nと、本体側通信部1jと、第1の出力デバイス1rと、第1の加速度センサ1uとを備えている。ここで第1の加速度センサ1uは、重力方向の検出結果に基づいて、重力方向に対する本体ユニット1の傾きをxyz軸方向に分離して出力(以降、「本体ユニット1の傾き情報」と称することがある。)する。
【0157】
パーツユニット20の機能モジュール5は、第2の制御部5nと、パーツ側通信部5jと、第2の出力デバイス5rと、第2の加速度センサ5uを備えている。パーツユニット20には電源(図示せず)が搭載され、当該電源が供給する電力によって、機能モジュール5の各構成要素が動作する。第2の制御部5nは、ROMやRAM等で構成される記憶部と、例えばCPU等で構成される演算部とを備える(いずれも図示せず)。また、パーツ側通信部5jはBLE規格に準拠した通信モジュールを含み、第2の出力デバイス5rは例えばスピーカ、発光素子、振動素子等で構成されている。また第2の加速度センサ5uは、パーツユニット20の重力方向に対する傾きをxyz軸方向に分離して出力(以降、「パーツユニット20の傾き情報」と称することがある。)する。
【0158】
本体側通信部1jは第1のデータ送信部と第1のデータ受信部(ともに図示せず)とを含み、パーツ側通信部5jは第2のデータ送信部と第2のデータ受信部(ともに図示せず)とを含んでいる。第1の制御部1nと第2の制御部5nとは、それぞれ本体側通信部1j及びパーツ側通信部5jを制御して双方向の通信を行う。パーツユニット20の傾き情報は、パーツ側通信部5jの第2のデータ送信部を介して送信され、本体側通信部1jの第1のデータ受信部で受信されて第1の制御部1nに渡される。
【0159】
一方、第1の制御部1nは本体ユニット1の傾き情報を取得するとともに、受信したパーツユニット20の傾き情報と比較して、本体ユニット1に対するパーツユニット20の相対的な姿勢に関する情報(以降、「相対姿勢情報」と称することがある。)を算出し、パーツユニット20の姿勢を判定する。
【0160】
即ち、本体ユニット1は、第1の加速度センサ1u及び第1のデータ受信部(本体側通信部1j)を備え、パーツユニット20は、更に第2の加速度センサ5u及び第2のデータ送信部(パーツ側通信部5j)を備え、第1の制御部1nは、第1の加速度センサ1uの出力と、第2のデータ送信部(パーツ側通信部5j)及び第1のデータ受信部(本体側通信部1j)を介して取得した第2の加速度センサ5uの出力とに基づき、本体ユニット1に対するパーツユニット20の相対的な姿勢を判定する。
【0161】
第1の制御部1nは、算出した相対姿勢情報に基づき脚部2の姿勢を判定し、第1の出力デバイス1rを介して、利用者に脚部2が正常、あるいは上下反転して装着されている旨を通知することが可能である。
【0162】
また、第1の制御部1nは第2の制御部5nに相対姿勢情報を送信してもよく、この場合、第2の制御部5nは第2の出力デバイス5rを介して利用者に装着態様を通知してもよい。更に、第1の制御部1nは第2の制御部5nに対して、上述したST908(図9参照)の報知(後述するST1211(図12参照)での報知を含む)で出力されるべき音声・発光・振動に関するデータを送信してもよく、この場合はパーツユニット20に設けられた第2の出力デバイス5rで装着態様に応じた報知が行われる。
【0163】
即ち、本体ユニット1は、第1のデータ送信部(本体側通信部1j)を備え、パーツユニット20は、第2の制御部5nと、第2のデータ受信部(パーツ側通信部5j)と、音、光、振動の少なくとも一つを出力する第2の出力デバイス5rとを備え、第1の制御部1nは、本体ユニット1にパーツユニット20が装着されたと判定したとき、装着されたパーツユニット20の種別に関する情報を第1のデータ送信部を介して送信し、第2の制御部5nは、第2の受信部を介して受信したパーツユニット20の種別に関する情報に基づいて、第2の出力デバイス5rの出力内容を異ならせる。
【0164】
更に、第1の制御部1nは、本体ユニット1にパーツユニット20が装着されたと判定したとき、本体ユニット1に対するパーツユニット20の相対姿勢情報を第1のデータ送信部を介して送信し、第2の制御部5nは、第2の受信部を介して受信した本体ユニット1に対するパーツユニット20の相対姿勢情報に基づいて、第2の出力デバイス5rの出力内容を異ならせる。
【0165】
以降、第1実施形態の変形例について説明する。変形例では、本体ユニット1に対するパーツユニット20の着脱の検出に、パーツ装着検出部1f(図4図10参照)の出力を参照する。ここでパーツ装着検出部1fは、スイッチ部材として機能し、例えば反射型フォトセンサ(光学センサ)を用いることができる。ただしパーツ装着検出部1fは、パーツユニット20の着脱に応じて出力が変化するデバイスであればよく、パーツ装着検出部1fをスイッチ部材としてのメカニカルスイッチで構成して、本体ユニット1にパーツユニット20が装着された際に、当該スイッチ部材が物理的に押下されるように構成してもよい。なお、メカニカルスイッチを採用する場合、本体ユニット1とパーツユニット20との間の摺動抵抗を考慮すると、メカニカルスイッチはパーツ支持部1aLからパーツユニット20に向けて突出するように構成するのが望ましい。
【0166】
図12は、第1実施形態の変形例における本体ユニット1に対するパーツユニット20の装着態様を判定するフローチャートである。変形例では、本体ユニット1に対するパーツユニット20の着脱をパーツ装着検出部1fの出力に基づいて判定することが第1実施形態とは異なっている。
【0167】
なお、変形例では、第1実施形態で説明した「第1の駆動力伝達部1dをホームポジションに復帰させる」処理は必須の処理ではない。その理由は、変形例では本体ユニット1にパーツユニット20を装着した際に、磁気センサstと検出用磁石bdとが直接的に向き合う位置関係になくとも、第1の駆動力伝達部1dを回転させて磁気センサstと検出用磁石bdとを対向させる処理を含むからである。ただし、ホームポジションへの復帰に伴い第1の駆動力伝達部1dが周方向において位置決めされることにより、利用者に提供される遊びのバリエーションを増加させることができる(後述する)。以下、図4図8を併用して変形例における装着態様の判定について説明する。
【0168】
第1の制御部1nは、パーツ装着検出部1fがパーツユニット20の装着を検出したか否かをチェックする(ST1201)。パーツユニット20の装着を検出した場合(ST1201でYes.)、駆動源1cを制御して第1の駆動力伝達部1dを回転させる(ST1202)。一方、パーツユニット20の装着が検出されなかった場合(ST1201でNo.)、処理をST1201に戻す。
【0169】
次に、第1の制御部1nは、第1の磁気センサ1sが、検出用磁石bdが発生する磁気(ここではN極)を検出したか否かをチェックする(ST1203)。磁気が検出された場合(ST1203でYes.)、第2の磁気センサ1tが、検出用磁石bdが発生する磁気(ここではN極)を検出したか否かをチェックする(ST1204)。磁気が検出された場合(ST1204でYes.)、本体ユニット1に装着されたのは車輪3であると判定する(ST1205)。そして第1の制御部1nは、第1の駆動力伝達部1dの回転を停止し(ST1210)、更に第1の出力デバイス1r(図10参照)を介して利用者に車輪3が装着された旨を報知し(ST1211)、処理を終了する。
【0170】
第2の磁気センサ1tで磁気が検出されなかった場合(ST1204でNo.)、本体ユニット1に装着されたのは脚部2であり、脚部2の向きは正常(脚部2を駆動することで、玩具TOY1を動作させることが可能)であると判定する(ST1206)。そして第1の制御部1nは、第1の駆動力伝達部1dの回転を停止し(ST1210)、更に第1の出力デバイス1rを介して利用者に脚部2が正常に装着された旨を報知し(ST1211)、処理を終了する。
【0171】
第1の磁気センサ1sで磁気が検出されなかった場合(ST1203でNo.)、第2の磁気センサ1tが、検出用磁石bdが発生する磁気(ここではN極)を検出したか否かをチェックする(ST1207)。磁気が検出された場合(ST1207でYes.)、本体ユニット1に装着されたのは脚部2であり、脚部2の向きは上下反転していると判定する(ST1208)。そして第1の制御部1nは、第1の駆動力伝達部1dの回転を停止し(ST1210)、更に第1の出力デバイス1rを介して利用者に脚部2が上下反転して装着された旨を報知し(ST1211)、処理を終了する。
【0172】
なお、ST1211で実行される報知は、ST908で説明した処理(図9参照)と同様に、音声・光・振動の少なくとも一つを利用して行われる。また当該報知は第2の出力デバイス5r(図10図11参照)で行ってもよく、更に第1の出力デバイス1rと第2の出力デバイス5rとが連携して行ってもよい。
【0173】
他方、第2の磁気センサ1tが、検出用磁石bdが発生する磁気(ここではN極)を検出しなかった場合(ST1207でNo.)、第1の制御部1nは、駆動源1cの駆動を開始して所定期間が経過したか否か(即ち、タイムアウトとなったか否か)をチェックする(ST1209)。タイムアウトとなった場合(ST1209でYes.)、第1の駆動力伝達部1dの回転を停止し(ST1210)、更に第1の出力デバイス1rを介して利用者にパーツユニット20が装着されていない(一旦装着された後に脱落したことも含む)旨を報知し(ST1211)、処理を終了する。タイムアウトが発生していない場合(ST1209でNo.)、処理をST1203に移す。
【0174】
ここで利用者が本体ユニット1にパーツユニット20を単に取り付けたのみでは、第1の駆動力伝達部1dと第2の駆動力伝達部2c(第3の駆動力伝達部3c)との位置関係が「吸着ポジション」になっているとは限らないが、タイムアウトが発生していない状況において、第1の駆動力伝達部1dが回動を継続することで、吸着ポジションの状態に確実に移行する。
【0175】
なお、車輪3が装着されたと判定した場合(ST1205)や、脚部2が正常に装着されたと判定した場合(ST1206)は、利用者がそのまま玩具TOY1で遊ぶことも想定されるため、ST1210の処理(第1の駆動力伝達部1dの回転を停止させる処理)は必須のものではない。
【0176】
さて、上述したスイッチ部材(パーツ装着検出部1f)を例えば複数の反射型フォトセンサで構成した場合、脚部2及び車輪3に異なるマーキングを施すことで、スイッチ部材の出力を参照してパーツユニット20の着脱のみならず種別を判定することが可能である。
【0177】
図17(a)は、パーツユニット20としての脚部2に施された脚マーカ2qを説明する説明図、同(b)は、パーツユニット20としての車輪3に施された車輪マーカ3qを説明する説明図である。図17(a)に示すように、脚部2の脚部蓋体2eには円環状に脚マーカ2qが形成されている。脚マーカ2qは、例えば内周を白色、外周を黒色とする彩色が周方向に延伸するように施されている。他方、図17(b)に示すように、車輪3の車輪蓋体3eには、円環状に車輪マーカ3qが形成されている。車輪マーカ3qは、例えば内周を黒色、外周を白色とする彩色が周方向に延伸するように施されている。
【0178】
なお、各マーカはパーツユニット20が本体ユニット1に装着されたときに、スイッチ部材としてのパーツ装着検出部1fと対向する位置に形成されている(図4等を参照)。第1の制御部1nは、パーツ装着検出部1fの検出結果に基づいて、本体ユニット1に装着されたパーツユニット20が脚部2であるか車輪3であるかを判定する。
【0179】
即ち、上述した構成ではスイッチ部材はユニット種別検出部として機能する。ただし図17に示す構成では、本体ユニット1に対するパーツユニット20の相対的な姿勢を判定することはできない。この場合、スイッチ部材の出力に基づいてパーツユニット20の着脱と種別との少なくとも一方を判定し、磁気センサ1stの出力に基づいてパーツユニット20(脚部2)の姿勢を判定すればよい。
【0180】
このように変形例では、本体ユニット1は、所定のスイッチ部材(複数のパーツ装着検出部1f)を備え、第1の制御部1nは、磁気センサ1stの出力に代えてスイッチ部材の出力に基づいて、本体ユニット1に対するパーツユニット20の着脱と種別との少なくとも一方を判定する。
【0181】
以降、変形例において追加される遊びのバリエーションについて図10を用いて説明する。変形例では本体ユニット1に対して方向性を持って装着される脚部2を用いて、時計や角度の概念を、遊びを通じて学習できるようにされている(以降、「時計遊び」と称することがある)。なお利用者は上述した所定の動作指示を行うことで、玩具TOY1を時計遊びのモードに遷移させる。
【0182】
時計遊びのモードにおいて、第1の制御部1nは、駆動円板位置検出部1e、パーツ装着検出部1f、磁気センサ1stの出力を参照する。なお、更に第1の加速度センサ1u、第2の加速度センサ5u(図11参照)の出力を参照してもよい。まず第1の制御部1nは、駆動円板位置検出部1eの出力に基づいて、第1の駆動力伝達部1dをホームポジションに復帰させる。なおここでは、第1の駆動力伝達部1dがホームポジションに位置決めされた状態で脚部2が上下反転して装着された場合、脚部2の底面(脚底部2tの周方向における中央)が0時(12時)方向を向いているものとする。即ち、時計遊びでは、脚部2を時計の針と見立てることで、利用者の遊びに供される。なお、時計遊びに現実味を持たせるため、例えば本体ユニット1の一部に時計の文字板を模した数字が印刷・刻印されていてもよい。
【0183】
次に第1の制御部1nは、第1の出力デバイス1rを介して音声を出力して利用者に脚部2を装着するよう促す。そしてパーツ装着検出部1f及び磁気センサ1stの出力を参照して脚部2が上下反転して装着されたと判定すると、利用者に対して「時計遊びの準備ができたよ。脚を3時の向きにしてごらん」と課題を発する。その後、所定時間が経過した後、第1の制御部1nは、駆動源1cを制御して第1の駆動力伝達部1dを回動させ、磁気センサ1stが脚部検出用磁石2bdの磁力を検出した際の第1の駆動力伝達部1dの位置(周方向における回転角)を計測する。なお、周方向における第1の駆動力伝達部1dの位置の計測は、駆動源1cが例えばステッピングモータで構成されている場合は駆動パルス数をカウントすることによって、DCサーボモータの場合はエンコーダが出力するパルス数をカウントすることによって行われる。
【0184】
第1の制御部1nは、測定された第1の駆動力伝達部1dの位置が3時の方向である場合、利用者に対して、第1の出力デバイス1rを介して課題が達成されたことを報知する。なお、第1の制御部1nは第1の加速度センサ1u及び第2の加速度センサ5uの出力を参照することで、本体ユニット1と脚部2との相対姿勢情報を取得することが可能であるから、脚部2が上下反転して装着されたと判定した後は、これら加速度センサの出力に基づいて、利用者が課題を達成したか否かを判定してもく、更に脚部2が変位する方向等に基づいて、利用者を正解に導くようサポートしてもよい。
【0185】
(第2実施形態)
図13(a),(b)は、本発明の第2実施形態に係る駆動力伝達機構の周辺構成を説明する説明図である。第1実施形態では、第1の駆動力伝達部1dに設けられた二つの第1の磁石1bについて、第2の駆動力伝達部2c(第3の駆動力伝達部3c)と向き合う側の磁極は、それぞれ同極(N極)とされていたが、第2実施形態では図示するように第1の磁石1bの磁極は互いに異極となるように構成されている。そして第2の駆動力伝達部2cの吸着用磁石(脚部吸着用磁石2bv及び車輪吸着用磁石3bv)の磁極配置は、第1の磁石1bに吸着される磁極配置とされている。
【0186】
第1の磁石1b(ここではN極,S極)と脚部吸着用磁石2bvあるいは車輪吸着用磁石3bv(ここではS極,N極)との間で磁石による吸引力が作用することで、第1の駆動力伝達部1dと第2の駆動力伝達部2cとの間において、非接触で動力が伝達される。
【0187】
第2実施形態では、二つの第1の磁石1bの磁極を異極とすることで、脚部2を本体ユニット1に装着する際に、利用者が脚部2を誤った方向に装着することが防止される(即ち、脚部2が装着されたときの姿勢は動作が可能な状態に一意に定まる)。従って、相対姿勢情報は判定されることなく、磁気センサ1stの出力に基づいて、パーツユニット20の着脱及び種別が判定される。具体的には、第1の磁気センサ1sが検出用磁石bdの発する磁力を検出し、かつ第2の磁気センサ1tが磁力を検出していない場合は、脚部2が(正常に)装着され、第1の磁気センサ1s及び第2の磁気センサ1tの両方が検出用磁石bdの発する磁力を検出した場合は、車輪3が装着されたと判定される。
【0188】
(第3実施形態)
図14(a),(b)は、本発明の第3実施形態に係る駆動力伝達機構の周辺構成を説明する説明図である。第1実施形態及び第2実施形態では、第1の駆動力伝達部1dには第1の磁石1bが設けられ、更に第2の駆動力伝達部2c(あるいは第3の駆動力伝達部3c)には脚部吸着用磁石2bv(あるいは車輪吸着用磁石3bv)が設けられていたが、第3実施形態においては、第2の駆動力伝達部2cには吸着用磁石に替えて吸着用部材2xが設けられている。もちろん吸着用磁石の全てを吸着用部材2xに替えなくてもよく、一部(ここでは二つの吸着用磁石のうち一つ)を磁石としてもよい。
【0189】
ここで吸着用部材2xは例えば鉄、ニッケル、パーマロイ等のいわゆる強磁性体を含む材料で構成される。特に吸着用部材2xを鉄板等で構成することで、低コスト化を図ることができる。第1の磁石1b(ここではN極)と吸着用部材2xとの間で磁石による吸引力が作用することで、第1の駆動力伝達部1dと第2の駆動力伝達部2cあるいは第3の駆動力伝達部3cとの間において、非接触で動力が伝達される。
【0190】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に脚部2は正常な姿勢あるいは上下が反転した姿勢で本体ユニット1に装着されうる。第3実施形態においても第1実施形態と同様に、二つの磁気センサ1stの出力に基づいて、パーツユニット20の着脱、種別が判定され、脚部2については更に姿勢が判定される。
【0191】
なお、第3実施形態において、第1の駆動力伝達部1dに設けた第1の磁石1bの一部を上述した吸着用部材2xとし、第2の駆動力伝達部2cに設けた吸着用部材2xを磁石で構成してもよい。このように、第3実施形態では、吸着用磁石(脚部吸着用磁石2bvあるいは車輪吸着用磁石3bv)の少なくとも一部を、強磁性体で構成し、あるいは第1の磁石1bの少なくとも一部を、強磁性体で構成している。もちろん、吸着用磁石及び第1の磁石1bの全てを強磁性体に替えることは除かれる。
【0192】
(第4実施形態)
図15(a),(b)は、本発明の第4実施形態に係る駆動力伝達機構の周辺構成を説明する説明図である。上述した第1実施形態~第3実施形態では、磁気センサ1stとして第1の磁気センサ1s及び第2の磁気センサ1tの2つを用いていたが、第4実施形態では磁気センサ1stを第1の磁気センサ1stのみとした点が異なっている。また第4実施形態では、第2実施形態と同様に、第1の駆動力伝達部1dに設けられた二つの第1の磁石1bの、第2の駆動力伝達部2cと向き合う側の磁極は、それぞれ異極となるように構成されている。そして第2の駆動力伝達部2cあるいは第3の駆動力伝達部3cの吸着用磁石(脚部吸着用磁石2bv及び車輪吸着用磁石3bv)の磁極配置は、第1の磁石1bに吸着される磁極配置とされている。
【0193】
第1の磁石1b(ここではN極,S極)と脚部吸着用磁石2bvあるいは車輪吸着用磁石3bv(ここではS極,N極)との間で磁石による吸引力が作用することで、第1の駆動力伝達部1dと第2の駆動力伝達部2cあるいは第3の駆動力伝達部3cとの間において、非接触で動力が伝達される。
【0194】
第4実施形態においても、二つの第1の磁石1bの磁極を異極とすることで、脚部2を本体ユニット1に装着する際に、利用者が脚部2を誤った方向に装着することが防止される。ただし第4実施形態では、第2の駆動力伝達部2cに設けられた検出用磁石bdは、脚部2と車輪3とで異なる磁力を発生する磁石が選定されており、例えば脚部検出用磁石2bdが発生する磁力は車輪検出用磁石3bdが発生する磁力よりも強く設定されている。即ち、第1の磁気センサ1sが検出した検出用磁石bdの磁力が「強」であれば、本体ユニット1に装着されたのは脚部2と判定し、「弱」であれば車輪3が装着されたと判定する。もちろん、脚部検出用磁石2bdと車輪検出用磁石3bdとで磁力の強弱を入れ替えてよい。
【0195】
このように、第4実施形態では、磁気センサ1stは単一(第1の磁気センサ1s)であって、検出用磁石bdはパーツユニット20の種別に応じて異なる磁力(ここでは「強」または「弱」)に設定され、第1の制御部1nは、単一の磁気センサ1stで検出用磁石bdの磁力の強度を検出した結果に基づいてパーツユニット20の種別を判定する。
【0196】
(第5実施形態)
図16(a),(b)は、本発明の第5実施形態に係る駆動力伝達機構の周辺構成を説明する説明図である。上述した第4実施形態では、第1の駆動力伝達部1dに設けられた二つの第1の磁石1bの磁極を異極とすることで、本体ユニット1に装着される脚部2の姿勢を一意に定めていたが、第5実施形態では第1実施形態と同様に、二つの第1の磁石1bの磁極を同極としている。これに伴い脚部2が装着された際の姿勢は、正常及び上下反転の2通り許容されることから、磁気センサ1stを第1の磁気センサ1sと第2の磁気センサ1tとの二つで構成して、姿勢を判定するようにしている。
【0197】
ここで、二つの脚部検出用磁石2bdうち一方が発生する磁力を「強」とし、他方を「弱」と設定している。図示するように、第5実施形態では、第1の磁気センサ1sが検出した磁力が「強」で、かつ第2の磁気センサ1tが検出した磁力が「弱」の場合、本体ユニット1に脚部2が正常に装着されたと判定する。他方、第1の磁気センサ1sが検出した磁力が「弱」で、かつ第2の磁気センサ1tが検出した磁力が「強」の場合、脚部2は上下反転して装着されたと判定する。更に、第1の磁気センサ1sと第2の磁気センサ1tとが検出した磁力がいずれも「強」の場合は車輪3が装着されたと判定する。もちろん車輪検出用磁石3bdが発生する磁力をいずれも「弱」に設定し、検出した磁力がいずれも「弱」の場合に車輪3が装着されたと判定するようにしてもよい。
【0198】
このように、第5実施形態では、パーツユニット20は、複数の検出用磁石bdを備え、更に、複数の検出用磁石bdは互いに磁力の強度が異なるようにされ、第1の制御部1nは、磁気センサ1stの出力に基づいて、本体ユニット1に対するパーツユニット20の相対的な姿勢を判定する。
【0199】
以上詳細に説明したように、本発明に係る玩具TOY1は、本体ユニット1に種別が異なるパーツユニット20をそれぞれ着脱可能に構成されており、装着されるパーツユニット20に応じて様々な遊びの態様が提供される。更に、本体ユニット1にパーツユニット20を装着する際に、その装着態様に基づき利用者との間で様々なコミュニケーションを図ることが可能である。これによって、利用者はどのパーツユニット20を装着すれば目的とする機能(例えば「歩行させる」ことや「クルマのように移動させる」こと)が得られるかを、遊びを通して学ぶことができる。これによって、論理的なものの考え方の基礎が養われ、将来的なプログラミング的思考の下地にもなり得るものと期待される。
【0200】
以上、本発明に係る玩具TOY1について特定の実施形態に基づいて説明したが、これらはあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。例えば、第2実施形態~第5実施形態においても第1の加速度センサ1uや第2の加速度センサ5uの出力を参照して姿勢を判定してもよく、また第1実施形態の変形例で説明した構成を採用してもよく、またパーツユニット20に設けられた第2の出力デバイス5rを介して利用者との間でコミュニケーションを図ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本発明に係る玩具は、利用者が特定のパーツ同士を組み合させたことや、パーツ同士が相対的に特定の位置関係となるように組み合わせたことを検出するとともに、これらを検出したときに利用者に対して特定のレスポンスを行うことで利用者の知的好奇心等を育むことが可能となることから、乳幼児や児童向けの玩具のみならず、大人が遊んで楽しい玩具として、いわゆる後期高齢者向けの玩具にも好適に応用することができる。
【符号の説明】
【0202】
1 本体ユニット
1aL パーツ支持部
1b 第1の磁石
1c 駆動源
1d 第1の駆動力伝達部
1e 駆動円板位置検出部
1f パーツ装着検出部(ユニット種別検出部)
1n 第1の制御部
1r 第1の出力デバイス
1s 第1の磁気センサ
1t 第2の磁気センサ
1st 磁気センサ
1u 第1の加速度センサ
2 脚部
2b 第2の磁石
2bv 脚部吸着用磁石
2bd 脚部検出用磁石
2c 第2の駆動力伝達部
2q 脚マーカ
2x 吸着用部材
3 車輪
3b 第3の磁石
3bv 車輪吸着用磁石
3bd 車輪検出用磁石
3c 第3の駆動力伝達部
5n 第2の制御部
5r 第2の出力デバイス
5u 第2の加速度センサ
20 パーツユニット
bd 検出用磁石
TOY1 玩具
図1
図2
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図17