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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081746
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】電子シンバル
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/10 20200101AFI20230606BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20230606BHJP
   G10H 1/32 20060101ALI20230606BHJP
   G10D 13/063 20200101ALN20230606BHJP
【FI】
G10D13/10 160
G10H1/00 A
G10H1/32 Z
G10D13/063
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195708
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】319004537
【氏名又は名称】株式会社エフノート
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】森 良彰
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478CC10
(57)【要約】
【課題】電子シンバル本体を上下に複数段に亘って配設した場合、又は電子シンバル本体を吊り下げた状態で配設した場合であっても、出力ケーブルを保持して演奏時の不具合を回避することができる電子シンバルを提供する。
【解決手段】演奏者による叩打が可能とされた打面Fを有するパッド部3、及びパッド部3の裏面側を支持するフレーム部4を有して構成された電子シンバル本体(1、2)と、電子シンバル本体1のパッド部3及びフレーム部4の中央にそれぞれ形成された開口部(3a、4a)と、パッド部3の打面Fに対する叩打を検出可能な振動センサ5と、振動センサ5と接続されるとともに、振動センサ5で検出された検出信号を出力可能な出力ケーブル(7a、7b)とを具備し、フレーム部4の開口部4aと連通して形成され、出力ケーブル7bを挿通して保持可能な挿通溝部4bを有するものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者による叩打が可能とされた打面を有するパッド部、及び前記パッド部の裏面側を支持するフレーム部を有して構成された電子シンバル本体と、
前記電子シンバル本体のパッド部及びフレーム部の中央にそれぞれ形成され、支持スタンドを挿通可能な開口部と、
前記パッド部の打面に対する叩打を検出可能な検出センサと、
前記検出センサと接続されるとともに、前記検出センサで検出された検出信号を出力可能な出力ケーブルと、
を具備した電子シンバルであって、
前記フレーム部の開口部と連通して形成され、前記出力ケーブルを挿通して保持可能な挿通溝部を有することを特徴とする電子シンバル。
【請求項2】
前記挿通溝部は、前記フレーム部に形成された開口部の周縁に形成されるとともに、当該フレーム部の開口部と前記支持スタンドとの間に軸スリーブが介在して取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の電子シンバル。
【請求項3】
前記軸スリーブは、前記挿通溝部に対応した位置にスリットが形成され、当該スリットを介して前記挿通溝部に前記出力ケーブルを挿通可能とされたことを特徴とする請求項2記載の電子シンバル。
【請求項4】
前記フレーム部に形成された開口部に軸スリーブが取り付けられるとともに、当該軸スリーブに前記挿通溝部が形成されたことを特徴とする請求項1記載の電子シンバル。
【請求項5】
前記挿通溝部に挿通した前記出力ケーブルを抜け止めする抜け止め形状が形成されたことを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載の電子シンバル。
【請求項6】
前記電子シンバル本体は、上下に複数段に亘って前記支持スタンドに支持されるとともに、上段の電子シンバル本体から延びる前記出力ケーブルが下段の電子シンバル本体の前記挿通溝部を挿通して構成されたことを特徴とする請求項1~5の何れか1つに記載の電子シンバル。
【請求項7】
前記電子シンバル本体は、吊り下げられて前記支持スタンドに支持されるとともに、当該電子シンバル本体から延びる前記出力ケーブルが前記挿通溝部を挿通して構成されたことを特徴とする請求項1~5の何れか1つに記載の電子シンバル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、叩打を検出可能な検出センサを具備し、検出された検出信号を出力可能な電子シンバルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子シンバルは、例えば特許文献1にて開示されているように、演奏者による叩打が可能とされた打面を有するパッド部、及びパッド部の裏面側を支持するフレーム部を有して構成された電子シンバル本体と、パッド部の打面に対する叩打を検出可能な振動センサと、振動センサで検出された検出信号を外部に出力するための出力ケーブルとを具備していた。そして、演奏者がスティックによって電子シンバル本体の打面を叩打すると、振動センサが検出して外部に出力することができ、アコースティックのシンバルと同様の演奏が可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-331972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、出力ケーブルがフレーム部の裏面から延設されるため、例えば電子シンバル本体を上下に複数段に亘って配設した場合、上段の電子シンバル本体から延びる出力ケーブルが下段の電子シンバル本体に干渉してしまい、叩打の誤検出や演奏の邪魔になってしまう不具合があった。また、例えば電子シンバル本体を吊り下げた状態で配設した場合、出力ケーブルが空中を這う状態となってしまい、見栄えが悪く演奏の邪魔になってしまう不具合があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、電子シンバル本体を上下に複数段に亘って配設した場合、又は電子シンバル本体を吊り下げた状態で配設した場合であっても、出力ケーブルを保持して演奏時の不具合を回避することができる電子シンバルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、演奏者による叩打が可能とされた打面を有するパッド部、及び前記パッド部の裏面側を支持するフレーム部を有して構成された電子シンバル本体と、前記電子シンバル本体のパッド部及びフレーム部の中央にそれぞれ形成され、支持スタンドを挿通可能な開口部と、前記パッド部の打面に対する叩打を検出可能な検出センサと、前記検出センサと接続されるとともに、前記検出センサで検出された検出信号を出力可能な出力ケーブルとを具備した電子シンバルであって、前記フレーム部の開口部と連通して形成され、前記出力ケーブルを挿通して保持可能な挿通溝部を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子シンバルにおいて、前記挿通溝部は、前記フレーム部に形成された開口部の周縁に形成されるとともに、当該フレーム部の開口部と前記支持スタンドとの間に軸スリーブが介在して取り付けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の電子シンバルにおいて、前記軸スリーブは、前記挿通溝部に対応した位置にスリットが形成され、当該スリットを介して前記挿通溝部に前記出力ケーブルを挿通可能とされたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の電子シンバルにおいて、前記フレーム部に形成された開口部に軸スリーブが取り付けられるとともに、当該軸スリーブに前記挿通溝部が形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載の電子シンバルにおいて、前記挿通溝部に挿通した前記出力ケーブルを抜け止めする抜け止め形状が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1~5の何れか1つに記載の電子シンバルにおいて、前記電子シンバル本体は、上下に複数段に亘って前記支持スタンドに支持されるとともに、上段の電子シンバル本体から延びる前記出力ケーブルが下段の電子シンバル本体の前記挿通溝部を挿通して構成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1~5の何れか1つに記載の電子シンバルにおいて、前記電子シンバル本体は、吊り下げられて前記支持スタンドに支持されるとともに、当該電子シンバル本体から延びる前記出力ケーブルが前記挿通溝部を挿通して構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、フレーム部の開口部と連通して形成され、出力ケーブルを挿通して保持可能な挿通溝部を有するので、電子シンバル本体を上下に複数段に亘って配設した場合、又は電子シンバル本体を吊り下げた状態で配設した場合であっても、出力ケーブルを保持して演奏時の不具合を回避することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、挿通溝部は、フレーム部に形成された開口部の周縁に形成されるとともに、当該フレーム部の開口部と支持スタンドとの間に軸スリーブが介在して取り付けられたので、軸スリーブによって挿通溝部内に挿通された出力ケーブルを確実に保持することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、軸スリーブは、挿通溝部に対応した位置にスリットが形成され、当該スリットを介して挿通溝部に出力ケーブルを挿通可能とされたので、スリットを介して出力ケーブルを挿通溝部内に挿通して保持させることができ、組み付け作業性を向上させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、フレーム部に形成された開口部に軸スリーブが取り付けられるとともに、当該軸スリーブに挿通溝部が形成されたので、電子シンバル本体に挿通溝部を形成することなく出力ケーブルを軸スリーブの挿通溝部にて保持させることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、挿通溝部に挿通した出力ケーブルを抜け止めする抜け止め形状が形成されたので、挿通溝部内に挿通した出力ケーブルをより確実に保持させることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、電子シンバル本体は、上下に複数段に亘って支持スタンドに支持されるとともに、上段の電子シンバル本体から延びる出力ケーブルが下段の電子シンバル本体の挿通溝部を挿通して構成されたので、上段の電子シンバル本体から延びる出力ケーブルを挿通溝部に保持することができ、検出センサの誤検出や演奏の邪魔になるのを防止することができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、電子シンバル本体は、吊り下げられて支持スタンドに支持されるとともに、当該電子シンバル本体から延びる出力ケーブルが挿通溝部を挿通して構成されたので、吊り下げられた電子シンバル本体から延びる出力ケーブルを挿通溝部に保持することができ、見栄えの悪化防止や演奏の邪魔になるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電子シンバルの外観全体を示す斜視図
図2】同電子シンバルを示す正面図及び平面図
図3図2におけるIII-III線断面図
図4図2におけるIV-IV線断面図
図5】同電子シンバルにおける電子シンバル本体(軸スリーブ回転前)を示す平面図及び裏面図
図6】同電子シンバルにおける電子シンバル本体(軸スリーブ回転後)を示す平面図及び裏面図
図7】同電子シンバル本体を示す分解斜視図
図8】同電子シンバル本体のパッド部を示す3面図
図9】同電子シンバル本体のフレーム部を示す3面図
図10】同電子シンバル本体に取り付けられる軸部材を示す3面図
図11】本発明の第2の実施形態に係る電子シンバルの外観全体を示す斜視図
図12】同電子シンバルを示す正面図及び平面図
図13図12におけるXIII-XIII線断面図
図14図12におけるXIV-XIV線断面図
図15】本発明の他の実施形態(スリットが形成されない軸スリーブが取り付けられたもの)を示す平面図
図16】本発明の他の実施形態(挿通溝部が形成された軸スリーブが取り付けられたもの)を示す平面図
図17】本発明の他の実施形態(挿通溝部にくびれ部が形成されたもの)を示す平面図
図18】本発明の他の実施形態(挿通溝部がL字状に形成されたもの)を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る電子シンバルは、図1~4に示すように、上下2段で構成される電子シンバル本体1及び電子シンバル本体2と、電子シンバル本体1及び電子シンバル本体2内にそれぞれ配設された振動センサ5(検出センサ)及び軸スリーブ8と、カバー部材9とを具備して構成されている。
【0022】
電子シンバル本体1は、電子シンバル本体2の下方位置に配設されたもので、スタンド脚部Taにて上下方向に延設された支持スタンドTにより所定高さで支持されている。かかる電子シンバル本体1は、演奏者による叩打が可能とされた打面Fを有するパッド部3、及びパッド部3の裏面側を支持するフレーム部4を有して構成されている。また、電子シンバル本体2は、電子シンバル本体1の上方位置に配設されたもので、演奏者による叩打が可能とされた打面Hを有するパッド部3、及びパッド部3の裏面側を支持するフレーム部4を有して構成されている。
【0023】
パッド部3は、スティックで叩打可能なゴム材又は軟質樹脂等(本実施形態においては、シリコンラバー)から成り、図7、8に示すように、中央位置に支持スタンドTを挿通可能な開口部3aが形成された円板状部材から成る。また、パッド部3の上面に形成された打面F、Hは、パッド部3の中央の膨出部に形成されたカップ部Fb、Hbと、パッド部3の周縁部に形成されたエッジ部Fc、Hcと、カップ部Fb、Hb及びエッジ部Fc、Hcの間の領域から成るボウ部Fa、Haとを有して構成されている。
【0024】
フレーム部4は、樹脂又は金属(本実施形態においては、硬質樹脂)から成り、図7、9に示すように、中央位置に支持スタンドTを挿通可能な開口部4aが形成された円板状部材から成る。また、フレーム部4の表面Gaには、パッド部3が取り付けられて一体化することにより電子シンバル本体1が形成されるとともに、裏面側Gbには、振動センサ5(図7参照)を取り付けるための複数の取付部gが形成されている。これら複数の取付部gは、フレーム部4の中心軸を中心として回転対称の位置、且つ、それぞれが同心円上となる位置に形成されている。
【0025】
カバー部材9は、フレーム部4の裏面Gb側において振動センサ5等を覆うように取り付けられるとともに、所定の電気回路が形成された基板6(図7参照)が取り付けられるよう構成されている。振動センサ5は、パッド部3の打面Fに対する叩打を検出可能なセンサから成り、本実施形態においては、フレーム部4の裏面側Gbにおける取付部gに取り付けられ、フレーム部4の振動を検出してパッド部3に対する叩打を検出可能とされている。
【0026】
かかる振動センサ5は、カバー部材9に取り付けられた基板6と電気的に接続されており、パッド部3の打面Fに対する叩打を振動センサ5にて検出されると、その検出信号が基板6に送信されるようになっている。なお、フレーム部4の表面Ga側における周縁には、エッジセンサ11(図3、4)が取り付けられており、パッド部3におけるエッジ部Fcに対する叩打を検出可能とされている。かかるエッジセンサ11は、振動センサ5と同様、基板6と電気的に接続されており、検出信号が基板6に送信されるようになっている。
【0027】
また、基板6には、コネクタ6aが形成されており、当該コネクタ6aには、出力ケーブル7aの基端が取り付けられている。かかる検出ケーブル7aは、基板6を介して振動センサ5及びエッジセンサ11と接続されるとともに、振動センサ5及びエッジセンサ11で検出された検出信号を外部に出力可能とされている。さらに、検出ケーブル7aは、その先端に出力ジャックJaが形成されており、外部の信号処理装置(不図示)に接続可能とされている。
【0028】
そして、演奏者がスティックにてパッド部3の打面Fを叩打して電子シンバル本体1を振動させると、振動センサ5にて叩打の強さが検出され、その強さに応じた電気信号が検出ケーブル7a及び出力ジャックJaを介して外部の信号処理装置(不図示)に出力されることとなる。なお、エッジセンサ11のオン・オフ状態に応じてエッジ部Fcに対する叩打が識別され、エッジセンサ11がオフの場合に叩打が検出されると、ボウ部Fa又はカップ部Fbに対して叩打したと判断されて出力されることとなる。
【0029】
軸スリーブ8は、図10に示すように、その中央部に中央孔8aが形成された円筒状の弾性部材(本実施形態においては、ゴム材)から成る。かかる軸スリーブ8は、同図に示すように、中央孔8aから外周縁まで延びたスリット8bが形成されるとともに、側面において全周方向に亘って形成された溝形状8cを有している。しかるに、軸スリーブ8は、図3、4に示すように、フレーム部4の開口部4aと支持スタンドT(本実施形態においては、支持スタンドTが有するスタンドスリーブTb)との間に介在して取り付けられている。
【0030】
具体的には、軸スリーブ8は、その側面に形成された溝形状8cをフレーム部4の開口部4aの周縁に嵌合させて取り付けられるとともに、中央孔8aにスタンドスリーブTb及び支持スタンドTを挿通させて支持されている。また、軸スリーブ8の上下には、それぞれフェルト部材10が取り付けられており、叩打による振動が支持スタンドTや上方に位置する電子シンバル本体2に伝達してしまうのを抑制している。なお、図中符号Lは、支持スタンドTに対して電子シンバル本体1、2を締め上げて固定するための締め上げ部材を示している。
【0031】
電子シンバル本体2は、電子シンバル本体1と同様の構成を有するとともに、当該電子シンバル本体1より平面視で小さい寸法に設定されている。かかる電子シンバル本体2は、開口部3aを有したパッド部3及び開口部4aを有したフレーム部4を一体化して構成されたもので、電子シンバル本体1と同様の振動センサ5及び基板6を具備している。また、電子シンバル本体2は、電子シンバル本体1と同様、フレーム部4の開口部4aに軸スリーブ8が取り付けられており、当該軸スリーブ8を介して支持スタンドTに支持されるよう構成されている。
【0032】
すなわち、電子シンバル本体1、2は、上下に複数段(本実施形態においては2段)に亘って支持スタンドTに支持されているのである。そして、上段に位置する電子シンバル本体2の基板6からは、検出信号を外部に出力するための出力ケーブル7bが延設されており、当該出力ケーブル7bの先端に形成された出力ジャックJbが外部の信号処理装置(不図示)に接続されるようになっている。
【0033】
ここで、本実施形態に係る電子シンバル本体1は、図3に示すように、フレーム部4の開口部4aと連通して形成され、電子シンバル本体2の出力ケーブル7bを挿通して保持可能な挿通溝部4b(例えば開口径が5mm程度)を有している。かかる挿通溝部4bは、フレーム部4に形成された開口部4a(例えば開口径が20mm程度)の周縁に形成された切欠きから成るとともに、当該フレーム部4の開口部4aと支持スタンドT(スタンドスリーブTb)との間に軸スリーブ8が介在して取り付けられている。
【0034】
すなわち、本実施形態に係る電子シンバル本体1、2は、上下に複数段(2段)に亘って支持スタンドTに支持されるとともに、上段の電子シンバル本体2から延びる出力ケーブル7bが下段の電子シンバル本体1の挿通溝部4bを挿通して構成されているのである。これにより、上段の電子シンバル本体2から延びる出力ケーブル7bを下段の電子シンバル本体1の中心位置に確実に保持することができ、当該出力ケーブル7bが演奏時に打面Fに干渉するのを防止することができる。
【0035】
特に、挿通溝部4bが開口部4aの開口縁部に形成されているので、出力ケーブル7bを挿通溝部4bに挿通させる過程で開口部4aを利用して出力ジャックJbを電子シンバル本体1の上部から下部に挿通させることができるとともに、打面Fの一部に出力ケーブル7bを挿通させるための貫通孔を設ける必要がない。また、フレーム部4の開口部4aと支持スタンドT(スタンドスリーブTb)との間に軸スリーブ8が介在して取り付けられるので、挿通溝部4bに挿通された出力ケーブル7bが支持スタンドT側に移動するのを防止することができ、出力ケーブル7bのフェルト部材10に対する挟み込みを回避することができる。
【0036】
さらに、本実施形態に係る軸スリーブ8は、所定位置にスリット8bが形成されているので、図5に示すように、スリット8bを挿通溝部4bに合致させた状態で出力ケーブル7bを挿通溝部4bに挿通させた後、図6に示すように、軸スリーブ8を回転させてスリット8bを挿通溝部4bからずらすことにより、スリット8bを利用した出力ケーブル7bの挿通及びスリット8bからの出力ケーブル7bの抜け止めを図ることができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る電子シンバルは、図11~14に示すように、吊り下げられて支持スタンドTに支持される電子シンバル本体1と、電子シンバル本体1内に配設された振動センサ5(検出センサ)及び軸スリーブ8と、カバー部材9とを具備して構成されている。なお、第1の実施形態と同様の構成の部品には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0038】
本実施形態に係る電子シンバル本体1は、上部から下方に延設された支持スタンドTに固定されており、吊り下げられた状態で支持されている。かかる電子シンバル本体1は、フレーム部4の開口部4aと連通して形成され、出力ケーブル7aを挿通して保持可能な挿通溝部4bを有している。かかる挿通溝部4bは、第1の実施形態と同様、フレーム部4に形成された開口部4aの周縁に形成された切欠きから成るとともに、当該フレーム部4の開口部4aと支持スタンドT(スタンドスリーブTb)との間に軸スリーブ8が介在して取り付けられている。
【0039】
すなわち、本実施形態に係る電子シンバル本体1は、吊り下げられて支持スタンドTに支持されるとともに、当該電子シンバル本体1から延びる出力ケーブル7aが挿通溝部4bを挿通して構成されているのである。これにより、電子シンバル本体1から延びる出力ケーブル7aを当該電子シンバル本体1の中心位置に確実に保持しつつ支持スタンドTを這わせることができ、当該出力ケーブル7aが演奏時に打面Fに干渉したり、空中を這って見栄えが悪化してしまうのを防止することができる。
【0040】
上記第1、2の実施形態によれば、フレーム部4の開口部4aと連通して形成され、出力ケーブル(7a、7b)を挿通して保持可能な挿通溝部4bを有するので、電子シンバル本体(1、2)を上下に複数段に亘って配設した場合、又は電子シンバル本体1を吊り下げた状態で配設した場合であっても、出力ケーブル(7a、7b)を保持して演奏時の不具合を回避することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る挿通溝部4bは、フレーム部4に形成された開口部4aの周縁に形成されるとともに、当該フレーム部4の開口部4aと支持スタンドTとの間に軸スリーブ8が介在して取り付けられたので、軸スリーブ8によって挿通溝部4b内に挿通された出力ケーブル(7a、7b)を確実に保持することができる。さらに、本実施形態に係る軸スリーブ8は、挿通溝部4bに対応した位置にスリット8bが形成され、当該スリット8bを介して挿通溝部4bに出力ケーブル(7a、7b)を挿通可能とされたので、スリット8bを介して出力ケーブル(7a、7b)を挿通溝部4b内に挿通して保持させることができ、組み付け作業性を向上させることができる。なお、図15に示すように、スリット8bを有さず、開口部4aに着脱可能な軸スリーブ8を用いるようにしてもよい。
【0042】
特に、第1の実施形態によれば、電子シンバル本体(1、2)は、上下に複数段(2段)に亘って支持スタンドTに支持されるとともに、上段の電子シンバル本体2から延びる出力ケーブル7bが下段の電子シンバル本体1の挿通溝部4bを挿通して構成されたので、上段の電子シンバル本体2から延びる出力ケーブル7bを挿通溝部4bに保持することができ、振動センサ5の誤検出や演奏の邪魔になるのを防止することができる。
【0043】
また、第2の実施形態によれば、電子シンバル本体1は、吊り下げられて支持スタンドTに支持されるとともに、当該電子シンバル本体1から延びる出力ケーブル7aが挿通溝部4bを挿通して構成されたので、吊り下げられた電子シンバル本体1から延びる出力ケーブル7aを挿通溝部4bに保持することができ、見栄えの悪化防止や演奏の邪魔になるのを防止することができる。
【0044】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば図16に示すように、軸スリーブ8に挿通溝部8eが形成されたものであってもよい。この場合、軸スリーブ8は、中央孔8aに連続してスリット部8d及び挿通溝部8eが形成されるとともに、出力ケーブル(7a、7b)をスリット8dを介して挿通溝部8eまで挿通し、当該挿通溝部8eにて保持させることができる。このように、フレーム部4に形成された開口部4aに軸スリーブ8が取り付けられるとともに、当該軸スリーブ8に挿通溝部8eが形成されたものとすれば、電子シンバル本体1に挿通溝部4bを形成することなく出力ケーブル(7a、7b)を軸スリーブ8の挿通溝部8eにて保持させることができる。
【0045】
また、スリーブ8を具備しないものであってもよく、その場合、挿通溝部4bは、挿通した出力ケーブル(7a、7b)を抜け止めする抜け止め形状が形成されるのが好ましい。その場合、例えば、図17に示すように、フレーム部4における開口部4aと挿通溝部4bとの間に幅寸法が小さい抜け止め形状4c(くびれ部)を形成し、或いは図18に示すように、フレーム部4における開口部4aとL字状に形成された挿通溝部4bとを連通させるとともに、挿通溝部4bに突出した抜け止め形状3bをパッド部3に形成することにより、挿通溝部4bにて保持した出力ケーブル(7a、7b)の抜け止めを図るものであってもよい。このように、挿通溝部4bに挿通した出力ケーブル(7a、7b)を抜け止めする抜け止め形状4c、3bが形成されたものとすれば、挿通溝部4b内に挿通した出力ケーブル(7a、7b)をより確実に保持させることができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、上下複数段(2段)に亘って支持スタンドTに電子シンバル本体(1,2)が支持されたもの、又は吊り下げられて支持スタンドTに電子シンバル1が支持されたものに適用されているが、他の形態にて電子シンバル本体が支持されるものであってもよい。また、第1の実施形態において、電子シンバル1単体が支持スタンドTに支持されたものであってもよく、電子シンバル1の出力ケーブル7aを挿通可能な挿通溝部4bを設けて電子シンバル1を単体で使用してもよい。しかるに、本実施形態においては、フレーム部4のみに挿通溝部4bが形成されているが、パッド部3においても挿通溝部4bに対応する位置に出力ケーブル(7a、7b)を挿通可能な溝部を形成するようにしてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態においては、出力ケーブル(7a、7b)の先端に出力ジャック(Ja、Jb)が形成されているが、電子シンバル本体(1、2)の内部に出力ジャック(Ja、Jb)を形成し、その出力ジャック(Ja、Jb)から出力ケーブル(7a、7b)が延設されるもの、或いは外部の信号処理装置に対して出力ジャック(Ja、Jb)を介さず直接接続するものであってもよい。なお、出力ケーブル(7a、7b)は、振動センサ5が出力した電気信号だけではなく、入力信号を含む各種信号を通信可能なものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
フレーム部の開口部と連通して形成され、出力ケーブルを挿通して保持可能な挿通溝部を有する電子シンバルであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 電子シンバル本体
2 電子シンバル本体(上段)
3 パッド部
3a 開口部
3b 抜け止め形状
4 フレーム部
4a 開口部
4b 挿通溝部
4c 抜け止め形状
5 振動センサ(検出センサ)
6 基板
6a コネクタ
7a 出力ケーブル
7b 出力ケーブル
8 軸スリーブ
8a 中央孔
8b スリット
8c 溝形状
8d スリット部
8e 挿通溝部
9 カバー部材
10 フェルト部材
11 エッジセンサ
T 支持スタンド
Ta スタンド脚部
Tb スタンドスリーブ
Ja、Jb 出力ジャック
F、H 打面
Fa、Ha ボウ部
Fb、Hb カップ部
Fc、Hc エッジ部
Ga 表面
Gb 裏面
L 締め上げ部材
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